(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI;Large Scale Integration)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭くなっている。こうした回路パターンは、原画パターンが描かれたマスクを用い、ステッパと称される縮小投影露光装置でウェハをパターンに露光転写することにより製造される。ここで、パターンの転写に使用されている深紫外線光の波長は193nmであるのに対して、転写しようとするパターンのサイズは波長よりも短い。このため、リソグラフィ技術の複雑化も加速している。
【0003】
一方、LSIを大量に生産するにあたっては、製品毎に異なるマスクパターンのデザイン変更に対する自由度も求められる。こうしたことから、マスク上に原画パターンを形成する際には、電子ビーム描画装置による電子ビームリソグラフィ技術が用いられている。
【0004】
電子ビームリソグラフィ技術では荷電粒子ビームが利用されるために、本質的に優れた解像度を有している。また、焦点深度を大きく確保することができるので、高い段差上でも寸法変動を抑制できるという利点も有している。このため、マスクの製造現場だけではなく、ウェハ上にパターンを直接描画する際にも電子ビームリソグラフィ技術が用いられる。例えば、DRAMを代表とする最先端デバイスの開発に適用されている他、一部ASICの生産にも用いられている。
【0005】
ところで、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。このため、歩留まり向上のための様々な方策がとられている。特に、マスクのパターン欠陥は、歩留まりを低下させる大きな要因となるので、マスク製造工程ではパターン欠陥を正確に検出することが求められる。
【0006】
しかしながら、1ギガビット級のDRAMに代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。このため、マスク上でパターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。それ故、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検出する検査装置には、高い検査精度が必要とされる。
【0007】
検査装置における欠陥検出の手法には、ダイ−トゥ−データベース(die to database)検査と、ダイ−トゥ−ダイ(die to die)検査とがある。いずれも検査対象となる試料の光学画像を、手本となる基準画像と比較して、欠陥を検出するものである。例えば、ダイ−トゥ−データベース検査では、描画データ(設計パターンデータ)を検査装置に入力し、これをベースに、基準画像となる設計画像データ(参照画像)を生成する。そして、パターンを撮像して得られた測定データ(光学画像)と、設計画像データ(参照画像)とを比較する。尚、描画データは、パターン設計されたCADデータが検査装置に入力可能なフォーマットに変換されたものである。
【0008】
例えば、特許文献1には、ダイ−トゥ−データベース検査の具体的方法が開示されている。それによれば、まず、光源から出射された光が光学系を介して検査対象であるマスクに照射される。マスクはテーブル上に載置されており、テーブルが移動することによって照射された光がマスク上を走査する。マスクを透過または反射した光はレンズを介して画像センサ上に結像し、画像センサで撮像された光学画像は測定データとして比較部へ送られる。比較部では、測定データと設計画像データとがアルゴリズムにしたがって比較される。そして、これらのデータが一致しない場合には欠陥ありと判定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
微細なパターンが描画されたマスクの検査には、長時間を要する。例えば、1枚のマスクについて2時間から6時間程度の検査時間がかかる。この間に検出される欠陥の頻度が極めて低い場合や、欠陥が全く検出されない場合には、検査結果に対する信頼性に疑問が持たれることがある。これは、検査装置に何らかの不具合があって欠陥検出数が実際より少なくなっているのか、それとも、本当に欠陥数が少ないのであって検査結果に問題はないのかの判別が検査中につかないためである。特に、上記のように回路パターンの線幅が狭くなっている昨今にあっては、パターン寸法の僅かな測定誤差によっても、欠陥パターンと判定されたり、あるいは、正常パターンと判定されたりする。また、その一方で、マスク製造工程における技術の進歩により、欠陥数が絶対的に少なくなっているのも事実である。
【0011】
検査結果の信頼性は、検査中には分からないとしても、検査終了後には明らかとなる。しかし、上記の通り、検査には長時間を要するので、検査終了後に検査結果が信頼できないことが分かったのでは、検査に要した時間が無駄となり、マスク製造工程におけるスループットを大きく低下させることになる。そこで、検査が正常に行われていることを確認しつつ検査を進めることができれば、ユーザにとって安心である。つまり、検査結果に疑いがあることが分かれば、その時点で検査を中止することで、無駄な検査時間を費やさずに済ますことができる。
【0012】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、検査結果に対する自己診断機能を備えた検査装置を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、検査対象に光を照射して光学画像を得る光学画像取得部と、
光学画像を基準画像と比較して、これらの差分値が所定の閾値を超える場合に欠陥と判定する比較部と、
検査対象を複数のフレーム領域に分割し、各フレーム領域について得られた光学画像と基準画像の最大差分値を用いて、比較部における判定の信頼性を評価する診断部とを有することを特徴とする検査装置に関する。
【0015】
本発明の第1の態様において、診断部は、閾値を超える最大差分値の有無によって、比較部における判定の信頼性を評価することが好ましい。
【0016】
本発明の第1の態様において、診断部は、閾値以下であるが所定値を超える最大差分値の数によって、比較部における判定の信頼性を評価することが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様は、検査対象を透過または反射した光を画像センサに結像して光学画像を得る光学画像取得部と、
光学画像を基準画像と比較して、これらの差分値が所定の閾値を超える場合に欠陥と判定する比較部と、
画像センサに結像する光学像の光量によって、比較部における判定の信頼性を評価する診断部とを有することを特徴とする検査装置に関する。
【0018】
本発明の第2の態様において、診断部は、測定した光学像の光量が、予め定めた光量の範囲を超えるか否かによって、比較部における判定の信頼性を評価することが好ましい。
【0019】
本発明の第3の態様は、検査対象に光を照射して光学画像を得る光学画像取得部と、
光学画像を基準画像と比較して、これらの差分値が所定の閾値を超える場合に欠陥と判定する比較部と、
比較部で欠陥と判定されない時間が所定時間に達すると、検査対象に疑似欠陥を生じさせて、比較部における判定の信頼性を評価する診断部とを有することを特徴とする検査装置に関する。
【0020】
本発明の第3の態様は、光学画像と比較すべき基準画像とは異なる基準画像を生成する画像生成部を有し、比較部で欠陥と判定されない時間が所定時間に達すると、比較部または診断部において、画像生成部で生成した基準画像をこの光学画像と比較することが好ましい。
【0021】
本発明の第3の態様において、光学画像取得部は、検査対象を透過または反射した光を画像センサに結像して光学画像を得るよう構成されており、
また、画像センサを構成する複数の撮像素子の動作を制御する制御部を有していて、
比較部で欠陥と判定されない時間が所定時間に達すると、制御部で撮像素子の少なくとも1つを動作しないようにし、得られた光学画像と基準画像を比較部または診断部で比較することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検査結果に対する自己診断機能を備えた検査装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本実施の形態における検査装置100の構成図である。本実施の形態においては、フォトリソグラフィ法などで使用されるマスクを検査対象としているが、ウェハを検査対象としてもよい。
【0025】
図1に示すように、検査装置100は、光学画像取得部Aと制御部Bを有する。
【0026】
光学画像取得部Aは、光源103と、水平方向(X方向、Y方向)および回転方向(θ方向)に移動可能なXYθテーブル102と、透過照明系を構成する照明光学系170と、拡大光学系104と、フォトダイオードアレイ105と、センサ回路106と、自己診断回路125と、レーザ測長システム122と、オートローダ130とを有する。
【0027】
制御部Bでは、検査装置100全体の制御を司る制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照回路112、展開回路111、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置116、CRT117、パターンモニタ118およびプリンタ119に接続されている。XYθテーブル102は、テーブル制御回路114によって制御されたX軸モータ、Y軸モータおよびθ軸モータによって駆動される。これらのモータには、例えば、ステップモータを用いることができる。
【0028】
尚、
図1の比較回路108と自己診断回路125は、それぞれ、本発明の比較部と診断部に対応する。
【0029】
データベース方式の基準データとなる設計パターンデータは、磁気ディスク装置109に格納されており、検査の進行に合わせて読み出されて展開回路111に送られる。展開回路111では、設計パターンデータがイメージデータ(設計画素データ)に変換される。その後、このイメージデータは、参照回路112に送られて参照画像の生成に用いられる。
【0030】
尚、本実施の形態の検査装置は、
図1に示す構成要素以外に、マスクを検査するのに必要な他の公知要素が含まれていてもよい。例えば、後述するレビュー装置を検査装置自身が有していてもよい。
【0031】
図2は、本実施の形態におけるデータの流れを示す概念図である。破線で囲んだ部分は検査装置を示しており、符号は
図1と同様である。
【0032】
図2に示すように、設計者(ユーザ)が作成したCADデータ201は、階層化されたフォーマットの設計中間データ202に変換される。設計中間データ202には、レイヤ(層)毎に作成されて各マスクに形成されるパターンデータが格納される。ここで、一般に、検査装置は、設計中間データ202を直接読み込めるようには構成されていない。すなわち、検査装置の製造メーカー毎に、異なるフォーマットデータが用いられている。このため、設計中間データ202は、レイヤ毎に各検査装置に固有のフォーマットデータ203に変換された後に検査装置100に入力される。この場合、フォーマットデータ203は、検査装置100に固有のデータとすることができるが、描画装置と互換性のあるデータとすることもできる。
【0033】
図3は、検査工程を示すフローチャートである。尚、以下では、ダイ−トゥ−データベース方式による検査方法を述べる。したがって、検査対象の光学画像と比較される基準画像は、描画データ(設計パターンデータ)をベースに作成された参照画像である。尚、本発明の検査装置は、ダイ−トゥ−ダイ方式による検査方法にも適用可能であり、その場合の基準画像は、検査対象とは異なる光学画像になる。
【0034】
図3に示すように、検査工程は、光学画像取得工程(S1)と、設計パターンデータの記憶工程(S2)と、参照画像生成工程の一例となる展開工程(S3)およびフィルタ処理工程(S4)と、光学画像と参照画像の比較工程(S5)とを有する。
【0035】
<光学画像取得工程>
図3において、S1の光学画像取得工程では、
図1の光学画像取得部Aが、フォトマスク101の光学画像(測定データ)を取得する。ここで、光学画像は、設計パターンに含まれる図形データに基づく図形が描画されたマスクの画像である。光学画像の具体的な取得方法は、例えば、次に示す通りである。
【0036】
検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向および回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上に載置される。そして、フォトマスク101に形成されたパターンに対し、XYθテーブル102の上方に配置された光源103から光が照射される。より詳しくは、光源103から照射される光束が、照明光学系170を介してフォトマスク101に照射される。フォトマスク101の下方には、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106が配置されている。フォトマスク101を透過した光は、拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像する。ここで、拡大光学系104は、図示しない自動焦点機構によって自動的に焦点調整がなされるよう構成されていてもよい。
【0037】
図4は、光学画像の取得手順を説明する図である。
【0038】
検査領域は、
図4に示すように、Y方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査フレーム20に仮想的に分割され、さらにその分割された各検査フレーム20
1、20
2、20
3、20
4、・・・が連続的に走査されるように、
図1のXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、
図4に示されるようなスキャン幅Wの画像が連続的に入力される。第1の検査フレーム20
1における画像を取得した後、第2の検査フレーム20
2における画像を今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの画像が連続的に入力される。第3の検査フレーム20
3における画像を取得する場合には、第2の検査フレーム20
2における画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査フレーム20
1における画像を取得した方向に、XYθテーブル102が移動する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間が短縮される。
【0039】
図1のフォトダイオードアレイ105上に結像したパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、さらにセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、画像センサが配置されている。本実施の形態の画像センサとしては、例えば、撮像素子としてのCCDカメラを一列に並べたラインセンサが用いられる。ラインセンサの例としては、TDI(タイムディレイインテグレータ)センサが挙げられる。XYθテーブル102がX軸方向に連続的に移動しながら、TDIセンサによってフォトマスク101のパターンが撮像される。ここで、光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106により高倍率の検査光学系が構成される。
【0040】
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下、テーブル制御回路114によって駆動され、X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータには、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置は、レーザ測長システム122により測定されて位置回路107に送られる。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101は、オートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後には自動的に排出される様になっている。
【0041】
以上のようにして光学画像取得工程(S1)で得られた光学画像は、
図1の比較回路108へ送られる。
【0042】
<記憶工程>
図3において、S2は記憶工程であり、フォトマスク101のパターン形成時に用いた設計パターンデータが、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。
【0043】
設計パターンに含まれる図形は、長方形や三角形を基本図形としたものである。磁気ディスク装置109には、例えば、図形の基準位置における座標、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報であって、各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納される。
【0044】
さらに、数十μm程度の範囲に存在する図形の集合を一般にクラスタまたはセルと称するが、これを用いてデータを階層化することが行われている。クラスタまたはセルには、各種図形を単独で配置したり、ある間隔で繰り返し配置したりする場合の配置座標や繰り返し記述も定義される。クラスタまたはセルデータは、さらにフレームまたはストライプと称される、幅が数百μmであって、長さがフォトマスクのX方向またはY方向の全長に対応する100mm程度の短冊状領域に配置される。
【0045】
<展開工程>
図3のS3は展開工程である。この工程においては、
図1の展開回路111が、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、読み出されたフォトマスク101の設計パターンデータを2値ないしは多値のイメージデータ(設計画像データ)に変換する。そして、このイメージデータは参照回路112に送られる。
【0046】
図形データとなる設計パターンデータが展開回路111に入力されると、展開回路111は、設計パターンデータを図形毎のデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開する。展開された設計画像データは、センサ画素に相当する領域(マス目)毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算する。そして、各画素内の図形占有率が画素値となる。
【0047】
<フィルタ処理工程>
図3のS4はフィルタ処理工程である。この工程では、参照回路112によって、送られてきた図形のイメージデータである設計画像データに適切なフィルタ処理が施される。
【0048】
図5は、フィルタ処理を説明する図である。
【0049】
センサ回路106から得られた光学画像としての測定データは、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続的に変化するアナログ状態にある。したがって、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計パターンデータにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにして光学画像と比較する参照画像を作成する。
【0050】
<比較工程>
図3のS5は比較工程である。この工程では、上述したように、S1で取得された、センサ回路106からの光学画像データは、比較回路108へ送られる。また、設計パターンデータも、展開回路111および参照回路112により参照画像データに変換されて比較回路108に送られる。
【0051】
比較回路108では,センサ回路106から送られた光学画像と、参照回路112で生成した参照画像とが、適切な比較判定アルゴリズムを用いて比較され、誤差が所定の値を超えた場合にその箇所は欠陥と判定される。次いで、欠陥の座標と、欠陥判定の根拠となった光学画像および参照画像とが、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に保存される。
【0052】
尚、欠陥判定は、次の2種類の方法により行うことができる。1つは、参照画像における輪郭線の位置と、光学画像における輪郭線の位置との間に、所定の閾値寸法を超える差が認められる場合に欠陥と判定する方法である。他の1つは、参照画像におけるパターンの線幅と、光学画像におけるパターンの線幅との比率が所定の閾値を超える場合に欠陥と判定する方法である。この方法では、参照画像におけるパターン間の距離と、光学画像におけるパターン間の距離との比率を対象としてもよい。
【0053】
本実施の形態では、上記の検査工程と並行して、
図1の自己診断回路125で検査の自己診断を行う。ここで、自己診断とは、検査が正常に行われているか否かを検査装置自身が診断することを言う。
【0054】
図6は、自己診断処理を説明するフローチャートの一例である。尚、
図2の自己診断回路125は、このフローチャートにしたがった処理をする。
【0055】
図6の例における自己診断は、光学画像と参照画像を比較して得られる差分値(比較差分値)を用いて行われる。比較差分値は、例えば、参照画像における輪郭線の位置と、光学画像における輪郭線の位置との差である。また、参照画像におけるパターンの線幅と、光学画像におけるパターンの線幅との差とすることもできる。さらに、参照画像におけるパターン間の距離と、光学画像におけるパターン間の距離との差としてもよい。
【0056】
例えば、
図4に示すように、検査領域を複数のフレーム領域に分割し、フレーム領域毎に光学画像と参照画像の比較処理を行う。各フレーム領域の大きさは、例えば、一辺が数十nm程度の正方形とすることができる。
【0057】
例えば、光学画像と参照画像のそれぞれについて、パターンの線幅や線間距離を求めて比較し、これらの間に所定の閾値を超える差があるか否かを調べる。比較差分値が閾値を超える場合には欠陥と判定されるが、ここでは、欠陥検出の有無にかかわらず、1フレーム内における全比較差分値のうちの最大差分値をこのフレームを代表する値として収集し記録する。本実施の形態では、
図1の比較回路108で求められた比較差分値が自己診断回路125に送られて、自己診断回路125に最大差分値が記録される。例えば、記録された差分値の中に上記閾値を超える値があるにもかかわらず、比較回路108で欠陥なしと判定される場合には、検査結果の信頼性に疑いが持たれる。
【0058】
あるいは、欠陥判定の基準となる閾値以下ではあるが、所定値を超える最大差分値の数によって、検査が正常に行われているか否かを評価してもよい。つまり、マスク全体において、欠陥には至らないものの、大きな比較差分値を示すフレームがいくつあるかを調べることによって自己診断する。具体的には、(欠陥判定の基準となる閾値よりは小さい)所定値を予め決めておき、この所定値より大きい比較差分値を有するフレーム数を算出する。算出されたフレーム数が多いにもかかわらず、比較回路108で欠陥なしと判定される場合には、検査結果の信頼性に疑いが持たれる。尚、所定値を超える比較差分値の数が多いか否かの判断は、所定の閾値を用いて行うことができる。
【0059】
図6の例では、
図1の比較回路108で求められた比較差分値が自己診断回路125に入力され、(欠陥判定の基準となる)閾値を超える差分値の有無が判定される(S101)。
【0060】
S101で閾値を超える差分値がない場合、検査が適正に行われているならば、欠陥なしとの検査結果になるはずである。そこで、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される(S102)。欠陥が検出されていない場合には、検査結果は正常であると判定されて、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0061】
一方、S101で閾値を越える差分値がある場合、検査が適正に行われているならば、欠陥ありとの検査結果になるはずである。そこで、この場合にも、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される(S103)。欠陥が検出されている場合には、検査結果は正常であると判定されて、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0062】
上記に対して、S102で欠陥が検出されている場合や、S103で欠陥が検出されていない場合には、検査結果は異常であると判定され、警告を発したり、検査を自動的に停止したりするなどの処理が行われる。
【0063】
上述の自己診断回路125における処理は、フレーム領域毎に行うことができる。すなわち、フレーム領域毎に最大差分値が求められ、これらの値を基に、比較回路108での欠陥検査が正常に行われているか否かの判断がフレーム領域毎に行われる。検査が正常に行われている場合には、その旨の情報が、比較回路108で得られたフレーム領域毎の検査結果とともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。一方、検査が正常に行われていないと判断された場合には、例えば、検査装置100から警告が発せられるなどしてオペレータにその旨が通知される。オペレータは、該当するフレーム領域の検査を停止し、検査不良の原因を取り除いた後に再検査することにより、無駄な検査時間を削減して、信頼性のある検査結果を得ることが可能となる。
【0064】
また、上記自己診断処理によれば、欠陥であるか否かにかかわらず比較差分値が収集されるので、マスク全体でのパターン寸法の微小変動、すなわち、欠陥として検出されなかった変動を把握することができる。
【0065】
本実施の形態における自己診断は、例えば、
図1のフォトダイオードアレイ105に結像する光学像の光量をモニタして行うこともできる。
【0066】
光学像の光量が低すぎると、パターンの輪郭線がぼやけるなどして、欠陥判定に必要な線幅や線間距離などを正確に読み取ることが困難になる。このため、本来は欠陥ではないものを欠陥と判定したり、逆に、欠陥とすべきものを欠陥ではないと判定したりして、検査精度の低下を招く。同様に、光学像の光量が高すぎる場合にも、線幅や線間距離を正確に読み取ることが困難になり、検査精度の低下を招く。したがって、検査が適正に行われる光量の範囲を予め定めておき、検査処理と並行して測定した光量がこの範囲を超えた場合には、検査結果の信頼性が低下していると判断することができる。例えば、各フレーム領域の光量振幅をモニタし、これらがいずれも上記範囲を超えなければ、検査は正常に行われていると判断できる。
【0067】
光学像の光量の変動は、例えば、
図1の光源103のゆらぎによって生じる。また、宇宙線等に起因して生じるホワイトスポットによる場合もある。フォトダイオードアレイ105は、宇宙線に対して感度を有しており、宇宙線1個あたり1千〜数千個の電子−正孔対が発生するので、画像中の宇宙線が透過した位置には点状の疑似画像(ホワイトスポット)が生じる。ホワイトスポットは、周辺に比べて明るいため、ホワイトスポットが発生すると光学像の光量が増大する結果となる。
【0068】
さらに、マスクを透過した光が屈折し、本来入射すべきセンサとは異なるセンサに入射することにより、光学像の光量が変化することもある。この場合、屈折した光が入射したセンサは、本来入射すべき光に加えて屈折光が入射するので、検査が適正に行われる光量の範囲を超える結果となる。一方、屈折光が入射すべきセンサには光が入射しなくなるので、上記範囲を下回る光量となる。
【0069】
検査結果が適正であるか否かの判断基準となる光量の範囲は、キャリブレーション(校正)を行って決定されることが好ましい。具体的には、
図1において、検査前にフォトダイオードアレイ105に対して、検査試料となるフォトマスク101の白部分と黒部分でキャリブレーションを行う。例えば、予め把握される事象の1つとして、フォトダイオードアレイ105の光量(白レベルの出力)低下が認められる場合には、キャリブレーションでの補正値(ゲイン)を大きく設定して白レベルを引き上げる。また、キャリブレーションを行う際には、光量のアンダーシュートやオーバーシュートも考慮される。
【0070】
図7は、光学像の光量を用いた自己診断処理のフローチャートである。
【0071】
図7では、フォトダイオードアレイ105の光学像の光量がモニタされ、自己診断回路125において、この光量が予め定めた基準範囲を超えているか否か判定される。
【0072】
モニタした光量が基準範囲を超えていない場合には、検査結果は正常であると判定されて、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0073】
一方、光量が基準範囲を超えている場合には、検査結果は異常であると判定され、警告を発したり、検査を自動的に停止したりするなどの処理が行われる。
【0074】
図7の自己診断処理も、フレーム領域毎に行うことができる。すなわち、フレーム領域毎に光学像の光量を測定し、かかる光量が上記基準範囲を超えているか否かを判定する。これは、つまり、比較回路108での欠陥検査が正常に行われているか否かの判断がフレーム領域毎に行われることを意味する。検査が正常に行われている場合、その旨の情報が比較回路108で得られたフレーム領域毎の検査結果とともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。一方、検査が正常に行われていないと判断された場合には、例えば、検査装置100から警告が発せられるなどしてオペレータにその旨が通知される。オペレータは、該当するフレーム領域の検査を停止し、検査不良の原因を取り除いた後に再検査することにより、無駄な検査時間を削減して、信頼性のある検査結果を得ることが可能となる。
【0075】
本実施の形態においては、比較差分値による自己診断と、光学像の光量による自己診断とを組み合わせてもよい。
図8は、この場合の自己診断処理を示すフローチャートである。
【0076】
図8において、比較回路108で求められた比較差分値は自己診断回路125に入力され、閾値を超える差分値の有無が判定される(S101)。
【0077】
S101で閾値を超える差分値がない場合には、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される(S102)。欠陥が検出されていない場合には、フォトダイオードアレイ105における光学像の光量が予め定めた許容範囲を超えているか否か判定される(S104)。許容範囲を超えていない場合には、検査結果は正常であると判定されて、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0078】
また、S101で閾値を越える差分値がある場合にも、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される(S103)。欠陥が検出されている場合には、フォトダイオードアレイ105における光学像の光量が予め定めた基準範囲を超えているか否か判定される(S104)。基準範囲を超えていない場合には、検査結果は正常であると判定されて、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0079】
一方、S102で欠陥が検出されている場合や、S103で欠陥が検出されていない場合、さらには、S104で光量が基準範囲を超えている場合には、検査結果は異常であると判定され、警告を発したり、検査を自動的に停止したりするなどの処理がとられる。
【0080】
図8における自己診断処理も、フレーム領域毎に行うことができる。すなわち、各フレーム領域について最大差分値と光学像の光量が求められ、これらの値を基に、比較回路108での欠陥検査が正常に行われているか否かの判断がフレーム領域毎に行われる。検査が正常に行われている場合には、その旨の情報が、比較回路108で得られたフレーム領域毎の検査結果とともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。一方、検査が正常に行われていないと判断された場合には、例えば、検査装置100から警告が発せられるなどしてオペレータにその旨が通知される。オペレータは、該当するフレーム領域の検査を停止し、検査不良の原因を取り除いた後に再検査することにより、無駄な検査時間を削減して、信頼性のある検査結果を得ることが可能となる。
【0081】
尚、
図8では、比較差分値を用いる判定をした後に、光学像の光量を用いる判定をしたが、本実施の形態においては、光学像の光量を用いる判定をした後に、比較差分値を用いる判定をしてもよい。
【0082】
すなわち、フォトダイオードアレイ105における光学像の光量が予め定めた基準範囲を超えているか否かを判定し、基準範囲を超えていない場合には、次いで、(欠陥判定の基準となる)閾値を超える比較差分値があるか否かを判定する。閾値を超える差分値がない場合には、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される。欠陥が検出されていない場合には、検査結果は正常であると判定されて、その旨の情報が、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0083】
また、フォトダイオードアレイ105における光学像の光量が予め定めた基準範囲を超えているか否かを判定し、基準範囲を超えていない場合において、(欠陥判定の基準となる)閾値を越える比較差分値がある場合にも、比較回路108における検査結果を参照して、欠陥検出の有無が判定される。欠陥が検出されている場合には、検査結果は正常であると判定されて、その旨の情報が、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0084】
一方、フォトダイオードアレイ105における光学像の光量が予め定めた基準範囲を超えている場合、また、かかる基準範囲を超えていないが、(欠陥判定の基準となる)閾値を超える比較差分値がないにもかかわらず欠陥が検出されている場合、さらには、基準範囲を超えていないが、(欠陥判定の基準となる)閾値を超える比較差分値があるにもかかわらず欠陥が検出されていない場合には、それぞれ、検査結果は異常であると判定される。そして、いずれの場合にも、警告を発したり、検査を自動的に停止したりするなどの処理が行われる。
【0085】
さらに、本実施の形態の自己診断は、次のようにして行うこともできる。
【0086】
検査処理工程において、ステージが所定の走行距離を移動する間、欠陥が全く検出されない場合には、意図的に作られた欠陥を検査対象の中に入れ込む。尚、予め定められた時間内に欠陥が検出されない場合とすることもできる。
【0087】
意図的に作られた欠陥を検査対象の中に入れ込むための方法としては、次のようなことが考えられる。
【0088】
例えば、参照画像を本来あるべき画像とは異なる画像に所定時間だけ入れ替える。すると、入れ替えられた参照画像と比較される光学画像は、実際の欠陥の有無にかかわらず、必ず欠陥ありと判定されるはずである。したがって、この光学画像が欠陥なしと判定されるようであれば、検査が正常に行われていないことになる。
【0089】
尚、ダイ−トゥ−ダイ検査方式の場合は、光学画像が基準画像となるので、検査対象と本来比較すべき光学画像とは異なる光学画像に入れ替える。
【0090】
光学画像と比較すべき参照画像と異なる参照画像の生成は、例えば、
図1の参照回路112で行うことができる。この場合、参照回路112で生成した参照画像のうち、検査対象となっている光学画像とは異なる光学画像に対応する参照画像を、上記の入れ替えに用いることができる。また、参照回路112において、入れ替え専用の参照画像を作成することも可能である。あるいは、参照回路112とは別に設けた画像生成部で参照画像を生成し、得られた参照画像を入れ替えに用いてもよい。
【0091】
比較回路108で欠陥と判定されない時間が所定時間に達すると、比較回路108において、検査対象の光学画像と、入れ替えた参照画像との比較が行われる。尚、比較回路108とは別に設けられた比較回路(図示せず)でかかる比較を行ってもよい。この比較回路は、例えば、自己診断回路125の中に設けることができる。
【0092】
また、参照画像の入れ替えに代えて、フォトダイオードアレイに配置された画像センサの1つが所定時間のみ動作しなくなるようにしてもよい。この間に取得された光学画像には、疑似欠陥(センサの動作不良に起因するものであって、本来的な欠陥とは異なる。)が必ず生じるはずである。したがって、光学画像が欠陥なしと判定されるならば、検査結果に異常があることが疑われる。
【0093】
例えば、画像センサを構成する複数の撮像素子の動作を制御する制御部(図示せず)をフォトダイオードアレイ105に設け、比較回路108で欠陥と判定されない時間が所定時間に達すると、この制御部を通じて、撮像素子の少なくとも1つが動作しないようにする。この状態で得られた光学画像と、参照画像との比較を、比較回路108で行う。尚、比較回路108とは別に設けられた比較回路(図示せず)において、かかる比較を行ってもよい。この比較回路は、例えば、自己診断回路125の中に設けることができる。
【0094】
図9は、意図的に作られた欠陥を検査対象の中に入れ込む場合の検査方法を示すフローチャートである。
【0095】
図9において、S201でマスク検査処理が開始されると、S202で検査を開始するフレームの位置決定を行う。次いで、S203でこのフレームの検査処理を行う。
【0096】
検査処理の結果は、比較回路108から自己診断回路125に送られ、S204でフレーム内の全欠陥数が算出される。次に、S205で全欠陥数がゼロより大きいか否かが判定される。ゼロより大きい場合、すなわち、欠陥が検出された場合には、S212に進む。一方、S205で全欠陥数がゼロである場合、すなわち、欠陥が検出されない場合には、S206に進み、自己診断処理に必要な所定のストライプ数の検査処理が終了しているか否かの判定が行われる。所定ストライプ数の検査処理が終了していないと判定された場合には、S212に進む。これに対して、所定ストライプ数の検査処理が終了していると判定された場合には、S207に進み、自己診断処理が行われた否かが判定される。
【0097】
S207で自己診断処理が済んでいないと判定された場合には、S208に進み、意図的に作られた欠陥を検査対象の中に入れ込む。例えば、参照画像を入れ替えたり、フォトダイオードアレイにおけるセンサの1つを動作させないようにしたりする。この状態で、1フレームの検査処理を行い(S209)、S210で欠陥が検出されたか否かを判定する。かかる検査処理は、比較回路108で行ってもよく、また、比較回路108とは別に設けられた比較回路(図示せず)で行ってもよい。
【0098】
欠陥が検出されない場合には、検査結果は異常であると判断して検出異常処理を行う(S211)。例えば、オペレータに警告を発したり、検査を自動的に停止したりする。
【0099】
一方、S210で欠陥が検出された場合には、検査結果は正常であると判断して、S212に進む。また、S207で自己診断処理が済んでいると判定された場合にもS212に進む。自己診断処理が済んでいる場合、S210で欠陥検出されたもののみが再度S207に至るので、検査結果は正常と判断できるからである。尚、S204〜S210の処理が自己診断回路125で行われる。
【0100】
S212では、全てのフレームについて検査処理が終了しているか否かが判定される。ここで、終了していないと判定された場合には、次に検査すべきフレームの位置決定を行う(S213)。その後、S203に戻って上記と同様の処理を行う。一方、S212で全てのフレームの検査処理が終了していると判定された場合には、このマスクの検査処理を終了し、次の検査対象となるマスクの検査処理が開始される(S213)。新しいマスクの検査処理は、S201〜S213で説明したのと同様である。
【0101】
S212で全てのフレームの検査処理が終了していると判断されると、上記のようにS214に進んで次のマスクの検査処理が開始されるとともに、自己診断回路125からの検査結果が正常であるとの情報が、比較回路108からのデータとともに、マスク検査結果205として磁気ディスク装置109に格納される。
【0102】
以上述べたように、本実施の形態によれば、比較回路108における検査と並行して、この検査が正常に行われているか否かを自己診断回路125で診断する。検査が正常に行われていれば、その情報とともに検査結果が保存される。オペレータは、長時間欠陥が全く検出されない場合であっても、検査結果に対する不安を軽減することができる。一方、検査が正常に行われていないと判断された場合には、その旨の通知がオペレータにされるなどの措置がとられる。オペレータは、その時点で検査を停止することにより、無駄な検査時間を費やさずに済む。
【0103】
以上のようにして得られたマスク検査結果205は、
図2に示すように、レビュー装置500に送られる。レビューは、オペレータによって、検出された欠陥が実用上問題となるものであるかどうかを判断する動作である。具体的には、マスク検査結果205がレビュー装置500に送られ、オペレータによるレビューによって修正の要否が判断される。このとき、オペレータは、欠陥判定の根拠となった参照画像と、欠陥が含まれる光学画像とを見比べてレビューする。
【0104】
レビュー装置500では、欠陥1つ1つの座標が観察できるように、マスクが載置されたテーブルを移動させながら、マスクの欠陥箇所の画像を表示する。また同時に欠陥判定の判断条件や、判定の根拠となった光学画像と参照画像を確認できるよう、レビュー装置500に備えられた計算機の画面上にこれらを並べて表示する。一般に、マスクからウェハへは、パターンを1/4程度に縮小して投影されるので、並べて表示する際にはこの縮尺も考慮する。
【0105】
尚、検査装置100にレビュー装置500が備えられている場合には、検査装置100の観察光学系を使って、マスクの欠陥箇所の画像を表示する。また同時に欠陥判定の判断条件や、判定根拠になった光学画像と参照画像などは、制御計算機110の画面を利用して表示される。
【0106】
レビュー工程を経て判別された欠陥情報は、
図1の磁気ディスク装置109に保存される。そして、レビュー装置500で1つでも修正すべき欠陥が確認されると、マスクは、欠陥情報リスト207とともに、検査装置100の外部装置である修正装置600に送られる。修正方法は、欠陥のタイプが凸系の欠陥か凹系の欠陥かによって異なるので、欠陥情報リスト207には、凹凸の区別を含む欠陥の種別と欠陥の座標が添付される。
【0107】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【0108】
例えば、上記実施の形態では、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要としない部分についての記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができることは言うまでもない。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更し得る全てのパターン検査装置またはパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。