特許第5780998号(P5780998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5780998保持具、この保持具により保持されるICタグによって管理される管理対象物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780998
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】保持具、この保持具により保持されるICタグによって管理される管理対象物品
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/04 20060101AFI20150827BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20150827BHJP
   F16B 37/12 20060101ALI20150827BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20150827BHJP
   F16B 35/06 20060101ALI20150827BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G06K19/04
   G06K19/077 220
   F16B37/12 B
   F16B35/00 A
   F16B35/06 F
   F16B23/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-84254(P2012-84254)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-214211(P2013-214211A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年2月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 「CEATEC JAPAN 2011」(平成23年10月4日〜8日まで千葉県美浜市の幕張メッセで開催された最先端IT・エレクトロニクス総合展)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511238033
【氏名又は名称】株式会社IRO
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 久仁浩
(72)【発明者】
【氏名】田崎 耕司
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−256994(JP,A)
【文献】 特開2000−304870(JP,A)
【文献】 特開2007−241781(JP,A)
【文献】 特開2008−038937(JP,A)
【文献】 特表2004−505211(JP,A)
【文献】 実開平05−083866(JP,U)
【文献】 特開2000−315051(JP,A)
【文献】 特開2003−076966(JP,A)
【文献】 特表2004−515026(JP,A)
【文献】 特開平06−117427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/18
F16B 23/00−43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側面がネジ溝の形状を有する筐体部と、前記筐体部の一端側に設けられた凹部または凸部と、前記筐体部の他端側に設けられ、ICタグを内部に保有するICタグ保有部とを有するICタグ保有体を保持するための保持具であって、
螺旋状に巻回されるコイル部と、
前記コイル部の一端側に設けられ、前記ICタグ保有体が外れるのを防止する第1保持部と、
前記コイル部の他端側に設けられ、前記第1保持部との間で挟持することによって前記ICタグ保有体を前記コイル部内に保持する第2保持部と、
を有することを特徴とする保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の保持具であって、
前記第1保持部は、
前記コイル部の一端側であって、径方向の内側に設けられることによって、前記ICタグ保有体が外れるのを防止することを特徴とする保持具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保持具であって、
前記第2保持部は、
前記コイル部の他端側であって、径方向の内側に突出させ、かつ螺旋状から外れるように形成することによって前記ICタグ保有体を前記コイル部内に保持することを特徴とする保持具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の保持具が取り付けられていると共に、その取り付けられている保持具のコイル部の内部に保持されているICタグによって管理されていることを特徴とする管理対象物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具、この保持具により保持されるICタグによって管理される管理対象物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)と称されるタグ(ICタグ,電子タグ,RFIDタグ,RFタグなどとも呼ばれるが、以下統一して、「ICタグ」と称する。)を用いて工場の生産管理、物流の管理、入退室管理等を行うことが知られている。ICタグは、タグ内に設けられたアンテナと、リーダに設けられたアンテナとの間での電磁結合、電磁誘導等を利用してデータの交信を行うため、リーダから数センチ〜数十センチ離しても通信可能である。また、ICタグは、電磁波を透過する物体、たとえば人体,ガラス,プラスチック,木材,コンクリート等の非導電体がリーダとの間に入っても交信することができる点、汚れや静電気等に強い点などからも、工場の生産管理、物流の管理、入退室管理等において特に適した手段として普及している。更には、近年、ICタグを金属等の導電部材を含む部材に取り付けても、金属表面に生じるうず電流を抑えて、安定してデータの交信ができるような設置構造も知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−85515号(要約書参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場の生産管理や、物流の管理に用いるICタグの場合、カード状、フィルム状、コイン状、スティック状など、取り付けられる部材に応じて、任意の形状に加工された小型のICタグが用いられる。これらの小型のICタグは、管理対象物品となる部材の表面、または内部に取り付けられ、ICタグに設けられたアンテナから送信された信号に基づいて管理のための処理を行っている。
【0005】
しかしながら、たとえば管理対象物品となる部材の表面にICタグを取り付ける場合には、ICタグは部材の表面に露出した状態であり、ICタグを取り付けた部材を用いて作業を行う際に、ICタグが外れてしまう、他の部材との接触によりICタグが破壊されてしまうという可能性がある。
【0006】
また、管理対象物品となる部材が金属部材の場合、その金属部材の構造、大きさによってはICタグを取り付ける領域が確保できないという問題が生じたり、ICタグを取り付けると金属部材の表面形状が変化してしまい、その後の処理に支障がでるという問題が生じたりする可能性がある。このような不具合を防止するためには、たとえば特許文献1に開示されるように、金属部材の内部にタグを埋め込む設置構造を採用する方法もあるが、このような方法であっても、ICタグを埋め込むスペースを別途確保するか、金属部材の設計時に材質などを考慮する必要があるため、金属部材の材質や設置場所に制限が生じる。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、管理対象物品となる部材に対して容易に取り付け可能であり、取り付けられた部材に対して行うデータ処理等
に影響を及ぼさない保持具、この保持具により保持されるICタグによって管理される管理対象物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
また、本発明の一側面は、保持具に関するものである。すなわち、本発明の保持具は、外周側面がネジ溝の形状を有する筐体部と、筐体部の一端側に設けられた凹部または凸部と、筐体部の他端側に設けられ、ICタグを内部に保有するICタグ保有部とを有するICタグ保有体を保持するための保持具であって、螺旋状に巻回されるコイル部と、コイル部の一端側に設けられ、ICタグ保有体が外れるのを防止する第1保持部と、コイル部の他端側に設けられ、第1保持部との間で挟持することによってICタグ保有体をコイル部内に保持する第2保持部とを有する。
【0011】
また、上述の保持具の構成に加えて、第1保持部は、コイル部の一端側であって、径方向の内側に設けられることによって、ICタグ保有体が外れるのを防止するものが好ましい。
【0013】
さらに、上述の保持具の構成に加えて、第2保持部は、コイル部の他端側であって、径方向の内側に突出させ、かつ螺旋状から外れるように形成することによってICタグ保有体をコイル部内に保持することが好ましい。
【0014】
また、本発明の一側面は、ICタグによって管理される管理対象物品である。すなわち本発明の管理対象物品は、上述した保持具が取り付けられていると共に、その取り付けられている保持具のコイル部の内部に保持されているICタグによって管理されている
【0016】
本発明によると、管理対象物品となる部材に対して容易に取り付け可能であり、取り付けられた部材に対して行うデータ処理等に影響を及ぼさないICタグ保有体、保持具、およびICタグ保有体のICタグによって管理される管理対象物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体の斜視図である。
図2図1に示すICタグ保有体の上面図(上段)および底面図(下段)である。
図3図1に示すICタグ保有体の正面図(上段)および背面図(下段)である。
図4図1に示すICタグ保有体の左側面図(上段)および右側面図(下段)である。
図5図1に示すICタグ保有体を図2の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)および図1に示すICタグ保有体を図2の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。
図6図1に示すICタグ保有体の使用状態を説明するための分解斜視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体の斜視図である。
図8図7に示すICタグ保有体の上面図(上段)および底面図(下段)である。
図9図7に示すICタグ保有体を図8の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)および図7に示すICタグ保有体を図8の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。
図10図7に示すICタグ保有体の使用状態を説明するための斜視図である。
図11】本発明の第3の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体1Bの斜視図である。
図12図11に示すICタグ保有体の上面図(上段)および底面図(下段)である。
図13図11に示すICタグ保有体を図12の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)および図11に示すICタグ保有体を図12の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。
図14図11に示すICタグ保有体の使用状態を説明するための分解斜視図である。
図15】本発明の一実施の形態に係る保持具の斜視図である。
図16図15に示す保持具の上面図(上段)および底面図(下段)である。
図17図15に示す保持具の正面図(上段)および背面図(下段)である。
図18図15に示す保持具の左側面図(上段)および右側面図(下段)である。
図19図15に示す保持具に第1の実施の形態に係るICタグ保有体を装着した状態の斜視図である。
図20図15に示す保持具の使用状態を説明するための分解斜視図である。
図21図15に示す保持具を使用して第1の実施の形態に係るICタグ保有体をナットに装着した時の断面図である。
図22】従来からあるインサートネジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のICタグ保有体、保持具、およびICタグ保有体のICタグによって管理される管理対象物品について、図面を用いて説明する。まず、図1図14を参照して本発明の第1〜第3の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体1、1A、1Bについて説明し、その後、図15図22を参照して本発明の保持具の一実施の形態に係る保持具40について説明する。しかしながら、本発明のICタグ保有体、保持具、およびICタグ保有体のICタグによって管理される管理対象物品は、各図面に示した形状に限定されるものではない。また、ICタグ用保有体および保持具は、管理対象物品自身もしくは管理対象物品に取り付けられる予定の部品に取り付けられるものである。ここでいう管理対象物品としては、たとえば、自動車部品、航空機部品、建設機械、鉄道車両部品、輸送用コンテナなどが挙げられる。そして、これらの生産管理、機器の保守、点検のための物品管理、履歴管理、あるいは真贋判定などに用いることができる。
【0019】
(ICタグ保有体の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体1の斜視図である。図2は、ICタグ保有体1の上面図(上段)および底面図(下段)である。図3は、ICタグ保有体1の正面図(上段)および背面図(下段)である。図4は、ICタグ保有体1の左側面図(上段)および右側面図(下段)である。図5は、ICタグ保有体1を図2の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)およびICタグ保有体1を図2の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。図6は、図1に示すICタグ保有体1の使用状態を説明するための分解斜視図である。
【0020】
ICタグ保有体1は、図1図3図4に示すように、外周側面がネジ溝10の形状(雄ネジ形状)を有する筐体部11によってその本体部が形成されている。この筐体部11は、レンチ穴12と、ICタグ保有部13が設けられている。レンチ穴12は、図2の上段に示すように筐体部11の上面の略中心に設けられており、形状が小判型となっている凹部に形成され、小判型の突起を有するソケットレンチ(不図示)に対応したものとなっている。ICタグ保有部13は、図2の下段に示すように筐体部11の底面の中央部分に設けられている。ICタグ保有部13の一部は、図5の断面図に示すように、図5での逆T字型(凸部)の断面形状のICタグ格納部14とされている。ICタグ格納部14は、小径の円柱状の空間を形成する小円形部14aと大径の円柱状の空間を形成する大円形部14bとを有する。ICタグ保有部13では、ICタグ格納部14の中心部分の小円形部14aにICタグ15を配置し、更に合成樹脂部16などをICタグ格納部14の大小の円柱状の空間内部に充填することでICタグ15を固定、保有している。すなわち、この実施の形態では、大小2つの円柱状空間部を有するICタグ格納部14と合成樹脂部16とでICタグ保有部13が形成されている。
【0021】
なお、このICタグ15は、ICチップ(不図示)と、ICチップに接続されるアンテナ(不図示)とを備えており、専用のリーダ(またはリーダ/ライタ)とデータの交信を行うことができる。ICタグ15は、物流管理や商品管理の用途の場合には電源が不要であるパッシブ型で、搬送周波数は、通信距離が長いUHF(Ultra High Frequency)帯であることが好ましいが、入退室管理などの通信距離が短くても問題がない場合であれば、HF(High Frequency)帯であってもよいし、用途の汎用性を持たせるために、これらの両機能を有するハイブリッドタイプのものであってもよい。また、ICタグ15を電源が必要なアクティブ型としてもよい。
【0022】
ICタグ保有体1は、図6に示すように、たとえば、管理対象物品に取り付けられる予定のナット30のネジ穴31に螺入する形で配設される。なお、この第1の実施形態では、管理対象物品そのものではなく、ナット30をICタグ保有体1の取り付け対象として例示したが、内部に雌ネジ構造を有する管理対象物品であれば、その管理対象物品にICタグ保有体1をそのまま螺入することでICタグ15を管理対象物品に配設することはもちろん可能である。
【0023】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体1Aの斜視図である。図8は、ICタグ保有体1Aの上面図(上段)および底面図(下段)である。図9は、図7に示すICタグ保有体1Aを図8の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)およびICタグ保有体1Aを図8の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。図10は、図7に示すICタグ保有体1Aの使用状態を説明するための分解斜視図である。なお、ICタグ保有体1Aの正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、図3及び図4を参照して説明したICタグ保有体1の正面図、背面図、左側面図、および右側面図とそれぞれ同一であるため図示及び説明を省略する。
【0024】
ICタグ保有体1Aは、図7図8に示すように、外周側面がネジ溝10Aの形状(雄ネジ形状)を有する筐体部11Aによってその本体部が形成されている。なお、筐体部11Aは、第1の実施の形態で説明した筐体部11と同様の材料により構成される。この筐体部11Aは、レンチ穴12Aと、ICタグ保有部13Aが設けられている。レンチ穴12Aは、図8の上段に示すように筐体部11Aの上面の略中心に設けられており、形状が六角形となっている凹部に形成され、六角形状の突起を有するソケットレンチ(不図示)に対応したものとなっている。ICタグ保有部13Aは、図8の下段に示すように筐体部11Aの底面の中央部分に設けられている。また、ICタグ保有部13Aの一部は、図8図9に示すように、円柱状の空間部分となるICタグ格納部14Aとされている。ICタグ保有部13Aでは、ICタグ格納部14Aの中心部分にICタグ15Aを配置させ、更に合成樹脂部16AなどをICタグ15Aの周囲に充填することでICタグ15Aを覆い、ICタグ格納部14Aの内部に固定、保有している。すなわち、この実施の形態では、ICタグ格納部14Aと合成樹脂部16AとでICタグ保有部13Aが形成されている。なお、ICタグ15AはICタグ15と形状は異なるものの、その構造、機能は同様であるため、説明を省略する。
【0025】
ICタグ保有体1Aは、図10に示すように、たとえば、管理対象物品に取り付けられる予定のナット30のネジ穴31に螺入する形で配設される。なお、この第2の実施の形態では、管理対象物品そのものではなく、ナット30をICタグ保有体1Aの取り付け対象として例示したが、内部に雌ネジ構造を有する管理対象物品であれば、その管理対象物品にICタグ保有体1Aをそのまま螺入することでICタグ15Aを管理対象物品に配設することはもちろん可能である。
【0026】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るICタグ保有体となるICタグ保有体1Bの斜視図である。図12は、ICタグ保有体1Bの上面図(上段)および底面図(下段)である。図13は、図11に示すICタグ保有体1Bを図12の上面図に示したA−A線で切ったときの断面図(上段)および図11に示すICタグ保有体1Bを図12の上面図に示したB−B線で切ったときの断面図(下段)である。図14は、図11に示すICタグ保有体1Bの使用状態を説明するための分解斜視図である。なお、ICタグ保有体1Bの正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、図3及び図4を参照して説明したICタグ保有体1の正面図、背面図、左側面図、および右側面図とそれぞれ同一であるため図示及び説明を省略する。
【0027】
ICタグ保有体1Bは、図11図12に示すように、外周側面がネジ溝10Bの形状(雄ネジ形状)を有する筐体部11Bによってその本体部が形成されている。筐体部11Bは、第1の実施の形態で説明した筐体部11と同様の材料により構成される。この筐体部11Bには、レンチ穴12Bと、ICタグ保有部13Bが設けられている。レンチ穴12Bは、図12の上段に示すように筐体部11Bの上面に2つ形成されている。レンチ穴12Bは、2つの円柱形状の突起を有するソケットレンチ(不図示)に対応したものとなっている。ICタグ保有部13Bは、図12の下段に示すように筐体部11Bの底面の中央部分に設けられている。また、ICタグ保有部13Bの一部は、図12図13に示すように、円柱状の空間部分となるICタグ格納部14Bとされている。ICタグ格納部14Bは、小径の円柱状の空間を形成する小円形部14Baと大径の円柱状の空間を形成する大円形部14Bbとを有する。ICタグ保有部13Bでは、ICタグ格納部14Bの中心部分の小円形部14BaにICタグ15Bを配置し、更に合成樹脂部16BなどをICタグ格納部14Bの大小の円柱状の空間内部に充填することでICタグ15Bを固定、保有している。すなわち、この実施の形態では、大小2つの円柱状空間部を有するICタグ格納部14Bと合成樹脂部16BとでICタグ保有部13Bが形成されている。なお、ICタグ15BはICタグ15と同様であるため、説明を省略する。
【0028】
ICタグ保有体1Bは、図14に示すように、たとえば、管理対象物品に取り付けられる予定のナット30のネジ穴に螺入する形で配設される。なお、この第3の実施の形態では、管理対象物品そのものではなく、ナット30をICタグ保有体1Bの取り付け対象として例示したが、内部に雌ネジ構造を有する管理対象物品であれば、その管理対象物品にICタグ保有体1Bをそのまま螺入することでICタグ15Bを管理対象物品に配設することはもちろん可能である。
【0029】
(保持具の実施の形態)
図15は、本発明の一実施の形態に係る保持具40の斜視図である。保持具40は、ICタグ保有体1,1A,1Bをナット30等の部材に直接取り付けられない場合や、直接取り付けると不都合が生じる場合に使用されるものである。図16は、保持具40の上面図(上段)および底面図(下段)である。図17は、保持具40の正面図(上段)および背面図(下段)である。図18は、保持具40の左側面図(上段)および右側面図(下段)である。図19は、保持具40に第1の実施の形態に係るICタグ保有体1を装着した状態の斜視図である。図20は、図15に示す保持具40の使用状態を説明するための分解斜視図である。図21は、図15に示す保持具40を使用して第1の実施の形態に係るICタグ保有体1をナット50に装着した時の断面図である。図22は、従来からあるインサートネジ60の斜視図である。なお、以下では、保持具40に装着するICタグ保有体は、ICタグ保有体1を例として説明するが、ICタグ保有体1A,1Bであってもよい。保持具40を使用してICタグ保有体1A,1Bを装着する例としては、ICタグ保有体1A,1Bが、管理対象物品の内部、または管理対象物品に取り付けられる部品の内部へ落下してしまうことを防止する、または内部を移動してしまうことを防止する必要がある場合、または、管理対象物品のネジ穴、または管理対象物品に取り付けられる部品のネジ穴のサイズと、ICタグ保有体1A,1Bのサイズとが合致せず、保持具40を用いることで取り付けが可能となる場合などである。
【0030】
保持具40は、図15図17図18に示すように、螺旋状に巻回されたコイル部41によって形成されている。そして、図16の下段に示す底面図、図17に示す正面図、および背面図,図18に示す右側面図および左側面図のように、コイル部41の一端側が内側に折り曲げられて、第1保持部42が形成されている。また、図16の上段に示す上面図のように、コイル部41の他端側が内側にずれるように曲げられた第2保持部43が形成されている。なお、この第2保持部43のずれは、ICタグ保有体1を内部に嵌め込める程度であり、かつ内部に嵌め込んだ後に容易にICタグ保有体が外れない程度のずれであることが好ましい。ICタグ保有体1は、図19の斜視図および図21の断面図に示すように、第1保持部42と第2保持部43によって狭持されることによって保持具40の内部に固定されている。
【0031】
図20に示すように、この保持具40を用いてICタグ保有体1を取り付ける場合は、まず、ICタグ保有体1を保持具40の内部に挿入する。保持具40の内部への挿入方法は、手で行う方法の他、専用のあるいは市販のソケットレンチ(不図示)を用いて保持具40内に挿入することも可能である。そして、管理対象物品に取り付ける予定の部材の雌ネジ構造を有する箇所(図20に示す例の場合にはナット50のネジ穴)に、手、あるいは挿入工具により挿入することにより容易に取り付けを行うことができる。
【0032】
なお、本実施形態の保持具40は、図22に示すような、従来、別の目的で使用されていたインサートネジ60を改良して製造することが可能である。図22に示す従来のインサートネジ60は、たとえば、軽合金、ダイキャスト、鋳鉄、プラスチック、樹脂などから構成される部材に雌ネジ構造を与える目的や、磨耗、腐食、熱、振動などによって部材に構成されているネジ山が破損してしまうのを予め防止する目的や、あるいは既に破損したネジを補強する目的などに利用されるものである。なお、図22に示す従来のインサートネジ60では、部材の穴に挿入された後に、その穴へボルト等を挿入できるようにするため、専用の折り取り工具(不図示)によってタング61は折り取られる。そのため、タング61の折り取りを容易とするために、ノッチ62という溝が予め設けられている。本実施形態における保持具40では、このような従来のインサートネジ60とは異なり、ノッチ62の無いタング61を第1保持部42として利用している。すなわち、タグ用ソケット1,1A,1Bの脱落防止及び固定させるため、保持具40では、タング61を折り取ること、およびノッチ62を設けてはいない。しかしながら、既存のインサートネジ60を改良して保持具40として用いる場合には、ノッチ62が設けられたままであっても構わない。
【0033】
一方、保持具40は、第2保持部43を有している。この第2保持部43の先端は内側に飛び出すように、かつその先端が螺旋形状から外れるように(図18では先端が一段下のコイル部分に近づくように)されている。第2保持部43の先端が内側に飛び出すことによってICタグ保有体1を挟持できるように、螺旋形状から外すことによって保持具40は、それ以上回転(移動)しないようにして位置を固定させている。
【0034】
(効果)
以上の説明から、ICタグ保有体1,1A,1Bは、外周側面がネジ溝10,10A,10Bの形状を有する筐体部11,11A,11Bと、筐体部11,11A,11Bの一端側に設けられたレンチ穴12,12A,12B(凹部の一例)と、筐体部11,11A,11Bの他端側に設けられ、ICタグ15,15A,15Bを保有するICタグ保有部13,13A,13Bとを有している。そのため、管理対象物品となる部材の雌ネジ部、または管理対象物品となる部材に取り付けられる予定の部品に設けられた雌ネジ形状を有する空間(たとえば、図6図10図14のナット30のネジ穴31)に、ソケットレンチを用いてICタグ保有体1,1A,1Bを容易に装着できる。また、部材の雌ネジ部、または部材に取り付けられる予定の部品自体が有する雌ネジ形状を有する空間内部にICタグ保有体1,1A,1Bが装着されることになるため、ICタグ15,15A,15Bを取り付けた部材を用いて作業を行う際に、ICタグ15,15A,15Bが外れてしまう、他の部材との接触によりICタグ15,15A,15Bが破壊されてしまう、金属部材の表面形状が変化してしまい、その後の処理に影響を及ぼしてしまうといった可能性の1つまたは複数が従来のICタグ15,15A,15Bの取り付け方法よりも低減させることができる。また、雌ネジ形状を有する空間が管理対象物品に存在する場合にはICタグ15,15A,15Bを埋め込むスペースや取り付けるスペースを別途設ける必要がなく、既存の空間を利用して管理することができる。
【0035】
また、ICタグ保有体1,1A,1Bのレンチ穴(レンチ穴12,12A,12B)は、突端の形状が小判型であるソケットレンチ、突端の形状が六角形型であるソケットレンチ、突端の形状が四角型形であるソケットレンチ、または複数の凸部を有し、それぞれの凸部の突端が円形状であるソケットレンチのいずれかに対応した形状とされている。これにより、使用されるソケットレンチの形状に対応したICタグ保有体とすることができる。
【0036】
また、保持具40は、上述したICタグ保有体1,1A,1Bを、螺旋状に巻回され、管理対象物品が有する雌ネジ形状部に嵌め込み可能なコイル部41と、コイル部41の一端側に設けられ、ICタグ保有体1,1A,1Bの脱落を防止する第1保持部42とを有する。これにより、上述のICタグ保有体1,1A,1Bと同様に、管理対象物品、または管理対象物品に取り付けられる予定の部品が有する雌ネジ形状部分に挿入工具等を用いて容易に取り付けられる。また、ICタグ保有体1,1A,1Bが装着される部材の空間内部において保持され、部材に対する衝撃によって、あるいは部材の処理時に生じがちであるICタグ保有体1,1A,1Bが脱落してしまうという現象を防止できる。すなわち、取り付けられた部材に対して行う処理として、リーダでICタグ15,15A,15Bに記録されている情報を読み取る処理を行う際に、情報が読み取れなくなる、または読み取りにくくなるといった不具合が低減される。この結果、ICタグ保有体1,1A,1Bが取り付けられた部材に対して行う処理が正しく行われる、または処理の不具合が減少することとなる。
【0037】
また、この保持具40では、第1保持部42が、コイル部41の一端側であって、径方向の内側に設けられている。これによって、ICタグ保有体1,1A,1Bが保持具40の空間内部に保持され、部材に対する衝撃によって、あるいは部材の処理時に生じがちであるICタグ保有体1,1A,1Bが脱落してしまうという現象を防止できる。
【0038】
また、保持具40は、コイル部41の他端側に設けられ、第1保持部42との間で挟持することによってICタグ保有体1,1A,1Bを固定する第2保持部43を有している。これによって、ICタグ保有体1,1A,1Bが保持具40の空間内部に固定保持され、部材に対する衝撃によって、あるいは部材の処理時に生じがちであるICタグ保有体1,1A,1Bが脱落してしまうという現象を防止できる。
【0039】
また、この第2保持部43が、コイル部41の他端側であって、径方向の内側に突出させ、かつ螺旋状から外れるように形成することによってICタグ保有体1,1A,1Bをコイル部41内に保持している。これによって、コイル部41の螺旋形状から外れる部分を設けることで保持具40の移動を阻止している。
【0040】
また、上述したICタグ保有体1,1A,1Bと、ICタグ保有体1,1A,1Bを取り付けるための保持具を有している管理対象物品は、ICタグ15,15A,15Bをリーダで読み取ることが容易なので管理しやすい。特にICタグ保有体1,1A,1Bを取り付けるための保持具40が保持された状態で取り付けられる管理対象物品の場合には、管理対象物品に対する衝撃によって、あるいは管理対象物品の処理時に生じがちであるICタグ保有体1,1A,1Bが脱落してしまうという現象が防止されるため、より管理がしやすいものとなる。
【0041】
(変形例)
以上、本発明の各実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0042】
上述の実施の形態に係るICタグ保有体1,1A,1Bのレンチ穴12,12A,12Bは、突端の形状が小判型であるソケットレンチ、突端の形状が六角形型であるソケットレンチ、または複数の凸部を有し、それぞれの筒部の突端が円形状であるソケットレンチのいずれかに対応した凹部として形成されている。しかしながら、レンチ穴12,12A,12Bの形状は、これらの形状に限らない。たとえば、突端の形状が四角形型、三角形型、星型、楕円型、その他の幾何学形状などであるソケットレンチであれば、レンチ穴12,12A,12Bをそれらのいずれかの形状に対応した凹部としてもよい。また、2つの凸部が左右にあるソケットレンチではなく、3つ、4つの凸部があるソケットレンチの場合には、2つのレンチ穴12Bではなく、その形状に対応するように凹部を配置させたレンチ穴としてもよい。さらに、ICタグ保有体1,1A,1Bの一端に凸部(不図示)を形成し、この凸部に対応した凹部を有する専用工具または人の指で回すことで、管理対象物品の雌ネジ部または管理対象物品に取り付ける予定の部品の雌ネジ部へ螺入するようにしてもよい。
【0043】
また、上述の実施の形態に係るICタグ保有体1のICタグ保有部13およびICタグ保有体1BのICタグ保有部13Bは、図5および図13にそれぞれ示すような、2つの大小の円柱状の空間部を有するICタグ格納部14、14Bを形成したが、図8図9に示すICタグ格納部14Aのように、1つの円柱状の空間を有する格納部となるように形成してもよい。すなわち、ICタグ保有体1のICタグ保有部13およびICタグ保有体1BのICタグ保有部13Bは、ICタグ保有体1AのICタグ保有部13Aとする構成としてもよい。なお、これとは逆にICタグ保有体1AのICタグ保有部13Aを、ICタグ保有体1のICタグ保有部13、あるいはICタグ保有体1BのICタグ保有部13Bとする構成としてもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態に係る保持具40では、第1保持部42および第2保持部43によって、内部にICタグ保有体1,1A,1Bを保持する構成としている。しかしながら、第1保持部42のみを設け、ICタグ保有体1,1A,1Bの下方への脱落(つまり落下)を防止する構成のみとしてもよい。すなわち、保持具40には第2保持部43がない構成(第2保持部43の特徴を有さない構成)としてもよい。また、逆に第1保持部42を無くし、第2保持部43としたり、さらには、第1保持部42、第2保持部43の両方をなくした構成としてもよい。
【0045】
また、上述の実施の形態に係る保持具40では、第1保持部42は、コイル部41の一端側が内側に折れ曲げた形状として、第2保持部43は、内径にずらした構成とそれぞれしている。しかしながら、第1保持部42の形状を第2保持部43と同様に、コイル部41の一端側を内径にずらした構成としてもよい。すなわち、第1保持部42は、ICタグ保有体1,1A,1Bが振動や衝撃などで容易には外れない範囲であれば、図示した形状としなくてもよい。
【0046】
また、上述の保持具40は、ICタグ保有体1,1A,1BなどのICタグ保有体を保持するためのものであるが、保持具40としては、ICタグ保有体以外の部品を保持するものとして使用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B…ICタグ保有体
11,11A,11B…筐体部
12,12A,12B…レンチ穴(凹部の一例)
13,13A,13B…ICタグ保有部
14,14A,14B…ICタグ格納部
15,15A,15B…ICタグ
16,16A,16B…合成樹脂部
30…ナット
40…保持具
41…コイル部
42…第1保持部
43…第2保持部
50…ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19
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図22