(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ステージ上を基板が移動することで、当該ステージ上が基板によって一時的に遮られることになる。このため、気体の噴出圧及び吸引圧が一時的に変化し、噴出される気体の流量及び吸引される気体の流量が一時的に変化するおそれがある。この場合、基板の浮上量が変動し、レジストを均一に塗布することが困難となってしまう。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、基板の浮上量の変動を抑制することが可能な塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る塗布装置は、基板に対して先端部分から液状体を吐出するノズルを有する塗布部と、前記基板を案内する案内面を有し、前記基板を前記案内面に対して浮上させるための気体供給部及び吸引部が設けられた浮上部と、浮上した状態の前記基板と前記先端部分とを対向させつつ前記基板及び前記ノズルのうち少なくとも一方を駆動する駆動部とを備え、前記気体供給部は、前記案内面に設けられた複数の気体供給口、複数の前記気体供給口に気体を供給する気体供給源、一端部が前記気体供給源に接続された第一気体供給経路、及び、前記第一気体供給経路の他端部から分岐され複数の前記気体供給口のそれぞれに接続された第二気体供給経路、を有し、前記吸引部は、前記案内面に設けられた複数の吸引口、複数の前記吸引口を吸引する吸引源、一端部が前記吸引源に接続された第一吸引経路、及び、前記第一吸引経路の他端部から分岐され複数の前記吸引口のそれぞれに接続された第二吸引経路、を有し、前記第一気体供給経路及び前記第一吸引経路のうち少なくとも一方の経路の一部分には大気開放が可能な大気開放部が設けられている。
【0008】
この場合、第一気体供給経路及び第一吸引経路のうち少なくとも一方の経路の一部分には大気開放が可能な大気開放部が設けられているので、噴出される気体の流量及び吸引される気体の流量のうち少なくとも一方の変化を緩和することが可能となる。これにより、基板の浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【0009】
上記の塗布装置において、前記大気開放部は、前記経路の一部分から分岐された分岐経路を有し、前記分岐経路の先端には、大気開放口が設けられている。
この場合、大気開放部が経路の一部分から分岐された分岐経路を有し、分岐経路の先端に大気開放口が設けられた構成であるため、当該分岐経路及び大気開放口を介して気体供給量及び吸引量のうち少なくとも一方の変化を緩和することが可能となる。これにより、浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【0010】
上記の塗布装置において、前記大気開放部は、前記大気開放口の開度を調整可能な調整弁を有する。
この場合、大気開放部が大気開放口の開度を調整可能な調整弁を有するため、気体供給量及び吸引量をより微細に調整することができる。
【0011】
上記の塗布装置において、前記大気開放部は、前記大気開放口を流通する気体の流量を計測する流量計を有する。
この場合、大気開放部が大気開放口を流通する気体の流量を計測する流量計を有することとしたので、基板の浮上量の調整量を把握することができる。
【0012】
上記の塗布装置において、前記大気開放部は、前記気体供給経路に設けられており、前記流量計は、前記大気開放口から大気に流出する気体の流量を計測する。
この場合、大気開放部が気体供給経路に設けられており、流量計が大気開放口から大気に流出する気体の流量を計測することとしたので、気体噴出量の調整量を把握することができる。
【0013】
上記の塗布装置において、前記大気開放部は、前記大気開放口の開度を調整可能な調整弁と、前記大気開放口を流通する気体の流量を計測する流量計と、前記流量計による計測結果に基づいて前記調整弁の調整量を制御する弁制御部とを有する。
この場合、大気開放部が大気開放口の開度を調整可能な調整弁と、大気開放口を流通する気体の流量を計測する流量計と、流量計による計測結果に基づいて調整弁の調整量を制御する弁制御部とを有するので、気体噴出量及び吸引量の調整を自動的に行うことが可能となる。
【0014】
上記の塗布装置において、前記浮上部は、前記塗布部に対応する位置に設けられたステージを有し、前記案内面は、前記ステージに設けられる。
この場合、基板がステージに設けられた案内面を浮上する際に、浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の第二の態様に係る塗布方法は、基板に対して先端部分から液状体を吐出するノズルを有する塗布部と、前記基板を案内する案内面を有し、前記基板を前記案内面に対して浮上させるための気体供給部及び吸引部が設けられた浮上部と、浮上した状態の前記基板と前記先端部分とを対向させつつ前記基板及び前記ノズルのうち少なくとも一方を駆動する駆動部とを備え、前記気体供給部は、前記案内面に設けられた複数の気体供給口、複数の前記気体供給口に気体を供給する気体供給源、一端部が前記気体供給源に接続された第一気体供給経路、及び、前記第一気体供給経路の他端部から分岐され複数の前記気体供給口のそれぞれに接続された第二気体供給経路、を有し、前記吸引部は、前記案内面に設けられた複数の吸引口、複数の前記吸引口を吸引する吸引源、一端部が前記吸引源に接続された第一吸引経路、及び、前記第一吸引経路の他端部から分岐され複数の前記吸引口のそれぞれに接続された第二吸引経路、を有し、前記第一気体供給経路及び前記第一吸引経路のうち少なくとも一方の経路の一部分には大気開放が可能な大気開放部が設けられた塗布装置を用いた塗布方法であって、前記経路の一部分を大気に開放した状態で前記気体供給源及び前記吸引源を作動させ前記気体供給口及び前記吸引口を介して前記基板と前記案内面との間に気体の層を形成し、前記気体の層上に前記基板を浮上させるステップと、浮上した状態の前記基板と前記先端部分とを対向させつつ前記基板及び前記ノズルのうち少なくとも一方を駆動することで、前記基板と前記ノズルとを相対的に移動させるステップと、前記基板と前記ノズルとを相対的に移動させつつ、前記基板に対して前記ノズルの前記先端部分から前記液状体を吐出するステップとを含む。
【0016】
この場合、経路の一部分を大気に開放した状態で気体供給源及び吸引源を作動させ気体供給口及び吸引口を介して基板と案内面との間に気体の層を形成し、当該気体の層上に基板を浮上させるステップを含むので、噴出される気体の流量及び吸引される気体の流量のうち少なくとも一方の変化を緩和することが可能となる。これにより、基板の浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【0017】
上記の塗布方法において、前記基板を浮上させるステップは、前記大気開放部に設けられた大気開放口の開度を調整することを含む。
この場合、大気開放部に設けられた大気開放口の開度が調整されるため、気体供給量及び吸引量をより微細に調整されることになる。
【0018】
上記の塗布方法において、前記基板を浮上させるステップは、前記大気開放部に設けられた大気開放口を流通する気体の流量を計測することを含む。
この場合、大気開放口から大気に流出する気体の流量又は大気から吸引する気体の流量が計測されるので、気体噴出量又は吸引量の調整量を把握することができる。
【0019】
上記の塗布方法において、前記基板を浮上させるステップは、前記大気開放口から大気に流出する気体の流量及び大気から吸引する気体の流量のうち少なくとも一方を計測することを含む。
この場合、大気開放口から大気に流出する気体の流量及び大気から吸引する気体の流量のうち少なくとも一方を計測することとしたので、気体噴出量の調整量を把握することができる。
【0020】
上記の塗布方法において、前記基板を浮上させるステップは、前記大気開放部に設けられた大気開放口を流通する気体の流量を計測することと、前記気体の流量の計測結果に応じて、前記大気開放口の開度を調整することとを含む。
この場合、流量計による計測結果に基づいて大気開放口の開度を調整するので、気体噴出量及び吸引量の調整を自動的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板の浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4と、制御部CONTとを主要な構成要素としている。
【0024】
この塗布装置1は、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。制御部CONTは、塗布装置1の各部を統括的に制御する。
【0025】
図2は塗布装置1の正面図、
図3は塗布装置1の平面図、
図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0026】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0027】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、気体噴出口25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これら気体噴出口25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0028】
気体噴出口25aは、搬入側ステージ25のステージ表面(搬送面)25c上に気体を噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。この気体噴出口25aには図示しない気体供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、気体噴出口25aから噴出される気体によって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0029】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給された気体が漏れ出さない構成になっている。
【0030】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入側ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0031】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0032】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。処理ステージ27は、ステージ表面(搬送面)27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。
【0033】
処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上に気体を噴出する複数の気体噴出口27aと、ステージ表面27c上の気体を吸引する複数の吸引口27bとが設けられている。これら気体噴出口27a及び吸引口27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、気体噴出口27a及び吸引口27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部において気体噴出口27a及び吸引口27bに接続されている。
【0034】
処理ステージ27では、気体噴出口27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられる気体噴出口25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べて気体噴出口27aが密に設けられている。また、処理ステージ27においては、気体噴出口27aとともに吸引口27bが密に設けられている。これにより、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27cと基板Sとの間の距離を検出可能な検出部MSが設けられている。
【0035】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、気体噴出口28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0036】
搬送機構23は、
図4に示すように、第一搬送機構60と、第二搬送機構61とを備えている。なお、
図3においては、第一搬送機構60が基板Sを保持した状態を示し、第一搬送機構60の下方に配置されている第二搬送機構61の図示を省略している。
【0037】
第一搬送機構60は、搬送機60aと、真空パッド60bと、レール60cと、搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上を移動可能とする移動機構63とを有している。また、第二搬送機構61は、搬送機61aと、真空パッド61bと、レール61cと、搬送機61aを昇降(上下動作)可能とする昇降機構62とを有している。レール60c,61cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。
【0038】
搬送機60a,61aは、内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機60a,61aがレール60c,61c上を移動することで各ステージに沿って移動できるようになっている。すなわち、搬送機60a,61aは、基板Sを保持する保持部としての機能と、該保持部を駆動する駆動部としての機能とを備えたものとなっている。搬送機60a,61aは、所定の部分60d、61dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるようになっている。この基板Sに重なる部分60d、61dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に配置されるようになっている。
【0039】
第二搬送機構61は、
図4に示すように第一搬送機構60と比べて、フレーム部24の階段状の段差部24aの下段に配置されている。また、平面的に視ると、第二搬送機構61は、第一搬送機構60に対してステージ側に配置されている。
【0040】
図4に示されるように、第二搬送機構61は、上記昇降機構62により搬送機61aを上昇させることで基板Sにアクセス可能となっている。一方、第一搬送機構60は、上記移動機構63により搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上で水平移動させることで基板Sにアクセス可能となっている。第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとは、それぞれ独立して移動可能となっている。
【0041】
また、例えば、第一搬送機構60が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第二搬送機構61の搬送機61aは、昇降機構62が下降することによって下方に待機し、第一搬送機構60(搬送機60a)の搬送経路から退避している。また、第二搬送機構61が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第一搬送機構60の搬送機60aは、移動機構63によって−Y方向に移動し、第二搬送機構61(搬送機61a)の搬送経路から退避している。
【0042】
図3に示すように、真空パッド60bは、搬送機60aのうち上記基板Sに重なる部分60dに基板Sの搬送方向に沿って複数(本実施形態では3個)配置されている。この真空パッド60bは、基板Sを真空吸着するための吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド60bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。これら真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に本実施形態では、搬送機60aは、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離Wが80mm以内となるように基板Sを保持している。これにより搬送機60aにより基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止している。
【0043】
なお、第二搬送機構61における搬送機61aの構造は、
図3では図示されていないものの、上記搬送機60aと同一構成を有している。すなわち、搬送機61aにおける真空パッド61bは、上記基板Sに重なる部分に基板Sの搬送方向に沿って3個配置されている。
【0044】
ここで、搬送機60a、61aの要部構成について説明する。なお、上述のように搬送機60a、61aはそれぞれ同一構成を有するものであることから、本説明では搬送機60aを例に挙げ、その構成について
図5を参照しつつ説明する。なお、
図5(a)は搬送機60aの要部の平面構成を示す図であり、
図5(b)は搬送機60aの要部の断面構成を示す図である。
【0045】
図5(a)に示されるように、搬送機60aに設けられる真空パッド60bは、基板Sとの接触部が平面視略長円状となっている。そして、真空パッド60bの内部には不図示の真空ポンプ等に接続される排気孔65が設けられている。真空パッド60bは、この排気孔65を介して真空パッド60bと基板Sとの間に生じる密閉空間を排気することで基板Sを真空吸着することが可能となっている。
【0046】
また、
図5(b)に示すように、搬送機60a上に設けられた真空パッド60bの側方には、搬送中の基板Sの位置を規制するストッパー部材66を備えている。このストッパー部材66は、基板Sの側面S1に対向するとともに、基板Sの下面側に対向する凸部66aを備えている。この凸部66aは、基板Sの下方への撓みを規制するストッパーとして機能する。凸部66aは、
図5(a)に示されるように、真空パッド60bの外周部を枠状に囲んだ状態に設けられている。凸部66aの上面は、搬入側ステージ25の上面に対して−30〜+30μmの範囲に設定するのが好ましく、−20μm近傍に設定するのが望ましい。また、凸部66aと真空パッド60bとの位置関係は、真空パッド60bを0〜1mm程度上方に設定するのが好ましい。
【0047】
なお、隣接する真空パッド60bの間に凸部66aが配置される構成、すなわち各真空パッド60bの四方を凸部66aが囲むようにしてもよい。
【0048】
本実施形態に係る真空パッド60bは、基板Sに対して変位可能となっている。具体的の本実施形態では、真空パッド60bが蛇腹構造からなる蛇腹部67を有している。これにより、例えば基板Sの端部に撓みが生じることで基板Sの高さに変動が生じた場合でも、真空パッド60bが基板Sの動きに追従することで当該基板Sに対する吸着を確実に保持することができる。また、真空パッド60bは、ステージ上における基板Sの浮上量を変化させた場合でも、蛇腹部67が変位することで基板Sを良好に吸着することができるようになっている。
【0049】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
【0050】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0051】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0052】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0053】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0054】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている。
【0055】
予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41はノズル32に最も近くに設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。また、予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43については、全て配置されている場合に限られず、一部が省略された構成であっても構わない。
【0056】
(気体噴出機構・吸引機構)
図6は、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の気体噴出機構・吸引機構の構成を示す図である。同図をもとにして、上記の各ステージの気体噴出及び気体吸引に関する構成を説明する。
【0057】
搬入側ステージ25及び搬出側ステージ28には気体噴出機構150、155のみが設けられており、吸引機構は設けられていない。各気体噴出機構150、155の構成は両ステージにおいて同一の構成になっている。これらの気体噴出機構150、155は、それぞれブロアー151、156、温度コントロールユニット152、157、マニホールド153、158をそれぞれ有している。
【0058】
各ブロアー151、156からは配管150a、155aによって温度コントロールユニット152、157にそれぞれ接続されている。この温度コントロールユニット152、157は、例えば冷媒機構などの冷却機構や電熱線などの加熱機構が設けられており、これら冷却機構及び加熱機構によって、供給される気体の温度を調節可能に構成されている。温度コントロールユニット152と温度コントロールユニット157とでは、独立して気体の温度を調節できるようになっている。温度コントロールユニット152、157は、配管150b、155bによってマニホールド153、158にそれぞれ接続されている。
【0059】
マニホールド153、158には、それぞれ温度センサ154、159が取り付けられている。
【0060】
温度センサ154、159は、マニホールド153、158内の気体の温度を計測し、計測結果をそれぞれ温度コントロールユニット152、157に送信するようになっている。温度コントロールユニット152、157では、この温度センサ154、159の計測結果をフィードバックさせて気体の温度を調節できるようになっている。このように、温度コントロールユニット152、157及び温度センサ154、159は、気体の温度をフィードバックさせて調節する温度調節機構181、182をそれぞれ構成している。
【0061】
配管150b、155bには圧力計が取り付けられており、配管150c、155cによって搬入側ステージ25及び搬出側ステージ28にそれぞれ接続されている。各配管150a〜150c、155a〜155cには、各種バルブが設けられている。また、配管150a〜150c、155a〜155cには、気中パーティクル量を測定する気中パーティクル量測定器を設けてもよい。
【0062】
一方、処理ステージ27には、気体噴出機構160に加えて吸引機構170が設けられている。
図7は、処理ステージ27に設けられた気体噴出機構160及び吸引機構170の構成を示す図である。同図に示すように、気体噴出機構160は、ブロアー161、温度コントロールユニット162、フィルタ163、オートプレッシャーコントローラー(APC)164、マニホールド165、温度センサ166及び噴出量監視ポート167を有している。
【0063】
ブロアー161は、気体噴出機構に気体を供給する気体供給源であり、配管160aによって温度コントロールユニット162に接続されている。気体供給源として、ブロアー161の代わりに工場などの気体供給ラインを接続してもよい。
【0064】
温度コントロールユニット162は、例えば供給される気体の温度を調節するユニットである。温度コントロールユニット162内の気体流通部には、例えば冷媒機構などの冷却機構や電熱線などの加熱機構が設けられている。これらの冷却機構や加熱機構によって、気体の温度を上昇させたり下降させたりすることができるようになっている。温度コントロールユニット162では、上記の温度コントロールユニット152、157に対して独立して気体の温度を調節できるようになっている。温度コントロールユニット162は、配管160bによってAPC164に接続されている。
【0065】
配管160bにはフィルタ163が設けられている。フィルタ163は供給される気体に混合する異物を除去する部位である。また、配管160bに不図示の逃がし弁を設ける構成であっても構わない。
【0066】
APC164は、気体の供給量を調節するユニットである。APC164は、バタフライバルブ164aとコントローラ164bとを有している。コントローラ164bはバタフライバルブ164aの開度を調節できるようになっており、当該バタフライバルブ164aの開度を調節することで気体の供給量を調節可能になっている。APC164は、配管160cを介してマニホールド165に接続されている。
【0067】
配管160cには、流量計169a及び圧力計169bが取り付けられている。これら流量計169a及び圧力計169bによって配管160c内の気体の流量及び圧力が測定されるようになっている。各測定結果は、例えばAPC164へ送信されるようになっている。
【0068】
マニホールド165は、配管160cを流通する気体を分岐するユニットである。当該マニホールド165において、配管160cは分岐された複数の配管160dに接続されている。各配管160dは、処理ステージ27の気体噴出口27aに接続されている。
【0069】
温度センサ166は、マニホールド165内の気体の温度を測定するセンサである。温度センサ166によって測定された気体の温度のデータは、例えば通信回線などを介して温度コントロールユニット162へ送信されるようになっている。温度コントロールユニット162では、この温度センサ166の計測結果をフィードバックさせることで気体の温度を調節できるようになっている。このように、温度コントロールユニット162及び温度センサ166は、気体の温度をフィードバックさせて調節する温度調節機構183を構成している。
【0070】
噴出量監視ポート167は、気体の流量検知用のポートを有する構成になっており、この流量検知用のポートによって処理ステージ27の気体噴出口27aと同等の気体流量を検出可能になっている。この噴出量監視ポート167には流量計167a及び圧力計167bが設けられており、気体噴出口27aから噴出される気体の流量及び圧力が測定可能になっている。なお、流量計167a及び圧力計167bによる測定結果については、APC164内のコントローラ164bに送信される構成であっても構わない。
【0071】
上記の配管160a〜160eには、各種のバルブ等が取り付けられており、各バルブにおいて適宜開度を調節できるようになっている。また、配管160cには、大気開放部191が接続されている。
【0072】
大気開放部191は、分岐配管191a、気体流量調整弁191b及び流量計191cを有している。分岐配管191aは、配管160cから分岐されており、先端が大気に開放された大気開放口191dとなっている。気体流量調整弁191bは、分岐配管191a内の流路径を調整することにより、大気開放口191dの開度を調整可能である。
【0073】
気体流量調整弁191bは、大気開放口191dの開度を調整することで、分岐配管191aを流れると共に大気開放口191dから大気に流出する気体の流量を調整可能である。流量計191cは、分岐配管191aを流れて大気開放口191dから大気に流出する気体の流量を計測する。制御部CONTは、流量計191cの計測結果に基づいて、気体流量調整弁191bを調整させる。
【0074】
吸引機構170は、ブロアー171と、オートプレッシャーコントローラー(APC)172と、トラップタンク173と、マニホールド174と、吸引量監視ポート175とを有している。ブロアー171、APC172、トラップタンク173、マニホールド174は、互いに配管170a〜170cによって接続されており、各配管170a〜170cには各種バルブが取り付けられている。なお、ブロアー171の代わりに工場などの気体吸引ラインを使用してもよい。また、マニホールド174が設けられない構成であっても構わない。
【0075】
マニホールド174は、分岐された複数の配管170dに接続されている。各配管170dは、処理ステージ27の吸引口27bに接続されている。
【0076】
APC172は、気体の供給量を調節するバタフライバルブ172aとコントローラ172bとが設けられている。吸引量監視ポート175は、配管170eによって処理ステージ27に接続され、当該接続部分に気体の流量検知用のポートが接続された構成になっている。吸引量監視ポート175では、この流量検知用のポートによって処理ステージ27の直下の気体流量を検出可能になっている。また、吸引量監視ポート175には流量計175a及び圧力計175bが取り付けられており、吸引口27bによって処理ステージ27の気体噴出口27aと同等の気体流量を検出可能になっている。なお、流量計175a及び圧力計175bによる測定結果については、APC172内のコントローラ172bに送信される構成であっても構わない。
【0077】
また、APC172と吸引口27bとの間に流量計を設けて、測定結果をAPC172内のコントローラ172bにフィードバックしても良い。
【0078】
また、配管170cには、大気開放部192が接続されている。大気開放部192は、分岐配管192a、気体流量調整弁192b及び流量計192cを有している。分岐配管192aは、配管170cから分岐されており、先端が大気に開放された大気開放口192dとなっている。気体流量調整弁192bは、分岐配管192a内の流路径を調整することにより、大気開放口192dの開度を調整可能である。
【0079】
気体流量調整弁192bは、大気開放口192dの開度を調整することで、分岐配管192aを流れると共に大気開放口192dから大気から吸引する気体の流量を調整可能である。流量計192cは、分岐配管192aを流れて大気開放口192dから流入する気体の流量を計測する。制御部CONTは、流量計192cの計測結果に基づいて、気体流量調整弁192bを調整させる。
【0080】
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図8〜
図14は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。
図8〜
図10には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0081】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に第一搬送機構60の搬送機60aを配置させ、真空パッド60bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25の気体噴出口25a、処理ステージ27の気体噴出口27a、吸引口27b及び搬出側ステージ28の気体噴出口28aからそれぞれ気体を噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度に気体が供給された状態にしておく。
【0082】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から
図3に示した基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0083】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cには気体の層が形成されているため、基板Sは当該気体によりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sが気体層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された第一搬送機構60の移動機構63により搬送機60aの真空パッド60bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させることができる(
図3)。真空パッド60bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機60aをレール60cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機60aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール60cに沿ってスムーズに移動する。
【0084】
基板Sの搬送方向の先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、
図8に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機60aによって基板Sを搬送させながら行う。
【0085】
本実施形態では、第一搬送機構60により搬送される基板Sに対してレジスト塗布を行っている途中において、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から基板搬入位置に他の基板S´を受け渡すようにしている。基板S´を受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容することで、基板S´は気体によりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。
【0086】
基板S´が気体層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板S´の位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Z方向側に配置された第二搬送機構61の昇降機構62により搬送機61aを上昇させ、真空パッド61bを基板S´の−Y方向側端部に真空吸着させる。制御部CONTは、当該基板S´についても、上記の基板Sと同様に浮上量の検出を適宜行わせる。
【0087】
このように本実施形態では、第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとがそれぞれ独立して移動可能となっているので、第一搬送機構60によって搬送される基板Sに対するレジスト塗布の処理が終了する前に、第二搬送機構61により他の基板S´をステージ上に搬送することができる。よって、片持ち状態で順次搬送する基板S、S´上にレジストを良好に塗布することができ、レジスト塗布処理において高いスループットを得ることができる。
【0088】
基板Sの移動に伴い、
図9に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。また、第二搬送機構61の搬送機61aは、基板S´を開口部32aの下方に移動させる。
【0089】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機60aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、
図10に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。また、搬送機61aにより搬送された他の基板S´が開口部32aの下を通過することにより、他の基板S´の所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0090】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド60bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。すると、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、第一搬送機構60は、移動機構63により搬送機60a(真空パッド60b)を基板Sの下方から退避し、他の基板S´を搬送している第二搬送機構61の搬送経路(移動経路)から退避する。
【0091】
そして、第一搬送機構60は、再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻り、次の基板が搬送されるまで待機する。このとき、
図10に示されるように、第二搬送機構61に搬送される基板S´に対してレジスト塗布が行われているが、第一搬送機構60は、上述のように第二搬送機構61の搬送経路から退避しているので、第二搬送機構61に接触して他の基板S´の搬送を妨げることが無く、搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻ることができる。
【0092】
また、第二搬送機構61により搬送された基板S´が基板搬出位置に到達したら、同様に外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。そして、再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻り、次の基板Sが搬送されるまで待機する。
【0093】
図11(a)〜
図11(d)は、基板Sが搬入側ステージ25から処理ステージ27を経て搬出側ステージ28へ移動する様子を示す図である。
図11(a)に示すように、基板Sが搬入側ステージ25上を移動し処理ステージ27に到達していない場合、処理ステージ27上は基板Sによって遮られていない状態となっている。この状態から、
図11(b)〜
図11(d)に示すように、処理ステージ27上を基板Sが移動することで、当該処理ステージ27上が基板Sによって一時的に遮られることになる。
【0094】
処理ステージ27上が基板Sによって遮られると、その部分の気体の噴出圧及び吸引圧が一時的に変化し、噴出される気体の流量及び吸引される気体の流量が一時的に変化する場合がある。そうなると、基板Sの浮上量が変動し、レジストRを均一に塗布することが困難となってしまう場合がある。
【0095】
これに対して、本実施形態では、基板Sを搬送する際、基板Sが処理ステージ27上に到達する前に、制御部CONTは、気体噴出機構160の大気開放部191に設けられた気体流量調整弁191bを開放させ、大気開放口191dが開いた状態にする。また、制御部CONTは、基板Sが処理ステージ27上に到達する前に、吸引機構170の大気開放部192に設けられた気体流量調整弁192bを開放させ、大気開放口192dが開いた状態にする。
【0096】
大気開放口191dを開いた状態とすることにより、気体噴出機構160においては、気体噴出口27aの他に大気開放口191dからも気体を噴出することができる。この構成では、処理ステージ27上が遮られる場合であっても、大気開放口191dへ逃がすことができる。したがって、基板Sが処理ステージ27上を搬送される際には、気体噴出口27aにおける気体噴出圧の変動が抑制され、気体噴出口27aから噴出される気体の流量の変動が抑制される。
【0097】
同様に、大気開放口192dを開いた状態とすることにより、吸引機構170においては、吸引口27bの他に大気開放口192dからも吸引することができる。この構成では、処理ステージ27上が遮られる場合であっても、大気開放口192dから吸引量を補うことができる。したがって、基板Sが処理ステージ27上を搬送される際には、吸引口27bにおける吸引圧の変動が抑制され、吸引口27bから吸引される気体の流量の変動が抑制される。
【0098】
図12は、処理ステージ27の遮蔽率と、処理ステージ27に噴出される気体の総流量及び大気開放口191dから流出される気体の流量との関係を示す表である。なお、本実施形態では、処理ステージ27のX方向の寸法をt1とし、基板Sのうち処理ステージ27に重なる部分のX方向の寸法をt2としたとき、処理ステージ27の遮蔽率を、
遮蔽率=(t2/t1)×100(%)
とした場合を例に挙げて説明する。
【0099】
基板Sが処理ステージ27上に到達していない場合、すなわち、処理ステージ27の遮蔽率が0%である場合、制御部CONTは、処理ステージ27に噴出される気体の総流量を例えば毎分300lとする。また、大気開放口191dから流出される気体の流量を例えば毎分2000lとする。
【0100】
この状態から基板Sが搬送され、
図11(b)に示すようにノズル32によってレジストRの吐出が開始される場合、基板Sは処理ステージ27のうちX方向におけるほぼ半分の領域を遮蔽している状態となる。このように、処理ステージ27の遮蔽率がほぼ50%となる場合、基板Sによって処理ステージ27上が遮蔽され、その分気体の噴出圧及び吸引圧が高められることになる。
【0101】
したがって、制御部CONTは、気体流量調整弁191bを開いて大気開放口191dの開度を大きくする。この動作により、処理ステージ27に噴出される気体の総流量が毎分300lに維持され、大気開放口191dから流出される気体の流量が例えば毎分2500lに増加する。
【0102】
図11(c)に示すように、基板Sに対してレジストRの吐出が更に行われていき、基板Sが処理ステージ27のうちX方向におけるほぼ75%の領域を遮蔽している状態となる場合、
図11(b)の場合に比べて、気体の噴出圧及び吸引圧が更に高められることになる。
【0103】
したがって、制御部CONTは、気体流量調整弁191bを開いて大気開放口191dの開度を更に大きくする。この動作により、処理ステージ27に噴出される気体の総流量が毎分300lに維持され、大気開放口191dから流出される気体の流量が例えば毎分2750lに増加する。
【0104】
この状態から
図11(d)に示すように、基板Sに対してレジストRの吐出が更に行われていき、基板Sが処理ステージ27のうちX方向における100%の領域を遮蔽している状態となる場合、
図11(c)の場合に比べて、気体の噴出圧及び吸引圧が更に高められることになる。
【0105】
したがって、制御部CONTは、気体流量調整弁191bを開いて大気開放口191dの開度を更に大きくする。この動作により、処理ステージ27に噴出される気体の総流量が毎分300lに維持され、大気開放口191dから流出される気体の流量が例えば毎分3000lに増加する。
【0106】
この後、基板Sが+X方向に移動し、処理ステージ27の遮蔽率が小さくなるのに伴って、制御部CONTは、気体流量調整弁191bを閉じていき、大気開放口191dの開度を小さくしていく。この動作により、処理ステージ27に噴出される気体の総流量が毎分300lに維持される。
【0107】
制御部CONTは、基板Sの浮上動作を行わせる際に、流量計191c、192cによって大気開放口191d、192dを流れる気体の流量を計測させ、当該流量計191c、192cの計測結果に基づいて、気体流量調整弁191b、192bを調整させるようにしても良い。
【0108】
この場合、例えば大気開放口191d、192dを流れる気体の流量の目標値データを制御部CONTに記憶させておき、計測結果が当該目標値データに一致するように制御部CONTが気体流量調整弁191b、192bを調整する制御態様が挙げられる。上記目標値データとしては、予め実験やシミュレーションなどによって求めておくことができる。
【0109】
次に、管理部4による管理動作について説明する。
上記のように、塗布部3には基板が時間的間隔を空けて搬送されてくる。このため、制御部CONTは、塗布部3に基板が搬送されない期間を利用して、ノズル32の吐出状態を維持あるいは改善するための管理動作を行わせる。当該管理動作には、管理部4が用いられる。
【0110】
制御部CONTは、
図13に示すように、移動機構31cによって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、まず、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する。
【0111】
ノズル先端32cの洗浄後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端32cの開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0112】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。次の基板Sが搬送されてきたら、
図14に示すようにノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0113】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ槽42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0114】
以上のように、本実施形態によれば、気体噴出機構160の気体供給経路及び吸引機構170の吸引経路には大気開放が可能な大気開放部191及び192が設けられているので、噴出される気体の流量及び吸引される気体の流量のうち少なくとも一方の変化を緩和することが可能となる。これにより、基板Sの浮上量の変動を抑制することが可能となる。
【0115】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、第一搬送機構60及び第二搬送機構61が、それぞれ搬送機60a、61aを一個ずつ備えた構成について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
【0116】
図15に示すように、第一搬送機構60としてレール60cに搬送機60aが3個設けられた構成とすることができる。なお、
図15においては、図示を省略するものの、第二搬送機構61についても搬送機61aを3個備えた構成とすることができる。また、本説明では、搬送機60a、61aが3個ずつ備える構成について説明するが、本発明はこれに限定されることは無く、搬送機60a、61aを2個ずつ、或いは4個以上ずつ備える構成についても適用可能である。
【0117】
図15に示す構成において、基板Sの搬送方向上流側から順に第1の搬送機261、第2の搬送機262、第3の搬送機263と表記する。また、これらを総称する場合には、搬送機261、262、263と表記する。
【0118】
これら搬送機261、262、263は、基板Sの搬送時においてはそれぞれが同期した状態でレール60c上を移動する。また、各搬送機261、262、263は、基板Sの非搬送時においては、レール60c上でそれぞれ独立に移動可能となっている。この構成によれば、搬送する基板Sの長さに応じて各搬送機261、262、263における基板Sの保持位置を任意に設定することができる。
【0119】
搬送機261の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機261は、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離W1が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0120】
また、搬送機263の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向後方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機263は、基板Sの搬送方向後方の端部から真空パッド60bまでの距離W2が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0121】
これら搬送機261、262、263により基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、大型の基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、大型の基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止できる。
【0122】
また、上記実施形態においては、気体噴出機構160及び吸引機構170の両方に大気開放口(191、192)が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。気体噴出機構160及び吸引機構170のうち少なくとも一方に大気開放口が設けられた構成であれば、従来の構成に比べて、基板Sの浮上量の変化を抑制することが可能である。
【0123】
また、上記実施形態においては、処理ステージ27のX方向の寸法をt1とし、基板Sのうち処理ステージ27に重なる部分のX方向の寸法をt2としたとき、処理ステージ27の遮蔽率を、遮蔽率=(t2/t1)×100(%)とした場合を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、Z方向視における処理ステージ27のステージ表面27cの面積をP1とし、基板Sのうち処理ステージ27に重なる部分の面積をP2としたとき、遮蔽率=(P2/P1)×100(%)としても構わない。