(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化促進剤は、フェノール性水酸基を有する化合物の少なくとも1種と、ビニルエーテル基を有する化合物の少なくとも1種との付加反応生成物である請求項1に記載の電子部品用樹脂組成物。
前記芳香族アミン化合物は、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子部品用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0027】
<電子部品用樹脂組成物>
本発明の電子部品用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂の少なくとも1種と、(B)芳香族アミン化合物少なくとも1種と、下記一般式(I)で表される構造部位を有する化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「特定硬化促進化合物」ともいう)を含む(C)硬化促進剤とを含有することを特徴とする。
【0029】
式中、L
1は、炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜18の2価の基、又は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。R
1〜R
3はそれぞれ独立に、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種から構成される炭素数1〜18の1価の基、炭素数1〜18の1価の炭化水素基、又は水素原子を示す。R
4〜R
7はそれぞれ独立に、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種から構成される炭素数1〜18の1価の基、炭素数1〜18の1価の炭化水素基、水酸基、又は水素原子を示す。
またR
4〜R
7から選ばれる隣接する2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0030】
前記電子部品用樹脂組成物は、特定構造の化合物を含む硬化促進剤を含有することにより、ポットライフと狭ギャップでの流動性に優れ、成形時のボイドの発生を抑制するとともに、ゲルタイムが短縮され、硬化温度の低温化を可能にする。また、形成される硬化物は、吸湿による各種基材との接着力の低下が小さく、吸湿後においても各種基材との接着力が高い。さらにチップにかかる熱応力が低減される。よって、この電子部品用樹脂組成物を用いて電子部品を封止すれば、成形性、信頼性の高い電子部品装置を得ることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
【0031】
これは例えば以下のように考えることができる。前記特定硬化促進化合物においては、硬化促進作用を有するフェノール性水酸基にビニル基が付加してブロックされた状態であるため、保存安定性及び各種の信頼性に優れると考えられる。さらに硬化時には加熱によりビニル基が速やかに脱離するため、ゲルタイムが短縮され、硬化温度の低温化が図れるものと考えることができる。
【0032】
前記電子部品用樹脂組成物は液状であることが好ましい。なお、本明細書において液状とは、常温(25℃)において液状であることを意味する。具体的には、25℃において、E型粘度計で測定される粘度が1000Pa・s以下であることを意味する。但し、本発明の電子部品用樹脂組成物が、反応などにより硬化した場合は、常温においても固体となる場合もある。尚、上記粘度は、E型粘度計EHD型(コーン角度3°、コーン直径28mm)を用いて、測定温度:25℃、サンプル容量:0.7ml、以下を参考に回転数をサンプルの想定される粘度に合わせて設定の上、測定開始から1分経過後の値を測定値とする。
(1)想定される粘度が100Pa・s以上1000Pa・s以下の場合:回転数0.5rpm
(2)想定される粘度が100Pa・s未満の場合:回転数5rpm
【0033】
(A)エポキシ樹脂
本発明の電子部品用樹脂組成物は、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。前記エポキシ樹脂は特に制限されず、通常用いられるエポキシ樹脂から適宜選択することができる。中でも1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常温において液状である液状エポキシ樹脂であることがより好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂としては、電子部品用樹脂組成物で一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、水添ビスフェノールA等のジグリシジルエーテルであるビスフェノール型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とするフェノール類とアルデヒド類を縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;p―アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸により酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、流動性の観点からは、液状のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。また耐熱性、接着性及び流動性の観点からは、液状のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0035】
前記液状エポキシ樹脂(好ましくは、液状のビスフェノール型エポキシ樹脂及び液状のグリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種)は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。液状エポキシ樹脂の含有率は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中に、合わせて30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0036】
また前記電子部品用樹脂組成物は、本発明の効果が達成される範囲内であれば固形エポキシ樹脂を含んでいてもよい。電子部品用樹脂組成物が固形エポキシ樹脂を含む場合、固形エポキシ樹脂の含有率は、成形時の流動性の観点から、エポキシ樹脂全量中において70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。なお、固形エポキシ樹脂とは常温(25℃)において固体状のエポキシ樹脂であることを意味する。
【0037】
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。中でも、50以上5000以下であることが好ましく、70以上1000以下であることがより好ましく、70以上500以下であることがさらに好ましい。
【0038】
前記エポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、ICなど素子上のアルミ配線腐食に係わるため少ない方が好ましく、耐湿性の優れた電子部品用樹脂組成物を得るためには500ppm以下であることが好ましい。ここで、加水分解性塩素量とは試料のエポキシ樹脂1gをジオキサン30mlに溶解し、1M−KOHメタノール溶液5mlを添加して30分間、過熱還流後、電位差滴定により求めた値を尺度としたものである。
【0039】
前記電子部品用樹脂組成物中における、前記エポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。例えば粘度及び強度の観点から、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましい。
【0040】
(B)芳香族アミン化合物
前記電子部品用樹脂組成物は、少なくとも1種の芳香族アミン化合物を含む。前記芳香族アミン化合物は、芳香族環基を有するアミン化合物を含むものであれば特に制限はない。中でも常温で液状の芳香族アミン化合物であることが好ましい。電子部品用樹脂組成物において、前記芳香族アミン化合物は、例えば硬化剤として機能する。
【0041】
芳香族アミン化合物としては、ジエチルトルエンジアミン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0042】
これらの芳香族アミン化合物は、例えば、市販品として、jERキュアW(三菱化学株式会社製、商品名)、カヤハードA−A、カヤハードA−B、カヤハードA−S(日本化薬株式会社製、商品名)、トートアミンHM−205(東都化成株式会社製、商品名)、アデカハードナーEH−101(旭電化工業株式会社製、商品名)、エポミックQ−640、エポミックQ−643(三井化学株式会社製、商品名)、DETDA80(Lonza社製、商品名)などが入手可能である。
これらの芳香族アミン化合物は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
前記芳香族アミン化合物のなかでも保存安定性の観点から、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、全芳香族アミン化合物中に、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を20質量%以上含有することがより好ましく、全芳香族アミン化合物中に、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を30質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0044】
前記ジエチルトルエンジアミンとしては、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及び3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンが挙げられる。これらは単独で用いても混合物で用いてもよい。
特に、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンを全芳香族アミン化合物中に60質量%以上含むことが好ましい。
【0045】
前記芳香族アミン化合物の活性水素当量は特に制限されない。中でも30以上1000以下であることが好ましく、30以上500以下であることがより好ましく、30以上200以下であることが更に好ましい。
【0046】
前記電子部品用樹脂組成物は、本発明の効果が達成される範囲内であれば上記の芳香族アミン化合物に加えて、芳香族アミン化合物以外のアミン系硬化剤、フェノール性硬化剤、酸無水物等の電子部品用樹脂組成物で一般に使用されているその他の硬化剤を併用することができる。その他の硬化剤は、液状硬化剤であっても、固形硬化剤であってもよい。
その他の硬化剤を併用する場合、前記芳香族アミン化合物の含有率は、その性能を発揮するために、硬化剤全量中において60質量%以上とすることが好ましい。
【0047】
前記電子部品用樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂と(B)芳香族アミン化合物を含む硬化剤との当量比は特に制限はない。それぞれの未反応分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂1.0当量に対して硬化剤を0.7当量以上1.8当量以下の範囲に設定することが好ましく、0.8当量以上1.6当量以下がより好ましく、1.0以上1.5当量以下が更に好ましい。
【0048】
(C)硬化促進剤
前記電子部品用樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される構造部位を有する化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(特定硬化促進化合物)を含む硬化促進剤を含有する。
【0050】
式中、L
1は、「炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜18の2価の基」又は「炭素数1〜18の2価の炭化水素基」を示す。R
1〜R
3はそれぞれ独立に、「炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種からから構成される炭素数1〜18の1価の基」、「炭素数1〜18の1価の炭化水素基」、又は「水素原子」を示す。R
4〜R
7はそれぞれ独立に、「炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種から構成される炭素数1〜18の1価の基」、「炭素数1〜18の1価の炭化水素基」、「水酸基」、又は「水素原子」を示す。
またR
4〜R
7からから選ばれる隣り合う2つの基は、互いに連結して飽和環又は不飽和環を形成してもよい。
【0051】
前記特定硬化促進化合物が、前記一般式(I)で表される構造部位を有することは、通常用いられる分析方法を用いて確認することができる。具体的には、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤外線吸収(IR)スペクトル等を用いて確認することが可能である。
【0052】
「炭素数1〜18の2価の炭化水素基」の具体例としては、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;炭素数3〜18のシクロアルキレン基;炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基;炭素数3〜18のシクロアルケニレン基;フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜18のアリーレン基などが挙げられる。
中でも、ポットライフの観点から、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;炭素数3〜12のシクロアルキレン基;炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基;炭素数3〜12のシクロアルケニレン基;炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
【0053】
また「炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜18の2価の基」の具体例としては、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ジエチレンオキシ基、ジプロピレンオキシ基、トリエチレンオキシ基、トリプロピレンオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基及び直鎖状又は分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ基などが挙げられる。
中でも、ポットライフの観点から、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基及び炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基及び炭素数2〜8直鎖状又は分岐鎖状のオリゴアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基がさらに好ましい。
【0054】
「炭素数1〜18の1価の炭化水素基」の具体例としては、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基などが挙げられる。
中でも、ポットライフの観点から、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基及び炭素数6〜18のアリール基が好ましく、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基及び炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
【0055】
「炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子から構成される炭素数1〜18の1価の基」の具体例としては、メトキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、ベンゾイルフェニル基、アセチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、2-ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルエチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルスルホニル基、3−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、3-ヒドロキシフェニルオキシ基、3−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、3−ヒドロキシフェニルエチルメチル基、3−ヒドロキシフェニルチオ基、3−ヒドロキシフェニルスルホニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニルメチル基、4-ヒドロキシフェニルオキシ基、4−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、4−ヒドロキシフェニルエチルメチル基、4−ヒドロキシフェニルチオ基、4−ヒドロキシフェニルスルホニル基等の炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子から構成される置換基により置換されたアルキル基、アリール基などが挙げられる。
中でも、ポットライフ及び速硬化性の観点から、メトキシ基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、2-ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルエチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルチオ基及び2−ヒドロキシフェニルスルホニル基が好ましく、メトキシ基、フェノキシメチル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、2-ヒドロキシフェニルオキシ基及び2−ヒドロキシフェニルメチルメチル基がより好ましい。
【0056】
L
1は、ポットライフ及び速硬化性の観点から、炭素数1〜12の2価の炭化水素基並びに炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜12の2価の基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基並びに炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜8の2価の基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基及び炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0057】
R
1〜R
3はそれぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子及び炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、水素原子及び炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
【0058】
R
4〜R
7はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、並びに炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子から構成される炭素数1〜12の1価の基が好ましく、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールチオ基及び置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールスルホニル基がより好ましく、水素原子、水酸基、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、水酸基を有してもよい炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、水酸基を有してもよい炭素数6〜9のアリールオキシ基、水酸基を有してもよい炭素数6〜9のアリールアルキル基、水酸基を有してもよい炭素数6〜9のアリールチオ基及び水酸基を有してもよい炭素数6〜9のアリールスルホニル基がさら好ましく、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、フェノキシ基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、2-ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルエチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルチオ基、及び2−ヒドロキシフェニルスルホニル基が特に好ましい。
【0059】
また一般式(I)で表される構造部位におけるR
4〜R
7のうち、酸素原子に対してオルト位に位置する基は、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子から構成される炭素数1〜18の1価の基、又は水酸基が好ましく、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、2-ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシフェニルメチルメチル基、2−ヒドロキシフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルスルホニル基、又は水酸基がより好ましい。
酸素原子のオルト位に特定の置換基を有することで、硬化促進性がより向上する傾向がある。
【0060】
前記特定硬化促進化合物は、硬化促進性の観点から、下記一般式(IIa)、一般式(IIb)、及び一般式(IIc)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【0062】
一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)中、L
21は、「炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜18の2価の基」、又は「炭素数1〜18の2価の炭化水素基」を示す。R
21〜R
26はそれぞれ独立に、「水素原子」又は「炭素数1〜18の1価の炭化水素基」を示す。
Arは、「炭素数6〜18のm価の芳香族炭化水素基」又は「少なくとも2つの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が、単結合若しくは炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、カルボニル基及び酸素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる連結基で連結されて全体としてm価となる基」を示す。
mは2〜8の整数を示し、nは0〜20の整数を示す。
【0063】
一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)における炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜18の2価の基、炭素数1〜18の2価の炭化水素基及び炭素数1〜18の1価の炭化水素基の詳細は、上記と同様である。
【0064】
L
21は、ポットライフ及び速硬化性の観点から、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、並びに炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜12の2価の基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基並びに炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される炭素数1〜8の2価の基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基及び炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0065】
R
21〜R
26はそれぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子及び炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、水素原子及び炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
【0066】
Arがm価の芳香族炭化水素基を示す場合、Arは芳香族炭化水素化合物からm個の水素原子を取り除いて構成される基であり、水素原子が取り除かれる位置は特に制限されない。
m価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素化合物は、ポットライフと速硬化性の観点から、炭素数6〜18であることが好ましく、炭素数6〜15であることがより好ましく、炭素数6〜12であることがさらに好ましい。
【0067】
m価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素化合物として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどを挙げることができる。
また前記芳香族炭化水素は、置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、水酸基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基などを挙げることができる。置換基としては中でも、水酸基が好ましい。
【0068】
Arにおける2以上の芳香族炭化水素基が単結合若しくは炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、カルボニル基及び酸素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる連結基で連結され、前記芳香族炭化水素基が酸素原子との結合位置となるm価の基(以下、「m価の芳香族含有連結基」ともいう)は、2以上の芳香族炭化水素化合物が単結合若しくは前記連結基で連結されてなる芳香族環含有化合物の芳香族炭化水素基からm個の水素原子を取り除いて構成される基であり、水素原子が取り除かれる位置は特に限定されない。
芳香族環含有化合物を構成する芳香族炭化水素化合物は、前記m価の芳香族炭化水素基おける芳香族炭化水素化合物と同様である。
【0069】
2以上の芳香族炭化水素基を連結する連結基の具体例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ジエチレンオキシ基等の炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基及びその重合体;酸素原子;カルボニルオキシ基;カルボニル基;並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
これらの中でも、ポットライフと速硬化性の観点から、単結合、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子、カルボニルオキシ基及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0070】
以下にArにおける芳香族含有連結基を構成する芳香族環含有化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0072】
Arで表されるm価の芳香族含有連結基における結合位置は芳香族炭化水素基上である。以下にArで表される芳香族含有連結基の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。下記化学式中、「*」は結合位置を示す。
【0074】
またArにおける芳香族含有連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、水酸基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基などを挙げることができる。置換基としては中でも、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0075】
一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)においては、速硬化性、低粘度性及びポットライフの観点から、mが2〜4の整数であり、nが0〜10の整数であることが好ましい。
また一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)にL
21、R
21〜R
26及びArのいずれかが2以上存在する場合、2以上存在するL
21、R
21〜R
26及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0076】
前記特定硬化促進化合物は、硬化促進性の観点から、一般式(III)で表される化合物であることもまた好ましい。
【0078】
一般式(III)におけるL
21、R
21〜R
23、及びArは、一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)におけるL
21、R
21〜R
23、及びArとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
R
27は、「水素原子」又は「下記一般式(IIIa)若しくは一般式(IIIb)で表される基」を示す。
【0080】
一般式(IIIa)及び一般式(IIIb)におけるR
21〜R
23及びArは、一般式(III)におけるR
21〜R
23及びArとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。mは1〜8の整数を示し、pは1〜8の整数を示し、m≧pである。速硬化性及びポッとライフの観点から、mが1〜5の整数であり、pが1〜5の整数であり、m≧pであることが好ましい。
一般式(III)において、L
21、R
21〜R
23、R
27及びArのいずれかが2以上存在する場合、2以上存在するL
21、R
21〜R
23、R
27及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0081】
前記特定硬化促進化合物の重量平均分子量は特に制限されない。取扱性に優れた粘度を有する電子部品用樹脂組成物とする観点から、200〜20000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましく、300〜5000であることが更に好ましい。
なお、特定硬化促進化合物の重量平均分子量は、質量分析装置又はGPC法を用いた通常の方法で測定することができる。
【0082】
一般式(I)で表される構造部位を有する化合物(特定硬化促進化合物)は、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物とビニルエーテル基を有する化合物とを付加反応させることで得ることができる。付加反応の反応条件は特に制限されない。例えば、50℃〜150℃の温度範囲で10分〜24時間程度反応させることによって得ることができる。また付加反応は窒素雰囲気下で行うこともできる。
【0083】
さらに付加反応には、キシレン等の溶媒を用いてもよい。また付加反応は酸性リン酸エステル等の酸触媒により促進することもできる。なお、付加反応の反応終点は、残存するフェノール性水酸基を例えば、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定することにより決定できる。
【0084】
フェノール性水酸基を有する化合物とビニルエーテル基を有する化合物とを付加反応させる際の仕込みモル比は、フェノール性水酸基を有する化合物及びビニルエーテル基を有する化合物の構造に応じて適宜選択することができる。
例えば、特定硬化促進化合物が一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)のいずれかで表される化合物である場合、フェノール性水酸基を有する化合物に、ビニルエーテル基を有する化合物としてビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物及びビニルエーテル基を1つ有するビニルアルキルエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を付加反応させることで、一般式(IIa)、一般式(IIb)及び一般式(IIc)のいずれかで表される化合物を得ることができる。ビニルエーテル基を有する化合物としては、ビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物を用いることが好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物とビニルエーテル化合物の仕込み量比は、フェノール性水酸基を有する化合物が有するフェノール性水酸基の総数mに応じて適宜選択することができる。例えばフェノール性水酸基の総数に対して0.55倍モル以上であることが好ましく、0.75〜4倍モルであることがより好ましい。
【0085】
また特定硬化促進化合物が一般式(III)で表される化合物である場合、フェノール性水酸基を有する化合物に、ビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物及びビニルエーテル基を1つ有するビニルアルキルエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を付加反応させることで、一般式(III)で表される化合物を得ることができる。ビニルエーテル基を有する化合物としては、ビニルエーテル基を1つ有するビニルアルキルエーテル化合物を用いることが好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物とビニルエーテル基を有する化合物の仕込み量比は、フェノール性水酸基を有する化合物が有するフェノール性水酸基の総数に応じて適宜選択することができる。例えばフェノール性水酸基の総数に対して1倍モルを超えていればよい。中でも1.1〜4倍モルであることが好ましく、1.2〜3倍モルであることがより好ましく、1.2〜2倍モルであることがさらに好ましい。
【0086】
さらにまたビニルエーテル化合物を、フェノール性水酸基を有する化合物に対して過剰に含むことによって、ビニルエーテル化合物が脱離しても平衡反応によりフェノール性水酸基がブロックされるため、保存安定性により優れる。また、過剰なビニルエーテル化合物により適切な分子量で重合反応が停止するため、粘度を所望の範囲内とすることも可能である。
【0087】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2'−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物;α−ナフトール、β−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物;また前記フェノール化合物及びナフトール化合物の少なくとも1種と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;前記フェノール化合物及及びナフトール化合物の少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂及びメタキシリレン変性フェノール樹脂の少なくとも1種;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;フェノール化合物及びナフトール化合物の少なくとも1種と、ジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;クロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;並びにこれら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
これらの中でも、低粘度の観点からは、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また硬化促進性の観点からは、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、及び2,3−ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0089】
またビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1−プロペニルビニルエーテル、1,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、1,3−ジメチルブチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、5−メチルヘキシルビニルエーテル、1−ペンチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、1−メチルヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−エチル−1−メチルオクチルビニルエーテル、2−メチルオクチルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、ヘニコシルビニルエーテル、n−ドコシルビニルエーテル、トリコシルビニルエーテル、テトラコシルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、6−メチルヘプチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、(1,5−ジメチル−1−ビニル−4−ヘキセニル)ビニルエーテル、ビニル(1−メチルエテニル)エーテル、1−メチルアリルビニルエーテル、2−メチルアリルビニルエーテル、ビニル2−ブテニルエーテル、2−ペンテニルビニルエーテル、cis−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、trans−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−エチルアリルビニルエーテル、1,3−ジメチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−メチル−2−ヘキセニルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、(6−フェニル−2−ヘキセニル)ビニルエーテル、(2,2−ジメチルプロピル)ビニルエーテル、(1−エチルプロピル)ビニルエーテル、(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)ビニルエーテル、p−フェニルベンジルビニルエーテル、ビニル(α−メチルベンジル)エーテル、フェネチルビニルエーテル、2−フェニルプロピルビニルエーテル、3−フェニルプロピルビニルエーテル、α,α−ジメチルベンジルビニルエーテル、ビニルベンズヒドリルエーテル、2−フェニルアリルビニルエーテル、1−メチル−2−フェニルアリルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、3−ヘキセニルビニルエーテル、4−ヘキセニルビニルエーテル、5−ヘキセニルビニルエーテル、1−ヘプテニルビニルエーテル、2−ヘプテニルビニルエーテル、3−ヘプテニルビニルエーテル、4−ヘプテニルビニルエーテル、5−ヘプテニルビニルエーテル、6−ヘプテニルビニルエーテル、1−オクテニルビニルエーテル、2−オクテニルビニルエーテル、3−オクテニルビニルエーテル、4−オクテニルビニルエーテル、5−オクテニルビニルエーテル、6−オクテニルビニルエーテル、7−オクテニルビニルエーテル、1−ノネニルビニルエーテル、2−ノネニルビニルエーテル、3−ノネニルビニルエーテル、4−ノネニルビニルエーテル、5−ノネニルビニルエーテル、6−ノネニルビニルエーテル、7−ノネニルビニルエーテル、8−ノネニルビニルエーテル、1−デセニルビニルエーテル、2−デセニルビニルエーテル、3−デセニルビニルエーテル、4−デセニルビニルエーテル、5−デセニルビニルエーテル、6−デセニルビニルエーテル、7−デセニルビニルエーテル、8−デセニルビニルエーテル、9−デセニルビニルエーテル、1−ウンデセニルビニルエーテル、2−ウンデセニルビニルエーテル、3−ウンデセニルビニルエーテル、4−ウンデセニルビニルエーテル、5−ウンデセニルビニルエーテル、6−ウンデセニルビニルエーテル、7−ウンデセニルビニルエーテル、8−ウンデセニルビニルエーテル、9−ウンデセニルビニルエーテル、10−ウンデセニルビニルエーテル、3,6−ジオキサ−1−デセン、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、o−トリルビニルエーテル、m−トリルビニルエーテル、p−トリルビニルエーテル、2,3−キシリルビニルエーテル、2,4−キシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(2−シクロヘキシリデンエチル)エーテル、4−[3−(2,2,4−トリメチル)ペンチル]−シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ドデシルシクロヘキシルビニルエーテル、4−シクロヘキシルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(シクロヘキシルメチル)エーテル、1−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−デカヒドロナフチルビニルエーテル、2−シクロペンテニルビニルエーテル、2−シクロヘキセニルビニルエーテル、1−シクロペンテニルメチルビニルエーテル、1−シクロペンテニルエチルビニルエーテル、(1−シクロヘキセニルメチル)ビニルエーテル、[1−(1−シクロヘキセニル)エチル]ビニルエーテル、(3−メチル−1−シクロヘキセニル)メチルビニルエーテル、[(3,4−ジメチル−1−シクロヘキセニル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル−4−エトキシ−1−シクロヘキセニル)メチル]ビニルエーテル、シクロヘプテニルメチルビニルエーテル、シクロオクテニルメチルビニルエーテル、2−シクロブチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロペンチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシリデン−1−メチルエチルビニルエーテル、2−シクロヘプチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロオクチリデンエチルビニルエーテル、テルピネイルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、ノルボニルビニルエーテル、2−フリルビニルエーテル、3−フリルビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−チエニルビニルエーテル、3−チエニルビニルエーテル、2−テニルビニルエーテル、2−ピリジルビニルエーテル、3−ピリジルビニルエーテル、4−ピリジルビニルエーテル、2,6,8−トリメチルノニルビニルエーテル、酢酸2−(ビニルオキシ)エチル、3−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、ビニル(3,3−ジフェニル−2−プロペニル)エーテル、N,N−ジメチル−2−(ビニルオキシ)エタンアミン、[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ビニルエーテル、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、3−ビニロキシプロピルビニルエーテル、3,9−ジオキサ−1,10−ウンデカジエン、10−ビニロキシデシルビニルエーテル、12−ビニロキシオクタデシルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、レゾルシノールジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物、脂環式ビニルエーテル化合物及び芳香族ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
【0090】
そのなかでも保存安定性の観点からジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテルといったビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物が好ましく、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルがより好ましい。
【0091】
また、合成後のハンドリングの観点からメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1−プロペニルビニルエーテル、1,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、1,3−ジメチルブチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、5−メチルヘキシルビニルエーテル、1−ペンチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、1−メチルヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−エチル−1−メチルオクチルビニルエーテル、2−メチルオクチルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ビニルヘキサデシルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、ヘニコシルビニルエーテル、n−ドコシルビニルエーテル、トリコシルビニルエーテル、テトラコシルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニル(6−メチルヘプチル)エーテル、ビニルsec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、(1,5−ジメチル−1−ビニル−4−ヘキセニル)ビニルエーテル、ビニル(1−メチルエテニル)エーテル、1−メチルアリルビニルエーテル、2−メチルアリルビニルエーテル、ビニル2−ブテニルエーテル、2−ペンテニルビニルエーテル、cis−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、trans−1−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−エチルアリルビニルエーテル、1,3−ジメチル−2−ブテニルビニルエーテル、1−メチル−2−ヘキセニルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、(6−フェニル−2−ヘキセニル)ビニルエーテル、(2,2−ジメチルプロピル)ビニルエーテル、(1−エチルプロピル)ビニルエーテル(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)ビニルエーテル、p−フェニルベンジルビニルエーテル、ビニル(α−メチルベンジル)エーテル、フェネチルビニルエーテル、2−フェニルプロピルビニルエーテル、3−フェニルプロピルビニルエーテル、α,α−ジメチルベンジルビニルエーテル、ビニルベンズヒドリルエーテル、2−フェニルアリルビニルエーテル、1−メチル−2−フェニルアリルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、3−ヘキセニルビニルエーテル、4−ヘキセニルビニルエーテル、5−ヘキセニルビニルエーテル、1−ヘプテニルビニルエーテル、2−ヘプテニルビニルエーテル、3−ヘプテニルビニルエーテル、4−ヘプテニルビニルエーテル、5−ヘプテニルビニルエーテル、6−ヘプテニルビニルエーテル、1−オクテニルビニルエーテル、2−オクテニルビニルエーテル、3−オクテニルビニルエーテル、4−オクテニルビニルエーテル、5−オクテニルビニルエーテル、6−オクテニルビニルエーテル、7−オクテニルビニルエーテル、1−ノネニルビニルエーテル、2−ノネニルビニルエーテル、3−ノネニルビニルエーテル、4−ノネニルビニルエーテル、5−ノネニルビニルエーテル、6−ノネニルビニルエーテル、7−ノネニルビニルエーテル、8−ノネニルビニルエーテル、1−デセニルビニルエーテル、2−デセニルビニルエーテル、3−デセニルビニルエーテル、4−デセニルビニルエーテル、5−デセニルビニルエーテル、6−デセニルビニルエーテル、7−デセニルビニルエーテル、8−デセニルビニルエーテル、9−デセニルビニルエーテル、1−ウンデセニルビニルエーテル、2−ウンデセニルビニルエーテル、3−ウンデセニルビニルエーテル、4−ウンデセニルビニルエーテル、5−ウンデセニルビニルエーテル、6−ウンデセニルビニルエーテル、7−ウンデセニルビニルエーテル、8−ウンデセニルビニルエーテル、9−ウンデセニルビニルエーテル、10−ウンデセニルビニルエーテル、3,6−ジオキサ−1−デセン、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、o−トリルビニルエーテル、m−トリルビニルエーテル、p−トリルビニルエーテル、2,3−キシリルビニルエーテル、2,4−キシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル、2−シクロヘキシリデンエチルビニルエーテル、4−[3−(2,2,4−トリメチル)ペンチル]−シクロヘキシルビニルエーテル、4−n−ドデシルシクロヘキシルビニルエーテル、4−シクロヘキシルシクロヘキシルビニルエーテル、ビニル(シクロヘキシルメチル)エーテル、1−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−デカヒドロナフチルビニルエーテル、2−シクロペンテニルビニルエーテル、2−シクロヘキセニルビニルエーテル、1−シクロペンテニルメチルビニルエーテル、1−シクロペンテニルエチルビニルエーテル、(1−シクロヘキセニルメチル)ビニルエーテル、[1−(1−シクロヘキセニル)エチル]ビニルエーテル、(3−メチル−1−シクロヘキセニル)メチルビニルエーテル、[(3,4−ジメチル−1−シクロヘキセニル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル−4−エトキシ−1−シクロヘキセニル)メチル]ビニルエーテル、シクロヘプテニルメチルビニルエーテル、シクロオクテニルメチルビニルエーテル、2−シクロブチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロペンチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロヘキシリデン−1−メチルエチルビニルエーテル、2−シクロヘプチリデンエチルビニルエーテル、2−シクロオクチリデンエチルビニルエーテル、テルピネイルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、ノルボニルビニルエーテル、2−フリルビニルエーテル、3−フリルビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−チエニルビニルエーテル、3−チエニルビニルエーテル、2−テニルビニルエーテル、2−ピリジルビニルエーテル、3−ピリジルビニルエーテル、4−ピリジルビニルエーテル、2,6,8−トリメチルノニルビニルエーテル、酢酸2−(ビニルオキシ)エチル、3−メチル−2−ブテニルビニルエーテル、ビニル(3,3−ジフェニル−2−プロペニル)エーテル、N,N−ジメチル−2−(ビニルオキシ)エタンアミン、[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ビニルエーテル、グリシジルビニルエーテルといったビニルエーテル基を1つ有するビニルエーテル化合物が好ましく、プロピルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、及びグリシジルビニルエーテルからなる群より選ばれるビニルエーテル基を1つ有するビニルエーテル化合物がより好ましい。
【0092】
前記特定硬化促進化合物は、電子部品用樹脂組成物の低粘度と保存安定性の観点から、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物の付加反応物であることが好ましく、
前記ビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物が、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、及びポリプロピレングリコールジビニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、
さらに硬化促進性の観点から、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、及び2,3−ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、及びポリプロピレングリコールジビニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物の付加反応物であることがさらに好ましい。
【0093】
また前記特定硬化促進化合物は、電子部品用樹脂組成物の低粘度とハンドリング性の観点から、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ビニルエーテル基を1つだけ有するビニルエーテル化合物の付加反応物であることが好ましく、
硬化促進性の観点から、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、及び2,3−ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ビニルエーテル基を1つだけ有するビニルエーテル化合物の付加反応物であることがより好ましい。
【0094】
前記電子部品用樹脂組成物は、低粘度と保存安定性の観点から、前記特定硬化促進化合物が、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物の付加反応物であり、その含有率がエポキシ樹脂の総質量に対して0.2質量%〜30質量%であることが好ましく、
前記特定硬化促進化合物が、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、及びポリプロピレングリコールジビニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であるビニルエーテル基を2つ有するジビニルエーテル化合物の付加反応物であり、その含有率がエポキシ樹脂の総質量に対して0.6質量%〜20質量%であることがより好ましい。
【0095】
さらに前記電子部品用樹脂組成物は、低粘度とハンドリング性の観点から、前記特定硬化促進化合物が、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フロログルシノール、2,2’−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール化合物、並びに、α−ナフトール、β−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性水酸基を有する化合物と、ビニルエーテル基を1つだけ有するビニルエーテル化合物の付加反応物であり、その含有率がエポキシ樹脂の総質量に対して0.2質量%〜30質量%であることもまた好ましい。
【0096】
前記電子部品用樹脂組成物は、本発明の効果が達成される範囲内であれば、特定硬化促進化合物に加えて、さらに従来公知のその他の硬化促進剤も併用することができる。その他の硬化促進剤としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物;トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−ヒドロキシイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキル基置換トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;並びにこれらの誘導体が挙げられる。さらには2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のフェニルボロン塩などが挙げられる。また潜在性を有するその他の硬化促進剤として、常温固体のアミノ基を有する化合物をコアとして、常温固体のエポキシ化合物のシェルを被覆してなるコア−シェル粒子が挙げられ、市販品としてアミキュア(味の素株式会社製、商品名)、マイクロカプセル化されたアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたノバキュア(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)などが使用できる。
【0097】
硬化促進剤の含有率は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではない。前記エポキシ樹脂の総質量に対して0.2質量%〜30質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜25質量%の範囲がより好ましく、6質量%〜20質量%の範囲がさらに好ましい。0.2質量%以上含有することで硬化促進剤の添加効果が充分に発揮することができ、結果として成形時のボイド発生の抑制や、反り低減効果を充分に得られやすくなる。30質量%以下であることで保存安定性により優れる。
【0098】
(D)無機充填剤
前記電子部品用樹脂組成物は更に、熱膨張係数の低減などの観点から、無機充填剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニアなどがあり、これらの粉体、又はこれらを球形化したビーズの他、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でも溶融シリカが好ましく、電子部品用樹脂組成物の微細間隙への流動性・浸透性の観点からは球形シリカがより好ましい。これらの無機充填剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
無機充填剤の体積平均粒径は、特に球形シリカの場合、0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、体積平均粒径0.3μm以上5μm以下の範囲がより好ましく、0.5μm以上3μm以下の範囲がさらに好ましい。体積平均粒径が0.1μm以上とすることで液状樹脂への分散性に優れ、電子部品用樹脂組成物にチキソトロピック性が付与されにくく、流動特性に優れる効果が得られる。10μm以下とすることで、電子部品用樹脂組成物中での無機充填剤の沈降を低減でき、電子部品用樹脂組成物としての微細間隙への浸透性・流動性が向上してボイド・未充填を防止できる傾向がある。
体積平均粒径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定することができる。
【0100】
無機充填剤の含有率は、電子部品用樹脂組成物の総質量中に50質量%以上80質量%以下の範囲に設定することが好ましい。無機充填剤の含有率は55質量%以上75質量%以下の範囲に設定することが好ましく、さらに好ましくは60質量%以上70質量%以下である。無機充填剤の含有率が50質量%以上であると、熱膨張係数の低減効果が得られやすい。また無機充填剤の含有率が80質量%を以下であると、電子部品用樹脂組成物の粘度が上昇を防ぎ、流動性・浸透性及びディスペンス性が良好となる。
【0101】
(E)その他添加剤
前記電子部品用樹脂組成物は、耐熱衝撃性向上、半導体素子への応力低減などの観点から各種可撓剤を含有することができる。可撓剤としては特に制限はないが、ゴム粒子が好ましい。可撓剤としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、アクリルゴム(AR)等のゴム粒子が挙げられる。なかでも耐熱性、耐湿性の観点からアクリルゴムからなるゴム粒子が好ましく、コアシェル型アクリル系重合体、すなわちコアシェル型アクリルゴム粒子がより好ましい。
【0102】
また、上記以外のゴム粒子としてシリコーンゴム粒子も好適に用いることができる。シリコーンゴム粒子としては、直鎖状のポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子、表面がシリコーンレジンで被覆されたシリコーンゴム粒子、表面がエポキシ基で修飾されたシリコーンゴム粒子、乳化重合などで得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルからなるコア−シェル重合体粒子などが挙げられる。
【0103】
これらのシリコーンゴム粒子の形状は無定形であっても球形であっても使用することができるが、電子部品用樹脂組成物の成形性に関わる粘度を低く抑えるためには球形のものを用いることが好ましい。これらのシリコーンゴム粒子は東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、信越化学工業株式会社などから市販品が入手可能である。
【0104】
シリコーンゴム粒子の体積平均粒径は、耐熱衝撃性向上、半導体素子への応力低減などの観点から、0.001μm以上100μm以下であることが好ましく、0.01μm以上50μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上10μm以下であることが更に好ましい。
【0105】
また前記電子部品用樹脂組成物は、必要に応じてシリコーン変性エポキシ樹脂を含有してもよい。シリコーン変性エポキシ樹脂は例えば、界面活性剤としての効果を有する。シリコーン変性エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。このシリコーン変性エポキシ樹脂は、常温で液状であることが好ましい。エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとしては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等の官能基を1分子中に1個以上有するジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。該オルガノシロキサンの重量平均分子量としては500以上5000以下の範囲が好ましい。重量平均分子量が500以上5000以下であると前記エポキシ樹脂との相溶性が適度であるためである。すなわち重量平均分子量が500以上であると、エポキシ樹脂と適度に相溶し、添加剤としての効果が適切に発揮される。重量平均分子量が5000以下であると、エポキシ樹脂に非相溶となることが抑えられ、シリコーン変性エポキシ樹脂が成形時に分離したり染み出したりするのを抑制し、接着性や外観に優れる。
【0106】
前記シリコーン変性エポキシ樹脂を得るためのエポキシ樹脂としては電子部品用樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂に相溶するものであれば特に制限はなく、電子部品用樹脂組成物に一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等のフェノール化合物とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらのエポキシ樹脂は常温で液状のものが好ましい。
【0107】
シリコーン変性エポキシ樹脂の含有率は、電子部品用樹脂組成物の総質量中に、0.01質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。シリコーン変性エポキシ樹脂の含有率が0.01質量%以上であると充分な添加効果が得られる傾向がある。またシリコーン変性エポキシ樹脂の含有率が1.5質量%以下であると、硬化時に硬化物表面からの染み出しの発生を防止し、接着力の低下を防止できる傾向がある。本発明の効果が得られる範囲であれば、シリコーン変性エポキシ樹脂以外にも、界面活性剤としての効果を持つ添加剤を含有することができる。
【0108】
前記電子部品用樹脂組成物は、必要に応じてカップリング剤を更に含有することができる。カップリング剤を含有することで、エポキシ樹脂と無機充填剤、又はエポキシ樹脂と電子部品の構成部材との界面接着をより強固にすることができる。これらのカップリング剤には特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。カップリング剤としては例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、及び3級アミノ基から選ばれる少なくとも1種を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。これらを具体的に例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
また、本発明の電子部品用樹脂組成物には、必要に応じて下記一般式(1)又は(2)で表されるイオントラップ剤を更に含有することが好ましい。イオントラップ剤を更に含有することで、IC等の半導体素子の耐マイグレーション性、耐湿性及び高温放置特性をより向上させることができる。
Mg
(1−x)Al
x(OH)
2(CO
3)
x/2・mH
2O ・・・(1)
(0<x≦0.5、mは正の数)
BiO
x(OH)
y(NO
3)
z ・・・(2)
(0.9≦x≦1.1、 0.6≦y≦0.8、 0.2≦z≦0.4)
【0110】
これらイオントラップ剤の含有率としては、前記電子部品用樹脂組成物の総質量中に0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下である。イオントラップ剤の体積平均粒径は0.1μm以上3.0μm以下が好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。なお、一般式(1)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社製商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、一般式(2)の化合物は市販品としてIXE500(東亞合成製商品名)として入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等の含水酸化物などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
前記電子部品用樹脂組成物は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤、レベリング剤、消泡剤などを必要に応じて含有することができる。
【0112】
前記電子部品用樹脂組成物は、上記各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、所定の配合量の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサなどを用いて混合、混練し、必要に応じて脱泡処理することによって得ることができる。
【0113】
本発明の電子部品用樹脂組成物の25℃における粘度は、0.01Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜200Pa・sであることがより好ましく、1Pa・s〜50Pa・sであることが更に好ましい。
電子部品用樹脂組成物の25℃における粘度は、E型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定する。
【0114】
前記電子部品用樹脂組成物は、半導体素子と基板との間隙を封止するのに用いることができる。前記電子部品用樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、例えば、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式などが挙げられる。
【0115】
<電子部品装置>
本発明の電子部品装置は、半導体素子と、前記半導体素子の電極が形成された面と対向する面上に回路を有する無機又は有機の基板と、前記半導体素子と前記基板との間に挟持され、前記電極と前記回路とを電気的に接続するバンプと、前記半導体素子と前記基板との間隙に充填された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子部品用樹脂組成物の硬化物とを有する。
具体的に、前記電子部品装置は、半導体素子の電極が配置された面と、無機又は有機の基板の回路が配置された面とを対向させ、前記半導体素子の電極と前記基板の回路とをバンプを介して電気的に接続し、前記半導体素子と前記基板との間隙に前記電子部品用樹脂組成物を封止することで得ることができる。
【実施例】
【0116】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
電子部品用樹脂組成物の調製に際し、以下に示す材料を用意した。また以下に示すようにして、特定硬化促進化合物である硬化促進剤1〜13を調製した。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ1:ビスフェノールFをエポキシ化して得られるエポキシ当量160の液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名jER806)
・エポキシ2:アミノフェノールをエポキシ化して得られるエポキシ当量95の3官能液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名jER630)
【0118】
(硬化剤)
・芳香族アミン1:活性水素当量45のジエチルトルエンジアミン(液状の芳香族アミン化合物;三菱化学株式会社製、商品名jERキュアW)
・芳香族アミン2:活性水素当量63のジエチルジアミノジフェニルメタン(液状の芳香族アミン化合物;日本化薬株式会社製、商品名カヤハードA−A)
・脂肪族アミン:活性水素当量160のジェファーアミンT−403(液状の脂肪族アミン;三井化学ファイン株式会社製)
・酸無水物:酸無水物当量168の液状酸無水物(日立化成工業株式会社製、商品名HN5500)
・フェノール樹脂:水酸基当量141のアリル化フェノールノボラック樹脂(液状のフェノール樹脂;明和化成株式会社製、商品名MEH−8000H)
【0119】
(その他の硬化促進剤)
・硬化促進剤14:2−フェニル−4−メチル−ヒドロキシイミダゾール
・硬化促進剤15:カテコール(CAT)
・硬化促進剤16:2,2'-ビフェノール(OBP)
(無機充填剤)
・シリカ:体積平均粒径1μmの球状溶融シリカ
(添加剤)
・シリコーンゴム粒子:ジメチル型固形シリコーンゴム粒子の表面がエポキシ基で修飾された体積平均粒径2μmの球状のシリコーンゴム粒子、
・シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名MA−100)
・イオントラップ剤:ビスマス系イオントラップ剤(東亞合成株式会社製、商品名IXE−500)
【0120】
以下で合成した硬化促進剤の重量平均分子量(Mw)は以下に示すとおりである。ここで、重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてテトラヒドロフランを用いてGPC法によって求めたものであり、GPC法の詳細は次のとおりである。
装置名(ポンプ):日立製作所製 L−6200
カラム: TSKgelG2000H
XL+TSKgelG5000H
XL
検出器:RI 日立製作所製 L−3300(示差屈折計検出器)
カラム温度:30℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1ml/分
標準物質:ポリスチレン
【0121】
(硬化促進剤1の調製)
フラスコに12.9gのカテコールと25.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(カテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1.5)、100℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤1を得た。硬化促進剤1の重量平均分子量はポリスチレン換算で526であった。
【0122】
(硬化促進剤2の調製)
フラスコに12.9gのレゾルシノールと25.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(レゾルシノールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1.5)、100℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤2を得た。硬化促進剤2の重量平均分子量はポリスチレン換算で2399であった。
【0123】
(硬化促進剤3の調製)
フラスコに21.8gの2,2’-ビフェノールと25.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(2,2’-ビフェノールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1.5)、100℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤3を得た。硬化促進剤3の重量平均分子量はポリスチレン換算で816であった。
【0124】
(硬化促進剤4の調製)
フラスコに19.7gのピロガロールと50.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(ピロガロールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:2.25)、120℃で8時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤4を得た。硬化促進剤4の重量平均分子量はポリスチレン換算で1685であった。
【0125】
(硬化促進剤5の調製)
フラスコに13.3gのレゾルシノールと25.0gのn−プロピルビニルエーテルを仕込み(レゾルシノールとn−プロピルビニルエーテルのモル比は1:2.4)、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で10時間反応させた。その後、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から未反応のn−プロピルビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤5を得た。硬化促進剤5の重量平均分子量はポリスチレン換算で448であった。
【0126】
(硬化促進剤6の調製)
フラスコに31.0gのカテコールと30.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(カテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:0.75)、110℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤6を得た。硬化促進剤6の重量平均分子量はポリスチレン換算で1445であった。
【0127】
(硬化促進剤7の調製)
フラスコに38.7gのカテコールと50.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(カテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1)、100℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤7を得た。硬化促進剤7の重量平均分子量はポリスチレン換算で934であった。
【0128】
(硬化促進剤8の調製)
フラスコに24.5gの4−tert−ブチルカテコールと21.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(4−tert−ブチルカテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1)、120℃で3時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤8を得た。硬化促進剤8の重量平均分子量はポリスチレン換算で1016であった。
【0129】
(硬化促進剤9の調製)
フラスコに21.8gの3−メチルカテコールと25.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(3−メチルカテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1)、120℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤9を得た。硬化促進剤9の重量平均分子量はポリスチレン換算で1132であった。
【0130】
(硬化促進剤10の調製)
フラスコに24.6gの3−メトキシカテコールと25.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(3−メトキシカテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1)、120℃で24時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤10を得た。硬化促進剤10の重量平均分子量はポリスチレン換算で1203であった。
【0131】
(硬化促進剤11の調製)
フラスコに20.8gの3,5−ジ−tert−ブチルカテコールと20.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(3,5−ジ−tert−ブチルカテコールと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1.5)、120℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤11を得た。硬化促進剤11の重量平均分子量はポリスチレン換算で489であった。
【0132】
(硬化促進剤12の調製)
フラスコに22.5gの2,3−ジヒドロキシナフタレンと30.0gの1,4−ブタンジオールジビニルエーテルを仕込み(2,3−ジヒドロキシナフタレンと1,4−ブタンジオールジビニルエーテルのモル比は1:1.5)、90℃で2時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤12を得た。硬化促進剤12の重量平均分子量はポリスチレン換算で963であった。
【0133】
(硬化促進剤13の調製)
フラスコに9.6gのカテコールと30.0gのグリシジルビニルエーテルを仕込み(カテコールとグリシジルビニルエーテルのモル比は1:2)、120℃で12時間反応させることにより、一般式(I)で表される構造部位を有する硬化促進剤13を得た。硬化促進剤13の重量平均分子量はポリスチレン換算で202であった。
【0134】
<実施例1〜25、比較例1〜9>
下記表1〜表3に示す組成となるように各成分を配合し、三本ロール及び真空擂潰機にて混練分散した後、実施例1〜25及び比較例1〜9の電子部品用樹脂組成物を作製した。なお、表中の配合単位は特に記載のない限り質量部である。また「−」は未配号であることを示す。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
得られた電子部品用樹脂組成物の評価結果について表4〜表6に示す。特性試験の試験方法を以下に説明する。なお、使用した電子部品用樹脂組成物の諸特性及び含浸時間、ボイドの観察、各種信頼性の評価は以下の方法及び条件で行った。
【0139】
信頼性の評価に使用した樹脂封止前の半導体装置の諸元は、チップサイズ20×20×0.55tmm(回路:アルミのデイジーチェーン接続、パッシベーション:ポリイミド膜HD4000、日立化成デュポンマイクロシステムズ製、商品名)、バンプ:はんだボール(Sn−Ag−Cu、直径80μm、7,744pin、)、バンプピッチ:190μm、基板:FR−5(ソルダーレジストSR7200、日立化成工業製、商品名、60×60×0.8tmm)、チップ/基板間のギャップ:50μmである。
【0140】
半導体装置は、電子部品用樹脂組成物をディスペンス方式でアンダーフィルし、130℃または165℃の硬化温度で、2時間硬化することで作製した。また、各種試験片の硬化条件も同様な条件で行った。
【0141】
(1)粘度(初期粘度)
電子部品用樹脂組成物を調製してから2時間以内に、25℃における粘度(Pa・s)を、(株)トキメック社(現在の東京計器(株)社)製E型粘度計EHD型(コーン角度3°、コーン直径30mm、回転数5rpm)を用いて、サンプル容量:0.7mlにて測定した。尚、測定開始から1分経過後の値を測定値とした。
【0142】
(2)ポットライフ
上記で得られた電子部品用樹脂組成物を25℃で24時間放置後、25℃における粘度を、E型粘度計(コーン角度3°、回転数5rpm)を用いて測定した(放置後粘度)。ポットライフ(%)は、((放置後粘度)−(初期粘度))/(初期粘度)×100で算出した。
尚、24時間放置後にゲル化していた場合は、測定不可とした。
【0143】
(3)ゲルタイム
ゲル化試験機を用いて以下のようにしてゲルタイムを評価した。上記で得られた電子部品用樹脂組成物を165℃または130℃の熱板上に適量(約3ml)滴下した後、目視で観察し、流動性を失ってゲル状態になるまでの時間をゲルタイム(sec.)として測定した。
【0144】
(4)ガラス転移温度(Tg)
上記で得られた電子部品用樹脂組成物を所定条件で硬化して得た試験片(3mm×3mm×20mm)を熱機械分析装置TMAQ400(ティー・エイ・インスツルメント製)を用い、荷重15g、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分の条件で、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
【0145】
(5)接着力
上記で得られた電子部品用樹脂組成物のポリイミド樹脂(PI)及び窒化ケイ素に対する接着力を以下のようにして評価した。
・SiN接着力
P−SiN付きウェハー(窒化ケイ素膜付きのp型シリコンウェハー、住友商事九州株式会社製)の表面に、電子部品用樹脂組成物を用いて成形された直径3mm高さ3mmの硬化物が形成された試験片を作製し、ボンドテスターDS100型(DAGE製)を用いて、ヘッドスピード50μm/sec、25℃の条件でせん断応力をかけ、硬化物がP−SiN付ウェハーから剥離する強度を測定した。この測定は、試験片成形直後、及び130℃、85%RHのHAST(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)条件下で200h処理後の両方で行った。
・PI接着力
感光性ポリイミドHD4100(日立化成デュポンマイクロシステムズ製、商品名)の表面に、電子部品用樹脂組成物を用いて成形された直径3mm高さ3mmの硬化物が形成された試験片を作製し、ボンドテスターDS100型(DAGE製)を用いて、ヘッドスピード50μm/sec、25℃の条件においてせん断応力をかけ、硬化物が感光性ポリイミドから剥離する強度を測定した。この測定は、試験片成形直後、及び130℃、85%RHのHAST条件下で200h処理後の両方で行った。
【0146】
(6)含浸時間
樹脂封止前の半導体装置を110℃に加熱したホットプレート上に置き、デイスペンサーを用いて電子部品用樹脂組成物の所定量(約1ml)をチップの側面(1辺)に滴下し、樹脂組成物が対向する側面に浸透するまでの時間(sec.)を測定した。
【0147】
(7)ボイド観察
電子部品用樹脂組成物をアンダーフィル及び硬化して作製した半導体装置の内部を超音波探傷装置AT−5500(日立建機製)で観察し、ボイドの有無を調べた。
【0148】
(8)チップ反り
電子部品用樹脂組成物をアンダーフィル及び硬化して作製した半導体装置のチップ対角線上の反り量(μm)を、室温にて表面粗さ測定器サーフコーダSE−2300(小坂研究所製)を用いて測定した。
【0149】
(9)耐温度サイクル性
電子部品用樹脂組成物をアンダーフィル及び硬化して作製した半導体装置を−55℃〜125℃、各30分のヒートサイクルで2000サイクル処理した。1000サイクルごとに導通試験を行いアルミ配線及びパッドの断線不良を調べ、不良パッケージ数/評価パッケージ数で評価した。
【0150】
(10)耐湿信頼性
電子部品用樹脂組成物をアンダーフィル及び硬化して作製した半導体装置を130℃、85%RHのHAST条件下で200h処理後、アルミ配線及びパッドの断線有無を導通試験より確認し、不良パッケージ数/評価パッケージ数で評価した。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
【表6】
【0154】
本発明における(C)成分である硬化促進剤を含まない比較例1〜3では、ゲルタイムが長く、またボイドが発生した。更に、130℃硬化において、硬化物の接着力が低いために、耐温度サイクル性及び耐湿信頼性に劣り、特に耐温度サイクル性が著しく劣っていた。
さらに(B)成分が脂肪族アミンである比較例4では、硬化促進剤を含有しない場合でもポットライフに劣り、また、半導体装置を作製する際には充填ができず、評価することができない評価項目があった。
また、(B)成分が酸無水物である比較例8及びフェノール樹脂である比較例9は硬化しなかった。
また、(C)成分が硬化促進剤6である比較例5では、ゲルタイムが短くなるものの、硬化物のTg及びHAST処理後の接着力が低下し、耐湿性が著しく低下した。また、半導体装置を作製する際には充填ができず、評価することができない評価項目があった。
また、(C)成分が硬化促進剤7及び8である比較例6及び7では、ゲルタイムが短くなるものの、ポットライフが悪化した。
これに対して、実施例1〜実施例25は、比較例1〜比較例3と比較してゲルタイムが短縮し、ボイドが発生せず、硬化物の接着力も向上し、耐温度サイクル性や耐湿性が向上した。特に、130℃硬化での接着力が向上し、耐温度サイクル性や耐湿性が向上しており、硬化温度を低く設定することでとチップ反り量が小さくすることも可能となった。また、比較例5と比較すると、HAST処理後の接着力が向上し、耐湿性に優れた半導体装置が得られた。また比較例6、7と比較すると、ポットライフが向上した。さらに比較例1〜9と比較して、成形性、及び信頼性のバランスに優れる半導体装置が得られた。
【0155】
日本国特許出願2011−102355号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。