(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について
図1乃至
図4を参照しつつ説明する。なお、説明において、レンズキャップをレンズ鏡筒前端部に取り付けた際にレンズ鏡筒において最も物体側に配置されるレンズ面に対向する側を「レンズ側」、その反対側を「正面側」と定義する。また、
図1に示すように、
図1のレンズキャップの左手前から右奥への方向をX軸方向、上下の方向をY軸方向、右手前から左奥への方向をZ軸方向と定義する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係るレンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部(不図示)に取り付けた状態をレンズ側から見た斜視図である。本実施形態に係るレンズキャップ1は、キャップ本体2と、Y軸方向で径方向に対向して配置されている第1操作部3及び第2操作部4と、後述するコイルばね22、23から構成されている。キャップ本体2、第1操作部3、及び、第2操作部4は合成樹脂で形成されている。
図1においてレンズキャップ1の外周は略円形をしているが、レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部から取り外すと、後述する機構により操作部3、4がY軸方向外方へわずかに突出した状態で止まるように構成されている。
【0012】
図1に示すように、キャップ本体2は、略円盤状であり、正面部7と正面部7のレンズ側にZ方向に間隔を設けて配置された長方形平板部8とで構成されている。長方形平板部8はY軸方向の長辺を有する長方形状をしている。この長方形平板部8のレンズ側の面は、レンズキャップ1をレンズ前端部に取り付けた際に、最も物体側のレンズ面に対面する。また、正面部7のレンズ側には、長方形平板部8の2つの長辺に沿ってレンズ側に凸形状の本体側案内部9a、9bが形成されている。この本体側案内部9a、9bは、キャップ本体2の剛性を確保すると共に、第1操作部3、第2操作部4を操作する際のガイドとしての機能を持っている。
【0013】
図2は、第2操作部4を取り外した状態のキャップ本体2の下面図であり、
図3(a)は、
図2に示すA−A断面図である。
図3(a)において、操作部3、4の取り付け位置を破線で示している。
図3(a)に示すように、キャップ本体2は、操作部3、4をそれぞれ取り付ける第1取付部5及び第2取付部6を有している。取付部5、6は、それぞれ、正面部7のレンズ側の面、長方形平板部8の物体側の面、本体側案内部9a、9bから構成されている。また、正面部7の第1取付部5及び第2取付部6部分には、外周面が径方向内側に略U字状に凹んだ凹部11a、11bが形成されている。
【0014】
正面部7において、凹部11a、11bを除く外周部は、レンズキャップ1と中心を共にする円弧状の本体側円弧部12、12を形成している。
【0015】
図1に示すように、本体側円弧部12のレンズ側には、レンズ鏡筒前端部にレンズキャップ1を取り付けた際に、レンズ鏡筒前端部の前面に当接する本体側当接部13がレンズ側へ突出して形成されている。
【0016】
本体側当接部13の内径側には、隙間をはさんで、本体側当接部13よりもさらにレンズ側へ突出し、本体側当接部13とレンズ鏡筒前端部の間の隙間を塞ぐ目張り部14が形成されている。
【0017】
本体側当接部13と目張り部14とは複数の連結部15によって連結されている。連結部15のレンズ側の面は、目張り部14側が本体側当接部13側に比べてレンズ側に出っ張って形成されており、径方向内側から外側へ傾斜している。
【0018】
図3(a)に示すように、正面部7のレンズ側には、径方向に対向する目張り部14、14の間をX軸方向に貫通した補強梁21が形成されている。キャップ本体2をZ軸方向にたわませるY軸方向の曲げモーメントに対しては、主に、本体側案内部9a、9b、本体側当接部13、目張り部14が対抗して変形を抑制する。しかし、これらはキャップ本体2をZ軸方向にたわませるX軸方向の曲げモーメントに対しては殆ど対抗することはできない。そこで、X軸方向における曲げモーメントに対しては、補強梁21が対抗してレンズキャップ1の変形を抑制し、レンズキャップ1がレンズ面に接触し難い構成としている。
【0019】
図1に示すように、第1操作部3及び第2操作部4は、レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部に取り付けた際に本体側円弧部12、12と共にレンズキャップ1の円形の外周面を形成する操作側当接部17a、17bを有している。
【0020】
操作側当接部17a、17bのレンズ側の面は、本体側当接部13と同一平面上の平面を形成しており、その平面は、レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部に取り付けた際に、レンズ鏡筒前端部の前面に当接する。
【0021】
操作側当接部17a、17bの内径側には、レンズ側へ突出したねじ部19a、19bが形成されている。ねじ部19a、19bは、レンズキャップ1の外周と中心を共にする円弧状の部分と、その両端部からY軸方向内側へ延在している部分とから成る。円弧状の部分は、目張り部14よりも円弧の半径が大きく、径方向外方に位置しており、円弧状部分の外周側の面には、レンズ鏡筒前端部に形成された雌ねじと嵌合するねじ溝が形成されている。第1操作部3のねじ部19aと第2操作部4のねじ部19bとはZ軸方向において同じ位置に配置されているため、ねじ溝は、レンズ鏡筒前端部の雌ねじに合うように、ねじ部19aとねじ部19bとでZ軸方向に半ピッチずらした形状としている。ねじ部19a、19bのレンズ側の面は、目張り部14のレンズ側面と同一平面上の平面を形成している。円弧状の両端部からY軸方向内側へ延在している部分は、ねじ部19a、19bの円弧状部分と目張り部14との間の隙間を塞ぐものである。
【0022】
操作部3、4において、取付部5、6に摺接する面は、Y軸と平行な平面をしている。また、取付部5、6を形成している正面部7及び長方形平板部8、並びに、本体側案内部9a、9bの部分も、操作部3、4に摺接する面はY軸と平行な平面をしている。本体側案内部9a、9bは、それぞれ操作部3、4のX軸方向外側の端面と対向する摺接面と、該摺接面のレンズ側から目張り部14と連続して操作部3、4の端部を包み込むようにY軸側へ張り出したレンズ側摺接面とから成る。これにより、第1操作部3及び第2操作部4は、使用者によって操作される際、Y軸方向にスムーズに摺動することができる。
【0023】
図4(a)、(b)に示すように、操作部3、4は、Z軸方向で正面側へ突出したつまみ部10a、10bをそれぞれ備えている。つまみ部10a、10bは、レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部へ装着し、又は、レンズ鏡筒前端部からレンズキャップ1を取り外す操作において使用者が指先でつまむ部分である。つまみ部10a、10bは、操作部3、4の摺動に伴って径方向に移動するが、上述した凹部11a、11bによって正面部7と干渉することはない。
【0024】
正面部7と長方形平板部8の間には、第1操作部3を径方向外方へ付勢する第1コイルばね22、及び、第2操作部4を径方向外方へ付勢する第2コイルばね23が設けられている。レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部に取り付ける際、使用者がつまみ部10a、10bを径方向内方へ押し込むと第1コイルばね22及び第2コイルばね23が縮み、操作部3、4が内径側へ摺動し、レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部に嵌め込んだ状態で使用者がつまみ部10a、10bを放すと、第1コイルばね22及び第2コイルばね23が第1操作部3及び第2操作部4をそれぞれ径方向外方へ付勢し、ねじ部19a、19bがレンズ鏡筒前端部の雌ねじと嵌合することによりレンズキャップ1はレンズ鏡筒前端部に固定される。
【0025】
レンズキャップ1をレンズ鏡筒前端部から取り外す際は、使用者がつまみ部10a、10bを径方向内方へ押し込むことにより、第1コイルばね22及び第2コイルばね23が縮み、第1操作部3及び第2操作部4が径方向内方へ摺動し、ねじ部19とレンズ鏡筒前端部の雌ねじとの嵌合が解除されることにより取り外しが可能となる。
【0026】
第1コイルばね22及び第2コイルばね23は、正面部7と長方形平板部8の間に補強梁21を挟んで形成されたばね用穴部24a、24b内に設置されている。コイルばね22、23の一部は、操作部3、4の操作時におけるストロークの長さ分だけばね用穴部24a、24bからはみ出しているが、後述のように長方形平板部8がY軸方向に長く延在しているため、これによって目隠しがなされている。
【0027】
また、コイルばね22、23の内部には、それぞれ操作部3、4の内径側端部からY軸に沿って突出した案内軸(不図示)が挿入されている。これにより、コイルばね22、23は座屈や倒れを生じることなく、Y軸に沿って伸縮する。また、このようにばね用穴部24a、24bをキャップ本体2に設け、案内軸を操作部3、4に設けることで、構造が単純化するため、レンズキャップ1を薄くすることが出来る。
【0028】
コイルばね22、23を挟んでX軸方向の両側には、長方形平板部8を支持する平板支持部25a、25bが形成されている。長方形平板部8は操作部3、4をY軸方向に誘導するため、各操作部3、4の中心部付近まで延在している。そのため、平板支持部25a、25bもY軸方向で長方形平板部8の端部付近まで延在している。これに伴い、操作部3、4の径方向内端側には、平板支持部25a、25bとの干渉を避けるための切欠き部26a、26bが形成されている。
【0029】
第2取付部6をY軸方向から見た状態を
図2に示している。正面部7と長方形平板部8の間にばね用穴部24b及び平板支持部25bが配置されており、長方形平板部8の両端部は第2案内溝30を構成する部分に支持されている。なお、
図2に示すように正面部7の正面側の面7aはわずかにレンズ側へ凹んだ形状をしている。
【0030】
図3に示すように、第1操作部3及び第2操作部4は、それぞれ第1棒状案内部27及び第2棒状案内部28を有している。棒状案内部27、28は、操作部3、4にそれぞれ2本ずつ備えられている。第1操作部3と第2操作部4のそれぞれにおいて、棒状案内部27、28は、Y軸から等距離に配置されている。
【0031】
一方、第1棒状案内部27と第2棒状案内部28とではY軸からの距離は異なっている。上述のように、第1操作部3のねじ部19aのねじ溝と、第2操作部4のねじ部19bのねじ溝とは、半ピッチずらして形成しているため、組立ての際、第1操作部3を構成する部品を第2取付部6に誤って取り付けたり、第2操作部4を構成する部品を第1取付部5に誤って取り付けたりすることは好ましくない。そこで、上記のように棒状案内部27、28のY軸からの距離を異ならせることで、操作部3、4を構成する部材を誤った取付部5、6には取り付けることができないようにしている。
【0032】
キャップ本体2には、第1棒状案内部27及び第2棒状案内部28に対応した位置に、これらを受け入れる第1案内溝29及び第2案内溝30がそれぞれ形成されている。このように、棒状案内部27、28を操作部3、4に設け、案内溝29、30をキャップ本体に設けることで、構造を単純化することができ、レンズキャップ1を薄くすることができる。
【0033】
図3(b)は、第2棒状案内部28と第2案内溝30のB−B断面を示しているが、第1棒状案内部27と第1案内溝29も同様の構成をしている。
図3(b)においては向かって左側がレンズ側、向かって右側が正面側である。第2棒状案内部28の先端部には、先端から根元側へ行くに連れて正面側への突出を漸次大きくし、その根元側にXZ平面と平行な当接面31cを備えた係止用突起部31を形成している。また、キャップ本体2には、棒状案内部27、28のそれぞれの正面側で、Y軸方向において係止用突起部31より外側に、係止用当接部32a、32bが形成してある。係止用当接部32a、32bは、Y軸方向内側の面がXZ平面と平行な当接面32cであり、レンズ側の面がXY平面と平行な面であり、Y軸方向の外側の面がY軸方向の内側から外側へ行くに連れて漸次突出を小さくした傾斜面から成る。
【0034】
レンズキャップ1がレンズ鏡筒前端部に装着されておらず、使用者によっても操作されていない状態においては、操作部3、4は、コイルばね22、23によってY軸方向外方に付勢され、係止用突起部31の当接面31cが係止用当接部32a、32bの当接面32cに当接したところで係止した状態を保つ。
【0035】
第1操作部3の第1棒状案内部27のY軸側には、X軸へ向かって突き出た第1凸部18がY軸から等距離に2箇所形成されており、第2操作部4の第2棒状案内部28のY軸側とは反対側には、X軸へ向かって突き出た第2凸部20がY軸から等距離に2箇所形成されている。キャップ本体2には、凸部18、20のX軸側に、凸部18、20に対向して、コの字型当接部35a、35bがそれぞれ形成されている。使用者が操作することにより操作部3、4が径方向内方に摺動した際、凸部18、20がコの字型当接部35a、35bにそれぞれ当接することでストロークエンドとなる。この際、操作部3、4の上記案内軸(不図示)の根元付近の部分もねじ用穴部24a、24bを構成するキャップ本体2の部分に当接する。
【0036】
レンズキャップ1の組立ては以下のように行う。第2操作部4の案内軸にコイルばね23をセットし、第2操作部4を第2取付部6内に所定の向きで挿入すると、係止用突起部31の先端が係止用当接部32bの傾斜面に接触する。そこから更に第2操作部4を押し込むと、係止用突起部31と係止用当接部32bの傾斜面によって、第2棒状案内部28の先端をレンズ側へ押す力が働く。これにより、第2棒状案内部28はレンズ側へ弾性変形し、係止用突起部31が係止用当接部32bを避けるようにX軸側へ向かって移動し、係止用突起部31が係止用当接部32bを完全に通り越すと、第2棒状案内部28が元の形状に戻る。第2操作部4を押し込む力を解除すると、コイルばね23により第2操作部4がY軸方向外方に付勢され、係止用突起部31が係止用当接部32bに当接し、係止される。これと同様のことを第1操作部3に対しても行うことで、レンズキャップ1の組立ては完了する。
【0037】
長方形平板部8は、レンズキャップ1の中心部に正面側へ向けて球面状に窪ませた球面状くぼみ部33を形成している。これにより、レンズキャップ1やレンズ鏡筒前端部にレンズ側へ向かう外力が加わり、レンズキャップ1のレンズ側の面が、最も物体側に位置するレンズに近づいてもレンズに接触しにくい構成としている。
【0038】
特に径の大きく薄いレンズキャップ1は変形し易いことから、レンズとの接触が生じ易い。これを解消するためには、レンズキャップ1の厚みを厚くして剛性を高めたり、レンズキャップ1のレンズ側面全体がレンズから離れて位置するようにレンズキャップ1の周辺部をレンズ鏡筒前端部に向けて大きく突出した構成としたりすることも可能である。しかし、レンズキャップ1のデザイン性や携帯性の観点、及び、レンズキャップ1を装着したレンズやカメラ等のデザイン性や携帯性の観点等からレンズキャップ1の薄型化が要請されており、これらの構成はこの要請に反することとなる。本実施形態によれば、レンズキャップ1の薄型化の要請に反することなく、レンズキャップ1とレンズとの接触を防ぐことが可能となる。
【0039】
また、
図4に示すように、レンズ鏡筒前端部に衝撃吸収部材34が設けられたレンズがある。このようなレンズの場合、特に、レンズキャップ1やレンズ鏡筒前端部にレンズ側へ向かう外力が加わった場合に、衝撃吸収部材34が、Z軸に沿ってレンズ鏡筒側へ摺動することによって衝撃を吸収するため、レンズキャップ1のレンズ側面が最も物体側に位置するレンズに近づき接触し易い。本実施形態に係る発明によれば、このようなレンズに用いる場合においても、レンズキャップ1とレンズとの接触を防止することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態においては、本発明の理解を容易にするために具体的な構成を述べたが、本発明においては上記構成に限らず種々変更が可能である。
【0041】
例えば、本実施形態において、長方形平板部8は、ばね用穴部24a、24bや平板支持部25a、25b、案内溝29、30を構成する部分を除いては、正面部7との間に隙間を設けて配置されているが、本発明においてはこれに限られず、操作部3,4の取付部5、6やばね用穴部24a、24bなどの必要な隙間を除いては正面部7とより一体的に構成してあっても良い。
【0042】
さらに、本実施形態において、長方形平板部8は長方形の平板形状としているが、本発明において形状はこれに限られず、楕円形の平板形状等としても良い。
【0043】
さらに、本実施形態において、操作部3、4は、Z軸方向で正面側へ突出しているつまみ部10a、10bをそれぞれ備えているが、本発明においては、つまみ部10a、10bを備えていなくてもよい。つまみ部10a、10bがなくとも、使用者は操作側当接部17a、17b付近の外周部をつまむことでレンズキャップ1を操作することができる。ただし、レンズ鏡筒前端部にフード等をかぶせた状態においては、操作側当接部17a、17bの外周部はつまみ難いため、つまみ部10a、10bを備えていることが好ましい。
【0044】
さらに、本実施形態において、正面部7は、操作部3、4とつまみ部10a、10bが干渉しない程度に外周面が径方向内側へくびれた凹部11a、11bを形成しているが、上記のようにつまみ部10a、10bを備えない場合には凹部11a、11bを形成している必要はない。
【0045】
さらに、本実施形態において、ねじ部19a、19bはZ軸方向の位置を同じに配置されているため、ねじ溝はZ軸方向に半ピッチずらした形状としているが、本発明においてはこれに限られず、例えば、操作部3、4の配置をZ軸方向にねじ部19a、19bのねじの半ピッチ分ずらすことで、ねじ部19a、19bのねじ溝の形状は同じままで、レンズ鏡筒前端部に形成される雌ねじのねじ溝と合わせることができる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、径方向に対向する目張り部14、14の間をX軸方向に貫通した補強梁21が形成されているが、本発明においてはこれに限られず、キャップ本体2を形成する材料の強度や補強梁21以外の部分の構成によっては、補強梁21を設けないことも可能であり、また、X軸方向において最も曲げモーメントの影響を受け易いY軸付近にのみ補強梁21を設けることも可能である。
【0047】
さらに、本実施形態においては、コイルばね22、23がばね用穴部24a、24b内に配置され、コイルばね22、23の内部には操作部3、4から延びる案内軸が配置されているが、本発明においてはこれに限られず、操作部3,4のX軸側端部をX軸付近まで延在させて、ばね用穴24a、24bを操作部3、4に設け、案内軸をキャップ本体2に設けることも可能である。この場合、コイルばね22、23が操作部3、4のストロークの長さ分ばね用穴部24a、24bからはみ出た部分は、本実施形態よりもX軸側に位置するため、長方形平板部8のY軸方向の長さを短くすることができる。ただし、本実施形態においては、キャップ本体2と操作部3、4は、キャップ本体2が雌側、操作部3、4が雄側となっているため、雌側のキャップ本体2に雄側の案内軸が設けられ、雄側の操作部3、4に雌側のばね用穴部24a、24bが形成されることになり、入り組んだ構成となるため、レンズキャップ1の全体の厚さが厚くなる。
【0048】
さらに、本実施形態において、棒状案内部27、28は、操作部3、4のそれぞれにおいては、Y軸から等距離に2本配置されているが、等距離でなくてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態において、第1棒状案内部27と第2棒状案内部28とでは、Y軸からの距離を異ならせているが、Y軸からの距離を同じとしても良い。その場合、操作部3、4を構成する部品を、ねじ部19a、19bのねじ溝の形状も半ピッチずらさずに、形状の全く同じものとしておいて、第1取付部5及び第2取付部6をねじ部19a、19bのねじ溝の半ピッチ分Z軸方向にずらして配置することも可能である。このようにすれば、操作部3、4を構成する部品の種類は1種類となるため、製造コストを抑えられ、第1操作部3を構成する部品と第2操作部4を構成する部品との入れ違いも生じない。また、取付部5、6が半ピッチ分ずれていることで、ねじ部19a、19bのねじ溝はレンズ鏡筒前端部のねじ溝と合致する。これらの場合、案内溝29、案内溝30もそれに合わせて配置される。
【0050】
さらに、本実施形態において、棒状案内部27、28は、操作部3、4を構成する部品に一体に形成され、それを受け入れる案内溝29、30がキャップ本体2に形成されているが、逆に、棒状案内部27、28をキャップ本体2に形成し、それを受け入れる案内溝29、30を操作部3、4に形成することもできる。しかし、この場合、構造が複雑化するため、レンズキャップ1の厚さが厚くなる。
【0051】
さらに、本実施形態において、球面状くぼみ部33は球面状をしているが、本発明において、形状はこれに限られるものではない。例えば、円筒形状や四角柱状の窪みであっても良く、円錐状の側面と底面からなる窪みであってもよい。また、レンズ鏡筒において最も物体側に配置されるレンズのレンズ面に合わせて非球面などとしても良い。ただし、長方形平板部8の強度や汎用性を考慮すると、球面状であることが効率的であり、好ましい。
【0052】
なお、上記の他、合成樹脂の射出成形時の成形不良を回避することを考慮した形状とすることも可能である。例えば、本実施形態において、操作部3、4を構成する部品においては、正面側につまみ部10a、10bが形成されているため、レンズ側にヒケが生じ易い。そこで、つまみ部10a、10bのレンズ側の面に肉盗みを設けることができる。
【0053】
以上のように、本願発明によれば、レンズキャップとレンズとの接触が生じ難いレンズキャップ
及びレンズ鏡筒を提供することができる。