(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記載置板の上面側の熱処理領域を囲む処理容器を設け、前記処理容器には、前記熱処理領域にガスを供給するガス供給部と前記ガスを排出するガス排出孔とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
【背景技術】
【0002】
半導体製造におけるフォトリソグラフィー工程や薬液塗布による絶縁膜形成工程においては、基板の加熱処理が行われている。この加熱処理の熱源としては、抵抗発熱体からなるヒータやハロゲンランプが用いられているが、これらの熱源は起動時及び停止時における温度調整の応答性が遅く、起動してから熱源温度が所定の温度に達して安定するまでに数十秒もの長い時間がかかる。このため加熱工程終了直後の熱源は高温であることから、熱源のある加熱領域にて基板の冷却を行うと冷却効率が悪くなる。従って、熱処理装置では加熱領域と冷却領域とが分離されており、例えば加熱領域に隣接する冷却領域と当該加熱領域の上方位置との間を移動する冷却板を設け、加熱処理後の基板を冷却板が受け取って、冷却領域まで移動する構成を採用している。このような構成では、熱処理装置の設置面積が大きくなり、また加熱処理前の基板を冷却領域から加熱領域に移動させ、加熱処理後の基板を加熱領域から冷却領域に移動させる時間が必要となり、スループットの向上を抑制する原因の一つとなっている。
【0003】
またフォトリソグラフィー工程では、露光処理により発生した酸による酸触媒反応を促進するために、露光処理工程と現像処理工程との間においてPost Exposure Bake(PEB)と呼ばれる加熱処理が行われる。しかし熱源の起動時における立ち上がりの遅さや熱源温度の不安定さは、PEBにおける酸触媒反応の制御を難しくし、現像処理により形成されるパターン解像度の劣化の要因となり得る。近年半導体のパターン寸法の微細化が進んでいることから、この解像度の劣化を抑えるためにも熱源起動時の立ち上がり時間の短縮は重要である。
【0004】
特許文献1には、LED(発光ダイオード)により光照射をして被処理基板を加熱するアニール装置が記載されているが、その発明内容はLEDにおける自らの発熱による発光量の低下を防止するためのLEDの冷却に関するものであり、本発明とは異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は被処理基板を加熱処理し、次いで冷却する熱処理技術において、高いスループットが得られ、熱処理装置の専有面積が小さい熱処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板の表面に塗布された塗布膜を加熱処理する熱処理装置において、
前記基板をその上面に載置するための載置板と、
前記基板を載置板を介して冷却するために、前記載置板に設けられた冷却流体の通流路を備えた冷却部と、
前記載置板の下面に対向して設けられ、基板の材料の吸収波長域を有する輻射光を基板に照射して加熱するための発光ダイオードを用いた加熱源と、
前記載置板よりも上方側に離れた加熱位置と前記載置板上の載置位置との間で前記基板を昇降させるための昇降機構と、
前記基板を前記昇降機構により支持した状態で前記加熱位置にて前記発光ダイオードによ
り加熱処理した後、当該発光ダイオードをオフ状態とし、当該基板を
前記昇降機構により前記載置板上の
載置位置に載置し
、この状態で
当該基板を前記冷却部により冷却するように制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記載置板は、前記発光ダイオードから照射される、基板の材料の吸収波長域を有する輻射光を透過させる材料により構成されていることを特徴とする。
【0008】
他の発明は、基板の表面に塗布された塗布膜を加熱処理する熱処理方法において、
昇降機構により基板を載置板よりも上方側に離れた加熱位置に支持する工程と、
次いで前記載置板の下面に対向し、基板の材料の吸収波長域を有する輻射光を照射する発光ダイオードを用いた加熱源により当該基板を加熱処理する工程と、
その後、前記発光ダイオードをオフ状態とし、前記
基板を前記昇降機構により前記載置板上の載置位置に載置
し、この状態で、前記載置板に設けられた通流路に冷却流体を通流することにより当該載置板を介して基板を冷却する工程と、を含み、
前記載置板は、前記発光ダイオードから照射される、基板の材料の吸収波長域を有する輻射光を透過させる材料により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板の加熱処理の熱源として発光ダイオード(LED)を用いているため、迅速に基板を加熱することができ、また熱源自体の温度上昇が小さいので加熱処理とその後の冷却処理を同じ領域で行うことができる。この結果、スループットの向上が図れると共に、熱処理装置の設置面積を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る熱処理装置を示す縦断側面図である。
【
図2】前記第1の実施形態に係る熱処理装置における加熱源を説明する拡大縦断側面図である。
【
図3】前記第1の実施形態に係る熱処理装置における加熱源及び冷却部を示す平面図である。
【
図4】前記第1の実施形態における作用を模式的に説明する縦断側面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る熱処理装置を示す縦断側面図である。
【
図6】前記第2の実施形態に係る熱処理装置における加熱源及び冷却部を示す平面図である。
【
図7】前記第2の実施形態における作用を模式的に説明する縦断側面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態における作用を模式的に説明する縦断側面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る熱処理装置を示す縦断側面図である。
【
図10】前記第4の実施形態に係る熱処理装置を示す斜視縦断面図である。
【
図11】前記第4の実施形態における作用を模式的に説明する縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態である、基板であるシリコンウエハ(以下、「ウエハ」という)Wを熱処理する熱処理装置について説明する。本熱処理装置の処理容器1は、
図1に示すように、上下二階層構造となっており、その上階フロア11が熱処理領域となっている。この上階フロア11の床面12には、支持部材21を介して高熱伝導性の基台22が設けられている。この基台22上には、
図3(a)に示すように、複数のLEDアレイ31が基台22上に敷き詰めて設けられ、例えばステンレス製の固定ねじ32により固定されている。このLEDアレイ31は、その全周に亘って例えば銅(Cu)板に金メッキをした反射板33により囲まれており、照射方向(
図1では上方向)とは違う方向に向かう光を反射して輻射光を有効に取り出すことができるようになっている。これらLEDアレイ31及び反射板33からなるLEDモジュール3が加熱源に相当する。なお、
図3(a)では反射板33の図示を省略している。
【0012】
ここで、LEDアレイ31について
図2の拡大図を用いて詳述する。LEDアレイ31は、絶縁性を有する高熱伝導性材料、例えば窒化アルミニウム含有樹脂からなる支持体34と、支持体34の表面に図示しない電極を介して支持された多数のLED35と、支持体34の裏面側に接合された高熱伝導性材料である例えばCuからなる熱拡散部材36とで構成される。支持体34には、例えばCuに金メッキした導電性の高い電極がパターン形成されており、その電極にLED35が例えば銀ペーストからなる導電性で高熱伝導性の図示しない接合材により接合されている。支持体34と熱拡散部材36とは、例えばハンダや銀ペーストなどの高熱伝導性の図示しない接合剤により接合される。
【0013】
このような構成により、LED35で発生した熱を、支持体34、熱拡散部材36及び基台22からなる熱伝導性の良好な経路を通って効果的に逃がすことができる。また図面が煩雑になるため図示はしていないが、本明細書に記載しているLED35とは、LED35のLED素子とそのLED35と隣接する他のLED35の電極とを電気的に接続するワイヤと、支持体34の表面におけるCuパターン電極が設けられていない部分に設けられた赤外光反射材と、LED素子を覆うように設けられLED素子から射出する例えば赤外光を取り出す機能を有する例えば透明樹脂からなるレンズ層とを合わせたものを指している。
【0014】
LEDアレイ31の上方には、ウエハWを載置するための載置板2が反射板33に支持されて設けられている。このことは、LEDモジュール3が載置板2の下方側に対向するように設けられていると言い換えることができる。載置板2は、LEDアレイ31から照射される光を透過させることができる例えば石英からなっている。また載置板2の内部には、
図3(b)に示すように、冷媒である例えば冷却水を通水するための通流路である冷却ライン4が設けられており、載置板2は加熱処理後のウエハWを冷却するための冷却部材を兼ねている。冷却ライン4は処理容器1の外部に設けられたチラー41及び循環ポンプ42に接続されており、冷却ライン内を通流する冷媒はこのチラー41により設定温度に調整されて、循環ポンプ42により載置板2内に送られる。
【0015】
基台22、LEDモジュール3及び載置板2を囲むように、リングサポート23が基台22に固定されて設けられている。このリングサポート23は載置板2の上面よりも上方に突出しており、載置板2の上方のリングサポート23に囲まれた領域にウエハWが嵌まり込むことができる空間領域が形成されており、この空間領域においてウエハWが加熱処理される。リングサポート23は、その表面が鏡面研磨処理されて、例えばアルミニウム(Al)からなり、前述の反射板33と同様にLEDアレイ31から照射される光を反射して照射効率を向上させる機能を果たしている。
【0016】
処理容器1の下階フロア13には、その床面14に固定されるように昇降部15が設けられており、この昇降部15により昇降ピン16が昇降自在に設けられている。この昇降ピン16は、床面12(下階フロア13の天井)を貫通するように設けられており、また基台22及び載置板2には、
図3に示すように、昇降ピン16が貫通できるように貫通孔24、25が設けられている。この昇降ピン16を介して、処理容器1の外部に設けられ処理容器1内へのウエハWの搬入出を行う搬送アーム17と載置板2とのウエハWの受け渡しが行われる。また昇降ピン16は、ウエハWの加熱処理時においてウエハWを載置板2から離間して保持することができる。昇降部15及び昇降ピン16が昇降機構に相当する。
【0017】
処理容器1の天井部にはガス供給部5が設けられている。このガス供給部5は、本熱処理装置の外部に設けられたガス供給源及び例えばバルブなどのガス供給調整部からなるガス供給系51、配管52、処理容器1の上部に設けられたガス流入ポート53、バッファ室54及び熱処理領域へのガス供給部である天板51からなる。ガス供給時には、先ずガス供給系51よりガス濃度及び流量が調整されたガスが配管52及びガス流入ポート53を介してバッファ室54に供給される。このバッファ室54は、処理容器1の天井部及びその下方に設けられた天板55に囲われて形成された空間である。天板55は例えばAlからなり、載置板2に対向するように設けられている。この天板55には多数の小さなガス供給孔56が穿設されており、バッファ室54へのガス供給量を調整してバッファ室54内の気圧をある程度以上の高さに保つことにより熱処理領域全体に均一にガスを供給することができる。
【0018】
また処理容器1の側内壁の熱処理領域の高さに対応する箇所には、全周に亘って複数のガス排出孔57が設けられている。これらガス排出孔57は、処理容器1の側壁内部に設けられたガス排出管58を介して、例えばガスを屋外に安全に排出できる状態に処理するガス処理機構や排気ポンプなどからなるガス排出系59に接続されている。処理容器1内のガスは、ガス排出孔57及びガス排出管58を介してガス排出系に送られ、ガス排出系にて安全な状態に処理された上で排出される。
【0019】
処理容器1の側壁には搬入口17が設けられており、搬入口17を介してウエハWが処理容器1内に搬入出される。この搬入口17は、シャッタ18により開閉可能となっている。
【0020】
本熱処理装置には制御部6が設けられている。この制御部6は、昇降機構による昇降ピン16の昇降動作、チラー41による冷媒の温度調整や循環ポンプ42のオンオフ動作、LEDモジュール3による照射の強度調整やオンオフ動作、及びガス供給部5によるガス供給動作を、例えば事前に制御部6に入力された運転プログラムに基づいて制御する。
【0021】
続いて第1の実施形態における作用について
図4を用いて説明する。先ず搬送アーム17により処理容器1内にウエハWが搬入される(
図4(a))。この時点では、LEDモジュール3はオフとなっており、冷却水の通流(載置板の冷却)は停止している(循環ポンプ42がオフとなっている)。搬送アーム17に保持されたウエハWが載置板2の上方に到達すると、昇降部15により昇降ピン16を上昇させて、昇降ピン16は下から突き上げるようにして搬送アーム17からウエハWを受け取り、ウエハWを受け渡した搬送アーム17は処理容器1の外に退出する(
図4(b))。
【0022】
そして昇降ピン16を降下させて、ウエハWを加熱処理を行う高さ(加熱高さ位置)に移動させる。ここでいう加熱高さ位置とは、前述したように、ウエハWがリングサポート23に囲まれる高さ位置(リングサポート23の上面よりも低い高さ位置)であり、かつ載置板2からの冷却作用の影響を受けない程度に上方に離間した位置のことである。具体的には、載置板2の上面からウエハWの下面までの高さ寸法は、例えば6mmである。ウエハWが加熱高さ位置にて保持されると、LEDモジュール3によりウエハWの吸収波長域の輻射光である赤外光がそのウエハWに向けて照射されて、ウエハWが所定の加熱処理温度例えば90℃〜150℃に加熱される(
図4(c))。
【0023】
所定の加熱時間例えば30秒〜150秒が過ぎると、LED照射が停止されると共に冷却水の通流が開始されて載置板2が冷却される。そして昇降ピン16を降下させてウエハWを載置板2に受け渡し載置する。このようにして、加熱処理により熱せられたウエハWは、載置板2を介して冷却部である冷却水が通流する冷却ライン4により冷却される(
図4(d))。
【0024】
所定の冷却時間が経過すると、冷却水の通流が停止し、昇降ピン16が上昇してウエハWを載置板2から突き上げ、昇降ピン16はそのまま搬送アーム17との受け渡しの高さ位置まで上昇する。そして搬送アーム17を処理容器1内のウエハWの受け渡し位置まで進入させた後、昇降ピン16を下降させてウエハWを搬送アーム17に受け渡す。ウエハWを受け取った搬送アーム17は、ウエハWを保持したまま後退しウエハWを処理容器1の外に搬出する。
【0025】
上述の実施形態によれば、ウエハWの加熱処理を、LEDモジュール3からウエハWの材質であるシリコンの吸収波長光である赤外光を照射することにより行っているため、LEDモジュール3をオンにした後ウエハWを迅速に加熱することができる。また熱源であるLED35の温度上昇は小さいので、加熱処理後のウエハWの冷却処理を加熱処理と同じ処理領域で行うことができる。このため、本熱処理装置の設置面積を小さく抑えることができる。また加熱処理領域と冷却処理領域との間の移動時間を節約することができるため、加熱処理及びその後の冷却処理を合わせた一連の処理の処理時間を短縮することが可能となり、スループットの向上が図れる。
【0026】
また熱板を用いて基板を加熱する場合には、その熱容量のため熱板を速やかに昇降温させることができなかったが、LEDモジュール3を用いた場合には、出力の変更に伴い瞬時に熱輻射量が追従するため、ウエハWのロット変更に伴う加熱処理温度の変更を迅速に行うことができる。これによりスループットの向上が図れる。
【0027】
次に本発明の第2の実施形態について
図5〜
図7を用いて説明する。前述の第1の実施形態と同じ構造及び機能の構成要素については、第1の実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、冷却ライン4aの設置位置が第1の実施形態と異なる。本実施形態の冷却ライン4aは、第1の実施形態のように載置板2aの内部に設けることに代えて、
図5及び
図6に示すように、各LEDアレイ31について、少なくともその一部と隣り合うように基台22上に引き回し、全てのLEDアレイ31に冷却作用が行き渡るように構成されている。またこの冷却ライン4aは、その上方にある載置板2aに接しており、載置板2a及びLEDアレイ31の両方を冷却できるようになっている。
【0028】
この実施形態の作用について説明する。処理容器1内へのウエハWの搬入出については、第1の実施形態と同様なため省略する。先ずウエハWの加熱処理時には、ウエハWの高さ位置は、第1の実施形態と同様に、
図7(a)に示すように、載置板2aから離間した位置に昇降ピン16により保持した状態で行う。また冷却処理時には、
図7(b)に示すように、LEDモジュール3による照射を停止すると共に、昇降ピン16を降下させウエハWを載置板2aに載置する。この実施形態では、冷却処理時だけでなく加熱処理時においても冷却水を冷却ライン4aに通流する点が第1の実施形態と異なる。このように加熱時においても冷却水の通流を行うことにより、LED35自体の温度上昇を抑制することができるため、LEDモジュール3aによる照射を安定して効率よく行うことができる。また載置板2a内に冷却ライン4aを引き回していないため、載置板2aの厚さを薄くすることができ装置がコンパクトになる。これらの点が、第1の実施形態と比較したときの本実施形態の利点である。
【0029】
続いて本発明の第3の実施形態について
図8を用いて説明する。この実施形態における装置の構造は、第2の実施形態と同様であるため省略する。処理容器1内へのウエハWの搬入出については、第2の実施形態と同様なため省略する。加熱処理については、
図8(a)に示すように、ウエハWを載置板2aに載置した状態で行い、冷却ライン4aには冷却水を通流しない点が第2の実施形態と異なる。冷却処理については、
図8(b)に示すように、第2の実施形態と同様である。この実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、第2の実施形態と同様に、載置板2a内に冷却ライン4aを引き回していないため、載置板2aの厚さを薄くすることができ装置がコンパクトになる。
【0030】
続いて本発明の第4の実施形態について
図9〜
図11を用いて説明する。本実施形態は、LEDモジュール3bを載置板2bの上方側に対向するように処理容器1bの天井部に設けた点が第1の実施形態と異なる。このため、処理容器1b内へのパージガスの供給及び排出の機構についても第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同じ構造及び機能の構成要素については、第1の実施形態と同様の符号を付している。先ず載置板2bの内部に冷却ライン4が引き回されている点は第1の実施形態と同様であるが、本実施形態ではLEDモジュール3bによる赤外光照射が上方から行われるため、載置板2bについては赤外光が透過する材料を用いる必要はない。このことから、載置板2bには例えばCuなどの高熱伝導性の材料を用いてもよい。
【0031】
LEDモジュール3bは、支持板37b、LEDアレイ31、反射板33及び透過カバー38bにより構成される。高熱伝導性の支持板37bの下面に複数のLEDアレイ31が下方に赤外光を照射するように固定ねじ32により固定されており、その周囲は反射板33により囲まれている。更にLEDアレイ31の下方には赤外光を透過できる材料例えば石英からなる透過カバー38bが設けられており、この透過カバー38bは反射板33に固定されている。
【0032】
本実施形態のガス流入口53bは、LEDモジュール3bを避けるために、処理容器1bの天井部の端に設けられている。そしてガス排出孔57bは、上階フロア11の床面12におけるガス流入口53bとは反対側に複数設けられており、熱処理領域において一方向にガスの流れが形成されるようになっている。
【0033】
本実施形態では、先ず加熱処理時には、昇降ピン16によりウエハWを載置板2bから離間させて加熱処理を行う高さ位置に保持し、ウエハWに上方側からLEDモジュール3bにより赤外光を照射する。このとき冷却ライン4への冷却水の通流は停止する。その後の冷却処理時には、赤外光照射を停止し、冷却ライン4への冷却水の通流を行う。そして、昇降ピン16を降下させてウエハWを載置板2bに受け渡して載置する。
【0034】
本実施形態では、載置板2bに関して赤外光が透過可能であることを要件とする必要がないため、載置板2bの材料の選択の幅が広がるためより冷却効果の高い材料を用いることができる利点がある。
【0035】
冷却部は、冷却水の通流に限らず、例えばペルチェ素子などであってもよい。この場合、冷却水通流のオン、オフの制御は、ペルチェ素子のオン、オフとして入れ替えることができる。
【0036】
最後に、本発明を露光処理後の加熱処理であるPEB(Post Exposure Bake)に適用する場合について説明する。酸発生剤及びアルカリ不溶性保護基を有するポリマーを含む化学増幅型レジストを用いた場合には、レジスト膜のうち露光された部分では、酸発生剤に光が当たることにより酸が発生する。この酸は、ポリマーのアルカリ不溶性保護基と反応してアルカリ可溶性基に変化させ、この反応を次から次へと繰り返すいわゆる酸触媒反応を起こす。この状態で加熱処理を行うことにより、酸触媒反応が促進されレジスト膜の露光された部分におけるポリマーのアルカリ可溶化が進む。PEB処理された基板は、強アルカリ性の現像液により現像処理されることにより、露光された部分のレジスト膜が現像液に溶解し除去されて、基板上にレジストパターンが形成される。従って、PEB処理においては、基板の加熱を停止するタイミングを精度良くコントロールすることが重要である。
【0037】
本発明によれば、LEDモジュール3からの赤外光照射による輻射加熱を停止することにより、上記の酸触媒反応を停止することができるので、レジストパターンの線幅のばらつきを抑えることができる。
【0038】
本発明は、上述の露光処理後のPEB(Post Exposure Bake)処理の他にも、例えばレジスト塗布後のプレベーク、現像処理後のポストベークなどの、フォトリソグラフィー工程における各種熱処理に適用することができる。また本発明は、例えば絶縁膜の塗布処理における熱処理やアニール処理などにも適用することができる。