特許第5788109号(P5788109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5788109波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788109
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/31 20060101AFI20150910BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20150910BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20150910BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   G02F1/31
   G02F1/01 D
   G02F1/13 505
   G02F1/1335 520
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-543697(P2014-543697)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2014059302
(87)【国際公開番号】WO2014157673
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2014年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-74510(P2013-74510)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100142712
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 至男
(72)【発明者】
【氏名】岩間 真木
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/046697(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/123715(WO,A1)
【文献】 米国特許第06928207(US,B1)
【文献】 特開2008−298865(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/061103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/293
G02B 26/08
G02F 1/00 − 1/335
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から光が入力される、または外部に光を出力する複数のポートを有する光入出力ポートと、
前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、
前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、
前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、
を備え、前記光入出力ポートのうちいずれか1つのポートから入力した互いに波長の異なる2以上の光を、前記空間光変調器により波長の異なる光ごとに個別にスイッチング操作し、個々にいずれか1つのポートから出力でき、または前記光入出力ポートのうちいずれか2つ以上のポートから入力した互いに波長の異なる2以上の光を、前記空間光変調器により波長の異なる光ごとに個別にスイッチング操作し、いずれか1つのポートから出力できる波長選択光スイッチ装置であって、前記空間光変調器は、前記集光レンズ系の波長分散軸方向に対するビームウエストの位置に、前記波長分散素子の波長分散軸方向において、前記波長分散軸と傾けて配置され、前記波長分散軸方向に回折格子状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光が所望の出力ポートへ結合することを特徴とする波長選択光スイッチ装置。
【請求項2】
前記光入出力ポートと前記波長分散素子との間に配置され、前記光入出力ポート側から入力された光のビーム径をビーム径拡大方向に拡大するアナモルフィック光学系、
をさらに備え、前記空間光変調器は、前記波長分散素子の波長分散軸方向に対する前記集光レンズ系のビームウエストの位置に配置され、前記波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向のみにフレネルレンズ状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光が所望の出力ポートへ結合することを特徴とする請求項1に記載の波長選択光スイッチ装置。
【請求項3】
前記空間光変調器は、異なる波長を有する2以上の波長帯に対して、前記スイッチ軸方向に異なる曲率を有するフレネルレンズ状の位相変調を形成することを特徴とする請求項2に記載の波長選択光スイッチ装置。
【請求項4】
前記光入出力ポートの光軸と、前記集光レンズの光軸とが、離間していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の波長選択光スイッチ装置。
【請求項5】
前記光入出力ポートは、3つ以上のポートを有し、
前記光入出力ポートおよび該光入出力ポートに対応する前記コリメータレンズの間隔が、不等間隔であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の波長選択光スイッチ装置。
【請求項6】
外部から光が入力される、または外部に光を出力する複数のポートを有する光入出力ポートと、
前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、
前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、
前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、
を備え、前記光入出力ポートのうちいずれか1つのポートから入力した互いに波長の異なる2以上の光を、前記空間光変調器により波長の異なる光ごとに個別にスイッチング操作し、個々にいずれか1つのポートから出力でき、または前記光入出力ポートのうちいずれか2つ以上のポートから入力した互いに波長の異なる2以上の光を、前記空間光変調器により波長の異なる光ごとに個別にスイッチング操作し、いずれか1つのポートから出力できる波長選択光スイッチ装置であり、かつ
前記空間光変調器は、前記集光レンズ系の波長分散軸方向に対するビームウエストの位置に、前記波長分散素子の波長分散軸方向において、前記波長分散軸と傾けて配置される波長選択光スイッチ装置の制御方法であって、
前記空間光変調器によって前記波長分散軸方向に回折格子状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光を所望の出力ポートへ結合させることを特徴とする波長選択光スイッチ装置の制御方法。
【請求項7】
前記波長選択光スイッチ装置は、前記光入出力ポートと前記波長分散素子との間に配置され、前記光入出力ポート側から入力された光のビーム径をビーム径拡大方向に拡大するアナモルフィック光学系をさらに備えるとともに、前記空間光変調器が、前記波長分散素子の波長分散軸方向に対する前記集光レンズ系のビームウエストの位置に配置されており、
前記空間光変調器によって前記波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向のみにフレネルレンズ状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光を所望の出力ポートへ結合させることを特徴とする請求項に記載の波長選択光スイッチ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて、波長多重光信号等の光信号の経路を切り替えるために、光スイッチが使用されている。このような光スイッチには、光信号の経路を切り替えるために、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いたものがある(特許文献1,2参照)。LCOSは、入射された光の位相を液晶によって変調し、回折させることができる空間光変調器である。したがって、LCOSを用いた光スイッチでは、ある経路から入射された光信号を、LCOSによって回折させて、特定の経路に出力することにより、光スイッチ動作を実現している。
【0003】
特許文献1,2に開示される光スイッチでは、光信号が入力される入力ポートと、光信号を出力する出力ポートとが、所定の方向に沿って等間隔で配列している。また、入力ポートはレンズの光軸上に配置されている。したがって、LCOSは、入射光の角度をこの配列方向に回折させるように構成されている。また、入力および出力ポートの数がそれぞれN、M(N、Mは1以上の整数)の光スイッチは、N×M光スイッチと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7092599号明細書
【特許文献2】米国特許第7397980号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが特許文献1,2に開示される構成の光スイッチの特性について精査したところ、所定の入力ポートから入力した光信号を所定の出力ポートに出力させるような光スイッチ動作をさせる場合に、意図しない他の出力ポートにも光信号の一部が出力されてしまう場合があるという問題を見出した。このように光スイッチに入力させた光信号の一部が意図しない出力ポートにも出力してしまうと、出力ポート間のクロストーク特性が劣化するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、外部から光が入力される、または外部に光を出力する少なくとも1つのポートを有する光入出力ポートと、前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する、2次元配列された複数の位相変調素子を有する空間変調器と、前記光入出力ポートと前記空間変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に配置され、前記光入出力ポート側から入力された光のビーム径をビーム径拡大方向に拡大するアナモルフィック光学系と、前記アナモルフィック光学系と前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、を備え、前記空間変調器は、前記波長分散素子の波長分散軸方向に対する前記集光レンズ系のビームウエストの位置に配置され、前記波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向にフレネルレンズ状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光が所望の出力ポートへ結合することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、前記空間変調器は、異なる波長を有する2以上の波長帯に対して、前記スイッチ軸方向に異なる曲率を有するフレネルレンズ状の位相変調を形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、外部から光が入力される、または外部に光を出力する少なくとも1つのポートを有する光入出力ポートと、前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する空間変調器と、前記光入出力ポートと前記空間変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、を備え、前記空間変調器は、前記集光レンズ系の波長分散軸方向に対するビームウエストの位置に、前記波長分散素子の波長分散軸方向において、前記波長分散軸と傾けて配置され、前記波長分散軸方向に回折格子状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光が所望の出力ポートへ結合することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、前記空間変調器は、前記波長分散軸方向に回折格子状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光が所望の出力ポートへ結合することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、前記空間変調器は、異なる波長を有する2以上の波長帯に対して、前記波長分散軸方向に異なる反射角を有する回折格子状の位相変調を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、前記光入出力ポートの光軸と、前記集光レンズの光軸とが、離間していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、上記発明において、前記光入出力ポートおよび該光入出力ポートに対応する前記コリメータレンズの間隔が、不等間隔であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置の制御方法は、外部から光が入力される、または外部に光を出力する少なくとも1つのポートを有する光入出力ポートと、前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する、2次元配列された複数の位相変調素子を有する空間光変調器と、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に配置され、前記光入出力ポート側から入力された光のビーム径をビーム径拡大方向に拡大するアナモルフィック光学系と、前記アナモルフィック光学系と前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、を備え、前記空間光変調器は、前記波長分散素子の波長分散軸方向に対する前記集光レンズ系のビームウエストの位置に配置される波長選択光スイッチ装置の制御方法であって、前記空間光変調器によって前記波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向にフレネルレンズ状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光を所望の出力ポートへ結合させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る波長選択光スイッチ装置の制御方法は、外部から光が入力される、または外部に光を出力する少なくとも1つのポートを有する光入出力ポートと、前記光入出力ポートのポートに対応して設けられたコリメータレンズと、前記光入出力ポートのいずれかのポートから入力した光を反射して前記光入出力ポートのいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器とを光学的に結合させる集光レンズ系と、前記光入出力ポートと前記集光レンズ系との間に設けられた波長分散素子と、を備え、前記空間光変調器は、前記集光レンズ系の波長分散軸方向に対するビームウエストの位置に、前記波長分散素子の波長分散軸方向において、前記波長分散軸と傾けて配置される波長選択光スイッチ装置の制御方法であって、前記空間光変調器によって前記波長分散軸方向に回折格子状の位相変調を形成し、該形成した位相変調による1次の回折光を所望の出力ポートへ結合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図6図6は、図1に示す空間光変調器の分解図である。
図7図7は、図1に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。
図8図8は、図1に示す空間光変調器のスイッチングを行わない場合の表示画像の一例を表す図である。
図9図9は、図1に示す空間光変調器の近接ポートにスイッチングする場合の表示画像の一例を表す図である。
図10図10は、図1に示す空間光変調器の遠隔ポートにスイッチングする場合の表示画像の一例を表す図である。
図11図11は、実施例1に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の焦点距離とビームウエストのずれとの関係を表す図である。
図12図12は、実施例1に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の焦点距離と、1次の回折光の結合損失および1次の回折光と2次の回折光とのクロストーク特性との関係を表す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図14図14は、本発明の実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図15図15は、図13に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。
図16図16は、実施例2に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の角度とクロストークとの関係を表す図である。
図17図17は、本発明の実施の形態3に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。
図18図18は、図17に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。
図19図19は、図17に示す空間光変調器の動作時の制御について説明するための図である。
図20図20は、波長選択光スイッチ装置における出力ポート毎のクロストーク特性を表す図である。
図21図21は、実施例3に係る波長選択光スイッチ装置における出力ポート毎のクロストーク特性を表す図である。
図22図22は、波長選択光スイッチ装置における素子の配置の設計の一例を示す図である。
図23図23は、波長選択光スイッチ装置における素子の配置の設計の一例を示す図である。
図24図24は、図22に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明に係る波長選択光スイッチ装置、および波長選択光スイッチ装置の制御方法の実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
図1〜5は、実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。図1は、波長選択光スイッチ装置100の動作の概略を模式的に表す斜視図である。この波長選択光スイッチ装置100は、入射した光の波長ごとに光の経路をスイッチング操作する波長選択光スイッチ装置であって、例えば図1に示すように、各入力ポートから入射した波長の異なる信号光を、それぞれ個別にスイッチング操作し、1つの出力ポート(COMポート)に出力する。また、1つの入力ポート(COMポート)から入力した互いに波長の異なる2以上の波長多重化された信号光を、信号光ごとに個別にスイッチング操作し、個々の出力ポートに出力することもできる。図2,4は、波長選択光スイッチ装置100を、波長分散素子の波長分散軸方向(アナモルフィックプリズムペアのビーム径拡大方向、方向D1で示す)と垂直の方向から見た図である。図3,5は、波長選択光スイッチ装置100を、波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向(方向D2で示す)と垂直の方向から見た図である。また、図2,3は、入力される光を光線で示した図であり、図4,5は、入力される光をガウシアンビームのスポットサイズの軌跡で示した図である。
【0020】
波長選択光スイッチ装置100は、光入出力ポート110と、コリメータレンズアレイ120と、アナモルフィック光学系であるアナモルフィックプリズムペア130と、波長分散素子である回折格子140と、集光レンズ系である集光レンズ150と、空間光変調器160とが、この順番に配置されて構成されている。
【0021】
なお、実際には、図1のように回折格子140において光路は曲げられるので、図2〜5において、アナモルフィックプリズムペア130から空間光変調器160までの各素子は回折格子140の前後で角度を持って配置される。また、アナモルフィックプリズムペア130において光路が方向D1の方向にシフトすることがあるが、図2〜5においては、説明の簡略化のために各素子を直列に配置して示している。
【0022】
また、入射する信号光は2以上の波長の異なる信号光が波長多重化されたガウシアンビームであるとする。波長多重化された各波長の信号光は、例えば50GHz〜100GHz間隔で管理された周波数の略単色の信号光であって、波長選択光スイッチ装置100は、これらの信号光を同時にスイッチング操作することができる。図4,5,22,23では各信号光のガウシアンビームのスポットサイズ(光強度が1/eとなるビーム半径)の軌跡を模式的矢線で示している。なお、波長選択光スイッチ装置100に入力または出力される信号光の波長帯は特に限定されないが、例えば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光である。
【0023】
光入出力ポート110は、光ファイバからなる光ファイバポート111,112,113,114,115を備えている。このうち、光ファイバポート111は、波長多重された信号光が入力されるCOMポートであり、該波長多重された信号光から任意波長を取り出して、その他の光ファイバポート112〜115から出力するように構成されている。光ファイバポート111〜115は、所定の配列方向(スイッチ軸方向である方向D2)に沿って、略等間隔でアレイ状に配列されているが、不等間隔であってもよい。また、図3において、光ファイバポート111の光軸と集光レンズ150の光軸とが同一であるが、各光ファイバポートの光軸と集光レンズ150の光軸とが離間していてもよい。光ファイバポート111〜115は、外部から光が入力される、または外部に光を出力するものである。
【0024】
コリメータレンズアレイ120は、複数のコリメータレンズからなる。図3,5では、コリメータレンズアレイ120としては、光入出力ポート110を構成する光ファイバポート111,112に対応するコリメータレンズ121,122だけ図示してあるが、コリメータレンズアレイ120の各コリメータレンズは、光入出力ポート110を構成する各光ファイバポートに対応して設けられている。コリメータレンズアレイ120は、各光ファイバポート111〜115から出力した光を略平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート111〜115に集光して結合させる機能を有する。
【0025】
空間光変調器160は、2次元配列された複数の位相変調素子を有する空間光変調器であり、LCOSであってよい。図6は、図1に示す空間光変調器の分解図である。図6に示すように、この空間光変調器160は、LCOSであって、液晶駆動回路が形成されたシリコン基板161上に、反射率がほぼ100%の反射層である画素電極群162と、空間光変調層である液晶層163と、配向膜164と、ITO(Indium Tin Oxide)電極165と、カバーガラス166とが順次積層した構成を有している。なお、必要に応じて画素電極群162と液晶層163の間にも配向膜を設けてもよい。なお、以下では、配向膜164、ITO電極165、およびカバーガラス166を光入射層167とする。
【0026】
この空間光変調器160は、画素電極群162とITO電極165との間に制御器により電圧を印加することによって、液晶層163を制御することができ、図中紙面垂直方向(図1における方向D1)および上下方向(図1における方向D2)に配列された複数の各画素の屈折率を制御することで、2次元的に所望の屈折率の分布を形成することができる。そして、この屈折率の分布を調整することによって、光入射層167側から入射した光が、画素電極群162により反射して液晶層163を伝搬する際に、フレネルレンズ状の位相変調をするように形成することができる。この空間光変調器160による擬似的な反射型フレネルレンズは、液晶層163への印加電圧を制御器により制御することによって、フレネルレンズとしての曲率および焦点距離を、所望の値に設定することができる。
【0027】
図7は、図1に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。図7おいて、色が濃い部分の屈折率が高く、薄い部分の屈折率が低くなっている。すなわち、位相変調の周期が、図中方向D2の下から上方向に行くにつれ、次第に短くなるように各画素の屈折率が制御器により制御されている。その結果、方向D2の下から上方向に行くにつれ、次第に(フレネル)レンズとしての曲率が大きくなるように作用させることができる。なお、図7に示すように、空間光変調器160の表示画像は、光入出力ポート110の光ファイバポート111〜115の配列方向と、液晶層163の屈折率のグラデーションの方向とが一致する。つまり、方向D2に屈折率の分布が形成されている。
【0028】
このようにして、制御器により所定の電圧を印加された空間光変調器160が反射型のフレネルレンズとして機能することにより、フレネルレンズとしての曲率を最適化することによって、図5に示すように、空間光変調器160は、ガウシアンビームのスポットサイズの軌跡が、信号光L1と信号光L2とで略同一になるように反射することができる。
【0029】
また、この空間光変調器160は、方向D2において屈折率分布の周期性を保持しつつ、該フレネルレンズとしての光軸を信号光L1の光軸に対しD2方向にオフセットさせるように制御することによって、光ファイバポート111から入射した所望の波長を有する光を他の光ファイバポート112〜115のいずれかに向けて出力できるように、光の出射角度を制御することができる。これにより、空間光変調器160に反射された信号光L2は、所望の出力ポートに結合される。
【0030】
ここで、図7は方向D2の下から上に行くにつれ位相変調の周期が短くなるように制御されているが、たとえば、フレネルレンズとしての光軸中心が、該周期が一番長くなるようにして、方向D2の下側に行くにつれて、該周期が短くなるように制御してもよい。すなわち、LCOS上に描画されたフレネルレンズの光軸中心を方向D2にずらすようにLCOSの各画素の屈折率分布を制御することによって、入射光を所望の方向にスイッチングすることができる。
【0031】
なお、空間光変調器160のフレネルレンズとしての曲率は、入射する信号光L1の波長に合わせて、制御することが好ましい。また、空間光変調器160の、各波長の信号光をスイッチングする反射ミラー(複数の画素から構成される)において、方向D1に線形でない屈折率の分布を有すると、各波長の信号内において、波長成分ごとに位相変調の分布ができてしまうので、各波長の信号光内の波長成分を同時に所望の出力ポートに結合することは困難となる。したがって、波長選択光スイッチ装置100において、空間光変調器160内の複数画素から構成される、各波長の信号光をスイッチングする反射ミラーは、方向D1において、線形(均一を含む)屈折率の分布を有するようにすると好ましい。
【0032】
集光レンズ150は、光入出力ポート110と空間光変調器160との間に配置され、光ファイバポート111と空間光変調器160とを光学的に結合させるものである。なお、集光レンズ150は1枚のレンズで構成されていてもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。
【0033】
アナモルフィックプリズムペア130は、2つのプリズム131,132から構成されており、光入出力ポート110と集光レンズ150との間に配置されている。アナモルフィックプリズムペア130は、光入出力ポート110側から入力された光のビーム形状をビーム径拡大方向である方向D1に拡大する機能を有する。
【0034】
また、アナモルフィックプリズムペア130は、光相反性を有するため、空間変調器160側から入力された光のビーム形状を方向D1に縮小する機能を有する。なお、アナモルフィックプリズムペア130は、例えばシリンドリカルレンズ系などの他のアナモルフィック光学系に置き換えてもよい。また、ビーム径を拡大する方法としてアナモルフィックプリズムペアとしたが、本発明はこれに限らず、アナモルフィックプリズムを用いてもよい。
【0035】
また、回折格子140は、例えば透過型の回折格子であって、アナモルフィックプリズムペア130と集光レンズ150との間に配置される。回折格子140は、波長が多重化された信号光である信号光L1に含まれる所定の波長の信号光L1a,L1b,L1cをそれぞれ所定の角度に出力する。分離された信号光L1a,L1b,L1cを、空間光変調器160に対して、略垂直に入射させるため、回折格子140と集光レンズ150との間隔は、集光レンズ150の焦点距離f1とすることが好ましい。
【0036】
ここで、空間変調器160は、方向D1に対する集光レンズ150のビームウエストW1の位置である集光レンズ150から距離d1だけ離れた位置に配置されている。また、光入出力ポート110側から入力された光のビーム形状は、方向D1のみに拡大され、方向D2には拡大されていない。これにより、距離d1より距離d2が大きくなる。したがって、方向D2に対する集光レンズ150のビームウエストW2の位置である集光レンズ150から距離d2の位置は、空間変調器160より集光レンズ150から遠い位置となる。なお、ガウシアンビームのビームウエストとは、ガウシアンビームの波面がフラットになり、ビーム径が最も小さくなる場所である。
【0037】
この波長選択光スイッチ装置100では、各光ファイバポートから信号光の入出力を行うことができる。したがって、例えば図1のように、出力ポート以外の各光ファイバポートポートから入力した信号光を、1つの出力ポートに出力する4×1光スイッチであってよい。あるいは、図3のように、1つの入力ポートから入力した信号光を、他の出力ポートに出力する1×4光スイッチであってよい。さらに、本発明はこれに限らず、各光ファイバポートは、同時に入出力を行う構成であってよい。さらに、光ファイバポートは1つでもよく、このとき、波長選択光スイッチ装置100は、2以上の多重化された波長を有する信号光の波長ごとに、ON/OFFの切り替えを行う波長選択光スイッチ装置として機能する。
【0038】
つぎに、この波長選択光スイッチ装置100の動作について、図2,3を用いて説明する。まず、光ファイバポート111に、外部から信号光L1が入力される。信号光L1は、波長多重された信号光であり、互いに異なる波長を有する信号光L1a,L1b,L1cを含むものとする。
【0039】
光ファイバポート111は、入力された信号光L1をコリメータレンズ121へ出力する。コリメータレンズ121は、信号光L1を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。アナモルフィックプリズムペア130は、略平行光にされた信号光L1のビーム形状を方向D1に拡大し、楕円形にする。回折格子140は、楕円形にされた信号光L1をその波長に応じた所定の回折角で回折する。その結果、信号光L1は、信号光L1a,L1b,L1cに分離される。
【0040】
集光レンズ150は、回折された信号光L1a,L1b,L1cを空間光変調器160に集光させる。回折格子140と集光レンズ150との間隔は、集光レンズ150の焦点距離f1であるから、信号光L1a,L1b,L1cは、空間光変調器160に略垂直に、方向D1に分離されて入射する。空間光変調器160は、方向D2において、所定の屈折率の分布が形成されている。この屈折率の分布によって、例えば図3のように、信号光L1a,L1b,L1cのうち、所望の波長の光を光ファイバポート112の方向に回折することによって、波長選択光スイッチ装置として動作する。回折された信号光は、集光レンズ150によって、集光レンズ150の光軸に対して平行にされる。回折格子140は、光相反性によって、信号光をコリメータレンズ122の光軸と平行な方向に回折する。アナモルフィックプリズムペア130は、光相反性によって、信号光のビーム形状を方向D1の方向に縮小して略円形に戻す。光ファイバポート112に対応するコリメータレンズ122は、信号光を集光し、光ファイバポート112に結合させる。光ファイバポート112は結合された光を外部に出力する。
【0041】
このようにして、この波長選択光スイッチ装置100は、光ファイバポート111から入力された光のうち、所望の波長を有する信号光の経路を光ファイバポート112に切り換える。なお、同様にして、この波長選択光スイッチ装置100は、空間光変調器160の制御によって、光ファイバポート111から入力された光の経路を他の光ファイバポート112〜115のいずれかに切り換えることができる。さらに、光ファイバポート111から入力された光の経路を、光ファイバポート111に戻すことも可能である。
【0042】
つぎに、波長選択光スイッチ装置100の動作時における空間光変調器160の表示画像の制御について図8〜10を用いて説明する。ここで、図8〜10では、空間光変調器160の表示画像が凸面形状のフレネルレンズを形成するように制御することを前提として説明する。図8は、図1に示す空間光変調器のスイッチングを行わない場合の表示画像の一例を表す図である。図8において、領域S1は空間光変調器160に入射する光のスポットサイズ、光軸ACOM1は空間光変調器160に入射する光の中央を通る光軸、光軸AFL1は空間光変調器160の方向D2におけるフレネルレンズとしての光軸を表す。図8に示すように、スイッチングを行わない場合、光軸ACOM1と光軸AFL1とは、同一直線上に配置されている。このとき、空間光変調器160は、空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向に反射する。すなわち、空間光変調器160は、COMポートである光ファイバポート111から入力された光を、光ファイバポート111に結合するように反射する。
【0043】
つぎに、図9は、図1に示す空間光変調器の近接ポートにスイッチングする場合の表示画像の一例を表す図である。図9に示すように、たとえばCOMポートから数ポート以内の近接ポートにスイッチングする場合、光軸AFL1は空間光変調器160の下部に位置するように表示画像を制御する。このとき、空間光変調器160は、空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向よりわずかに上方に反射する。すなわち、空間光変調器160は、COMポートである光ファイバポート111から入力された光を、たとえば光ファイバポート113に結合するように反射する。また、空間光変調器160は、光軸AFL1が空間光変調器160の上部に位置するように表示画像を制御すると、空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向よりわずかに下方に反射する。
【0044】
続いて、図10は、図1に示す空間光変調器の遠隔ポートにスイッチングする場合の表示画像の一例を表す図である。図10に示すように、たとえばCOMポートから数ポート以上離れた遠隔ポートにスイッチングする場合、位相変調の周期は、図9と同様に方向D2の下から上方向に行くにつれ、次第に短くなるように制御されているが、光軸AFL1は空間光変調器160内には位置せず、仮想的な光軸AFL1が空間光変調器160の下端よりさらに下方に位置にするように表示画像を制御する。このとき、空間光変調器160は、空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向より上方に反射する。すなわち、空間光変調器160は、たとえば1×20ポートの波長選択光スイッチ装置において、COMポートである中央に位置する11ポートから入力された光を、たとえば上端に位置する1ポートに結合するように反射する。また、空間光変調器160は、光軸AFL1が空間光変調器160の上端よりさらに上方に位置にするように表示画像を制御すると、空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向より下方に反射する。
【0045】
このように、波長選択光スイッチ装置100は、空間光変調器160に入射する光の中央を通る光軸に対する空間光変調器160の方向D2におけるフレネルレンズとしての光軸の位置を制御することにより、たとえばCOMポートである光ファイバポート111から入力された光を、所望の光ファイバポートに結合させることができる。
【0046】
なお、空間光変調器160の表示画像が凹面形状のフレネルレンズ(図示せず)を形成するように制御してもよい。その場合、光軸ACOM1に対する光軸AFL1の位置関係と空間光変調器160の反射方向の上下関係とが図8〜10の場合とは逆転する。すなわち、空間光変調器160は、光軸AFL1が光軸ACOM1より下方に位置するように表示画像を制御すると空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向より下方に反射し、光軸AFL1が光軸ACOM1より上方に位置するように表示画像を制御すると空間光変調器160に垂直に入射した光を入射方向より上方に反射する。
【0047】
また、上記の動作は、波長選択光スイッチ装置100に入射して回折格子140により空間光変調器160の方向D1に波長ごとに分割された各波長の光に対して行われる。図8における幅SW1は、1つのチャネルに対応する空間光変調器160の領域の幅であり、1または複数の波長からなる信号光に対し割り当てられる。幅SW1は、少なくとも領域S1の方向D1における幅より大きく、たとえば、方向D1において数〜10数画素に相当する幅である。このとき、空間光変調器160は、各チャネルに対応する幅SW1を有する領域を、個別に制御することにより、各チャネルに含まれる光を方向D2の所定の方向に反射し、波長選択スイッチを実現する。
【0048】
つぎに、波長選択光スイッチ装置100について、図4,5,6を用いて、図22,23,24に示す比較形態の波長選択光スイッチ装置1000と対比させて説明する。
【0049】
波長選択光スイッチ装置100の光学系の配置と、波長選択光スイッチ装置1000の光学系の配置とは同一であり、波長選択光スイッチ装置1000は、光入出力ポート1010と、コリメータレンズアレイ1020と、アナモルフィック光学系であるアナモルフィックプリズムペア1030と、波長分散素子である回折格子1040と、集光レンズ系である集光レンズ1050と、空間光変調器1060とがこの順番に配置されて構成されている。
【0050】
ここで、空間光変調器160と空間光変調器1060とは、制御器から印加される電圧が異なるため、表示画像が異なる。図24は、図22に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。図24に示すように、空間光変調器1060の表示画像は、方向D2に対して屈折率の分布を有するが、その分布は、方向D2に対して等幅なグラデーションである。これによって、空間光変調器1060は、ブレーズド回折格子として機能する。また、波長選択光スイッチ装置1000の空間光変調器1060以外の各素子は、波長選択光スイッチ装置100と同一である。
【0051】
はじめに、方向D1について、波長選択光スイッチ装置100と波長選択光スイッチ装置1000との動作を説明する。図4のように、波長選択光スイッチ装置100において、空間変調器160は、方向D1に対する集光レンズ150のビームウエストW1の位置である集光レンズ150から距離d1の位置に配置されている。方向D1において、空間変調器160は、屈折率の分布を有さず、単純な鏡として機能するため、空間変調器160で反射された信号光である信号光L2の、コリメータレンズ121による集光位置も、光ファイバポート111の端面と一致する。これによって、空間変調器160の回折光が所望の出力ポートへ結合する。図22に示すように、方向D1においては、波長選択光スイッチ装置1000も同様の動作をする。
【0052】
次に、方向D2について、波長選択光スイッチ装置100と波長選択光スイッチ装置1000との動作を説明する。まず、光入出力ポート110側から入力された光のビーム形状は、方向D1に拡大されている。これによって、方向D1に対する集光レンズ150のビームウエストW1の位置である距離d1より、方向D2に対する集光レンズ150のビームウエストW2の位置である距離d2が大きくなる。したがって、図5のように、方向D2に対する集光レンズ150のビームウエストの位置である集光レンズ150から距離d2の位置は、空間変調器160より集光レンズ150から遠い位置となる。
【0053】
このとき、波長選択光スイッチ装置100において、空間変調器160は、図7に示した空間変調器160の表示画像の不等間隔なパターンによって、反射型のフレネルレンズとして機能し、方向D2について信号光L1と信号光L2とのガウシアンビームのスポットサイズの軌跡を略同一とする。これによって、信号光L2は、光ファイバポート111に好適に結合する。
【0054】
一方で、図24に示すように、波長選択光スイッチ装置1000における空間光変調器1060の表示画像は、方向D2に対して屈折率の分布が等幅なグラデーションとされている。したがって、空間光変調器1060は、フレネルレンズ状の位相変調をせず、ブレーズド回折格子として機能する。このとき、信号光L1は、進行方向を変更されるが、屈折はしない。したがって、図23に示すように、信号光L1001と信号光L1002とのガウシアンビームのスポットサイズの軌跡が異なり、信号光L1002は光ファイバポート1011に結合しない。
【0055】
このように、波長選択光スイッチ装置100は、空間変調器160がフレネルレンズ状の位相変調を行うため、ビームウエストW2の軸方向位置の、W1の位置(空間光変調器160表面)との差分(d2−d1)を補償して、方向D1およびD2成分の両方につき信号光L2を光ファイバポート111に好適に結合させることができる。一方、波長選択光スイッチ装置1000は、空間光変調器1060が位相変調を行わないため、方向D2において、信号光L1002が光ファイバポート1011に結合しない。したがって、波長選択光スイッチ装置100は、波長選択光スイッチ装置1000よりも結合効率がよい。結合効率がよく、出力光強度が大きい場合、様々なノイズとの光強度差が大きくなるため、クロストーク特性のよい波長選択光スイッチ装置となる。したがって、本実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置100は、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置である。
【0056】
なお、上記実施形態では、凸面鏡状のフレネルレンズを用いた実施形態を記載したが、D2方向に光学力を有するシリンドリカルレンズを用いることで、d1よりd2を小さくすることも出来る。これにより、LCOSの位相変調を凹面鏡状としてもよい。
【0057】
さらに、このような波長選択光スイッチ装置において、所定の入力ポートから入力した光信号を所定の出力ポートに出力させるような光スイッチ動作をさせる場合に、意図しない他の出力ポートにも光信号の一部が出力されてしまう場合がある。このような場合、出力ポート間のクロストーク特性が劣化することとなる。
【0058】
このようなクロストーク特性の劣化の主な原因が、空間光変調器における高次の回折光に起因することが、本発明者らによって見出された。フレネルレンズやブレーズド回折格子は、高次の回折光を発生させる場合がある。さらに、空間変調器160に入射した信号光が、光入射層167の各層の界面や、光入射層167と空気層との界面等において、反射される場合があり、これによって高次の回折光が発生する場合がある。このような原因によって発生した高次の回折光が、出力ポートに結合すると、クロストーク特性が劣化する。
【0059】
ここで、本実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置100において、空間変調器160が、信号光L1と信号光L2とのガウシアンビームのスポットサイズの軌跡を略同一とすることにより、信号光L2は、光ファイバポート111に結合する。このとき、信号光L2のビームウエストW3は、コリメータレンズ121から距離d3に形成される。これに対し、波長選択光スイッチ装置1000において、ビームウエストW1003は、距離d3よりコリメータレンズから離れた距離d1003の位置に形成される。この距離d3と距離d1003との差をΔとすると、空間変調器160の1次の回折光は、空間変調器160のフレネルレンズ状の位相変調によって、ビームウエストの位置をΔだけ、コリメータレンズ側に変調されたこととなる。
【0060】
このとき、空間変調器160のm次(mは2以上の整数)の回折光のビームウエストの位置は、空間変調器160のフレネルレンズ状の位相変調によって、Δの約m倍コリメータレンズ側に変調されることとなる。すると、このような高次の回折光は光ファイバポート111に結合しなくなる。したがって、高次の回折光によるクロストーク特性の劣化が生じない。このように、本実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置100は、結合効率がよいだけでなく、高次の回折光によるクロストークの劣化を抑制した、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置である。
【0061】
(実施例1)
次に、実施例1として、実施の形態1に係る波長選択光スイッチ装置100を実際に製造し、その性能を評価した。本実施例1において、例えば、コリメータレンズアレイ120の各コリメータレンズの焦点距離は、0.1〜数mm、集光レンズ150の焦点距離は、50〜200mm、アナモルフィックプリズムペア130の倍率は、10〜数10倍程度である。
【0062】
このとき、図5に示すように、光ファイバポート111から信号光L1を入射し、光ファイバポート111に信号光L2を出力させるとする。そして、空間光変調器160の表示画像を調整し、フレネルレンズとしての焦点距離を変化させ、信号光L1のコリメータレンズによるビームウエストと信号光L2の集光レンズによるビームウエストとのずれを計算した。
【0063】
図11は、実施例1に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の焦点距離とビームウエストのずれとの関係を表す図である。図11に示すように、フレネルレンズとしての焦点距離を変化させることによって、信号光L1のコリメータレンズによるビームウエストと信号光L2の集光レンズによるビームウエストとのずれを最小化することができる。図11に示すとおり、空間光変調器160のフレネルレンズとしての焦点距離を約75mmとした場合に、ビームウエストのずれを最小とすることができる。
【0064】
次に、空間光変調器160の表示画像を調整し、フレネルレンズとしての焦点距離を変化させた場合の1次の回折光の結合損失と、1次の回折光と2次の回折光とのクロストーク特性がどれだけ改善されるかを計算した。図12は、実施例1に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の焦点距離と、1次の回折光の結合損失および1次の回折光と2次の回折光とのクロストーク特性との関係を表す図である。ここで、1次の回折光と2次の回折光とのクロストークとは、2次の回折光の出力ポートからの出力光強度を、1次の回折光の出力ポートからの出力光強度で割った値をデシベルで表示したものの絶対値である。図12におけるクロストーク特性とは、各焦点距離において、フレネルレンズが曲率を有する場合と、フレネルレンズが曲率を有しない場合とで、どれだけクロストークが改善されたかを表す。
【0065】
図12に示すように、フレネルレンズとしての焦点距離が75mmの場合に、1次の回折光の結合損失は最小となる。このとき、1次の回折光と2次の回折光とのクロストーク特性も最も大きく改善された。これは、1次の回折光の結合効率がよく、信号光L2の出力光強度が大きいことと、さらに、2次の回折光が光ファイバポートに結合せずクロストーク特性を劣化させないことによる。
【0066】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置について説明する。図13,14は、実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。この波長選択光スイッチ装置200は、入射した光の波長ごとに光の経路をスイッチング操作する波長選択光スイッチ装置である。図13は、波長選択光スイッチ装置200を、波長分散素子の波長分散軸方向(方向D1で示す)と垂直の方向から見た図である。図14は、波長選択光スイッチ装置200を、波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向(方向D2で示す)と垂直の方向から見た図である。また、図13,14は、入力される光を光線で示した図である。
【0067】
波長選択光スイッチ装置200は、光入出力ポート210と、コリメータレンズアレイ220と、波長分散素子である回折格子240と、集光レンズ系である集光レンズ250と、空間光変調器260とがこの順番に配置されて構成されている。本実施の形態では、アナモルフィック光学系を図示していないが、これを含むようにしても良い。例えば、実施の形態1に記載したような、アナモルフィックプリズムペアをコリメータレンズアレイ220と回折格子240との間に配置してもよい。その他、集光レンズ250を、方向D1と方向D2とについて焦点距離が異なるレンズ(例えば複数のシリンドリカルレンズを組合わせたもの)としてもよい。
【0068】
なお、実際には回折格子240において光路は曲げられるので、図13,14において、集光レンズ250から空間光変調器260までの各素子は回折格子240の前後で角度を持って配置される。
【0069】
ここで、図13に示すように、空間光変調器260は、方向D1に対して角度θの傾きをつけて配置することができる。また、図15は、図13に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。図15には、方向D1および方向D2の各方向の成分を、ある直線上で見た場合の表示画像を合わせて記載している。図15に示すとおり、空間光変調器260の表示画像は、実施の形態1と異なり、方向D1に対して、屈折率の分布が等幅なグラデーションとして形成され、さらに、方向D2に対して、屈折率の分布が等幅なグラデーションとして形成されている。これによって、空間光変調器260は、方向D1において、ブレーズド回折格子として機能し、さらに、方向D2において、ブレーズド回折格子として機能する。
【0070】
つぎに、この波長選択光スイッチ装置200の動作について、図13,14を用いて説明する。まず、光ファイバポート211に、外部から信号光L201が入力される。信号光L201は、波長多重された信号光であり、互いに異なる波長の複数の信号光を含むものとする。
【0071】
光ファイバポート211は、入力された信号光L201をコリメータレンズ221へ出力する。コリメータレンズ221は、信号光L201を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。回折格子240は、信号光L201をその波長に応じた所定の回折角で回折する。その結果、信号光L201は、波長ごとに分離される。ただし、図13においては説明を簡潔にするため、信号光L201のうち、回折格子240を直進する成分のみを図示している。
【0072】
集光レンズ250は、回折された信号光L201を空間光変調器260に集光させる。回折格子240と集光レンズ250との間隔は、集光レンズ250の焦点距離であり、信号光L201は、空間光変調器260に略垂直に、方向D1に分離されて入射する。空間光変調器260は、方向D2において、屈折率の分布が形成されている。この屈折率の分布によって、空間光変調器260は、制御器の制御によりブレーズド回折格子として機能し、所望の波長の光を光ファイバポート212の方向に回折することによって、波長選択光スイッチ装置として動作する。
【0073】
ここで、空間光変調器260は、方向D1に対して角度θの傾きを有する。そのため、信号光L201は、入射する信号光L201に対して角度θの傾きを有する方向に反射する。しかしながら、空間光変調器260は、方向D2に対しても屈折率の分布を有し、ブレーズド回折格子として機能する。そこで、空間光変調器260は、信号光L201を、入射した信号光L201と略同一方向へ、1次の回折光を出射する。これによって、方向D1において、1次の回折光である信号光L202aは光ファイバポート212に平行な光となる。
【0074】
その後、方向D2において、信号光L202aは、集光レンズ250によって、集光レンズ250の光軸に対して平行にされる。さらに、回折格子240は、光相反性によって、信号光L202aをコリメータレンズ222の光軸と平行な方向に回折する。光ファイバポート212に対応するコリメータレンズ222は、信号光L202aを集光し、光ファイバポート212に結合させる。光ファイバポート212は結合された光を外部に出力する。
【0075】
このようにして、この波長選択光スイッチ装置200は、光ファイバポート211から入力された光のうち、所望の波長を有する信号光L202aの経路を空間光変調器260の1次の回折光として、光ファイバポート212に切り換える。なお、同様にして、この波長選択光スイッチ装置200は、空間光変調器260の制御によって、光ファイバポート211から入力された光の経路を他の光ファイバポート212〜215のいずれかに切り換えることができる。さらに、光ファイバポート211から入力された光の経路を、光ファイバポート211に戻すことも可能である。
【0076】
ここで、空間光変調器260は、方向D1に対して角度θの傾きを有することにより、m次の回折光は、角度約mθだけ回折されることとなる。したがって、図13に示すように、例えば2次の回折光である信号光L202bは、空間光変調器260によって、空間光変調器260に対して角度2θだけ回折され、入射する信号光L201に対して、角度θの傾きを有する方向に回折される。これによって、信号光は、光ファイバポート212に結合しない。このように、空間光変調器を方向D1に対して傾けて配置し、空間光変調器による1次の回折光のみを信号光の入射方向に回折することで、高次の回折光によるクロストーク特性の悪化を抑制することができる。すなわち、波長選択光スイッチ装置200は、方向D1のブレーズド回折格子としての回折角である角度θを一定の値として、方向D2のブレーズド回折格子としての回折角を制御器により制御することによって、波長選択光スイッチ装置として動作する。したがって、本実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置200は、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置である。なお、本実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置200において、方向D1に対してフレネルレンズ状の位相変調を行うと、信号光の光ファイバポート212の方向への回折が不十分となり、結合効率が悪化するため好ましくない。
【0077】
(実施例2)
次に、実施例2として、実施の形態2に係る波長選択光スイッチ装置200を実際に製造し、その性能を評価した。各素子の条件は、実施例1と同一である。このとき、光ファイバポート211から信号光L201を入射し、光ファイバポート211に信号光L2を出力させるとする。そして、空間光変調器260の傾く角度θを変化させるとともに、各角度θにおいてクロストークが最も改善されるように、空間光変調器260の屈折率の分布を制御し、各角度θにおいてクロストークがどれだけ改善されたかを計算した。図16は、実施例2に係る波長選択光スイッチ装置における空間光変調器の角度とクロストークとの関係を表す図である。ここで、クロストークとは、高次の回折光の出力ポートから出力される出力光強度を、1次の回折光の出力ポートから出力される出力光強度で割った値である。図16に示すように、各角度θにおいて、クロストーク特性が改善されている。特に、2°では、8dB以上の改善が見られた。したがって、本実施例2に係る波長選択光スイッチ装置200は、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置である。
【0078】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る波長選択光スイッチ装置について説明する。図17は、本発明の実施の形態3に係る波長選択光スイッチ装置の模式的な構成図である。この波長選択光スイッチ装置300は、入射した光の波長ごとに光の経路をスイッチング操作する波長選択光スイッチ装置である。図17は、波長選択光スイッチ装置300を、波長分散素子の波長分散軸方向(方向D1で示す)と垂直の方向から見た図である。また、図17は、入力される光を光線で示した図である。また、波長選択光スイッチ装置300を、波長分散素子の波長分散軸方向に垂直なスイッチ軸方向(方向D2で示す)と垂直の方向から見た図は、図3と同一である。また、図17は、入力される光を光線で示した図である。
【0079】
波長選択光スイッチ装置300は、光入出力ポート310と、コリメータレンズアレイ320と、アナモルフィック光学系であるアナモルフィックプリズムペア330と、波長分散素子である回折格子340と、集光レンズ系である集光レンズ350と、空間光変調器360とがこの順番に配置されて構成されている。各素子および各装置は実施の形態1と同一であってよい。
【0080】
なお、実際には回折格子340において光路は曲げられるので、アナモルフィックプリズムペア330から空間光変調器360までの各素子は回折格子340の前後で角度を持って配置される。また、アナモルフィックプリズムペア330において光路が方向D1の方向にシフトすることがあるが、図17においては、説明の簡略化のために各素子を直列に配置して示している。
【0081】
ここで、図17に示すように、空間光変調器360は、方向D1に対して角度θの傾きをつけて配置されている。また、図18は、図17に示す空間光変調器の表示画像の一例を表す図である。図18には、方向D1および方向D2の各方向の成分を、ある直線上で見た場合の表示画像を合わせて記載している。図18に示すとおり、空間光変調器360の表示画像は実施の形態1と異なり、方向D1に対して、一定の周期を有する屈折率の分布が各周期において線形であるグラデーションとして形成され、さらに、方向D2に対して、屈折率のグラデーションがフレネルレンズ状の位相変調をするように形成されている。これによって、空間光変調器360は、制御器の制御により、方向D1において、ブレーズド回折格子として機能し、さらに、方向D2において、反射型フレネルレンズとして機能する。すなわち、波長選択光スイッチ装置300は、方向D1のブレーズド回折格子としての回折角である角度θを一定の値として、方向D2の反射型フレネルレンズとしての反射角を制御器により制御することによって、波長選択光スイッチ装置として動作する。
【0082】
つぎに、波長選択光スイッチ装置300の動作時における空間光変調器360の表示画像の制御について図19を用いて説明する。ここで、図19でも、実施の形態1の場合と同様に、空間光変調器360の表示画像が凸面形状のフレネルレンズを形成するように制御することを前提として説明する。図19は、図17に示す空間光変調器の動作時の制御について説明するための図である。図19において、領域S3は空間光変調器360に入射する光のスポットサイズ、光軸ACOM3は空間光変調器360に入射する光の中央を通る光軸、光軸AFL3は空間光変調器360の方向D2におけるフレネルレンズとしての光軸を表す。波長選択光スイッチ装置300は、実施の形態1と同様に、空間光変調器360の光軸ACOM3に対する光軸AFL3の位置を制御することにより波長選択光スイッチ装置として動作する。
【0083】
まず、図19に示すように、たとえばCOMポートから数ポート以内の近接ポートにスイッチングする場合、光軸AFL3は空間光変調器360の下部に位置するように表示画像を制御する。その結果、空間光変調器360は、COMポートである光ファイバポートから入力された光を、たとえばCOMポートより1つ上方に位置する光ファイバポートに結合するように反射する。
【0084】
また、実施の形態1と同様に、空間光変調器360のスイッチングを行わない場合、光軸ACOM3と光軸AFL3とが、同一直線上に配置されるように空間光変調器360を制御すればよい。さらに、実施の形態1と同様に、たとえばCOMポートから数ポート以上離れた遠隔ポートにスイッチングする場合、光軸AFL3は空間光変調器360内には位置せず、仮想的な光軸AFL3が空間光変調器360の下端よりさらに下方に位置にするように表示画像を制御すればよい。
【0085】
このように、波長選択光スイッチ装置300は、空間光変調器360に入射する光の中央を通る光軸に対する空間光変調器360の方向D2におけるフレネルレンズとしての光軸の位置を制御することにより、たとえばCOMポートである光ファイバポートから入力された光を、所望の光ファイバポートに結合させることができる。
【0086】
なお、実施の形態1の場合と同様に、空間光変調器360の表示画像が凹面形状のフレネルレンズ(図示せず)を形成するように制御してもよい。その場合、光軸ACOM3に対する光軸AFL3の位置関係と空間光変調器360の反射方向の上下関係とが図19の場合とは逆転する。
【0087】
また、上記の動作は、波長選択光スイッチ装置300に入射して回折格子340により空間光変調器360の方向D1に波長ごとに分割された各波長の光に対して行われる。図19における幅SW3は、1つのチャネルに対応する空間光変調器360の領域の幅であり、1または複数の波長からなる信号光に対し割り当てられる。幅SW3は、少なくとも領域S3の方向D1における幅より大きく、たとえば、方向D1において数〜10数画素に相当する幅である。このとき、空間光変調器360は、各チャネルに対応する幅SW3を有する領域を、個別に制御することにより、各チャネルに含まれる光を方向D2の所定の方向に反射し、波長選択スイッチを実現する。
【0088】
(実施例3)
さらに、本実施例3に係る波長選択光スイッチ装置において、出力ポート間のクロストーク特性をより詳細に確認した。各素子の条件は、実施例1と同一である。図20は、従来の波長選択光スイッチ装置における出力ポート毎のクロストーク特性を表す図である。図20は、光ファイバポートが9つ形成されており、波長選択光スイッチ装置1000のように、空間光変調器がブレーズド回折格子として機能する場合の測定結果である。入射光の1次の回折光を各出力ポートに出力した場合に、出力ポート以外(観測ポート)への出力光強度を、出力ポートの1次の回折光の出力光強度で割った値が、縦軸のクロストークである。このとき、図20のように、クロストークの最大値は−25dBを超える。
【0089】
図21は、実施例3に係る波長選択光スイッチ装置における出力ポート毎のクロストーク特性を表す図である。図21は、波長選択光スイッチ装置300のように、空間光変調器が反射型フレネルレンズとして機能し、フレネルレンズの焦点距離を最適化した場合の測定結果である。図21のように、クロストークは最大でも−35dB以下である。すなわち、本実施例3に係る波長選択光スイッチ装置において、クロストークを10dB以上改善できた。したがって、本実施例3に係る波長選択光スイッチ装置300は、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置であることが実証された。
【0090】
このように、本実施の形態3に係る波長選択光スイッチ装置300は、実施の形態1と同様に、方向D2に対して、1次の回折光と高次の回折光とのビームウエストの位置のずれによって、クロストーク特性を改善し、さらに、実施の形態2と同様に、方向D1に対して、1次の回折光と高次の回折光の回折方向をずらすことによってクロストーク特性を改善している。したがって、本実施の形態3に係る波長選択光スイッチ装置300は、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置である。
【0091】
以上、説明したように、上記実施の形態によれば、良好なクロストーク特性を有する波長選択光スイッチ装置を提供することができる。
【0092】
なお、本発明の実施の形態1,3等においては、アナモルフィック光学系としてアナモルフィックプリズムペアを用いた物を記載しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、集光レンズ250を、D1方向とD2方向とについて焦点距離が異なるレンズ(例えば複数のシリンドリカルレンズを組合わせたもの)としても良い。
【0093】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明に係る波長選択光スイッチ装置は、光通信の分野に利用して好適なものである。
【符号の説明】
【0095】
100,200,300,1000 波長選択光スイッチ装置
110,210,310,1010 光入出力ポート
111,112,113,114,115,211,212,213,214,215,1011,1012,1013,1014,1015 光ファイバポート
120,220,320,1020 コリメータレンズアレイ
121,122,221,222,1021 コリメータレンズ
130,330,1030 アナモルフィックプリズムペア
131,132,331,332 プリズム
140,240,340,1040 回折格子
150,250,350,1050 集光レンズ
160,260,360,1060 空間光変調器
161 シリコン基板
162 画素電極群
163 液晶層
164 配向膜
165 ITO電極
166 カバーガラス
167 光入射層
COM1,ACOM3,AFL1,AFL3 光軸
D1,D2 方向
d1,d2,d3,d1001,d1002,d1003 距離
f1,f1001 焦点距離
θ 角度
L1,L1a,L1b,L1c,L2,L201,L202a,L202b,L301,L302a,L302b,L1001,L1002 信号光
S1,S3 領域
SW1,SW3 幅
W1,W2,W3,W1001,W1002,W1003 ビームウエスト
図1
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