(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記IFフィルタは、互いに直列に接続されたハイパスフィルタとローパスフィルタとから構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の周波数信号受信装置。
前記コンデンサブロックの容量値の調整は、前記中間周波数信号の周波数帯域に応じて選択されるべき、前記抵抗に接続される前記複数のコンデンサの数に関する第1の情報が予め記憶された第1の記憶部の前記第1の情報に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の周波数信号受信装置。
前記IFフィルタに設定された周波数帯域の調整は、予め想定される前記中間周波数信号の周波数帯域ごとに設定された前記IFフィルタの周波数帯域に関する第1の情報に基づいて行うことを特徴とする請求項13に記載の周波数信号受信方法。
前記局部発振周波数信号の中心周波数の調整は、予め想定される前記中間周波数信号の周波数帯域ごとに設定された前記局部発振周波数信号の中心周波数に関する第2の情報に基づいて行うことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載の周波数信号受信方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の変調速度や変調方式に対応するために、特許文献1に開示される構成の如く信号受信装置が複数のIFフィルタ回路を搭載した場合には、チップ面積が増大してしまうという問題があった。
【0006】
また、IFフィルタを構成する抵抗の抵抗値やコンデンサの容量値には製造ばらつきによる誤差が生じ、フィルタ帯域の設計目標値と実際値とがずれることが一般的である。フィルタ帯域を予め広く設定すれば、ずれがあった場合にもフィルタ帯域の設計目標値をカバーできるものの、ノイズが増加してしまうという問題があった。
【0007】
また、従来の信号受信装置では、フィルタ定数となる抵抗値或いは容量値のいずれか一方のみを調整してフィルタ帯域を変更すると、IFフィルタの中心周波数も同時に変化し、本来のIF周波数から乖離してしまうので、必ずしも最適なフィルタ帯域を設定できないという問題があった。
【0008】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、チップ面積を増大させることなく、IFフィルタを用いて中間周波数信号の所望の周波数成分を通過させることができる信号受信装置及び信号受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による信号受信装置は、受信した周波数信号と局部発
振器にて生成された局部発振周波数信号とを混合して中間周波数信号を生成するミキサと、通過可能な周波数信号の中心周波数と周波数帯域が設定され、前記中間周波数信号のうち所定の周波数成分を通過させるIFフィルタと、前記IFフィルタを通過した中間周波数信号の周波数帯域
に基づいて、前記IFフィルタに設定された周波数帯域
幅が所望の周波数帯域幅よりも狭い場合には前記IFフィルタに設定された周波数帯域を広げ
、所望の周波数帯域幅よりも広い場合には前記IFフィルタに設定された周波数帯域を狭める
周波数帯域調整を行い、前記
周波数帯域調整に伴う前記IFフィルタに設定された
設定中心周波数の変動に
よって生じる前記設定中心周波数と前記中間周波数の中心周波数との差異に応じて、前記局部発振器を制御して前記IFフィルタに入力される前記中間周波数信号の
前記中心周波数を上げる又は下げる
中心周波数調整を行う制御部と、前記IFフィルタを通過して出力された前記中間周波数信号の周波数成分を復調する復調部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による信号受信方法は、受信した周波数信号と局部発
振器にて生成された局部発振周波数信号とを混合して中間周波数信号を生成するミキサステップと、通過可能な周波数信号の中心周波数と周波数帯域が設定されたIFフィルタに、前記中間周波数信号のうち所定の周波数成分を通過させるフィルタステップと、前記IFフィルタを通過した中間周波数信号の周波数帯域
に基づいて、前記IFフィルタに設定された周波数帯域
幅が所望の周波数帯域幅よりも狭い場合には前記IFフィルタに設定された周波数帯域を広げ
、所望の周波数帯域幅よりも広い場合には前記IFフィルタに設定された周波数帯域を狭める
周波数帯域調整を行う第1の調整ステップと、前記
周波数帯域調整に伴う前記IFフィルタに設定された
設定中心周波数の変動に
よって生じる前記設定中心周波数と前記中間周波数の中心周波数との差異に応じて、前記局部発振器を制御して前記中間周波数信号の
前記中心周波数を上げる又は下げる
中心周波数調整を行う第2の調整ステップと、前記IFフィルタを通過した前記中間周波数信号を復調する復調ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による信号受信装置及び信号受信方法によれば、チップ面積を増大させることなく、IFフィルタを用いて中間周波数信号の所望の周波数成分を通過させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施例>
図1は本発明の実施例である信号受信装置1の構成を示すブロック図である。
【0015】
信号受信装置1は、受信した周波数信号と局部発信器12にて生成された局部発振周波数信号とを混合して中間周波数信号を生成するミキサ13と、通過可能な周波数信号の中心周波数と周波数帯域が設定され、中間周波数信号のうち所定の周波数成分を通過させるIFフィルタ14と、中間周波数信号の周波数帯域に応じて、IFフィルタ14に設定された周波数帯域を調整し、且つ当該調整に伴って変動するIFフィルタ14に設定された中心周波数に応じて、IFフィルタ14に入力される中間周波数信号の中心周波数を調整する制御部17と、IFフィルタ14を通過して出力された中間周波数信号の周波数成分を復調する復調部16と、を有する。信号受信装置1について、以下で詳細に説明する。
【0016】
IFフィルタ14にはフィルタ調整入力信号(以下、第1制御入力信号とも称する)が入力される。また、局部発振器12には、発振周波数設定入力信号(以下、第2制御入力信号とも称する)が入力される。
【0017】
受信部10は、無線によりRF信号を受信して、これを増幅器11に供給する。
【0018】
増幅器11は、RF信号を増幅する例えば低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)などの増幅器である。
【0019】
局部発振器12は、局部発振信号を生成する局部発振器である。局部発振信号の周波数は、外部から供給される発振周波数設定入力信号に基づいて設定される。局部発振器12がPLL(Phase Locked Loop)局部発振器である場合には、発振周波数設定入力信号は分周比を示す信号である。この場合、局部発振器12は、水晶振動子(図示せず)から供給される入力基準信号と、発振周波数設定入力信号が示す分周比とに基づいて局部発振信号の周波数を設定する。PLL局部発振器は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、ループフィルタ、位相比較器、分周器(いずれも図示せず)を含む一般的な構成であれば良い。当該分周器は、発振周波数設定入力信号が示す分周比に基づいて生成した分周信号を位相比較器に供給する。
【0020】
ミキサ13は、増幅器11によって増幅されたRF信号と、局部発振器12によって生成された局部発振信号とを混合して中間周波数信号すなわちIF信号を生成するミキサである。
【0021】
IFフィルタ回路(以下、単にIFフィルタと称する)14は、IF信号の周波数成分のうちの所定帯域内の周波数成分のみを通過させる。IFフィルタ14のフィルタ特性は、外部から供給されるフィルタ調整入力信号によって設定される。フィルタ特性は、通過周波数プロファイルを決定する特性である。
【0022】
アンプ15は、IFフィルタ14の出力信号を一定の振幅制限内において増幅する増幅器である。
【0023】
復調器16は、アンプ15によって増幅された信号を復調してベースバンド信号を出力する。
【0024】
制御部17は、IFフィルタ14の出力信号の周波数帯域幅に応じて、IFフィルタ14に設定された周波数帯域を調整する。また、制御部17は、周波数帯域幅の調整に伴って変動した、IFフィルタ14の出力信号の中心周波数 に応じて、IFフィルタ14に入力される中間周波数信号の中心周波数を調整する。詳細には、制御部17は、局部発振器12に発振周波数設定入力信号を入力して局部発振信号の周波数を変更することにより、中間周波数信号の中心周波数を調整する。
【0025】
制御部17は、例えばCPUなどの情報処理部(図示せず)からの信号に応じて動作しても良いし、作業者が手動で設定する信号等に応じて動作しても良い。なお、制御部17は、IFフィルタ14に設定された周波数帯域を調整するものと、中間周波数信号の中心周波数を調整するものの2つに分かれていても良い。
【0026】
上述したフィルタ調整入力信号及び発振周波数設定入力信号は、例えば手動可変特性を有する電子部品を用いて得られる手動入力信号である。また、これらの信号を制御回路が生成することとしても良い。制御入力信号を自動生成する場合、例えば経験則などに基づいてこれらの信号の内容を互いに関連付けて最適なフィルタ特性とこれに適合した局部発振周波数を得ることができる。換言すれば、ある1つのフィルタ特性を表すフィルタ調整入力信号が入力された場合に、そのフィルタ特性に対応する最適な周波数の局部発信信号が生成される。
【0027】
図2は、IFフィルタ14の構成を示すブロック図である。IFフィルタ14は、ハイパスフィルタ20と、ローパスフィルタ30とからなる。ミキサ13からのIF信号がハイパスフィルタ20の入力端子21に入力される。ハイパスフィルタ20の出力がローパスフィルタ30に入力される。ローパスフィルタ30の出力が出力端子31からアンプ15に供給される。
【0028】
ハイパスフィルタ20は、IF信号の周波数成分のうちの所定周波数以上の帯域の周波数成分を通過させるフィルタである。ハイパスフィルタ20は、コンデンサブロック22と、抵抗23とを含む。コンデンサブロック22は、入力端子21と接続端子25との間に接続されている。抵抗23は、接続端子25と接地端子26との間に接続されている。接地端子26には、接地電位が供給される。IF信号は、入力端子21に入力され、接続端子25から出力される。コンデンサブロック22の容量値は、信号入力部24に入力されるフィルタ調整入力信号の内容に基づいて設定自在である。
【0029】
ローパスフィルタ30は、IF信号の周波数成分のうちの所定周波数以下の帯域の周波数成分を通過させるフィルタである。ローパスフィルタ30は、抵抗32と、コンデンサブロック33と、とを含む。抵抗32は、接続端子35と出力端子36との間に接続されている。コンデンサブロック33は、出力端子36と接地端子37との間に接続されている。接地端子37には、接地電位が供給される。前記ハイパスフィルタ20を経由したIF信号は、入力端子35に入力され、接続端子31から出力される。コンデンサブロック33の容量値は、信号入力部34に入力されるフィルタ調整入力信号の内容に基づいて設定自在である。
【0030】
図3は、ハイパスフィルタ20に含まれるコンデンサブロック22の構成を示す回路図である。
【0031】
コンデンサCH0が、スイッチSH0を介して入力端子21と接続端子25との間に設けられている。同様に、コンデンサCH1〜CHn(nは2以上の整数)の各々も、スイッチSH1〜SHnのうちの対応する1つを介して入力端子21と接続端子25との間に設けられている。かかる構成により、コンデンサCH0〜CHnは互いに並列に接続されている。
【0032】
信号入力部24は、信号入力端子TH0〜THnからなる。信号入力端子TH0〜THnには、フィルタ調整入力信号が入力される。フィルタ調整入力信号は例えば二進数のビット列を示す信号であり、そのビット列を構成する複数のビット値のうちの対応する1つのビット値が信号入力端子TH0〜THnの各々に入力される。二進数のビット列が例えば”1・・・・・01”である場合、信号入力端子TH0にはビット値”1”が、信号入力端子TH1にはビット値”0”が、・・・、信号入力端子THnにはビット値”1”がそれぞれ入力される。
【0033】
スイッチSH0は、信号入力端子TH0に入力されたビット値に応じてオン/オフする。同様に、スイッチSH1〜SHnの各々も、信号入力端子TH1〜THnに入力されたビット値に応じてオン/オフする。
【0034】
スイッチSH0〜SHnの各々は、ビット値が例えば”0”であればオフし、”1”であればオンする。スイッチSH0〜SHnのオン/オフにより、コンデンサCH0〜CHnのうちのいくつかが選択的に入力端子21と接続端子25との間に並列接続される。これにより、コンデンサブロック22の容量値を変更でき、フィルタ特性を最適化し得る。
【0035】
図4は、ローパスフィルタ30に含まれるコンデンサブロック33の構成を示す回路図である。
【0036】
コンデンサCL0が、スイッチSL0を介して出力端子36と接地端子37との間に設けられている。同様に、コンデンサCL1〜CLn(nは2以上の整数)の各々も、スイッチSL1〜SLnのうちの対応する1つを介して出力端子36と接地端子37との間に設けられている。かかる構成により、コンデンサCL0〜CLnは互いに並列に接続されている。
【0037】
信号入力部34は、信号入力端子TL0〜TLnからなる。信号入力端子TL0〜TLnには、フィルタ調整入力信号が入力される。フィルタ調整入力信号は例えば二進数のビット列を示す信号であり、そのビット列を構成する複数のビット値のうちの対応する1つのビット値が信号入力端子TL0〜TLnの各々に入力される。
【0038】
スイッチSL0は、信号入力端子TL0に入力されたビット値に応じてオン/オフする。同様に、スイッチSL1〜SLnの各々も、信号入力端子TL1〜TLnに入力されたビット値に応じてオン/オフする。
【0039】
スイッチSL0〜SLnの各々は、ビット値が例えば”0”であればオフし、”1”であればオンする。スイッチSL0〜SLnのオン/オフにより、コンデンサCL0〜CLnのうちのいくつかが選択的に出力端子36と接地端子37との間に並列接続される。これにより、コンデンサブロック33の容量値を変更でき、フィルタ特性を最適化し得る。
【0040】
以下、所望の周波数プロファイルを有する信号をIFフィルタ14から出力するための設定処理について説明する。設定処理は、例えば製品出荷前の特性検査において行われる。なお、設定処理は、例えば製品出荷後にユーザーによってなされても良いし、必要に応じて適宜実行できるものである。また、設定処理は、想定される入力周波数信号の変更に応じて行われるものでも良い。
【0041】
本発明にかかる周波数信号の受信方法は、受信した周波数信号と局部発信器12にて生成された局部発振周波数信号とを混合して中間周波数信号を生成するミキサステップと、通過可能な周波数信号の中心周波数と周波数帯域が設定されたIFフィルタ14に、中間周波数信号のうち所定の周波数成分を通過させるフィルタステップと、中間周波数信号の周波数帯域に応じて、IFフィルタ14に設定された周波数帯域を調整する第1の調整ステップと、IFフィルタ14に設定された周波数帯域の調整に伴うIFフィルタ14に設定された中心周波数の変動に応じて、中間周波数信号の中心周波数を調整する第2の調整ステップと、前記IFフィルタ14を通過した前記中間周波数信号を復調する復調ステップと、を有する。
【0042】
前提として、信号受信装置1は以下の動作をする。先ず、受信部10が、RF信号を受信する。増幅器11は、当該RF信号を増幅する。局部発振器12は、局部発振信号を生成する。ミキサ13は、増幅されたRF信号と局部発振信号とを混合して中間周波数信号を生成する。IFフィルタ14は、中間周波数信号の周波数成分のうちの所定帯域内の周波数成分のみを通過させる。アンプ15は、IFフィルタ14の出力信号を増幅する。復調器16は、アンプ15によって増幅された信号を復調する。
【0043】
IFフィルタ14には、所望の周波数帯域に初期設定するためのフィルタ調整入力信号が入力されている。フィルタ調整入力信号の内容に応じて、IFフィルタ14を構成するハイパスフィルタ20のコンデンサブロック22の容量値、及びローパスフィルタ30のコンデンサブロック33の容量値が設定される。これにより、IFフィルタ14のフィルタ特性が初期設定される。
【0044】
ハイパスフィルタ20のカットオフ周波数fHPFは式(1)によって定義される。
【0046】
ローパスフィルタ30のカットオフ周波数fLPFは式(2)によって定義される。
【0048】
式(1)及び式(2)より、IFフィルタ14の帯域幅BWは式(3)で表わされる。
【0050】
また、式(1)及び式(2)より、中心周波数f
centerは式(4)で表わされる。
【0052】
式(3)及び式(4)から、帯域幅BW及び中心周波数f
centerは、コンデンサブロック22及び33の容量値Csに反比例して変化することがわかる。
【0053】
コンデンサブロック22を構成するコンデンサCH0〜CHn各々の間の容量比は例えば2
nである。つまり、コンデンサCH0の容量値をC0とすると、コンデンサCH1の容量値は2×C0、コンデンサCH2の容量値は4×C0、・・・、コンデンサCHnの容量値はn×C0である。この場合、コンデンサブロック22の容量値Csを、C0から(2
n+1−1)×C0の範囲で段階的に変更できる。コンデンサブロック33についても同様である。
【0054】
このように、フィルタ調整入力信号の入力により所望のフィルタ特性を初期設定できる。また、中心周波数f
centerもフィルタ調整入力信号に応じて初期設定される。なお、IFフィルタ14に含まれる抵抗23の抵抗値RH及び抵抗32の抵抗値RL、コンデンサブロック22及び33に含まれるコンデンサCH0〜CHn及びCL0〜CLnの各々の容量値については、設計条件に応じて適切な値とすれば良い。
【0055】
その後、IFフィルタ14の出力調整処理を行う。
図5は、IFフィルタ出力調整処理ルーチンを示すフローチャートである。以下、
図5を参照しつつ、IFフィルタ出力調整処理について説明する。
【0056】
先ず、制御部17が、IFフィルタ14に設定されている周波数帯域幅を調整する(ステップS1)。制御部17は、外部からの設定信号の内容に応じて調整量を決定する。設定 信号は、コンデンサブロック22及び33の容量値Csを設定する信号である。詳細には、設定信号は、例えばコンデンサブロック22内のスイッチSH1〜SHnの各々をオン/オフするために信号入力端子TH0〜THnに入力される例えば”0”及び”1”からなる2進数のビット列を示す信号である。また、同様の設定信号が、コンデンサブロック33内のスイッチSL1〜SLnをオン/オフするために信号入力端子TH0〜THnに供給され得る。制御部17による調整量は、IFフィルタ14に含まれるコンデンサブロック22及び33の容量値を変更することによって定まる。当該調整により、IFフィルタ14において、製造ばらつきによって生じた周波数帯域幅のずれを補正でき、また、所望の入力周波数信号に応じた周波数帯域幅に設定することができる。以下、局部発振信号の周波数がRF信号の周波数よりも低い、いわゆる下側ローカルとして設定された信号受信装置である場合の例について説明する。
【0057】
例えば、実際の周波数帯域幅が所望の周波数帯域幅よりも狭かった場合には、周波数帯域幅を広げる旨の設定信号が制御部17に対してなされる。制御部17は、設定信号の内容に応じて、コンデンサブロック22及び33の容量値Csを小さくするフィルタ調整入力信号をIFフィルタ14に入力する。このフィルタ調整入力信号は、ハイパスフィルタ20におけるコンデンサCH0〜CHnの並列接続数、及びローパスフィルタ30におけるコンデンサCL0〜CLnの並列接続数を減らすものである。容量値Csを小さくしたことによりIFフィルタ14の中心周波数が高くなる。
【0058】
次に、制御部17は、中間周波数信号の中心周波数を調整する(ステップS2)。制御部17は、外部からの設定信号の内容に応じて調整量を決定する。調整量は、局部発振器周12への発振周波数設定入力信号の内容によって定まる。
【0059】
例えば、上記のような周波数帯域幅を広げる旨の設定信号は、発振周波数を下げる内容をも含んでいる。制御部17は、設定信号の内容に応じて、発振周波数を下げる発振周波数設定入力信号を局部発振器12に入力しIF周波数を高く設定する。局部発振器12がPLLである場合、この発振周波数設定入力信号は、分周比1/NのN値を小さくするものである。
【0060】
また、例えば、実際の周波数帯域幅が所望の周波数帯域幅よりも広かった場合には、周波数帯域幅を狭める旨の設定指令が制御部17に対してなされる。制御部17は、設定信号の内容に応じて、コンデンサブロック22及び33の容量値Csを大きくするフィルタ調整入力信号をIFフィルタ14に入力する。このフィルタ調整入力信号は、ハイパスフィルタ20におけるコンデンサCH0〜CHnの並列接続数、及びローパスフィルタ30におけるコンデンサCL0〜CLnの並列接続数を増やすものである。容量値Csを大きくしたことによりIFフィルタの14の中心周波数が低くなる。
【0061】
例えば、上記のような周波数帯域幅を狭める旨の設定信号は、発振周波数を上げる内容をも含んでいる。制御部17は、設定信号の内容に応じて、発振周波数の中心周波数を上げる発振周波数設定入力信号を局部発振器12に入力しIF周波数を低く設定する。局部発振器12がPLLである場合、この発振周波数設定入力信号は、分周比1/NのN値を大きくするものである。
【0062】
上記の例は、下側ローカルの場合の例であるが、局部発振信号の周波数がRF信号の周波数よりも高い、いわゆる上側ローカルとして設定された信号受信装置1の場合には、制御部17は以下のように調整する。設定信号が周波数帯域幅を広げる内容を含む場合には、周波数帯域の調整によってIFフィルタの中心周波数が高くなる。この場合における設定信号は、発振周波数を上げる内容をも含んでいる。制御部17は、設定信号の内容に応じて発振周波数の中心周波数を上げる発振周波数設定入力信号を局部発振器12に入力する。設定信号が周波数帯域幅を狭める内容を含む場合には、周波数帯域の調整によってIFフィルタの中心周波数が低くなる。この場合における設定信号は、発振周波数を下げる内容をも含んでいる。制御部17は、設定信号の内容に応じて発振周波数の中心周波数を下げる発振周波数設定入力信号を局部発振器12に入力する。
【0063】
かかる内容のフィルタ調整入力信号及び発振周波数設定入力信号の入力により、IFフィルタ14の出力信号の周波数プロファイルを最適に調整できる。例えば出荷前に当該調整のためのフィルタ調整入力信号及び発振周波数設定入力信号の内容を固定すれば、信号受信装置1の出荷時には、フィルタ特性の誤差が解消されている。
【0064】
このように、本実施例の信号受信装置1においては、設定信号の内容に応じてIFフィルタに設定された周波数帯域を調整すると共に、当該調整に伴って変動したIFフィルタの中心周波数をも設定信号の内容に応じて調整する。かかる構成によれば、従来技術のように複数のIFフィルタを備える必要がないので、チップ面積が小さく済むという効果を奏する。また、フィルタ調整入力信号の入力により帯域幅BWを変更できると共に、当該変更によって変化した中心周波数fcenterについても、発振周波数設定入力信号の内容を変更することによって調整できるので、製造バラツキによるIFフィルタ特性の誤差を補償できる。また、種々入力される周波数信号に応じて最適なIFフィルタ特性を実現することが可能となる。
【0065】
<第2の実施例>
図6は、制御部17とコンデンサブロック22とコンデンサブロック33の構成を示すブロック図である。信号受信装置1(
図1)やIFフィルタ14(
図2〜
図4)の構成は第1の実施例と同様である。
【0066】
制御部17は、レジスタ51−1〜51−mと、セレクタ52と、レジスタ53−1〜53−mと、セレクタ54と、レジスタ55−1〜55−mと、セレクタ56と、コントロール回路57と、を含む。
【0067】
レジスタ51−1〜51−mの各々には、発振周波数設定入力信号の内容を示すデータが記憶される。レジスタ51−1〜51−mの各々には、互いに異なるデータが記憶される。当該データは、コントロール回路57から供給される。局部発振器12がPLLの場合、当該データは分周比を示すものである。
【0068】
セレクタ52は、コントロール回路57から供給される選択指令に応じてレジスタ51−1〜51−mのうちの1つを選択し、当該選択した1つのレジスタに記憶されているデータを内容とする発振周波数設定入力信号を出力する。発振周波数設定入力信号は、
図1に示される局部発振器12に供給される。
【0069】
レジスタ53−1〜53−mの各々には、フィルタ調整入力信号の内容を示すデータが記憶される。レジスタ53−1〜53−mの各々には、互いに異なるデータが記憶される。当該データは、コンデンサブロック22の入力端子TH0〜THnに供給すべきnビットのデータである。当該データは、コントロール回路57から供給される。
【0070】
セレクタ54は、コントロール回路57から供給される選択指令に応じてレジスタ53−1〜53−mのうちの1つを選択し、当該選択した1つのレジスタに記憶されているデータを内容とするフィルタ調整入力信号を出力する。フィルタ調整入力信号は、コンデンサブロック22の入力端子TH0〜THnに供給される。
【0071】
レジスタ55−1〜55−mの各々には、フィルタ調整入力信号の内容を示すデータが記憶される。レジスタ55−1〜55−mの各々には、互いに異なるデータが記憶される。当該データは、コンデンサブロック33の入力端子TL0〜TLnに供給すべきnビットのデータである。当該データは、コントロール回路57から供給される。
【0072】
セレクタ56は、コントロール回路57から供給される選択指令に応じてレジスタ55−1〜55−mのうちの1つを選択し、当該選択した1つのレジスタに記憶されているデータを内容とするフィルタ調整入力信号を出力する。フィルタ調整入力信号は、コンデンサブロック33の入力端子TL0〜TLnに供給される。
【0073】
コントロール回路57は、レジスタ51−1〜51−mの各々に対して発振周波数設定入力信号の内容を示すデータを供給し、レジスタ53−1〜53−m及びレジスタ55−1〜55−mの各々に対してフィルタ調整入力信号の内容を示すデータを供給する。これらのデータは変調方式や変調速度等の条件毎に異なり、その条件に合致する適切なフィルタ特性とこれに適合した中心周波数に対応したIF周波数とを設定するデータである。レジスタ51−1〜51−mが記憶するデータと、レジスタ53−1〜53−m及びレジスタ55−1〜55−mが記憶するデータとは例えば経験則などに基づいて互いに関連付けられている。コントロール回路57は、例えばLSI等のマイクロプロセッサチップとして構成され得る 。
【0074】
例えば、レジスタ51−1に1つのフィルタ調整用データを記憶し、当該データが示すフィルタ特性に適合するIF周波数を生成するための発振周波数設定用データをレジスタ53−1及び55−1に記憶する。そして、コントロール回路57は、外部からの設定信号の内容に応じてレジスタ51−1を選択する選択指令をセレクタ52に供給すると共に、レジスタ53−1及び55−1を選択する選択指令をセレクタ54及び56に供給する。かかる構成により、コントロール回路57が、ある1つのフィルタ特性を選択した場合に、これに対応する最適な中心周波数が選択される。
【0075】
このように、コントロール回路55は、外部からの設定信号の内容に応じて、レジスタ51−1〜51−mのうちの1つ、及びレジスタ53−1〜53−mのうちの1つを選択する選択信号をセレクタ52、54及び56に供給する。
【0076】
このように、本実施例の信号受信装置1においては、フィルタ調整用データと発振周波数設定用データとを互いに関連付けてレジスタに記憶し、実際に用いる変調方式や変調速度等の条件に応じて1つのフィルタ特性を選択すると共に、これに関連するIF周波数を選択する。かかる構成により、ある1つのフィルタ特性を選択した場合に、これに対応する最適なIF周波数を選択することができる。
【0077】
第1及び第2の実施例は、IFフィルタ14の容量値を可変とすることによってフィルタ特性を変更する場合の例であるが、IFフィルタ14の抵抗値を可変とすることによってフィルタ特性を変更することも考えられる。この 場合、IFフィルタ14は、容量素子と、当該容量素子に接続され且つ抵抗値が切換可能な抵抗ブロックと、を含んで構成される。IFフィルタ14は、例えばハイパスフィルタとローパスフィルタとからなる。ハイパスフィルタ及びローパスフィルタの各々が、容量素子とこれに接続された抵抗値可変の抵抗ブロックとを含む。抵抗ブロックは、例えば、複数の抵抗を含み、外部又は例えばCPU(図示せず)から供給される設定信号に応じて、当該抵抗のいくつかが並列接続される構成となっている。設定信号は、例えば、抵抗の各々に対して直列に接続された個々のスイッチをオン/オフさせる信号である。当該スイッチのオン/オフさせて抵抗の並列接続数を変更することにより、抵抗ブロックの抵抗値を変更できる。抵抗ブロックの抵抗値を変更することによって、IFフィルタ14に設定されるべき周波数帯域を調整できる。