(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報記憶部が、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択される少なくとも1種を有する請求項7に記載の可逆性感熱記録部材。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(可逆性感熱記録媒体)
本発明の可逆性感熱記録媒体は、少なくとも、支持体と、可逆性感熱記録層と、金属化合物含有層(ガスバリア層)と、保護層と、を有してなり、熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)、アンカー層、アンダーコート層、紫外線吸収層、さらに必要に応じて、その他の層を有してなる。
【0021】
<支持体>
前記支持体としては、後述する可逆性感熱記録層を支持することが可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、樹脂フィルム、PETフィルム等の樹脂製のシートやフィルム、合成紙、金属箔、ガラス、これらの複合体、などが挙げられる。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可逆性感熱記録層を酸素や水分から保護できる厚み(数μm程度〜数mm程度の任意の厚み)が好ましい。例えば、PETフィルムであれば、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上が特に好ましい。
前記支持体としては、必要に応じた厚みの支持体を単独あるいは貼り合わせてもよく、可逆性感熱記録層と同一面、反対面、内部などに、磁気記録層、ICチップを有していてもよく、可逆性感熱記録層が自己支持性である場合には、支持体の使用を省略することができる。
また、前記支持体は、酸素バリア性及び水分バリア性を有することが好ましい。ここで、前記支持体の酸素バリア性及び水分バリア性が不十分な場合は、支持体を後述する金属化合物含有層(ガスバリア層)で被覆すればよい。
なお、一般に、支持体は、比較的厚手のフィルムやシートなどであるので、酸素遮断機能や水分遮断機能は十分に備わっている。支持体に酸素遮断機能や水分遮断機能が備わっていないときには、支持体側を後述するガスバリア層で被覆してもよい。
【0022】
<可逆性感熱記録層>
前記可逆性感熱記録層(「感熱記録層」と略称することがある。)としては、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含む可逆性感熱組成物によるものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
前記可逆性感熱記録層は、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより発色状態が変化する電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との混合物を含む組成物からなっている。前記可逆性感熱記録媒体は、発色、消色が可逆的であり、温度により発色したり消色したりできる。前記組成物には、バインダである樹脂を含んでおり、樹脂の溶融、固化により、発色剤の発色、消色の変化を起こさせたり、凍結したりしている。
【0024】
<<電子供与性呈色性化合物>>
前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無色又は淡色の染料前駆体(ロイコ染料)、フルオラン系化合物、トリフェニルメタンフタリド系化合物、アザフタリド系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物、などが挙げられる。
【0025】
前記フルオラン系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、などが挙げられる。
【0026】
前記アザフタリド系化合物としては、例えば、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、などが挙げられる。
【0027】
前記ロイコ染料としては、例えば、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記ロイコ染料の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜0.7μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましく、0.1μm〜0.3μmが特に好ましい。前記ロイコ染料の平均粒子径が0.05μm〜0.7μmであることで、感熱記録層の発色特性の向上が図られる。前記ロイコ染料は、必要に応じて、分散剤及び/又は界面活性剤を加えることにより、平均粒子径を0.05μm〜0.7μmに整えながら分散させることができる。前記分散剤及び/又は前記界面活性剤は、ロイコ染料に対して質量基準で5%〜20%含有させればよい。なお、分散装置としては、ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ジェットミル、を用いることができる。微粒子化及び分散は、ボール等のメディアを用いた方式が好ましく、最初から直径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いるか、又は、直径が0.5mm以上1.0mm以下のジルコニアメディアを用いて粗粉砕し、次いで0.5mm以下の径のジルコニアメディアを用いて分散することにより微粒子化できる。なお、前記ロイコ染料の平均粒子径は、レーザ解析・散乱法(例えば、マイクロトラックHRA9320−X100型、堀場製作所製LA920型、レーゼンテックFBRM装置等)で測定した平均粒子径である。
【0029】
<<電子受容性化合物>>
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)を発色させる作用を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、フェノール化合物、メルカプト酢酸の金属塩、リン酸エステル、などが挙げられる。これらは、融点、顕色性能などを考慮して、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)との組み合わせで選択すればよい。
【0030】
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色濃度、消去特性の点で、下記一般式(1)で表わされる化合物が好ましい。
【0031】
【化1】
(式中、lは、0〜2の自然数を表し、mは、0又は1を表し、nは、1〜3の整数を表し、X,Yは、N原子又はO原子を含む2価の基を表す。また、R
1は、置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、R
2は、炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を表す。)
前記一般式(1)において、脂肪族炭化水素基は、直鎖でもよいし、分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、などが挙げられる。R
1、及びR
2の炭素数の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下することがあるため、R
1、及びR
2の炭素数の和としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましい。
【0032】
前記脂肪族炭化水素基R
1としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
【化2】
なお、式中のq、q'、q"、q'"は、それぞれ、前記R
1、R
2の炭素数を満足する整数を表す。これらの中でも、−(CH
2)q−が好ましい。
【0033】
前記脂肪族炭化水素基R
2としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
【0034】
【化3】
なお、式中のq、q'、q"、q'"は前記と同じである。これらの中でも、−(CH
2)q−CH
3が好ましい。
【0035】
X、Yは、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、好ましくは、
【化4】
で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。その例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0036】
【化5】
これらの中でも、以下に示すものが好ましい。
【0038】
前記一般式(1)で表わされる化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0039】
【化7】
式中、rは2以上の整数を表し、sは1以上の整数を表す。
【0040】
前記電子受容性化合物(顕色剤)の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜2.5μmが好ましく、0.5μm〜2.0μmがより好ましい。前記電子受容性化合物(顕色剤)の平均粒子径が、0.1μm〜2.5μmの範囲内であれば、前記可逆性感熱記録媒体用の前記電子受容性化合物(顕色剤)として使用した際に、発色特性を向上させることができる。さらに、前記平均粒子径が前記より好ましい範囲内であると、前記発色特性向上効果の点で有利である。
【0041】
前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)とのモル比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:0.1〜1:20が好ましく、1:0.2〜1:10がより好ましい。前記電子受容性化合物(顕色剤)が少なくても、多くても、発色状態の濃度が低下して問題となることがある。前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
前記可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂とのモル比は、1:0.1〜1:10が好ましく、前記樹脂が少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、前記樹脂が多い場合には発色濃度が低下してしまう。
【0042】
前記電子受容性化合物(顕色剤)は、ロイコ染料とともに、分散剤及び/又は界面活性剤を加えて、平均粒子径を0.05μm〜0.7μmの範囲に調整しながら、分散させることができる。分散剤及び/又は界面活性剤は、ロイコ染料に対して質量基準で5%以上20%以下含有させればよい。分散機としては、ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ジェットミル等を用いることができる。微粒子化及び分散は、ボールなどのメディアを用いた方式が好ましく、平均粒子径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いるか、又は、平均粒子径が0.5mm以上1.0mm以下のジルコニアメディアを用いて粗粉砕し、次いで、0.5mm以下の径のジルコニアメディアを用いて分散することにより微粒子化できる。
なお、前記電子受容性化合物(顕色剤)の平均粒子径は、レーザ解析・散乱法(例えば、マイクロトラックHRA9320−X100型、堀場製作所製LA920型、レーゼンテックFBRM装置等)で測定した数平均粒子径である。
【0043】
<<可逆性感熱組成物>>
前記可逆性感熱組成物としては、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含むものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物がバインダ樹脂中に分散した組成物であり、必要に応じて、感熱記録層の塗布特性及び発色消色特性を改善したり、制御したりするための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、例えば、制御剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、などがある。
【0044】
−バインダ樹脂−
前記バインダ樹脂は、前記可逆性感熱組成物における各材料が、記録消去の熱印加によっても片寄ることなく、均一に分散した状態を保つ機能を有する。
前記バインダ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の高いバインダ樹脂、例えば、熱、紫外線、電子線、架橋剤などで架橋させたバインダ樹脂が好ましい。
【0045】
架橋前の前記バインダ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合させた樹脂、などが挙げられる。なお、前記バインダ樹脂は、これらの架橋前の樹脂と架橋剤との組合せにより得られる架橋樹脂に限定されるものではない。
【0046】
前記アクリルポリオール樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1−ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)、などを用いたアクリルポリオール樹脂が挙げられる。これら水酸基モノマーの中でも、塗膜のワレ抵抗性や耐久性の点で、第1級水酸基を有する2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0047】
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物、などが挙げられる。これらの中でも、イソシアネート類(イソシアネート系化合物)が好ましい。
前記イソシアネート系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体、などが挙げられる。前記変性体を形成するイソシアネート単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、などが挙げられる。
【0048】
前記可逆性感熱組成物には、架橋促進剤を添加してもよい。前記架橋促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、有機すず化合物等の金属化合物、などが挙げられる。また、前記架橋剤は、添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。すなわち、未反応架橋剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は、経時的に進行するため、未反応の架橋剤が存在していることは、架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の架橋剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質中のポリマーの有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマーの存在が確認できなければ、ポリマーは非架橋状態にあることがいえ、非架橋状態のポリマーと区別することができる。ここでは、これをゲル分率で表わすことができる。
【0049】
前記ゲル分率とは、溶媒中で樹脂溶質が相互作用により独立運動性を喪失して集合し個化した状態(ゲル)を生じるときのそのゲルの生成比率をいう。前記バインダ樹脂のゲル分率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましく、80%以上がより特に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、繰り返し耐久性が低下することがある。前記ゲル分率を向上させるためには、前記バインダ樹脂中に、熱、UV、EB等によって硬化する硬化性樹脂を混合するか、樹脂自身を架橋すればよい。
【0050】
前記ゲル分率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の重量を測定する方法、などが挙げられる。
前記ゲル分率の計算は、下記式によって行なう。
ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量(g)]×100
【0051】
前記ゲル分率を上記計算で算出するときに、感熱層中の樹脂成分以外の有機低分子量物質粒子等の重量を除いて計算を行なう。この際、予め有機低分子物質重量が分からないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により重量比率を求めて、有機低分子量物質重量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
【0052】
また、前記ゲル分率の測定の際に、支持体上に可逆性感熱記録層が設けられており、その上に保護層等の他の層が積層されている場合や、支持体と感熱層の間に他の層がある場合には、上述したように、まずTEM、SEM等の断面観察により可逆性感熱記録層及びその他の層の厚みを調べておき、その他の層の厚み分の表面を削り取り、可逆性感熱記録層表面を露出させると共に、可逆性感熱記録層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率測定を行なえばよい。
【0053】
この方法において、可逆性感熱記録層上層に紫外線硬化樹脂等がある場合には、これらの層が混入するのを極力防ぐために、これらの層の厚み分を削ると共に可逆性感熱記録層表面も少し削りゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0054】
−制御剤−
前記制御剤(消色促進剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色濃度及び消去特性の点から、アミド基、ウレタン基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等を部分構造として含有する化合物が好ましい。これらの中でも、アミド基、2級アミド基、ウレタン基を有する化合物がより好ましく、具体的な例として、以下のものが挙げられる。
【0056】
【化9】
(式中、n,n',n",n'",n""は0〜21の整数を表す。ただし全てが5以下であることはない。)
【0058】
C
11H
23CONHC
12H
25、C
15H
31CONHC
16H
33、C
17H
35CONHC
18H
37、C
17H
35CONHC
18H
35、C
21H
41CONHC
18H
37、C
15H
31CONHC
18H
37、C
17H
35CONHCH
2HNOCC
17H
35、C
11H
23CONHCH
2HNOCC
11H
23、C7H15CONHC
2H
4HNOCC
17H
35、C
9H
19CONHC
2H
4HNOCC
9H
19、C
11H
23CONHC
2H
4HNOCC
11H
23、C
17H
35CONHC
2H
4HNO
CC
17H
35、(CH
3)
2CHC
14H
35CONHC
2H
4HNOCC
14H
35(CH
3)
2、C
21H
43CONHC
2H
4HNOCC
21H
43、C
17H
35CONHC
6H
12HNOCC
17H
35、C
21H
43CONHC
6H
12HNOCC
21H
43、C
17H
33CONHCH
2HNOCC
17H
33、C
17H
33CONHC
2H
4HNOCC
17H
33、C
21H
41CONHC
2H
4HNOCC
21H
41、C
17H
33CONHC
6H
12HNOCC
17H
33、C
8H
17NHCOC
2H
4CONHC
18H
37、C
10H
21NHCOC
2H
4CONHC
10H
21、C
12H
25NHCOC
2H
4CONHC
12H
25、C
18H
37NHCOC
2H
4CONHC
18H
37、C
21H
43NHOCC
2H
4CONHC
21H
43、C
18H
37NHOCC
6H
12CONHC
18H
37、C
18H
35NHCOC
4H
8CONHC
18H
35、C
18H
35NHCOC
8H
16CONHC
18H
35、C
12H
25OCONHC
18H
37、C
13H
27OCONHC
18H
37、C
16H
33OCONHC
18H
37、C
18H
37OCONHC
18H
37、C
21H
43OCONHC
18H
37、C
12H
25OCONHC
16H
33、C
13H
27OCONHC
16H
33、C
16H
33OCONHC
16H
33、C
18H
37OCONHC
16H
33、C
21H
43OCONHC
16H
33、C
12H
25OCONHC
14H
29、C
13H
27OCONHC
14H
29、C
16H
33OCONHC
14H
29、C
18H
37OCONHC
14H
29、C
22H
45OCONHC
14H
29、C
12H
25OCONHC
12H
37、C
13H
27OCONHC
12H
37、C
16H
33OCONHC
12H
37、C
18H
37OCONHC
12H
37、C
21H
43OCONHC
12H
37、C
22H
45OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
2H
4OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
3H
6OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
4H
8OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
6H
12OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
8H
16OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
2H
4OC
2H
4OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
3H
6OC
3H
6OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
12H
24OCONHC
18H
37、C
18H
37NHCOOC
2H
4OC
2H
4OC
2H
4OCONHC
18H
37、C
16H
33NHCOOC
2H
4OCONHC
16H
33、C
16H
33NHCOOC
3H
6OCONHC
16H
33、C
16H
33NHCOOC
4H
8OCONHC
16H
33、C
16H
33NHCOOC
6H
12OCONHC
16H
33、C
16H
33NHCOOC
8H
16OCONHC
16H
33、C
18H
37OCOHNC
6H
12NHCOOC
18H
37、C
16H
33OCOHNC
6H
12NHCOOC
16H
33、C
14H
29OCOHNC
6H
12NHCOOC
14H
29、C
12H
25OCOHNC
6H
12NHCOOC
12H
25、C
10H
21OCOHNC
6H
12NHCOOC
10H
21、C
8H
17OCOHNC
6H
12NHCOOC
8H
17
【0059】
【化11】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記制御剤(消色促進剤)の電子受容性化合物(顕色剤)に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜300質量%が好ましく、3質量%〜100質量%がより好ましい。前記制御剤は、電子供与性呈色性化合物(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)とを混合する際に、これらと均一に混合すればよい。
【0061】
本発明の可逆性感熱記録媒体における感熱記録層は、前記バインダ樹脂中に前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)とが細かく均一に分散した状態の組成物からなる。前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)とは、個々に粒子を形成していてもよいが、より好ましくは複合された粒子として分散された状態を形成するとよい。これは、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)とを溶融したり溶解したりすることによって達成できる。このような可逆性感熱組成物は、各材料をそれぞれ溶剤中で分散又は溶解した後混合した混合液、或いは各材料を混合して溶剤中で分散又は溶解した混合液として支持体上に塗布できる。電子供与性呈色性化合物(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)は、マイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0062】
前記可逆性感熱組成物は、電子供与性呈色性化合物(発色剤)、電子受容性化合物(顕色剤)、種々の添加剤、硬化剤及び架橋状態にある樹脂ならびに塗液溶媒などよりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液である。
塗液調製に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;などが挙げられる。
【0063】
塗液調製は、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等の公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。また、前記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。更に、加熱溶解して、急冷乃至除冷によって析出させてもよい。
【0064】
<<可逆性感熱記記録層の形成>>
前記可逆性感熱記記録層を支持体上に形成するには、従来公知の方法を用いればよく、例えば、前記可逆性感熱組成物の塗布液を支持体上に塗布して乾燥させればよい。前記可逆性感熱組成物の塗布液の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工、などが挙げられる。
【0065】
前記可逆性感熱組成物の塗布液を塗布後、乾燥及び必要に応じてバインダ樹脂の架橋を完全にするための硬化処理を行なう。乾燥及び硬化処理は、恒温槽等を用いて比較的高温で短時間で、又は比較的低温で長時間かけて熱処理してもよい。硬化反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、反応性の面から30℃〜130℃程度の温度条件で1分間〜150時間程度加温することが好ましく、40℃〜100℃の温度条件で2分間〜120時間程度加温することがより好ましい。また、乾燥工程とは別に架橋工程を設けてもよい。前記架橋工程の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜100℃の温度条件で2分間〜120時間程度加温することが好ましい。
【0066】
前記可逆性感熱記記録層の厚みとしては、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)の種類によって異なり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜20μmの範囲が好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。前記可逆性感熱記記録層の厚みが、1μm未満であると、発色の際のコントラストが不完全となることがあり、20μmを超えると、前記可逆性感熱記記録層の熱感度が低下することがある。
【0067】
<金属化合物含有層(ガスバリア層)>
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)は、少なくとも、樹脂、有機金属化合物、及び無機層状化合物を含んでなり、さらに必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)は、前記可逆性感熱記録層を被覆することにより、前記可逆性感熱記録層に酸素が侵入して、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)との反応により、前記可逆性感熱記録層が褪色したり、変色したりするのを防ぐ機能を有している。特に、可逆性感熱記録媒体の使用期間の長期化に伴って、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)のガスバリア性をさらに向上させる必要がある。前記可逆性感熱記記録層への酸素の進入を防ぐことにより、可逆性感熱記録媒体は、耐光性に優れ、長期間褪色及び変色を防止することができる。
【0068】
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みとしては、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の酸素透過特性によって異なり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5μmがより好ましい。前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みが、0.1μm未満であると、酸素バリア性及び水分バリア性が不完全となることがあり、10μmを超えると、前記可逆性感熱記記録層の加熱ヘッドなどに対する感度が低下することがある。
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)としては、単層であってもよいし、複層であってもよい。前記金属化合物含有層(ガスバリア層)が複層であると、ガスバリア信頼性の点で有利である。
【0069】
<<樹脂>>
前記樹脂としては、ポリビニルアルコール系重合体及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて(その用途、酸素透過性、透明性、無機層状化合物との混合特性、感熱記録層との接着性、耐湿性、塗工のしやすさ等によって)適宜選択することができるが、可視光の透過率が大きい樹脂が好ましい。
前記樹脂は、ガスバリア性を有するポリビニルアルコール系重合体でもよいが、ガスバリア性だけでなく耐湿性も有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体、又はこれらを含むガスバリア性樹脂の組成物としてもよい。
【0070】
前記ポリビニルアルコール系重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの誘導体、ポリビニルアルコールの変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリビニルアルコールの誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水酸基の40モル%程度までがアセタール化されているポリビニルアルコール誘導体、などを挙げることができる。
前記ポリビニルアルコールの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体等を共重合して得られるポリビニルアルコール変性物、などを挙げることができる。
前記ポリビニルアルコール系重合体の重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜5,000が好ましく、500〜3,000がより好ましい。
前記ポリビニルアルコール系重合体のケン化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。
【0071】
なお、前記ポリビニルアルコール系重合体は、乾燥状態でのガスバリア性が非常に高いという利点がある反面、高湿度下でのガスバリア性の低下の度合いがエチレン−ビニルアルコール系共重合体より大きいため、高湿度下で利用する場合、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成する際に、後述の無機層状化合物の含量を多くすることが好ましい。
【0072】
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られる樹脂が好ましい。前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られる樹脂、エチレン、酢酸ビニル、及びその他の単量体を共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られる樹脂、などが挙げられる。
前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体の共重合前の単量体におけるエチレン比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20モル%〜60モル%であることが好ましい。エチレン比率が20モル%未満であると、高湿度下におけるガスバリア性が低下し、一方、エチレン比率が60モル%を超えるとガスバリア性が低下する傾向がある。
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酢酸ビニル成分のケン化度が95モル%以上の樹脂が好ましい。
前記酢酸ビニル成分のケン化度が95モル%未満であると、ガスバリア性や耐油性が不充分になることがある。前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、溶剤中での溶解安定性が良好となるという点で、過酸化物等により処理して低分子量化した樹脂が好ましい。
【0073】
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体をはじめとする水溶性樹脂は、その水溶性ゆえに単独では耐水性に乏しいため、本発明においては、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物の少なくともいずれかを含む有機金属化合物を、水溶性樹脂の硬化剤として用いる。上記の有機金属化合物は水溶性樹脂との反応性が高いため、本発明においては、耐水性に優れるコーティング層を形成することができる。本明細書において、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物は、それぞれ、チタン又はジルコニウムに、有機基が直接又は酸素原子や窒素原子等による他の結合を介して結合した構造を、分子内に少なくとも1個有する化合物である。
【0074】
前記有機ジルコニウム化合物として、例えば、ジルコニウムキレート[一般式:Zr(OR)
n(X)
4-n、R=有機基、X=配位子、n=0〜3の整数]、ジルコニウムアシレート[一般式:Zr(OR
1)
n(OCOR
2)
4-n、R
1,R
2=有機基、n=0〜3の整数]、ジルコニウムアルコキシド[一般式:Zr(OR)
4、R=有機基]等を挙げることができる。ジルコニウムキレートとしては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。ジルコニウムアシレートとしては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0075】
前記有機チタン化合物としては、例えば、チタンキレート[一般式:Ti(OR)
n(X)
4-n、R=有機基、X=配位子、n=0〜3の整数]、チタンアシレート[一般式:Ti(OR
1)
n(OCOR
2)
4-n、R
1,R
2=有機基、n=0〜3の整数]、チタンアルコキシド[一般式:Ti(OR)
4、R=有機基]、等を挙げることができる。チタンキレートとしては、例えば、チタンアセチルアセテート、トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタンラクテート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等が挙げられる。チタンアシレートとしては、例えば、ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロポキシチタンステアレート等が挙げられる。チタンアルコキシドとしては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラステアリルチタネート等が挙げられる。
【0076】
前記有機金属化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐水性及び密着性の点で、キレート化合物、アシレート化合物、などが好ましい。
【0077】
前記金属化合物含有層における金属含有量(Ti含有量及びZr含有量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜15質量%が好ましく、0.2質量%〜10重量%がより好ましく、2質量%〜8質量%が特に好ましい。
前記金属化合物含有層における金属含有量が、0.1質量%未満であると、接着性が十分でないことがあり、15質量%を超えると、酸素バリア性が低下することがある。一方、前記金属化合物含有層における金属含有量が前記特に好ましい範囲内であると、接着性と酸素バリア性の両面から有利である。
前記有機金属化合物が添加されることにより、前記金属化合物含有層の凝集破壊を改善して、ピンホールの発生を防止することができる。
【0078】
<<無機層状化合物>>
前記無機層状化合物としては、天然物であっても膨潤性粘度鉱物の合成品であってもよく、耐湿性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物が好ましい。前記分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィロケイ酸塩の1:1構造をもつカオリナイト族、ジャモン石群に属するアンチゴライト族、層間カチオンの数によってスメクタイト族、含水ケイ酸塩鉱物であるバーミキュライト族、マイカ族、などが挙げられる。前記分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物の具体例としては、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石、鱗片状シリカ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガスバリア層として使用した場合のガスバリア性能からモンモリロナイト、雲母が好ましい。
【0079】
前記無機層状化合物が天然物である場合、前記樹脂に分散後のサイズが比較的大きいため、ガスバリア機能を確保しやすいという反面、不純物として微量に含有する無機金属イオンが、可逆性感熱記録媒体の画像形成時に、熱エネルギーの印加によって前記金属化合物含有層(ガスバリア層)などの酸化劣化を引き起こし、着色成分を形成することがある。この現象は、可逆性感熱記録媒体の本来の形成画像を消去した場合に、消え残りとして視認されてしまい、著しく画像品質を損ねてしまう。前記画像品質の低下を防ぐべく、天然品である無機層状化合物と樹脂との混合時に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を添加することで、不純物無機金属イオンによる酸化劣化を防止することが好ましい。
【0080】
前記無機層状化合物が膨潤性粘度鉱物の合成品である場合、上述の不純物がほとんど混在していないため、前記画像品質の低下が生じないものの、前記無機層状化合物の合成処理時に粒子径が小さくなってしまい、ガス通過路長が短くなってしまい、所望のガスバリア性を発現できないことがある。前記無機層状化合物としては、天然品及び合成品のいずれの無機層状化合物も使用できるが、使用する物質の特性を的確に把握しながら、樹脂/無機層状化合物の混合比率を選択することで、ガスバリア特性を向上することができる。
前記合成品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、合成雲母、天然の雲母物理的又は化学的処理をした雲母、などが挙げられる。
【0081】
前記無機層状化合物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長さ及び幅が、それぞれ、5nm〜5,000nmが好ましく、10nm〜3,000nmがより好ましく、厚みが長さの1/10〜1/10,000程度の板状が好ましく、1/50〜1/5,000程度の板状がより好ましい。
前記無機層状化合物の長さ及び幅のいずれかが5,000nmを超えると、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)での混合むらが起こりやすく、均一に混合することが難しく、薄膜が形成し難いことがあり、前記無機層状化合物の長さ及び幅のいずれかが5nm未満であると、前記無機層状化合物が前記金属化合物含有層(ガスバリア層)中で前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に平行に並んで分散しにくくなり、ガスバリア性が劣ってくることがある。前記無機層状化合物の厚みが長さの1/10を超えると、前記無機層状化合物が前記金属化合物含有層(ガスバリア層)中で前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に平行に並んで分散しにくくなり、ガスバリア性が劣ってくることがある。
【0082】
前記樹脂と前記無機層状化合物との前記金属化合物含有層(ガスバリア層)における質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、95/5〜50/50が好ましく、90/10〜65/35がより好ましい。前記無機層状化合物の質量比率が5未満であると、ガスバリア性が不足するため、その効果が不十分となり、前記無機層状化合物の質量比率が50を超えると、塗膜強度及び他層との接着性が不足して剥離したり、透明性が損なわれたりすることがある。ここで、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)における部分的な剥離は、前記可逆性感熱記録媒体の白化の原因になり易い。
【0083】
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)においては、前記無機層状化合物が前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の層方向に沿って平行に並んで分散していることが好ましい。
図5に本発明の可逆性感熱記録媒体中の金属化合物含有層(ガスバリア層)4の断面図を模式的に示した。無機層状化合物11は、溶剤やガスバリア樹脂の分散液中に分散させて薄い金属化合物含有層(ガスバリア層)4として形成すると、
図5に示すように、ガスバリア樹脂10中で層方向に沿って平らに並びやすい性質がある。このように金属化合物含有層(ガスバリア層)4中で無機層状化合物11が層方向に沿って層状に並ぶと、酸素や水蒸気ガスといった気体分子は、金属化合物含有層(ガスバリア層)4の上から下へ透過しようとする場合、無機層状化合物11を避けて透過していくことになる。そうすると、気体分子が金属化合物含有層(ガスバリア層)4を透過する経路は、金属化合物含有層(ガスバリア層)4の断面の垂直距離に比べ非常に長くなる。金属化合物含有層(ガスバリア層)4を形成するガスバリア樹脂10は、本来的にガスバリア性を有しているので、透過経路が長くなれば、これに比例して金属化合物含有層(ガスバリア層)4のガスバリア性が向上する。
【0084】
上述のように、金属化合物含有層(ガスバリア層)4に無機層状化合物11を分散、特に層方向に沿って平行に分散させることにより、金属化合物含有層(ガスバリア層)4の酸素遮断性に加えて、水分遮断性も向上する。特に、ポリビニルアルコールのような酸素遮断特性に優れたガスバリア樹脂10は、水分吸収性があり、高湿度環境下では酸素遮断特性が十分ではなかったが、これらのガスバリア樹脂10に無機層状化合物11を添加することにより、金属化合物含有層(ガスバリア層)4は、低湿度環境は勿論高湿度環境下でも優れた酸素遮断特性を発揮できる。さらに、ガスバリア性樹脂の水分吸収による劣化も防止することができ、金属化合物含有層(ガスバリア層)4と感熱記録層との剥離を防止することもできる。
【0085】
無機層状化合物は、ガスバリア性樹脂中でガスバリア層の層方向に配向して存在するので、ガスバリア層のガスバリア性を向上させることができる。
【0086】
<<接着性向上剤>>
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)は、無機層状化合物を含有しているため、感熱記録層や保護層などの隣接層との接着性を向上させるための接着性向上剤を添加してもよい。前記可逆性感熱記録媒体の基本特性である多数回にわたる記録画像の形成と消去、すなわち加熱冷却の繰り返しに耐えうるように、必要に応じて、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物等の隣接層に対する接着性向上剤を1種又は2種以上加えることができる。
【0087】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシラン;、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート等のイソシアネートアルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するアルコキシシラン;などが挙げられる。これらの中でも、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に隣接する有機残基との反応が速やかに進行する点で、アミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物、メルカプト基を有するトリアルコキシシラン化合物が好ましく、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)中の無機層状化合物との化学反応が速やかに進行する点で、トリアルコキシシリル基のアルキル基がメチル基であることがさらに好ましい。
【0088】
前記アジリジン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−アジリジニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス[3−(2−メチル−アジリジニル)−プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(2−アジリジニルブチレート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、ペンタエリスリトールトリス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、1,6−ビス(1−アジリジノカルバモイル)ヘキサメチレンジアミン、などが挙げられる。
【0089】
前記イソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水添トルエンジイソシアネート(水添TDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水添4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネート;これらの誘導体であるビュレット型、イソシアヌレート型、アダクト型などの3官能以上のポリイソシアネート;イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマー等の脂肪族系イソシアネート化合物;フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)等の芳香族ジイソシアネート;これらの誘導体であるビュレット型、イソシアヌレート型、アダクト型などの3官能以上のポリイソシアネート;イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマー等の芳香族系イソシアネート化合物;などが挙げられる。前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成するためには、水溶性高分子と共に使用する関係上、ガスバリア性コーティング組成物が基本的に溶媒として水を含有しているため、水との反応を抑えて、成膜後に硬化が進行するのが好ましい。したがって、イソシアネート化合物の骨格に親水性基を導入して水分散状態で存在する自己乳化型のポリイソシアネート化合物がより好ましい。さらに、疎水基を導入することで、成膜前での水との反応をより抑えることができるため一層好ましい。
【0090】
前記カルボジイミド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水分散型乳化タイプが好ましい。前記カルボジイミド化合物の親水化変性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定性、架橋性のバランスが良好である点で、イソシアナート末端カルボジイミド化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応により鎖伸長し、さらに親水性オリゴマーで分子末端を親水化変性した物質が好ましい。
【0091】
<<前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の形成方法>>
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の形成方法としては、前記可逆性感熱組成物を塗工できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記可逆性感熱組成物を塗工し、加熱乾燥する方法、などが挙げられる。
前記可逆性感熱組成物の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアシリンダー等を用いたロールコーティング法、ドクターナイフ法、エアーナイフ・ノズルコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)においては、前記無機層状化合物が前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に沿って平行に並んで分散していることが好ましい。その点、前記可逆性感熱組成物の塗工方法によって前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成すると、前記無機層状化合物が前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に沿って平行に並んで分散しやすい。
【0092】
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を前記塗工方法によって形成する場合、塗工用の可逆性感熱組成物を製造する方法としては、例えば、
(1)樹脂(ガスバリア性樹脂)と有機金属化合物とを溶剤に溶解させた溶液に、無機層状化合物(水等の分散媒に予め膨潤・へき開させておいてもよい。)を添加混合し、攪拌装置や分散装置を利用して無機層状化合物を分散させる方法、
(2)無機層状化合物を、水等の分散媒に膨潤・へき開させた後、攪拌装置や分散装置を利用し、更に、無機層状化合物をへき開、分散した分散液(分散溶液)に、ガスバリア性樹脂と有機金属化合物とを溶剤に溶解させた溶液を添加混合する方法
等を挙げることができる。また、無機層状化合物が天然物である場合には、これら混合液中に、例えば水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を添加しておくことが好ましい。
【0093】
樹脂と有機金属化合物との溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール系重合体及び/又はエチレン−ビニルアルコール系共重合体と有機金属化合物とを溶解し得る、水性及び非水性のいずれかの溶剤が挙げられる。これらの中でも、環境への有害性がない点で、水が好ましい。なお、エチレン−ビニルアルコール系共重合体については、溶解性を付与するために、これに炭素数2〜4の低級アルコールを併用することが好ましい。
【0094】
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を樹脂として用いる場合、過酸化物等で処理することにより低分子量化した末端変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体と、水と低級アルコールとの混合溶剤を利用して、ガスバリア性樹脂溶液を構成することが好ましい。この場合、水50質量%〜85質量%と、炭素数2〜4の低級アルコール15質量%〜50質量%と含む混合溶剤を使用すると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の溶解性が良好となり、適度な固形分を維持するためにも好適である。前記混合溶剤中の低級アルコールの含量が50質量%を超えると、無機層状化合物を分散した場合、へき開が不充分になってしまうことがある。
前記炭素数2〜4の低級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールが好ましい。
【0095】
可逆性感熱組成物を形成する攪拌装置や分散装置としては、分散液中で無機層状化合物を均一に分散することができる、通常の撹拌装置や分散装置である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透明で安定な無機層状化合物分散液が得られる点で、高圧分散機、超音波分散機、などが好ましい。前記高圧分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、マイクロフルイタイザー(マイクロフライデックス社製)、アルチマイザー(スギノマシン社製)、DeBee(Bee社製)、ニロ・ソアビホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)などが挙げられる。前記高圧分散機の圧力条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa〜100MPaが好ましい。前記高圧分散機の圧力条件が、1MPa未満であると、無機層状化合物の分散が進まず、分散に膨大な時間を要してしまうという不具合が生じることがあり、100MPaを超えると、無機層状化合物の破砕が起こり易くなり、微粉化しすぎてしまい、ガス通過路長が短くなってしまうため目的であるガスバリア性が低下することがある。
【0096】
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)とその隣接層の密着性を向上するために添加する密着性向上剤であるシランカップリング剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物及びカルボジイミド化合物は、前記樹脂(ガスバリア性樹脂)と無機層状化合物との分散調製後に添加してもよい。このようにして前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成することにより、可逆性感熱記録媒体のガスバリア性は格段に向上し、水分等の影響による剥離に対する耐性も向上する。
【0097】
<保護層>
前記保護層は、前記可逆性感熱記録媒体の最外表面、即ち前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の外側に設けられた層である。前記保護層は、強度、耐摩耗性、耐熱変形性などを備えている。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmであることが好ましい。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱、紫外線、電子線(特開平02−566号公報に記載)などによって硬化可能な樹脂が好ましい。
これらの中でも、紫外線により硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。紫外線及び電子線で硬化させる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。紫外線を用いて架橋させる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤を用いればよい。また、熱によって架橋する場合には、イソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などを用いればよい。
【0098】
前記保護層中には、有機フィラー、無機フィラー、紫外線吸収剤、滑剤、着色顔料、などを含有することができる。
前記有機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、などが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリシレート構造を有する化合物、シアノアクリレート構造を有する化合物、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物、ベンゾフェノン構造を有する化合物、などが挙げられる。
前記滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成ワックス類、植物性ワックス類、動物性ワックス類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類、アミド類、などが挙げられる。
【0099】
<熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)>
前記熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)は、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)と前記保護層との接着性、密着性を向上させるための層であり、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)及び前記保護層と親和性の強い熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含有する層である。前記熱硬化性樹脂含有層は、例えば、熱硬化性樹脂と硬化剤(架橋剤)の混合組成物(熱硬化性樹脂組成物)を前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に塗布してから硬化させて得られる。
【0100】
前記熱硬化性樹脂と前記硬化剤との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール樹脂とイソシアネート、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート、ポリエステルポリオール樹脂とイソシアネート、ポリウレタンポリオール樹脂とイソシアネート、フェノキシ樹脂とイソシアネート、ポリビニルブチラール樹脂とイソシアネート、などの組合せが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂とイソシアネートの組合せが好ましい。
【0101】
前記イソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、などが挙げられる。
【0102】
前記熱硬化性樹脂含有層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜3μmが好ましく、0.2μm〜2μmがより好ましい。前記熱硬化性樹脂含有層の厚さが0.1μm未満であると、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)と保護層との接着性を十分発揮できないことがあり、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みが3μmより厚いと、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)と保護層との接着性をそれ以上向上できないけれども、可逆性感熱記録媒体の厚みが厚くなってしまうことがある。
【0103】
<アンカー層>
前記アンカー層は、前記可逆性感熱記録層と前記金属化合物含有層(ガスバリア層)との結合を強力にすることが第1の目的であり、塗工時あるいは可逆性感熱記録媒体の使用中や保存中等に可逆性感熱記録媒体の特性を変化させない材料のなかから選択する。
【0104】
前記アンカー層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常のコーティング法、通常のラミネート法、などが挙げられる。
前記アンカー層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜3μmがより好ましい。
前記アンカー層の厚みが、0.1μm未満であると、接着性が不十分なことがあり、10μmを超えると、記録層の熱感度が低下することがある。
【0105】
前記可逆性感熱記録層上に前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を設ける際に、まず前記可逆性感熱記録層上に熱硬化性樹脂を含むアンカー剤を塗工して、1層又は2層以上のアンカー層を形成した後に、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成する。アンカー層は、前記可逆性感熱記録層と前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の接着性向上、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の塗布による前記可逆性感熱記録層の変質防止、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)に含まれる添加剤の前記可逆性感熱記録層への移行、あるいは前記可逆性感熱記録層に含まれる添加剤の前記金属化合物含有層(ガスバリア層)への移行を防止する機能を持たせることができる。
【0106】
前記アンカー剤は、接着剤と狭義のアンカー剤とに分類することができる。
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート系、ウレタン系、アクリル系の各種ラミネート用接着剤、などが挙げられる。
前記狭義のアンカー剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の各種ラミネート用アンカーコート剤、などが挙げられる。
なお、これらの接着剤や狭義のアンカー剤は、架橋剤等の接着性改質材料を含んでいてもよい。
【0107】
前記アンカー層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダ、塗工方法、乾燥・硬化方法、などは、前記可逆性感熱記録層、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)で用いられた公知の塗工方法を用いることができる。
【0108】
前記アンカー層は、例えば、エステルポリオール樹脂とイソシアネートの反応生成物のように、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでいることが好ましい。この熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、感熱記録層とガスバリア層との間を強固に接着するものであるので、熱硬化する前の前駆体(例えば、エステルポリオール樹脂とイソシアネート)の状態で一方の層(例えば、感熱記録層)に塗布して熱硬化させて得ることが好ましい。
【0109】
エステルポリオール樹脂とイソシアネートの反応生成物を含むアンカー層の場合、イソシアネートとエステルポリオール樹脂の質量比は、10対100から150対100とすることが好ましい。また、アンカー層は、0.1μm〜10μmの厚さとすることが好ましい。層厚が0.1μmより薄いと、接着力が十分でなくなる。また、層厚が10μmより厚くなると、接着効果が増加しないが、可逆性感熱記録材料の厚さを厚くする効果があり、可逆性感熱記録材料の熱伝導性を悪くしたり、可撓性を損なったりする。
【0110】
<アンダーコート層>
前記アンダーコート層は、前記可逆性感熱記録層に熱を加えて、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)や前記電子受容性化合物(顕色剤)を溶融させる際に、前記支持体側への熱の伝達を防ぎ、前記可逆性感熱記録層の加熱効率を高めるとともに、前記支持体の温度上昇による材料などへの悪影響を避けることができる。前記可逆性感熱記録層の加熱効率が高まれば、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)や前記電子受容性化合物(顕色剤)の溶融のための加熱熱量が少しで済み、溶融時間も短くなるので、小さな加熱ヘッドや加熱ローラで短時間に発色や消色が可能となる。また、前記支持体が高温にならなければ、前記支持体の材料選択の幅が広がり、前記支持体に装着されることのある磁気記録材料やICなどの電子部品の高温対策も必要がなくなる。さらに、前記可逆性感熱記録媒体の製造時や使用時に前記支持体の裏側が高温になっても、前記可逆性感熱記録層側への熱の影響を軽減することができる。
【0111】
前記アンダーコート層は、隣接する層間の接着性や密着性を向上させる作用を持つものであるので、それぞれ隣接する層(例えば、前記支持体、前記可逆性感熱記録層)との親和性、接着性の優れた素材を選択することが好ましい。
また、前記アンダーコート層は、断熱効果を高めるため発泡層であることが好ましい。前記発泡層の形成においては、ウレタン系の材料のように支持体上にアンダーコート層前駆体を形成して、これを発泡させてアンダーコート層としてもよい。また、アンダーコート層原料として、無機や有機の発泡ビーズなどの中空粒子とバインダ樹脂等とを混合して前記支持体上にアンダーコート層を形成してもよい。前記中空粒子を含む層は、前記可逆性感熱記録層と前記支持体の間にアンダーコート層として設けることにより、高い断熱性が得られ、ヘッドとの密着性を向上させ発色感度や感応速度が向上する。
【0112】
前記中空粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有する微小中空粒子が挙げられる。
前記中空粒子の平均粒子径(粒子外径)tとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4μm以上10μm以下が好ましい。前記中空粒子の平均粒子径(粒子外径)tが0.4μmより小さいと、所望の中空率にすることが難しい等の生産上の問題が生じることがあり、10μmより大きいと、前記支持体上に塗布する際、スクラッチ状のすじを形成し易く、塗布乾燥後の感熱記録媒体の表面の平滑性が低下するため、画像形成時にサーマルヘッドとの密着性が低下し、感度向上効果が低下することがある。同じ理由で、前記中空粒子は、粒子径が前記範囲内にあるとともに、粒径分布の広がりの少ないものが好ましい。
【0113】
前記中空粒子の中空率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30%以上98%以下が好ましく、70%以上98%以下がより好ましく、90%以上98%以下が特に好ましい。
前記中空粒子の中空率が高くなると、壁材の厚みが薄くなり、壁材が薄くなると圧力等に対する強度が弱くなり破壊されやすくなってしまう。単に、壁材を固くして強度を持たせようとした場合、脆くなる傾向があり屈曲により破壊されやすくなってしまう。従って、中空粒子の壁材には固さと柔軟性のバランスが必要であり、アクリロニトリル樹脂、メタアクリロニトリル樹脂は固さと柔軟性を併せ持つ好ましい壁材として挙げられる。なお、前記中空粒子の具体的な例は、特開2005−199704号公報に記載されている。
【0114】
なお、前記中空率とは、中空粒子の外径と内径の比であり、下記式で表わされるものである。前記中空粒子の中空率は、中空粒子の顕微鏡写真等で観察される粒子ごとに、同じ方向の内径と外径とから測定し下式で算出する。
中空率(%)=[(中空粒子の内径)/(中空粒子の外径)]×100
前記中空率の測定において、少なくとも100ミクロン四方以上の面積上に敷きつめたように分散している中空粒子の中空率の数平均として算出する。なお、前記中空粒子の粒子径の測定方法は、上述のロイコ染料の測定方法と同様にレーザ法によっている。
【0115】
前記アンダーコート層の材料として、公知の樹脂を併用することができる。該公知の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、疎水性樹脂であるスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリルエステル共重合体のラテックスや酢酸ビニール、酢酸ビニール/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリルエステル共重合体、アクリルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン、などが挙げられる。また、水溶性樹脂である、完全けん化ポリビニルアルコール、カルボキシル変成ポリビニルアルコール、部分けん価ポリビニルアルコール、スルホン酸変成ポリビニルアルコール、シリル変成ポリビニルアルコール、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール、等の各種変成ポリビニルアルコールが挙げられる。アンダーコート層には、前記中空粒子及びバインダと共に、必要に応じて更に感熱記録材料に慣用される補助添加成分、例えば、フィラー、熱可融性成分、界面活性剤等を使用することができる。
【0116】
さらに、前記アンダーコート層には、白色や黒色を含む色素原料加えることも好ましい。前記可逆性感熱記録層の下地色としてアンダーコート層が着色していれば、前記支持体の前記可逆性感熱記録層側の色に対する制限がなくなる。
【0117】
<紫外線吸収層>
前記紫外線吸収層は、前記可逆性感熱記録層が紫外線に曝されないように保護する層である。前記可逆性感熱記録層における材料、特に、前記電子供与性呈色性化合物(発色剤)や前記電子受容性化合物(顕色剤)は、長期間紫外線に曝されると、劣化して変色したり、退色したり、十分な発色反応をしなくなったりする。この為、感熱記録層は不必要な紫外線に曝されないように保護しておくことが好ましい。例えば、可逆性感熱記録媒体において、可逆性感熱記録層とアンカー層との間に紫外線吸収層が設けられる。
前記紫外線吸収層の材料としては、紫外線を吸収するものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線吸収性能を有するフィラーを添加したアンカー層用の樹脂、などが挙げられる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機フィラー、有機フィラー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、などが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、などが挙げられる。
前記フィラーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、粒状、板状、針状、などが挙げられる。
【0118】
前記紫外線吸収層中のフィラーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積分率で5体積%〜50体積%が好ましい。
前記紫外線吸収層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜20μmが好ましい。前記紫外線吸収層の厚みが0.1μm未満であると、紫外線吸収が不十分になることがあり、20μmを超えると、紫外線吸収が熱伝導性が低下することがある。
【0119】
本発明の可逆性感熱記録媒体には、必要に応じて各種の添加剤を用いることができる。前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、発色安定化剤、消色促進剤、フィラー、などが挙げられる。
【0120】
前記可逆性感熱記録層、前記アンカー層、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)には、それぞれ、紫外線吸収性能を有する(紫外線遮蔽性能を有しない)フィラーを添加してもよく、前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記紫外線吸収剤として列挙したフィラー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フィラーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、粒状、板状、針状、などが挙げられる。
前記金属化合物含有層(ガスバリア層)中のフィラーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積分率で5体積%〜50体積%が好ましい。
【0121】
前記可逆性感熱記録層、前記アンカー層、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)には、それぞれ滑剤を添加してもよい。
前記滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類:などが挙げられる。
各層中の滑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積分率で0.1体積%〜95体積%が好ましく、1体積%〜75体積%がより好ましい。
【0122】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体の周囲、裏面、内部などに、磁気記録層やICチップを設けることもできる。本発明の可逆性感熱記録媒体とともにICチップを設ければ、ICカードやICタグとして使用することもできる。また、本発明の可逆性感熱記録媒体とともに磁気記録層を設ければ、磁気カードとして使用することもできる。その他にも、ひとつの支持体の両面に可逆性感熱記録媒体を作製したり、支持体の反対側に接着層などを設けることもできる。
【0123】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の可逆性感熱記録媒体の構成を
図1に示す。
図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体を模式的に示した部分断面図である。
図1において、可逆性感熱記録媒体1においては、シート状の支持体2の表面に、感熱記録層3、ガスバリア層4、プライマー層8、保護層5がこの順に積層されている。
【0124】
感熱記録層3は、下面は十分にガスバリア性のある支持体2に積層されており、上面はガスバリア層4で被覆されて、両面とも外気と直接接触しないようになっている。可逆性感熱記録媒体は、原理的には、発色消色を繰り返すことのできる感熱記録材料からなる層があればよい。しかし、感熱記録層3に用いられる発色剤及び顕色剤は、光の影響を受けやすく、特に光により活性化された状態で酸素とのラジカル反応を起こしやすい。ラジカル反応を起こすと、発色していた感熱記録層3が消色したり褪色したりし、また、消色していた感熱記録層3が黄変などの発色をすることがある。ガスバリア層4は、外気中の酸素が感熱記録層3に侵入することを防ぐためのものである。プライマー層8は、ガスバリア層4と保護層5との密着性を向上させ、ガスバリア層4と保護層5との層間剥離を防ぐ効果を有する。保護層5は、可逆性感熱記録媒体1に記録をする際に、サーマルヘッドを用いて印字したとき、サーマルヘッドの熱と圧力のためガスバリア層4及び感熱記録層3の表面が変形し、いわゆる打痕ができることを防ぐ。保護層5は、可逆性感熱記録媒体の表面を機械的な応力や、水分などから保護する機能もあることが好ましい。
【0125】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の可逆性感熱記録媒体の構成を
図2に示す。
図2は、本発明の可逆性感熱記録媒体を模式的に示した部分断面図である。
図2において、第2の実施形態の可逆性感熱記録媒体1と、第1の実施形態の可逆性感熱記録媒体1との相違点は、感熱記録層3とガスバリア層4の間に、感熱記録層3とガスバリア層4の接着性を向上させ、発色、消色の繰り返し性をより向上させる目的でアンカー層(中間層)6を設けた点である。第2の実施形態の可逆性感熱記録媒体1については、この相違点のみ説明する。その他は、第1の実施形態の可逆性感熱記録媒体1と同様である。
【0126】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の可逆性感熱記録媒体の構成を
図3に示す。
図3は、本発明の可逆性感熱記録媒体を模式的に示した部分断面図である。
図3の第3の実施形態の可逆性感熱記録媒体1においては、
図2に示す可逆性感熱記録媒体1の感熱記録層3と支持体2との中間に断熱性の高いアンダーコート層7が積層されている。
【0127】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態の可逆性感熱記録媒体の構成を
図4に示す。
図4は、本発明の可逆性感熱記録媒体を模式的に示した部分断面図である。
図4の第4の実施形態の可逆性感熱記録媒体1においては、
図3に示す第3の実施形態の可逆性感熱記録媒体1の感熱記録層3とアンカー層6との中間に感熱記録層3を紫外線から保護する紫外線吸収層9が積層されている。
【0128】
<第5の実施形態>
本発明の可逆性感熱記録媒体は、粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けてもよい。あるいは、PETフィルムなどの支持体の片面(裏面)にバックコート層を設け、該バックコート層の反対面に熱転写リボンに用いられる剥離層、剥離層上に可逆性感熱記録層、更に表面上に紙、樹脂フィルム、PETフィルムなどに転写できる樹脂層を設け熱転写プリンタを用いて転写させてもよい。本発明の可逆性感熱記録媒体は、シート状あるいはカード状に加工されていてもよく、その形状は任意の形状に加工することができ、また、可逆性感熱記録媒体の表面又は裏面への印刷加工を施すことができる。カード状に加工された可逆性感熱記録媒体は、磁気層やICチップを搭載して磁気カードやICカードとすることもできる。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、両面を可逆性感熱記録媒体としたり、非可逆の感熱記録層を併用してもよく、このとき、それぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。
【0129】
<可逆性感熱記録媒体への画像形成、消去>
本発明の可逆性感熱記録媒体への画像形成、消去方法としては、使用目的によって熱ペン、サーマルヘッド、レーザ加熱等の従来の可逆性感熱記録媒体への発色方法及び消色方法による画像形成方法が利用できる。
【0130】
図7は、本発明の可逆性感熱記録媒体の発色方法を示す図であり、
図8は、本発明の可逆性感熱記録媒体の消色方法を示す図である。
図7を用いて、本発明の可逆性感熱記録媒体の発色方法を説明する。
まず、発色していない可逆性感熱記録媒体1の表面にドットプリンタのサーマルヘッドのような小面積の加熱ヘッド15を押し当てる。可逆性感熱記録層3、バリア層4及び保護層5は薄いので、可逆性感熱記録層3の被加熱部分13はすぐに加熱され、感熱記録層3を構成する発色剤等の融点に達する。そして、可逆性感熱記録層3の加熱ヘッド15に面している被加熱部分13の発色剤と顕色剤が溶融し反応して発色する。そこで、加熱ヘッド15を可逆性感熱記録媒体1の表面から取り除けば、可逆性感熱記録媒体1の被加熱部分13は十分に小領域なのですぐに冷える。そして、被加熱部分13は発色したまま凍結状態にされる。
【0131】
図8を用いて、本発明の可逆性感熱記録媒体の消色方法を説明する。
まず、可逆性感熱記録媒体1の表面を加熱して可逆性感熱記録層3の被加熱領域を溶融する。但し、上述のサーマルヘッドのように小領域を加熱するのではなく、例えば、
図8に示すように加熱ローラ18で比較的広い領域を加熱することが好ましい。そして、可逆性感熱記録層3の被加熱領域が溶融したら、加熱ローラ18を転がして被加熱領域を移動させていく。そうすると、一旦溶融して発色した被加熱領域は比較的ゆっくり冷えていく。その間に可逆性感熱記録層3中の発色剤と顕色剤とが解離してそれぞれ凝集又は結晶化する。この為、可逆性感熱記録層3は消色され、その後常温まで冷却されて凍結状態となる。この消色方法は、発色していない部分も加熱することになるが、通常、消色は可逆性感熱記録媒体全体を消色すればよいので、このような方法が便利である。
図8において、加熱ローラ19が図の矢印方向に沿って左側に転がったとすれば、感熱記録層3の発色していた未加熱部分16は、加熱ローラ18の動きに伴い加熱され除冷されることにより消色領域17となる。
【0132】
(可逆性感熱記録部材)
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0133】
前記可逆表示可能な可逆表示部と情報記憶部とを、同一のカードに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を可逆表示部に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には可逆表示部の表示を書き換えることで、可逆性感熱記録部材を繰り返し何度も使用することができる。
【0134】
前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の2つのものに大別できる。
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録材料の支持体として、感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱記録層を有する可逆性感熱記録部材の支持体面を接着したもの。
これら(1)及び(2)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば、情報記憶部の設定位置は、可逆性感熱記録部材における支持体の感熱記録層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱記録層との間でも、あるいは感熱記録層上の一部に設けることもできる。
【0135】
前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット、が好ましい。特に、カードサイズよりも大きなサイズのシート媒体では、ICメモリ、RF−IDタグが好ましい。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
【実施例】
【0136】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
以下に示す部及び%は、特に断らない限り、いずれも質量基準である。
【0137】
(実施例1)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−支持体−
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
【0138】
−アンダーコート層の形成−
スチレン−ブタジエン系共重合体(日本エイアンドエル株式会社製、PA−9159)30質量部、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、ポバールPVA103)12質量部、中空粒子(松本油脂株式会社製、マイクロスフェアーR−300)20質量部、及び水40質量部を添加し、均一状態になるまで約1時間撹拌して、アンダーコート層塗布液を調製した。得られたアンダーコート層塗布液を、前記支持体上に、ワイヤーバーにて塗布し、80℃にて2分間加熱乾燥して、厚み20μmのアンダーコート層を形成した。
【0139】
−可逆性感熱記録層の形成−
下記構造式で表される電子受容性化合物(顕色剤)3質量部、ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)1質量部、アクリルポリオール50質量%メチルエチルケトン溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)9質量部、及びメチルエチルケトン70質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が1μmまでなるように粉砕し分散液を作製した。
【0140】
【化12】
次に、この粉砕した電子受容性化合物(顕色剤)を含む分散液に、電子供与性呈色体化合物(発色剤)としての2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン1質量部、及びイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)3質量部を加え、良く撹拌させて、可逆性感熱記録層用塗布液を得た。得られた可逆性感熱記録層用塗布液を前記アンダーコート層上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥後、60℃にて24時間キュアを行って厚み11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0141】
−紫外線吸収層の形成−
紫外線吸収性ポリマー40質量%溶液(日本触媒株式会社製、UV−A11、水酸基価:39)20質量部、イソシアネート化合物(三井武田ポリウレタン株式会社製、D−110N)2質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)18質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して、紫外線吸収機能を有する紫外線吸収層用塗布液を調製した。得られた紫外線吸収層用塗布液を前記可逆性感熱記録層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、90℃にて1分間乾燥した後、室温にて24時間放置して、2μmの紫外線吸収層を形成した。
【0142】
−アンカー層の形成−
酢酸エチル125質量部に、ポリエステルポリオール樹脂(三井化学ポリウレタン株式会社製、タケラックA−3210)15質量部、及びイソシアネート化合物(三井化学ポリウレタン株式会社社製、タケネートA−3070)10質量部を混合し、アンカー層用塗布液を得た。得られたアンカー層用塗布液を前記紫外線吸収層上にワイヤーバーを用いて塗布し、80℃にて1分間乾燥し、厚み0.7μmのアンカー層を形成した。
【0143】
−金属化合物含有層(ガスバリア層)の形成−
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液の調製
精製水50%、iso−プロピルアルコール(IPA)50%を含む混合溶剤60質量部に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD−2908、以下、EVOHと略記することがある。)30質量部を加え、更に濃度が30質量%の過酸化水素水10質量部を添加して攪拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却してカタラーゼを3,000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、固形分30質量%のほぼ透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を得た。
【0144】
(2)無機層状化合物分散液の調製
無機層状化合物である天然品モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製、クニピアF)5質量部を精製水95質量部中に攪拌しながら添加し、高速攪拌機にて充分に分散した。その後、40℃にて1日間保温し固形分5%の無機層状化合物分散液を得た。
【0145】
(3)金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液の調製と金属化合物含有層(ガスバリア層)の形成
精製水50%、NPA50%の混合溶剤60.7質量部に、(1)で調製したエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を15.7部質量添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液を高速で攪拌しながら、(2)で調製した無機層状化合物分散液23.6部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂粒子を添加し、イオン交換樹脂粒子の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。得られた混合溶液に、水酸化マグネシウム0.06質量部を添加し、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、300メッシュのフィルターにて濾過し固形分5.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液と無機層状化合物分散液の混合溶液(EVOH/無機層状化合物=80部/20部)を得た。得られた混合溶液10質量部を攪拌しながら、有機金属化合物として、チタンラクテート44%溶液(松本ファインケミカル社製、TC−310)を0.015質量部添加し、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液を得た。得られた金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液を前記アンカー層上にワイヤーバーを用いて塗布し、80℃にて1分間で乾燥し、厚み0.5μmの金属化合物含有層(ガスバリア層)を形成した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、0.2質量%であった。
なお、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)の同定は、走査型電子顕微鏡(SEM)(ULTRA55、Carl Zeiss製)を用いて行い、前記金属化合物含有層(ガスバリア層)中の有機金属化合物の同定は、X線分析装置(EMAX ENERGY、堀場製作所社製)により行った。
【0146】
−熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)の形成−
メチルエチルケトン30質量%、イソプロピルアルコール20質量%、酢酸エチル50質量%の混合液50質量部に、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学株式会社製、エスレックBL−1)50質量部を溶解し、イソシアネート化合物(サカタインクス株式会社製、ラミオールR硬化剤)3質量部を混合し、熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)用塗布液を得た。得られた熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)用塗布液を前記金属化合物含有層(ガスバリア層)上にワイヤーバーを用いて塗布し、80℃にて1分間で乾燥し、厚み0.8μmの前記熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)を形成した。
なお、前記熱硬化性樹脂含有層(プライマー層)の同定は、走査型電子顕微鏡(SEM)(ULTRA55、Carl Zeiss製)を用いて行った。
【0147】
−保護層の形成−
ペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業社製、P−526)1部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、滑剤(東レダウ社製 ST102PA)0.001部、及びイソプロピルアルコール11質量部を加え、ボールミルにて良く攪拌して平均粒径3μmまでなるように分散し、保護層用塗布液を調製した。得られた保護層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し90℃にて1分間加熱乾燥後、80W/cmの紫外線ランプで光照射し架橋させて、70℃、24時間キュアを行い、厚み4μmの保護層を形成した。
【0148】
以上により、実施例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。この可逆性感熱記録媒体は、
図4に示した第4の実施形態の可逆性感熱記録媒体に相当する。
【0149】
(実施例2)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.15質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、2.0質量%であった。
【0150】
(実施例3)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.3質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、4.2質量%であった。
【0151】
(実施例4)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.45質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、6.3質量%であった。
【0152】
(実施例5)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.6質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、8.3質量%であった。
【0153】
(実施例6)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.75質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、10.4質量%であった。
【0154】
(実施例7)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液(ジルコニウムアシレート30%溶液 松本ファインケミカル株式会社製、ZB−126)を0.01質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、0.2質量%であった。
【0155】
(実施例8)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液を0.03質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、0.9質量%であった。
【0156】
(実施例9)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液を0.1質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、1.9質量%であった。
【0157】
(実施例10)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液を0.2質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、3.8質量%であった。
【0158】
(実施例11)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液を0.4質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、7.5質量%であった。
【0159】
(実施例12)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアシレート溶液を0.5質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、9.4質量%であった。
【0160】
(実施例13)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)80%溶液(松本ファインケミカル社製、TC−400)を0.45質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、6質量%であった。
【0161】
(実施例14)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にジルコニウムアセテート30%溶液(第一稀元素化学工業社製、ZA-30)を0.20質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例14の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、6.5質量%であった。
【0162】
(実施例15)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液(松本ファインケミカル社製、TC−310)を0.2質量部添加し、さらに、ジルコニウムアシレート溶液(松本ファインケミカル株式会社製、ZB−126)を0.15質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例15の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるTi含有量は、2.8質量%であり、前記形成された金属化合物含有層(ガスバリア層)におけるZr含有量は、2.8質量%であった。
【0163】
(実施例16)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから0.05μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例16の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0164】
(実施例17)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから0.1μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例17の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0165】
(実施例18)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから0.3μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例18の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0166】
(実施例19)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから1.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例19の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0167】
(実施例20)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから3.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例20の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0168】
(実施例21)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから5.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例21の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0169】
(実施例22)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから10μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例22の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0170】
(実施例23)
実施例4の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)の厚みを、0.5μmから15μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例23の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0171】
(比較例1)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0172】
(比較例2)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.015質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、1.0質量%であった。
【0173】
(比較例3)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.045質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、3.0質量%であった。
【0174】
(比較例4)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.15質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、10質量%であった。
【0175】
(比較例5)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.30質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、20質量%であった。
【0176】
(比較例6)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.60質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、40質量%であった。
【0177】
(比較例7)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にカルボジイミド溶液(カルボジイミド40%溶液、カルボジライトV04、日清紡)を0.75質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるカルボジイミドの含有量は、50質量%であった。
【0178】
(比較例8)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.015質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、1.0質量%であった。
【0179】
(比較例9)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.045質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例9の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、3.0質量%であった。
【0180】
(比較例10)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.15質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例10の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、10質量%であった。
【0181】
(比較例11)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例11の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、20質量%であった。
【0182】
(比較例12)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.60質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例12の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、40質量%であった。
【0183】
(比較例13)
実施例1の金属化合物含有層(ガスバリア層)形成において、金属化合物含有層(ガスバリア層)用塗布液にチタンラクテート溶液を0.015質量部添加することに代えて、ガスバリア層用塗布液にオキサゾリン系化合物溶液(オキサゾリン系化合物40質量%溶液、日本触媒株式会社社製、エポクロスWS−500)を0.75質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例13の可逆性感熱記録媒体を作製した。
なお、前記形成されたガスバリア層におけるオキサゾリン系化合物の含有量は、50質量%であった。
【0184】
(可逆性感熱記録媒体の評価)
作製した実施例1〜23及び比較例1〜13の可逆性感熱記録媒体について以下のようにして、耐久性テスト、耐光性テスト、耐水性テスト及び経時剥離テストを行った。
【0185】
−耐久性テスト−
可逆性感熱記録媒体をカードプリンタ(パナソニックコミュニケーションズ社製 R−28000)にて印字及び消去を300回繰り返した。印字、消去条件としては、印字エネルギーを0.57mJ/dot、消去温度を130℃、搬送速度を56mm/secとした。1回、100回、300回繰り返し時に可逆性感熱記録媒体の表面の印字状態を目視で観察し、下記の評価基準に基づき評価した。評価結果を表1〜表3に示す。
−−評価基準−−
◎:画像部の発色状態及び消去部の消色状態が良好で、塗膜剥離が観察されないレベル
〇:発色及び消色状態は良好であるが、塗膜剥離がわずかに観察されるレベル
△:発色画像が隠蔽されてわずかに白化し、かつ塗膜剥離が観察されるレベル
×:塗膜剥離が激しく、繰り返し耐久性評価が継続できないレベル
なお、塗膜剥離とは、ガスバリア層の層内剥離、及び、ガスバリア層とガスバリア層と隣接する層との層間剥離の少なくともいずれかを示す。
【0186】
−耐光性テスト−
可逆性感熱記録媒体にカードプリンタ(パナソニックコミュニケーションズ社製 R−28000)で印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)後、キセノンランプによる光照射(照射度12万Lx、時間48h、温度35℃、湿度80%、セリック社製人工太陽光装置)による曝露試験を行った。曝露後、同じカードプリンタで消去、印字(書き換え)テストを行った。印字条件としては、消去温度130℃、搬送速度を56mm/sec、印字エネルギーを0.57mJ/dotとした。可逆性感熱記録媒体上の地肌濃度、消去濃度をX−RITE918にて測定し、以下の評価基準に基づき判定した。評価結果を表1〜表3に示す。
−−評価基準−−
◎:消去部と地肌部の濃度差 0.05以下
○:消去部と地肌部の濃度差 0.05を超え0.20以下
△:消去部と地肌部の濃度差 0.20を超え0.50以下
×:消去部と地肌部の濃度差 0.50を超える
【0187】
−耐水性テスト−
可逆性感熱記録媒体にカードプリンタ(パナソニックコミュニケーションズ社製 R−28000)で印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)後、22℃に調整した水中下にて24時間保存した。保存後、別の画像に書き換える(印字された画像を消去温度130℃で消去し、再度、前記カードプリンタで印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)する)ことで表面の印字状態を目視で観察し、下記の評価基準に基づき評価した。評価結果を表1〜表3に示す。
−−評価基準−−
◎:画像部の発色状態及び消去部の消色状態が良好で、塗膜剥離が観察されないレベル
〇:発色及び消色状態は良好であるが、塗膜剥離がわずかに観察されるレベル
△:発色画像が隠蔽されてわずかに白化し、かつ塗膜剥離が観察されるレベル
×:塗膜剥離が激しく、繰り返し耐久性評価が継続できないレベル
なお、塗膜剥離とは、ガスバリア層の層内剥離、及び、ガスバリア層とガスバリア層と隣接する層との層間剥離の少なくともいずれかを示す。
【0188】
−経時剥離テスト(常温、常湿)−
可逆性感熱記録媒体にカードプリンタ(パナソニックコミュニケーションズ社製 R−28000)で印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)後、常温、湿度50%で1日、1週間、1ヵ月で保存。保存後、別の画像に書き換える(印字された画像を消去温度130℃で消去し、再度、前記カードプリンタで印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)する)ことで表面の印字状態を目視で観察し、下記の評価基準に基づき評価した。
−−評価基準−−
◎:画像部の発色状態及び消去部の消色状態が良好で、塗膜剥離が観察されないレベル
〇:発色及び消色状態は良好であるが、塗膜剥離がわずかに観察されるレベル
△:発色画像が隠蔽されてわずかに白化し、かつ塗膜剥離が観察されるレベル
×:塗膜剥離が激しく、繰り返し耐久性評価が継続できないレベル
なお、塗膜剥離とは、ガスバリア層の層内剥離、及び、ガスバリア層とガスバリア層と隣接する層との層間剥離の少なくともいずれかを示す。
【0189】
−経時剥離テスト(高温、高湿)−
可逆性感熱記録媒体にカードプリンタ(パナソニックコミュニケーションズ社製 R−28000)で印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)後、温度40℃、湿度90%で1日、1週間、1ヵ月で保存。保存後、別の画像に書き換える(印字された画像を消去温度130℃で消去し、再度、前記カードプリンタで印字(印字エネルギーを0.57mJ/dot、搬送速度を56mm/sec)する)ことで表面の印字状態を目視で観察し、下記の評価基準に基づき評価した。
−−評価基準−−
◎:画像部の発色状態及び消去部の消色状態が良好で、塗膜剥離が観察されないレベル
〇:発色及び消色状態は良好であるが、塗膜剥離がわずかに観察されるレベル
△:発色画像が隠蔽されてわずかに白化し、かつ塗膜剥離が観察されるレベル
×:塗膜剥離が激しく、繰り返し耐久性評価が継続できないレベル
【表1】
【表2】
【表3】
【0190】
実施例1〜23の結果から明らかなとおり、本発明の可逆性感熱記録媒体は、300回の印字及び消去、高温高湿条件での48時間の光照射、24時間の水浸漬、高温高湿での1ヶ月間保存などの厳しい環境下での長期間使用においても、金属化合物含有層(ガスバリア層)の層内剥離及び金属化合物含有層と他層の層間剥離の発生を防止して、鮮明な記録画像を保持することができた。