【課題を解決するための手段】
【0014】
さて、式(I)の化合物は、H3受容体アンタゴニスト及び/又は逆アゴニストとして有用であることが見出された。従って、本発明の実施によれば、式(I):
【化1】
(式中、
nは、0又は1であり;
mは、1又は2であり;
pは、1又は2であり;
Xは、O又はHHであり;
Rは、CH
3、エチル又はプロピルであり;
R
1は、H、CH
3又はOCH
3であり;そして
R
2は、非置換の又は置換されたピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾオキサゾリル又はテトラヒドロ−イソキノリニルであり、ここにおいて置換基は、ハロゲン、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)アルコキシ、CF
3、(C
1−C
4)アルキル−NHCO−、パラ−CH
3−C
6H
4−SO
2−及びピロリジニルからなる群より選ばれる)
の化合物が提供される。
【0015】
本発明は、式(I)の化合物の種々のエナンチオマー又はジアステレオマーを含む式(I)の化合物の種々の塩をさらに含む。
【0016】
また、本発明の別の態様において、1つ又はそれ以上の式(I)の化合物を含む種々の薬学的組成物並びにH3受容体が部分的に及び/又は完全に介在する種々の疾患の緩和におけるその治療上の使用を提供する。
【0017】
発明の詳述
本明細書に使用される用語は、以下の意味を有する:
本明細書に使用されるように、「(C
1−C
4)アルキル」の語句は、メチル及びエチル基、並びに直鎖又は分枝状プロピル、及びブチル基を含む。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びtert−ブチルである。「(C
1−C
4)アルコキシ」、「(C
1−C
4)アルコキシ(C
1−C
4)アルキル」、又は「ヒドロキシ(C
1−C
4)アルキル」のような派生した語句は、それに応じて解釈すべきである。
【0018】
本明細書に使用されるように、「(C
1−C
6)ペルフルオロアルキル」の語句は、前記アルキル基中の水素原子の全てがフッ素原子で置き換えられることを意味する。具体例としては、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチル、並びに直鎖又は分枝状ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル及びトリデカフルオロヘキシル基が含まれる。派生した語句、「(C
1−C
6)ペルフルオロアルコキシ」は、それに応じて解釈すべきである。
【0019】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0020】
本明細書に使用されるように、「患者」は、例えばラット、マウス、イヌ、ネコ、モルモットのような温血動物、及びヒトのような霊長類を意味する。
【0021】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容しうる担体」の語句は、非毒性溶媒、分散剤、賦形剤、佐剤、又は薬学的組成物、すなわち、患者に投与できる剤形の形成を可能にするために本発明の化合物と混合される他の物質を意味する。このような担体の一例は、非経口投与に典型的に用いられる薬学的に許容しうる油である。
【0022】
本明細書に用いられる「薬学的に許容しうる塩」の用語は、本発明の化合物の塩が、薬の製造に用いることができることを意味する。しかしながら、他の塩は、本発明による化合物又はその薬学的に許容しうる塩の製造に有用でありうる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容しうる塩としては、例えば、本発明による化合物の溶液を、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルファミン酸、硫酸、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、2−フェノキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、炭酸又はリン酸のような薬学的に許容しうる酸の溶液と混合することによって形成することができる酸付加塩が含まれる。また、オルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムのような酸金属塩を形成することもできる。また、このように形成された塩は、一又は二酸塩として存在してもよく、そして実質的に無水で存在することができ、又は水和することができる。さらにまた、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、その適した薬学的に許容しうる塩としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩、及び適した有機リガンドと形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩が含まれうる。
【0023】
「立体異性体」の語句は、空間におけるそれらの原子の配向性のみが異なる個別分子のすべての異性体に用いられる一般的な用語である。典型的に、通常、少なくとも1つの不斉中心のため形成される鏡像異性体(エナンチオマー)が含まれる。本発明による化合物が2つ又はそれ以上の不斉中心を有する場合、さらにジアステレオ異性体として存在してもよく、また、ある種の個別分子は、幾何異性体(シス/トランス)として存在してもよい。同様に、本発明のある種の化合物は、一般に互変異性体として知られている、迅速平衡にある2つ又はそれ以上の構造的に異なる形態の混合物で存在してもよい。互変異性体の代表例としては、ケト−エノール互変異性体、フェノール−ケト互変異性体、ニトロソ−オキシム互変異性体、イミン−エナミン互変異性体などが含まれる。すべてのこのような異性体及び任意の比率におけるそれらの混合物が本発明の範囲内に包含されることは理解すべきである。
【0024】
本明細書に用いられるように、『R』及び『S』は、キラル中心の特異的な配置を表すために有機化学で一般に使用される用語として用いられる。『R』(レクタス)という用語は、最も低い優先順位の基に向かって結合に沿って見たときに、基の優先順位(最も高いものから二番目に低いものに対して)が時計回りの関係であるキラル中心の配置のことである。『S』(シニスター)という用語は、最も低い優先順位の基に向かって結合に沿って見たときに、基の優先順位(最も高いものから二番目に低いものに対して)が反時計回りの関係であるキラル中心の配置のことである。基の優先順位は、順位規則に基づいており、その際、優先順位は第1に原子番号に基づく(原子番号が減少する順序)。優先順位のリスト及び議論は、Stereochemistry of Organic Compounds, Ernest L. Eliel, Samuel H. Wilen and Lewis N. Mander, 編集者, Wiley-Interscience, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に含まれる。
【0025】
(R)−(S)系に加えて、特にアミノ酸に関して絶対配置を表すためにより古いD−L系も本明細書において用いることができる。この系では、主鎖の番号1の炭素が最上部になるようにフィッシャー投影式の向きを合わせる。接頭辞『D』は、官能(決定)基がキラル中心において炭素の右側にある異性体の絶対配置を表すために用いられ、そして『L』は、それが左にある異性体のそれを表わすために用いられる。
【0026】
広い意味で、「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容されうる置換基を含むものとする。本明細書に開示された特定の実施態様のいくつかにおいて、「置換された」という用語は、(C
1−C
6)アルキル、(C
2−C
6)アルケニル、(C
1−C
6)ペルフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、−CO
2H、エステル、アミド、(C
1−C
6)アルコキシ、(C
1−C
6)チオアルキル、(C
1−C
6)ペルフルオロアルコキシ、−NH
2、Cl、Br、I、F、−NH−低級アルキル、及び−N(低級アルキル)
2からなる群より独立して選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で置換されたことを意味する。しかしながら、また、当業者に知られている他の適切な置換基はいずれもこれらの実施態様に用いることができる。
【0027】
「治療上有効量」は、列記された疾患、障害又は状態の治療に有効である化合物の量を意味する。
【0028】
「治療」という用語は、以下のことである:
(i)疾患、障害及び/又は状態にかかりやすいかもしれないが、かかったとまだ診断されていない患者において疾患、障害又は状態が生じるのを予防すること;
(ii)疾患、障害又は状態を抑制すること、すなわち、その進行を抑えること;そして
(iii)疾患、障害又は状態を軽減すること、すなわち、疾患、障害及び/又は状態を退縮させること。
【0029】
従って、本発明の実施によれば、式I:
【化2】
(式中、
nは、0又は1であり;
mは、1又は2であり;
pは、1又は2であり;
Xは、O又はHHであり;
Rは、CH
3、エチル又はプロピルであり;
R
1は、H、CH
3又はOCH
3であり;そして
R
2は、非置換の又は置換されたピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾオキサゾリル又はテトラヒドロ−イソキノリニルであり、ここにおいて置換基は、ハロゲン、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)アルコキシ、CF
3、(C
1−C
4)アルキル−NHCO−、パラ−CH
3−C
6H
4−SO
2−及びピロリジニルからなる群より選ばれる)
の化合物が提供される。
【0030】
本発明は、式(I)の化合物の種々のエナンチオマー又はジアステレオマーを含む式(I)の化合物の種々の塩をさらに含む。上に、そして下に具体例として示すように、薬学的に許容しうる塩を含む形成することができる全ての塩は、本発明の一部である。また、上に、そして下に示すように、式(I)の化合物の考えられる全てのエナンチオマー及びジアステレオマー形態は、本発明の一部である。
【0031】
一実施態様において、
nが0であり;
m及びpが1であり;
XがHHであり;
RがCH
3であり;
R
1がH、CH
3又はOCH
3であり;そして
R
2が非置換の又は置換されたピリジニル、ピリミジニルであり、ここにおいて置換基がF、Cl、Br、CH
3、CF
3、OCH
3、CH
3NHCO−及びピロリジニルからなる群より選ばれる、
式(I)の化合物が提供される。
【0032】
また、本発明の別の実施態様において、
nが0又は1であり;
m及びpが1であり;
XがHHであり;
RがCH
3であり;
R
1が水素又はメチルであり;そして
R
2が非置換の又は置換されたキノリル、ベンゾオキサゾリル又はテトラヒドロ−イソ
キノリニルであり、ここにおいて置換基がパラ−CH
3−C
6H
4−SO
2−である、
式(I)の化合物が提供される。
【0033】
また、上の実施態様のいずれにおいても、化合物は、可能かどうかにかかわらず、その薬学的に許容しうる塩を含む対応する塩を含む。
【0034】
本発明のさらなる態様において、本発明の範囲によって包含される以下の化合物が列挙されうるが、なんら制限されるわけではない:
N−メチル−6−[6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−ニコチンアミド;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
2−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
2−(2−ブロモ−ピリミジン−5−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−ピリミジン−5−イル−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
3−[6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キノリン;
2−ベンゾオキサゾール−2−イル−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2'−(トルエン−4−スルホニル)−3,4,1',2',3',4'−ヘキサヒドロ−1H−[2,6']ビイソキノリニル;
2−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−メチル−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(4−メチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
2−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン;
7−((2S,3'S)−2−メチル−1,3'−ビピロリジニル−1'−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3−キノリン−3−イル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン;
7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3−
(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン;及び
N−メチル−6−[7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−ニコチンアミド。
【0035】
また、上の全ての化合物は、可能かどうかにかかわらず、その薬学的に許容しうる塩を含む対応する塩を含みうる。
【0036】
本発明の別の実施態様において、本発明の化合物は、式(II):
【化3】
(式中、R、R
1、R
2、X、m、n及びpは、上に定義された通りである)を有する。
【0037】
本発明の化合物は、当業者に知られている方法のいずれかによって合成することができる。具体的に、本発明の化合物の製造に用いられる出発物質のいくつかは、知られているか又はそれ自体商業的に入手可能である。また、本発明の化合物及び前駆体化合物のいくつかは、文献に報告された類似化合物を製造するために用いられる方法によって、そして本明細書にさらに記載されたように製造することができる。例えば、R. C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations,” VCH publishers, 1989を参照のこと。
【0038】
また、種々の有機反応において、反応における望ましくない参入を回避するため、例えばアミノ基のような反応性官能基を保護する必要がありうることはよく知られている。慣用の保護基は、標準的な実施方法に従って用いることができ、そして当業者に知られており、例えば、T. W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry” John Wiley and Sons, Inc., 1991を参照のこと。例えば、適したアミン保護基としては、なんら制限されるわけではなく、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、ベンジルオキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル)及びアリールアルキル(例えば、ベンジル)が含まれ、それらは、必要に応じて加水分解又は水素化によって後で除去することができる。他の適したアミン保護基としては、塩基触媒による加水分解によって除去することができるトリフルオロアセチル[−C(=O)CF
3]、又は固相樹脂に結合したベンジル基、例えばメリフィールド樹脂に結合した2,6−ジメトキシベンジル基(エルマンリンカー)又は酸接触加水分解によって、例えばTFAを用いて除去することができる2,6−ジメトキシ−4−[2−(ポリスチリルメトキシ)エトキシ]ベンジルが含まれる。
【0039】
より具体的には、本明細書に開示された化合物及びそのために用いられる種々の前駆体は、スキーム1〜3の以下の方法に従って合成することができ、ここにおいて、n、m、p、X、R、R
1及びR
2、は、特に明記しない限り、式Iに定義された通りである。
【0040】
スキーム1は、式(5)(式中、Rは本明細書に定義された通りである)の[1,3']ピロリジニル−ピロリジンのエナンチオマー的に純粋な異性体の製造を説明する。
【0041】
スキーム1、工程1では、式(1)の適切に保護された(例えばboc)ピロリジンアルコールをp−トルエンスルホニルクロリドで処理して式(2)の中間体を形成する。この反応は、例えば適した有機溶媒中、トリエチルアミン及びDMAPのような適した塩基の存在下で反応を実施するような、当業者に知られた方法のいずれかを用いて実施することができる。適した溶媒には、ジクロロメタンのような非プロトン性溶媒が含まれる。一般に、反応は、周囲より低い(sub-ambient)又は周囲温度条件で実施されるが、しかし、特定の状況では周囲より高い(super-ambient)温度条件を用いてもよい。
【0042】
スキーム1
【化4】
【0043】
スキーム1、工程2では、式(2)の中間体を式(3)の所望のピロリジンと縮合させる。また、式(4)の中間体を得るために、このような縮合反応は、当業者に知られた方法のいずれかを用いて実施することができる。典型的に、このような縮合反応は、アセトニトリル又はブタノンのような溶媒の存在下、炭酸カリウム又は炭酸セシウムのような塩基の存在下で周囲温度から周囲より高い温度条件で実施される。しかし、この反応工程では、なんらかの他の塩基又は場合により酸又はこのような縮合反応をもたらす別の試薬を用いることもできることに留意すべきである。
【0044】
スキーム1、工程3では、次いで、式(4)の中間体をジオキサンのような適した溶媒中で塩酸のような酸と反応させて式(5)の中間体の所望の立体特異的異性体を形成する。ここで、式(5)の中間体は、高エナンチオマー純度で本発明の方法に従って容易に形成できることが見出され、その具体的な詳細は、さまざまな例として下に提供する。一般に、エナンチオマー純度は、キラルHPLCによって測定することができる。
【0045】
スキーム2は、本発明の式(I)の化合物を製造するための式(10)のさらなる中間体の製造方法を説明する。
【0046】
スキーム2
【化5】
【0047】
スキーム2、工程1では、式(6)の置換されたハロ−フェネチルアミン又はトリフラートのような適した誘導体を、例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下でp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)で処理することによってp−トルエンスルホニル(トルエンスルホニル基)によって適切に保護して式(7)の中間体を形成する。この反応は、当業者に知られた方法のいずれかを用いて実施することができる。
【0048】
スキーム2、工程2において、環化は、希硫酸のような酸によって触媒作用を及ぼされたトルエン中で中間体(7)をジメトキシメタンと共に加熱することによって達成される。ここで、トシラートによるアミン基の保護は、少なくとも2つの利点が得られることがわかった。まず第1に、p−トリルスルホニル化によってアミノ基を保護することによって式(6)の化合物が任意の自己重合から防止されることがわかった。第2に、トルエンスルホニル基は、位置選択性(regio-selectivity)を制御することもわかった。すなわち、スキーム2に示した反応は、所望の位置異性体のみを形成する。特に、他の可能な位置異性体、オルト位の異性体は、LCMS及びNMRによって検出されない。従って、スキーム2に説明したプロセス条件によれば、高収率で位置特異的環化を実施して式(8)の化合物を得ることができる。
【0049】
スキーム2、工程3では、式(8)の中間体を式(5)の[1,3']ピロリジニル−ピロリジンとカップリングさせて式(9)の中間体を得る。例えば:D. W. Old, J.P. Wolfe, S. L. Buchwald, J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 9722-9723; J. P. Wolfe, H. Tomori, J. P. Sadighi, J. Yin, and S. L. Buchwald, J. Org. Chem., 2000, 65, 1158-1174及びその中の引用文献を参照のこと。トシル基のような保護基は、この段階で存在する場合、当分野で知られた方法のいずれかによって除去される。例えば、スキーム2、工程4に示した通り。すなわち、スキーム2に示されたトシラートは、周囲より高い温度でRed-Alのような還元剤によって除去されて式(10)の中間体を形成する。
【0050】
スキーム3は、以下の実施例においてより詳細に記載されるように、カップリング反応を経て所望の生成物を得る本発明の式(I)の化合物の製造における最終工程を説明している。具体的には、式(I)の化合物は、適したカップリング反応を経て式(10)の中間体及び式(11)の化合物の反応によって形成される。また、このようなカップリング反応は、当業者に知られた方法のいずれかを用いて実施することができる。例えば、スキーム2、工程3に上記されたようなカップリング反応条件を用いることができる。
【0051】
スキーム3
【化6】
【0052】
すでに上に記載したように、本発明の化合物は、容易に塩に変換することができる。より詳しくは、本発明の化合物は、塩基性であり、そして本発明のこのような化合物は、遊離塩基の形態で又はその薬学的に許容しうる酸付加塩の形態で有用である。酸付加塩は、使用にとってより都合のよい形態をとることができ;そして実際には、塩形態の使用は、遊離塩基形態の使用と本質的に等しい。酸付加塩の製造に用いることができる酸としては、好ましくは、遊離塩基に固有の有益な阻害作用がアニオンに起因する副作用によってそこなわれないように、遊離塩基と合わせたときに、薬学的に許容しうる塩、すなわちアニオンが塩の薬学的用量で患者に非毒性である塩を生じるものが含まれる。前記塩基性化合物の薬学的に許容しうる塩は好ましいが、例えば、塩が精製及び同定のためにだけ形成されるとき、又はそれがイオン交換法によって薬学的に許容しうる塩を製造する際に中間体として用いられるときのように、特定の塩がそれ自体で中間生成物としてしか望まれない場合であっても、すべての酸付加塩は、遊離塩基形態の供給源として有用である。
【0053】
この実施態様の別の態様において、本発明の化合物で予防及び/又は治療することができる特定の疾患、障害又は状態としては、以下:睡眠関連障害(具体例としてナルコレプシー、注意欠陥、概日リズム睡眠障害、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢運動及びレストレスレッグス症候群、過眠症及び薬物副作用に起因する傾眠症、などが含まれるが、なんら制限されるわけではない)、神経障害(列挙されうる具体例としては、認知症、アルツハイマー病、多発性硬化症、てんかん及び神経因性疼痛が含まれるが、なんら制限されるわけではない)、神経心理学的及び認知障害(いくつかの具体例としては、統合失調症、注意欠陥多動性障害、アルツハイマー病、うつ病、季節性感情障害及び認知障害が含まれるが、なんら制限されるわけではない)が含まれるが、なんら制限されるわけではない。また、特定の障害としては、統合失調症に関連する認知障害(CIAS)、不安障害、例えば全般性不安、パニック障害及び心的外傷後ストレス障害、並びに大うつ病性障害が含まれる。他の障害としては、アルツハイマー型認知症(DAT)、神経系疾患に関連する認知障害、例えばアルツハイマー、パーキンソン、ハンチントン、加齢性認知障害、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体型認知症及び他のあらゆる認知障害に関連する認識疾患が含まれる。
【0054】
具体例として以下に記載するように、式(I)の化合物は、H3受容体と結合し、そしてH3機能活性に対して逆アゴニズムを示す。従って、本発明の化合物は、H3受容体リガンドにより改善される疾患又は状態の治療において有用性を有することができる。より詳しくは、本発明の化合物は、受容体の活性に拮抗することによってH3受容体の機能を調節するH3受容体リガンドである。さらに、本発明の化合物は、受容体の基礎活性を阻害する逆アゴニストであってもよいし、又は受容体活性化アゴニストの作用を完全に阻止するアンタゴニストであってもよい。また、さらに、本発明の化合物は、H3受容体を部分的に阻止する又は部分的に活性化する部分アゴニストであってもよいし、又は受容体を活性化するアゴニストであってもよい。従って、本発明の化合物は、機能出力(functional output)、ヒスタミン状態(histamine tone)及び又は組織状況(tissue context)に応じてアンタゴニスト、逆アゴニスト及び/又は部分アゴニストとして特異的に作用することができる。従って、これらの化合物の特異的な活性により、上に具体的に列挙された複数の疾患状態を改善する有用性を得ることができる。
【0055】
従って、本発明の一態様において、式(I)の化合物の治療上有効量を患者に投与することを含む、患者における疾患の治療方法であって、前記疾患が睡眠関連障害、認知症、アルツハイマー病、多発性硬化症、認知障害、注意欠如多動性障害及びうつ病からなる群より選ばれる前記方法が提供される。
【0056】
本明細書に特別に記載された病理及び疾患状態は、制限するためではなく、むしろ本発明の化合物の有効性を説明するためであることは、当業者によって容易に理解される。従って、本発明の化合物は、H3受容体の効果によって生じたあらゆる疾患の治療に使用されうることを理解すべきである。すなわち、上記のように、本発明の化合物は、H3受容体のモジュレーターであり、そしてH3受容体がすべてに又は部分的に介在するあらゆる疾患状態を改善するために効果的に投与されうる。
【0057】
本明細書に記載された本発明の化合物の種々の実施態様の全ては、本明細書に記載された種々の疾患状態の治療方法に用いることができる。本明細書に記載されたように、本発明の方法に使用される化合物は、H3受容体の効果を阻害し、それによって、H3の活性のために生じた効果及び/又は状態を緩和することができる。
【0058】
本発明の方法の別の実施態様において、本発明の化合物は、当分野で知られている方法のいずれかによって投与することができる。具体的には、本発明の化合物は、経口、筋肉内、皮下、直腸、気管内、鼻腔内、腹腔内又は局所経路によって投与することができる。
【0059】
本発明の別の実施態様において、本発明の式(I)若しくは(II)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩、エナンチオマー、若しくはジアステレオマーは、H3受容体の効果を阻害及び/又は調節し、それによってH3の活性のために生じる効果及び/又は疾患及び/又は状態の緩和に用いることができる薬剤及び/又は薬学的組成物の製造に用いることができる。特定の疾患及び/又は状態は、本明細書に具体的に列挙されたものである。従って、本発明の式(I)又は(II)の化合物から製造された薬剤は、H3受容体の上記の効果のために生じたと考えられる疾患のいずれかにかかっている患者を治療するのに用いることができる。さらにより具体的には、本発明の式(I)又は(II)の化合物は、本明細書に列挙されたさまざまな疾患状態を治療するために用いることができる。
【0060】
また、最終的に、本発明のさらに別の実施態様において、薬学的に許容しうる担体及び式(I)の化合物のエナンチオマー、立体異性体、及び互変異性体並びにその医薬上許容しうる塩、溶媒和物又は誘導体を含む式(I)の化合物を含む薬学的組成物が提供され、前記化合物は本明細書に記載された式Iに示された一般構造を有する。
【0061】
本明細書に記載されたように、本発明の薬学的組成物は、H3阻害活性を特徴としており、従って、患者においてH3の効果のために生じたあらゆる疾患、状態又は障害の治療に有用である。また、上記のように、本明細書に開示された本発明の化合物の好ましい実施態様の全ては、本明細書に記載された薬学的組成物の製造に使用することができる。
【0062】
好ましくは、本発明の薬学的組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下又は直腸投与のための、又は吸入若しくは通気による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌非経口液剤又は懸濁剤、定量エアゾール剤又は液体スプレー剤、点滴剤、アンプル、自動注入装置又は坐剤といったような単位剤形中にある。別法として、組成物は、週1回又は月1回の投与に適した形態であってもよい;例えば、デカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩を適応させて筋肉内投与のためのデポー製剤を提供することができる。活性成分を含む浸食性ポリマーを想定してもよい。錠剤のような固形組成物を製造するには、主要活性成分を薬学的担体、例えば慣用の錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はゴム、及び他の薬学的希釈剤、例えば水と混合して本発明の化合物又はその薬学的に許容しうる塩の均一な混合物を含む固形予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均一と称する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル剤のような等しく有効な単位剤形に容易に細分することができるように、活性成分が組成物の全体を通じて均一に分散されたことを意味する。次いで、この固形予備処方組成物を本発明の活性成分0.1〜約500mgを含む、上記タイプの単位剤形に細分する。風味付けされた単位剤形は、活性成分1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50又は100mgを含む。新規組成物の錠剤又は丸剤は、コーティングするか又は別途、調合して持続作用の利点を有する剤形を提供することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投薬成分及び外側投薬成分を含むことができ、後者は前者をおおう外皮の形態にある。2つの成分は、胃中での崩壊を阻止するのに役立つ腸溶層によって分割することができ、そして内側成分は損傷を受けることなく十二指腸に入ることができ、すなわち放出を遅延することができる。このような腸溶層又はコーティングには、さまざまな物質を用いることができ、このような物質には、多くのポリマー酸並びにポリマー酸とセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質との混合物が含まれる。
【0063】
本発明の新規組成物を経口的に又は注射によって投与するために組み込むことができる液体形態としては、水性液剤、適切に風味付けされたシロップ剤、水性又は油懸濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又は落花生油のような食用油で風味付けされた乳剤、並びにエリキシル剤及び同様の薬学的ビヒクル(vehicle)が含まれる。水性懸濁剤に適した分散又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギナート、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンが含まれる。
【0064】
本発明の薬学的組成物は、当分野で知られている方法のいずれかによって投与することができる。一般に、本発明の薬学的組成物は、経口、筋肉内、皮下、直腸、気管内、鼻腔内、腹腔内又は局所経路によって投与することができる。本発明の薬学的組成物の好ましい投与は、経口及び鼻腔内経路による。経口又は鼻腔内経路によって薬学的組成物を投与するための知られている方法はいずれも本発明の組成物の投与に使用することができる。
【0065】
本明細書に記載された種々の疾患状態の治療において、適した投薬レベルは、1日当たり約0.01〜250mg/kg、好ましくは1日当たり約0.05〜100mg/kg、そして特に1日当たり約0.05〜20mg/kgである。化合物は、1日当たり1〜4回のレジメンで投与することができる。
【0066】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、それらは説明のために提供するのであって、本発明の範囲をなんら制限することはない。
【0067】
実施例(全般)
以下の実施例及び製造に使用したように、その中に使用される用語は、記載された意味を有する:「kg」は、キログラムのことであり、「g」は、グラムのことであり、「mg」は、ミリグラムのことであり、「μg」は、マイクログラムのことであり、「mol」は、モルのことであり、「mmol」は、ミリモルのことであり、「μmole」は、マイクロモルのことであり、「nmole」は、ナノモルのことであり、「L」は、リットルのことであり、「mL」又は「ml」は、ミリリットルのことであり、「μL」は、マイクロリットルのことであり、「gal」は、ガロンのことであり、「℃」は、摂氏の温度差のことであり、「Rf」は、保持係数のことであり、「mp」又は「m.p.」は、融点のことであり、「dec」は、分解のことであり、「bp」又は「b.p.」は、沸点のことであり、「mmHg」は、水z銀のミリメートルにおける圧力のことであり、「cm」は、センチメートルのことであり、「nm」は、ナノメートルのことであり、「abs.」は、無水のことであり、「conc.」は、濃縮されたもののことであり、「c」は、g/mLにおける濃度のことであり、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドのことであり、「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドのことであり、「CDI」は、1,1'−カルボニルジイミダゾールのことであり、「DCM」又は「CH
2Cl
2」は、ジクロロメタンのことであり、「DCE」は、1,2−ジクロロエタンのことであり、「HCl」は、塩酸のことであり、「EtOAc」は、酢酸エチルのことであり、「PBS」は、リン酸緩衝食塩水のことであり、「PEG」は、ポリエチレングリコールのことであり、「MeOH」は、メタノールのことであり、「MeNH
2」は、メチルアミンのことであり、「N
2」は、窒素ガスのことであり、「iPrOH」は、イソプロピルアルコールのことであり、「Et
2O」は、エチルエーテルのことであり、「LAH」は、水素化アルミニウムリチウムのことであり、「ヘプタン」は、n−ヘプタンのことであり、「PdCl
2(dppf)
2」は、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドDCM錯体のことであり、「HBTU」は、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートのことであり、「CAS xxx−xx−x」は、Chemical Abstract Service登録番号のことであり;「BINAP」は、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルのことであり;「LDA」は、リチウムジイソプロピルアミドのことであり;「DABCO」は、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンのことであり;「NaBH(OAc)
3」は、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのことであり;「DCE」は、1,2−ジクロロエタンのことであり;「DIBAL又はDIBAL−H」は、ジイソブチルアルミニウムヒドリドのことであり;「DIEA」は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンのことであり;「DMAP」は、4−ジメチルアミノピリジンのことであり;「eq.又はequiv.」は、当量のことであり;「Et
3N」は、トリエチルアミンのことであり;「HOBT又はHOBt」は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのことであり;「EDC」は、エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドのことであり;「TPTU」は、[ジメチルアミノ−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イルオキシ)−メチレン]−ジメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのことであり;「HATU」は、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウムのことであり;「HMPA」は、ヘキサメチルホスホルアミドのことであり;「HOAc」は、酢酸のことであり;「Pd
2(dba)
3」は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムのことであり;「Pd(PPh
3)
4」は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のことであり;「SM」は、出発物質のことであり;「TBAF」は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのことであり;「CsF」は、フッ化セシウムのことであり、「MeI」は、ヨウ化メチルのことであり、「AcN」、「MeCN」又は「CH
3CN」は、アセトニトリルのことであり、「TFA」は、トリフルオロ酢酸のことであり、「THF」は、テトラヒドロフランのことであり、「NMP」は、1−メチル−2−ピロリジノンのことであり、「H
2O」は、水のことであり、「BOC」は、t−ブチルオキシカルボニルのことであり、「ブライン」は、飽和塩化ナトリウム水溶液のことであり、「M」は、モルのことであり、「mM」は、ミリモルのことであり、「μM」は、マイクロモルのことであり、「nM」は、ナノモルのことであり、「N」は、正常のことであり、「TLC」は、薄層クロマトグラフィーのことであり、「HPLC」は、高性能液体クロマトグラフィーのことであり、「HRMS」は、高分解能質量スペクトルのことであり、「μCi」は、マイクロキュリーのことであり、「i.p.」は、腹腔内のことであり、「i.v.」は、静脈内のことであり、anhyd=無水;aq=水性;min=分;hr=時間;d=日;sat.=飽和;s=一重線、d=二重線;t=三重線;q=四重線;m=多重線;dd=二重線の二重線;br=ブロード;LC=液体クロマトグラフィー;MS=質量分析器;ESI/MS=エレクトロスプレーイオン化/質量分析器;RT=保持時間;M=分子イオン、約「〜」=約。
【0068】
反応は、一般に窒素雰囲気下で実施した。溶媒を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして回転蒸発器において真空下で蒸発させた。TLC分析は、EM Scienceシリカゲル60 F254プレートを用いてUV照射により可視化して実施した。フラッシュクロマトグラフィーは、Alltechパック詰めのシリカゲルカートリッジを用いて実施した。
1H NMRスペクトルは、ASW5mmプローブを備えたGemini 300又はVarian Mercury 300分光計において300MHzで実施し、そして特に明記しない限り、通常、D
2O、DMSO−D
6又はCDCl
3のような重水素化溶媒中、周囲温度で記録した。化学シフト値( )は、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を基準にして100万分率(ppm)で示した。
【0069】
保持時間(R
T)及び関連する質量イオンを測定するための高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)実験は、以下の方法の1つを用いて実施した:
質量スペクトル(MS)は、Micromass質量分析器を用いて記録した。一般に、使用した方法は、陽電子スプレーイオン化であり、100から1000まで質量m/zを走査した。液体クロマトグラフィーは、Hewlett Packard 1100 Series Binary Pump & Degasserにおいて実施した;使用した補助検出器は、以下の通りである:Hewlett Packard 1100 SeriesUV検出器、波長=220nm、そしてSedere SEDEX 75 Evaporative Light Scattering (ELS)検出器 温度=46℃、N
2圧=4bar。
LCT:勾配(AcN+0.05%TFA):(H
2O+0.05%TFA)=5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3分)。カラム:YMC Jsphere 33×2 4μM,1ml/分
MUX:カラム:YMC Jsphere 33×2,1ml/分
勾配(AcN+0.05%TFA):(H
2O+0.05%TFA)=5:95(0分)〜95:5(3.4分)〜95:5(4.4分)
LCT2:YMC Jsphere 33×2 4μM,(AcN+0.05%TFA):(H
2O+0.05%TFA)=5:95(0分)〜95:5(3.4分)〜95:5(4.4分)
QU:YMC Jsphere 33×2 1ml/分,(AcN+0.08%ギ酸):(H
2O+0.1%ギ酸)=5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3.0分)
【0070】
以下の実施例は、本発明の化合物の製造に用いる種々の出発物質の製造に使用した方法を記載する。
【0071】
中間体
中間体(i)
(R)−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化7】
機械的撹拌ロッド及び250mL滴下ロートを備えた2L丸底フラスコにp−トシルクロリド(58g,305mmol,1.5当量)及び無水DCM600mLを加えた。溶液を氷水浴で冷却した。Et
3N(65ml)及びDMAP(2.65g)を加えた。DCM200mL中の(3R)−(−)−N−Bocヒドロキシピロリジン(38g,203mmol,1.0当量)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物を室温で一夜を撹拌するにまかせた。TLCは反応完了を示した。生成物は、DCM中でR
f値0.3を有した。反応物を氷水浴によって冷却した。ポリマー担持されたトリスアミン(32g)を加え、そして30分間撹拌した。トリスアミンビーズを濾過し、そしてDCM300〜400mlですすいだ。有機溶液をH
3PO
4(1M)溶液200mLで2回、続いて飽和NaHCO
3溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄した。有機相をK
2CO
3で乾燥した。濃縮した後、粗生成物を750gシリカゲルカートリッジ(DCM〜DCM中5%MeOH)によって精製して淡褐色油として表題化合物52g(収率75%)を得た。MS:363(M+Na
+);TLC(DCM)Rf=0.3
1H NMR (CDCl
3, 300MHz), δ (ppm): 7.80 (d, 9.0Hz, 2H), 7.35 (d, 7.8Hz, 2H), 5.04
(bs, 1H), 3.45 (m, 4H), 2.46 (bs, 3H), 2.05 (m, 2H), 1.43 (s, 9H).
【0072】
中間体(ii)
(2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化8】
中間体(i)に記載された方法に従って製造された(R)−3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(52g,0.15mol,1.0当量)、(2S)−2−メチルピロリジン(25.2g,0.3mol,2.0当量)、無水CH
3CN(500ml)、及び乾燥K
2CO
3粉末(50g,36mmol,2.4当量)を機械的撹拌機及び還流冷却器を備えた2L丸底フラスコに加えた。生成した懸濁液を75℃で20時間撹拌した。加熱ブロックを88℃に設定した。LC/MSは、m/z363で微量の出発物質を示した。反応混合物を真空で濃縮した。残留物を水200mLとDCM400mLとの間で分配した。水層をDCM50mLで2回洗浄した。有機抽出物を合わせ、そして飽和NaHCO
3溶液150mL、ブライン150mLで洗浄し、そしてK
2CO
3で乾燥した。粗物質をシリカゲルカラムによって精製し、DCM中の5〜10%MeOHで溶離した。生成物は、254nm及び280nmでなお弱いUV吸収を有した。淡黄色油を得た、収量:24.5g(64%)。
LCMS:R
T=1.27分,MS:255(M+H)
1H NMR (300 MHz, CDCl
3), δ (ppm): 3.15 (m, 2H), 3.3 (m, 3H), 2.97 (m, 1H), 2.71
(m, 1H), 2.47 (m, 1H), 1.98 (m, 2H), 1.96-1.67 (m, 4H), 1.46 (s, 9H), 1.06 (d, 6.2Hz, 3H).
【0073】
中間体(iii)
(2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル二塩酸塩
【化9】
中間体(ii)で得た(2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−カルボン酸tert−ブチルエステル(24.5g)を乾燥1,4−ジオキサン30ml中に溶解した。HCl溶液(85ml,ジオキサン中4M)を0℃で加え、そして室温で撹拌するにまかせた。約20分後、茶色のゴムが現れた。4時間後、反応は完了した。撹拌しながらN
2をフラスコに1時間通過させた。排出口をKOH水溶液に通過させてHClを吸収した。溶媒を真空で除去して吸湿性の淡褐色ゴム29gを得た。
LCMS:R
T=0.37分,MS:155(M+H)
1H NMR: (D
2O, 300 MHz), δ (ppm): 11.6 (bs, 1H), 9.1 (bs, 1H) 4.12 ( m, 1H) 3.5,
(m, 2H), 3.3-3.1 (m, 3H), 2.4-2.1 (m, 4H), 2.4(m, 2H), 1.6 (m, 1H), 1.4(d, 6.0 Hz,3H)
【0074】
中間体(iv)
N−[2−(3−ブロモ−フェニル)−エチル]−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド
【化10】
TsCl(11g,57.5mmol,1.15当量)をDCM(150mL)中に溶解し、そして0℃に冷却した。この溶液にDCM(50mL)中の3−ブロモ−フェネチルアミン(10g,50mmol)の溶液、続いてEt
3N(18mL)を加えた。溶液を室温で一夜撹拌すると、TLC(DCM中の5%MeOH)は、反応が完了したことを示した。LCMS:t=4.158,MS 354/356。ポリマー担持されたアミン3gを加え、そして室温で1時間撹拌した、セライトパッドを通して溶液を濾過し、DCMですすぎ、そして溶媒を蒸発乾固し、DCM(100mL)及び水(20mL)中に再溶解した。二層を分離し、そして水層をDCM(20mL×2)で抽出した。合わせたDCM抽出物を1N H
3PO
4(2×20mL)及び炭酸水素ナトリウム(20mL)、そしてブライン(15mL×2)で洗浄し、乾燥(無水炭酸カリウム)し、濾過し、そして真空で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラム上で精製し、DCM(TLC:DCM)で溶離し、放置してオフホワイトの固形物として表題化合物17.89g(100%)を得た。
TLC(DCM):0.7Rf
LCMS:R
T=3.72分,MS:356(M+H)
【0075】
中間体(v)
6−ブロモ−2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキ
ノリン
【化11】
室温でトルエン32mL中の硫酸(60%w/w,20g)の撹拌溶液にN−[2−(3−ブロモ−フェニル)−エチル]−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド7.60g、続いてジメトキシメタン32mLを加えた。窒素下で撹拌しながら外部から50℃に設定された油浴上で反応混合物を15時間加熱した。LC/MS:保持時間=4.549分,MS 366/368。TLC(DCM):SM Rf=0.35,生成物Rf=0.65。TLCによって判断したところ、反応は完了した。反応混合物を室温に冷却し、そしてエーテル(100mL)で希釈した。二層を分離し、そして水層をエーテル(25mL)で抽出した。合わせたエーテル性溶液を水(25mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(25mL)及びブライン(20mL)で順に洗浄した。次いで、エーテル性溶液を顆粒状無水炭酸カリウムで乾燥し、濾過し、そして真空で濃縮した。粗生成物である放置後の固形物を、エーテル(75mL)及びペンタン(100mL)から再結晶させた。吸引濾過によって物質を集め、そして真空下で乾燥して白色結晶性固形物として表題化合物6.6g(90%)を得た:
MS:366/368;
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3): 7.69 (d, 8.4Hz, 2H), 7.35 (m, 1H), 7.30 (d, 8.4Hz, 2H), 7.18 (m, 1H), 7.02 (m, 1H), 4.35 (t, 6.6Hz, 2H), 3.23 (t, 6.9Hz, 2H), 2.76 (t, 6.9Hz, 2H), 2.44 (s, 3H).
【0076】
中間体(vi)
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化12】
6−ブロモ−2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(4.32g,11.8mmol,1当量)、NaOt−Bu(1.64g,17.11mmol,1.45当量)、Pd
2(dba)
3(110mg,0.12mmol,0.01当量)及びBINAP(221mg,0.354mmol,0.03当量)を丸底フラスコ中で合わせ、そして窒素でパージした。乾燥トルエン30mLを加えると、溶液は赤色のスラリーになった。これに乾燥トルエン30mL中の(2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル(2g,13mmol,1.1当量)の溶液を加えた。反応混合物を85℃に加熱し、そして一夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、そして水50mLでクエンチした。これをブライン100mLと共に分液ロートに移した。有機物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、ここでそれらを合わせ、Na
2SO
4で乾燥し、真空下で濃縮し、そしてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(200gカラ
ム;50mL/分;CH
2Cl
2中の5%MeOH)によって精製し、これにより橙色固形物として表題化合物4.02g(78%)を得た。
LCMS:R
T=2.49分;MS:440
7.73 (d, 8.7Hz, 2H), 7.32 (d, 8.7Hz, 2H), 6.89 (d, 8.7Hz, 1H), 6.40 (dd, 8.4Hz, 2.4Hz, 1H), 6.22 (d, 2.4Hz, 1H), 4.46 (d, 1H), 4.25-4.20 (m, 1H), 4.10 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.73-2.89 (m, 10H), 2.44-1.89 (m, 7H), 1.54 (d, 3H)
【0077】
中間体(vii)
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化13】
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(4.02g,9.16mmol,1当量)を乾燥トルエン(40.2mL)中に溶解し、窒素で脱気し、そして60℃に加熱した。Red-Al(11.3mL,36.6mmol,4当量)をゆっくり加え、そして反応混合物を85℃に加熱し、そして一夜撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして酢酸エチル49mL、続いて10M NaOH水溶液(190mmol,NaOH7.6g)19.1mL及び水19mLをゆっくり加えた。次いで、反応混合物を分液ロートに移し、ブラインで希釈し、そして酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥し、真空下で濃縮し、そしてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(200gカラム;50mL/分;CH
2Cl
2中の10%MeOH〜MeOH中の5%7N NH
3:90%CH
2Cl
2)によって精製し、これにより薄黄色の粘稠な油として表題化合物1.81g(69%)を得た。
LCMS:R
T=2.08分;MS:286
【0078】
中間体(viii)
7−ブロモ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル
【化14】
クロロギ酸メチル(444mg,4.70mmol)をジクロロメタン19mL中の7−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン(950mg,3.82mmol)及びトリエチルアミン(915mg,9.04mmol)の0℃混合物に加えた。生成した溶液を0℃で2時間撹拌した。水を加え、層を分離し、そして水相をジクロロメタンで洗浄し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮すると油1.07gが残った。この物質を前の実験からの52mgと合わせ、そして酢酸エチル/ヘプタン1:1で30mL/分で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(24gSiO
2,Analogixカラム)によって精製した。生成物763mgを得た。
【0079】
中間体(ix)
7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル
【化15】
この中間体は、中間体(vi)、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと実質的に同じやり方で、7−ブロモ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステルと(2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニルとの縮合によって合成した。
LC/MS:保持時間=2.3分,MS:358
NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 6.97 (d, 1H), 6.33 (s, 1H), 6.32 (d, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.57-3.48 (m, 4H), 3.36 (dt, 1H), 3.30-3.17 (m, 3H), 3.05-2.98 (m, 1H), 2.82-2.73 (m, 5H), 2.52 (q, 1H), 2.17-1.67 (m, 6H), 1.51-1.45 (m, 1H), 1.13 (d, 3H).
【0080】
実施例1
N−メチル−6−[6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−ニコチンアミド
【化16】
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(1.81g,6.35mmol,1当量)を乾燥トルエン77mL中に溶解し、そして窒素でパージした。4−ブロモ−N−メチル−ニコチンアミド(1.49g,6.99mmol,1.1当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(885mg,9.2mmol,1.45当量)、Pd
2(dba)
3(59mg,0.064mmol,0.01当量)及びBINAP(119mg,0.19mmol,0.03当量)を順に加え、続いてさらに窒素で脱気した。反応混合物を85℃に加熱し、そして一夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、分液ロートに移し、水及びブラインで希釈し、そして酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥し、真空下で濃縮し、そしてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(200gカラム;50mL/分;CH
2Cl
2中の10%MeOH)によって精製した。これにより薄橙色の固形物として表題化合物1.8g(68%)を得た。
LC/MS:保持時間=3.69分,MS:420
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.57 (d, 2.4Hz, 1H), 7.93 (dd, 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.08 (d, 9.0Hz, 1H), 6.63 (d, 9.0Hz, 1H), 6.45 (m, 1H), 6.36 (m, 1H), 5.92 (bs, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.87 (m, 2H), 3.52 (m, 1H), 3.43-3.18 (m, 4H), 3.07-2.89 (m, 6H), 2.77 (m, 1H), 2.53 (q, 8.7Hz, 1H), 2.20-1.68 (m, 5H), 1.49 (, 1H), 1.15 (d, 6.3Hz, 3H).
【0081】
実施例2
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化17】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−5−トリフルオロメチル−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.91分,MS:431
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.42 (s, 1H), 7.63 (dt, 1H), 7.06 (d, 1H), 6.63 (d, 1H), 6.45 (dd, 1H), 6.37 (d, 1H), 4.64 (s, 2H), 3.86 (dt, 2H), 3.54-3.22 (m, 5H), 3.02-3.01 (m, 1H), 2.92 (t, 2H), 2.80-2.77 (m, 1H), 2.55-2.52 (m, 1H), 2.17-2.10 (m, 1H), 2.04-1.97 (m, 2H), 1.78-1.75 (m, 2H), 1.63-1.43 (m, 1H), 1.27 (d, 3H).
【0082】
実施例3
2−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化18】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと3−ブロモ−2−クロロ−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.44分,MS:397
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.03 (dd, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.17 (dd, 1H), 6.97 (d, 1H), 6.44 (dd, 1H), 6.34 (s, 1H), 4.21 (s, 2H), 3.52-3.23 (m, 8H), 3.08-3.02
(m, 1H), 3.01-2.94 (m, 1H), 2.81-2.79 (m, 1H), 2.56-2.54 (m, 1H), 2.15-2.12 (m,
1H), 2.04-1.96 (m, 2H), 1.82-1.74 (m, 2H), 1.51-1.49 (m, 1H), 1.15 (d, 3H)
【0083】
実施例4
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化19】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−
6−メチルピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=3.65分,MS:377
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.37 (dd, 1H), 7.06 (d, 1H), 6.45-6.43 (d, 3H), 6.35 (d, 1H), 4.57 (s, 2H), 3.88-3.83 (m, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.38-3.19 (m, 4H), 3.03-2.91(m, 1H), 2.78 (dd, 2H), 2.83-2.74 (m, 1H), 2.55-2.49 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.14-1.73 (m, 5H), 1.60-1.46 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0084】
実施例5
2−(2−ブロモ−ピリミジン−5−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化20】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2,5−ジブロモ−ピリミジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=3.22分,MS:442
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.32 (s, 2H), 7.05 (d, 1H), 6.44 (dd, 1H), 6.35 (d, 1H), 4.75 (s, 2H), 3.99-3.94 (m, 2H), 3.51 (t, 1H), 3.39-3.18 (m, 4H), 3.02 (dt, 1H), 2.87 (dd, 2H), 2.81-2.74 (m, 1H), 2.53 (q, 1H), 2.14-1.73 (m, 5H), 1.53-1.41 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0085】
実施例6
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−ピリミジン−5−イル−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化21】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと5−ブロモ−ピリミジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.05分,MS:364
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.62 (s, 1H), 8.37 (s, 2H), 7.04 (d, 1H), 6.46 (dd, 1H), 6.35 (d, 1H), 4.37 (s, 2H), 3.58 (t, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.39-3.21 (m, 4H), 3.06-3.01 (m, 1H), 2.96 (t, 2H), 2.83-2.77 (m, 1H), 2.55 (q, 1H), 2.17-2.13 (m, 1H), 2.05-1.96 (m, 2H), 1.85-1.73 (m, 2H), 1.53-1.49 (m, 1H), 1.15 (d, 3H).
【0086】
実施例7
3−[6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キノリン
【化22】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと3−ブロモ−キノリンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.22分,MS:413
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.86(d, 1H), 7.99-7.96 (m, 1H), 7.68-7.64 (m, 1H),
7.46-7.43 (m, 2H), 7.35 (d, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.47 (dd, 1H), 6.35 (d, 1H), 4.44 (s, 2H), 3.68 (t, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.39-3.22 (m, 4H), 3.08-2.91 (m, 1H), 3.00 (t, 2H), 2.82-2.74 (m, 1H), 2.59-2.50 (m, 1H), 2.12-1.90 (m, 3H), 1.89-1.69 (m, 2H), 1.55-1.42 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0087】
実施例8
2−ベンゾオキサゾール−2−イル−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化23】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−ベンゾオキサゾールとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.80分,MS:403
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.36 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.18-7.13 (m, 2H), 7.00 (t, 1H), 6.91 (d, 1H), 6.83 (d, 1H), 4.90 (d, 1H), 4.68 (d, 1H), 3.99-3.87 (m, 2H), 3.48-2.70 (m, 7H), 2.46 (s, 1H), 2.17-1.81 (m, 5H), 1.56-1.50 (m, 3H), 1.18 (d, 3H).
【0088】
実施例9
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2'−(トルエン−4−スルホニル)−3,4,1',2',3',4'−ヘキサヒドロ−1H−[2,6']ビイソキノリニル
【化24】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと6−ブロモ−
2−(トルエン−4−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=3.40分,MS:571
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.65 (d, 2H), 7.26-7.22 (m, 3H), 7.15 (q, 2H), 7.00 (d, 1H), 6.89-6.82 (m, 2H), 4.26 (q, 2H), 3.95 (s, 2H), 3.41-2.47 (m, 13H), 2.39 (s, 3H), 2.01-1.37 (m, 9H), 1.10 (d, 3H).
【0089】
実施例10
2−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化25】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと3−ブロモ−5−メトキシ−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=1.69分、MS:393
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.99 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.02 (d, 1H), 6.69 (t,
1H), 6.44 (dd, 1H), 6.33 (d, 1H), 4.34 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.57-3.49 (m, 2H), 3.39-3.22 (m, 4H), 3.02 (dt, 1H), 2.94 (t, 2H), 2.78 (q, 1H), 2.53 (q, 1H), 2.17-1.75 (m, 6H), 1.53-1.43 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0090】
実施例11
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−メチル−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化26】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−6−メチル−4−トリフルオロメチル−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=1.69分,MS:393
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.07 (d, 1H), 6.60 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.46 (dd, 1H), 6.36 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 3.87 (t, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.42-3.25 (m, 4H), 3.06-3.03 (m, 1H), 2.91 (t, 2H), 2.81 (q, 1H), 2.56 (q, 1H), 2.47 (s, 3H), 2.18-1.50 (m, 5H), 1.16 (d, 3H).
【0091】
実施例12
2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化27】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.14分,MS:381
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.07 (d, 1H), 6.60 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.46 (dd, 1H), 6.36 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 3.87 (t, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.42-3.25 (m, 4H), 3.06-3.03 (m, 1H), 2.91 (t, 2H), 2.81 (q, 1H), 2.56 (q, 1H), 2.47 (s, 3H), 2.18-1.50 (m, 5H), 1.16 (d, 3H).
【0092】
実施例13
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(4−メチル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化28】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−4−メチル−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=1.64分,MS:377
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.07 (d, 1H), 7.06 (d, 1H), 6.47-6.42 (m, 3H), 6.35 (d, 1H), 4.57 (s, 2H), 3.83 (dt, 2H), 3.52 (t, 1H), 3.39-3.22 (m, 4H), 3.03-3.00 (m, 1H), 2.91 (t, 2H), 2.78 (q, 1H), 2.53 (q, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.23-1.72 (m, 5H), 1.56-1.42 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0093】
実施例14
2−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化29】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=3.30分,MS:365
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.37 (d, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.01 (d, 1H), 6.44 (dd, 1H), 6.34 (d, 1H), 4.62 (s, 2H), 3.79 (t, 2H), 3.51 (t, 1H), 3.39-3.21 (m, 4H), 3.08-3.01 (m, 3H), 2.80 (q, 1H), 2.55 (q, 1H), 2.15-1.73 (m, 5H), 1.51-1.49 (m, 1H), 1.16 (3H).
【0094】
実施例15
6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−2−(6−ピロリジン−1−イル−ピリジン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化30】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−6−ピロリジン−1−イル−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.19分,MS:432
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 7.31-7.23 (m, 1H), 7.02 (d, 1H), 6.42 (dd, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.90 (d, 1H), 5.68 (d, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.86-3.82 (m, 2H), 3.44 (t, 4H), 3.39-3.21 (m, 6H), 3.02-3.00 (m, 1H), 2.88 (t, 2H), 2.77 (q, 1H), 2.51(q, 1H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.95 (t, 4H), 1.91-1.72 (m, 2H), 1.48-1.47 (m, 1H), 1.13 (d, 3H).
【0095】
実施例16
2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン
【化31】
実施例1と実質的に同じやり方で、6−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンと2−ブロモ−5−クロロ−ピリジンとの縮合によって表題化合物を合成した。
LC/MS:保持時間=2.52分,MS:397
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.12 (d, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.04 (d, 1H), 6.56 (d, 1H), 6.44 (dd, 1H), 6.35 (d, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.78 (t, 2H), 3.51 (t, 1H), 3.38-3.19 (m, 4H), 3.02 (dt, 1H), 2.91 (t, 2H), 2.77 (q, 1H), 2.52 (q, 1H), 2.12-2.11 (m, 1H), 2.03-1.75 (m, 3H), 1.55-1.43 (m, 1H), 1.14 (d, 3H).
【0096】
実施例17
7−((2S,3'S)−2−メチル−1,3'−ビピロリジニル−1'−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン
【化32】
酢酸中の臭化水素酸(33質量%で28.4mL)を7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル(700mg,1.96mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で24時間撹拌した。揮発性物質を真空で除去し、そして残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性にし、そして酢酸エチル(3×)に抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮すると油584mgが残った。この物質を、以下のように:ジクロロメタン(2%トリエチルアミンを含む)5分間、そして10分間かけて直線勾配でジクロロメタン(2%トリエチルアミンを含む)/メタノール85/15に進めて30mL/分で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(24gSiO
2,Analogixカラム)によって精製して油として表題化合物473mgを得た。
LC/MS:保持時間=2.85分,MS:300
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): d (CDCl3) : 6.98 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.30 - 6.35 (m, 2H), 3.51 (t, 1H, J = 7.0 Hz), 3.19 - 3.41(m, 4H), 2.72 - 3.14 (m, 11H), 2.53 (見掛けのq, 1H , J = 8.4), 1.67 - 2.19 (m, 5H), 1.41 - 1.55 (m, 1H), 1.13 (d, 3H, J = 6.3 Hz).
【0097】
実施例18
7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3−キノリン−3−イル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン
【化33】
7−((2S,3'S)−2−メチル−1,3'−ビピロリジニル−1'−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(150mg,0.50mmol)をトルエン6mL中のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(6.88mg,0.007)、R−BINAP(22.5mg,0.022mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(69.8mg,0.72mmol)及び3−ブロモキノリン(115mg,0.55mmol)の混合物に加え、そして混合物を脱気した(真空,3×)。反応混合物を85℃で17時間加熱し、次いで、それを酢酸エチルと水との間で分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮すると固形物205mgが残った。酢酸エチルで摩砕して固形物43mgを得た。
LC/MS:保持時間=2.13分,MS:427
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ):d (CDCl
3) : 8.84 (d, 1H, J = 2.9 Hz), 7.93 - 7.99 (m, 1H), 7.61 - 7.67 (m, 1H), 7.41 - 7.47 (m, 2H), 7.01 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 6.30 - 6.38 (m, 2H), 3.70 - 3.81 (m, 4H), 3.49 - 3.54(m, 1H), 3.17 - 3.42 (m, 4H), 2.94 - 3.06 (m, 5H), 2.70 - 2.82 (m, 1H), 2.53 (見掛けのq, 1H , J = 8.4), 1.67 - 2.19 (m, 5H), 1.41 - 1.55 (m, 1H), 1.13 (d, 3H, J = 6.3 Hz).
【0098】
実施例19
7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−3−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン
【化34】
7−((2S,3'S)−2−メチル−1,3'−ビピロリジニル−1'−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(150mg,0.50mmol)をトルエン6mL中のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(6.88mg,0.007)、R−BINAP(22.5mg,0.022mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(69.8mg,0.72mmol)及び2−ブロモ−5−(トリフルオロメチルピリジン(125 0.55mmol)の混合物に加え、そして混合物を脱気した(真空,3×)。反応混合物を85℃で17時間加熱し、次いで、それを酢酸エチルと水との間で分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮すると油217が残った。2%トリエチルアミンを含む酢酸エチルを用いて16mL/分で溶離するカラムクロマトグラフィー(12gSiO2,Biotageカラム)によって精製して表題化合物44mgを得た。
LC/MS:保持時間=2.93分,MS:445
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ): 8.42 (s, 1H), 7.62 (dd, 1H, J = 2.2, 8.8 Hz), 7.00 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 6.66 (d, 1H, J = 9.2), 6.31 - 6.35 (m, 2H), 3.83-3.93 (m, 4H), 3.51(t, 1H, J = 7.1 Hz), 3.17 - 3.42 (m, 4H), 2.99 - 3.06 (m, 1H), 2.84 - 2.94 (m, 4H), 2.70 - 2.82 (m, 1H), 2.52 (見掛けのq, 1H , J = 8.4), 1.67 - 2.19 (m, 5H), 1.41 - 1.55 (m, 1H), 1.13 (d, 3H, J = 6.3 Hz).
【0099】
実施例20
N−メチル−6−[7−((2S,3'S)−2−メチル−[1,3']ビピロリジニル−1'−イル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−ニコチンアミド
【化35】
7−((2S,3'S)−2−メチル−1,3'−ビピロリジニル−1'−イル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(150mg,0.50mmol)をトルエン6mL中のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(6.88mg,0.007)、R−BINAP(22.5mg,0.022mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(69.8mg,0.72mmol)及び6−ブロモ−N−メチル−ニコチンアミド(118mg,0.55mmol)の混合物に加え、そして混合物を脱気した(真空,3×)。反応混合物を85℃で17時間加熱し、次いで、それを酢酸エチルと水との間で分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮すると油200mgが残った。2%トリエチルアミンを含む酢酸エチルを用いて16mL/分で溶離するカラムクロマトグラフィー(12gシリカゲル,Biotageカラム)によって精製して泡状物質44mgを得た。ヘプタン/2%トリエチルアミンを含む酢酸エチル1:1、続いて2%トリエチルアミンを含む酢酸エチル、次いで2%トリエチルアミンを含む5%メタノール/95%酢酸エチルを用いて16mL/分で溶離する第2のカラム(4gSiO
2,Biotageカラム)から表題化合物25mgを得た。
LC/MS:保持時間=2.07分,MS:434
1H NMR (300 MHz) (CDCl
3, δ (ppm): 8.56 ( d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.90 (dd, 1H, J = 2.6, 9.0 Hz), 7.0 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 6.66 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.32 - 6.34 (m,
2H), 3.84-3.93 (m, 4H), 3.48 -3.52 (m, 1H), 3.17 - 3.42 (m, 4H), 3.0 (d, 3H, J = 4.7 Hz), 2.99 - 3.06 (m, 1H), 2.84 - 2.94 (m, 4H), 2.70 - 2.82 (m, 1H), 2.52 (見掛けのq, 1H , J = 8.4), 1.67 - 2.19 (m, 5H), 1.41 - 1.55 (m, 1H), 1.13 (d, 3H, J = 6.3 Hz)
【0100】
生物学的実施例
実施例21
本実施例は、H3受容体リガンドとして本発明の化合物の有効性を示す。本発明の化合物は、アカゲザル(Macacca Mulatta)H3受容体を発現する哺乳動物細胞膜に結合する[
3H]−メチルヒスタミン放射性リガンドと置き換わることが示された。これらの化合物は、1μM〜<1nMの範囲のアカゲザルH3親和定数(Ki)を示す。さらに、本発明の化合物は、GTPγS放射性リガンド結合アッセイによって細胞膜中のアカゲザルH3構成的機能活性を阻害することがわかった。基礎アカゲザルH3介在GTPgS放射性リガンド結合のこの阻害は、本発明の化合物が逆アゴニストとして有用性を見出されることを示している。これらの化合物は、アカゲザルH3 GTPγS放射性リガンド結合を
基礎レベルよりも0〜40%ほど低下させる。
【0101】
アカゲザルH3膜は、アカゲザル(Macacca Mulatta)445アミノ酸H3受容体(Genbank #AY231164)を含むpcDNA5/FRT/TO(Invitrogen)で安定にトランスフェクションされたFlp-In T-REx 293細胞株(Invitrogen)から調製した。安定にトランスフェクションされた培養物を標準組織培養法によって組織培養フラスコ中で増幅(amplify)し、そして500ng/mlのテトラサイクリン(Cellgro)に24時間暴露することによってアカゲザルH3の発現を誘発した。誘発後、Cell Stripper(Cellgro)を用いて細胞をフラスコから分離した。細胞を遠心分離し(1K×g、5分間)、そして沈殿物をエタノール乾燥氷浴中で凍結して細胞膜を粉砕した。凍結した細胞沈殿物を収穫細胞10ml/1000cm
2で5mM HEPES(pH7.4,Invitrogen)中に再懸濁した。細胞懸濁液を、18ゲージ針(2〜3x)、続いて23ゲージ針(2〜3x)を通して抜き取り、さらに細胞膜を粉砕した。細胞懸濁液を遠心分離(40K×g、30分間)した。細胞膜沈殿物を10mg/mlの最終タンパク質濃度で5mM HEPES(pH7.4,Invitrogen)中に再懸濁した。アカゲザルH3膜を液体窒素下で貯蔵した後、[3H]−メチルヒスタミン及びGTPγS放射性リガンド結合アッセイに使用した。
【0102】
アカゲザルH3放射性リガンド結合アッセイは、アカゲザルH3受容体膜(上記のように調製した)、[3H]−メチルヒスタミン(Perkin Elmer)及びWGA SPAビーズ(コムギ胚芽凝集素シンチレーション近接アッセイ)ビーズ(Amersham)を用いて実施した。アッセイは、96ウェルOpti-Plates(Packard)で実施した。各反応は、アカゲザルH3膜(総タンパク質20〜30mg)50μl、WGA SPAビーズ(0.1μg)50μl及び83Ci/mmol[
3H]−メチルヒスタミン(最終濃度2nM)50μl並びに試験化合物50μlを含む。本発明の化合物及び/又はビヒクルを、10mM DMSO保存液からの結合緩衝液で希釈した。アッセイプレートをTopSeal(Perkin Elmer)で密閉し、そして振盪機上で混合した(25℃、1時間)。TopCountシンチレーションカウンター(Packard)上でアッセイプレートを読み取った。結果をヒル変換によって分析し、そしてCheng-Prusoff式によってKi値を決定した。類似の方法を用いてラットの結合データを測定した。本発明の代表的な化合物のいくつかについて観察された結合データを表1にまとめた。
【0103】
【表1】
【0104】
実施例22
本実施例は、動物モデルの覚醒状態の増強における本発明の化合物の有効性の研究方法を説明する。
【0105】
体重250±10gの雄Sprague Dawleyラット(Charles River, France)をZOLETIL
R 50(60mg/kg ip)で麻酔し、そして定位固定装置に取り付けた。皮質電極(直径0.9mmの小さなステンレス鋼ネジ式電極)を感覚運動皮質(縫合線の中央に対して側方1.5mm、そして冠状縫合線の後方1.5mm)、視覚による皮質(縫合線の中央に対して側方1.5mm、そして頭頂後頭縫合線の前方1.5mm)上、そして小脳(参照電極)上で骨にねじ込んだ。皮質電極をコネクター(Winchester,7リード線)に取り付け、そして歯科用のセメントで頭蓋に固定した。
【0106】
手術後回復3週間後、動物をプレキシグラス円筒(直径60cm)中に置き、食物及び水を自由に摂取させた。室の温度を一定(21±1℃)に保ち、そして午前7時から午後7時まで明かりをつけた。連続した3日:対照日(D1)、投薬日(D2)薬物及び投薬後の日(D3)の間、午前10時から午後4時までラットの記録をとった。記録の15分前に、ビヒクル(D1及びD3)又は薬物(D2)を投与した。
【0107】
小脳皮質上に配置した参照電極との比較により感覚運動及び視覚皮質における活性を記録した。3つの段階に区別された:
・低電位の速い皮質電気(ECoG)活性を特徴とする覚醒状態(W);
・皮質電気活性における増加;睡眠紡錘波のいくつかのバーストを伴う高振幅徐波の出現を特徴とするNREM睡眠(非急速眼球運動又は徐波睡眠:SWS);
・視覚野におけるシータ律動の過同期化(hypersynchronization)を特徴とするREM睡眠(急速眼球運動又は逆説睡眠:PS)。
【0108】
ECoGシグナルの分析は、10秒周期の逐次分光分析を用いて種々の睡眠相を判別するコンピュータ化されたシステム(Deltamedのソフトウェア「Coherence」)によって自動的に実施した。
【0109】
本発明の化合物は0.6%MTCトゥイーン中に溶解し、そして経口経路(po)によって投与することができる。注射体積は、通常、約0.5ml/体重100gであった。
【0110】
2タイプの分析:1時間周期及び6時間周期分析を用いて睡眠−覚醒状態の変数における本発明の化合物の効果を定量化することができる。
【0111】
結果は、分(1時間周期分析)で又は対照値(100%)のパーセンテージとして表わした。対照値からの有意な変動を測定するため、対応のある値(paired values)についてのスチューデントt検定を用いてデータの統計分析を実施することができる。
【0112】
実施例23
成体ラットにおけるストレス誘発性の超音波啼鳴試験(Stress-induced ultrasonic vocalizations test)
本実施例は、動物モデルにおける抗うつ剤として本発明の化合物の有効性の研究方法を説明する。
使用した方法は、Van Der Poel A.M, Noach E.J.K, Miczek K.A (1989) Temporal patterning of ultrasonic distress calls in the adult rat: effects of morphine and benzodiazepines. Psychopharmacology 97:147-8によって記載された技術を応用することができる。訓練セッションのため、ステンレス鋼の格子床を有するケージ(MED Associates, Inc., St. Albans, VT)中にラットを入れた。4回の電気ショック(0.8mA、3秒)を7秒毎に送り、続いて、超音波啼鳴(UV,22kHz)をUltravoxシステム(Noldus, Wageningen, The Netherlands)により2分間記録した。マイクロホンに接続した改良された超音波検出器(Mini-3 batモデル)を用いて超音波を可聴音に変換した。次いで、シグナルをフィルタリングしてコンピューターに送り、そこでUltravoxソフトウェアにより10ミリ秒よりも長く持続したUVの各発作(bout)を記録した。UV持続時間(>40秒)に基づいてラットを選択し、そして訓練の4時間後、試験にかけた。試験では、訓練に用いたものと同じケージ中にラットを入れた。1回の電気ショック(0.8mA、3秒)を送り、続いてUltravoxシステムによりUV(持続時間及び周波数)を2分間記録した。試験60分前に、本発明の化合物を経口投与した。
【0113】
実施例24
ラットにおける強制水泳試験
この実施例は、動物モデルにおける抗うつ剤として本発明の化合物の有効性の研究方法をさらに説明する。
使用することができる方法は、Porsolt et al. (1977) Depression: a new animal model sensitive to antidepressant treatments. Nature 266:730-2によって記載されたのを改良したものである。高さ30cmまで水(21℃)が入った個別のガラス円筒(高さ40cm、直径17cm)にラットを入れた。2回の水泳セッションを行った(訓練セッション15分、続いて24時間後、試験6分)。各水泳セッション後、ラットを加熱灯の下に置いて低体温を回避した。6分の試験中に無動持続時間(duration of immobility)を測定した。本発明の化合物を2回経口投与することができる(訓練セッションの15分後及び試験の60分前)。
【0114】
本発明を特定の前記実施例によって説明してきたが、それによって本発明が制限されると解釈すべきではなく;むしろ、本発明は、上記の一般的な範囲を包含する。種々の改変及び実施態様は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく実施することができる。