(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785069
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 41/00 20060101AFI20150907BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
B24B41/00
H01L21/78 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-265537(P2011-265537)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-116532(P2013-116532A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 治信
(72)【発明者】
【氏名】松山 央
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−296604(JP,A)
【文献】
特開2006−074004(JP,A)
【文献】
特開2012−222231(JP,A)
【文献】
特開2010−021542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/00
H01L 21/301
B24B 27/06
B23Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該被加工物保持手段を切削送り方向(X軸方向)に相対的に移動せしめる切削送り手段と、該切削手段を切削送り方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該切削手段によって切削された被加工物を洗浄する洗浄手段と、被加工物を収容したカセットが載置されるカセット載置手段と、該カセット載置手段に載置されたカセットに収容された被加工物を搬出入する被加工物搬出入手段と、該被加工物搬出入手段によって搬出された被加工物を仮置きする仮置き手段と、該仮置き手段および該洗浄手段と該被加工物保持手段との間で被加工物を搬送する被加工物搬送手段と、を具備する切削装置において、
該切削送り手段は、該被加工物保持手段を該切削手段による切削領域と被加工物を着脱する被加工物着脱領域に移動するように構成され、
該洗浄手段は、該被加工物着脱領域のY軸方向における側方に配置され、
該仮置き手段は、該洗浄手段の上方に配置され、
該被加工物搬送手段は、該仮置き手段および該洗浄手段と該被加工物着脱領域との間をY軸方向に移動可能に構成され、
該カセット載置手段は該仮置き手段からX軸方向における該切削領域側と反対側である手前側に配置され、該カセット載置手段と該仮置き手段とを結ぶ線と該仮置き手段と該被加工物着脱領域とを結ぶ線とによってL字状に囲うオペレータ作業空間を形成する、
ことを特徴とする切削装置。
【請求項2】
該各手段は該カセット載置手段を除いてハウジング内に配設されており、該ハウジングには該オペレータ作業空間側に操作パネルが装着された開閉扉が配設され、該開閉扉は開位置に位置付けられた状態で該操作パネルが該オペレータ作業空間に向けられるように構成されている、請求項1記載の切削装置。
【請求項3】
該切削手段は、第1の回転スピンドルと該第1の回転スピンドルの一端部に装着された第1の切削ブレードを備えた第1の切削手段と、第2の回転スピンドルと該第2の回転スピンドルの一端部に装着された第2の切削ブレードを備えた第2の切削手段とからなり、該第1の切削ブレードと該第2の切削ブレードが互いに対向するように配設されているとともに、該第1の回転スピンドルおよび該第2の回転スピンドルはそれぞれ軸芯がY軸方向に向くように一直線上に配設されている、請求項1又は2記載の切削装置。
【請求項4】
該被加工物搬送手段は、該仮置き手段に仮置きされた被加工物を該被加工物保持手段に搬送する第1の被加工物搬送手段と、該被加工物保持手段に保持され該切削手段によって切削された被加工物を該洗浄手段に搬送する第2の搬送手段とからなっている、請求項1から3のいずれかに記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削加工する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、種々の電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のストリートに沿った切断は、一般にダイサーと呼ばれる切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持する保持面を有する被加工物保持手段としてのチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを切削送り方向に相対的に移動せしめる切削送り手段と、チャックテーブルと切削手段とを切削送り方向と直交する割り出し送り方向に相対的に移動せしめる割り出し送り手段と、該切削手段によって切削された被加工物を洗浄する洗浄手段とを具備している。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−298000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上述した切削装置は単価の高いクリーンルームに設置されるため、占有面積およびオペレータの操作に必要な移動面積が広いと設備費の高騰を招くという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、装置の占有面積およびオペレータの操作に必要な移動面積を減少することができる切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該被加工物保持手段を切削送り方向(X軸方向)に相対的に移動せしめる切削送り手段と、該切削手段を切削送り方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該切削手段によって切削された被加工物を洗浄する洗浄手段と、被加工物を収容したカセットが載置されるカセット載置手段と、該カセット載置手段に載置されたカセットに収容された被加工物を搬出入する被加工物搬出入手段と、該被加工物搬出入手段によって搬出された被加工物を仮置きする仮置き手段と、該仮置き手段および該洗浄手段と該被加工物保持手段との間で被加工物を搬送する被加工物搬送手段と、を具備する切削装置において、
該切削送り手段は、該被加工物保持手段を該切削手段による切削領域と被加工物を着脱する被加工物着脱領域に移動するように構成され、
該洗浄手段は、該被加工物着脱領域のY軸方向における側方に配置され、
該仮置き手段は、該洗浄手段の上方に配置され、
該被加工物搬送手段は、該仮置き手段および該洗浄手段と該被加工物着脱領域との間をY軸方向に移動可能に構成され、
該カセット載置手段は該仮置き手段からX軸方向における該切削領域側と反対側である手前側に配置され、該カセット載置手段と該仮置き手段とを結ぶ線と該仮置き手段と該被加工物着脱領域とを結ぶ線とによってL字状に囲うオペレータ作業空間を形成する、
ことを特徴とする切削装置が提供される。
【0008】
上記各手段はカセット載置手段を除いてハウジング内に配設されており、該ハウジングにはオペレータ作業空間側に操作パネルが装着された開閉扉が配設され、該開閉扉は開位置に位置付けられた状態で操作パネルがオペレータ作業空間に向けられるように構成されている。
上記切削手段は、第1の回転スピンドルと該第1の回転スピンドルの一端部に装着された第1の切削ブレードを備えた第1の切削手段と、第2の回転スピンドルと該第2の回転スピンドルの一端部に装着された第2の切削ブレードを備えた第2の切削手段とからなり、第1の切削ブレードと第2の切削ブレードが互いに対向するように配設されているとともに、第1の回転スピンドルおよび第2の回転スピンドルはそれぞれ軸芯がY軸方向に向くように一直線上に配設されている。
また、上記被加工物搬送手段は、仮置き手段に仮置きされた被加工物を被加工物保持手段に搬送する第1の被加工物搬送手段と、被加工物保持手段に保持され切削手段によって切削された被加工物を洗浄手段に搬送する第2の搬送手段とからなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による切削装置においては、仮置き手段が洗浄手段の上方に配置され、カセット載置手段が仮置き手段からX軸方向における切削領域側と反対側である手前側に配置され、カセット載置手段と仮置き手段とを結ぶ線と仮置き手段と被加工物着脱領域とを結ぶ線とによってL字状に囲うオペレータ作業空間を形成するので、切削装置の占有面積およびオペレータの移動面積を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された切削装置の要部を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す切削装置の要部を収容するハウジングの斜視図。
【
図3】
図2に示すハウジングに装着される第2の開閉扉の閉状態および開状態を示す平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された切削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された切削装置の主要構成要素の一実施形態の斜視図が示されている。
図示の実施形態における切削装置は、静止基台2を具備している。この静止基台2には、被加工物を保持する被加工物保持機構3と、該被加工物保持機構3に保持された被加工物を切削する切削機構4を具備している。加工物保持機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に沿って平行に配設された一対のガイドレール31、31と、該一対のガイドレール31、31上に摺動可能に配設された移動基台32と、該移動基台32上に配設された円筒状の支持部材34に回転可能に支持された被加工物を保持する被加工物保持手段としてのチャックテーブル35を具備している。このチャックテーブル35は、円筒状の支持部材34に回転可能に支持されたチャックテーブル本体351と、該チャックテーブル本体351の上面に配設された吸着チャック352とを具備している。吸着チャック352は、図示しない吸引手段に接続されており、適宜負圧が作用せしめられるようになっている。従って、吸着チャック352の上面である保持に載置された被加工物は、図示しない吸引手段を作動することにより吸着チャック352上に吸引保持される。また、チャックテーブル35は、円筒状の支持部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回動せしめられるようになっている。
【0013】
また、チャックテーブル機構3は、チャックテーブル35が配設された移動基台32を一対のガイドレール31、31に沿ってX軸方向に移動させるための切削送り手段36を具備している。切削送り手段36は、上記一対のガイドレール31、31の間に平行に配設された雄ネジロッド361と、該雄ネジロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362等の駆動源を含んでおり、雄ネジロッド361が移動基台32に形成された雌ネジ穴321に螺合されている。従って、パルスモータ62によって雄ネジロッド361を回動することにより、チャックテーブル35が配設された移動基台32がX軸方向に移動せしめられる。このように構成された切削送り手段36は、被加工物保持手段としてのチャックテーブル35を
図1に示す被加工物着脱領域30と切削機構4による切削領域40との間で移動するように構成されている。
【0014】
上記切削機構4は、上記切削領域40の上方においてX軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り送り方向(Y軸方向)に沿って配設された図示しない支持基台にY軸方向に移動可能に支持された第1の切削手段41aおよび第2の切削手段41bを具備している。この第1の切削手段41aおよび第2の切削手段41bは、それぞれ図示しない支持基台に沿ってY軸方向に移動可能に支持された第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bと、該第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bに装着されたL字状の第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bと、該第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bの下面に装着された第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bと、該第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bが装着された第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bが取り付けられた第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bを図示しない支持基台に沿ってY軸方向に移動せしめる第1の割り出し送り手段45aおよび第2の割り出し送り手段45bと、第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bが装着された第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bを第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bに上記チャックテーブル35の保持面に垂直な矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に設けられた図示しない案内レールに沿って移動せしめる第1の切り込み送り手段46aおよび第2の切り込み送り手段46bを具備している。
【0015】
上記第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bは、それぞれ第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bに固定された第1のスピンドルハウジング441aおよび第2のスピンドルハウジング441bと、該第1のスピンドルハウジング441aおよび第2のスピンドルハウジング441bにそれぞれ回転可能に支持された第1の回転スピンドル422aおよび第2の回転スピンドル(図示せず)と、該第1の回転スピンドル442aおよび第2の回転スピンドルの一端部に装着された第1の切削ブレード443aおよび第2の切削ブレード(図示せず)と、第1の回転スピンドル442aおよび第2の回転スピンドルをそれぞれ回転駆動する第1のサーボモータ444aおよび第2の第1のサーボモータ444bとからなっている。このように構成された第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bは、第1の切削ブレード443aと第2の切削ブレード(図示せず)が互いに対向するように配設されていとともに、第1の回転スピンドル422aおよび第2の回転スピンドル(図示せず)は、それぞれ軸芯がY軸方向に向くように一直線上に配設されている。
【0016】
上記第1の割り出し送り手段45aおよび第2の割り出し送り手段45bは、それぞれY軸方向に沿って配設された第1の雄ネジロッド451aおよび第2の雄ネジロッド451bと、該第1の雄ネジロッド451aおよび第2の雄ネジロッド451bを回転駆動するための第1のパルスモータ452aおよび第2のパルスモータ452bを具備しており、第1の雄ネジロッド451aおよび第2の雄ネジロッド451bが第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bに形成された雌ネジ穴421aおよび421bに螺合されている。このように構成された第1の割り出し送り手段45aおよび第2の割り出し送り手段45bは、第1のパルスモータ452aおよび第2のパルスモータ452bを駆動して第1の雄ネジロッド451aおよび第2の雄ネジロッド451bを回動することにより、第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bを図示しない支持基台に沿ってY軸方向に移動することができる。
【0017】
上記第1の切り込み送り手段46aおよび第2の切り込み送り手段46bは、上記第1の割り出し送り手段45aおよび第2の割り出し送り手段45bと同様にZ軸方向に沿って配設された第1の雄ネジロッド(図示せず)および第2の雄ネジロッド(図示せず)と、該第1の雄ネジロッド(図示せず)および第2の雄ネジロッド(図示せず)を回転駆動するための第1のパルスモータ462aおよび第2のパルスモータ462bを具備しており、第1の雄ネジロッド(図示せず)および第2の雄ネジロッド(図示せず)が第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bに設けられた図示しない雌ネジブロックに螺合されている。このように構成された第1の切り込み送り手段46aおよび第2の切り込み送り手段46bは、第1のパルスモータ462aおよび第2のパルスモータ462bを回転駆動することにより、第1の懸垂ブラケット43aおよび第2の懸垂ブラケット43bを第1の移動基台42aおよび第2の移動基台42bに設けられた図示しない案内レールに沿って上記チャックテーブル35の保持面に垂直な矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動することができる。
【0018】
図示の実施形態における切削装置は、被加工物保持手段としてのチャックテーブル35に保持され上記第1の切削手段41aおよび第2の切削手段41bによって切削された被加工物を洗浄するための洗浄手段6を具備している。洗浄手段6は、上記チャックテーブル35の被加工物着脱領域30のY軸方向における側方に配置されている。この洗浄手段6は、スピンナーテーブル61を有する周知のスピンナー洗浄・乾燥手段からなっている。
【0019】
上述した洗浄手段6の上方に後述するカセット載置手段に載置されたカセットに収容された被加工物を仮置きする仮置き手段7が配設される。この仮置き手段7は、X軸方向に沿って互いに平行に配設された断面がL字状の一対の位置合わせ部材71、71を具備している。この一対の位置合わせ部材71、71は、互いに接近および離反する方向に移動可能に構成され、図示しない作動機構によって互いに接近および離反する方向に移動せしめられるようになっている。このように仮置き手段7を洗浄手段6の上方に配設することにより、切削装置の面積を抑制することができる。
【0020】
上記仮置き手段7からX軸方向における切削領域40側と反対側である手前側にカセット載置手段8が配設されている。このカセット載置手段8は、図示しない昇降手段によって上下に移動可能に配設されたカセットテーブル81を具備しており、このカセットテーブル81上に被加工物を収容するカセット80が載置される。なお、カセット80に収容される半導体ウエーハ等の被加工物Wは、環状のフレームFに装着されたダイシングテープTの表面に裏面が貼着された状態で収容される。このようにカセット載置手段8を仮置き手段7からX軸方向における切削領域40側と反対側である手前側に配置することにより、カセット載置手段8と仮置き手段7を結ぶ直線と仮置き手段7と被加工物着脱領域30を結ぶ直線とによってL字状に囲うオペレータ作業空間50が形成される。このように、オペレータが位置するオペレータ作業空間50が設けられているので、切削装置の占有面積およびオペレータの移動面積を減少させることができる。
【0021】
図示の実施形態における切削装置は、上記カセット載置手段8のカセットテーブル81上に載置されたカセット80に収容された被加工物を搬出入する被加工物搬出入手段9を具備している。被加工物搬出入手段9は、上記環状のフレームFを把持するハンド91と、該ハンド91を支持する支持部材92と、該支持部材92をX軸方向に沿って移動可能に支持する案内レール93とからなっており、図示しない移動手段によって支持部材92が案内レール93に沿って移動せしめられる。
【0022】
また、図示の実施形態における切削装置は、上記仮置き手段7に仮置きされた被加工物を被加工物着脱領域30に位置付けられた被加工物保持手段としてのチャックテーブル35に搬送する第1の被加工物搬送手段11と、上記第1の切削手段41aおよび第2の切削手段41bによって切削され被加工物着脱領域30に位置付けられたチャックテーブル35に保持されている被加工物を洗浄手段6に搬送する第2の被加工物搬送手段12を具備している。第1の被加工物搬送手段11は、上記環状のフレームFを吸引保持する保持部材111と、該保持部材111を支持する支持手段112と、該支持手段112をY軸方向に沿って移動可能に支持する共通の案内レール113とからなっており、図示しない移動手段によって支持部材112が共通の案内レール113に沿って仮置き手段7と被加工物着脱領域30との間をY軸方向に移動せしめられる。なお、支持手段112は、上下方向に移動調整可能に構成されている。上記第2の被加工物搬送手段12は、第1の被加工物搬送手段11と同様に上記環状のフレームFを吸引保持する保持部材121と、該保持部材121を支持する支持手段122と、該支持手段122をY軸方向に沿って移動可能に支持する上記共通の案内レール113とからなっており、図示しない移動手段によって支持部材122が共通の案内レール113に沿って被加工物着脱領域30と洗浄手段6との間をY軸方向に移動せしめられる。なお、支持手段122は、上下方向に移動調整可能に構成されている。
【0023】
図示の実施形態における切削装置を構成する上記各手段は、上記カセット載置手段8を除いて
図2に示すハウジング10内に配置される。このハウジング10には、オペレータ作業空間50側に第1の開閉扉101と第2の開閉扉102が装着されている。第1の開閉扉101は、カセット載置手段8と対向する側に配設されており、その一辺が支持軸101aを支点として開閉可能に構成されている。このように構成された第1の開閉扉101は、下部にカセット載置手段8のカセットテーブル81上に載置されたカセット80に収容された被加工物Wの搬出および搬入を許容するための開口101bが設けられている。また、第1の開閉扉101の表面には、把手101cが取り付けられている。
【0024】
上記第2の開閉扉102は、上記チャックテーブル機構3と対向する位置にオペレータ作業空間50に面して配設されている。第2の開閉扉102の表面には、オペレータによって作業条件等を入力するための操作パネル102aが装着されているとともに、把手102bが取り付けられている。このように構成された第2の開閉扉102は、
図3の(a)および(b)に示す開閉機構103によって開閉可能に支持されている。開閉機構103は、ハウジング10の本体側に一端を回動可能に軸支するとともに他端を第2の開閉扉102の側面中間部に回動可能に軸支された開閉ステー103aと、第2の開閉扉102の中央部側における裏面側の端部に設けられた規制部材103bと、該規制部材103bを係合しY軸方向に沿って移動可能に案内する案内レール103cとからなっている。このように構成された第2の開閉扉102は、把手102bを持ってオペレータ作業空間50側に引くと、規制部材102bが案内レール102cに沿って移動することにより、
図3の(b)および
図2において2点鎖線で示すように開位置に位置付けられた状態で操作パネル102aがオペレータ作業空間50に向けられるように構成されている。従って、オペレータは操作パネル10を操作しながら切削ブレードを交換したり、上記各手段をメンテナンスすることができるので、操作に必要な移動面積が減少する。
【0025】
図示の実施形態における切削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図示しない切削加工開始スイッチが投入されると、カセット載置手段8の図示しない昇降手段が作動してカセットテーブル81に載置されたカセット80を搬出入位置に位置付ける。カセット80が搬出入位置に位置付けられたら、被加工物搬出入手段9が作動してハンド91をハウジング10に装着された第1の開閉扉101に設けられている開口101bを通してカセット80内に進入せしめ、所定の棚上に載置された被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを把持する。このようにして環状のダイシングフレームFを把持したハンド91は仮置き手段7に向けて移動せしめられ、環状のダイシングフレームFを仮置き手段7を構成する一対の位置合わせ部材71、71上に載置する。そして、一対の位置合わせ部材71、71を互いに接近する方向に移動することにより、環状のダイシングフレームFにダイシングテープTを支持された被加工物Wの中心位置合わせを実施する。次に、第1の被加工物搬送手段11を作動して、保持部材111によって仮置き手段7において中心位置合わせされた被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを保持し、被加工物着脱領域30に位置付けられているチャックテーブル機構3のチャックテーブル35上に載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル35上に被加工物Wを吸引保持する。なお、被加工物WをダイシングテープTを介して支持するダイシングフレームFは、チャックテーブル35に装着されたフレーム支持手段353によって支持される。
【0026】
上述したように被加工物Wをチャックテーブル35上に吸引保持したならば、切削送り手段36を作動して被加工物Wを保持したチャックテーブル35を切削領域40移動せしめる。そして、第1の切削手段41aおよび第2の切削手段41bを作動して、チャックテーブル35に保持された被加工物Wに所定の切削加工を施す(切削加工工程)。このようにして切削加工工程を実施したならば、切削送り手段36を作動して切削加工された被加工物Wを保持しているチャックテーブル35を被加工物着脱領域30に位置付ける。そして、チャックテーブル35による被加工物Wの吸引保持を解除する。次に、第2の被加工物搬送手段12を作動して、保持部材121によってチャックテーブル35上に載置されている切削加工された被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを保持し、洗浄手段6のスピンナーテーブル61上に搬送する。このとき、洗浄手段6の上方に配置された仮置き手段7を構成する一対の位置合わせ部材71、71は、互いに離反する方向に作動され、第2の被加工物搬送手段12による被加工物Wの搬送の妨げとならない退避位置に位置付けられている。そして、図示しない吸引手段を作動することのよりスピンナーテーブル61上に被加工物Wを吸引保持する。なお、被加工物WをダイシングテープTを介して支持するダイシングフレームFは、スピンナーテーブル61に装着された図示しないフレーム支持手段によって支持される。次に、洗浄手段6を作動して切削加工された被加工物Wを洗浄し乾燥する。
【0027】
上述したように、洗浄手段6によって切削加工された被加工物Wを洗浄および乾燥したならば、スピンナーテーブル61による被加工物Wの吸引保持を解除する。そして、第1の被加工物搬送手段11を作動して、保持部材111によってスピンナーテーブル61に載置されている洗浄後の被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを保持するとともに仮置き手段7の上方に移動する。次に、仮置き手段7を構成する一対の位置合わせ部材71、71を互いに接近する方向に移動して所定の被加工物受け入れ位置に位置付ける。そして、第1の被加工物搬送手段11を作動して、保持部材111によって保持されている被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを下降せしめ、一対の位置合わせ部材71、71上に載置する。次に、一対の位置合わせ部材71、71を互いに接近する方向に移動することにより、環状のダイシングフレームFにダイシングテープTを支持された被加工物Wの中心位置合わせを実施する。このようにして中心位置合わせを実施したならば、被加工物搬出入手段9を作動して仮置き手段7を構成する一対の位置合わせ部材71、71に載置されている被加工物WをダイシングテープTを介して支持している環状のダイシングフレームFを把持し、ハウジング10に装着された第1の開閉扉101に設けられている開口101bを通してカセットテーブル81に載置されたカセット80の所定位置に収容する。
【0028】
次に、切削ブレードの交換や各手段のメンテナンスを実施について説明する。
切削ブレードの交換や各手段のメンテナンスを実施する際には、第1の開閉扉101および第2の開閉扉102を開位置に位置付ける。なお、第1の開閉扉101を開位置に位置付ける際には、カセット載置手段8のカセットテーブル81に載置されたカセット80は除去しておく。このようにして第1の開閉扉101および第2の開閉扉102を開位置に位置付けることにより、オペレータ作業空間50に位置するオペレータは第1のスピンドルユニット44aおよび第2のスピンドルユニット44bの第1の切削ブレード443aと第2の切削ブレード(図示せず)の交換や、各手段のメンテナンスを実施することができる。このとき、第2の開閉扉102は
図3の(b)および
図2において2点鎖線で示すように開位置に位置付けられた状態で操作パネル102aがオペレータ作業空間50に向けられるように構成されているので、オペレータは操作パネル10を操作しながら切削ブレードを交換したり各手段をメンテナンスすることができる。
【0029】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては、仮置き手段7に仮置きされた被加工物を被加工物着脱領域30に位置付けられたチャックテーブル35に搬送する第1の被加工物搬送手段11と、被加工物着脱領域30に位置付けられたチャックテーブル35に保持されている切削加工されて汚れている被加工物を洗浄手段6に搬送する第2の被加工物搬送手段12を具備した例を示したが、仮置き手段7および洗浄手段6と被加工物着脱領域30との間を移動可能な1個の被加工物搬送手段でもよい。
【符号の説明】
【0030】
2:静止基台
3:被加工物保持機構
35:チャックテーブル
36:切削送り手段
4:切削機構
41a:第1の切削手段
41b:第2の切削手段
44a:第1のスピンドルユニット
44b:第2のスピンドルユニット
45a:第1の割り出し送り手段
45b:第2の割り出し送り手段
46a:第1の切り込み送り手段
46b:第2の切り込み送り手段
6:洗浄手段
7:仮置き手段
8:カセット載置手段
80:カセット
9:被加工物搬出入手段
10:ハウジング
101:第1の開閉扉
102:第2の開閉扉
11:第1の被加工物搬送手段
12:第2の被加工物搬送手段