【文献】
Werner, L. H.; Scholz, C. R.,Mercurial diuretics,Journal of the American Chemical Society,1954年,76,p2453-2459
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<ジアミン化合物>
本発明のジアミン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であり、スペーサー部位と末端ビニル基とからなる側鎖を有していることを特徴とする。
【0014】
式(1)中のR
1−R
2−R
3は、側鎖におけるスペーサー部位(末端のビニル基とジアミノベンゼン骨格をつなぐ基)であり、R
1はこのスペーサー部位におけるジアミノベンゼン骨格との結合基を表す。R
1は、−CH
2−(メチレン)、−O−(エーテル)、−CONH−(アミド)、−NHCO−(逆アミド)、−COO−(エステル)、−OCO−(逆エステル)及び−NH−(アミノ)の中から選ばれる。R
1は、通常の有機合成的手法で形成させることができるが、合成の容易性の観点から、−CH
2−、−O−、−COO−、−NHCO−又は−NH−が好ましく、−O−又は−COO−がより好ましい。
【0015】
式(1)中のR
2は、スペーサー部位の中心となる部分であり、直鎖状または分岐状の炭素数
4から炭素数20のアルキレンである。ただし、アルキレンの任意の−CH
2−は、−CF
2−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。また、置き換えられる−CH
2−は、1箇所であっても複数の箇所であってもよい。
更には、このアルキレンの任意の−CH
2−は、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−又は−NHCSNH−の置換基により置き換えられていてもよい。但し、これらの置換基は互いに隣り合わない。これは、R
2が、アルキレン−置換基−アルキレンという構成を含んでいてもよいことを意味している。加えて、R
1が−CH
2−の場合、R
2におけるR
1側の末端は該置換基であってもよいことを意味している。
同様に、R
3が、下記する−CH
2−又はフェニレン基の場合、R
2におけるR
3側の末端は上記置換基であってもよいことを意味している。よって、R
1が−CH
2−であり、かつ、R
3が−CH
2−又はフェニレン基の場合、R
2は置換基−アルキレン−置換基、という構成や、上記置換基のいずれであってもよいことを意味している。なお、上記置換基で置き換えられる−CH
2−は1箇所でも、複数の箇所であってもよい。
上記R
2は、中でも合成の容易性の観点からは、炭素数
4から炭素数10、より好ましくは、炭素数
4から炭素数6のアルキレンが好ましい。
【0016】
式(1)中のR
3は、スペーサー部位における末端ビニル基との結合基を表す。R
3は、−CH
2−、−O−、−NH−及びフェニレン基の中から選ばれる。その中でも合成の容易性の観点から−CH
2−、又は−O−であることが好ましい。
【0017】
式(1)中における二つのアミノ基(−NH
2)の結合位置は限定されない。二つのアミノ基の具体的な位置としては、ベンゼン環上のR
1の結合位置に対して、2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。本発明のジアミン化合物を重合体の原料として用いる場合、アミノ基の反応性の観点からは、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。ジアミン化合物を合成する際の容易性も加味すると、2,4の位置、又は3,5の位置がより好ましい。
【0018】
以下に、本発明のジアミン化合物の好ましい例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記で示した式において、X
1は、−CH
2−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−NH−を表し、X
2は、−CH
2−、−O−又は−NH−を表し、X
3は、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−又は−NH−を表し、X
4は、−CH
2−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−NH−を表す。nは1〜20の整数を表し、n1及びn2は、それぞれ独立して1〜18の整数を表すが、n1とn2の合計は2〜19である。n3、n4及びn5は、それぞれ独立して1〜19の整数を表すが、n3とn4とn5の合計は3〜21である。n6は1〜19の整数を表す。
【0021】
<ジアミン化合物の合成方法>
前記式(1)で表されるジアミン化合物を合成する方法は特に限定されないが、例えば下記式(2)で表されるジニトロ化合物のニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得ることができる。
【0022】
【化5】
(式(2)中のR
1、R
2、及びR
3は、式(1)の定義と同義である)
【0023】
上記のジニトロ化合物を還元する方法としては、末端の二重結合が反応しないようにするため、パラジウム-炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム-アルミナ、硫化白金炭素、スズ、鉄などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系などの溶媒中、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素などによって行う還元方法が挙げられる。
【0024】
上記式(2)で表されるジニトロ化合物は、ジニトロベンゼンに対してR
1を介して−R
2−R
3を結合させる方法などで得ることができる。例えば、R
1がアミド結合(−CONH−)の場合には、ジニトロベンゼンの酸クロリドと、R
2及びR
3を有するアミノ化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。また、R
1が逆アミド結合(−HNCO−)の場合には、アミノ基含有ジニトロベンゼンと、R
2及びR
3を有する酸クロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0025】
R
1がエステル結合(−COO−)の場合には、ジニトロベンゼンの酸クロリドと、R
2及びR
3を有するアルコール化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。また、R
1が逆エステル結合(−OCO−)の場合には、ヒドロキシ基含有ジニトロベンゼンと、R
2及びR
3を有する酸クロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
R
1がエーテル結合(−O−)の場合には、ハロゲン基含有ジニトロベンゼンと、R
2及びR
3を有するアルコール化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
R
1がアミノ結合(−NH−)の場合には、ハロゲン基含有ジニトロベンゼンと、R
2及びR
3を有するアミノ化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
R
1が炭素-炭素結合(−CH
2−)の場合には、ハロゲン基含有ジニトロベンゼンと、R
2及びR
3を有する不飽和結合を有する化合物とをヘック反応や薗頭クロスカップリング反応を利用し、反応させる方法が挙げられる。
【0026】
上記のジニトロベンゼンの酸クロリドとしては、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、2,4−ジニトロ安息香酸クロリド、3,5−ジニトロベンジルクロリド、2,4−ジニトロベンジルクロリドなどが挙げられる。また、アミノ基含有ジニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリンなどが挙げられる。
ヒドロキシ基含有ジニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロフェノール、3,5−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロフェノールなどが挙げられる。
ハロゲン基含有ジニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、3,5−フルオロベンゼン、2,6−フルオロベンゼン、2,4−ジニトロヨードベンゼン、3,5−ジニトロヨードベンゼン、2,6−ジニトロヨードベンゼンなどが挙げられる。
上記反応で用いられるアルカリとしては、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
<重合体>
本発明の重合体は、前記式(1)で表されるジアミン化合物(以下、特定ジアミン化合物ともいう)を原料の一部として合成されるものである。例えば、特定ジアミン化合物を含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分やそのジエステル体成分とを重合反応させることにより得られるポリアミック酸及びポリアミック酸エステル、このポリアミック酸を脱水閉環して得られるポリイミド、ジアミン成分とジカルボン酸クロリド成分やテトラカルボン酸クロリド成分とを重合反応させることにより得られるポリアミドやポリアミック酸などを挙げることができる。
【0028】
<ポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸において、特定ジアミン化合物は、上記の重合反応に用いるジアミン成分の全てであってもよく、その他のジアミン化合物を併用してもよい。また、使用する特定ジアミン化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
特定ジアミン化合物をその他のジアミン化合物と併用する場合において、特定ジアミン化合物の使用割合に特に制限は無いが、特定ジアミン化合物の割合が多いほど、特定ジアミンを使用する効果はより顕著に発揮される。特定ジアミン化合物の好ましい割合をあえて示すならば、重合反応に用いるジアミン成分の10モル%以上が特定ジアミン化合物であることが好ましい。更には、ジアミン成分の30モル%以上が特定ジアミン化合物であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上である。
特定ジアミン化合物と併用するその他のジアミン化合物は特に限定されないが、例えば下記式(3)中のBが下記の表1〜表4に示す2価の有機基である化合物を挙げることができる。
【0034】
前記ポリアミック酸の合成において、以上のようなジアミン成分と重合反応させるテトラカルボン酸二無水物成分は特に限定されない。また、テトラカルボン酸二無水物成分に含まれるテトラカルボン酸二無水物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。上記の重合反応に使用できるテトラカルボン酸二無水物の具体例をあえて挙げるならば、下記式(4)中のAが下記表5及び表6に示す4価の有機基である化合物を挙げることができる。
【0038】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応によりポリアミック酸を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。代表的なものとしては、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを有機溶媒中で混合する方法がある。この方法によれば、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応が有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0039】
上記反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。さらに、ポリアミック酸を溶解させない有機溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。なお、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
以下に、有機溶媒の具体例を挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−エチル-1−ヘキサノール。これらの有機溶媒は単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0040】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、さらにはテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。これらは、いずれの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としてもよい。
【0041】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させる際の温度は、任意の温度を選択することができ、例えば−20℃〜150℃、好ましくは−5℃〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができ、例えば1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。
【0042】
上記の重合反応における、(テトラカルボン酸二無水物成分の合計モル数/ジアミン成分の合計モル数)で表わされるモル比率は、得ようとするポリアミック酸の分子量に応じて任意の値を選択することができる。通常の重縮合反応と同様に、このモル比率が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。モル比率の好ましい範囲を示すならば0.8〜1.2である。
【0043】
<ポリイミド>
ポリイミドは、上記のポリアミック酸を脱水閉環(イミド化)して得ることができる。 ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
【0044】
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方法が好ましい。
ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間などを調節することにより制御することができる。
本発明のポリイミドにおいて、ポリアミック酸からの脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はない。
【0045】
ポリアミック酸又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリアミック酸又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上げることができる。
【0046】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、液晶配向膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで樹脂成分は、前記した本発明の重合体から選ばれる少なくとも一種類の重合体を含む。液晶配向剤における樹脂成分の含有量は、1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明の液晶配向剤において、前記の樹脂成分は全てが本発明の重合体であってもよく、本発明の重合体に他の重合体が混合されていてもよい。他の重合体を混合する場合、かかる他の重合体の含有量は樹脂成分全体の0.5質量%〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。かかる他の重合体は、例えば、特定ジアミンを含まないジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とから得られるポリアミック酸又はポリイミドなどが挙げられる。
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の分子量は、そこから得られる塗膜の強度、及び、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性などを考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
【0047】
本発明の液晶配向剤に用いる有機溶媒は、上述した樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。この有機溶媒は1種類の溶媒であっても2種類以上の混合溶媒であってもよい。あえて有機溶媒の具体例を挙げるならば、前記のポリアミック酸合成で例示した有機溶媒を挙げることができる。中でもN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドは、樹脂成分の溶解性の観点から好ましい。
また、以下に示すような溶媒は、塗膜の均一性や平滑性を向上させるので、樹脂成分の溶解性が高い溶媒に混合して使用すると好ましい。例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、2−エチル−1−ヘキサノールなどが挙げられる。これらの溶媒は複数種類を混合してもよい。これらの溶媒を用いる場合は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
【0048】
本発明の液晶配向剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などが挙げられる。
【0049】
液晶配向膜の厚みの均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製))、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤を使用する場合、その使用割合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0050】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0051】
また、本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜のラビング耐性をさらに上げるために、2,2'-ビス(4−ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、テトラ(メトキシメチル)ビスフェノール等のフェノール化合物を添加してもよい。これらの化合物を使用する場合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0052】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
以上のようにして得られた本発明の液晶配向剤は、基板に塗布し、乾燥し、焼成して被膜とすることができる。この被膜面をラビングなどによる配向処理をすることにより、液晶配向膜として使用することができる。
液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高いものであれば特に限定されず、例えばガラス基板などを用いることができる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合は、電極にアルミニウム等の光を反射する材料が使用される。
【0053】
液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。また、液晶配向剤は、細孔径0.1μm〜1μmのメンブランフィルタで濾過してから塗布することが好ましい。
【0054】
液晶配向剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合や、塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を含めるのが好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が蒸発していれば良く、その乾燥手段については特に限定されない。具体例を挙げるならば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃のホットプレート上で、0.5〜30分、好ましくは1〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
【0055】
液晶配向剤を塗布した後の焼成は、100〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは120℃〜300℃であり、さらに好ましくは150℃〜250℃である。この焼成はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などで行うことができる。
【0056】
焼成後の被膜の厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。
【0057】
ラビング処理に使用されるラビング布の材質としては、綿、ナイロン、レーヨン等を挙げることができる。
【0058】
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
【0059】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにしてもう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、または、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
【0060】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
2,4−ジニトロ−1−(4−ビニルオキシ)ブトキシベンゼンの合成
【0062】
【化8】
500mL(ミリリットル)三口フラスコに、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル5.94g、トリエチルアミン5.70g、及びトルエン30mLを加えた。次いで、系内を100℃に加熱し、20mLのトルエンに溶解させた2,4-ジニトロフルオロベンゼン10gを滴下し、100℃で6時間攪拌した。反応終了後、純水50mLを加え、攪拌した後、酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=7/3(容積比、以下同様である。)の混合溶媒を用いて再結晶を行い、13.2gの目的物を得た(収率90%)。目的物の
1H−NMRの測定結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のジニトロ化合物であることを確認した。なお、
1H−NMRとは、分子内水素原子の核磁気共鳴スペクトルを意味する。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3):δ=8.75 (s,1H), 8.40−8.45 (d,1H), 7.18−7.21 (d,1H), 6.43−6.45 (m,1H), 4.27−4.31 (t,2H), 4.16−4.22 (d,1H), 4.00−4.03 (d,1H),3.75−3.79 (t,2H),1.98−2.07 (m,1H),1.88−1.94 (m,1H)
【0063】
4−(4−(ビニルオキシ)ブトキシ)ベンゼン−1,3−ジアミンの合成
【0064】
【化9】
500mL三口フラスコに、上記のジニトロ化合物2.12g、トルエン20mL、及び10質量%塩化アンモニウム水溶液80mLを加えた。次いで、系内を70℃に加熱し、鉄(電解鉄)を4.2g加え、70℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を30mL加え、沈殿物をろ過し、トルエンで洗浄した。ろ液を酢酸エチルで抽出し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=7/3の混合溶媒を用いて再結晶を行い、0.59gの目的物を得た(収率38%)。目的物の
1H−NMRの測定結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のジアミン化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3):δ=6.60−6.62 (d,1H), 6.44−6.51 (m,1H), 6.13−6.14 (d,1H), 6.03−6.07 (m,1H), 4.14−4.21 (d,1H), 3.96−4.00 (d,1H),3.92−3.96 (t,2H),3.73−3.73 (m,4H),3.34 (s,2H)1.85−1.87 (m,4H)
【0065】
(実施例2)
ウンデセ−10-エニル−3,5−ジニトロベンゾエートの合成
【0066】
【化10】
300mL三口フラスコに、10-ウンデセン-1-オール5.11g、ピリジン2.37g、及びテトラヒドロフラン100mLを加えた。次いで、系内を氷冷により0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを8.3g加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、純水20mLを加え、攪拌した後、酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=7/3の混合溶媒を用いて再結晶を行い、6.9gの目的物を得た(収率63%)。目的物の
1H−NMRの測定結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のジニトロ化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,[D
6]-DMSO):δ=9.04 (s,1H), 8.90 (s,2H), 5.73−5.83 (m,1H), 4.90−5.00 (m,2H), 4.38−4.41 (t,2H), 1.97−2.03 (m,2H), 1.73−1.80 (t,2H), 1.28−1.45 (m,12H)
【0067】
ウンデセ−10−エニル−3,5−ジアミノベンゾエートの合成
【0068】
【化11】
300mL三口フラスコに、上記のジニトロ化合物6.55g、テトラヒドロフラン50mL、及び純水50mlを加えて、系内を攪拌し、塩化すずを17.06g加え、60℃で2時間攪拌した。反応終了後、5質量%炭酸水素ナトリウムを400ml加え、pHを7−8にした。その後、酢酸エチルを160ml加え、白色沈殿物を濾過により取り除き、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=7/3の混合溶媒を用いて再結晶を行い、4.5gの目的物を得た(収率82%)。目的物の
1H−NMRの測定結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のジアミン化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,[D
6]-DMSO):δ=6.41 (s,2H), 6.01 (s,1H), 5.73−5.84 (m,1H), 4.91−5.01 (m,6H), 4.13−4.16 (t,2H), 1.98−2.02 (m,2H), 1.60−1.67 (m,2H), 1.27−1.37 (m,12H)
【0069】
以下の実施例及び比較例における化合物の略号は、以下のとおりである。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
【0070】
【化12】
<ジアミン>
DAC−1:4−(4−(ビニルオキシ)ブトキシ)ベンゼン−1,3−ジアミン
DAC−2:ウンデセ−10−エニル−3,5−ジアミノベンゾエート
DA−1:2−(メタクリロイロキシ)エチル−3,5−ジアミノベンゾエート
DA−2:1,3−ジアミノベンゼン
【0071】
【化13】
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
【0072】
(実施例3)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを7.68g(0.039mol)、ジアミン成分として、DAC−1を8.89g(0.040mol)用い、NMP93.94g中、室温で16時間反応させポリアミック酸(PAA−1)の濃度が15質量%の溶液を得た。この溶液10.0gをNMP10.0g、及びBC5.0gを用いて希釈し、ポリアミック酸(PAA−1)が6質量%、NMPが74質量%、及びBCが20質量%の液晶配向剤を得た。
【0073】
(実施例4)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを7.68g(0.039mol)、ジアミン成分として、DAC−2を12.17g(0.040mol)用い、NMP112.48g中、室温で16時間反応させポリアミック酸(PAA−2)の濃度が15質量%の溶液を得た。この溶液10.0gをNMP10.0g、及びBC5.0gを用いて希釈し、ポリアミック酸(PAA−2)が6質量%、NMPが74質量%、及びBCが20質量%の液晶配向剤を得た。
【0074】
(比較例1)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを7.68g(0.039mol)、ジアミン成分として、DA−1を10.57g(0.040mol)用い、NMP103.41g中、室温で16時間反応させポリアミック酸(PAA−3)の濃度が15質量%の溶液を得た。この溶液10.0gをNMP10.0g、及びBC5.0gを用いて希釈し、ポリアミック酸(PAA−3)が6質量%、NMPが74質量%、及びBCが20質量%の比較対象とする液晶配向剤を得た。
【0075】
(比較例2)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを7.68g(0.039mol)、ジアミン成分として、DA−2を4.32g(0.040mol)用い、NMP103.41g中、室温で16時間反応させポリアミック酸(PAA−3)の濃度が15質量%の溶液を得た。この溶液10.0gをNMP10.0g、及びBC5.0gを用いて希釈し、ポリアミック酸(PAA−4)が6質量%、NMPが74質量%、及びBCが20質量%の比較対象とする液晶配向処理剤を得た。
【0076】
<ポリアミック酸の分子量>
上記の実施例及び比較例で得られたポリアミック酸の分子量は、GPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、その結果をポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシドを用いた検量線により平均分子量として算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC-101)
カラム:Shodex社製 (KD803及びKD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、及びテトラヒドロフラン(THF)が10ml/L。)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及びポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0077】
表7に、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びZ平均分子量(Mz)の算出結果を示す。
【0078】
【表7】
【0079】
<液晶セルの作製>
実施例3、4及び比較例1、2で調製した液晶配向剤について、以下のようにして液晶セルを作製した。
液晶配向剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、70℃のホットプレート上で70秒間乾燥させた後、230℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、及び押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
【0080】
<電圧保持率の評価>
上記に記載の方法で作製したツイストネマティック液晶セルは、90℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、167ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(%)として下記の式により算出した。なお、電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製のVHR−1電圧保持率測定装置を使用した。なお、V
1:印加電圧(V),V
2:極性反転電圧(V)である。
電圧保持率(%)= (V
2/V
1 )×100
【0081】
<ラビング耐性の評価>
上記した液晶セルの作製と同様の方法で液晶配向膜付き基板を作製した。その際、ラビング条件の押し込み量を0.5mmに変更して行った。得られた液晶配向膜表面を共焦点レーザー顕微鏡にて観察し、下記の評価を行った。
○:削れカスやラビング傷が観察されない。
△:削れカスやラビング傷が観察される。
×:膜が剥離する又は目視でラビング傷が観察される。
【0082】
表8に、電圧保持率とラビング耐性の評価結果を示す。
【0083】
【表8】