特許第5788304号(P5788304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5788304
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/00 20060101AFI20150910BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150910BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20150910BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20150910BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B24B7/00 Z
   H01L21/304 622S
   H01L21/304 631
   B24B49/04 Z
   B24B41/06 L
   B24B49/12
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-266651(P2011-266651)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-119123(P2013-119123A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓吾
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−264913(JP,A)
【文献】 特開2010−199227(JP,A)
【文献】 特開2009−246240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/00
B24B 41/06
B24B 49/00 − 49/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを保持して回転可能な保持手段と、昇降機構を備え該保持手段に保持された板状ワークを研削する研削手段と、該保持手段に保持された板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、を少なくとも備える研削装置であって、
該保持手段は、板状ワークの一方の面を保持する保持面と、該保持面の中心を通る回転軸と、該回転軸の傾きを調整する傾き調整手段と、を少なくとも備え、
該厚み測定手段は、該保持面に保持される板状ワークの上方から該板状ワークの外周端と、該板状ワークの回転中心と、該板状ワークの回転中心と外周端との中間点と、の3箇所において板状ワークの厚みを非接触状態で測定する測定部と、該測定部における測定値に基づき該回転軸の傾きを算出する算出部と、該算出部において算出された回転軸の傾きの値を受け取り該傾きの値に基づき該傾き調整手段を駆動する制御部と、を少なくとも備え、
該研削手段は、板状ワークが仕上げ厚みに達する前に研削を一時停止し、該厚み測定手段によって該板状ワークの厚みを測定し、該算出部で算出される該回転軸の傾きの値と所定の傾きの値との差を基に、該制御部が該傾き調整手段を駆動することによって該回転軸の傾きを修正した後、再び該研削手段によって所定の仕上げ厚みに形成されるまで該板状ワークを研削する研削装置。
【請求項2】
前記保持手段に保持された板状ワークの回転中心から外周端に向けて該測定部を走査させて板状ワークの厚みを測定する請求項1記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削対象の板状ワークを保持する保持手段の回転軸の傾斜を調整することができる研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削装置においては、ウェーハがチャックテーブルに保持され、チャックテーブルが回転するとともに回転する砥石がウェーハの面に接触することによってウェーハの面が研削される。チャックテーブルの保持面は円錐面に形成されており、これに対応して研削手段の回転軸も傾斜している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
チャックテーブルの回転軸と、砥石を備えた研削手段の回転軸とがなす角は、予め決められた角度に調整されており、研削後のウェーハについてウェーハの厚さ分布を求め、その厚さ分布に応じて、チャックテーブルの回転軸又は研削手段の回転軸の傾きを調整するようにしている。このように、ウェーハの厚さ分布に基づき、研削手段又はチャックテーブルの回転軸の傾きを調整する作業を繰り返し行っている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141176号公報
【特許文献2】特開2009−090389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、研削終了後のウェーハの厚さ分布を測定し、その結果に基づきチャックテーブルの回転軸の傾き又は研削手段の回転軸の傾きを調整するため、調整のための研削が必要であり、時間がかかりすぎるという問題がある。
【0006】
また、回転軸の傾き調整前に研削したウェーハは、厚さばらつきがあるため、製品として出荷することができず、廃棄している。したがって、ウェーハに多くの無駄が生じるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような事情にかんがみなされたもので、回転軸の傾き調整を効率よく行い、ウェーハに無駄が生じないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、板状ワークを保持して回転可能な保持手段と、昇降機構を備え保持手段に保持された板状ワークを研削する研削手段と、保持手段に保持された板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、を少なくとも備える研削装置に関するもので、保持手段は、板状ワークの一方の面を保持する保持面と、保持面の中心を通る回転軸と、回転軸の傾きを調整する傾き調整手段と、を少なくとも備え、厚み測定手段は、保持面に保持される板状ワークの上方から複数箇所において板状ワークの厚みを非接触状態で測定する測定部と、測定部における測定値に基づき回転軸の傾きを算出する算出部と、算出部において算出された回転軸の傾きの値を受け取り傾きの値に基づき傾き調整手段を駆動する制御部と、を少なくとも備え、研削手段は、板状ワークが仕上げ厚みに達する前に研削を一時停止し、厚み測定手段によって板状ワークの厚みを測定し、算出部で算出される回転軸の傾きの値と所定の傾きの値との差を基に、制御部が傾き調整手段を駆動することによって回転軸の傾きを修正した後、再び研削手段によって所定の仕上げ厚みに形成されるまで板状ワークを研削する。
【0009】
保持手段に保持された板状ワークの回転中心から外周端に向けて測定部を走査させることで、板状ワークの半径方向の厚みを測定することもできる。また、測定部が、保持手段に保持された板状ワークの回転中心と、板状ワークの外周端と、板状ワークの回転中心と外周端との中間点と、の3箇所においてワークの厚みを測定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、研削手段は、板状ワークが仕上げ厚みに達する前に研削を一時停止し、厚み測定手段によって板状ワークの厚みを測定し、算出部で算出される回転軸の傾きを基に、傾き調整手段によって回転軸の傾きを修正した後、再び研削手段によって所定の仕上げ厚みに形成されるまで板状ワークを研削するため、厚さばらつきのある板状ワークが形成されることがなく、板状ワークに無駄を生じさせることなくすべての板状ワークを所望の厚さに形成することができる。また、回転軸の調整のための研削が不要であり、一度の研削で回転軸の傾きを調整して板状ワークを所定の厚さに仕上げることができるため、効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研削装置の一例を示す斜視図である。
図2】保持手段、研削手段及び厚み測定手段の第1の例を略示的に示す断面図である。
図3】保持手段及び傾き調整手段を示す側面図である。
図4】保持手段及び傾き調整手段を示す拡大断面図である。
図5】傾き調整手段を構成する位置調整ユニットの配置例を示す説明図である。
図6】位置調整ユニットと保持手段と保持手段の駆動機構とを示す斜視図である。
図7】位置調整ユニットの例を示す断面図である。
図8】保持手段と第1研削手段との位置関係を略示的に示す断面図である。
図9】保持手段と第2研削手段との位置関係を略示的に示す断面図である。
図10】仕上げ研削を行う状態を略示的に示す断面図である。
図11】厚さバラツキのある板状ワークの第1の例を示す断面図である。
図12】厚さバラツキのある板状ワークの第2の例を示す断面図である。
図13】厚さバラツキのある板状ワークの第3の例を示す断面図である。
図14】厚さバラツキのある板状ワークの第4の例を示す断面図である。
図15】(a)は保持手段、研削手段及び厚み測定手段の第2の例を示す斜視図であり、(b)は保持手段、研削手段及び厚み測定手段の第2の例を示す略示的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す研削装置1は、複数の保持手段2において板状の被加工物(板状ワーク)を保持し、第1研削手段3a及び第2研削手段3bによって板状ワークを研削加工する装置である。
【0013】
研削装置1は、保持手段2に対する板状ワークの着脱が行われる着脱エリアAと、研削加工が行われる加工エリアBとによって構成されている。複数の保持手段2は、ターンテーブル2aによって自転及び公転可能に支持されており、個々の保持手段2は、ターンテーブル2aの回転によって公転することにより、着脱エリアAと加工エリアBとの間を移動可能となっている。
【0014】
着脱エリアAには、研削加工前の板状ワークが収容される供給カセット4aと、研削加工後の板状ワークが収容される回収カセット4bとを備えている。また、供給カセット4a及び回収カセット4bに対面する位置には、供給カセット4aからの被加工物の搬出及び回収カセット4bへの被加工物の搬入を行う搬送ロボット5が配設されている。
【0015】
搬送ロボット5の可動範囲には、加工前の被加工物を仮置きする仮置き手段6及び加工後の被加工物に付着した研削屑を洗浄する洗浄手段7が配設されている。
【0016】
仮置き手段6の近傍には、仮置き手段6に仮置きされた研削加工前の板状ワークを着脱エリアAに位置する保持手段2に搬送する第1搬送手段8aが配設されている。また、洗浄手段7の近傍には、着脱エリアAに位置する保持手段2に保持された研削加工後の板状ワークを洗浄手段7に搬送する第2搬送手段8bが配設されている。
【0017】
加工エリアBには、保持手段2に保持された板状ワークに対して粗研削を施す第1研削手段3aと、粗研削された板状ワークに対して仕上げ研削を施す第2研削手段3bとが配設されている。第1研削手段3a及び第2研削手段3bは、保持手段2の移動経路の上方に配設されている。
【0018】
図2に示すように、第1研削手段3aは、ほぼ鉛直方向の軸心を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、スピンドル30の上端に連結されスピンドル30を回転駆動するモータ32と、スピンドル30の下端に固定されたマウント33と、マウント33に固定されたホイール34とから構成されている。ホイール34の下面には、円環状に粗研削砥石35aが固着されている。
【0019】
第2研削手段3bも同様に構成されており、研削砥石の種類だけが第1研削手段3aとは異なっており、粗研削砥石35aに代えて仕上げ研削砥石35bを備えている。
【0020】
図1に示すように、第1研削手段3a及び第2研削手段3bは、ホイール34を昇降させるための昇降機構36を備えている。昇降機構36は、スピンドル30と同方向の軸心を有するボールスクリュー360と、ボールスクリュー360と平行に配設されたガイドレール361と、ボールスクリュー360に連結されボールスクリュー360を回動させるモータ362と、ボールスクリュー360に螺合するナットを内部に備えるとともに側部がガイドレール361に摺接しハウジング31と連結された昇降部材363とから構成され、モータ362に駆動されてボールスクリュー360が回動するのにともない、ガイドレール361にガイドされて昇降部材363が昇降し、併せてハウジング31が昇降する構成となっている。
【0021】
図2に示すように、保持手段2は、上部にポーラス部材20を備えており、ポーラス部材20は、図示しない吸引源に連通している。ポーラス部材20の上面は、板状ワークの一方の面を保持する保持面20aとなっており、保持手段2は、保持面20aに直交するとともに保持面20aの中心を通る回転軸200を中心として回転可能となっている。
【0022】
図1に示すように、加工エリアBには、第1研削手段3aの下方に位置する保持手段2に保持された板状ワークの厚みを測定する厚み測定ゲージ9aと、第2研削手段3bの下方に位置する保持手段2に保持された板状ワークの厚みを測定する厚み測定ゲージ9bとが配設されている。
【0023】
個々の厚み測定ゲージ9a、9bは、厚み測定の基準面である保持手段2の保持面20の高さ位置を計測する基準ハイトゲージ90と、板状ワークの表面の高さ位置を計測するワークハイトゲージ91とを備えており、基準ハイトゲージ90の計測値とワークハイトゲージ91の計測値との差を板状ワークの厚みとして認識する。
【0024】
図1に示すように、第2研削手段3bの下方には、保持手段2に保持された板状ワークの厚みを計測する非接触式の厚み測定手段10が配設されている。この厚み測定手段10は、保持面20に保持される板状ワークの上方から複数箇所において板状ワークの厚みを非接触状態で測定する測定部100と、測定部100における測定値に基づき保持手段2の回転軸の傾きを算出する算出部101とを備えている。
【0025】
測定部100は、ターンテーブル2aの外周側に立設されたスタンド102と、スタンド102から保持手段2の上方に向けて延びるアーム部103とによって支持されており、測定部100は、アーム部103に固定された3つのセンサ104a、104b、104cとから構成されている。センサ104a、104b、104cは、板状ワークに向けて測定光を照射し、板状ワークの上下の界面(上面と下面)にて反射した反射光を受光したタイミングの差から、板状ワークの厚さを算出することができる。
【0026】
算出部101は、少なくともCPU及びメモリを備えた制御部105に接続されており、算出部101において求めた保持手段2の回転軸の傾きの値は、制御部105に送られる。制御部105においては、保持手段2の回転軸の傾きの値に応じ、研削装置1の各部位の制御を行う。
【0027】
図3に示すように、個々の保持手段2は、回転軸200の傾きを調整する傾き調整手段21を備えている。
【0028】
傾き調整手段21は、支持台22と、支持台22に連結された位置調整ユニット23とから構成されている。支持台22は、円筒状に形成された支持筒部220と、支持筒部220から拡径したフランジ部221とから構成され、図4に示すように、ベアリング24を介して保持手段2の軸部200aを回転可能に支持している。傾き調整手段21は、フランジ部221の傾きを調整することにより、軸部200aの傾きを調整する機能を有する。
【0029】
図3に示した位置調整ユニット23は、フランジ部221の円弧に沿って、等間隔に2つ以上設けられている。例えば図5に示すように、120度間隔で、2つの位置調整ユニット23と、フランジ部221を固定する固定部23aとが配設される。また、位置調整ユニット23が3つ以上配設されるようにしてもよい。
【0030】
図6に示すように、位置調整ユニット23は、ビス25によってターンテーブル2aに固定された筒部230と、筒部230を貫通するシャフト231と、シャフト231の下端に連結された駆動部232と、シャフト231の上端においてフランジ部221に固定された固定部233とから構成されている。駆動部232は、シャフト231を回転させるモータ232aと、シャフト231の回転速度を弱める減速機232bとから構成されている。
【0031】
また、軸部200aにはベルト260が巻回されており、このベルト260は、回転軸261にも巻かれている。回転軸261は、モータ262によって回転駆動されるように構成されており、モータ262に駆動されて回転軸261が回転することにより、その回転力がベルト260によって軸部200aに伝わる。そして、軸部200aが回転することにより保持手段2が回転する構成となっている。軸部200aには配管200bが貫通して形成されており、配管200bは、図示しない吸引源に連通している。
【0032】
図7に示すように、シャフト231の上端部には、第1の雄ねじ231aが形成されている。一方、固定部233は、第1の雄ねじ231aに螺合する第1の雌ねじ234aを有するナット234と、ボルト235aによってナット234に固定された挟持ナット235とから構成され、ナット234と挟持ナット235とでフランジ部221を挟持している。ボルト235aとシャフト231との間にはスプリング235bが介在している。
【0033】
筒部230は、ターンテーブル2aに形成された孔1cにおいて支持されている。また、シャフト231の下端部には、カップリング232cを介して減速機232b及びモータ232aに連結されており、モータ232aによる駆動によりシャフト231を回転させることができる。
【0034】
図8に示すように、保持手段2の保持面20aは、回転中心200を頂点とした円錐面に形成されている。すなわち、保持面20aは回転中心から外周側に向けて下降する傾斜を有する斜面に形成されている。そして、かかる傾斜に対応し、第1研削手段3aを構成する粗研削砥石35a及び第2研削手段3bを構成する仕上げ研削砥石35bの下面も、保持面20aと平行となっている。また、研削対象のワークWも、円錐面にならって保持される。なお、図8においては円錐面の傾斜を誇張して示しているが、実際には肉眼では認識できないほどのわずかな傾斜である。
【0035】
また、図9に示すように、第2研削手段3bの下方に位置する保持手段2の保持面20aの一部の上方には、回転軸200を中心とする径方向に、保持面20aと平行に3つのセンサ104a、104b、104cが直線状に並んでいる。
【0036】
このように構成される研削装置1においては、図1に示した搬送ロボット5が供給カセット4aから研削前の板状ワークを取り出し、仮置き手段6に搬送する。そして、仮置き手段6において板状ワークの中心位置を一定の位置にあわせた後、第1搬送手段8aが板状ワークを着脱エリアAに位置する保持手段2に搬送する。そして、板状ワークWは、保持面20a上に保持される。
【0037】
(1)研削ステップ
板状ワークを保持した保持手段2は、ターンテーブル2aの矢印C方向への回転によって加工エリアBに進入し、第1研削手段3aの下方に移動する。そして、図8に示すように、保持手段2が矢印D方向に自転するとともに、スピンドル30を矢印E方向に回転させながら第1研削手段3aを下降させ、回転する粗研削砥石35aを板状ワークWの上面W1に接触させて粗研削を行う。研削は、粗研削砥石35aが常にワークWの上面W1の回転中心に接触するようにして行う。
【0038】
粗研削の終了後、ターンテーブル2aをさらに同方向に回転させることにより、粗研削された板状ワークWを第2研削手段3bの下方に移動させる。そして、図9に示すように、保持手段2が矢印D方向に自転するとともに、スピンドル30を矢印E方向に回転させながら第2研削手段3bを下降させ、回転する仕上げ研削砥石35bを板状ワークWの上面W1に接触させて仕上げ研削を行う。仕上げ研削は、図10に示すように、仕上げ研削砥石35bが常に板状ワークWの上面W1の回転中心に接触するようにして行う。
【0039】
第2研削手段3bにおいては、板状ワークWが所望の仕上げ厚みに形成される前に、ホイール34を上昇させて研削を一時停止し、厚み測定手段10によって板状ワークWの厚みを測定する。具体的には、3つのセンサ104a、104b、104cによって、板状ワークWの回転中心と、板状ワークWの外周端と、板状ワークWの回転中心と外周端との中間点との3箇所において、板状ワークWの厚みがそれぞれ測定される。3箇所においてそれぞれ厚みを測定することにより、図1及び図2に示した算出部101において、板状ワークWの厚さのバラツキが認識される。
【0040】
(2)傾き調整ステップ
次に、傾き調整手段21によって、保持手段2の回転軸200の傾きを調整する。最初に、算出部101において、3つのセンサ104a、104b、104cによる板状ワークWの3箇所の厚さの測定値に基づき、例えば、104aの測定値と104cの測定値の差もしくは、104aの測定値と104cの測定値の平均値と104bの測定値の差から回転軸200の傾きを求めることができる。そして、求めた回転軸200の傾きが、所定の値となっていない場合は、回転軸200の傾きが所定の値となるように調整する。なお、図9における保持面20aの傾き20bが、仕上げ研削砥石35bの下面35cの傾き35dと平行であれば、回転軸200の傾きが当該所定の値になっていると判断することができる。
【0041】
回転軸200の傾きが所定の値となっていない状態で研削を行うと、例えば図11図14に示す板状ワークWa〜Wdのように、厚さばらつきが生じて厚さが均一にならない。図11に示す板状ワークWaは、回転軸200の傾きが大きすぎるために、104aの測定値−104cの測定値>0(ゼロ)となり板状ワークWの中心部分が厚く形成され、外周側が薄く形成されている。図12に示す板状ワークWbは、回転軸200の傾きが小さすぎるために、104aの測定値−104cの測定値<0(ゼロ)となり板状ワークWの中心部分が薄く形成され、外周側が厚く形成されている。図13に示す板状ワークWcは、(104aの測定値+104cの測定値)/2−104bの測定値<0(ゼロ)で、図14に示す板状ワークWdは、(104aの測定値+104cの測定値)/2−104bの測定値>0(ゼロ)で回転軸200の傾きが不適切であるために、板状ワークWの上面(被研削面)が平らに形成されていない。
【0042】
回転軸200の傾きの調整は、図5に示した2つの位置調整ユニット23を用いて行う。具体的には、回転軸200の傾きの実際の値と所定の値との差を算出部101が算出し、モータ262による保持手段2の回転駆動を停止させた状態で、図7に示した制御部105がモータ232aを駆動し、シャフト231を回転させることにより、フランジ部221を上下動させる。なお、モータ232aを駆動させる時、モータ262による保持手段2の回転駆動を停止させても良い。
【0043】
フランジ部221が上下動することにより、図4に示したようにフランジ部221を含む支持台22によって支持された保持手段2の軸部200aの傾きが変化し、保持手段2の回転軸200の傾きを調整することができる。このようにして回転軸200の微調整が完了する。
【0044】
(3)再研削ステップ
このようにして傾き調整手段21によって保持手段2の回転軸200の傾き調整が行われた後、図10に示したように、保持手段2が矢印D方向に自転するとともに、スピンドル30を矢印E方向に回転させながら第2研削手段3bを下降させ、回転する仕上げ研削砥石35bを板状ワークWの上面W1に接触させて、再び仕上げ研削を行う。そして、図1に示した厚み測定ゲージ9bによって板状ワークWが指定された厚みに形成されたことが確認されると、仕上げ研削を終了する。
【0045】
再研削ステップにおいては、保持手段2の回転軸200が所定の傾きに修正された状態で仕上げ研削が行われるため、研削ステップにおいて仮に板状ワークWに厚さばらつきがあったとしても、再研削ステップにおける研削によって厚さばらつきがなくなり、均一な厚さの板状ワークを形成することができる。
【0046】
仕上げ研削終了後は、板状ワークWが第2搬送手段8bによって洗浄手段7に搬送されて洗浄された後、搬送ロボット5によって回収カセット4bに収容される。
【0047】
(4)厚み測定手段の変更例
なお、図2に示した厚み測定手段10に代えて、図15に示す厚み測定手段11を用いることもできる。この厚み測定手段11は、保持面20に保持される板状ワークの上方から板状ワークの厚みを非接触状態で測定するセンサからなる測定部110と、測定部110における測定値に基づき保持手段2の回転軸の傾きを算出する算出部111とを備えている。
【0048】
測定部110は、ターンテーブル2aの外周側に立設され回転可能なスタンド112から保持手段2の上方に向けて延びるアーム部113に固定されており、スタンド112の回転によって旋回可能となっている。スタンド112にはベルト114が巻回され、ベルト114は、モータ115の回転軸115aに巻回されており、モータ115に駆動されて回転軸115aが回転することにより、その回転力がベルト114によってスタンド112に伝わり、アーム部113が旋回動する構成となっている。
【0049】
保持手段2に保持されたワークWの厚みを測定する際には、研削を一時中断し、アーム部113を旋回させて測定部110を保持面20aの面方向に移動させ、保持手段2に保持された板状ワークWの回転中心から外周端W2もしくは外周端W2から回転中心に向けて測定部110を走査させる。
【0050】
測定部110の走査により、板状ワークWの回転中心と外周端と外周端と回転中心の中間点(1/2R)との3箇所の厚さを測定することができる。そして、かかる厚さの測定値から保持手段2の回転軸200の傾きを求め、傾き調整手段21によって所望の傾きに修正する。そしてその後、研削を再開し、厚み測定ゲージ9bによる計測により板状ワークWが所定の厚みに形成されると、研削を終了する。
【0051】
なお、図1に示した研削装置1は、2つの研削手段を備えているが、研削手段が1つのみまたは3つ以上の研削装置であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:研削装置
A:着脱エリア B:加工エリア
2:保持手段
20:ポーラス部材 20a:保持面 200:回転軸 200a:軸部
21:傾き調整手段
22:支持台 220:支持筒部 221:フランジ部
23:位置調整ユニット
230:筒部
231:シャフト
231a:第1の雄ねじ
232:駆動部 232a:モータ 232b:減速機 232c:カップリング
233:固定部
234:ナット 234a:第1の雌ねじ
235:挟持ナット 235a:ボルト
24:ベアリング 25:ビス
260:ベルト 261:回転軸 262:モータ
2a:ターンテーブル
3a:第1研削手段 3b:第2研削手段
30:スピンドル 31:ハウジング 32:モータ 33:マウント
34:ホイール 35a:粗研削砥石 35b:仕上げ研削砥石
36:昇降機構
360:ボールスクリュー 361:ガイドレール 362:モータ
363:昇降部材
4a:供給カセット 4b:回収カセット
5:搬送ロボット
6:仮置き手段 7:洗浄手段
8a:第1搬送手段 8b:第2搬送手段
9a、9b:厚み測定ゲージ
90:基準ハイトゲージ 91:ワークハイトゲージ
10:厚み測定手段
100:測定部 101:算出部 102:スタンド 103:アーム部
104a,104b,104c:センサ 105:制御部
11:厚み測定手段110:測定部 111:算出部
112:スタンド 113:アーム部 114:ベルト
115:モータ 115a:回転軸
図1
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