特許第5789980号(P5789980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5789980
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】光導波路及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20150917BHJP
   G02B 6/132 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G02B6/122
   G02B6/132
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-288480(P2010-288480)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2012-137545(P2012-137545A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100125092
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 玲太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 敏裕
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大地
(72)【発明者】
【氏名】八木 成行
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏真
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−156868(JP,A)
【文献】 特開2009−025552(JP,A)
【文献】 特開2003−270465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部クラッド層と、
前記下部クラッド層に積層されたコア層と、
前記コア層とは別に形成され前記コア層を横断している横断パターンであって前記横断パターンの端面の位置が前記コア層の側面の位置よりも外側に位置する横断パターンと、
前記コア層及び前記横断パターンに形成され前記幅方向において前記横断パターンの一方の端面から他方の端面まで延びる傾斜面と、を備えた、光導波路。
【請求項2】
前記コア層の側面の位置よりも外側に位置する前記横断パターンの端面は、露出している、請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
前記横断パターンは、前記コア層の幅寸法よりも長い、請求項1又は2に記載の光導波路。
【請求項4】
前記横断パターンは、前記幅方向において、前記コア層の片側又は両側に延びている、請求項1から3のいずれかに記載の光導波路。
【請求項5】
前記横断パターンは、前記コア層の端部に形成されている、請求項1から4のいずれかに記載の光導波路。
【請求項6】
前記横断パターンの表面の位置は、前記コア層の表面と同一又はそれよりも高い位置である、請求項1から5のいずれかに記載の光導波路。
【請求項7】
前記横断パターンは、前記コア層又は前記下部クラッド層と同一の材料で形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の光導波路。
【請求項8】
下部クラッド層と、
互いが平行になるように、前記下部クラッド層に積層された複数のコア層と、
前記複数のコア層とは別に形成され、前記複数のコア層を横断するように、前記複数のコア層のそれぞれの幅方向に延びる横断パターンであって前記横断パターンの端面の位置が前記複数のコア層のうち、最も外側に位置しているコア層の外側の側面の位置よりも外側に位置する横断パターンと、
前記複数のコア層を横断するように、前記複数のコア層及び前記横断パターンに形成され、前記幅方向において前記横断パターンの一方の端面から他方の端面まで延びる傾斜面と、を備えた、光導波路。
【請求項9】
前記複数のコア層のうち、最も外側に位置しているコア層の外側の側面の位置よりも外側に位置する、前記横断パターンの端面は、露出している、請求項8に記載の光導波路。
【請求項10】
前記横断パターンは、前記複数のコア層のうち最も外側に位置している両方のコア層の外側の側面間の寸法よりも長い、請求項8又は9に記載の光導波路。
【請求項11】
前記横断パターンは、前記複数のコア層の端部に形成されている、請求項8から10のいずれかに記載の光導波路。
【請求項12】
前記横断パターンの表面の位置は、前記複数のコア層の表面と同一又はそれよりも高い位置である、請求項8から11のいずれかに記載の光導波路。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の光導波路の製造方法であって、
前記コア層を形成するコア層形成工程と、
前記コア層工程の後に、前記横断パターンを形成する横断パターン形成工程と、
前記横断パターン形成工程の後に、円形回転ブレードを回転させながら、前記コア層の幅方向に前記円形回転ブレードを移動させて、前記円形回転ブレードの回転切削により前記傾斜面を形成する傾斜面形成工程とを備える、光導波路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子間や配線基板間の高速・高密度信号伝送において、従来の電気配線による伝送では、電気信号の相互干渉や減衰が障壁となり、電子素子間や配線基板間の高速・高密度化の限界が見え始めている。そこで、高速・高密度化の限界を打ち破るため電子素子間や配線基板間を光で接続する技術、いわゆる光インターコネクションが提案されており、光インターコネクションの実用化に向けて、電気配線と光配線との複合化に関して種々の検討が行われている。電子素子間や配線基板間を接続する光伝送路としては、光ファイバーに比べ、配線の自由度が高く、かつ、高密度化が可能な光導波路を用いることが望ましく、中でも、加工性や経済性に優れたポリマー材料を用いた光導波路が有望である。
【0003】
図7に示すように、光導波路100は、下部クラッド層110の表面に形成された複数の光導波路120を有する。光導波路120において、光路を変更させる箇所Aには、図8に示すような、傾斜面130が形成される(例えば、特許文献1、2)。図9に示すように、この特許文献1、2では、下部クラッド層110の表面に、コア層122及び上部クラッド層123を有する光導波路120を形成した後に、回転する先端角度45°の円形回転ブレード140をコア層122の幅方向Y(図8参照)に移動させて、上部クラッド層123及びコア層122を切削し、45°の傾斜面130を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−011210号公報
【特許文献2】特開2006−017885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、切削によるバリ(削りカス)は端面に生じる傾向がある。特許文献1及び2に記載の傾斜面の形成方法では、回転する先端角度45°の円形回転ブレード140をコア層122の幅方向Yに移動させて切削しているので、切削によりコア層122の側面122aの近傍Bに生じたバリ(削りカス)が、コア層122の側面122aに付着してしまう。上部クラッド層123を切削の後に形成する場合、このバリ(削りカス)がコア層122に付着した状態で、上部クラッド層123をコア層122に積層することになり、上部クラッド層123とコア層122や下部クラッド層121との間の接着性が劣り、得られる光導波路120の光伝搬損失の値が大きくなる場合がある。
【0006】
本発明は、コア層を切削して傾斜面を形成する際にバリが発生しても、光導波路の光伝搬損失の値が大きくなりにくい光導波路及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光導波路は、下部クラッド層と、前記下部クラッド層に積層されたコア層と、前記コア層を通り、前記コア層の幅方向に延びる横断パターンであって前記横断パターンの端面の位置が前記コア層の側面の位置よりも外側に位置する横断パターンと、前記コア層及び前記横断パターンに形成された前記幅方向に延びる傾斜面と、を備えている。
前記横断パターンは、前記コア層の幅寸法よりも長くてもよい。
前記横断パターンは、前記幅方向において、前記コア層の片側又は両側に延びていてもよい。
前記横断パターンは、前記コア層の端部に形成されていてもよい。
前記横断パターンの表面の位置は、前記コア層の表面と同一又はそれよりも高い位置であってもよい。
前記横断パターンは、前記コア層又は前記下部クラッド層と同一の材料で形成されていてもよい。
【0008】
本発明に係る光導波路は、下部クラッド層と、互いが平行になるように、前記下部クラッド層に積層された複数のコア層と、前記複数のコア層を横断するように、前記複数のコア層のそれぞれの幅方向に延びる横断パターンであって前記横断パターンの端面の位置が前記複数のコア層のうち、最も外側に位置しているコア層の外側の側面の位置よりも外側に位置する横断パターンと、前記複数のコア層を横断するように、前記複数のコア層及び前記横断パターンに形成された前記幅方向に延びる傾斜面と、を備えている。
前記横断パターンは、前記複数のコア層のうち最も外側に位置している両方のコア層の外側の側面間の寸法よりも長くてもよい。
前記横断パターンは、前記複数のコア層の端部に形成されていてもよい。
前記横断パターンの表面の位置は、前記複数のコア層の表面と同一又はそれよりも高い位置であってもよい。
【0009】
上記の光導波路の製造方法は、前記横断パターンの端面に向けて移動する円形回転ブレードの回転切削により、前記傾斜面を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コア層を切削して傾斜面を形成する際にバリが発生しても、光導波路の光伝搬損失の値が大きくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る光導波路の第1実施形態の平面図である。
図2図1に示す光導波路の側面図である。
図3】本発明に係る光導波路の第2実施形態の平面図である。
図4図3に示す光導波路の側面図である。
図5】他の実施形態の光導波路の平面図である。
図6】他の実施形態の光導波路の平面図である。
図7】(a)は、従来の光導波路のミラー面を形成する前の平面図である。(b)は、(a)の側面図である。
図8】(a)図7に示す光導波路にミラー面を形成した後の平面図である。(b)は、(a)の側面図である。
図9図7に示す光導波路にミラー面を形成する様子を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態の光導波路10について、図1及び図2を用いて説明する。
【0013】
光導波路10は、四角い板状の下部クラッド層20と、下部クラッド層20に積層された複数のコア層30と、複数のコア層30の幅方向Yに延びる横断パターン40と、コア層30及び横断パターン40に形成された傾斜面51及び52とを備える。
【0014】
下部クラッド層20は、表面が平坦な板状に形成されている。下部クラッド層20は、寸法安定性のある厚みのある材料で形成されることが好ましい。
【0015】
複数のコア層30は、複数のコア層30のそれぞれが互いに並行に延びるように、下部クラッド層20の同一の表面に形成されている。複数のコア層30のそれぞれは、矩形の断面形状を有する細長い形状を有する。本実施形態では、複数のコア層30のうち、最も外側に位置する2つのコア層30の外側の側面を、それぞれ、側面32a及び32bとする。
【0016】
横断パターン40は、横断パターン40が複数のコア層30を直角に横断するように、直線上に延びている。したがって、横断パターン40は、複数のコア層30のそれぞれに交差するように、下部クラッド層20に形成されている。
横断パターン40は、横断パターン40の端面40a及び40bの位置は、それぞれ、複数のコア層30のうち、最も外側に位置しているコア層30の外側の側面32a及び32bの位置よりも外側に位置するように、下部クラッド層20に形成されている。これにより、横断パターン40の端面40a及び40bは、それぞれ、最も外側に位置しているコア層30の外側の側面32a及び32bの位置から離れた位置に形成されている。
換言すると、横断パターン40は、複数のコア層30のすべてを横切り、かつ、最も外側の2つのコア層30の両側に延びている。
横断パターン40の上面41の位置は、コア層30の上面31と同一とされている(図2参照)。
本実施形態では、横断パターン40は、コア層30と同一の材料で形成されている。横断パターン40は、コア層30の形成の後に形成されていることが好ましい。
【0017】
傾斜面51及び52は、幅方向Yに延びるように(コア層30を横切るように)、コア層30及び横断パターン40に形成されている。したがって、幅方向Yの傾斜面51及び52の両端部の位置は、それぞれ、横断パターン40の端面40a及び40bの位置となる。傾斜面51及び52のうち、コア層30における傾斜面51及び52は、光路変換用のミラー面50として機能する。
傾斜面51及び52は、後述するように、コア層30及び横断パターン40を一体的に切削して形成された溝53を構成する2つの傾斜面の一部である。
本実施形態では、溝53の形状はV字形状であるが、溝53の形状については、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、溝53の形状がV字形状である場合、溝53を構成する2つの傾斜面51及び52のコア層30の水平面に対する傾斜角は、用途に応じて適宜設定することができる。傾斜面51及び52の水平面に対する傾斜角は、互いに、同一でも異なっていてもよい。
【0018】
傾斜面51及び52には、金、アルミ等の金属が蒸着されていてもよい。また、必要に応じて、コア層30上に(コア層30がコアパターンを形成している場合は、コア層30及び下部クラッド層20上に)上部クラッド層を積層し、溝53が外部に露出しないようにしてもよい。
【0019】
以上の光導波路10は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、基板(図示せず)の表面に非可撓性の素材に離型処理を施し、離型処理がされた基板(図示せず)の表面に、四角い板状の下部クラッド層20を形成する(下部クラッド層形成工程)。
【0020】
次に、下部クラッド層20にコア層30を積層する(コア層形成工程)。このとき、コア層30は、露光処理を行ない、コアパターンを形成していることが好ましい。また、下部クラッド層20とコア層30との間の接着性を高めるために、下部クラッド層20とコア層30との間に接着剤層を設けてもよい。
次に、下部クラッド層20に横断パターン40を形成する(横断パターン形成工程)。横断パターン40は、コア層30と同一の材料である場合、コア層形成工程と同時におこなってもよい。
【0021】
次に、コア層30及び横断パターン40に傾斜面51及び52を形成する(傾斜面形成工程)。傾斜面51及び52は、円形回転ブレード140を備えた切削装置を用いて、以下のようにして形成される。
円形回転ブレード140の切削刃先端が下部クラッド層20の表面に位置するように、回転させた円形回転ブレード140を下部クラッド層20の上方から下ろす。そして、回転させた円形回転ブレード140を幅方向Yに移動させ、円形回転ブレード140は、横断パターン40の端面40aから、複数のコア層30を横切りながら、横断パターン40の端面40bの側面までを切削する。つまり、横断パターン40の端面40aに向けて移動する円形回転ブレード140の回転切削により、2つの切削面を形成する。
切削により形成された2つの切削面は、それぞれ、幅方向に延びるV字形状の溝53を形成する傾斜面51及び52とされる。傾斜面51及び52のうち、コア層30に対応する部分がミラー面50とされる。
【0022】
切削する際に生じるバリ(削りカス)は端面の近傍に生じやすいので、回転している円形回転ブレード140が横断パターン40及びコア層30を切削して溝53を形成すると、バリ(削りカス)が横断パターン40の端面40a及び40bに生じることがある。しかし、円形回転ブレード140が切削しようとするコア層30の両側面には、横断パターン40が一体的に形成されているので、バリ(削りカス)がコア層30の近傍には生じにくい。特に、横断パターン40がコア層30と同一の材料で形成されている場合、横断パターン40とコア層30との境目において、切削条件がほとんど変わらないので、円形回転ブレード140が切削しようとするコア層30の両側面には、バリ(削りカス)がほとんど生じない。
また、仮に、バリ(削りカス)が生じたとしても、バリ(削りカス)が生じた横断パターン40の端面40a及び40bはコア層30の側面から離れた位置にあるので、バリ(削りカス)はコア層30内を通る光路にはほとんど影響しない。
【0023】
次に、横断パターン40及びコア層30に形成された傾斜面51及び52には、金、アルミ等の金属を蒸着する(蒸着工程)。また、必要に応じて、コア層30上に(コア層30がコアパターンを形成している場合は、コア層30及び下部クラッド層20上に)上部クラッド層を積層し、溝53が外部に露出しないようにしてもよい。
【0024】
蒸着工程を行う際、コア層30に形成されたミラー面50の近傍には、バリ(削りカス)がほとんどないので、仮に、横断パターン40の両端面40a及び40bの近傍にバリ(削りカス)があっても、蒸着された金属とコア層30との間の接着性はほとんど劣らないし、得られるコア層30の光伝搬損失の値を小さい状態を維持することができる。
【0025】
そして、下部クラッド層20から基板(図示せず)を取り除く(基板分離工程)。基板の表面に離型処理を施してあるので、光導波路10を容易に基板から分離させることができる。
【0026】
以上の説明から明らかなように、光導波路10の製造方法によれば、コア層30を切削して傾斜面51及び52を形成する際にバリが発生しても、光導波路10の光伝搬損失の値が大きくなることを抑制することができる。
【0027】
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態の光導波路10aについて、図3及び図4を用いて説明する。
【0028】
光導波路10aは、図1及び図2に示す第1実施形態の光導波路10の横断パターン40の形状を図3及び図4に示す横断パターン42に変更したものである。光導波路10aと光導波路10とが同じ構成については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0029】
図3及び図4に示すように、第2実施形態における光導波路10aの横断パターン42は、上部クラッド層である。横断パターン42の上面41は、コア層30の上面31よりも高い位置にある。このため、横断パターン42に形成された傾斜面51及び52のうち、コア層30における傾斜面51及び52である光路変換用のミラー面50の周囲は、横断パターン42(上部クラッド層)に囲まれている。
【0030】
切削する際に生じるバリ(削りカス)は端面の近傍、特に、端面の周囲に生じやすいので、回転している円形回転ブレード140が横断パターン42及びコア層30を切削して溝53を形成すると、バリ(削りカス)が横断パターン42の上面41と傾斜面51との境目41aや上面41と傾斜面52との境目41aの近傍に生じることがある。しかし、その境目41aはミラー面50の周囲から離れた位置にあるので、仮に、その境目41aの近傍に生じたバリ(削りカス)はミラー面50から離れた位置に生じることになる。また、仮に、バリ(削りカス)が生じたとしても、バリ(削りカス)が生じた横断パターン42の境目41aはコア層30の側面から離れた位置にある。このため、バリ(削りカス)はコア層30内を通る光路にはほとんど影響しない。
【0031】
(他の実施形態)
上記光導波路10及び10aの横断パターン40及び42は、いずれも、複数のコア層30を横断するように下部クラッド層20に形成されているが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、複数の横断パターン43及び44のそれぞれを、複数のコア層30のそれぞれに形成してもよい。図5に示す光導波路10bは、各コア層30の中央に(各コア層30の両端部33a及び33bが横断パターン43から露出するように)各横断パターン43を形成している(図5において左側)。幅方向Yにおける各横断パターン43の寸法は、コア層30の幅寸法より大きい。また、幅方向Yにおける各横断パターン43の両端面40a及び40bの位置は、それぞれ、各コア層30の両側面31a及び31bの外側である(すなわち、コア層30と横断パターン43とは、十字を形成している。)。
【0032】
また、図5に示す光導波路10bは、各コア層30の端部33bに(各コア層30の端部33bが横断パターン44に覆われるように)各横断パターン44を形成している(図5において右側)。幅方向Yにおける各横断パターン44の寸法は、コア層30の幅寸法より大きい。また、幅方向Yにおける各横断パターン44の両端面40a及び40bの位置は、各コア層30の両側面31a及び31bの外側である(すなわち、コア層30と横断パターン44とは、T字を形成している。)。
【0033】
図5に示す光導波路10bは、隣接する2つのコア層30にそれぞれ形成された2つの横断パターン40の間に空間が設けられている。このため、バリ(削りカス)の影響がコア層30にほとんど及ぼさない程度の横断パターン40を形成するだけでよいので、光導波路10bの製造コストを抑えることができる。
【0034】
また、図6に示すように、複数の横断パターン45及び46のそれぞれを、複数のコア層30のそれぞれに形成してもよい。図6に示す光導波路10cは、各コア層30の中央に(各コア層30の両端部33a及び33bが横断パターン45から露出するように)各横断パターン45を形成している(図6において左側)。幅方向Yにおける各横断パターン43の寸法は、コア層30の幅寸法より大きい。また、幅方向Yにおける各横断パターン43の両端面40bの位置は、各コア層30の両側面31bの外側であるが、幅方向Yにおける各横断パターン43の両端面40aの位置は、各コア層30の両側面31aと一致している(すなわち、コア層30と横断パターン43とは、T字を形成している。)。
【0035】
また、図6に示す光導波路10cは、各コア層30の端部33bに(各コア層30の端部33bが横断パターン46に覆われるように)各横断パターン46を形成している(図6において右側)。幅方向Yにおける各横断パターン46の寸法は、コア層30の幅寸法より大きい。また、幅方向Yにおける各横断パターン46の両端面40bの位置は、各コア層30の両側面31bの外側であるが、幅方向Yにおける各横断パターン46の両端面40aの位置は、各コア層30の両側面31aと同一である(すなわち、コア層30と横断パターン46とは、L字を形成している。)。
【0036】
切削する際に生じるバリ(削りカス)は、円形回転ブレード140の送り方向先の端部に生じやすい。したがって、幅方向Yにおける各横断パターン46の両端面40bの位置は、各コア層30の両側面31bの外側であるので、幅方向Yにおける各横断パターン46の端面40aから端面40bに向けて切削すれば、仮に、切削する際にバリ(削りカス)が生じても、そのバリは、端面40a側よりも端面40b側に形成されやすい。したがって、仮に、バリ(削りカス)が生じたとしても、そのバリ(削りカス)は、ミラー面50から離れた位置にできるので、コア層30内を通る光路にはほとんど影響しない。
【0037】
また、横断パターン45及び46は、いずれも、横断パターン43及び44よりも短いので、光導波路10cの製造コストは、光導波路10bよりも安価にすることができる。
【符号の説明】
【0038】
10、10a、10b、10c 光導波路
20 下部クラッド層
30 コア層
31 コア層の上面
31a、31b 複数のコア層の最も外側にあるコア層の外側の側面
32a、32b コア層の側面
33a、33b コア層の端部
40、42、43、44、45、46 横断パターン
40a、40b 横断パターンの端面
41 横断パターンの上面
41a 境目
50 ミラー面
51、52 傾斜面
53 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9