(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780981
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ゲルマニウム薄膜の成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/14 20060101AFI20150827BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
C23C16/14
H01L21/205
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-46829(P2012-46829)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-181231(P2013-181231A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】柿本 明修
(72)【発明者】
【氏名】中島 滋
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 一秀
【審査官】
安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−501226(JP,A)
【文献】
特開2008−004935(JP,A)
【文献】
特開2004−308007(JP,A)
【文献】
特表2011−511160(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0035906(US,A1)
【文献】
特開2011−249764(JP,A)
【文献】
特開2009−215645(JP,A)
【文献】
特表2004−529489(JP,A)
【文献】
Oluwamuyiwa O. Olubuyide,et al.,Impact of seed layer on material quality of epitaxial germanium on silicon deposited by low pressure chemical vapor deposition,Thin Solid Films,2006年,Volume 508,Pages 14-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205,21/31,21/365,21/469
CA(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地上に、ゲルマニウム薄膜を形成するゲルマニウム薄膜の成膜方法であって、
(1) アミノゲルマン系ガスを用いて、水分がある前記下地の表面にゲルマニウムを吸着させ、ゲルマニウムシード層を形成する工程と、
(2) 前記アミノゲルマン系ガスとは異なるゲルマン系ガスを用いて、前記ゲルマニウムシード層上にゲルマニウム薄膜を形成する工程と
を具備し、
前記ゲルマン系ガスが、
GeH4
Ge2H6
GeCl4
GeHCl3
GeH2Cl2
GeH3Cl
の少なくとも一つを含むガスから選ばれることを特徴とするゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項2】
前記(1)の工程の前に、
(3) 前記下地の表面に水分を与える工程を、さらに具備することを特徴とする請求項1に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項3】
前記(3)の工程が、前記下地を、水分を含む気体中にさらす工程であることを特徴とする請求項2に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項4】
前記水分を含む気体が、大気であることを特徴とする請求項3に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項5】
前記(3)の工程が、前記下地を、水洗する工程であることを特徴とする請求項2に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項6】
前記水分が、ヒドロキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項7】
前記アミノゲルマン系ガスが、
GeH(NMe2)3
GeH(NMeEt)3
GeH(NEt2)3
GeH(NHEt)3
GeH(NHi-Pr)3
GeH(NHt-Bu)3
GeH2(NMe2)2
GeH2(NMeEt)2
GeH2(NEt2)2
GeH2(NHEt)2
GeH2(NHi-Pr)2
GeH2(NHt-Bu)2
GeH3(NMe2)
GeH3(NMeEt)
GeH3(NEt2)
GeH3(NHEt)
GeH3(NHi-Pr)
GeH3(NHt-Bu)
の少なくとも一つを含むガスから選ばれることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項8】
前記ゲルマニウム薄膜に、
B
P
As
O
C
N
の少なくとも一つを含むドーパントがドープされることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項9】
前記(1)工程における、前記下地の表面への前記ゲルマニウムシード層の形成は、
前記水分がある前記下地の表面から水素を分離し、
前記アミノゲルマン系ガスのゲルマニウムから窒素および炭化水素基を分離し、
前記分離した前記水素、前記窒素および前記炭化水素基をアミンとして揮発させ、
前記下地の表面の酸素の未結合手に、前記窒素および炭化水素基が分離した前記ゲルマニウムの未結合手を結合させる
ことでなされることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【請求項10】
前記(2)工程における、前記ゲルマニウムシード層上へのゲルマニウム薄膜の形成は、
前記ゲルマニウムシード層から水素を分離し、
前記アミノゲルマン系ガスとは異なるゲルマン系ガスのゲルマニウムに結合している結合元素を分離し、
前記分離した前記水素および前記結合元素をガスとして揮発させ、
前記ゲルマニウムシード層のゲルマニウムの未結合手に、前記結合元素が分離した前記ゲルマニウムの未結合手を結合させる
ことを経てなされることを特徴とする請求項9に記載のゲルマニウム薄膜の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲルマニウム薄膜の成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料として、IV族元素であるゲルマニウム(Ge)が知られている。ゲルマニウムは、古くから半導体デバイスに用いられていた材料ではあるが、現在ではシリコンが多く使われている。
【0003】
しかし、ゲルマニウムは、元来、シリコンよりもキャリアの移動度が高い。このため、近時、高効率太陽電池用の材料やポストシリコン世代の材料として、再び注目を集めている。
【0004】
ゲルマニウムを取り扱う上でネックとなるのが、絶縁膜などの下地上に、いかにして表面が滑らかなゲルマニウム薄膜を成膜するか、である。この事情に対して、特許文献1においては、表面に絶縁膜を備えた基板を第1の温度に加熱してジボラン(B
2H
6)又はジボラン/シラン(SiH
4)混合ガスを供給し、このあと、モノゲルマン(GeH
4)含有ガスを供給する。特許文献1では、絶縁膜の表面を、ホウ素ドープシリコン層によって十分に被覆してからゲルマニウム膜を成膜することで、ゲルマニウムが均一に成長することを見出している。
【0005】
また、特許文献2においては、二酸化シリコン(SiO
2)基板上にシリコンシード層を堆積後、引き続きCVD法によってゲルマニウム膜を堆積することによって、CVD法を用いつつ、連続的で滑らかな平坦性が良好なゲルマニウム膜が得られることを見出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−118643号公報
【特許文献2】特表2008−544556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2においては、二酸化シリコン等の下地とゲルマニウム膜との間に、ホウ素ドープシリコン層、又はシリコンシード層が介在することになる。
【0008】
このように、下地とゲルマニウム膜との間に、ゲルマニウム膜とは異なる膜が介在されてしまうと、下地との密着性の低下や界面準位の発生など、半導体デバイスの特性上、懸念される構造が生じる、という事情がある。
【0009】
また、特許文献1、2においては、表面の滑らかさの改善については考慮があるものの、ゲルマニウム薄膜を、表面が滑らかで良好な平坦性、及びその膜厚の良好な均一性を維持したまま、さらに、その膜厚を薄くする、という、次の技術的段階をブレークスルーしようとすることついては、考慮されていない。
【0010】
この発明は、半導体デバイスの特性上、懸念される構造が生じることを抑えつつ、表面の良好な平坦性、及び膜厚の良好な均一性を維持したまま、その膜厚をさらに薄くすることが可能なゲルマニウム薄膜の成膜方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一態様に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法は、下地上に、ゲルマニウム薄膜を形成するゲルマニウム薄膜の成膜方法であって、(1)アミノゲルマン系ガスを用いて、
水分がある前記下地の表面にゲルマニウムを吸着させ、ゲルマニウムシード層を形成する工程と、(2)
前記アミノゲルマン系ガスとは異なるゲルマン系ガスを用いて、前記ゲルマニウムシード層上にゲルマニウム薄膜を形成する工程とを具備
し、前記ゲルマン系ガスが、GeH4、Ge2H6、GeCl4、GeHCl3、GeH2Cl2、GeH3Clの少なくとも一つを含むガスから選ばれる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、半導体デバイスの特性上、懸念される構造が生じることを抑えつつ、表面の良好な平坦性、及び膜厚の良好な均一性を維持したまま、その膜厚をさらに薄くすることが可能なゲルマニウム薄膜の成膜方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施形態に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例を示す流れ図
【
図2A】この発明の一実施形態に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例の主要な工程を示す断面図
【
図2B】この発明の一実施形態に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例の主要な工程を示す断面図
【
図2C】この発明の一実施形態に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例の主要な工程を示す断面図
【
図4】ゲルマニウム薄膜の膜厚と堆積時間との関係を示す図
【
図5】この発明の一実施形態の変形例に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例を示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0015】
図1はこの発明の一実施形態に係るゲルマニウム薄膜の成膜方法の一例を示す流れ図、
図2A〜
図2Cはその成膜方法の主要な工程を示す断面図、
図3A〜
図3Gは膜の状態を模式的に示す図である。
【0016】
本例は、下地上にゲルマニウム薄膜を形成する成膜方法である。本例においては、下地の一例とし、シリコン基板(シリコンウエハ=シリコン単結晶)1上に形成されたシリコン酸化物(SiO
2)膜2を用いる(
図2A参照)。下地は、シリコン酸化物膜2に限られるものではないが、好ましくは、表面に水分がある膜が望ましい。水分の一例は、
図3Aに示すようにヒドロキシ基(OH)である。表面にヒドロキシ基があるシリコン酸化物膜2を形成するには、例えば、シリコンの原料となるガスとして、シラン系ガスのような水素を含むガスを用いて化学的気相成長させることや、水素、例えば、水蒸気を含む雰囲気中でシリコンを酸化することなどをあげることができる。
【0017】
次に、
図1のステップ1および
図2Bに示すように、アミノゲルマン系ガスを用いて、シリコン酸化物膜2の表面にゲルマニウムを吸着させ、ゲルマニウムシード層3を形成する。本例においては、アミノゲルマン系ガスとして、GeH(NMe
2)
3ガスを用いた。
【0018】
ゲルマニウムシード層3を形成する際の処理条件の一例は、
GeH(NMe
2)
3流量: 500sccm
処 理 時 間: 1min
処 理 温 度: 300℃
処 理 圧 力: 133Pa( 1Torr)
である。
【0019】
シリコン酸化物膜2の表面には、水分、例えば、ヒドロキシ基が含まれている。このようなシリコン酸化物膜2の表面に、上記処理条件でアミノゲルマン系ガスを供給すると、シリコン酸化物膜2の表面のヒドロキシ基からは“水素(H)”が分離する。また、アミノゲルマン系ガスのゲルマニウム(Ge)からは“窒素(N)”とともに“炭化水素基(C
xH
y)”が分離する。分離した水素、窒素および炭化水素基は化合し、“アミン(C
xH
yN)”となって揮発していく。そして、シリコン酸化物膜2の表面の“酸素(O)”の未結合手と、窒素および炭化水素基が分離したガスの“ゲルマニウム(Ge)”の未結合手とが結合していく。このようにしてシリコン酸化物膜2の表面には、ゲルマニウムを含むゲルマニウムシード層3が形成される(
図3B〜
図3C参照)。
【0020】
ゲルマニウムシード層3は、シリコン酸化物膜2の表面にゲルマニウムが吸着される程度に形成されればよく、例えば、単原子層〜数原子層の厚さがあればよい(
図3B〜
図3C参照)。具体的な数値をあげるとするならば、0.1〜3nmであろう。
【0021】
なお、
図3B〜
図3Cにおいては、図示を簡潔にするため、アミノゲルマン系ガスとして、例えば、GeH
3(NMe
2)のような構造を持つアミノゲルマン系ガスを示している。
【0022】
次に、
図1のステップ2および
図2Cに示すように、ゲルマン系ガスを用いて、ゲルマニウムシード層3上にゲルマニウム薄膜4を形成する。本例においては、ゲルマン系ガスとして、GeH
4ガスを用いた。
【0023】
ゲルマニウム薄膜4を形成する際の処理条件の一例は、
GeH
4流量 : 10〜2000sccm
処 理 時 間: 60min
処 理 温 度: 200〜500℃
処 理 圧 力: 13.3〜1333.2Pa(0.1〜10Torr)
である。
【0024】
上記処理条件でゲルマン系ガスをゲルマニウムシード層3の表面に供給すると、ゲルマニウムシード層3からは“水素(H)”が分離し、ゲルマン系ガスのゲルマニウム(Ge)からは“水素(H)”が分離する。分離した水素は化合し、“水素ガス(H
2)”となって揮発していく。そして、
ゲルマニウムシード層
3の“ゲルマニウム(Ge)”の未結合手と、水素が分離したガスの“ゲルマニウム(Ge)”の未結合手とが結合していく。このようにして
ゲルマニウムシード層3上に、ゲルマニウムを含むゲルマニウム薄膜4が形成されていく(
図3D〜
図3E参照)。また、上記反応は、ゲルマニウム薄膜4を形成している間おこり、この結果、ゲルマニウム薄膜4の膜厚は、要求された値に向かって増していく(
図3F〜
図3G参照)。
【0025】
ゲルマニウム薄膜4の膜厚は、要求に応じて様々な値に設定することができる。しかも、後述するように、上記一実施形態によって形成されるゲルマニウム薄膜4は、薄い膜厚でも表面の平坦性、および膜厚の均一性が良好となる、という利点が得られる。この観点から、例えば、ゲルマニウム薄膜4は、単原子層〜数原子層レベルの薄い膜厚であってもよい。現状、又は今後、要求され得る膜厚の値をあげるとするならば、1〜50nmと予想され、この範囲であれば、実用的で好ましい膜厚であろう。
【0026】
図4は、ゲルマニウム薄膜の膜厚と堆積時間との関係を示す図である。
【0027】
図4中の線Iは上記一実施形態に従って形成されたゲルマニウム薄膜4を示し、線IIはゲルマニウムシード層を形成せずにシリコン酸化物膜上に直接ゲルマニウム薄膜を形成した比較例を示している。
【0028】
図4に示すように、一実施形態に従って形成されたゲルマニウム薄膜4(線I)の方が、比較例に係るゲルマニウム薄膜(線II)に比較して、堆積が始まる時間が早いことが分かる。つまり、一実施形態に従って形成されたゲルマニウム薄膜4は、インキュベーション時間が短い。インキュベーション時間が短いということは、一実施形態は、比較例に比較して、ゲルマニウム薄膜4の成長の種となる“核”が、ゲルマニウムシード層3上に稠密、かつ、均一に形成されている、ということである。一実施形態においては“核”が島状に点在しているのではなく、層状、又は極めて層状に近い形で形成されているものと考えても支障はない。
【0029】
このように、上記一実施形態によれば、“核”が層状、又は極めて層状に近い形で形成されることによって、ゲルマニウム薄膜4の平坦性は、例えば、単原子層〜数原子層レベルの薄い膜厚の時点から、良好なものとすることができる。しかも、膜厚の均一性についても、単原子層〜数原子層レベルの薄い膜厚の時点から、良好となる。
【0030】
さらに、上記一実施形態は、シリコン酸化物膜2上にシード層を形成するものであるが、このシード層はゲルマニウムシード層3であり、ゲルマニウム薄膜4と同種のものである。このため、ゲルマニウム膜を、シリコンなどゲルマニウム以外の物質からなるシード層上に形成していた従来に比較して、半導体デバイスの特性上、懸念される構造が生じることを抑えることができる、という利点についても得ることができる。
【0031】
よって、一実施形態によれば、半導体デバイスの特性上、懸念される構造が生じることを抑えつつ、表面の良好な平坦性、及び膜厚の良好な均一性を維持したまま、その膜厚をさらに薄くすることが可能なゲルマニウム薄膜の成膜方法を得ることができる。
【0032】
以上、この発明を一実施形態に従って説明したが、この発明は、上記一実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一のものでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態においては、処理条件を具体的に例示したが、処理条件は、上記具体的な例示に限られるものではない。
【0034】
また、下地として、シリコン酸化物膜2を例示したが、下地は、シリコン酸化物膜2に限られるものではない。例えば、シリコン窒化膜であっても良いし、多結晶シリコン膜であっても、シリコン基板であってもよい。もちろん、タングステン、銅、チタン、チタンナイトライドなどの内部配線層を構成するような金属膜であってもよい。さらには、キャパシタなどの誘電体膜として使用されるようなタンタル酸化膜などシリコン酸化膜よりも高い比誘電率を持つ誘電体膜であってもよい。ただし、下地の表面には、少なくとも水分、例えば、ヒドロキシ基があることが好ましい。
【0035】
下地の表面に水分を持たせるためには、例えば、
図5に示すように、ゲルマニウムシード層3を形成する工程の前に、下地の表面に水分を与える工程(ステップ3)を、さらに具備するようにしてもよい。
【0036】
下地の表面に水分を与える工程の例としては、
(1)下地を、水分を含む気体中にさらす工程
(2)下地を、水洗する工程
などを挙げることができる。
【0037】
また、上記(1)においては、水分を含む気体として大気を利用することも可能である。この場合、下地の表面に水分を与える工程とし、例えば、下地としてシリコン酸化物膜2が形成されたシリコン基板1を、大気中に放置するだけでもよい。
【0038】
また、上記一実施形態においては、アミノゲルマン系ガスとして、GeH(NMe
2)
3を用いたが、GeH(NMe
2)
3の他にも、次のようなアミノゲルマン系ガスを用いることができる。
【0039】
GeH(NMeEt)
3
GeH(NEt
2)
3
GeH(NHEt)
3
GeH(NHi-Pr)
3
GeH(NHt-Bu)
3
GeH
2(NMe
2)
2
GeH
2(NMeEt)
2
GeH
2(NEt
2)
2
GeH
2(NHEt)
2
GeH
2(NHi-Pr)
2
GeH
2(NHt-Bu)
2
GeH
3(NMe
2)
GeH
3(NMeEt)
GeH
3(NEt
2)
GeH
3(NHEt)
GeH
3(NHi-Pr)
GeH
3(NHt-Bu)
ゲルマニウムシード層3の形成に際しては、GeH(NMe
2)
3および上記ガス群の中から少なくとも一つを含むガスが用いられればよい。
【0040】
また、ゲルマニウムシード層3の形成に際しては、ジゲルマン(Ge
2H
6)を用いても良い。
【0041】
なお、上記ガス群において、Meはメチル基、Etはエチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはターシャリーブチル基を表している。
【0042】
また、上記一実施形態においては、ゲルマン系ガスとして、GeH
4を用いたが、GeH
4の他にも、次のようなゲルマン系ガスを用いることができる。
【0043】
Ge
2H
6
GeCl
4
GeHCl
3
GeH
2Cl
2
GeH
3Cl
ゲルマニウム薄膜4の形成に際しては、GeH
4および上記ガス群の中から少なくとも一つを含むガスが用いられればよい。
【0044】
また、ゲルマニウム薄膜4には、ドーパントがドープされていてもよい。ドーパントの例としては、
ボロン(B)
リン(P)
ヒ素(As)
酸素(O)
炭素(C)
窒素(N)
を挙げることができる。ゲルマニウム薄膜4にドーパントをドープするタイミングとしては、上記ドーパント群の少なくとも1つを、ゲルマニウム薄膜4の成膜雰囲気中に混合する、あるいは上記ドーパント群の少なくとも1つを、ゲルマニウム薄膜4の成膜後にドープする、のいずれであってもよい。
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…シリコン基板、2…シリコン酸化物膜、3…ゲルマニウムシード層、4…ゲルマニウム薄膜