特許第5789251号(P5789251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5789251モノマー、ポリマー、およびその製造方法
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  • 特許5789251-モノマー、ポリマー、およびその製造方法 図000021
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789251
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】モノマー、ポリマー、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 25/22 20060101AFI20150917BHJP
   C08G 61/00 20060101ALI20150917BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150917BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C07C25/22CSP
   C08G61/00
   H05B33/14 B
   C09K11/06 680
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-505233(P2012-505233)
(86)(22)【出願日】2010年4月15日
(65)【公表番号】特表2012-524054(P2012-524054A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】GB2010000800
(87)【国際公開番号】WO2010119274
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2013年4月3日
(31)【優先権主張番号】0906544.2
(32)【優先日】2009年4月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597063048
【氏名又は名称】ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ピロウ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マキャナン,メアリー
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0120470(KR,A)
【文献】 特開2004−091330(JP,A)
【文献】 Park, Sung Heum et al.,A blue-light-emitting polymer with a rigid backbone for enhanced color stability,Advanced Functional Materials ,2007年,17(16),3063-3068
【文献】 Kim, Jinwoo et al.,PCPP derivatives containing carbazole pendant as hole transporting moiety for efficient blue electroluminescence,Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry ,2009年,47(5),1327-1342
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 25/22
C08G 61/00
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

[式中、
は任意の置換基であり、Rは任意の置換基であり、RおよびRは、連結して飽和または不飽和環を形成してもよく、
Lは、反応性脱離基を表し、各Lは、ボロン酸もしくはそのエステル、塩素、臭素、ヨウ素、トシレート、メシレートおよびトリフレートからなる群から独立に選択され、
XおよびYは、いずれも−CH−であり、
Zは、単結合または(CH−であり、pは、1、2、3、4、5または6である]
を有する、置換されていてもよい化合物であって、
ここで、X−Z−Yは鎖を形成し、但し、Zが単結合の場合、RおよびRの少なくとも一方はアリールまたはヘテロアリール基である、
ことを特徴とする化合物。
【請求項2】
およびRは、各出現時において独立に、置換されていてもよい直鎖、分枝鎖もしくは環式アルキル[ここで、1つまたは複数の隣接しないC原子は、O、S、NR、C=Oおよび−COO−で置き換えられていてもよく、ここで、各出現時におけるRはHまたはアルキルである];または置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールからなる群のいずれか1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの少なくとも一方は、1個もしくは複数のハロゲンによって置換されていてもよいアルキル基、または1個もしくは複数の任意の置換基を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、各任意の置換基は、任意に1個または複数のハロゲンによって置換されていてもよく、かつ1個または複数の隣接しないC原子がO、S、NR、C=Oおよび−COO−で置き換えられていてもよいアルキル基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化2】

の、請求項1−3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化3】

[式中、RおよびR、X、YおよびZは、下記の通りに定義される:
は任意の置換基であり、Rは任意の置換基であり、RおよびRは、連結して飽和または不飽和環を形成してもよく、
XおよびYは、いずれも−CH−であり、
Zは、単結合または(CH−であり、pは、1、2、3、4、5または6である]
の繰り返し単位を含むポリマーであって、
ここで、X−Z−Yは鎖を形成し、但し、Zが単結合の場合、RおよびRの少なくとも一方はアリールまたはヘテロアリール基である、
ことを特徴とするポリマー。
【請求項6】
半導体ポリマーである、請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
アリーレン共繰り返し単位を含む、請求項5または6に記載のポリマー。
【請求項8】
発光ポリマーである、請求項5から7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物を重合させることを含む、請求項5に記載のポリマーを製造する方法。
【請求項10】
前記重合が金属触媒の存在下で生ずる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属触媒がパラジウム触媒である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項5から8のいずれかに記載のポリマーを含む、電子デバイス。
【請求項13】
発光ダイオード、電界効果トランジスタまたは光起電デバイスである、請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
発光ダイオードである、請求項13に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマーとして使用するのに適した化合物、前記モノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、およびそれを作製する方法に関する。そのようなポリマーは、特に電子デバイスにおいて使用するための半導体ポリマーとして、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
共役ポリマーは、有機トランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)および有機光起電(PV)素子等の様々な電子デバイスにおいて利用されることが知られている。
【0003】
ポリマー発光ダイオード(POLED)は、特にディスプレイテクノロジーの分野において、ここ数年にわたり、多大な関心と開発の対象となってきた。関心を引き起こしたものは、周知の液晶ディスプレイ(LCD)素子よりも優れた、POLEDが持つ多くの固有の利点であった。重要な利点は、ポリマーが発光する能力であり、そのため別個の光源は必要とされない。これは、最終画像を生成するために外部光源を数段階のフィルターにかけなくてはならない既存のLCD素子とは対照的である。POLEDは、ガラスまたはプラスチックの透明基板上に製造されたポリマー材料を含むため、このように、バックライトおよびフィルター等、いかなる追加要素も必要としない。POLEDは、エネルギー効率が高いという利点も有し、これにより、低電圧動作型超薄照明ディスプレイの適切な候補となっている。POLEDは、溶液処理可能であり、プリンティングまたは溶液流延技術によってその形成が可能であるというさらなる利点も有する。広く使用されているポリマーの群の1つは、例えばEP0842208において開示されているフルオレン繰り返し単位を含むものである。
【0004】
現在知られているPOLEDは、特にポリマーが化学的、光化学的および電気化学的分解を含む複数の分解経路の影響を受けやすいことがあるため、寿命が短いという欠点を有する。これは、OLEDの効率および寿命の両方に影響を及ぼし得る(本明細書において使用される場合、「寿命」とは、輝度が定電流で50%低下するのに要する時間を意味する)。ポリフルオレンの場合、分解は、フルオレン単位の4位および5位における反応の結果であり得る。
【0005】
Parkら、Adv.Funct.Mater、2007、17、3063〜3068は、その脱水素化類似体ポリ(2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ−[def]フェナントレン))との比較およびポリフルオレンとの比較を目的として、ポリ(2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−8,9−ジヒドロ−4H−シクロペンタ−[def]−フェナントレン))を開示する。著者らは、この材料が、比較対象である2種の材料よりも容易に分解の影響を受けやすいことを示唆している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様において、本発明は、請求項1から9に規定される、置換されていてもよい化合物を提供する。
【0007】
第一の実施形態において、化合物は、一般式:
【化1】
[式中、
は任意の置換基であり、
は任意の置換基であり、
およびRは、連結して飽和または不飽和環を形成してもよく、
Lは、反応性脱離基を表し、
XおよびYは、それぞれ独立に、CR、O、BR、NR、SiR、S、S=O、SO、PRまたはP=O(R)を表し、ここで、各出現時におけるRは、Hまたは置換基から独立に選択され、
Zは、単結合または二価の原子もしくは基を表し、かつ
X−Z−Yは非共役環または鎖を形成し、但し、Zが単結合の場合、RおよびRの少なくとも一方はアリールまたはヘテロアリール基である]
を有する。
【0008】
任意に、R、RおよびRは、各出現時において独立に、置換されていてもよい直鎖、分枝鎖もしくは環式アルキル[ここで、1つまたは複数の隣接しないC原子は、O、S、NR、C=Oおよび−COO−で置き換えられていてもよい];または置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールからなる群のいずれか1つである。
【0009】
誤解を避けるために、本明細書において使用される場合、「アリール」および「ヘテロアリール」は、複数の環、特に縮合環系を含む芳香族基を含む。これらの基の上に、1個または複数の任意の置換基が存在していてもよい。これらの芳香族基のための任意の置換基は、置換されていてもよい直鎖、分枝鎖または環式アルキル[ここで、1個または複数の隣接しないC原子は、O、S、NR、C=Oおよび−COO−で置き換えられていてもよい]、より好ましくは直鎖または分枝鎖アルキルを含む。
【0010】
任意に、RおよびRの少なくとも一方は、1個もしくは複数のハロゲンによって置換されていてもよいアルキル基、または1個もしくは複数の任意の置換基を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、各任意の置換基は、1個または複数のハロゲンによって任意に置換されていてもよく、かつ1個または複数の隣接しないC原子が、O、S、NR、C=Oおよび−COO−で置き換えられていてもよいアルキル基である。
【0011】
任意に、XおよびYの少なくとも一方は−CR−である。
【0012】
任意に、Zは、単結合、または−(CR−、OもしくはNRからなる群のいずれか1つを含み;pは、1、2、3、4、5または6であり、pが4、5または6である場合、−(CR−は環を形成し得る。
【0013】
任意に、Zは、単結合または式−(CR−のアルキレン基を含む。1つの好ましい実施形態において、Zは単結合である。別の好ましい実施形態において、Zは−CR−(すなわちp=1)である。
【0014】
任意に、各出現時におけるRは、Hまたはアルキルである。
【0015】
任意に、各Lは、ボロン酸もしくはそのエステル、塩素、臭素またはヨウ素からなる群から独立に選択される。好ましくは、各Lは、臭素またはボロン酸もしくはそのエステルから独立に選択される。
【0016】
任意に、化合物は、下記の式:
【化2】
を有する。
【0017】
隣接する繰り返し単位との共役は、示されている位置にL基を設けることによって最大化される。
【0018】
第二の態様において、本発明は、請求項10から13に規定されるポリマーを提供する。
【0019】
一実施形態において、ポリマーは、式:
【化3】
[式中、RおよびR、X、YおよびZは、本発明の第一の態様について記述した通りである]の繰り返し単位を含む。
【0020】
任意に、前記ポリマーは半導体ポリマーである。
【0021】
任意に、ポリマーはアリーレン共繰り返し単位を含む。
【0022】
任意に、前記ポリマーは発光ポリマーである。
【0023】
第三の態様において、本発明は、本発明の第一の態様による化合物を重合することを含む、本発明の第二の態様によるポリマーを製造する方法を提供する。
【0024】
任意に、前記重合は金属触媒の存在下で生ずる。
【0025】
任意に、前記金属触媒はパラジウム触媒である。
【0026】
第四の態様において、本発明は、本発明の第二の態様のポリマーを含む電子デバイスを提供する。
【0027】
任意に、前記デバイスは、発光ダイオード、電界効果トランジスタまたは光起電デバイスである。
【0028】
任意に、前記デバイスは発光ダイオードである。
【0029】
ここで、本発明をよりよく理解するため、および同発明をいかにして実行し得るかを示すために、一例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるエレクトロルミネッセンス素子の構成を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に従ってX−Z−Y基を含むことにより、特にフルオレン単位の4位および5位における反応をブロックすることにより、ポリマーに安定性の増加を与える。
【0032】
本発明による例示的な化合物は、下記の式を有する。
【化4】
【0033】
上記の例において、置換基RおよびRは、置換フェニルを含む。この芳香族置換基は、繰り返し単位の安定性を増加させることが分かっており、アルキル基の存在は、得られるポリマーの溶解性を増加させるのに役立つ。
【0034】
下記の単位は、別のX−Z−Y基を図示するものであり、ここで、X−Z−Yは鎖:
【化5】
を形成する。
【0035】
あるいは、X−Z−Yは環構造を形成することができ、ここで、以下で示す通り、X−Z−Yはシクロヘキシル基:
【化6】
を形成する。
【0036】
平易にするために、上記の化合物は臭素脱離基とともに図示されているが、これらの基が任意の反応性脱離基で置き換えられていてもよいことが理解されよう。
【0037】
本発明は、フルオレン分子のC9炭素と反対側における非共役基の存在によって、より安定化された構造を提供する。故に、X−Y−Zの形を組み込むことにより、特に、フォトルミネッセンス効率を低減させかつポリフルオレンを含むOLEDの寿命を制限する化学的、光化学的または電気化学的分解経路に関して、モノマー単位の、したがってポリマーの改変化合物構造の安定性が増強する。結果として、この化合物を含むポリマーにおいて観察される発光効率の低下に関連する問題は軽減され、持続的な色安定性を示し分解が最小であるポリマーが実現される。
【0038】
合成
本発明によるモノマーは、下記のスキームに従って合成することができる。
【0039】
【化7】
【0040】
共繰り返し単位
本発明のポリマーは、上記した繰り返し単位の少なくとも1つを含み、好ましくは、1つまたは複数のさらなる繰り返し単位を含む。これらのさらなる繰り返し単位は、その所望の使用、特に、正孔輸送、電子輸送および/またはエレクトロルミネッセンスポリマーのいずれかとしてのその使用に従って、本発明のポリマーの特性を調節するように選択することができる。
【0041】
アリーレンは、好ましいさらなる繰り返し単位の1つの群を形成する。好ましいアリーレン繰り返し単位は、例えばAdv.Mater.2000 12(23)1737〜1750およびその中の参考文献において開示されているアリーレン繰り返し単位、特に、J.Appl.Phys.1996、79、934において開示されている1,4−フェレン繰り返し単位;EP0842208において開示されているフルオレン繰り返し単位;例えばMacromolecules 2000、33(6)、2016〜2020において開示されているインデノフルオレン繰り返し単位;ならびに、例えばEP0707020において開示されているスピロフルオレン繰り返し単位から選択される。これらの繰り返し単位のそれぞれは、置換されていてもよい。置換基の例は、C1〜20アルキルまたはアルコキシ等の可溶化基;フッ素、ニトロまたはシアノ等の電子求引基;および、ポリマーのガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基を含む。
【0042】
下記の構造のフルオレン繰り返し単位:
【化8】
[式中、RおよびRは上記した通りである]
が特に好ましい。
【0043】
本発明のポリマーは、任意に上記のアリーレン単位と組み合わせてアリールアミン繰り返し単位を含むことができる。好ましいアリールアミン繰り返し単位は、下記の式:
【化9】
[式中、ArおよびArは、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基であり、nは1以上、好ましくは1または2であり、かつ、Rは、Hまたは置換基、好ましくは置換基である]を有する。Rは、好ましくはアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールであり、最も好ましくはアリールまたはヘテロアリールである。式1の単位中のアリールまたはヘテロアリール基は置換されていてもよい。好ましい置換基は、アルキルおよびアルコキシ基を含む。式1の繰り返し単位中のアリールまたはヘテロアリール基は、直接結合または二価連結原子もしくは基によって連結されていてもよい。好ましい二価連結原子および基は、O、S、置換N、および置換Cを含む。
【0044】
式1を満たす特に好ましい単位は、式1〜3の単位:
【化10】
[式中、ArおよびArは上記で定義された通りであり;かつ、Arは、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]を含む。存在する場合、Arのための好ましい置換基は、アルキルおよびアルコキシ基を含む。
【0045】
アリールアミン単位の好ましい濃度は、それを含有するポリマーの機能によって決まる。アリールアミン単位が、正孔輸送層において使用するためのポリマー中に存在する場合には、該単位は、最大95mol%、好ましくは最大70mol%の量で存在するのが好ましい。アリールアミン単位が、放出性層において使用するためのポリマー中に(放出性ポリマーとして、または放出性ドーパントのホストとして)存在する場合には、該単位は、最大30mol%、好ましくは最大20mol%の量で存在するのが好ましい。これらのパーセンテージは、複数種のアリールアミン繰り返し単位が使用される場合、ポリマー中に存在するアリールアミン単位の総数について適用される。
【0046】
ポリマーは、電荷輸送または放出のためのヘテロアリーレン繰り返し単位を含むことができる。好ましいヘテロアリーレン繰り返し単位は、式7〜21:
【化11】
[式中、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素、または置換基、好ましくはアルキル、アリール、ペルフルオロアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリールもしくはアリールアルキルである]から選択される。製造を容易にするために、RおよびRは同じであるのが好ましい。より好ましくは、それらは同じであり、それぞれフェニル基である。
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
エレクトロルミネッセンスコポリマーは、例えばWO00/55927およびUS6353083において開示されているように、エレクトロルミネッセンス領域、ならびに正孔輸送領域および電子輸送領域の少なくとも一方を含むことができる。正孔輸送領域および電子輸送領域の一方しか設けられていない場合、エレクトロルミネッセンス領域は正孔輸送および電子輸送機能性の他方も提供することができる。あるいは、エレクトロルミネッセンスポリマーを、正孔輸送材料および/または電子輸送材料と混和してもよい。正孔輸送繰り返し単位、電子輸送繰り返し単位および放出性繰り返し単位の1つまたは複数を含むポリマーは、ポリマー主鎖またはポリマー側鎖中に前記単位を提供することができる。
【0051】
そのようなポリマー内の異なる領域は、US6353083のようにポリマー骨格に沿って、またはWO01/62869のようにポリマー骨格からペンダントしている基として提供することができる。
【0052】
ポリマーは、デバイスのどの層において使用されるか、および共繰り返し単位の性質に応じて、正孔輸送、電子輸送および放出の機能の1つまたは複数を提供することができる。
【0053】
重合方法
これらのポリマーの調製のための好ましい方法は、例えばWO00/53656において記載されているスズキ重合、および例えばT.Yamamoto、「Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」、Progress in Polymer Science 1993、17、1153〜1205において記載されているヤマモト重合である。これらの重合技術はいずれも、アリール基とモノマーの脱離基との間に金属錯体触媒の金属原子が挿入される「金属挿入」を介して操作するものである。山本重合の場合はニッケル錯体触媒が使用され、スズキ重合の場合はパラジウム錯体触媒が使用される。
【0054】
例えば、山本重合による線状ポリマーの合成においては、2個の反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様に、スズキ重合の方法によれば、少なくとも1個の反応基はボロン酸またはボロン酸エステル等のホウ素誘導体基であり、他の反応基はハロゲンである。好ましいハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素、最も好ましくは臭素である。
【0055】
したがって、本出願全体を通して例証されるように、アリール基を含む繰り返し単位および末端基は、適切な脱離基を担持するモノマーから誘導することができることが理解されよう。
【0056】
スズキ重合を使用して、位置規則性(regioregular)、ブロックおよびランダムコポリマーを調製することができる。特に、1個の反応基がハロゲンであり、かつ他の反応基がホウ素誘導体基である場合には、ホモポリマーまたはランダムコポリマーを製造することができる。あるいは、第一のモノマーの両方の反応基がホウ素であり、かつ、第二のモノマーの両方の反応基がハロゲンである場合には、ブロックまたは位置規則性コポリマー、特にABコポリマーを製造することができる。
【0057】
ハロゲン化物の代替物として、金属挿入に関与することができる他の脱離基には、トシレート、メシレートおよびトリフレートが含まれる。
【0058】
溶液処理
単一ポリマーまたは複数のポリマーを溶液から堆積させて、エレクトロルミネッセンス層を形成することができる。適切な溶媒は、トルエンおよびキシレン等のモノ−またはポリ−アルキルベンゼンを含む。特に好ましい溶液堆積技術は、スピンコーティングおよびインクジェットプリンティングである。
【0059】
スピンコーティングは、エレクトロルミネッセンス材料のパターニングが不要なデバイス、例えば照明用途または単純なモノクロ分割ディスプレイに特に適している。
【0060】
インクジェットプリンティングは、高情報量ディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に適している。デバイスは、第一の電極上にパターニングされた層を設け、一色(モノクロデバイスの場合)または多色(マルチカラー、特にフルカラーデバイスの場合)のプリンティング用のウェルを画定することによって、インクジェットプリントを施すことができる。パターニングされた層は、典型的には、例えばEP0880303において記載されるような、ウェルを画定するようにパターニングされたフォトレジストの層である。
【0061】
ウェルの代替物として、パターニングされた層内に画定されたチャネルにインクをプリントしてもよい。特に、フォトレジストをパターニングすると、ウェルとは異なって、複数のピクセルの上に延び、チャネル端で開閉できるチャネルを形成することができる。
【0062】
他の溶液堆積技術としては、浸漬コーティング、ロールプリンティングおよびスクリーンプリンティングが挙げられる。
【0063】
デバイスの多重層が溶液処理によって形成される場合、当業者であれば、例えば、一層を架橋させた後に次の層を堆積させるか、または、これらの層のうち最初のものを形成する材料が第二の層を堆積させるために使用される溶媒に非可溶性となるように隣接する層の材料を選択することによって、隣接する層の混合を防止するための技術を理解するであろう。
【0064】
本発明のポリマーは、蛍光またはリン光(phosporescent)ドーパント用のホストとして使用することができる。リン光ホストの場合、ホスト材料は、励起状態エネルギーをホストのTエネルギー準位から放出体のT1準位へ移動させるのに十分高いTエネルギー準位を有するべきである。好ましくは、ホストは、放出体のTエネルギー準位からのエネルギー逆移動を防ぐために十分高いTエネルギー準位、特に放出体のものよりも高いTエネルギー準位を有する。しかしながら、場合により、ホストのTエネルギー準位は、放出体のTエネルギー準位と同じであってもよく、またはそれより低くてもよい。
【0065】
発光ドーパントは、好ましくは金属錯体である。好ましい金属錯体は、式(V)の置換されていてもよい錯体:
ML
(V)
[式中、Mは金属であり;L、LおよびLのそれぞれは配位基であり;qは整数であり;rおよびsは、それぞれ独立に、0または整数であり;かつ、(a.q)+(b.r)+(c.s)の和は、M上で利用可能な配位部位の数と等しく、ここで、aはL上の配位部位の数であり、bはL上の配位部位の数であり、かつ、cはL上の配位部位の数である]を含む。
【0066】
重元素Mは、三重項以上の状態からの迅速な項間交差および放出(リン光)を可能にするための強いスピン軌道カップリングを含む。適切な重金属Mは、
− セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ツリウム、エルビウムおよびネオジムのランタノイド金属、ならびに
− d−ブロック金属、特に、2行目および3行目のもの、すなわち、元素39から48および72から80、特に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金
を含む。
【0067】
f−ブロック金属に適した配位基は、カルボン酸、1,3−ジケトネート、ヒドロキシカルボン酸、アシルフェノールおよびイミノアシル基を含むシッフ塩基等の酸素または窒素供与系を含む。知られるように、ルミネッセンスランタノイド金属錯体は、金属イオンの第一励起状態よりも高い三重項励起エネルギー準位を有する増感基(複数可)を必要とする。放出は金属のf−f遷移からのものであり、そのため、放出色は金属の選択によって決定される。鋭い放出は概して狭く、ディスプレイ用途に有用な純色放出をもたらす。
【0068】
d−ブロック金属は、三重項励起状態からの放出に特に適している。これらの金属は、式(VI)のポルフィリンまたは二座配位子:
【化15】
[式中、ArおよびArは、同じであっても異なっていてもよく、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールから独立に選択され;XおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、炭素または窒素から独立に選択され;かつ、ArおよびArは、一緒に縮合していてもよい]等の炭素または窒素供与体と有機金属錯体を形成する。配位子[式中、Xは炭素であり、かつYは窒素である]が特に好ましい。
【0069】
二座配位子の例を以下に図示する。
【化16】
【0070】
ArおよびArのそれぞれは、1個または複数の置換基を担持していてもよい。これらの置換基の2個以上は、一緒に連結して、環、例えば芳香族環を形成することができる。特に好ましい置換基としては、WO02/45466、WO02/44189、US2002−117662およびUS2002−182441において開示されているような、錯体の放出を青方偏移させるために使用しうるフッ素またはトリフルオロメチル;JP2002−324679において開示されているアルキルまたはアルコキシ基;WO02/81448において開示されているような、放出性材料として使用される際に、錯体への正孔輸送を補助するために使用しうるカルバゾール;WO02/68435およびEP1245659において開示されているような、さらなる基の付着のための配位子を官能化するのに役立ち得る臭素、塩素またはヨウ素;ならびに、WO02/66552において開示されているような、金属錯体の溶液処理可能性を取得または増強するために使用しうるデンドロンが挙げられる。
【0071】
発光デンドリマーは、典型的に、1つまたは複数のデンドロンと結合している発光コアを含み、ここで、各デンドロンは、分枝点および2つ以上の樹状分枝を含む。好ましくは、デンドロンは、少なくとも部分的に共役しており、コアおよび樹状分枝の少なくとも1つは、アリールまたはヘテロアリール基を含む。
【0072】
d−ブロック元素とともに使用するのに適している他の配位子は、ジケトネート、特にアセチルアセトネート(acac);トリアリールホスフィンおよびピリジンを含み、そのそれぞれは置換されていてもよい。
【0073】
主要な基である金属錯体は、配位子ベースの、または電荷輸送放出を示す。これらの錯体について、放出色は、配位子および金属の選択によって決定される。
【0074】
ホスト材料および金属錯体は物理的混和物の形態で組み合わせることができる。あるいは、金属錯体はホスト材料と化学的に結合していてもよい。ポリマー性ホストの場合、金属錯体は、例えばEP1245659、WO02/31896、WO03/18653およびWO03/22908において開示されているように、ポリマー骨格に付着した置換基として化学的に結合していてもよく、ポリマー骨格に繰り返し単位として組み込まれていてもよく、またはポリマーの末端基として提供されてもよい。
【0075】
広範な蛍光性低分子量金属錯体が知られており、有機発光デバイスにおいて実証されている[例えば、Macromol.Sym.125(1997)1〜48、US−A5,150,006、US−A6,083,634およびUS−A5,432,014を参照]。二価または三価金属に適した配位子は、例えば、酸素−窒素または酸素−酸素供与原子を有するオキシノイド(概して、置換基酸素原子を有する環窒素原子、または8−ヒドロキシキノレートおよびヒドロキシキノキサリノール−10−ヒドロキシベンゾ(h)キノリナト(II)等の置換基酸素原子を有する置換基窒素原子もしくは酸素原子)、ベンザゾール(III)、シッフ塩基、アゾインドール、クロモン誘導体、3−ヒドロキシフラボン、ならびにサリチラトアミノカルボキシレートおよびエステルカルボキシレート等のカルボン酸を含む。置換基としては、放出色を変更し得る(ヘテロ)芳香族環上の、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、アミノ、アミド、スルホニル、カルボニル、アリールまたはヘテロアリールが挙げられる。
【0076】
一般的なデバイス構成
図1を参照すると、本発明によるエレクトロルミネッセンスデバイスの構成は、透明ガラスまたはプラスチック基板1と、アノード2と、カソード4とを含む。エレクトロルミネッセンス層3は、アノード2とカソード4との間に設けられている。本発明によるエレクトロルミネッセンスデバイスは、エレクトロルミネッセンス層3中または電荷輸送層(図示せず)中に、上記の本発明のポリマーを含む。
【0077】
実用的デバイスにおいて、光が放出され得るように、電極の少なくとも一方は半透明である。アノードが透明である場合、該アノードは、典型的には酸化インジウムスズを含む。
【0078】
電荷輸送層
電荷輸送層、電荷注入層または電荷ブロック層等のさらなる層を、アノード2とカソード4との間に設置してもよい。
【0079】
特に、アノードから半導体ポリマーの(1つまたは複数の)層への正孔注入を補助するために、アノード2とエレクトロルミネッセンス層3との間に設けられた導電性有機または無機材料から形成することができる導電性正孔注入層を提供することが望ましい。ドープされた有機正孔注入材料の例としては、ドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に、EP0901176およびEP0947123において開示されているスルホン酸ポリスチレン(PSS)、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えばNafion(登録商標)等の電荷平衡化ポリ酸(charge−balancing polyacid)でドープされたPEDT;US5723873およびUS5798170において開示されているポリアニリン;ならびにポリ(チエノチオフェン)を含む。導電性無機材料の例は、Journal of Physics D:Applied Physics(1996)、29(11)、2750〜2753において開示されているVOx MoOxおよびRuOx等の遷移金属酸化物が挙げられる。
【0080】
存在する場合には、アノード2とエレクトロルミネッセンス層3との間に設置される正孔輸送層は、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは4.8〜5.5eV前後のHOMO準位を有する。HOMO準位は、例えばサイクリックボルタンメトリーによって計測できる。
【0081】
存在する場合には、エレクトロルミネッセンス層3とカソード4との間に設置される電子輸送層は、好ましくは3〜3.5eV前後のLUMO準位を有する。
【0082】
エレクトロルミネッセンス層
エレクトロルミネッセンス層3は、エレクトロルミネッセンス材料単独で構成されていてもよく、またはエレクトロルミネッセンス材料を1種もしくは複数のさらなる材料と組み合わせて含んでいてもよい。特に、エレクトロルミネッセンス材料は、例えばWO99/48160において開示されているように、正孔および/もしくは電子輸送材料と混和されていてもよく、または半導体ホストマトリクス中にルミネッセンスドーパントを含んでいてもよい。あるいは、エレクトロルミネッセンス材料は、電荷輸送材料および/またはホスト材料と共有結合していてもよい。
【0083】
エレクトロルミネッセンス層3は、パターニングされていてもされていなくてもよい。パターニングされていない層を含むデバイスは、例えば照明源として使用することができる。白色発光デバイスはこの目的に特に適している。パターニングされた層を含むデバイスは、例えば、アクティブマトリクスディスプレイまたはパッシブマトリクスディスプレイとなり得る。アクティブマトリクスディスプレイの場合、パターニングされたエレクトロルミネッセンス層は、典型的にはパターニングされたアノード層およびパターニングされていないカソードと組み合わせて使用される。パッシブマトリクスディスプレイの場合、アノード層は、アノード材料の平行ストリップ、ならびに該アノード材料に垂直に配置されたエレクトロルミネッセンス材料およびカソード材料の平行ストリップから形成されており、ここで、エレクトロルミネッセンス材料およびカソード材料のストリップは、典型的には、フォトリソグラフィーによって形成された絶縁材料(「カソード隔離体」)のストリップによって隔離されている。
【0084】
カソード
カソード4は、エレクトロルミネッセンス層への電子の注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。カソードとエレクトロルミネッセンス材料との間の有害な相互作用の可能性等の他の要因は、カソードの選択に影響を与える。カソードは、アルミニウムの層等の単一材料から構成されていてもよい。あるいは、カソードは、複数の金属、例えば、WO98/10621において開示されているカルシウムおよびアルミニウム等、低仕事関数材料および高仕事関数材料の二重層;WO98/57381、Appl.Phys.Lett.2002、81(4)、634およびWO02/84759において開示されている元素バリウム;または、金属化合物、特に、電子注入を補助するためのアルカリもしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくはフッ化物、例えばWO00/48258において開示されているフッ化リチウムの薄層;Appl.Phys.Lett.2001、79(5)、2001において開示されているフッ化バリウム;ならびに酸化バリウムを含んでいてもよい。デバイスに電子を効率的に注入するために、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えば、Michaelson、J.Appl.Phys.48(11)、4729、1977において見ることができる。
【0085】
カソードは、不透明であっても透明であってもよい。透明なカソードは、そのようなデバイス中の透明なアノードを経由する放出が、放出性ピクセルの下に設置されている駆動回路によって少なくとも部分的にブロックされるため、アクティブマトリクス素子に特に有利である。透明なカソードは、透明であるゆえに十分に薄い電子注入材料の層を含むことができる。典型的には、その薄さの結果として、この層の側方導電率は低くなる。この場合、電子注入材料の層は、酸化インジウムスズ等の透明な導電性材料のより厚い層と組み合わせて使用される。
【0086】
透明なカソード素子は、透明なアノードを有する必要はなく(当然ながら、完全に透明なデバイスが望まれる場合は除く)、そのため、底部放出デバイスに使用される透明なアノードは、アルミニウムの層等の反射性材料の層で置き換えられ、または補われていてもよいことが理解されよう。透明なカソード素子の例は、例えばGB2348316において開示されている。
【0087】
封止
光学デバイスは、水分および酸素に対して感受性が高い傾向がある。したがって、基板は、好ましくは、デバイスへの水分および酸素の侵入を防止するために良好な障壁特性を有する。基板は一般にガラスであるが、特にデバイスの柔軟性が望ましい場合、別の基板を使用してもよい。例えば、基板は、代替のプラスチックおよび障壁層の基板または薄ガラスのラミネートを開示するUS6268695にあるようなプラスチック、ならびにEP0949850において開示されているプラスチックを含んでいてもよい。
【0088】
デバイスは、好ましくは、水分および酸素の侵入を防止するために、封止材(図示せず)で封止されている。適切な封止材は、ガラスシート、例えばWO01/81649において開示されているポリマーおよび誘電体の代替スタック等、適切な障壁特性を有する膜、または、例えばWO01/19142において開示されている気密容器を含む。大気中の水分および/または酸素の吸収のために、基板または封止材を透過し得るゲッター材料を基板と封止材との間に配置してもよい。
【0089】
図1の実施形態は、デバイスを例証するものであり、ここで、該デバイスは、最初に基板上にアノードを形成し、続いてエレクトロルミネッセンス層およびカソードを堆積させることによって形成されるが、本発明のデバイスは、最初に基板上にカソードを形成し、続いてエレクトロルミネッセンス層およびアノードを堆積させることによっても形成することができることが理解されよう。
図1