(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャンバーと、前記チャンバー内においてウェーハを支持する回転テーブルと、前記回転テーブル上の前記ウェーハの表面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルと、前記回転テーブルの外周部に設けられ、前記ウェーハの遠心力によって外周方向に飛散する前記洗浄液を回収するスピンカップと、前記回転テーブルの外周部に設けられた第1の排気口と、前記スピンカップを昇降制御するスピンカップ昇降機構と、前記チャンバーの側面側に設けられた第2の排気口と、前記第2の排気口を開閉するシャッターとを備え、
前記スピンカップは、前記ウェーハの洗浄及び乾燥処理中に上昇して前記第1の排気口を開放すると共に、前記ウェーハの乾燥処理後に降下して前記第1の排気口を閉止し、
前記シャッターは、前記スピンカップに連動して昇降し、前記スピンカップが上昇して前記第1の排気口を開放しているときには前記第2の排気口を閉止し、前記スピンカップが降下して前記第1の排気口を閉止しているときには前記第2の排気口を開放することを特徴とする枚葉式ウェーハ洗浄装置。
前記スピンカップは、上方に向かって縮径する略円錐筒状の部材であり、上部開口の直径は前記ウェーハの直径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の枚葉式ウェーハ洗浄装置。
前記第2の排気口及び前記シャッターは、前記チャンバーの対向する2つの側面にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の枚葉式ウェーハ洗浄装置。
前記チャンバーの上部に設けられた給気口をさらに備え、前記給気口から取り込まれた気体を前記第1の排気口又は前記第2の排気口から排気することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の枚葉式ウェーハ洗浄装置。
前記枚葉式ウェーハ洗浄装置を複数有し、前記複数の枚葉式ウェーハ洗浄装置それぞれは前記第1の排気口からの排気及び第2の排気口からの排気を外部へ排気する第3の排気口をさらに備え、前記第3の排気口は前記複数の枚葉式ウェーハ洗浄装置に対して共通に設けられた排気経路に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の枚葉式ウェーハ洗浄装置。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、ウェーハの表面にパーティクルが付着していると、その表面に処理を行う場合、ウェーハ面内に均一な処理ができず、半導体装置の品質低下につながるおそれがある。そのため、ウェーハの表面に処理を行う前に、洗浄装置によりウェーハの洗浄を行う必要がある。
【0003】
ウェーハの洗浄装置としては、従来から複数枚のウェーハを同時に洗浄するバッチ式ウェーハ洗浄装置がある。しかしながら、近年のウェーハの大口径化にともない、ウェーハを1枚ずつ洗浄する枚葉式ウェーハ洗浄装置が広く用いられるようになってきている。(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に示されているように、枚葉式ウェーハ洗浄装置では、ウェーハを回転テーブルに載置し、ウェーハを高速で回転させながら、洗浄液供給ノズルから洗浄液をウェーハ表面に吹きかけることによりパーティクルを除去する。このとき、ウェーハの遠心力によってウェーハの外周方向に洗浄液が飛散するが、ウェーハの周囲を取り囲むスピンカップを設けることにより、飛散した洗浄液を回収している。
【0005】
特許文献1には記載されていないが、枚葉式ウェーハ洗浄装置では、洗浄したウェーハを乾燥させる際、さらには洗浄中においても、外部からチャンバー内にクリーンエアーを給気し、スピンカップと回転テーブルとの間に設けられた隙間を排気口とする排気経路からチャンバー内のエアーの排気も行っている。このように、給気と排気を行ない、チャンバー内の圧力を制御することにより、ウェーハの洗浄及び乾燥を効率よく行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
枚葉式ウェーハ洗浄装置は一度に一枚のウェーハを処理するため、バッチ式に比べるとスループットが低い。そのため、複数台の枚葉式ウェーハ洗浄装置を用意し、複数枚のウェーハを並列処理することにより、スループットの向上が図られている。このようなシステム構成において、複数台の枚葉式ウェーハ洗浄装置の排気口が共通の排気経路に接続されている場合には、以下のような問題がある。
【0008】
まず、上述のような枚葉式ウェーハ洗浄装置において、洗浄及び乾燥処理終了後、ウェーハのチャンバー内からの取り出し及び次の処理対象のウェーハのチャンバー内への載置(以下、「移載」ともいう。)を行う際、チャンバーの側面の一部を開放し、そこからロボットのアームを進入させてウェーハの外周部分を把持するが、このとき、スピンカップがウェーハの周囲に配置されているとスピンカップがアームの進入及びウェーハの把持の妨げとなるため、スピンカップを降下させる必要がある。
【0009】
しかしながら、スピンカップを降下させると、スピンカップと回転テーブルとの間の排気口が閉じてしまい、排気がされなくなるため、排気量が大幅に減少すると共に、チャンバー内の圧力が上昇してしまう。このように一つの洗浄装置からの排気量が変動すると、共通の排気経路に接続された他の洗浄装置のチャンバーの内圧が影響を受け、洗浄及び乾燥処理中のチャンバー内の圧力が変動することによって洗浄品質が低下するおそれがある。
【0010】
また、複数台の枚葉式ウェーハ洗浄装置の洗浄及び乾燥処理が同期して行われ、すべての洗浄装置の洗浄及び乾燥工程が同じタイミングで実施されている場合には、上記のようなチャンバーの内圧変動の問題は生じないが、共通の排気経路にかかる気圧変動の負荷が非常に大きいという問題がある。また、洗浄方法が異なる多種類のウェーハを取り扱う場合には、装置ごとに洗浄時間や乾燥時間も変わってくるため、装置の待機時間が増加し、スループットが低下するという問題がある。
【0011】
したがって、本発明は、ウェーハの移載から洗浄及び乾燥までの一連の工程内での排気量の変動が少なく、洗浄品質の高い枚葉式ウェーハ洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による枚葉式ウェーハ洗浄装置は、チャンバーと、前記チャンバー内においてウェーハを支持する回転テーブルと、前記回転テーブル上の前記ウェーハの表面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルと、前記回転テーブルの外周部に設けられ、前記ウェーハの遠心力によって外周方向に飛散する前記洗浄液を回収するスピンカップと、前記回転テーブルの外周部に設けられた第1の排気口と、前記スピンカップを昇降制御するスピンカップ昇降機構と、前記チャンバーの側面側に設けられた第2の排気口と、前記第2の排気口を開閉するシャッターとを備え、前記シャッターは、前記スピンカップに連動して昇降し、前記スピンカップが上昇して前記第1の排気口を開放しているときには前記第2の排気口を閉止し、前記スピンカップが降下して前記第1の排気口を閉止しているときには前記第2の排気口を開放することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ウェーハの洗浄及び乾燥を行う際には第1の排気口により排気が行われ、ウェーハの移載を行う際には第2の排気口により排気が行なわれることから、チャンバー内の圧力をほぼ一定に保つことが可能となる。
【0014】
前記スピンカップは、上方に向かって縮径する略円錐筒状の部材であり、上部開口の直径は前記回転テーブルの直径よりも大きいことが好ましい。これによれば、ウェーハの遠心力によって外周方向に飛散した洗浄液を効率よく回収することができる。
【0015】
前記第2の排気口及び前記シャッターは、前記チャンバーの対向する2つの側面にそれぞれ形成されていることが好ましい。これによれば、チャンバー内の雰囲気をほぼ均一に排気することができる。
【0016】
前記チャンバーの上部に設けられた給気口をさらに備え、前記給気口から取り込まれた気体を前記第1の排気口又は前記第2の排気口から排気することが好ましい。これによれば、チャンバー内の圧力を容易に制御することが可能となる。
【0017】
前記枚葉式ウェーハ洗浄装置を複数有し、前記複数の枚葉式ウェーハ洗浄装置それぞれは前記第1の排気口からの排気及び第2の排気口からの排気を外部へ排気する第3の排気口をさらに備え、前記第3の排気口は前記複数の枚葉式ウェーハ洗浄装置に対して共通に設けられた排気経路に接続されていることが好ましい。これによれば、排気経路の排気量、すなわち各枚葉式ウェーハ洗浄装置から排気される排気量の総計をほぼ一定とした場合でも、各枚葉式ウェーハ洗浄装置の内圧に差が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明によれば、ウェーハの移載工程から洗浄及び乾燥工程までの一連の工程内での排気量の変動が少なく、洗浄品質の高い枚葉式ウェーハ洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施形態による枚葉式ウェーハ洗浄装置10の構成を説明するための模式図であり、ウェーハ1の洗浄処理を行なっているときの状態を示している。
【0022】
図1に示すように、枚葉式ウェーハ洗浄装置10は、チャンバー11と、チャンバー11内においてウェーハ1を支持する回転テーブル12と、回転テーブル12上のウェーハ1の表面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル13と、回転テーブル12の外周部に設けられ、ウェーハ1の遠心力によって外周方向に飛散する洗浄液を回収するスピンカップ14と、回転テーブル12の外周部に設けられた第1の排気口15と、スピンカップ14を昇降制御するスピンカップ昇降機構16と、チャンバー11の側面側に設けられた第2の排気口17と、第2の排気口17を開閉するシャッター18とを備えて構成されている。
【0023】
回転テーブル12とスピンカップ14との間には第1の排気経路15pが形成されている。また、略直方体状(ボックス型)のチャンバー11の対向する2つの側面は二重の側壁11s、11tを有しており、内側の側壁11sと外側の側壁11tとの間には第2の排気経路17pが形成されている。内側の側壁11sには、それぞれ複数の排気窓11wが設けられ、これが第2の排気口17を構成している。
【0024】
枚葉式ウェーハ洗浄装置10は、さらに、第1の排気経路15pと第2の排気経路17pとの両方に接続され、第1の排気口15を通過した気体と第2の排気口17を通過した気体を外部へ排気する第3の排気口19と、洗浄中にスピンカップ14によって回収された洗浄液を外部へ排出する排液口20と、チャンバー11の上部に設けられた給気装置21からクリーンエアーをチャンバー11内部に供給する給気口21oとを備えている。
【0025】
洗浄液供給ノズル13は、複数の薬液および純水供給などが可能なノズル13a,13b,13cを備えており、洗浄対象に応じて必要な洗浄液をウェーハ1へ供給可能となっている。
【0026】
回転テーブルの上面には3本の支持ピン22が設けられており、ウェーハ1は支持ピン22によって3点支持されている。回転テーブル12は、回転機構12rにより、ウェーハ1を保持した状態で回転可能となっている。
【0027】
スピンカップ14は、上方に向かって縮径する略円錐筒状の部材であり、上部開口の直径はウェーハの直径よりも大きく構成されている。かかる構成により、ウェーハの遠心力によって外周方向に飛散した洗浄液を効率よく回収することができる。
【0028】
図2は、第2の排気口17及びシャッター18の構成を示す略平面図である。
【0029】
第2の排気口17(複数の排気窓11w)は、上述のとおり、チャンバー11の内側の側壁11sに形成された開口であって、特に限定されるものではないが、
図2に示すように、本実施形態では2つの矩形状の開口として設けられている。
【0030】
シャッター18は、
図1に示すように、チャンバー11の内側の側壁11sに沿って配置されている。
図2に示すように、シャッター18は、複数の排気窓18wを有するシャッター本体18mとシャッター本体18mが上下にスライド可能な状態でシャッター本体18mを支えるレール18rとを備えている。複数の排気窓18wは、特に限定されるものではないが、複数の排気窓11wと同様、本実施形態では2つの矩形状の開口として設けられている。
【0031】
シャッター18は、スピンカップ14に連動して昇降するよう構成されている。本実施形態によるシャッター18はスピンカップ14に固定されており、これによりスピンカップ14と連動して昇降する。ウェーハ1の洗浄及び乾燥処理中は、スピンカップ14が上昇位置にあるときは、
図2(a)に示すように、複数の排気窓11w(第2の排気口17)と複数の排気窓18wは重ならない。一方、スピンカップ14の降下に連動してシャッター本体18mが
図2(a)の一点鎖線で示す位置まで降下すると、
図2(b)に示すように、複数の排気窓11w(第2の排気口17)と複数の排気窓18wが重なることとなる。
【0032】
なお、複数の排気窓11w(第2の排気口17)と複数の排気窓18wとは、特に限定されないが、略同一の形状・大きさに形成されている。
【0033】
このような構成により、スピンカップ14が上昇して第1の排気口15を開放しているときには、
図1及び
図2(a)に示すように、チャンバーの側壁11sに設けられた排気窓11w(第2の排気口17)とシャッター18の排気窓18wとが互いに重ならない位置となることから、第2の排気口17は閉止された状態となる。
【0034】
図3は、枚葉式ウェーハ洗浄装置10の動作を説明するための模式図であり、ウェーハ1の移載を行なっているときの状態を示している。
【0035】
一方、スピンカップ14が降下して第1の排気口15を閉止しているときには、
図3及び
図2(b)に示すように、排気窓11wとシャッター18の排気窓18wとが互いに重なる位置となることから、第2の排気口17が開放された状態となる。ここで、第1の排気口15は、スピンカップ14を降下させた結果として閉止されるものであることから、ここにいう「閉止」とは、排気を完全に遮断するための閉止を意味するものではなく、排気量を大幅に制限するという意味であり、多少の排気を許容する趣旨である。
【0036】
次に、枚葉式ウェーハ洗浄装置10の動作につき、
図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0037】
まず、スピンカップ昇降機構16によりスピンカップ14を退避位置まで降下させる。これにより、第1の排気口15が閉止されると同時に、第2の排気口17が開放される(ステップS1)。その後、チャンバー11の側面(側壁11s,11tと直交する側面)に設けられた移載口(不図示)を開放し、ウェーハ1を回転テーブル12上にセットする(ステップS2)。
【0038】
続いて、移載口を閉じた後、スピンカップ昇降機構16によりスピンカップ14を上昇させる。これにより、第1の排気口15が開放されると同時に、第2の排気口17が閉止される(ステップS3)。次に、回転機構12rにより回転テーブル12及びウェーハ1を回転させながら、洗浄液供給ノズル13a〜13cのいずれかから必要な洗浄液をウェーハ1上面に供給する。これによりウェーハ1の表面の洗浄が行なわれる(ステップS4)。洗浄完了後、洗浄液供給ノズル13からの洗浄液の供給を停止し、ウェーハ1を引き続き回転させることにより、ウェーハ1を乾燥させる(ステップS4)。
【0039】
ウェーハ1の乾燥処理終了後、ウェーハ1の回転を停止させた後、ステップS1と同様、スピンカップ14を退避位置まで降下させ、第1の排気口15を閉止し、第2の排気口17を開放する(ステップS5)。続いて、移載口を開放し、ウェーハ1をチャンバー11内から外部へ取り出す(ステップS6)。
【0040】
以上により、枚葉式ウェーハ洗浄装置10によるウェーハ1の洗浄・乾燥処理が終了する。
【0041】
上述のとおり、ステップS1,S2及びS5,S6においては、第1の排気口15が閉止され、第2の排気口17が開放された状態であることから、チャンバー11内の気体は
図3に示す経路PBを通って排気される。すなわち、第2の排気口17、第2の排気経路17p及び第3の排気口19により排気が行なわれる。一方、ステップS3及びS4においては、第1の排気口15が開放され、第2の排気口17が閉止された状態であることから、チャンバー11内の気体は
図1に示す経路PAを通って排気される。すなわち、第1の排気口15、第1の排気経路15p及び第3の排気口19により排気が行なわれる。したがって、第1の排気口15が閉止された状態、開放された状態のいずれであっても、経路PA又はPBによって常にチャンバー11内の気体が排気されている状態であることから、チャンバー11の内圧をほぼ一定に保つことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、第2の排気口17及びシャッター18は、チャンバー11の対向する2つの側面に沿って配置されていることから、チャンバー内の雰囲気をほぼ均一に排気することを可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態では、上述のとおり、チャンバー11の上部に給気装置21を備えており、給気口21oから取り込まれた気体を第1の排気口15又は第2の排気口17から排気する構成としていることにより、チャンバー内の圧力の制御が容易となる。
【0044】
上記枚葉式ウェーハ洗浄装置単体では、一度に一枚のウェーハしか処理することができず、バッチ式ウェーハ洗浄装置に比べるとスループットが低い。そこで、複数の枚葉式ウェーハ洗浄装置を用いて複数枚のウェーハを並列処理することにより、スループットを高める方法が採用される。以下、複数台の枚葉式ウェーハ洗浄装置を備えたウェーハ洗浄システムにつき説明する。
【0045】
図5は、ウェーハ洗浄システム100の構成を説明するための模式図である。
【0046】
図5に示すように、ウェーハ洗浄システム100は、上記第1の実施形態による枚葉式ウェーハ洗浄装置10と同様の構成を有する複数(本実施形態では4台)の枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dを備えて構成されている。そして、枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dそれぞれにおける第3の排気口19(
図1及び
図3参照)が枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dに対して共通に設けられた第3の排気経路102に接続されている。第3の排気経路102の排気量は、排気制御部101により一定に制御されている。
【0047】
枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dそれぞれの動作は、上記第1の実施形態で説明した通りである。しかしながら、枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dが洗浄・乾燥処理と移載を同期して行なってしまうと、スループットがあまり上がらない。そのため、枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dは互いに非同期で洗浄・乾燥処理を行なうものである。
【0048】
ここで、従来の枚葉式ウェーハ洗浄装置を複数設け、その排気経路を共通化して一定の排気量に制御し、各枚葉式ウェーハ洗浄装置を非同期で動作させた場合、他の枚葉式ウェーハ洗浄装置の排気量の変動を受けて自身のチャンバーの内圧が変動し、洗浄品質が低下するという問題が生じる。
【0049】
すなわち、ウェーハの移載を行なうためにスピンカップを降下させ、スピンカップの開口部(排気口)が閉じた状態にある枚葉式ウェーハ洗浄装置においては、排気がされなくなるため、その装置の内圧が上昇してしまうだけでなく、その装置が排気していた分の排気量が他の洗浄・乾燥処理中にある枚葉式ウェーハ洗浄装置の排気口から強制的に排気されることとなる。このため、処理中の装置の内圧が低下し、各枚葉式ウェーハ洗浄装置の内圧に差が生じてしまう。これにより、洗浄品質が低下してしまうこととなる。
【0050】
これに対し、本実施形態によれば、枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dのそれぞれが、洗浄・乾燥処理中であっても移載中であっても、第1の排気口15と第2の排気口17のいずれかにより常に排気が行なわれることから、枚葉式ウェーハ洗浄装置10a、10b、10c、10dそれぞれの内圧をほぼ一定に保つことが可能となる。したがって、本実施形態によれば、洗浄品質を低下させることなく、スループットを向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0052】
例えば、上記実施形態においては、4台の枚葉式ウェーハ洗浄装置を有するシステムを示したが、枚葉式ウェーハ洗浄装置の数は4台に限定されず、3台以下であってもよく、あるいは5台以上あっても構わない。また、第2の排気口17の形状、数、配置、第2の排気経路17pの構造等も特に限定されない。
【0053】
また、上記実施形態においては、シャッター18がスピンカップ14に固定されている構成を示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、スピンカップ14と連動して昇降すれば足りる。したがって、例えば、例えばシャッター18はスピンカップ14とば分離した部材であるが、同一の駆動源によって連動して昇降する構成であってもよい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
[実施例]
図5に示した構造、すなわち4台の枚葉式ウェーハ洗浄装置を有するウェーハ洗浄システムにおいて、2台の枚葉式ウェーハ洗浄装置A,Bを非同期で動作させた場合における枚葉式ウェーハ洗浄装置A,Bの内圧の変化を測定した。各枚葉式ウェーハ洗浄装置の初期の内圧は−4Paとした。
【0056】
測定の結果を
図6(a)に示す。
図6において、「処理中」とは、ウェーハの洗浄・乾燥処理中を表し、「移載中」とは、洗浄済みウェーハの取り出し〜次処理ウェーハのセットを表す。
【0057】
図6(a)に示すように、本実施例によれば、処理中も移載中も枚葉式ウェーハ洗浄装置A,Bそれぞれの内圧にほとんど変化が見られないことが確認された。
【0058】
[比較例]
第2の排気口17及びシャッター18を有しない従来の枚葉式ウェーハ洗浄装置を4台設け、その排気経路を共通化して一定の排気量に制御し、4台のうち2台の枚葉式ウェーハ洗浄装置X,Yを非同期で動作させた場合における枚葉式ウェーハ洗浄装置X,Yの内圧の変化を測定した。各枚葉式ウェーハ洗浄装置の初期の内圧は−4Paとした。
【0059】
測定の結果、
図6(b)に示すように、枚葉式ウェーハ洗浄装置Xが移載中になると、その内圧が上昇するとともに、枚葉式ウェーハ洗浄装置Yの内圧が低下した。続いて、枚葉式ウェーハ洗浄装置Yも移載中になると、枚葉式ウェーハ洗浄装置X,Yともに内圧が上昇した。その後、枚葉式ウェーハ洗浄装置Yが移載中の状態で枚葉式ウェーハ洗浄装置Xが処理中になると、枚葉式ウェーハ洗浄装置Xの内圧が急激に低下した。このように、枚葉式ウェーハ洗浄装置X,Yの内圧がそれぞれ大きく変動することが確認された。