(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0012】
本発明
驚くべきことに、ここで、従来技術からの材料の欠点を示さないか、または少なくとも顕著により低い程度に示すに過ぎない、好適に高いΔε、好適な相範囲およびΔnを有する液晶媒体を達成することが可能であることが見出された。
【0013】
本発明のこれらの改善された液晶媒体は、
・式I
【化2】
式中、
R
1は、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルまたはフッ素化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化アルケニルおよび好ましくはアルキルまたはアルケニルを示し、
L
11は、HまたはFを示し、また
【0014】
L
11=Hである場合において、
L
12およびL
13は、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくは共にHを示し、また
L
11=Fである場合において、
L
12は、Fを示し、
L
13は、HまたはFを示し、また
X
1は、F、Cl、−CFH
2、−CF
2H、−CF
3、−OCF
2Hまたは−OCF
3、好ましくはFを示す、
で表される1種または2種以上の化合物、ならびに
【0015】
・任意に式IIおよびIII:
【化3】
式中、
R
2およびR
3は、互いに独立して1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルまたはフッ素化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化アルケニルを示し、R
2およびR
3は、好ましくはアルキルまたはアルケニルを示し、
【0016】
【化4】
は、出現するごとに互いに独立して、
【化5】
を示し、
【0017】
L
21、L
22、L
31およびL
32は、互いに独立してHまたはFを示し、L
21および/またはL
31は、好ましくはFを示し、
X
2およびX
3は、互いに独立してハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシまたは2もしくは3個のC原子を有するハロゲン化アルケニルもしくはアルケニルオキシ、好ましくはF、Cl、−OCF
3または−CF
3、極めて好ましくはF、Clまたは−OCF
3を示し、
Z
3は、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−または単結合、好ましくは−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合および極めて好ましくは−COO−、トランス−CH=CH−または単結合を示し、
また
【0018】
mおよびnは、互いに独立して0、1、2または3を示し、
mは、好ましくは1、2または3を示し、また
nは、好ましくは0、1または2および特に好ましくは1または2を示し、
ここで、式IIで表される化合物の場合において、式Iで表される化合物は除外される、
で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物、ならびに
【0019】
・任意に式IV
【化6】
式中、
R
41およびR
42は、互いに独立して式IIにおいて上記のR
2について示した意味を有し、好ましくはR
41はアルキルを示し、R
42はアルキルもしくはアルコキシを示すか、またはR
41はアルケニルを示し、R
42はアルキルを示し、
【0020】
【化7】
は、互いに独立して、また
【化8】
が2回出現する場合には、またこれらは、互いに独立して、
【化9】
を示し、
【0021】
好ましくは、
【化10】
の1つまたは2つ以上は、
【化11】
を示し、
Z
41およびZ
42は、互いに独立して、およびZ
41が2回出現する場合には、またこれらは、互いに独立して−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−、−C≡C−または単結合を示し、好ましくは、それらの1つまたは2つ以上は単結合を示し、また
pは、0、1または2、好ましくは0または1を示す、
で表される1種または2種以上の化合物、
を含む。
【0022】
式I、IIおよびIIIで表される化合物は、好ましくは3より大きい誘電異方性を有する、好ましくは誘電的に正の化合物である。
式IVで表される化合物は、好ましくは−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する、好ましくは誘電的に中性の化合物である。
本出願の液晶媒体は、好ましくは合計で1〜50%、好ましくは1〜30%の式Iで表される化合物を含む。
【0023】
式Iで表される個々の化合物ならびに任意に化合物IIおよび/またはIIIを、1〜20%、好ましくは1〜15%の濃度で使用する。これらの制限は、特に、各場合において2種または3種以上の同族の化合物、すなわち同一の式で表される化合物を使用する場合に該当する。1つの式で表される化合物の単一の物質のみ、すなわち1種のみの同族体を使用する場合には、その濃度を、2〜20%、好ましくは3〜14%の範囲内とすることができる。
【0024】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、各場合において、式I−1〜I−4で表される化合物の群から選択された、好ましくは式I−2およびI−4で表される、極めて特に式I−2で表される化合物の群から選択された式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む:
【化12】
式中、R
1は、式Iにおいて上記で示した意味を有する。
【0025】
式Iまたはその好ましい従属式で表される化合物の群から選択された化合物に加えて、本発明の媒体は、好ましくは、式IIおよびIIIの群から選択された、3より大きい誘電異方性を有する1種または2種以上の誘電的に正の化合物を含む。
【0026】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、式II−1〜II−4、好ましくは式II−1および/またはII−2:
【化13】
【0027】
式中、パラメーターは、式IIにおいて上記に示したそれぞれの意味を有し、L
23およびL
24は、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくはL
23はFを示し、また
【化14】
は、
【化15】
について示した意味の1つを有し、
また式II−1およびII−4の場合において、X
2は、好ましくはFまたはOCF
3、特に好ましくはFを示し、また式II−3の場合において、
【化16】
は、互いに独立して、好ましくは
【化17】
を示し、
【0028】
ここで、式II−1で表される化合物の場合において、式Iで表される化合物は除外される、
で表される化合物の群から選択された、ならびに/または式III−1およびIII−2:
【化18】
式中、パラメーターは、式IIIにおいて示した意味を有する、
で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0029】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式III−1および/またはIII−2で表される化合物に対して代替的に、またはそれに加えて、式III−3
【化19】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、パラメーターL
31およびL
32は、互いに、および他のパラメーターと独立して、HまたはFを示す、
で表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0030】
本発明の媒体は、好ましくは、式II−1〜II−4で表され、式中L
21およびL
22ならびに/またはL
23およびL
24が共にFを示す化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
好ましい態様において、媒体は、式II−2およびII−4で表され、式中L
21、L
22、L
23およびL
24がすべてFを示す化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0031】
媒体は、好ましくは、式II−1で表される1種または2種以上の化合物を含む。式II−1で表される化合物は、好ましくは、式II−1a〜II−1eで表される化合物の群から選択される:
【化20】
【0032】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、L
23〜L
25は、互いに、および他のパラメーターと独立して、HまたはFを示し、また
式II−1dおよびII−1eで表される化合物の場合において、式Iで表される化合物は除外され、また
好ましくは
式II−1aおよびII−1bにおいて、
L
21およびL
22は共にFを示し、
式II−1cおよびII−1dにおいて、
L
21およびL
22は共にFを示し、かつ/またはL
23およびL
24は共にFを示し、また
式II−1eにおいて、
L
21、L
22およびL
25はFを示し、各場合において、他のパラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有する。
【0033】
式II−1で表される特に好ましい化合物は、以下のものである。
【化21】
式中、R
2は、上記で示した意味を有する。
【0034】
媒体は、好ましくは式II−2で表される1種または2種以上の化合物を含み、それは、好ましくは式II−2a〜II−2jで表される化合物の群から選択される:
【化22】
【0036】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、L
25〜L
28は、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくはL
27およびL
28は共にHを示し、特に好ましくはL
26はHを示し、他のパラメーターは上記で示したそれぞれの意味を有し、またここで式Iで表される化合物は除外される。
【0037】
本発明の媒体は、好ましくは、式II−2a〜II−2jで表され、式中L
21およびL
22は共にFを示し、かつ/またはL
23およびL
24は共にFを示し、他のパラメーターは上記で示したそれぞれの意味を有する化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0038】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式II−2a〜II−2jで表され、式中L
21、L
22、L
23およびL
24がすべてFを示し、他のパラメーターが上記で示したそれぞれの意味を有する化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0039】
式II−2で表される特に好ましい化合物は、以下の式で表される化合物である:
【化24】
【0041】
【化26】
式中、R
2およびX
2は上記で示した意味を有し、X
2は好ましくはFを示す。
【0042】
本発明の媒体は、好ましくは式II−3a〜II−3cで表される化合物の群から選択された式II−3で表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化27】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、L
21およびL
22は、好ましくは共にFを示す。
【0043】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式II−4で表される、好ましくは式II−4aで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【化28】
式中、パラメーターは、上記で示した意味を有し、X
2は、好ましくはFまたはOCF
3、特に好ましくはFを示す。
【0044】
本発明の媒体は、好ましくは式III−1aおよびIII−1bで表される化合物の群から選択された式III−1で表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化29】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、パラメーターL
33およびL
34は、互いに、および他のパラメーターと独立してHまたはFを示す。
【0045】
本発明の媒体は、好ましくは式III−1a−1〜III−1a−6で表される化合物の群から選択された、式III−1aで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化30】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0046】
本発明の媒体は、好ましくは式III−1b−1〜III−1b−4で表される、好ましくは式III−1b−4で表される化合物の群から選択された、式III−1bで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化31】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0047】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2a〜III−2jで表される化合物の群から選択された、式III−2で表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化32】
【0049】
【化34】
式中、パラメーターは、上記で示した意味を有し、好ましくはここで、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、またパラメーターL
33、L
34、L
35およびL
36は、互いに、および他のパラメーターと独立してHまたはFを示す。
【0050】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2a−1〜III−2a−5で表される化合物の群から選択された、式III−2aで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化35】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0051】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2b−1およびIII−2b−2、好ましくは式III−2b−2で表される化合物の群から選択された、式III−2bで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化36】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0052】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2c−1〜III−2c−6で表される化合物の群から選択された、式III−2cで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化37】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0053】
本発明の媒体は、式III−2dおよびIII−2eで表される化合物の群から選択された、好ましくは式III−2d−1およびIII−2e−1で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化38】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0054】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2f−1〜III−2f−5で表される化合物の群から選択された、式III−2fで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化39】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0055】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2g−1〜III−2g−5で表される化合物の群から選択された、式III−2gで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化40】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0056】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2h−1〜III−2h−3で表される好ましくは式III−2h−3で表される化合物の群から選択された、式III−2hで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化41】
式中、パラメーターは上記で示した意味を有し、X
3は好ましくはFを示す。
【0057】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2i−1およびIII−2i−2で表される、好ましくは式III−2i−2で表される化合物の群から選択された、式III−2iで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化42】
式中、パラメーターは上記で示した意味を有し、X
3は好ましくはFを示す。
【0058】
本発明の媒体は、好ましくは式III−2j−1およびIII−2j−2で表される、好ましくは式III−2j−1で表される化合物の群から選択された、式III−2jで表される1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化43】
式中、パラメーターは上記で示した意味を有する。
【0059】
式III−1および/またはIII−2で表される化合物に対して代替的に、またはそれに加えて、本発明の媒体は、式III−3で表される1種または2種以上の化合物を含んでもよい。
【化44】
式中、パラメーターは、式IIIに上記で示したそれぞれの意味を有する。
【0060】
これらの化合物は、好ましくは式III−3aおよびIII−3bの群から選択される:
【化45】
式中、R
3は、上記で示した意味を有する。
【0061】
本発明の液晶媒体は、好ましくは誘電的に中性の構成要素である構成要素Cを含む。この構成要素は、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する。それは、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、特に好ましくは完全にそれからなる。この構成要素は、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する式IVで表される1種または2種以上の誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて好ましくは完全にそれからなる。
【0062】
誘電的に中性の構成要素である構成要素Cは、好ましくは式IV−1〜IV−8で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む:
【化46】
【0063】
式中、R
41およびR
42は、式IVにおいて上記で示したそれぞれの意味を有し、式IV−1、IV−6およびIV−7において、R
41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニルを示し、R
42は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキルを示し、式IV−2において、R
41およびR
42は、好ましくはアルキルを示し、式IV−5において、R
41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、より好ましくはアルキルを示し、R
42は、好ましくはアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、より好ましくはアルケニルまたはアルコキシを示し、また式IV−4およびIV−8において、R
41は、好ましくはアルキルを示し、R
42は、好ましくはアルキルまたはアルコキシ、より好ましくはアルコキシを示す。
【0064】
誘電的に中性の構成要素である構成要素Cは、好ましくは式IV−1、IV−5、IV−6およびIV−7で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物、好ましくは式IV−1で表される1種または2種以上の化合物ならびに式IV−5およびIV−6の群から選択された1種または2種以上の化合物、より好ましくは式IV−1、IV−5およびIV−6の各々で表される1種または2種以上の化合物、また極めて好ましくは式IV−1、IV−5、IV−6およびIV−7の各々で表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0065】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV−4で表される、より好ましくは式CP−V−nおよび/またはCP−nV−mおよび/またはCP−Vn−mで表される、より好ましくは式CP−V−nおよび/またはCP−V2−nで表されるそのそれぞれの従属式から選択された、極めて好ましくは式CP−V−1およびCP−V2−1の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0066】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV−6で表される、より好ましくは式CCP−V−nおよび/またはCCP−nV−mおよび/またはCCP−Vn−mで表される、より好ましくは式CCP−V−nおよび/またはCCP−V2−nで表されるそのそれぞれの従属式から選択された、極めて好ましくは式CCP−V−1およびCCP−V2−1の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0067】
同様に好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV−1で表される、より好ましくは式CC−n−m、CC−n−V、CC−n−Vm、CC−V−V、CC−V−Vnおよび/またはCC−nV−Vmで表される、より好ましくは式CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vmで表されるそのそれぞれの従属式から選択された、極めて好ましくは式CC−3−V、CC−4−V、CC−5−V、CC−3−V1、CC−4−V1、CC−5−V1、CC−3−V2およびCC−V−V1の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、同様に以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0068】
前のものまたは異なるものと同一であり得る本発明の他の好ましい態様において、本発明の液晶混合物は、上記で示した式IV−1〜IV−8および任意に式IV−9〜IV−15で表される化合物の群から選択された式IVで表される化合物を含み、好ましくは主にそれからなり、極めて好ましくは完全にそれからなる構成要素Cを含む:
【化47】
【0069】
式中、
R
41およびR
42は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルまたはフッ素化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化アルケニルを示し、
L
4は、HまたはFを示す。
【0070】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV−10で表される、より好ましくは式CPP−3−2、CPP−5−2およびCGP−3−2で表される、より好ましくは式CPP−3−2および/またはCGP−3−2で表されるそのそれぞれの従属式から選択された、極めて特に好ましくは式CPP−3−2で表される1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0071】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、式Vで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【化48】
式中、
R
51およびR
52は、互いに独立して、式IIにおいて上記のR
2について示した意味を有し、好ましくは、R
51はアルキルを示し、R
52はアルキルまたはアルケニルを示し、
【化49】
およびそれが2回出現する場合には、出現するごとに互いに独立して、
【化50】
を示し、
【0072】
好ましくは、
【化51】
の1つまたは2つ以上は、
【化52】
を示し、
Z
51およびZ
52は、互いに独立して、およびZ
51が2回出現する場合には、またこれらは、互いに独立して−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−または単結合を示し、好ましくは、それらの1つまたは2つ以上は、単結合を示し、また
rは、0、1または2、好ましくは0または1、特に好ましくは1を示す。
【0073】
式Vで表される化合物は、好ましくは−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物である。
【0074】
本発明の媒体は、好ましくは式V−1およびV−2で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む:
【化53】
式中、R
51およびR
52は、式Vにおいて上記で示したそれぞれの意味を有し、R
51は、好ましくはアルキルを示し、式V−1において、R
52は、好ましくはアルケニル、好ましくは−(CH
2)
2−CH=CH−CH
3を示し、式V−2において、R
52は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくは−CH=CH
2、−(CH
2)
2−CH=CH
2または−(CH
2)
2−CH=CH−CH
3を示す。
【0075】
本発明の媒体は、好ましくは式V−1およびV−2で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含み、ここでR
51は、好ましくはn−アルキルを示し、式V−1において、R
52は、好ましくはアルケニルを示し、式V−2において、R
52は、好ましくはn−アルキルを示す。
【0076】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式V−1で表される、より好ましくはその従属式PP−n−2Vmで表される、尚より好ましくは式PP−1−2V1で表される1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0077】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式V−2で表される、より好ましくはその従属式PGP−n−m、PGP−n−V、PGP−n−2Vm、PGP−n−2VおよびPGP−n−2Vmで表される、尚より好ましくはその従属式PGP−3−m、PGP−n−2VおよびPGP−n−V1で表される、極めて好ましくは式PGP−3−2、PGP−3−3、PGP−3−4、PGP−3−5、PGP−1−2V、PGP−2−2VおよびPGP−3−2Vから選択された1種または2種以上の化合物を含む。これらの略号(頭字語)の定義を、同様に以下の表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0078】
式IIおよび/またはIIIで表される化合物に対して代替的に、またはそれに加えて、本発明の媒体は、式VIで表される1種または2種以上の誘電的に正の化合物を含んでもよい。
【化54】
【0079】
式中、
R
6は、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルまたはフッ素化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化アルケニルおよび好ましくはアルキルまたはアルケニルを示し、
【化55】
は、互いに独立して、
【化56】
を示し、
【0080】
L
61およびL
62は、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくはL
61はFを示し、また
X
6は、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシ、または2もしくは3個のC原子を有するハロゲン化アルケニルもしくはアルケニルオキシ、好ましくはF、Cl、−OCF
3または−CF
3、極めて好ましくはF、Clまたは−OCF
3を示し、
Z
6は、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−または−CF
2O−、好ましくは−CH
2CH
2−、−COO−またはトランス−CH=CH−および極めて好ましくは−COO−またはトランス−CH=CHを示し、また
qは、0または1を示す。
【0081】
本発明の媒体は、式VIで表される、好ましくは式VI−1およびVI−2で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化57】
式中、パラメーターは、上記で示したそれぞれの意味を有し、パラメーターL
63およびL
64は、互いに、および他のパラメーターと独立してHまたはFを示し、またZ
6は、好ましくは−CH
2−CH
2−を示す。
【0082】
式VI−1で表される化合物は、好ましくは式VI−1aおよびVI−1bで表される化合物の群から選択される:
【化58】
式中、R
6は、上記で示した意味を有する。
【0083】
式VI−2で表される化合物は、好ましくは式VI−2a〜VI−2dで表される化合物の群から選択される:
【化59】
式中、R
6は、上記で示した意味を有する。
【0084】
さらに、本発明の液晶媒体は、式VIIで表される1種または2種以上の化合物を含んでもよい。
【化60】
式中
0 R
7は、式IIにおいて上記のR
2について示した意味を有し、
存在する環
【化61】
の1つは、
【化62】
好ましくは
【化63】
を示し、
【0085】
好ましくは
【化64-1】
は、
【化64-2】
を示し、
および他のものは、同一の意味を有するか、または互いに独立して
【化65】
好ましくは
【化66】
を示し、
【0086】
Z
71およびZ
72は、互いに独立して、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つまたは2つ以上は、単結合を示し、極めて好ましくは、両方は単結合を示し、
tは、0、1または2、好ましくは0または1、より好ましくは1を示し、また
X
7は、式IIにおいて上記のX
2について示した意味を有するか、あるいはまた、R
7とは独立して、R
7について示した意味の1つを有してもよい。
【0087】
式VIIで表される化合物は、好ましくは誘電的に正の化合物である。
【0088】
さらに、本発明の液晶媒体は、式VIIIで表される1種または2種以上の化合物を含んでもよい。
【化67】
式中、
R
81およびR
82は、互いに独立して、式IIにおいて上記のR
2について示した意味を有し、また
【化68】
は、
【化69】
を示し、
【化70】
は、
【化71】
を示し、
【0089】
Z
81およびZ
82は、互いに独立して、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つまたは2つ以上は、単結合を示し、極めて好ましくは、両方は単結合を示し、
L
81およびL
82は、互いに独立してC−FまたはNを示し、好ましくはL
81およびL
82の一方または両方はC−Fを示し、極めて好ましくは両方はC−Fを示し、また
sは、0または1を示す。
【0090】
式VIIIで表される化合物は、好ましくは誘電的に負の化合物である。
【0091】
本発明の媒体は、式VIIIで表される、好ましくは式VIII−1〜VIII−3で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を好ましくは含む:
【化72】
式中、
R
81およびR
82は、式VIIIにおいて上記で示したそれぞれの意味を有する。
【0092】
式VIII−1〜VIII−3において、R
81は、好ましくはn−アルキルまたは1−E−アルケニルを示し、R
82は、好ましくはn−アルキルまたはアルコキシを示す。
【0093】
本発明の液晶媒体は、式I〜VIII、好ましくは式I〜VIIおよびより好ましくは式IおよびIIおよび/またはIIIおよび/またはIVおよび/またはVIで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を好ましくは含む。それらは、特に好ましくは主にこれらの化合物からなり、尚より好ましくは本質的にこれらの化合物からなり、極めて好ましくは完全にこれらの化合物からなる。
【0094】
本出願において、組成物と関連する「含む」とは、関連のある実体、すなわち媒体または構成要素が、示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を、好ましくは10%以上の、および極めて好ましくは20%以上の合計濃度で含むことを意味する。
【0095】
この関連において、「主に〜からなる」とは、関連のある実体が55%以上、好ましくは60%以上および極めて好ましくは70%以上の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
【0096】
この関連において、「本質的に〜からなる」とは、関連のある実体が80%以上、好ましくは90%以上および極めて好ましくは95%以上の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
【0097】
この関連において、「事実上完全に〜からなる」または「完全に〜からなる」とは、関連のある実体が98%以上、好ましくは99%以上および極めて好ましくは100.0%の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
【0098】
上記で明確に述べない他のメソゲン性化合物をまた、本発明の媒体において任意にかつ有利に使用することができる。そのような化合物は、当業者に知られている。
【0099】
本発明の液晶媒体は、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、特に好ましくは80℃以上および極めて特に好ましくは85℃またはそれ以上の透明点を有する。
【0100】
本発明の媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも0℃以下70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下75℃以上、極めて好ましくは少なくとも−30℃以下75℃以上、および特に少なくとも−40℃以下80℃以上にわたる。
【0101】
本発明の液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃にて好ましくは2以上、より好ましくは4以上および極めて好ましくは6以上である。特に、Δεは20以下である。
【0102】
本発明の液晶媒体のΔnは、589nm(Na
D)および20℃にて好ましくは0.070以上0.150以下の範囲内、より好ましくは0.080以上0.140以下の範囲内、尚より好ましくは0.090以上0.135以下の範囲内および極めて特に好ましくは0.100以上0.130以下の範囲内である。
【0103】
本出願の第1の好ましい態様において、本発明の液晶媒体のΔnは、好ましくは0.080以上0.120以下、より好ましくは0.090以上0.110以下の範囲内および極めて特に好ましくは0.095以上0.105以下の範囲内であり、一方Δεは、好ましくは6以上11以下の範囲内、好ましくは7以上10以下の範囲内および特に好ましくは8以上9以下の範囲内である。
【0104】
この態様において、本発明の媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下70℃以上、極めて好ましくは少なくとも−30℃以下70℃以上および特に少なくとも−40℃以下70℃以上にわたる。
【0105】
本発明の第2の好ましい態様において、本発明の液晶媒体のΔnは、好ましくは0.100以上0.140以下、より好ましくは0.110以上0.130以下の範囲内および極めて特に好ましくは0.115以上0.125以下の範囲内であり、一方Δεは、好ましくは7以上13以下の範囲内、好ましくは9以上12以下の範囲内および特に好ましくは10以上11以下の範囲内である。
【0106】
この態様において、本発明の媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下80℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下85℃以上、極めて好ましくは少なくとも−30℃以下80℃以上および特に少なくとも−40℃以下85℃以上にわたる。
【0107】
本発明に従い、式Iで表される化合物を一緒に、好ましくは全体としての混合物の1%〜50%、より好ましくは1%〜30%、より好ましくは2%〜30%、より好ましくは3%〜30%および極めて好ましくは5%〜25%の合計濃度において、媒体中で使用する。
【0108】
式IIおよびIIIの群から選択された化合物を、好ましくは2%〜60%、より好ましくは3%〜35%、尚より好ましくは4%〜20%および極めて好ましくは5%〜15%の全体としての混合物の合計濃度において使用する。
式IVで表される化合物を、好ましくは5%〜70%、より好ましくは20%〜65%、尚より好ましくは30%〜60%および極めて好ましくは40%〜55%の全体としての混合物の合計濃度において使用する。
【0109】
式Vで表される化合物を、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜15%および極めて好ましくは1%〜10%の全体としての混合物の合計濃度において使用する。
式VIで表される化合物を、好ましくは0%〜50%、より好ましくは1%〜40%、尚より好ましくは5%〜30%および極めて好ましくは10%〜20%の全体としての混合物の合計濃度において使用する。
【0110】
本発明の媒体は、任意に、物理的特性を調整するための他の液晶化合物を含んでもよい。そのような化合物は、当業者に知られている。本発明の媒体中でのそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%および極めて好ましくは1%〜15%である。
【0111】
好ましい態様において、式CC−3−Vで表される化合物の本発明の媒体中での濃度は、50%〜65%、特に好ましくは55%〜60%であり得る。
【0112】
液晶媒体は、好ましくは合計で50%〜100%、より好ましくは70%〜100%および極めて好ましくは80%〜100%および特に90%〜100%の式I〜VIIで表される、好ましくは式I〜VIで表される、特に好ましくは式I〜Vで表される、特に式I、II、III、IV、VおよびVIIで表される、ならびに極めて特に好ましくは式I、II、III、IVおよびVで表される化合物の群から選択された化合物を含む。それらは、好ましくはこれらの化合物から主になり、極めて好ましくは事実上完全になる。好ましい態様において、各場合における液晶媒体は、これらの式の各々で表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0113】
本出願において、「誘電的に正」の表現は、Δε>3.0である化合物または構成要素を記載し、「誘電的に中性」は、−1.5≦Δε≦3.0であるものを記載し、「誘電的に負」は、Δε<−1.5であるものを記載する。Δεを、1kHzの周波数および20℃にて決定する。それぞれの化合物の誘電異方性を、ネマチックホスト混合物中でのそれぞれの個々の化合物の10%の溶液の結果から決定する。それぞれの化合物のホスト混合物中での溶解度が10%より低い場合には、当該濃度を5%に低下させる。試験混合物のキャパシタンスを、ホメオトロピック配向を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両方において決定する。両方のタイプのセルのセル厚さは、約20μmである。印加する電圧は、1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの実効値を有する矩形波であるが、それを、常にそれぞれの試験混合物の容量性しきい値より低くなるように選択する。
【0114】
Δεを(ε
‖−ε
⊥)として定義し、一方ε
av.は(ε
‖+2ε
⊥)/3である。
誘電的に正の化合物のために使用するホスト混合物は、混合物ZLI-4792であり、誘電的に中性の、および誘電的に負の化合物のために使用するホスト混合物は、混合物ZLI-3086であり、共にMerck KGaA、ドイツ国からのものである。化合物の誘電率の絶対値を、関心のある化合物の添加の際のホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定する。当該値を、関心のある化合物の100%の濃度に外挿する。
【0115】
20℃の測定温度にてネマチック相を有する構成要素を、それ自体で測定し、すべての他のものを、化合物と同様に処理する。
両方の場合において他に明確に述べない限り、本出願における「しきい値電圧」の表現は、光学的しきい値を指し、10%相対的コントラスト(V
10)について引用し、「飽和電圧」の表現は、光学的飽和を指し、90%相対的コントラスト(V
90)について引用する。フレデリクスしきい値(V
Fr)とも称される「容量性しきい値電圧」(V
0)を、明確に述べた場合にのみ使用する。
【0116】
本出願において示したパラメーター範囲はすべて、他に明確に述べない限り限界値を含む。
互いとの組み合わせにおける特性の様々な範囲について示した異なる上限値および下限値は、追加的な好ましい範囲を生じる。
【0117】
本出願全体にわたって、他に明確に述べない限り以下の条件および定義を適用する。すべての濃度を重量パーセントで示し、全体としてのそれぞれの混合物に関し、すべての温度を摂氏度で引用し、すべての温度差を差異の度で引用する。すべての物理的性質を、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", Status Nov. 1997, Merck KgaA、ドイツ国に従って決定し、他に明確に述べない限り20℃の温度について引用する。光学異方性(Δn)を、589.3nmの波長にて決定する。誘電異方性(Δε)を、1kHzの周波数にて決定する。しきい値電圧および他のすべての電気光学的特性を、Merck KGaA、ドイツ国にて製造された試験セルを使用して決定する。
【0118】
Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル厚さを有する。電極は、1.13cm
2の面積およびガードリングを有する円形のITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε
‖)について日産化学、日本国からのSE−1211であり、ホモジニアス配向(ε
⊥)について日本合成ゴム、日本国からのポリイミドAL−1054である。キャパシタンスを、0.3V
rmsの電圧を有する正弦波を使用したSolatron 1260周波数応答アナライザーを使用して決定する。電気光学的測定において使用する光は、白色光である。Autronic-Melchers、ドイツ国からの商業的に入手できるDMS機器を使用するセットアップを、ここで使用する。特性電圧を、垂直観察下で決定した。しきい値電圧(V
10)、ミッドグレー(mid-grey)電圧(V
50)および飽和(V
90)電圧を、それぞれ10%、50%および90%相対的コントラストについて決定した。
【0119】
本発明の液晶媒体は、他の添加剤およびキラルなドーパントを通常の濃度で含んでもよい。これらの他の構成成分の合計濃度は、全体としての混合物を基準として0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用する個々の化合物の濃度は、各々好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これらのおよび同様の添加剤の濃度は、本出願における液晶媒体の液晶構成要素および化合物の値および濃度範囲を引用する場合には考慮しない。
【0120】
本発明の液晶媒体は、複数種の化合物、好ましくは3〜30種、より好ましくは4〜20種および極めて好ましくは4〜16種の化合物からなる。これらの化合物を、慣用の方式で混合する。一般的に、より少ない量で使用する所望の量の化合物を、より多い量で使用する化合物に溶解する。温度が、より高い濃度で使用する化合物の透明点より高い場合には、溶解プロセスの完了を観察するのは特に容易である。しかしまた、例えば化合物の同族もしくは共融混合物であり得るいわゆるプレミックスを使用して、またはいわゆる「マルチボトル」システムを使用して、媒体を他の慣用の方法で製造することが可能であり、その構成要素は、それら自体すぐに使用可能な混合物である。
【0121】
好適な添加剤の添加によって、本発明の液晶媒体を、それらをすべての既知のタイプの液晶ディスプレイにおいて使用することができるように、液晶媒体自体、例えばTN、TN−AMD、ECB−AMD、VAN−AMD、IPS−AMD、FFS−AMD LCDなどを使用して、または複合系、例えばPDLC、NCAP、PN LCDおよび特にASM−PA LCDなどにおいて修正することができる。
【0122】
すべての温度、例えば液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への遷移T(S,N)および透明点T(N,I)を、摂氏度で引用する。すべての温度差を、差異の度で引用する。
【0123】
本発明および特に以下の例において、メソゲン性化合物の構造を、頭字語とも称される略号によって示す。これらの頭字語において、化学式を、以下の表A〜Cを使用して以下のように略す。すべての基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1またはC
nH
2n−1、C
mH
2m−1およびC
lH
2l−1は、直鎖状アルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを示し、各々は、それぞれn、mおよびl個のC原子を有する。
【0124】
表Aは、化合物の中心構造の環要素について使用したコードを列挙し、一方表Bは、結合基を示す。表Cは、左側または右側末端基についてのコードの意味を示す。頭字語は、任意の結合基を有する環要素についてのコード、続いて第1のハイフンおよび左側末端基についてのコード、ならびに第2のハイフンおよび右側末端基についてのコードから構成される。表Dは、化合物の例示的な構造をそれらのそれぞれの略号と共に示す。
【0129】
表C:末端基
【化77】
ここで、nおよびmは、各々整数を示し、3つの点「...」は、この表からの他の略号のためのプレースホルダーである。
【0130】
以下の表は、例示的な構造をそれらのそれぞれの略号と共に示す。これらを、略号についての規則の意味を例示するために示す。それらはさらに、好ましく使用する化合物を表す。
【0144】
【化91】
式中、n、mおよびlは、好ましくは互いに独立して1〜7を示す。
【0145】
以下の表である表Eは、本発明のメソゲン性媒体中で安定剤として使用することができる例示的な化合物を示す。
表E
【化92】
【0149】
本発明の好ましい態様において、メソゲン性媒体は、表Eからの化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
以下の表である表Fは、本発明のメソゲン性媒体中でキラルなドーパントとして好ましく使用することができる例示的な化合物を示す。
【0153】
本発明の好ましい態様において、メソゲン性媒体は、表Fからの化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
本出願のメソゲン性媒体は、好ましくは2種または3種以上、好ましくは4種または5種以上の上記の表からの化合物からなる群から選択された化合物を含む。
【0154】
本発明の液晶媒体は、好ましくは以下のものを含む。
・7種または8種以上、好ましくは8種または9種以上の化合物、好ましくは表Dからの化合物の群から選択された3種または4種以上、好ましくは4種または5種以上の異なる式を有する化合物。
【0155】
例
以下の例は、本発明を、いかなる意味においてもそれを限定せずに例示する。
しかし、物理的特性は、当業者に、いかなる特性を達成することができるか、およびいかなる範囲においてそれらを修正することができるかを示す。したがって、特に、好ましく達成することができる様々な特性の組み合わせは、当業者のために良好に定められている。
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0156】
【表1】
式I−1で表される化合物を含む例1.1の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0157】
【表2】
式I−2で表される化合物を含む例1.2の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0158】
【表3】
式I−2で表される化合物を含む例1.3の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0159】
【表4】
式I−2で表される化合物を含む例2.1の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0160】
【表5】
式I−2で表される化合物を含む例2.2の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0161】
【表6】
式I−3で表される化合物を含む例2.3の混合物は、とりわけ特に低い回転粘度および特に低いしきい値によって識別される。
【0162】
【表7】
式I−3で表される化合物を含む例2.4の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0163】
【表8】
式I−4で表される化合物を含む例2.5の混合物は、とりわけ特に低いしきい値および特に低い回転粘度によって識別される。
【0164】
【表9】
式I−4で表される化合物を含む例2.6の混合物は、とりわけ特に低い回転粘度および特に低いしきい値によって識別される。
【0165】
【表10】
注:n.y.d.:未決定。
式I−1で表される化合物を含む例2.7の混合物は、好ましい用途特性によって識別される。
例1.1〜2.7のこれらの混合物は、IPSモードにおけるディスプレイのために極めて良好に適している。