(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
温度23℃、相対湿度50%RHの環境下でガラス板に対し、2kgローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に1時間静置した後の剥離速度5mm/minにおける180°引き剥がし接着力が、5〜40N/25mmである請求項1または2に記載の両面粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の両面粘着テープは、透明パネルを画像表示装置表面に貼付固定する両面粘着テープであり、透明パネルの画像表示装置と貼付固定される表面及び画像表示装置表面の少なくとも一方に装飾部を有し、アクリル系共重合体を含有する粘着剤組成物を架橋した粘着剤層から形成される中芯基材を有さない両面粘着テープである。また、アクリル系共重合体がモノマー成分としてn−ブチルアクリレートを50質量%以上含有し、粘着剤層の周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトルの70℃での貯蔵弾性率が5.0×10
4〜1.0×10
5、85℃での貯蔵弾性率が4.0×10
4〜9.0×10
4であり、両面粘着テープの総厚さが50μm〜125μmの両面粘着テープである。
【0012】
[粘着剤組成物]
本発明で使用する粘着剤組成物は、アクリル系共重合体を含有する粘着剤組成物であり、アクリル系共重合体を構成するモノマー成分としてn−ブチルアクリレートを主たるモノマー成分として含有する。n−ブチルアクリレートの含有量は、アクリル系共重合体を構成するモノマー成分中の50質量%以上であり、好ましくは55〜98質量%、より好ましくは60〜90質量%である。本発明の両面粘着テープは、当該アクリル系共重合体を使用することで、流動性と凝集性を両立することが可能となる。
【0013】
本発明に使用するアクリル系共重合体においては、n−ブチルアクリレートに、他の(メタ)アクリレートモノマーを使用することが好ましい。他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル系粘着剤のアクリル系共重合体に通常使用されるモノマーを適宜使用でき、画像表示装置の視認性を低下させない(メタ)アクリレートモノマーを好ましく使用できる。n−ブチルアクリレートに併用する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
【0014】
なかでも、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート(を使用することが好ましい。上記のアクリル共重合体を成分とすることで、得られる粘着剤層の貯蔵弾性率やゲル分率を好適な範囲に制御しやすくなる。
【0015】
さらに、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基を有するビニル系モノマーを、アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の0.01〜15質量%の範囲で添加するのが好ましい。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸カルボキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、N−メチロールアクリルアマイド、グリシジルメタクリレート等であり、これらを単独或いは2種以上を併用して使用することができる。なかでも、水酸基含有ビニルモノマー又はカルボキシル基含有ビニルモノマーは、被着体との好適な接着性を得やすいため好ましく、水酸基含有ビニルモノマーは被着体が酸化や腐食し易い場合に特に好ましく使用できる。水酸基含有ビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを好ましく使用でき、カルボキシル基含有モノマーとしてはアクリル酸を好ましく使用できる。
【0016】
前記アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることにより得ることができる。
【0017】
アクリル系共重合体のゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算で測定した質量平均分子量(ゲルパーミエッションクロマトグラフィー、東ソー社製SC−8020、高分子量カラムTSKgelGMHHR−H、溶媒:テトラヒドロフラン)は、30万〜100万であることが好ましく、特に40万〜70万であることが好ましい。当該範囲のポリマーの分子量にすることで、粘着剤の高温環境下での凝集力を高めやすく、高温環境下での剥がれを抑制することが可能となる。
【0018】
粘着剤層の凝集力をあげるために、架橋剤を添加するのが好ましい。添加する架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の添加量としては、上記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対して0.01〜1.0質量部であることが好ましい。これらの架橋剤を添加することで粘着剤層の凝集力を調整することができる。
【0019】
これら架橋剤は、粘着剤層の貯蔵弾性率やゲル分率を好適な範囲とできれば、適宜選択できるが、なかでも、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤を好ましく使用できる。また、イソシアネート系架橋剤を使用する場合には、アクリル系共重合体100質量部に対し、0.05〜0.5質量部を使用することが好ましく、0.1〜0.4質量部を使用することがより好ましい。エポキシ系架橋剤を使用する場合には、アクリル系共重合体100質量部に対し、0.01〜0.2質量部を使用することが好ましく、0.02〜0.1質量部を使用することがより好ましい。これら範囲とすることで、得られる粘着剤層の貯蔵弾性率やゲル分率を好適な範囲に制御しやすくなる。
【0020】
[粘着剤層]
本発明の両面粘着テープの粘着剤層は、上記粘着剤組成物を(熱乾燥して得られる)粘着剤層であり、周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトル70℃での貯蔵弾性率が5.0×10
4〜1.0×10
5の範囲であり、85℃の高温環境下での貯蔵弾性率を4.0×10
4〜9.0×10
4の範囲であり、粘着剤層の厚みが50μm〜125μmであることを特徴とする。70℃での貯蔵弾性率を当該範囲にすることにより、段差部分に追従する流動性とパネルの反りによる反発力に耐える凝集性を両立し、段差部分での密着を向上できる。また、85℃の高温環境下での貯蔵弾性率を当該範囲にすることにより、パネルのひずみに耐える凝集性を両立し、高温環境下での耐剥がれ性に優れる。これら粘弾性の調整は、粘着剤組成物の成分、重量平均分子量、ゲル分率等によって調整できる。
【0021】
さらに、周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトルの70℃の貯蔵弾性率は、貯蔵弾性率が5.0×10
4〜1.0×10
5の範囲に含まれることが特に好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲に含まれることで、段差部分に追従する流動性とパネルの反りによる反発力に耐える凝集性を両立し、段差部分での密着をより向上できる。
【0022】
さらに、周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトルの85℃の損貯蔵弾性率は、貯蔵弾性率が4.0×10
4〜9.0×10
4の範囲に含まれることが特に好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲に含まれることで、熱によるパネルのひずみに耐える凝集性を確保し、高温環境下での耐はがれ性をより向上できる。
【0023】
本発明における粘着剤層の動的粘弾性は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定することで得られる。試験片は厚み0.5〜2.5mmの粘着剤を単独で平行円盤の間に挟んでも良いが、基材と粘着剤の積層体を幾重にも重ねて平行円盤の間に挟んでも良い。なお、後者の場合は粘着剤のみの厚さが前記の範囲となるように調整する。
【0024】
上記粘着剤層は、ゲル分率が30〜70%であることが好ましい。特に、40〜60%であるのが好ましく、さらに、45〜55%であることが最も好ましい。ゲル分率を、この範囲内にすることで、周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトルの貯蔵弾性率を、目的範囲に調整することができる。ゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
ゲル分率=[(両面粘着テープのトルエン浸漬後質量)/(両面粘着テープのトルエン浸漬前質量)]×100
【0025】
[両面粘着テープ]
本発明の両面粘着テープは、透明パネルと画像表示装置表面とを貼付固定する両面粘着テープであり、前記透明パネルの画像表示装置と貼付固定される表面、あるいは画像表示装置表面の少なくとも一方の表面に装飾部を有する態様での貼付固定に用いられる。本発明の両面粘着テープは、上記粘着剤層からなる中芯基材を有さない両面粘着テープであり、当該態様への適用において、装飾部の段差に好適に追従し、パネルの反発や高温環境下での剥がれを抑制できることから、外観にすぐれたパネル部材を提供することが可能となる。
【0026】
本発明の両面粘着テープは、単層の粘着剤層からなるものであっても、複数の粘着剤層が積層されたものであってもよい。
【0027】
本発明の両面粘着テープの厚みは、50〜125μm、好ましくは、75〜100μmである。両面粘着テープの厚みを当該範囲とすることで、透明パネルに装飾される段差部分への追従性と電子機器の薄型化を両立できる。両面粘着テープの厚みが50μm未満では、粘着剤が段差部分を埋めるための体積を確保できないため、段差の追従が困難となる。一方、電子機器では小型が進んでいるため、125μmを超える厚みの両面粘着テープの使用は困難である。
【0028】
本発明の両面粘着テープは、下記測定により測定される180°引き剥がし接着力が、5〜50N/25mmであることが好ましい。本発明の両面粘着テープの接着力が上記の範囲内だと、透明パネルへの粘着剤層からの剥がれを抑制できる。180°引き剥がし接着力は、厚さ25μmのPET基材に粘着テープを、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下でガラス板に対し、2kgローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に1時間静置した後の剥離速度5mm/minにおける接着力である。
【0029】
本発明の両面粘着テープは、70℃下24時間の保持力試験において落下することがないことが好ましい。さらには、落下することがなくテープのズレ距離が2mm以下であることが好ましい。当該保持力試験とは、両面粘着テープの剪断方向に荷重を掛け、一定時間経過後の両面粘着テープのズレ距離、または両面粘着テープの落下時間を測定するものである。この試験で落下することがなく、ズレ距離が小さい両面粘着テープでは70℃環境下でも優れた接着力と凝集力を有しているため、装置使用中に表示素子部分の温度が上昇しパネルが変形した場合においても剥がれや伸びが発生しない。
【0030】
本発明の両面粘着テープは、画像表示装置に使用する点から、高い透明性を有していることが好ましい。
【0031】
本発明の両面粘着テープの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361)は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。全光線透過率が上記の範囲内だと、両面粘着テープは高い透明性を有しており、表示画面の高精細化が可能となる。
【0032】
[使用態様]
本発明の両面粘着テープは、透明パネルを画像表示装置表面に貼付固定するに際し、透明パネルの画像表示装置と貼付固定される表面、あるいは画像表示装置表面の少なくとも一方の表面に装飾部を有する態様での貼付固定に好適に適用できる。具体的な実施態様としては、例えば、
図1に示したような画像表示パネルがある。
図1において、1は透明パネル、2は透明パネルに付着した装飾部、3は本発明の両面粘着テープ、4は画像表示装置である。また近年では、電子端末のパネル構成の多様化に伴い、
図2に示したように装飾部が画像表示装置側に設けられる場合がある。この場合においても、本発明における両面粘着テープは同等の効果を得ることができる。
【0033】
[装飾部]
透明パネルの画像表示装置と貼付固定される表面、あるいは画像表示装置の透明パネルと貼付固定される表面に設けられる装飾部は、携帯電子端末の画面表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいはこれらの背面に設けられる黒色や白色の下地などがある。これら装飾部は、透明パネルへの印刷により設けることが容易であるため好ましい。印刷方法や印刷インキ等は特に制限されず、シルク印刷、パッド印刷等の通常使用される印刷方法や印刷インキを使用できる。
【0034】
装飾部の厚さは、5〜30μmが好ましく、5〜25μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましい。装飾部の厚さが上記の範囲内であると本発明の両面粘着テープの段差追従性が特に好適であり、薄型の電子端末への適用時にも気泡の発生抑制等の効果を好適に発現できる。また、装飾部は複数の装飾部が積層されていてもよく、積層される装飾部の大きさや形状が異なっていてもよい。装飾部が複数積層される場合には、当該積層された装飾部の最大厚さが上記範囲内であると、本発明の効果を奏しやすくなる。
【0035】
[透明パネル]
透明パネルは、特に制限されないが、一般的に使用されるパネルとして、ガラス板、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等がある。
【0036】
透明パネルの厚さは、50μm〜3mmのものが好ましく、75μm〜2mmのものが好ましく、100μm〜1mmのものがさらに好ましい。透明パネルの厚さが上記の範囲内だと、貼り合わせ時にパネルが変形するため粘着テープに力が伝わりやすく、本発明の両面粘着テープの段差追従性の効果を発揮しやすくなる。また、厚みをこの範囲にすることで電子端末への衝撃に対する保護と端末の薄型化が両立できる。
【0037】
[画像表示装置]
画像表示装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、小型電子端末等の画像表示に使用されるLCDモジュール、有機ELモジュール、タッチパネルモジュール等が挙げられる。本発明の両面粘着テープは携帯電子機器の薄型化が可能なため、これらモジュールに使用することが好ましい。これら画像表示装置の透明パネルと貼り合わされる表面は、ガラスパネルや、ガラスパネル表面に設けられた光学フィルム等の表面である。また、タッチパネルモジュールを使用した画像表示装置の構成として、
図3及び
図4に示したように、タッチパネルモジュール上の、透明パネルに貼り合わされる表面にITOなど導電性の金属フィルムが設けられた構成がある。当該構成において、装飾が設けられた透明パネルと、画像表示装置表面の導電性の金属フィルムとを貼り合わせる場合においても、本発明は同様の効果を得ることができる。
【0038】
[パネル固定方法]
透明パネルと画像表示装置との固定に際しては、透明パネルの装飾部の段差により混入した気泡を装置外部へ抜くために加熱加圧処理を行うことが好ましい。
【0039】
上記の加熱加圧処理を行う温度の条件は、40〜80℃が好ましい。さらに、50〜70℃が好ましく特に60〜70℃であることが好ましい。上記の加熱加圧処理を行う温度が上記範囲であると、本発明の両面粘着テープの粘着剤層が、装飾の段差部分に追従する流動性とパネルの反りによる反発力に耐える凝集性を両立することができる。
【0040】
上記の加熱加圧処理を行う圧力の条件は、3〜5気圧が好ましく、4〜5気圧がより好ましい。上記の加熱加圧処理を行う圧力が上記の範囲内であると、圧力による粘着剤の変形量が大きいため、粘着剤層が装飾の段差部分に追従しやすくなる。
【0041】
上記の加熱加圧処理を行う時間の条件は、10〜50分が好ましく、20〜30分がより好ましい。上記の加熱加圧処理を行う時間が上記の範囲内であると、粘着剤層と透明パネルおよび画像表示装置との固定を効率的に実施できる。
【実施例】
【0042】
[アクリル共重合体等の調製]
アクリル共重合体及びアクリル混合物を表1の配合(表中の配合量は質量部)にて以下のとおり調製した。
【0043】
<アクリル共重合体(1)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート65質量部、メチルアクリレート30質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部を酢酸エチルに溶解し、重合を行い、質量平均分子量(Mw)70万のアクリル共重合体(1)を得た(固形分30%)。
【0044】
<アクリル共重合体(2)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート65質量部、メチルアクリレート30質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部を酢酸エチルに溶解し、重合を行い、質量平均分子量(Mw)40万のアクリル共重合体(2)を得た(固形分48%)。
【0046】
【表1】
【0047】
[粘着剤組成物の調製]
上記アクリル共重合体を使用して、粘着剤組成物を表2の配合(表中の配合量は質量部)にて以下のとおり調製した。
【0048】
<粘着剤組成物(a)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製TD−75 固形分75%)を0.22質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(a)を得た。
【0049】
<粘着剤組成物(b)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製TD−75 固形分75%)を0.20質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(b)を得た。
【0050】
<粘着剤組成物(c)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製TD−75 固形分75%)を0.25質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(c)を得た。
【0051】
<粘着剤組成物(d)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製TD−75 固形分75%)を0.40質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(d)を得た。
【0052】
<粘着剤組成物(e)>
アクリル共重合体(2)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL 固形分75%)を0.05質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(e)を得た。
【0054】
<粘着剤組成物(g)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL 固形分75%)を0.05質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(g)を得た。
【0055】
<粘着剤組成物(h)>
アクリル共重合体(1)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製TD−75 固形分75%)を0.10質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(h)を得た。
【0056】
<粘着剤組成物(i)>
アクリル共重合体(2)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL 固形分75%)を0.20質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物(i)を得た。
【0058】
【表2】
【0059】
(実施例1)
上記粘着剤組成物(a)をシリコーン化合物で片面を剥離処理した厚み50μmのポリエステルフィルム(以下#50剥離フィルム)上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(以下#38剥離フィルム)を貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0060】
(実施例2)
上記粘着剤組成物(b)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率49%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0061】
(実施例3)
上記粘着剤組成物(c)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率56%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0062】
(実施例4)
上記粘着剤組成物(d)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率58%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0063】
(実施例5)
上記粘着剤組成物(e)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率50%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0065】
(実施例7)
上記粘着剤組成物(a)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で2分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0066】
(実施例8)
上記粘着剤組成物(a)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが100μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で4分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0067】
(実施例9)
上記粘着剤組成物(a)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが125μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で5分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0068】
(比較例1)
上記粘着剤組成物(g)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率0%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0069】
(比較例2)
上記粘着剤組成物(h)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率33%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0070】
(比較例3)
上記粘着剤組成物(i)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが75μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で3分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率80%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0072】
(比較例5)
上記粘着剤組成物(a)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが40μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で2分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0073】
(比較例6)
上記粘着剤組成物(a)を#50剥離フィルム上に乾燥後の厚さが150μmになるように塗工して、60℃で2分間、100℃で6分間乾燥した。得られた粘着シートと、#38剥離フィルムを貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し、ゲル分率52%の基材レスの両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの全光線透過率は91%であった。
【0074】
[両面粘着テープの評価]
実施例1〜9、比較例1〜6で作成した両面粘着テープに以下の評価を行い、得られた結果を表3〜4に示した。
【0075】
(1)動的粘弾性測定
作成した両面粘着テープの剥離フィルムを剥がし、約2mm厚にまで重ね合わせ試験片とした。ティ・エイ・インスツルメントジャパン社製粘弾性試験機(アレス2kSTD)に、直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、この試験片を圧縮荷重40〜60gで挟み込んだ。周波数1Hzで、−30〜150℃の温度範囲を昇温速度2℃/minで測定し、70℃及び85℃における貯蔵弾性率の値を確認した。
【0076】
(2)180
°引き剥がし接着力測定
作成した両面粘着テープの片側の剥離フィルムを剥がし、厚さ25μmのPET基材に貼り合わせ、幅25mm、長さ10cmの粘着テープを作成する。温度23℃、相対湿度50%RHの環境下でガラス板に対し、2kgローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に1時間静置した後、剥離速度5mm/minにおける180°引き剥がし接着力を測定した。
【0077】
(3)印刷段差追従性
作成した両面粘着テープの片側の剥離フィルムを剥がし、厚み15μm、幅5mmの印刷層が額縁状に装飾された厚み100μm、長さ50mm、幅40mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(透明パネル代替品)に貼り合わせた。得られた試験片の残る片側の剥離フィルムを剥がし、厚み5mm、長さ50mm、幅40mmガラス板(画像表示装置の代替品)に貼り合わせ、5気圧、70℃、20分の条件で加熱加圧処理を行った。加熱加圧処理直後に、印刷した装飾部近傍全体をマイクロスコープ(倍率300倍)で観察し、気泡の混入等があるか確認した。気泡混入の評価基準は、以下の通りとした。
◎:直径5μm以上の気泡なし
○:直径30μm以上の気泡なし
△:直径30μm以上の気泡10個以内
×:直径30μm以上の気泡10個以上又は剥がれ
【0078】
(4)段差追従後の熱耐久性
上記(3)印刷段差追従性の評価サンプルを、85℃の加熱機に投入し、1時間経過後に印刷した装飾部近傍全体をマイクロスコープ(倍率300倍)で観察した場合において、気泡の混入又は剥がれ等があるか確認した。評価基準は以下の通りとした。
◎:5μm以上の気泡なし
○:直径30μm以上の気泡なし
△:直径30μm以上の気泡10個以内
×:直径30μm以上の気泡10個以上又は剥がれ
【0079】
(5)保持力試験
作成した両面粘着テープの片側の剥離フィルムを剥がし、厚さ50μmのアルミ箔に貼り合わせ、幅20mm、長さ10cmの粘着テープを作成した。作成したテープを、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で、ステンレス板の20mm幅×20mm長さの面積に2kgローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、23℃下にて1時間静置後、80℃下にて、0.5kgの荷重をかけ、24時間放置後の粘着テープの落下及びズレの有無を確認した。
○:ズレが無い(0.5mm以下)
△:0.5mmを越えるズレが発生
×:粘着テープが落下
【0080】
(6)全光線透過率測定
両面粘着テープを、厚さ0.5mm、長さ50mm、幅40mmのガラス板に貼り付けた後、これを、厚さ0.5mm、長さ50mm、幅40mmのガラス板と貼り合わせて、5気圧、70℃、20分の条件で加熱加圧処理を行い固定して、ガラス板/粘着剤層/ガラス板の層の構成を有するサンプルを調製した。村上色彩技術研究所社製「HR−100型」を使用して、サンプルのJIS K7105及びJIS K7136に基づいて全光線透過率を測定した。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
表3及び4に示したように、実施例1〜9の本発明の両面粘着テープは、装飾部を有する透明パネルと画像表示装置の固定に際し、装飾部により生じる段差への追従性に優れ、かつ、高温環境下での段差付近での発泡抑制、耐剥がれ性に優れる。一方、比較例3、4の両面粘着テープにおいては、流動性が低く段差への追従が不良であった。また、比較例5においては粘着剤が段差部分を埋めるための体積を確保できず、段差への追従が不良となった。比較例1、2の両面粘着テープにおいては、段差には追従するものの、高温環境下でのパネルの変形等に耐えることができず段差部で気泡が発生した。比較例6においては段差への追従性、高温環境下での耐剥がれ性は良好であったがテープが厚いため、電子機器の薄型化への対応が困難である。