特許第5788069号(P5788069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許5788069-平面型ヒートパイプ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5788069
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】平面型ヒートパイプ
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20150910BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   F28D15/02 102G
   F28D15/02 L
   H01L23/46 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-176173(P2014-176173)
(22)【出願日】2014年8月29日
【審査請求日】2014年9月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達朗
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−022378(JP,A)
【文献】 特開平06−155030(JP,A)
【文献】 特開2007−113864(JP,A)
【文献】 特開2004−028442(JP,A)
【文献】 特開2001−334333(JP,A)
【文献】 特開2007−266153(JP,A)
【文献】 特開2013−173248(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0068656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の板状体により空洞部が中央部に形成されたコンテナと、前記空洞部に封入された作動液とを有し、前記空洞部にウィック構造が備えられた平面型ヒートパイプであって、
前記板状体の少なくとも一方は、2種類以上の金属部材が積層され一体化された複合部材であり、前記複合部材のうち、空洞部に接した層を形成する金属部材が、200W/m・K以上の熱伝導率を有し、外部に接した層を形成する金属部材が、100W/m・K以下の熱伝導率を有し、前記空洞部の外周部が、レーザー溶接で封止されている平面型ヒートパイプ。
【請求項2】
前記複合部材が、クラッド材またはめっき材である請求項に記載の平面型ヒートパイプ。
【請求項3】
前記空洞部に接した層を形成する金属部材が、銅であり、前記外部に接した層を形成する金属部材が、ステンレス鋼である請求項1または2に記載の平面型ヒートパイプ。
【請求項4】
前記空洞部に接した層を形成する金属部材の層の厚さが、前記複合部材の厚さの1/2以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の平面型ヒートパイプ。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の平面型ヒートパイプが搭載されたヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの歪みが低減され、水等の作動液に対する適合性に優れた平面型ヒートパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、近年、その冷却がより重要となっている。電子部品の冷却方法として、平面型ヒートパイプが使用されることがある。
【0003】
平面型ヒートパイプのコンテナ材料として、作動液として広汎に使用される水に対する適合性に優れかつ熱伝導率の高い銅材を使用すると、銅材はレーザー光線の反射率が高くレーザー溶接には不向きであり、また、電気抵抗が低いためにシーム溶接等の抵抗溶接にも不向きなので、ウィック構造を有する空隙部を封止するために、ロウ付けまたははんだ付けにて空洞部の外周を接合するのが一般的である。しかし、ロウ付けまたははんだ付けによる封止方法は、コンテナ材料である銅材を高温下で加熱する必要があるので、コンテナ材料の剛性が低下して平面型ヒートパイプの耐圧性が劣化する傾向にあるという問題があった。
【0004】
一方で、ロウ付けまたははんだ付けによる平面型ヒートパイプの耐圧性の低下を防止するために、コンテナ材料として銅材以外の材料、例えば、ステンレス鋼等を使用すると、作動液として広汎に使用される水との適合性に劣るという問題があった。
【0005】
一方で、コンテナ材料として2種の金属部材からなるクラッド材を使用することもある。該クラッド材として、軽量化と優れた加工性のために、銅材とアルミニウム材との二層構造の部材を使用し、コンテナの内壁を形成するクラッド材の面が銅材からなる平面型ヒートパイプも提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、特許文献1の平面型ヒートパイプでは、ロウ付けまたははんだ付け等の加熱処理を用いた封止方法では、銅材とアルミニウム材の線膨張率の差からコンテナに歪みが生じる場合があり、また、レーザー光線を用いた封止方法では、アルミニウム材もレーザー光線の反射率が高いので、レーザー溶接には不向きという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−168575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、コンテナの歪みが低減され、ウィック構造を有する空隙部の気密性と水等の作動液に対する適合性に優れた平面型ヒートパイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、対向する2枚の板状体により空洞部が中央部に形成されたコンテナと、前記空洞部に封入された作動液とを有し、前記空洞部にウィック構造が備えられた平面型ヒートパイプであって、前記板状体の少なくとも一方は、2種類以上の金属部材が積層され一体化された複合部材であり、前記複合部材のうち、空洞部に接した層を形成する金属部材が、200W/m・K以上の熱伝導率を有し、外部に接した層を形成する金属部材が、100W/m・K以下の熱伝導率を有し、前記空洞部の外周部が封止されている平面型ヒートパイプである。なお、本明細書の熱伝導率は、25℃での値である。
【0010】
本発明の態様は、前記空洞部の外周部が、レーザー溶接で封止されている平面型ヒートパイプである。
【0011】
本発明の態様は、前記空洞部の外周部が、抵抗溶接で封止されている平面型ヒートパイプである。
【0012】
本発明の態様は、前記複合部材が、クラッド材またはめっき材である平面型ヒートパイプである。
【0013】
本発明の態様は、前記空洞部に接した層を形成する金属部材が、銅であり、前記外部に接した層を形成する金属部材が、ステンレス鋼である平面型ヒートパイプである。
【0014】
本発明の態様は、前記空洞部に接した層を形成する金属部材の層の厚さが、前記複合部材の厚さの1/2以下である平面型ヒートパイプである。
【0015】
本発明の態様は、上記平面型ヒートパイプが搭載されたヒートシンクである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、平面型ヒートパイプのコンテナ材料が、空洞部に接した層を形成する金属部材が200W/m・K以上の熱伝導率を有し、外部に接した層を形成する金属部材が100W/m・K以下の熱伝導率を有する複合部材であることにより、空洞部の外周部を溶接等にて封止する際に、まず、外部に接した層である100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材が速やかに溶融して溶融熱を放出し、100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材から放出された溶融熱は、空洞部に接した層である200W/m・K以上の熱伝導率、すなわち、相対的に高い熱伝導率を有する金属部材へ円滑に伝熱されて、該金属部材も速やかに溶融するので、コンテナに歪みが発生するのが防止され、平面度の高い平面型ヒートパイプとなる。
【0017】
また、外部に接した層である金属部材と空洞部に接した層である金属部材ともに、速やかに溶融するので、ウィック構造を有する空隙部の気密性に優れた平面型ヒートパイプとなる。さらに、空洞部に接した層を形成する金属部材が200W/m・K以上と、高い熱伝導率を有することから、水等の作動液に対する適合性に優れ、さらに熱輸送特性にも優れた平面型ヒートパイプとなる。
【0018】
本発明の態様によれば、空洞部がレーザー溶接で封止されていることにより、外部に接した層である100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材がより速やかに溶融して溶融熱を放出し、空洞部に接した層である200W/m・K以上の熱伝導率を有する金属部材へ溶融熱が円滑に伝熱されて該金属部材もより速やかに溶融するので、レーザー溶接による封止処理にあたり、コンテナの歪みの発生をさらに低減でき、ウィック構造を有する空隙部の気密性もさらに向上する。なお、100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材にレーザー光線が照射されると、より速やかに該金属部材が溶融するのは、熱伝導率のより低い金属部材は電気伝導度もより低く、電気伝導度のより低い金属部材はレーザー光線の吸収率がより高いので、レーザー光線が熱伝導率のより低い金属部材に照射されると、該金属部材はより速やかにレーザー光線のエネルギーを吸収して溶融するためである。
【0019】
本発明の態様によれば、空洞部が抵抗溶接で封止されていることにより、外部に接した層である100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材がより速やかに溶融するので、抵抗溶接による封止処理にあたり、コンテナの歪みの発生をさらに低減でき、ウィック構造を有する空隙部の気密性もさらに向上する。なお、100W/m・K以下の熱伝導率を有する金属部材に対して溶接電流を流す抵抗溶接がなされると、より速やかに該金属部材が溶融するのは、熱伝導率のより低い金属部材に電流を印加すると、より高いジュール熱が発生するので、熱伝導率のより低い金属部材に対して抵抗溶接が施されると、該金属部材はより速やかに溶融するためである。
【0020】
本発明の態様によれば、空洞部に接した層の金属部材が銅、外部に接した層の金属部材がステンレス鋼であることにより、水等の作動液との適合性に優れ、コンテナ材料の剛性が高く耐圧性に優れた平面型ヒートパイプとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプの側面断面図である。
図2】本発明の第2実施形態例に係る平面型ヒートパイプの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。図1に示すように、第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1は、対向する2枚の板状体、すなわち、一方の板状体4と他方の板状体3とを重ねることにより空洞部5を有する凸部6が中央部に形成された平面視矩形状のコンテナ2と、空洞部5内に封入された作動液(図示せず)とを有している。空洞部5内には、毛細管構造を有するウィック構造体(図示せず)が収納されている。
【0023】
一方の板状体4は平板状である。他方の板状体3も平板状であるが、中央部が凸状に塑性変形されている。この板状体3の、外側に向かって突出し、凸状に塑性変形された部位が、コンテナ2の凸部6となる。凸部6の内部は、空洞部5となっている。平面型ヒートパイプ1では、凸部6の外周部に、すなわち、凸部6の周りを囲むようにレーザー光線7にてレーザー溶接部8が形成されることで空洞部5が封止され、空洞部5に気密性が付与される。なお、図1では、凸部6の外周部のうち、コンテナ2の側面断面図の一方の端部に相当する位置において、レーザー光線7を照射してレーザー溶接部8を形成している様子を示している。従って、その後、コンテナ2の側面断面図の他方の端部に相当する位置においてもレーザー光線7が照射されて、レーザー溶接部8が形成される。
【0024】
一方の板状体4と他方の板状体3ともに、それぞれ、空洞部に接した第1の層4−1、3−1と外部環境に接した第2の層4−2、3−2が、積層され一体化された複合部材である。一方の板状体4では、空洞部に接した第1の層4−1を形成する金属部材は、200W/m・K以上の熱伝導率を有し、平面型ヒートパイプ1の外部環境に接した第2の層4−2を形成する金属部材は、100W/m・K以下の熱伝導率を有する。他方の板状体3も、一方の板状体4と同様に、空洞部に接した第1の層3−1を形成する金属部材は、200W/m・K以上の熱伝導率を有し、平面型ヒートパイプ1の外部環境に接した第2の層3−2を形成する金属部材は、100W/m・K以下の熱伝導率を有する。
【0025】
第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1では、第1の層3−1、4−1と第2の層3−2、4−2は、いずれも、1種の金属部材からなる単層構造である。
【0026】
熱伝導率の低い金属部材は電気伝導度も低く、電気伝導度の低い金属部材はレーザー光線の吸収率が高いので、レーザー光線が熱伝導率の低い金属部材に照射されると、該金属部材は速やかにレーザー光線のエネルギーを吸収して溶融する。よって、例えば、他方の板状体3の表面側にレーザー光線7が照射、すなわち、他方の板状体3の100W/m・K以下の熱伝導率を有する第2の層3−2の金属部材に対してレーザー光線7が照射されると、速やかに他方の板状体3の第2の層3−2の金属部材が溶融する。この金属部材の溶融熱は、空洞部5に接した層である200W/m・K以上の熱伝導率、すなわち、相対的に高い熱伝導率を有する、他方の板状体3の第1の層3−1の金属部材へ円滑に伝熱されて、第1の層3−1の金属部材も速やかに溶融する。他方の板状体3の第1の層3−1の金属部材の溶融熱は、同様に、さらに、一方の板状体4の第1の層4−1の金属部材、一方の板状体4の第2の層4−2の金属部材へと伝えられて、第1の層4−1の金属部材及び第2の層4−2の金属部材も速やかに溶融する。従って、レーザー光線7による溶接にて、コンテナ2の歪みの発生をより低減でき、ウィック構造を有する空隙部5の気密性もさらに向上する。
【0027】
また、第1の層3−1、4−1を形成する金属部材の熱伝導率が200W/m・K以上と、高い熱伝導率であることにより、作動液との適合性を有しつつ良好な熱輸送特性を有する平面型ヒートパイプとすることができる。第1の層3−1、4−1を形成する金属部材の熱伝導率は、200W/m・K以上であれば特に限定されないが、平面型ヒートパイプ1の優れた熱輸送特性と、第2の層3−2、4−2の溶融熱の第1の層3−1、4−1内部への伝熱性及び一方の板状体4への伝熱性の点から、300W/m・K以上が好ましく、より優れた熱輸送特性とより優れた上記伝熱性の点から、350W/m・K以上が特に好ましい。
【0028】
また、第1の層3−1、4−1を形成する金属部材の熱伝導率の上限は特に限定されないが、100W/m・K以下の熱伝導率である金属部材から形成された第2の層3−2、4−2との熱膨張率の差に起因するコンテナ2の歪み発生を確実に防止する点から500W/m・K以下が好ましく、450W/m・K以下が特に好ましい。
【0029】
第1の層3−1、4−1の金属部材は、上記熱伝導率を有する金属部材であれば、金属種は特に限定されず、200W/m・K以上300W/m・K未満の金属材料として、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等、300W/m・K以上350W/m・K未満の金属材料として、例えば、金、銅合金等、350W/m・K以上500W/m・K未満の金属材料として、銅、銀等、を挙げることができる。このうち、作動液として汎用されている水との優れた適合性と優れた熱輸送特性の点から、銅が好ましい。
【0030】
一方で、第2の層3−2、4−2を形成する金属部材の熱伝導率が100W/m・K以下であることにより、第2の層3−2、4−2の金属部材はレーザー光線のエネルギーを速やかに吸収して溶融するので、コンテナ2の歪みの発生を低減でき、ウィック構造を有する空隙部の気密性も向上する。第2の層3−2、4−2を形成する金属部材の熱伝導率は、100W/m・K以下であれば、特に限定されないが、レーザー光線のエネルギーをより速やかに吸収することで、コンテナ2の歪みの発生をさらに低減して平面型ヒートパイプ1の平面度をより向上させる点から70W/m・K以下が好ましく、レーザー溶接の高速化による生産性向上の点から40W/m・K以下が特に好ましい。
【0031】
第2の層3−2、4−2の金属部材は、上記熱伝導率を有する金属部材であれば、金属種は特に限定されず、70W/m・K超100W/m・K以下の金属部材として、例えば、ニッケル、鉄等、40W/m・K超70W/m・K以下の金属部材として、例えば、青銅、スズ等、40W/m・K以下の金属部材として、例えば、ステンレス鋼、チタン等、を挙げることができる。このうち、剛性が高く耐圧性に優れたコンテナ2としつつ、コンテナ2の歪みの発生を低減する点から、ステンレス鋼、チタンが好ましい。
【0032】
積層された一方の板状体4と他方の板状体3の厚さの合計は、特に限定されず、例えば、0.1mm〜1.0mmである。また、一方の板状体4の厚さは、特に限定されず、例えば、0.05mm〜0.5mmであり、他方の板状体3の厚さも、特に限定されず、例えば、0.05mm〜0.5mmである。第1の層3−1、4−1の厚さと第2の層3−2、4−2の厚さの比率は、特に限定されず、例えば、第2の層3−2、4−2の厚さに対する第1の層3−1、4−1の厚さの比は、一方の板状体及び他方の板状体の剛性の点から0.1〜1.0が好ましく、溶接の安定性と信頼性の点から0.2〜0.8が特に好ましい。
【0033】
第1の層3−1、4−1と第2の層3−2、4−2が積層され一体化された複合部材として、例えば、クラッド材またはめっき材を使用することができる。本発明で使用するクラッド材は、公知の方法にて製造することができ、例えば、第1の層3−1、4−1の金属部材の接合面と第2の層3−2、4−2の金属部材の接合面を洗浄して、所定の活性化処理をした後、両金属部材の接合面を重ねて冷間圧延にて接合し、熱処理することにより製造できる。また、本発明で使用するめっき材も、公知の方法にて製造することができ、例えば、被めっき部材である第2の層3−2、4−2を形成する金属部材に対して無電解めっきまたは電気めっきを施すことで第2の層3−2、4−2上に第1の層3−1、4−1を形成することで製造できる。
【0034】
レーザー溶接部8の形成に使用するレーザーは、特に限定されないが、高速加工の点及びレーザー溶接部8の溶接幅を低減して空洞部5の歪みを防止する点から、例えば、コンテナ2のレーザー照射側表面における集光径が小さい、例えば、該集光径20〜200μmのファイバーレーザーを挙げることができる。
【0035】
空洞部5に封入する作動液としては、コンテナ2の材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水を挙げることができる。その他の作動液としては、例えば、代替フロン、フロリーナ、シクロペンタン等を挙げることができる。毛細管構造を有するウィック構造体(図示せず)としては、例えば、メッシュ、ワイヤ等を有する薄板を挙げることができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態例に係る平面型ヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。本発明の第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1では、凸部6の外周部にレーザー光線7にてレーザー溶接部8が形成されることで空洞部5が封止されていたが、これに代えて、第2実施形態例に係る平面型ヒートパイプ10では、凸部6の外周部にシーム溶接機等の抵抗溶接機11にて抵抗溶接機による溶接部12が形成されることで空洞部5が封止されている。なお、図2でも、図1と同様に、凸部6の外周部のうち、コンテナ2の側面断面図の一方の端部に相当する位置において、抵抗溶接機11にて抵抗溶接機による溶接部12を形成している様子を示している。従って、その後、コンテナ2の側面断面図の他方の端部に相当する位置においても抵抗溶接機11にて抵抗溶接機による溶接部12が形成されることとなる。
【0038】
熱伝導率の低い金属部材に電流を印加すると高いジュール熱が発生するので、100W/m・K以下の熱伝導率を有する第2の層3−2、4−2の金属部材に対して溶接電流を流すシーム溶接等の抵抗溶接がなされると、速やかに第2の層3−2、4−2の金属部材が溶融する。この金属部材の溶融熱は、空洞部5に接した層である200W/m・K以上の熱伝導率、すなわち、相対的に高い熱伝導率を有する、第1の層3−1、4−1の金属部材へ円滑に伝熱されて、第1の層3−1、4−1の金属部材も速やかに溶融する。従って、シーム溶接機等の抵抗溶接機11にて凸部6の外周部を溶接しても、レーザー光線7による溶接と同様に、コンテナ2の歪みの発生をより低減でき、ウィック構造を有する空隙部5の気密性もさらに向上する。
【0039】
次に、本発明の実施形態例に係る平面型ヒートパイプの使用方法例について説明する。ここでは、パソコン等の電子機器内部のCPU等が実装されているフレキシブルプリント配線板を、本発明の平面型ヒートパイプを用いて冷却する場合を例にとって説明する。電子機器内部の空隙の状況とフレキシブルプリント配線板の収納状況に応じて、適宜、平面型ヒートパイプを曲げて、フレキシブルプリント配線板を平面型ヒートパイプの入熱側と熱的に接続させる。平面型ヒートパイプの放熱側には、必要に応じて、放熱用のフィンを設ける。これにより、電子機器内部の狭い空間に収容されたフレキシブルプリント配線板を面状に冷却することができる。
【0040】
また、本発明の実施形態例に係る平面型ヒートパイプをヒートシンクに搭載して、ヒートシンクの冷却能力を向上させることもできる。上記搭載方法としては、例えば、ヒートシンクの受熱ブロック表面に平面型ヒートパイプの放熱側を熱的に接続させる方法、ヒートシンクの受熱ブロックに平面型ヒートパイプの入熱側を熱的に接続させ、ヒートシンクの放熱フィンに平面型ヒートパイプの放熱側を熱的に接続させる方法等を挙げることができる。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1、10では、第1の層3−1、4−1と第2の層3−2、4−2は、いずれも、1種の金属部材からなる単層構造であったが、これに代えて、2種以上の金属部材から形成された2層以上の構造でもよい。この場合、金属部材の具体的な金属種としては、上記した金属種を挙げることができる。
【0042】
上記各実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1、10では、他方の板状体3と一方の板状体4ともに、それぞれ、空洞部5に接した第1の層3−1、4−1と外部環境に接した第2の層3−2、4−2からなる複合部材、すなわち、2種の金属部材が積層され一体化された2層構造の複合部材であったが、これに代えて、第1の層3−1、4−1と第2の層3−2、4−2との間に、さらに、第1の層3−1、4−1及び第2の層3−2、4−2の金属部材とは別の種類の金属部材にて形成した中間層を1つ以上設けた、3層以上の構造の複合部材としてもよい。中間層を形成する金属部材は、熱伝導率が100W/m・K超200W/m・K未満の金属部材であり、例えば、タングステン等を挙げることができる。
【0043】
また、上記の通り、上記各実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1、10では、他方の板状体3と一方の板状体4ともに、第1の層3−1、4−1と第2の層3−2、4−2からなる2層構造の複合部材であったが、これに代えて、他方の板状体3または一方の板状体4を、第1の層3−1、4−1のみまたは第2の層3−2、4−2のみからなる1層構造の部材としてもよい。この実施形態例では、レーザー光線7が照射される場合には、コンテナに歪みが発生するのを確実に防止する点から、レーザー光線7が照射される方の板状体が2層構造の複合部材、レーザー光線7が照射されない方の板状体が上記1層構造の部材であることが好ましい。なお、他方の板状体3または一方の板状体4を上記1層構造の部材とする場合にも、複合部材は2層構造ではなく3層以上の構造としてもよい。
【0044】
第1実施形態例に係る平面型ヒートパイプ1では、他方の板状体3の表面にレーザー光線9が照射されたが、これに代えて、一方の板状体4の表面にレーザー光線9が照射されてもよく、他方の板状体3と一方の板状体4の両表面にレーザー光線9が照射されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の平面型ヒートパイプは、コンテナの歪みが低減され、ウィック構造を有する空隙部の気密性と水等の作動液に対する適合性に優れるので、特に、冷却対象の発熱体を面状に均一に冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0046】
1、10 平面型ヒートパイプ
2 コンテナ
3 他方の板状体
4 一方の板状体
5 空洞部
8 レーザー溶接部
12 抵抗溶接機による溶接部
【要約】
【課題】
コンテナの歪みが低減され、ウィック構造を有する空隙部の気密性と水等の作動液に対する適合性に優れた平面型ヒートパイプを提供する。
【解決手段】
対向する2枚の板状体により空洞部が中央部に形成されたコンテナと、前記空洞部に封入された作動液とを有し、前記空洞部にウィック構造が備えられた平面型ヒートパイプであって、前記板状体の少なくとも一方は、2種類以上の金属部材が積層され一体化された複合部材であり、前記複合部材のうち、空洞部に接した層を形成する金属部材が、200W/m・K以上の熱伝導率を有し、外部に接した層を形成する金属部材が、100W/m・K以下の熱伝導率を有し、前記空洞部の外周部が封止されている平面型ヒートパイプ。
【選択図】図1
図1
図2