(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気冷媒の循環経路上に膨張機一体型圧縮機、前記膨張機一体型圧縮機の膨張機よりの氷点以下の空気冷媒により、貯蔵物の冷却を行う冷蔵庫と、該冷蔵庫より流出した氷点以下の含霜冷却空気を冷却空気と霜とに分離する除霜装置と、該除霜装置で水分が除去された冷媒を、その後流側に設けた冷熱回収熱交換器の加熱側で昇温させ、この昇温された冷媒を前記膨張機一体型圧縮機の圧縮機に流入させてエアサイクルを構成する冷凍システムであって、
該冷凍システムに使用する前記除霜装置は、
該除霜装置内側壁の一面に、該装置内側壁の他面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる一側網状部材と、
除霜装置内側壁の他面に、該装置内側壁の一面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる他側網状部材と、が交互に設けられて、前記一側網状部材と他側網状部材との間の主流路に折り返し流路を形成し、
該折返し流路に180度流れ方向を変更するターン部が形成されて、往復流路が確保されるとともに、更に装置上部に前記含霜冷却空気が流入する流入口が形成され、且つ装置下部に前記含霜冷却空気が流出する流出口が形成されて前記含霜冷却空気が重力方向の流れであるように構成され、且つ前記除霜装置の下流側に、ファンと加熱器からなる加熱空気流入部が設けられ、該加熱空気流入部から前記除霜装置へ加熱空気を供給可能に構成したことを特徴とする冷凍システム。
【背景技術】
【0002】
近年、温暖化現象を防止する環境保護の観点から、ノンフロン技術の開発が進められており、特に、空気冷媒を用いたエアサイクル冷凍システムが注目を集めている。例えば、−50℃以下の超低温冷蔵庫などにおいては、R22(HCFC)/R23(CHF
3)の二元冷凍システムが主流であったが、昨今のフロン規制により冷媒の変更を余儀なくされている。近年の超低温冷蔵庫においては、NH
3(アンモニア)/R23(CHF
3)への移行が進んでいるが、R23冷媒も温暖化係数の高い冷媒とされ問題視されている。
そこで、自然冷媒であり、且つ超低温域に限れば熱交換効率も高い空気冷媒を用いた空気冷凍システムの開発に力が注がれている。この自然冷媒である空気冷媒を用いた場合、冷蔵庫や冷凍庫内に直接空気を流すため、庫内の雪や氷粒などの霜が冷却空気中に取り込まれるという問題がある。そのため、霜詰まりや閉塞が起きないように霜を除去する機構、いわゆるフロストトラップを冷凍システム中に設ける必要がある。霜が大量に冷却システム内を循環したり、一部に堆積したりすると、冷却システムの機能を損ねる可能性があるからである。
【0003】
従来、冷凍システムに用いられる除霜装置としては、金網や、遠心分離器などを用いて霜と冷却空気とに固気分離する構造のものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1に開示の除霜装置では、
図10に示すように、除霜装置100に流入した冷却空気Aはファン101及び熱交換器102を通過してから、複数枚の網状部材103からなる霜取り部に流入する。網状部材103は冷風が流れる方向に対して中央部分が若干重なるように千鳥状又はジグザグ状に配置される。これにより、網状部材103が霜又は氷で目詰まりするような状況になっても空気が流れる流路は確保される。
【0004】
また、特許文献2に開示の除霜装置では、
図11に示すように、槽200内にハンマー201を備えた伝熱部202が設置され、着霜量に応じて衝撃を与え除霜が行われる。伝熱部202より落下した霜は、伝熱部202の下部に設けられたホッパ203から連続的に分離される。また、槽200を通過した霜を含む冷却空気はサイクロン204で霜と冷却空気に固気分離される。ここでは、冷却空気はサイクロン204の上部から流出し、霜はサイクロン204の下部に堆積する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示の除霜装置では、網状部材103を若干重ねるだけであり、網状部材103が完全に目詰まりした場合には、冷却空気は流路中央を若干蛇行しながら進行する。この構成では、中央部分に集中的に霜が堆積し、網状部材103間の流路が狭くなり、冷却空気が流れ難くなるという問題があった。その場合、除霜装置100を止めて、霜取り作業を行わなくてはならず、除霜装置の連続運転を行うことができなかった。より具体的には、フロストトラップで
捕集した雪・氷を除去するための乾燥運転は、装置を停止状態で加熱した外気を用いて行う。ヒータにて加熱した外気をフロストトラップ内に送り、下部装置のドレンから加熱空気及びフロストトラップ内の水分を排出する。また、主流が一方向に進むため、乱流場が十分に発達せず固気分離による除霜機能を十分に発揮しているといえなかった。
【0007】
また、特許文献2に開示の除霜装置では、伝熱部202から落下してホッパ203に堆積した霜やサイクロン204の下部に堆積した霜のその後の処理については開示されていなかった。この堆積した霜は、冷凍装置の稼働を止めてからホッパ203内で液体となった水をホッパ203の下部から流出させることにより除霜を行うことができる。しかし、連続的に冷凍装置を稼働させる場合は、除霜を行うことができず、経時的にホッパ203の容量を超えることになる。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、氷点以下の含霜冷却空気を冷却空気と霜とに分離する除霜装置を備えたエアサイクルを構成する冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる課題を解決する手段としてなされたものである。
本発明は、空気冷媒の循環経路上に膨張機一体型圧縮機、前記膨張機一体型圧縮機の膨張機よりの氷点以下の空気冷媒により、貯蔵物の冷却を行う冷蔵庫と、該冷蔵庫より流出した氷点以下の含霜冷却空気を冷却空気と霜とに分離する除霜装置と、該除霜装置で水分が除去された冷媒を、その後流側に設けた冷熱回収熱交換器の加熱側で昇温させ、この昇温された冷媒を前記膨張機一体型圧縮機の圧縮機に流入させてエアサイクルを構成する冷凍システムであって、
該冷凍システムに使用する前記除霜装置は、
該除霜装置内側壁の一面に、該装置内側壁の他面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる一側網状部材と、
除霜装置内側壁の他面に、該装置内側壁の一面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる他側網状部材と、が交互に設けられて、前記一側網状部材と他側網状部材との間の主流路に折り返し流路を形成し、
該折返し流路に180度流れ方向を変更するターン部が形成されて、往復流路が確保されるとともに、更に装置上部に前記含霜冷却空気が流入する流入口が形成され、且つ装置下部に前記含霜冷却空気が流出する流出口が形成されて前記含霜冷却空気が重力方向の流れであるように構成され、且つ前記除霜装置の下流側に、ファンと加熱器からなる加熱空気流入部が設けられ、該加熱空気流入部から前記除霜装置へ加熱空気を供給可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
【0011】
本発明によれば、網状部材を
用いることにより、網目が目詰まりする前は、固気分離した含霜冷却空気が網目を流れ、網目に霜が付き易い。また、網目が目詰まりしても
網状部材の表面は凸凹形状であるので、着霜し易い。また、平板を用いる場合と比べて軽量である。
【0012】
また、前記
網状部材と前記仕切り部材とを同一の部材で構成することができる。
すなわち、網状部材に
網状部材と仕切り部材との機能を併用して発揮させることができる。これにより、部品の単一化が図られる。網状部材に目詰まりが発生すると、
網状部材としての網状部材は、完全な仕切り部材となる。
【0013】
また、前記主流路には180度流れ方向を変更するターン部が形成されてい
る。
このように180度流れ方向を変更すると、往復流路を繰り返し形成することができる。そして、ターン部とターン部の出口とに渦流が発生するため、含霜冷却空気の固気分離が促進され、
網状部材及び仕切り部材への着霜が急速且つ確実に行われる。
【0014】
具体的に説明すると本発明は、除霜装置内側壁の一面に他面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる一側網状部材と、除霜装置内側壁の他面に一面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられる他側網状部材と、が交互に設けられ、前記一側網状部材と前記他側網状部材とが目詰まりした場合に、前記含霜冷却空気は、前記一側網状部材と前記他側網状部材とで形成された往復繰返し流路を流通する。
かかる発明では、前記
一側網状部材と前記他側網状部材とを除霜装置内に設けたので、装置内の霜が少ない場合には、含霜冷却空気は網目を抜けて流れる。そして、徐々に網状部材に霜が堆積する。そして、網目が詰まってくると、重力方向の流れよりもむしろ一側・他側網状部材との間を蛇行する流れが強くなる。このように蛇行した往復繰返し流路が確保されると、網状部材が完全に目詰まりした状態でも十分な冷却空気を流すことができる。また、流路が長くなるので、網状部材の着霜と含霜冷却空気との接触面積が大きくなり、冷却空気の水分を十分に除去することができる。
【0015】
又本発明は、本発明は、装置上部に前記含霜冷却空気が流入する流入口が形成され、装置下部に前記含霜冷却空気が流出する流出口が形成されてい
る。
この構成では、含霜冷却空気は、装置上部の流入口から装置内に流入し、装置下部の流出口から流出する。含霜冷却空気は上方から下方へ向けて流れるので、重力方向の流れであり、反重力方向に流れる場合と比べて、網状部材に霜が堆積し易い。また、冷たい空気は暖かい空気より重いので、含霜冷却空気はスムーズに流れる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
また本発明
は、膨張機一体型圧縮機、冷蔵庫、及び冷熱回収熱交換器を備え、前記膨張機一体型圧縮機の膨張機からの空気冷媒は、前記冷蔵庫に流入し、該冷蔵庫からは零下温度の空気冷媒が流出して、前記除霜装置に流入し、該除霜装置からの空気冷媒は、前記冷熱回収熱交換器の加温側に流入し、前記冷熱回収熱交換器からの空気冷媒は、前記膨張機一体型圧縮機の圧縮機に流入し、該圧縮機からの空気冷媒は、前記冷熱回収熱交換器の冷却側に流入し、該冷熱回収熱交換器からの空気冷媒は、前記膨張機に戻る。
このようにすれば、本発明の除霜装置を備えるエアサイクル冷凍システムを連続的に稼働させることができる。また、かかる構成のエアサイクル冷凍システムにおいて、実験によれば−80℃の空気冷媒を冷蔵庫に流入させることが可能であり、また、−60℃の空気冷媒を冷蔵庫から流出させることが可能である。
【0020】
また、前記圧縮機から前記冷熱回収熱交換器へ向かう流路には、冷却器が設けられていることが好ましい。
圧縮機で加熱された空気冷媒を冷却させてから冷熱回収熱交換器に流入させることができ、冷熱回収熱交換器の加温側出口と冷却側入口の温度を低くすることができ、冷熱回収熱交換器の冷却側出口の空気冷媒の温度を大幅に小さくすることができる。これにより、圧縮機から冷蔵庫へ流入する空気冷媒の温度を大幅に低下させることができる。
【0021】
また、前記冷却器には、冷却水を流通させることが好ましい。水は安価であり、手軽に準備することができるからである。
【0022】
また、前記除霜装置の下流側には
ファンと加熱器からなる加熱空気流入部が設けられ、該加熱空気流入部から前記除霜装置へ加熱空気を供給可能に構成されてい
る。
このように
ファンと加熱器からなる加熱空気流入部を設けることで、仮に除霜装置に霜が堆積しても確実に除霜作業を行うことができる。
【0023】
また、前記冷熱回収熱交換器の冷却側の下流側には加熱空気流入部が設けられ、該加熱空気流入部から前記冷熱回収熱交換器へ加熱空気を供給可能に構成されていることが好ましい。
このように加熱空気流入部を設けることで、仮に冷熱回収熱交換器に霜が堆積しても確実に除霜作業を行うことができる。
【0024】
【発明の効果】
【0025】
本発明の氷点以下の含霜冷却空気を冷却空気と霜とに分離する除霜装置を備えたエアサイクルを構成する冷凍システムでは、霜による問題が発生することがなくノンストップで除霜装置を作動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0028】
(実施形態)
図1は、本発明の除霜装置を備えるエアサイクル冷凍システムの実施形態を示している。この冷凍システムは、膨張機一体型圧縮機1、冷蔵庫2、除霜装置3、冷熱回収熱交換器4及び一次冷却器5を備えている。この膨張機一体型圧縮機1の膨張機11から流出した空気冷媒(例えば、−80℃)は冷蔵庫2に流入する。
【0029】
この冷蔵庫では、貯蔵物や冷蔵庫の扉の開閉により冷媒の温度が例えば、−60℃にされる。冷蔵庫内の冷媒は除霜装置3に流入する。除霜装置3で水分が除去された冷媒は、冷熱回収熱交換器4に流入する。この冷熱回収熱交換器4の加熱側で冷媒が昇温され、例えば、35℃にされる。この時、当該冷媒は、隣接する後流側の流路を流れる冷媒によって昇温される。この昇温された冷媒は膨張機一体型圧縮機1の圧縮機12に流入する。圧縮機12で圧縮されて高温(例えば、93℃)になった冷媒は一次冷却器5に流入して、隣接する流路を流れる冷却水によって熱が奪われる。そして、例えば、40℃にされた冷媒は冷熱回収熱交換器4の冷却側に流入する。この時、隣接する上流側の流路を流れる冷媒によって昇温される。冷熱回収熱交換器4で凝縮された冷媒(例えば、−55℃)は膨張機11に流入する。このようにして、冷媒は循環す
る。また、圧縮機12で加熱された空気冷媒を冷却させてから冷熱回収熱交換器4に流入させることができ、冷熱回収熱交換器4の加温側出口と冷却側入口の温度を低くすることができ、冷熱回収熱交換器4の冷却側出口の空気冷媒の温度を大幅に小さくすることができる。これにより、圧縮機12から冷蔵庫2へ流入する空気冷媒の温度を大幅に低下させることができる。
【0030】
除霜装置3内に霜が発生しても、本発明では連続運転可能であるが、除霜装置3内の霜を除去する場合には、除霜装置3の後流側に配置された空気導入部から加熱空気流入部に設けられた送風ファン6及びヒータ7を介して除霜装置3内に暖気又は熱風を送り込み、除霜装置3内の霜を融解させ、暖気又は熱風と共に除霜装置3の外部へ排気する。この除霜装置3は縦置き構造であるため、霜が水になってから水が適下し重力で排出できるため、除霜作業が容易である。
さらに、冷熱回収熱交換器4内は上半分の温度が零下になるため、送風ファン8を介して加熱空気を送り込み冷熱回収熱交換器4内で発生した霜を除去し、外部へ排出する。
【0031】
図2は、本発明の除霜装置の実施形態を示している。この除霜装置3は、直方体状のボックスであり、氷点以下の含霜冷却空気を冷却空気と霜とに分離する装置である。この除霜装置3内には、含霜冷却空気の主流れ方向を変更して乱流場を発生させて含霜冷却空気と霜とに固気分離する乱流場発生手段として
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bが設けられている。
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bは、継続的に霜を保持又は収容し続ける霜捕集手段としての機能をも有する。この霜捕集手段は、霜取り作業のために装置を止めることなく、連続運転させる効果を有する。
【0032】
又一側網状部材31Aと他側網状部材31Bは、除霜装置3内の仕切り部材となる。これにより、含霜冷却空気の折返し流路が形成される。この折返し流路は繰り返し形成されている。また、霜捕集手段としての
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bは、除霜装置内壁に上下方向に間隔を置いて設けられる網状部材となる
。そして、この
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとで含霜冷却空気の主流路が形成される。この主流路には180度流れ方向を変更するターン部が形成されている。このターン部とターン部の出口とに渦流が発生するため、含霜冷却空気の固気分離が促進され、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bへの着霜が急速且つ確実に行われる。さらに、この除霜装置3では、装置上部に含霜冷却空気が流入する流入口3aが形成され、装置下部に含霜冷却空気が流出する流出口3bが形成されている。
【0033】
この構成では、含霜冷却空気は、装置上部の流入口3aから装置内に流入し、装置下部の流出口3bから流出する。含霜冷却空気は上方から下方へ向けて流れるので、重力方向の流れであり、反重力方向に流れる場合と比べて、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bに霜が堆積し易い。また、冷たい空気は暖かい空気より重いので、含霜冷却空気はスムーズに流れる。
【0034】
次に、一側網状部材31A及び他側網状部材31Bの具体的配置について述べる。一側網状部材31Aは、除霜装置内側壁の一面に他面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられている。他側網状部材31Bは、除霜装置内側壁の他面に一面側に向かって且つ上下方向に間隔を置いて設けられている。
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bは交互に設けられている。そして、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bが目詰まりした場合に、含霜冷却空気は、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bで形成された往復繰返し流路を流通する。
【0035】
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとしては、例えば、金網や樹脂からなるネットその他の網状部材を用いることができる。網目の形状は、格子状、菱形、三角形、六角形、円形及びこれらの組み合わせなど各種の形状にすることができる。また、網目のサイズは、霜を除去できる程度の大きさであればよく、例えば、18mm×18mmの正方形の網目を用いることができる。網目の大きさは、連続運転時間と、冷凍システムの使用温度による霜の発生具合とから決定することができる。網目の構造は、縦方向と横方向とに針金を交互に這わしたものを用いることができるが、その構成は特に限定されない。また、格子状又は菱形のネットを用いた場合の交差部の結束方法についても限定されない。
【0036】
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとして金網を用いる場合、剛性が高ければ片持ち梁状に片側のみ固定すればよいが、金網の重みで撓む場合は、一側部分又は他側部分と、これと垂直な部分との3辺を固定するようにするとよい。
また、樹脂製の網状部材を用いる場合であって剛性が十分でないときにも、3辺固定をするとよい。樹脂の種類としては、低温で低脆性な材料が好ましい。
また、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bの取付方向としては、例えば、
図3(a)に示すように、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bの縁部に耳部36を形成し、除霜装置3の内壁に取り付けた金具37に固定するようにしてもよい。耳部36としては例えば、長尺状の金属板を用いることができる。また、3辺固定する場合は、
図3(b)に示すように耳部36を設け、逆L字状の支持部材38上に載置するようにしてもよい。
【0037】
図4は、本実施形態の除霜装置3を冷凍・冷蔵庫2Aへ導入した第1の例である。冷凍・冷蔵庫2A内には空気熱交換器21が設けられている。空気熱交換器21は、熱交換部とファンを備えており、除霜装置3からの冷却空気を冷凍・冷蔵庫2A内に送風する。この冷却空気は、再度除霜装置3に送られ、霜や冷却空気中に存在するコンタミが除去される。コンタミは例えば、霜中に混在して霜とともに
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとで冷却空気中から除去される。
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとを除霜装置3から取り出し、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bに付着した霜を金属ヘラなどで除去すれば、機外へ霜やコンタミを捨てることができる。
【0038】
図5は、本実施形態の除霜装置3を冷凍・冷蔵庫2Aへ導入した第2の例である。この第2例は第1例と比べて空気冷凍システム9が設けられている点で異なる。この空気冷凍システム9には除霜装置3からの冷却空気が流入し、再度、冷凍・冷蔵庫2に冷却空気を送り込む構成にされている。このような循環サイクル中に除霜装置3を設置すると、冷凍・冷蔵庫2の開閉の度に循環サイクルへ湿気が混在しても、連続して除霜装置3で冷却空気中の水分を除去することができる。冷却システムとしては、冷凍サイクルの構成要素である圧縮機、凝縮器、膨張機及び蒸発器などが含まれる。
【0039】
図6は、本実施形態の除霜装置3を冷凍・冷蔵庫2Aへ導入した第3の例である。この第3例は第2例と比べて冷凍・冷蔵庫2Aの代わりに急速凍結装置2Bが設けられている点で異なる。この第3例でも除霜装置3は除霜機能を連続的に発揮
してエアサイクル冷凍システムを稼働させることが可能である。急速凍結装置2Bとしては、例えば、サーモジャック(株式会社前川製作所の登録商標)を用いることができる。
【0040】
上述した実施形態の除霜装置3では、含霜冷却空気の主流れ方向を変更して乱流を発生させて含霜冷却空気と霜とに固気分離する
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bが設けられているので、固気分離により分離した霜を
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bで継続的に保持又は収容し続けることができる。このため、霜取り作業のために装置を止めることなく、連続運転することができる。すなわち、霜による問題が発生することがなくノンストップで除霜装置を作動させることができる。
【0041】
また、上述した実施形態の除霜装置3では、仕切り部材及び
網状部材として
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとが設けられているので、含霜冷却空気は、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bで形成された主流路を流通してから外部に流出する。また、この主流路を流通中の含霜冷却空気から固気分離した霜は、着霜し易い
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bの表面に堆積する。
さらに、上述した実施形態の除霜装置3では、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bの網目が目詰まりする前は、主流路で固気分離した含霜冷却空気が網目を流れ、網目に霜が付き易い。また、網目が目詰まりしても
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bの表面は凸凹形状であるので、さらにその上にも着霜が行われ易い。また、平板を用いる場合と比べて軽量である。
【0042】
また、上述した実施形態の除霜装置3では、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bは素面部材と仕切り部材との機能を発揮させることができる。これにより、部品の単一化が図られる。網状部材に目詰まりが発生すると、
網状部材としての網状部材は、完全な仕切り部材、すなわち平板となる。
【0043】
さらに、上述した実施形態の除霜装置3では、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとを除霜装置3内に設けたので、装置内の霜が少ない場合には、含霜冷却空気は網目を抜けて流れる。そして、徐々に
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bに霜が堆積する。そして、網目が詰まってくると、重力方向の流れよりもむしろ
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとの間の往復流路を流れるようになる。このように蛇行した往復繰返し流路が確保されると、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとが完全に目詰まりした状態でも十分な冷却空気を流すことができる。また、流路が長くなるので、
一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとの着霜と含霜冷却空気との接触面積が大きくなり、冷却空気の水分を十分に除去することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、一側網状部材31Aと他側網状部材31Bとを交互に設けた例について説明したが、例えば、4面ある側面に、時計回り方向又はその反対方向に順番に網状部材を設置するようにしてもよい。要するに、連続運転しても氷塞しない程度の流路が確保されていればよい。ただし、除霜効果を上げるために、なるべく長い往復流路が
確保され、冷却空気と金網との接触面積が大きい方が好ましい。また、一側・他側網状部材31A,31Bに付着した霜が巻き上がらない程度に乱流の流れ場が形成される方が好ましい。除霜機能が向上するからである。また、網状部材の全体に冷却空気が行き渡るように網状部材の配置を決定することが好ましい。網目が完全に目詰まりするまでの時間が長くなるからである。
【0045】
(第1参考実施形態)
図7は、本参考発明の除霜装置の第1参考実施形態を示している。この第1参考実施形態は、実施形態と比べて除霜装置3の構造のみ異なるため、その他の説明は省略する。
この第1参考実施形態の除霜装置3は、サイクロン式であり、遠心分離器30を備え、遠心分離器30によって霜を含む冷却空気を冷却空気と霜とに固気分離する。遠心分離器30は除霜装置本体カバー32に収容されている。この遠心分離器30と除霜装置本体カバー32とでサイクロン装置が構成されている。
【0046】
この除霜装置本体カバー32の下部に霜収容空間が存在し、この霜収容空間にバッチ式の霜収容器33が定期的に繰り出される。霜収容器33は、ベルトコンベアで搬送してもよいし、車輪を取り付けてリモートコントロールで定期的に搬送してもよい。また、霜収容器33を除霜装置本体カバー32に当接させるために、水平面上での霜収容器33の位置合わせを行ってから、霜収容器33を上昇させるとよい。上昇機構については、例えば、ボール螺子と駆動モータを用いた公知の手段を用いることができる。
【0047】
除霜装置本体カバー32の上部には、冷媒入口321が設けられ、冷媒が流入する。この冷媒は、遠心分離器30で霜が除去される。霜が除去された冷却空気は、冷媒出口322から流出し、熱交換器に向かう。遠心分離器30で冷却空気から分離された霜は重力によって落下し、霜収容器33に堆積する。
【0048】
この第1参考実施形態では、除霜装置本体カバー32の下部から排出される霜を収容するバッチ式の霜収容器33が定期的に供給され、霜収容器33が満杯になる前に堆積した霜を搬送して次の霜収容器33を供給することができる。そのため、除霜装置及びこれを備えるエアサイクル冷凍システムを、霜による問題が発生することがなくノンストップで稼働させることができる。
【0049】
(第2参考実施形態)
図8は、本発明の除霜装置の第2参考実施形態を示している。この第2参考実施形態は、第1参考実施形態の除霜装置3にロータリバルブ34が設けられているものであり、この点について説明する。
この第2参考実施形態の除霜装置3は、除霜装置本体カバー32の下部にはロータリバルブ34が設けられ、該ロータリバルブ34を介してロータリバルブ34の下部に配置された霜収容器33に霜が送出される。ロータリバルブ34はモータ35によって作動する。ロータリバルブ34付近を拡大した断面は
図9に示すようになる。ロータリバルブ34は、軸体の周面に一定間隔で板状の羽部が形成された霜送出部341と、これを収納する円弧部を有するロータリバルブケース342と、を備えている。
【0050】
ロータリバルブ34によって除霜装置本体カバー32の内側の空間と霜収容器33の内部空間とを断続的に遮断するために、霜送出部341の先端とロータリバルブケース342との間には、隙間が形成されないことが好ましい。バッチ式の霜収容器33の取り替えの際に、除霜装置本体カバー32の内側の空間の冷気が逃げることがないようにするためである。そのために霜送出部341の先端をシール部とすべく軟質性の樹脂で形成するとよい。例えば、ゴムベラ状にするとよい。このようにすれば、バッチ式の霜収容器33を断続的に搬送する際に、除霜装置本体カバー32内の空間と外部空間とを確実に密閉することができる。そして、除霜装置本体カバー32の内側の冷気が逃げるのを確実に防止することができる。
【0051】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。