(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0の範囲であり、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14の範囲であり、20℃における粘度(η)が5から30mPa・sの範囲であり、20℃における回転粘性(γ1)が50から150mPa・sの範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲である請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、家庭用各種電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、IPS(インプレーンスイッチング)型、OCB(光学補償複屈折)型、ECB(電圧制御複屈折)型、VA(垂直配向)型、CSH(カラースーパーホメオトロピック)型、あるいはFLC(強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としてもスタティック駆動、マルチプレックス駆動、単純マトリックス方式、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等により駆動されるアクティブマトリックス(AM)方式を挙げることができる。
【0003】
これらの表示方式において、IPS型、ECB型、VA型、あるいはCSH型等は、Δεが負の値を示す液晶材料を用いるという特徴を有する。これらの中で特にAM駆動によるVA型表示方式は、高速で広視野角の要求される表示素子、例えばテレビ等の用途に使用されている。
【0004】
VA型等の表示方式に用いられるネマチック液晶組成物には、低電圧駆動、高速応答及び広い動作温度範囲が要求される。すなわち、Δεが負で絶対値が大きく、低粘度であり、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が要求されている。また、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶材料のΔnをセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。加えて液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、粘度(η)の低い液晶材料が要求される。
【0005】
これまでは、Δεが負でその絶対値の大きな化合物を種々検討することにより液晶組成物の特性が改良されてきた。
【0006】
Δεが負の液晶材料として、以下のような2,3−ジフルオロフェニレン骨格を有する化合物(A)及び(B)(特許文献1参照)を用いた液晶組成物が開示されている。
【0007】
【化1】
【0008】
この液晶組成物は、Δεがほぼ0である化合物として化合物(C)及び(D)を用いているが、この液晶組成物は、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては十分に低い粘性を実現するに至っていない。
【0009】
【化2】
【0010】
一方、式(E)で表される化合物を用いた液晶組成物も既に開示されているが、上記の化合物(D)を組み合わせたΔnが小さい液晶組成物(特許文献2参照)や応答速度の改善のために化合物(F)のようにアルケニル基を分子内に有する化合物(アルケニル化合物)を添加した液晶組成物(特許文献3参照)であり、高Δnと高信頼性を両立させるには更なる検討が必要であった。
【0011】
【化3】
【0012】
また、式(G)で表される化合物を用いた液晶組成物は既に開示されている(特許文献4参照)が、この液晶組成物も上記の化合物(F)のようにアルケニル化合物を含む化合物を含有した液晶組成物であるため、焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生し易い弊害があった。
【0013】
【化4】
【0014】
なお、アルケニル化合物を含む液晶組成物の表示不良への影響については既に開示されている(特許文献5参照)が、一般的にはアルケニル化合物の含有量が減少すると液晶組成物のηが上昇し、高速応答の達成が困難になるため、表示不良の抑制と高速応答の両立が困難であった。
【0015】
このようにΔεが負の値を示す化合物と化合物(C)、(D)及び(F)を組み合わせるのみでは、高いΔnと低いηを両立させ、なおかつ、表示不良のない又は抑制されたΔεが負の液晶組成物の開発は困難であった。
また、式(A)及び式(G)にΔεがほぼゼロである式(III−F31)を組み合わせた液晶組成物(特許文献6参照)が開示されている。しかし、液晶表示素子の製造工程では液晶組成物を液晶セルに注入する際の極低圧で、蒸気圧が低い化合物は揮発してしまうため、その含有量を増やすことが出来ないと考えられていた。このため、該液晶組成物は式(III−F31)の含有量を限定してしまっており、大きなΔnを示すものの、粘度が著しく高いという問題があった。
【0016】
【化5】
【0017】
更に、特許文献6や特許文献7において、フッ素置換されたターフェニル構造を有する化合物を用いた液晶組成物も既に開示されている。
また、特許文献8において、(式1)で示される指数(FoM)が大きい液晶材料を使用することでホメオトロピック液晶セルの応答速度を向上させることが開示されているが、明細書中に記載されている液晶組成物の応答速度の改善は十分とは言えるものではなかった。
【0018】
【数1】
【0019】
以上のことから、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、固体相−ネマチック相転移温度(T
cn)が十分に低く、粘度(η)を十分に小さく、回転粘性(γ1)を十分に小さく、弾性定数(K
33)を大きくすることが求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
式中、R
11およびR
12は炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数2から8のアルケニル基を表し、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、R
11は炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基又は炭素原子数2から8のアルケニル基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基がより好ましく、R
12は炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルコキシ基、又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が更に好ましい。
R
11およびR
12がアルケニル基を表す場合アルケニル基としては次に記載する式(Alkenyl−1)〜式(Alkenyl−4)
【0032】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
で表される置換基が好ましい。L
11は−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−CH
2CH
2−又は単結合であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
また、L
11が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
【0033】
m
11は0、1又は2を表すが、0又は1が好ましい。
【0034】
環A1は1,4−フェニレン基を表す。環B1はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基であることがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。
環B1が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
環B1は無置換か炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよいが、無置換か炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲンで置換されていていることが好ましく、無置換か炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、ハロゲンで置換されていていることがより好ましく、無置換かハロゲンで置換されていていることが更に好ましい。
本発明では式(I)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、その含有量は1から100質量%であるが、2から80質量%であることが好ましく、3から50質量%であることが更に好ましく、3から30質量%であることが特に好ましい。
【0035】
液晶組成物の粘度を低減させることを重視する場合には、式(I)で表される化合物のR
11又はR
12がアルケニル基又はアルケニルオキシ基である化合物の含有率を多くすることが好ましく、下限値として2質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がより好ましく、15質量%がより好ましい。液晶組成物の対紫外線への安定性を重視する場合には、式(I)で表される化合物のR
11又はR
12がアルケニル基又はアルケニルオキシ基である化合物の含有率を少なくすることが好ましく、上限値として15質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
【0036】
一般式(I)で表される化合物は、例えば、一般式(I−A)、(I−B)、(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)又は(I−G)で表される化合物が挙げられるが、一般式(I−A)、(I−B)、(I−C)で表される化合物が好ましく、一般式(I−B)、(I−C)で表される化合物がより好ましく、一般式(I−B)で表される化合物が更に好ましい。
【0038】
式中、R
11およびR
12は先述の通りである。
【0039】
本発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)の値がおおよそ0である非極性化合物として、一般式(IV−1)から一般式(IV−3)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有することが好ましい。一般式(IV−1)から一般式(IV−3)で表される化合物群から選ばれる化合物は1種又は2種以上含有することが好ましいが、1種から10種が好ましく、1種から5種が更に好ましい。また、その合計の含有量は5から70質量%であることが好ましく、5から50質量%であることが更に好ましく、5から40質量%であることが特に好ましい。
【0041】
式中、R
5は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、R
6は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表す。基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子に置換されても良いが、R
5は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から4のアルケニル基であることが好ましく、R
6は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシル基、炭素原子数2から4のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数2から4のアルケニル基であることがより好ましい。
【0042】
一般式(IV−1)から一般式(IV−3)で表される化合物群の中で、一般式(IV−1)で表される化合物を含有することが特に好ましい。一般式(IV−1)で表される化合物の含有量は5から50質量%であることが好ましく、10から40質量%であることがより好ましい。
本発明の液晶組成物は、誘電的にほぼ中性の化合物を液晶組成物に含むことにより、Δεに影響を及ぼすことなく、その他の諸物性、例えば、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
NI)、液晶相温度範囲、相転移温度粘度(η)、回転粘度(γ
1)、屈折率異方性(Δn)を好ましい範囲に調整することができる。そのような化合物としては例えば下記一般式(N3)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0044】
R
p及びR
qはお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置換されたもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよいが、お互い独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基があることがより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基又は炭素原子数2から4のアルケニル基が特に好ましい。直鎖状であることが更に好ましい。R
p及びR
qがアルケニル基を表す場合、アルケニル基としては次に記載する式(Alkenyl−1)〜式(Alkenyl−4)
【0046】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
で表される構造が好ましい。
【0047】
環J、環F及び環Kはお互い独立して環J、環F及び環Kはそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基が好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、又は1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基がより好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が特に好ましい。
【0048】
Z
11およびZ
12はお互い独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−CH
2O−、−CF
2O−又は単結合を表すことが好ましく、−CH
2O−又は単結合を表すことが更に好ましい。
【0049】
更に詳述すると、前記一般式(N3)は具体的な構造として、以下の一般式(N3−1)から一般式(N3−9)で表される化合物が好ましい。
【0052】
一般式(N3−1)から一般式(N3−9)で表される化合物中、一般式(N3−1)、(N3−3)、(N3−4)、(N3−5)、(N3−8)または(N3−9)で表される化合物が好ましく、一般式(N3−1)、(N3−3)、(N3−5)または(N3−8)で表される化合物が更に好ましい。
【0053】
本発明の液晶組成物おいて、一般式(N−3)で表される化合物が1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、一般式(N−3)で表される化合物の含有率は0〜70質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが特に好ましい。
【0054】
本発明の液晶組成物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物を含有することが出来るが、具体的には一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。ただし、式(II)で表される化合物は式(I)で表される化合物は含まない。
【0056】
式中、R
21およびR
22は炭素原子数炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数炭素原子数2から8のアルケニル基を表し、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、直鎖状が好ましく、無置換であることが好ましい。また、R
21およびR
22は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基であることが更に好ましい。
R
21およびR
22がアルケニル基を表す場合、アルケニル基としては次に記載する式(Alkenyl−1)〜式(Alkenyl−4)
【0058】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
で表される構造が好ましい。
【0059】
L
21及びL
22は−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−CH
2O−、−CF
2O−又は単結合を表すことが好ましく、−CH
2O−又は単結合を表すことが更に好ましい。L
11及びL
22が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
【0060】
m
21は及びn
21はそれぞれ独立的に0、1又は2を表す。m
21+n
21は1、2又は3を表すが、1又は2であることが好ましい。
【0061】
環A2及び環B2はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基であることが好ましい。
環A2及び/又は環B2が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよく、環A2及び環B2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていても良いが、無置換か炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていることが好ましい。
【0062】
一般式(II)で表される化合物として、具体的には、一般式(II−A1)から一般式(II−A5)及び一般式(II−B1)から一般式(II−B5)で表される化合物が好ましく、これらの中でも一般式(II−A1)から一般式(II−A5)の化合物であることが更に好ましく、一般式(II−A1)又は一般式(II−A3)の化合物であることが特に好ましい。
【0065】
式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表し、基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良い。また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子に置換されても良い。
一般式(II)で表される化合物が、一般式(V)で表される化合物であることも好ましい。この場合、一般式(V)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、その含有量は2から30質量%が好ましく、2から25質量%が更に好ましく、3から20質量%が特に好ましい。
【0067】
式中、R
51及びR
52はそれぞれ独立的に炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表し、基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子に置換されても良いが、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1から3のアルキル基であることが更に好ましい。
【0068】
また、一般式(V)で表される化合物が、式(V−55)の化合物であることも好ましい。
【0070】
液晶組成物は更に、一般式(Np−1)又は一般式(Np−2)で表される化合物を1種又は2種以上含有することも好ましい。
【0072】
式中、R
Np1及びR
Np2はそれぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1から5のアルキル基であることが好ましい。なお、基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子に置換されても良い。
【0073】
X
Np1、X
Np2、X
Np3、X
Np4及びX
Np5はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表すが、少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、少なくとも2個がフッ素原子であることが更に好ましい。
【0074】
本発明の液晶組成物において、一般式(I)、一般式(IV−1)、一般式(IV−2)、一般式(IV−3)、一般式(N3)、一般式(II)、一般式(V)、一般式(Np−1)及び一般式(Np−2)で表される化合物の含有量の合計が、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることが好ましく、88質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることが好ましく、94質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることが好ましい。
【0075】
本発明の液晶組成物は、25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、−2.0から−6.0が好ましく、−2.0から−5.0がより好ましく、−2.0から−4.0が特に好ましい。
【0076】
本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0077】
本発明の液晶組成物は、20℃における粘度(η)が5から30mPa・sであるが、10から25mPa・sであることがより好ましく、10から22mPa・sであることが特に好ましい。
【0078】
本発明の液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ
1)が50から150mPa・sであるが、60から120mPa・sであることがより好ましく、60から100mPa・sであることが特に好ましい。
【0079】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0080】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを含有しても良い。
【0081】
本発明の液晶組成物は、重合性化合物を含有することもできる。これにより、PSAモード、PSVAモード、PSモード用等の液晶組成物として使用することができる。この場合、重合性化合物は0.01から2質量%含有することが好ましい。更に詳述すると、本発明の液晶組成物に、一般式(RM−1)で表される重合性化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0083】
式中、Z
M1およびZ
M2は各々独立して
【0085】
を表し、X
M1〜X
M5は水素、フッ素または
【0087】
であり、Z
M1およびZ
M2中のX
M1〜X
M5の内の少なくとも1つは、
【0090】
S
M1は、炭素原子数1〜12のアルキル基、又は単結合を表し、該アルキル基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い。
【0091】
R
M1は以下の式(R−1)から式(R−15)
【0093】
のいずれかを表すが、式(R−1)又は式(R−2)を表すことが好ましい。
【0094】
L
M1及びL
M2はお互い独立して、単結合、−O−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−を表し、L
M2が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよいが、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、又は−C≡C−が好ましく、単結合、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−又は―C
2H
4COO−がより好ましい。
【0095】
存在するM
M1は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表し、これらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、又は
【0097】
に置換されていても良く、M
M1が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは、1,4−フェニレン基であって、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、又は炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基に置換されているものがよい。その場合、M
M1が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
【0098】
m
M1は0、1又は2を表すが、0又は1が好ましい。更に詳述すると、重合性化合物である一般式(RM−1)で表される化合物として、具体的に以下の一般式(RM−1A)で表される化合物が挙げられる。
【0100】
(式中、R
M1及びS
M1は、一般式(RM−1)中のR
M1及びS
M1と同じ意味を表し、X
M1〜X
M8は水素、フッ素又は、
【0102】
を表す。)
一般式(RM−1A)で表される化合物において、上記のビフェニル骨格の構造は、無置換であるか式(IV−11)から式(IV−14)であることが好ましく、無置換または式(IV−11)であることが好ましい。
【0104】
無置換または式(IV−11)から式(IV−14)で表されるビフェニル骨格を含む重合性化合物を含有した液晶組成物を用いるとPSAモード、PSVAモード、PSモード等の液晶表示素子中の配向規制力が最適となり、良好な配向状態が得られる。
【0105】
また、一般式(RM−1)で表される化合物として、一般式(RM−1B)で表される化合物も挙げられる。
【0107】
(式中、R
M1、S
M1、L
M1、L
M2、M
M1及びm
M1は、一般式(RM−1)中のR
M1、S
M1、L
M1、L
M2、M
M1及びm
M1と同じ意味を表し、X
M1〜X
M5は水素、フッ素又は、
【0109】
を表す。)
重合性化合物である一般式(RM−1)で表される化合物として、具体的に以下の構造式(M1−1)〜(M1−13)、(M2−1)〜(M2−8)、(M3−1)〜(M3−6)、(M4−1)〜(M4−7)および(I−1)〜(I−40)で表される化合物が好ましい。
【0123】
更に、(M1−1)〜(M1−8)(M1−10)〜(M1−13)、(M2−2)〜(M2−5)、(M3−1)、(M3−4)、(M3−5)、(M4−1)、(M4−2)、(M4−4)、(M4−6)、(M4−7)、(I−1)〜(I−11)、(I−22)〜(I−25)および(I−28)〜(I−40)で表される化合物が好ましく、
特に、(M1−1)、(M1−3)、(M1−6)〜(M1−8)、(M1−11)、(M1−12)、(M2−2)、(M2−4)、(M3−1)、(M3−5)、(M4−2)、(M4−6)、(M4−7)および(I−33)〜(I−37)で表される化合物が好ましい。
【0124】
一般式(I)で表される化合物と重合性化合物である一般式(RM−1)で表される化合物を同時に含有する重合性化合物含有液晶組成物は、低い粘度(η)、低い回転粘性(γ
1)、大きな弾性定数(K
33)及び高いVHRが得られるため、これを用いたPSAモード又はPSVAモードの液晶表示素子は高速応答と高信頼性の両立を実現できるため、同時に含有することが好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)で表される化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)、一般式(II)で表される化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することも更に好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)、一般式(II)で表される化合物、一般式(IV−1)〜(IV−3)からなる群から選ばれる化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することも更に好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)、一般式(II)、一般式(V)で表される化合物、一般式(IV−1)〜(IV−3)からなる群から選ばれる化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することも更に好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)、一般式(II)、一般式(Np−1)、(Np−2)で表される化合物、一般式(IV−1)〜(IV−3)からなる群から選ばれる化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することも更に好ましく、一般式(I)、一般式(N−3)、一般式(II)、一般式(V)、一般式(Np−1)、(Np−2)で表される化合物、一般式(IV−1)〜(IV−3)からなる群から選ばれる化合物および重合性化合物である一般式(RM−1)を同時に含有することも更に好ましい。
【0125】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、高速応答という顕著な特徴を有用しており、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード又はECBモード用に適用できる。
【実施例】
【0126】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
-n -C
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n- C
nH
2n+1- 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
-On -OC
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- C
nH
2n+1O- 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
-V -CH=CH
2
V- CH
2=CH-
-V1 -CH=CH-CH
3
1V- CH
3-CH=CH-
-2V -CH
2-CH
2-CH=CH
3
V2- CH
3=CH-CH
2-CH
2-
-2V1 -CH
2-CH
2-CH=CH-CH
3
1V2- CH
3-CH=CH-CH
2-CH
2
(環構造)
【0127】
【化45】
【0128】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0129】
T
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
T
cn :固体相−ネマチック相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ
1 :20℃における回転粘性(mPa・s)
K
33 :20℃における弾性定数K
33(pN)
重合前プレチルト角 :UVを照射する前のプレチルト角(°)
重合後プレチルト角 :UVを照射した後のプレチルト角(°)
テストセルにプレチルト角形成させる場合は、テストセルに10V、100Hz、矩形波電圧を印加しながら、UVを60J(365nm)照射した。UV光源としてUSHIO社のマルチライトを使用した。
試料の応答速度を測定する場合は、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096のテストセルを使用し、Vselは5V、Vnselは1V、測定温度は20℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS301を用いた。
(比較例1、実施例1〜6)
LC−A(比較例1)、LC−1(実施例1)、LC−2(実施例2)、LC−3(実施例3)、LC−4(実施例4)、LC−5(実施例5)及びLC−6(実施例6)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表1のとおりであった。
【0130】
【表1】
【0131】
本発明の液晶組成物LC−1、LC−2、LC−3、LC−4、LC−5及びLC−6は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Aのそれよりも小さな値であった。
【0132】
これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、LC−1、LC−2、LC−3、LC−4、LC−5及びLC−6は十分に高速応答であり、LC−Aよりも5%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。
(比較例2、実施例7〜15)
MLC−A(比較例2)、MLC−1−1(実施例7)、MLC−1−2(実施例8)、MLC−1−3(実施例9)、MLC−1−4(実施例10)、MLC−2(実施例11)、MLC−3(実施例12)、MLC−4(実施例13)、MLC−5(実施例14)及びMLC−6(実施例15)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のプレチルト角を測定した。液晶組成物の構成とそのプレチルト角の測定結果は表2のとおりであった。
【0133】
【表2】
【0134】
本発明の液晶組成物MLC−1−1〜4、MLC−2〜6は、UV照射によりMLC−Aと同様、適度なプレチルト角が付与されていた。これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、MLC−1−1〜4、MLC−2〜6は十分に高速応答であり、MLC−Aよりも5%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型やPSA型、PSVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。
(比較例3、実施例16、実施例17)
LC−B(比較例3)、LC−7(実施例16)及びLC−8(実施例17)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表3のとおりであった。
【0135】
【表3】
【0136】
本発明の液晶組成物LC−7及びLC−8は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Bのそれよりも小さな値であった。
【0137】
これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、LC−7及びLC−8は十分に高速応答であり、LC−Bよりも8%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。
(比較例4、実施例18〜19)
MLC−B(比較例4)、MLC−7(実施例18)及びMLC−8(実施例19)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のプレチルト角を測定した。液晶組成物の構成とそのプレチルト角の測定結果は表4のとおりであった。
【0138】
【表4】
【0139】
本発明の液晶組成物MLC−7及びMLC−8は、UV照射によりMLC−Bと同様、適度なプレチルト角が付与されていた。これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、MLC−7及びMLC−8は十分に高速応答であり、MLC−Bよりも8%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型やPSA型、PSVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。
(比較例5、実施例20〜22)
LC−C(比較例5)、LC−9(実施例20)、LC−10(実施例21)及びLC−11(実施例22)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表5のとおりであった。
【0140】
【表5】
【0141】
本発明の液晶組成物LC−9、LC−10及びLC−11は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Cのそれよりも小さな値であった。
【0142】
これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、LC−9.LC−10及びLC−11は十分に高速応答であり、LC−Cよりも3%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。
(比較例6、実施例23〜27)
MLC−C(比較例6)、MLC−9−1(実施例23)、MLC−9−2(実施例24)、MLC−9−3(実施例25)、MLC−10(実施例26)及びMLC−11(実施例27)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のプレチルト角を測定した。液晶組成物の構成とそのプレチルト角の測定結果は表6のとおりであった。
【0143】
【表6】
【0144】
本発明の液晶組成物MLC−9−1、MLC−9−2、MLC−9−3、MLC−10及びMLC−11は、UV照射によりMLC−Cと同様、適度なプレチルト角が付与されていた。これらを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、MLC−9−1、MLC−9−2、MLC−9−3、MLC−10及びMLC−11は十分に高速応答であり、MLC−Bよりも3%以上高速であった。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型やPSA型、PSVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。