(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789281
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】傾斜可能なオーバーヘッドRF誘導源を備えたプラズマリアクタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20150917BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H05H1/46 L
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-110459(P2013-110459)
(22)【出願日】2013年5月26日
(62)【分割の表示】特願2012-527874(P2012-527874)の分割
【原出願日】2010年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-211580(P2013-211580A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年5月27日
(31)【優先権主張番号】12/787,198
(32)【優先日】2010年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/239,711
(32)【優先日】2009年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ ケネス エス
(72)【発明者】
【氏名】ヌグエン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】サリナス ジェフリー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ユーシフ イマド
(72)【発明者】
【氏名】シュ ミン
【審査官】
粟野 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−516426(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/130489(WO,A1)
【文献】
特開2004−172243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを処理するためのプラズマリアクタであって、
チャンバ側壁及びチャンバ天井と、内部にワークピースホルダーを含む処理チャンバエンクロージャと、
前記チャンバ天井の上にあり、RFエンクロージャ側壁を含む導電性RFエンクロージャと、
前記導電性RFエンクロージャ内部にあり、前記導電性RFエンクロージャから分離している浮動支持板と、
前記浮動支持板の下方で前記チャンバ天井の上方の空間内で、前記浮動支持板から吊り下げられた複数のRFプラズマパワーアプリケータと、
前記RFエンクロージャ側壁に対して固定され、前記RFエンクロージャ側壁の周りで離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータのうちの各々1つは、(a)モーター駆動の軸方向に可動なアームと、(b)前記軸方向に可動なアームと前記浮動板の各々の部分との間に結合された回転可能なジョイントを含む複数のアクチュエータを含むプラズマリアクタ。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータは、前記RFエンクロージャ側壁の周りに120度の間隔で離間した3つのアクチュエータを構成し、これによって前記アクチュエータは、任意の方位角θで方向づけられた傾斜軸周りに前記浮動支持板を傾斜可能である請求項1記載のプラズマリアクタ。
【請求項3】
前記複数のアクチュエータの各々1つを制御し、前記傾斜軸の前記方位角θ及び前記傾斜軸周りの傾斜角αの所望の値から前記複数のアクチュエータの軸方向動作を計算するようにプログラミングされた制御装置を更に含む請求項2記載のプラズマリアクタ。
【請求項4】
(a)前記RFエンクロージャ側壁は支持面を含み、(b)前記複数のアクチュエータの各々は、前記支持面上に取り付けられ、前記モーター駆動の軸方向に可動なアームに結合されたモーターモジュールと、前記モーターモジュールと並んで前記モーター駆動の軸方向に可動なアームを支持し、前記モーターモジュールに結合されたレールモジュールを含む請求項1記載のプラズマリアクタ。
【請求項5】
前記浮動支持板と前記支持面の間に結合されたフレキシブルな導電性RFガスケットリングを更に含む請求項4記載のプラズマリアクタ。
【請求項6】
テスト用ワークピースでのエッチング速度分布を測定するための計測装置を更に含み、前記制御装置は、前記エッチング速度分布からスキューの主軸を推定し、前記傾斜軸を前記スキューの主軸として定義するように更にプログラミングされている請求項3記載のプラズマリアクタ。
【請求項7】
各々が前記複数のRFプラズマパワーアプリケータのうちの対応する1つに結合している複数のRF電源を更に含み、前記制御装置は、前記複数のRF電源の電力出力レベルを制御し、前記処理チャンバ内のプラズマイオン密度の半径方向分布の均一性を向上させるために前記電力出力レベルを調整するようにプログラミングされる請求項6記載のプラズマリアクタ。
【請求項8】
前記複数のRFプラズマパワーアプリケータは、複数の同心円状の螺旋導体巻線を含む請求項7記載のプラズマリアクタ。
【請求項9】
前記RFエンクロージャ側壁は支持面を含む請求項7記載のプラズマリアクタ。
【請求項10】
前記支持面は、前記RFエンクロージャ側壁から半径方向内側へ、前記浮動支持板の外周部に隣接して延び、前記複数のアクチュエータは前記支持面上に支持される請求項9記載のプラズマリアクタ。
【請求項11】
前記導電性RFエンクロージャの内部で前記浮動支持板の上方にRFインピーダンス整合装置を更に含み、前記複数のRF電源は前記RFインピーダンス整合装置の夫々のコンポーネントを介して前記複数のRFプラズマパワーアプリケータと接続される請求項7記載のプラズマリアクタ。
【請求項12】
ワークピースを処理するためのプラズマリアクタであって、
チャンバ側壁及びチャンバ天井と、内部にワークピースホルダーを含む処理チャンバエンクロージャと、
前記チャンバ天井の上にあり、RFエンクロージャ側壁を含む導電性RFエンクロージャと、
前記導電性RFエンクロージャ内部にあり、前記導電性RFエンクロージャから分離している浮動支持板と、
前記浮動支持板の下方で前記チャンバ天井の上方の空間内で、前記浮動支持板から吊り下げられた複数のRFプラズマパワーアプリケータと、
前記RFエンクロージャ側壁に対して固定され、前記浮動支持板の外周部に隣接して前記浮動支持板の一部と接続される単一のアクチュエータアセンブリを含み、前記単一のアクチュエータアセンブリは、前記RFエンクロージャ側壁に結合され、ヨーイング軸周りで回転させるためのヨーイング回転ステージと、前記ヨーイング回転ステージと前記浮動支持板の間に結合され、前記ヨーイング軸を横切るローリング軸周りで回転させるためのローリング回転ステージと、前記ヨーイング回転ステージ及び前記ローリング回転ステージを回転させるためのアクチュエータモーターを含むプラズマリアクタ。
【請求項13】
前記アクチュエータモーターは、ある方位角θで方向づけられた傾斜軸周りに前記浮動支持板を傾斜可能であり、前記プラズマリアクタは、前記アクチュエータモーターを制御し、前記傾斜軸の前記方位角θ及び前記傾斜軸周りの傾斜角αの所望の値から、前記ヨーイング及びローリング回転ステージの動作を計算するようにプログラミングされた制御装置を更に含む請求項12記載のプラズマリアクタ。
【請求項14】
前記RFエンクロージャ側壁は、前記ヨーイング回転ステージに結合された支持面を含み、前記プラズマリアクタは、前記浮動支持板と前記支持面の間に結合されたフレキシブルな導電性RFガスケットリングを更に含む請求項13記載のプラズマリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、PLASMA REACTOR WITH TILTABLE OVERHEAD RF INDUCTIVE SOURCEの名称で、ケネス・コリンズらにより2009年9月3日に出願された米国仮出願第61/239,711号の利益を主張する。
【0002】
プラズマエッチングプロセスは、半導体ウェハ又はワークピース上に薄膜構造体を画定する微細な電子回路の製造に採用されている。一般的には、円盤状のワークピースが、円筒状のリアクタチャンバ内で処理される。エッチングプロセスによって形成される薄膜構造体内の構造の大きさは、例えば数十ナノメートルほどの小ささである可能性がある。ワークピースの表面全体にわたるエッチング速度分布の均一性は、機能デバイスを達成する上で非常に重要である。エッチング速度分布は、ワークピースのプラズマエッチング処理中に存在するワークピース表面全体にわたるプラズマイオン密度分布を反映している。エッチングプロセスは、プラズマ源がリアクタチャンバの天井の上方のコイルアンテナによって構成される誘導結合RFプラズマを採用することができる。エッチング速度分布は半径方向に不均一性を有する可能性があり、この不均一パターンは一般的にリアクタチャンバの円筒対称軸の周りで対称である。例えば、エッチング速度分布は、主に、中高又は中低のプラズマイオン密度分布を反映する可能性がある。そのような半径方向の不均一性のパターンは、互いに分離し、RF電力によって独立して駆動される2以上の同心コイルアンテナに天井コイルアンテナを分割することによって補正することができる。エッチング時の半径方向の不均一性は、そのようなリアクタ内において、別々の同心コイルアンテナに独立して伝送されるRF電力レベルを調整することによって補正される。この構成は、エッチング速度分布内の半径方向の不均一性を補正する上ではうまく機能するが、エッチング速度分布内の非対称な不均一性を補正するためにはあまり適していない。このような非対称な不均一性は、「スキュー」不均一性と呼ばれることもあり、通常はワークピースの対向する側のエッチング速度間の差として現れる。1つの簡単な例として、ワークピースの半分は、他の半分よりも高いエッチング速度を起こす可能性がある。実際の生産条件の下では、ワークピース表面全体にわたって測定されたエッチング速度分布は、半径方向の不均一性とスキューの不均一性の両方を組み合わせて有していることが、しばしば見られる。スキューの不均一性がどうにかして補正又は除去できた場合は、残りの不均一性、すなわち半径方向の不均一性は、異なる同心のオーバーヘッドコイルアンテナに伝送されるRF電力レベルを分配することによって除去することができる。その結果、ワークピース表面全体にわたるすべてのエッチング速度分布の不均一性が補正される。問題は、エッチング速度分布におけるスキュー不均一性をどのように除去するかである。
【0003】
ワークピースを処理するためのプラズマリアクタは、プロセスチャンバ内部を画定し、チャンバ側壁及びチャンバ天井と、プロセスチャンバ内部の内側にワークピースホルダーを含む処理チャンバエンクロージャと、天井の上にあり、RFエンクロージャ側壁及びRFエンクロージャ上部カバーを含む導電性RFエンクロージャを含む。ショルダーリングはRFエンクロージャ側壁上で支持され、浮動支持板は導電性RFエンクロージャ内部でショルダーリングに隣接して配置される。複数の半径方向内側及び外側RFプラズマソースパワーアプリケータは、浮動支持板の下方でチャンバ天井の上方の空間内で、浮動支持板から吊り下げられる。複数のRF電力源は、複数のRFプラズマパワーアプリケータのうちの対応する1つに結合している。ショルダーリングに対して固定される複数のアクチュエータは、ショルダーリングの周りで周期的な間隔で離間される。複数のアクチュエータのうちの各々1つは、軸方向に可動なアームと、可動アームを軸方向に駆動するモーターを有する。2つのジョイント端部を有する回転可能なジョイントが提供され、ジョイント端部の一端は軸方向に可動なアームに接続され、ジョイント端部の他端は1つのアクチュエータに隣接する浮動支持板の一部に接続される。これによって、浮動板は、複数のアクチュエータのうちの各々1つの回転可能なジョイントによって各々複数の位置で支持される。好ましい実施形態では、アクチュエータは3つのみが提供され、浮動支持板の動きの完全な自由を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の例示的な実施形態が達成され、詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本発明のより具体的な説明を、添付図面に示されている本発明の実施形態を参照して行う。本発明を不明瞭にしないために、特定の既知のプロセスは本明細書内で議論されないことを理解すべきである。
【0005】
【
図1】一実施形態に係るリアクタの部分切欠側面図である。
【
図5】
図1のリアクタに含まれる制御システムのブロック図である。
【
図6】
図5の制御システムの動作を示すブロックフロー図である。
【
図7】一実施形態に係る
図1のオーバーヘッドコイル源の動作を制御する
図5の制御システムで用いられる座標系を示す。
【
図8】一実施態様における
図1のリアクタのアクチュエータの三次元位置を示す図である。
【0006】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。しかしながら、添付図面は本発明の例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0007】
参照
図1〜4は、RF誘導結合プラズマを用いた反応性イオンエッチングプロセスを実行するために用いられた種類のリアクタを示す。リアクタは、円盤状の天井12と、チャンバ16を画定する円筒状の側壁14を含むチャンバエンクロージャ10を備える。チャンバ16内部には、バイアス電極20を含むワークピース支持台18がある。プラズマバイアス電力発生器22は、RFバイアスインピーダンス整合器24を介してバイアス電極20に結合される。
【0008】
金属で形成されたRFエンクロージャ30は、天井12の上方に設けられ、ショルダーリング40を支持する上端35aを有する金属製の接地された底部円筒状側壁35と、ショルダーリング40から延び、覆っている導電性カバー50を支持する導電性の上部円筒状側壁45を含む。カバー50及び上部円筒状側壁45は、一体成形可能であり、RFグランドに結合してもよい。
【0009】
処理ガス供給源51は、例えば、側壁14内(図示される)又は天井12内に設けることができる処理ガス分配装置52を介して、チャンバ16内に処理ガスを供給する。真空ポンプ53は、排気ポート54を介してチャンバ16を排気する。
【0010】
浮動支持板55は、ショルダーリング40上に又はショルダーリングよりもわずかに上方に配置され、後述する方法で支持される。誘導結合プラズマソースパワーアプリケータは、支持板55から下方に延びる2組のブラケット60、65によって、支持板55の下で支持される。プラズマソースパワーアプリケータは、支持される螺旋状内側コイルアンテナ70と、内側コイルアンテナ70と同心の螺旋状外側コイルアンテナ75を含む。ブラケット60の組が内側コイルアンテナ70を支持し、同時にブラケット65の組が外側コイルアンテナ75を支持する。RFインピーダンス整合ボックス76は、支持板55上に置かれている。第1RF電力発生器77は、インピーダンス整合ボックス76内のインピーダンス整合要素(図示せず)を介して、内側コイルアンテナ70に結合されている。第2RF電力発生器78は、インピーダンス整合ボックス76内の他のインピーダンス整合要素(図示せず)を介して、外側コイルアンテナ75に結合されている。
【0011】
フレキシブルなRFガスケット57は、ショルダーリング40と浮動支持板55との間に、RFシールド及び電気的導通を提供している。RFガスケット57は、環状の銅メッシュとすることができ、後述する3つのサポートサーボを収納するために遮断されてもよい。
【0012】
支持板55は、ショルダーリング40上に等間隔(120度)に配置された3つのサポートサーボ80、85、90によって支持されている。サポートサーボ80、85、90は、一実施形態では同一であり、ショルダーリング40の上面に固定された支持ベース100と、レール及びランナーブロック105と、サーボモーター110によってそれぞれが構成されている。図示の実施形態では、レール及びランナーブロック105は、支持ベース100に固定され、同時にサーボモーター110は、レール及びランナーブロック105に固定されるが、この関係は他の実施形態において変更又は逆転されてもよい。サーボモーター110は駆動プーリ112を回転させ、レール及びランナーブロック105は従動プーリ114を有し、プーリ112,114は駆動ベルト116により連結されている。レール及びランナーブロック105は、レール及びランナーブロック105内の直動垂直内部レール120によって制限される垂直作動エレベーターブロック118を有し、従動プーリ114が時計回りに回転するか、反時計回りに回転するかによって、エレベーターブロック118は垂直レール120に沿って上昇または下降する。エレベーターブロックは、浮動支持板55の上方へ延びるラジアルアーム130を含む。ラジアルアーム130によって支持される垂直支柱135は、支持板55に向かって下方へ延びる。従来の回転可能なボールジョイント(玉継手)140が、支柱135と支持板55との間に結合されている。エレベーターブロック118の動作は、エレベーターブロック118が上昇するか下降するかに応じて、支持板55のサーボに最も近い部分を上昇又は下降させる。ほとんどの場合、支持板55の動作によって、板55にはわずかにヨーイング又はローリングが起こり、同様にボールジョイント140には関節接合が起こる。必要に応じて、リミットスイッチ150を、エレベーターブロック118から横方向に延ばすことができ、上部及び下部リミットストップ155、160は、エレベーターブロックがリミットストップ155、160の位置によって決定される所定の上部及び下部の移動終点に達するたびに、リミットスイッチ150を作動させることができる。制御信号ケーブル170は、
図1のリアクタの中央制御装置175からの電気制御信号及び電力を供給する。中央制御装置175は、3つのサポートサーボ80、85、90の各々を制御する。ショルダーリング40の周囲に等間隔に3つのサポートサーボ80、85、90を配置することによって、コントローラ175は、リアクタチャンバ16の対称軸に対して任意の方位角θに沿って配向された任意の傾斜軸周りに浮動支持板55を回転させることができる。
【0013】
図5は、エッチング速度分布の不均一性を補正するためのシステムへの
図1のリアクタの統合を示している。システムは、
図1のリアクタ内で反応性イオンエッチング処理が施されたワークピース又は半導体ウェハの表面全体にわたるエッチング速度分布を測定するための従来の測定器又はハードウェア400を含む。メモリ410は、ハードウェア400によって測定したエッチング速度分布データを格納する。コンピュータ415は、メモリ410内に格納されるエッチング速度分布データを処理し、そのデータからエッチング速度データ内でスキューの主軸を画定する方位角θを推定する。コンピュータ415は、スキューの大きさ(スキューの主軸全体にわたるエッチング速度の差)から、スキューを補正するのに最も可能性の高い角度θに沿って位置するスキューの主軸の周りに支持板55が回転可能な所望の傾斜角αを更に決定することができる。コンピュータ430は、θとαから、角度θに沿って位置するスキューの主軸の周りの所望の回転傾斜角αを生成する3つのサーボ80、85、90の各々のエレベーターブロック118の垂直偏向を計算する。この情報は、中央制御装置175に供給され、その後、3つのサーボ80、85、90に浮動支持板55の所望の動作を実行可能にする。
【0014】
図6は、
図5のシステムの動作方法を示す。まず、テストウェハが、
図1のリアクタ内で処理され(
図6のブロック500)、ウェハ表面全体のわたるエッチング速度分布が得られる(ブロック510)。スキューの主軸を画定する方位角θが、エッチング速度分布から推定される(ブロック520)。更に、スキューの主軸の周りの傾斜角αも、エッチング速度分布から推定され(ブロック530)、具体的にはスキューの大きさから、又はスキューの主軸の反対側におけるエッチング速度の差から推定される。スキューの大きさが所定の閾値を下回る又は無視できる場合(ブロック535で「はい」の分岐)、スキュー補正処理はスキップされる。それ以外の場合(ブロック535で「いいえ」の分岐)、3つのサーボ80、85、90の各々1つの垂直方向(Z軸)の動作が、αとθから計算され(ブロック540)、それに応じてサーボは指令を受ける(ブロック545)。新しいテストウェハが、以前のテストウェハに置き換えられ(ブロック550)、プロセスは繰り返される。
【0015】
ブロック535の「はい」の分岐に進み、スキューの大きさが所定の閾値を下回る又は無視できる場合は、スキュー補正は中断される。残ったエッチング速度のいかなる顕著な不均一性も対称(つまり、放射状)であるので、コントローラ175は、ここで同心の内側及び外側コイル70、75に伝送されるRFパワーの配分を調整することによって、半径方向の不均一性を補正することができる(
図6のブロック555)。コントローラ175は、RF電力発生器77及び78の出力電力レベルを直接調整することによって、この補正を行うことができる。一実施形態では、例えば、メモリ410内に格納されたデータ内のエッチング速度の半径方向分布の不均一性を推定するために、更に、この情報から2台の電力発生器77及び78の出力RF電力レベルの変化を推定するために、コンピュータ415を使用することができる。この変化は、その後、コンピュータ415によってコントローラ175に伝達され、それに応じてRF発生器77及び78の出力電力レベルを調整する。その後、リアクタは、エッチング速度分布の不均一性が最小又は無い生産ウェハを処理する(ブロック560)ように準備される。
【0016】
図7は、3つのサーボ80、85、90を配置するために使用されるX−Y−Z座標系を示し、X、Y、Z軸に関して回転角θとαを定義する。具体的には、角度θはZ軸周りの回転であり、一方角度αはY軸周りの回転である。テストウェハで測定されたエッチング分布データから推定されるスキューの主軸は、
図7のXY平面内に位置しており、Y軸に対して角度θの特定の値によって定義される。スキュー補正は、支持板55をスキュー軸の周りに特定の傾斜角α傾斜させることによって実行される。
図8は、一実施例における、3つのサーボ80、85、90のボールジョイントの位置のX、Y、Z座標を示す。3つのサーボの各々に対して必要とされる鉛直方向の動作は、θとαから直接計算することができる。
図7及び8の定義を用いて、
図5のコンピュータ415は以下のアルゴリズムを使用して、角度α及びθから3つのサーボの各々の鉛直方向の動作をインチ単位で計算する。
Z(モーター1)=10.2278(−sinα)(cosθ)+5.905(sinα)(sinθ)
Z(モーター2)=10.2278(sinα)(cosθ)+5.905(sinα)(sinθ)
Z(モーター3)=11.81(−sinα)(sinθ)
【0017】
上記のアルゴリズムは、Z軸周りに角度θ回転することにより、及びY軸周りに角度α回転することにより、各サーボのベクトルの位置を変換することによって得られた。
【0018】
図9は、3つのサポートサーボ80、85、90を置換する単一機構によって
図1の浮動支持板55を傾ける別の一実施形態を示す。
図9の実施形態では、ショルダーリング40の半径方向の幅が拡大されている。浮動クレードル(架台)600は、支持板55の外周近くで支持板55に係合する。一実施形態において、支持板55には、その外周で浮動クレードル600に係合する径方向のタブ55aを設けてもよい。ローリング軸ブロック610は、浮動クレードル600に係合し、ローリング軸615aの周りを回転するようにショルダーリング40に固定されているローリング軸ピン615によって制限される。ローリング軸セットスクリュー620が螺合可能に貫通して延びており、ローリング軸ブロック610と螺合可能に係合している。ローリング軸セットスクリュー620は、ショルダーリング40の上面を押圧し、これによってローリング軸615a周りのローリング軸ブロック610の回転位置を制御する。ヨーイング軸ブロック640は、浮動クレードル600に係合し、ヨーイング軸650aの周りを回転するようにショルダーリング40に固定されているヨーイング軸ピン650によって制限される。ヨーイング軸セットスクリュー660が貫通して延びており、ショルダーリング40と螺合可能に係合しており、ヨーイング軸ブロック640の底面を押圧し、これによってヨーイング軸650a周りのヨーイング軸ブロック640の回転位置を制御する。2つのネジ620、660の回転によって、任意の傾斜角度αによって任意の方位角θに沿って位置する主軸の周りに支持板55を回転させることができる。ネジ620、660は、それぞれアクチュエータ670、680を介してコントローラ175によって制御可能である。
図5のコンピュータ430は、αとθの所望の値をネジ620、660の対応する回転に変換するようにプログラミング可能であり、ネジ620、660の対応する回転をコントローラ175に送信して、アクチュエータ670、680によって対応する回転を開始することができる。
【0019】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。