特許第5790945号(P5790945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5790945炭素と炭素の多重結合を有する樹脂を含む接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790945
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】炭素と炭素の多重結合を有する樹脂を含む接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 171/08 20060101AFI20150917BHJP
   C08G 65/40 20060101ALI20150917BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C09J171/08
   C08G65/40
   B32B27/00 D
【請求項の数】16
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2012-528640(P2012-528640)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2011067466
(87)【国際公開番号】WO2012020655
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2014年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2010-254767(P2010-254767)
(32)【優先日】2010年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-179369(P2010-179369)
(32)【優先日】2010年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】荻野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田村 護
(72)【発明者】
【氏名】榎本 智之
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−233939(JP,A)
【文献】 特開2003−231750(JP,A)
【文献】 特開2005−264008(JP,A)
【文献】 特表昭62−501370(JP,A)
【文献】 特開平06−322255(JP,A)
【文献】 特開2010−280781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 27/00
C08G 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式中、Lはアリーレン基、又はアリーレン基とスルホニル基若しくはカルボニル基との組み合わせを表し、Tはフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、又は置換基を有していても良いアリーレン基とフルオロアルキレン基若しくは環状アルキレン基との組み合わせを表す。)で表される単位構造を含むポリマーであって、
該ポリマーの末端、側鎖、又は主鎖に式(2−A)で表される構造、式(2−B)で表される構造、又はそれら両方の構造を有する基を少なくとも一つ有するポリマーを含む接着剤組成物であって、
【化2】
前記L及びTにおけるアリーレン基が、それぞれ独立してフェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基であり、
また前記ポリマーは、前記Lが下記式(3)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造、又は前記Lが下記式(4)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含む、接着剤組成物。
【化3】
(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表し、Lはスルホニル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフィニル基、又はスルホンアミド基を表し、n1、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を示す。)
【請求項2】
前記ポリマーが1種類の単位構造を有する単独重合体である、請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが少なくとも2種類の単位構造を有する共重合体である、請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記Lが請求項記載の式(3)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造と、前記Lが請求項記載の式(4)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造との組み合わせを含むポリマーを含む、請求項1又は請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記Tが下記式(6)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含むポリマーを含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【化4】
(式中及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表しn5及びn6はそれぞれ0〜4の整数を表す。Tはフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)
【請求項6】
前記式(3)において、Rが少なくともシアノ基を含み、n1が1〜4の整数である、請求項又は請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記式(3)において、Rが少なくともシアノ基を含み、n1が1〜4の整数である、請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記式(4)において、Lはスルホニル基又はカルボニル基である、請求項又は請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記式(4)において、Lはスルホニル基又はカルボニル基である、請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
更に式(7):
【化5】
(式中Lは上記式(3)又は式(4)で表される二価の基を表し、Tはアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)で表される単位構造を含むポリマーを含む、請求項1及び請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
前記アリーレン基がフェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基である、請求項10に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記Tが式(8):
【化6】
(式中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表し、n7及びn8はそれぞれ0〜4の整数を表す。Tはアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)で表される二価の基である、請求項10又は請求項11に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
前記第3級炭素構造を有する基がターシャリーブチル基である、請求項乃至請求項12のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
更に溶剤を含み、0.001〜5,000Pa・sの粘度を有する、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
被接着物とそれとは種類が同じ又は異なる被接着物との間に請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の接着剤組成物にて形成された接着層が挟まれてなる積層体であって、該接着層が、厚さ0.1μm〜200μmである、積層体。
【請求項16】
前記被接着物がシリコン基板、ガラス基板、樹脂基板、又はセラミックス基板である、請求項15に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤組成物に関するものである。さらに詳しくは、ICチップなどの半導体製品や光学系製品などの積層体を形成する工程において、被積層物間を接着する接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やICカード等の電子機器の高機能化、小型化に伴い、半導体デバイスの高集積化が求められている。その手法として、半導体そのものの微細化や半導体素子間を縦方向に積み上げるスタック構造が検討されている。
スタック構造の作製において、半導体素子間の接合に接着剤が使用されているが、公知の接着剤として知られているアクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂は耐熱性が250℃程度しかなく、メタルバンプの電極接合やイオン拡散工程など、250℃以上もの高温が求められるような工程では使用できないという問題がある。
【0003】
耐熱性の向上を図った提案例として、例えばガラス基材にシリコーン樹脂を含浸させた無機系絶縁基板上に、30体積%〜45体積%のポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末と熱硬化性樹脂とを含むアンダーコート膜を形成した厚膜技術用基板が開示されている(特許文献1)。
ポリイミドからなる主鎖を有し末端に炭素と炭素の三重結合を有する官能基を持ったポリマーを含み、プレキシブルプリント配線基板用の接着剤が開示されている(特許文献2)。
フェニル基、尿素、アミド基等と、炭素と炭素の三重結合を有する官能基を含む主鎖を有するポリマーを含む接着剤組成物が開示されている(特許文献3)。
スルホン酸基を有するポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンを含むポリマーを含む接着剤組成物が開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−070875号公報
【特許文献2】国際公開第2006−137369号パンフレット
【特許文献3】特開2010−065097号公報
【特許文献4】特開2005−264008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように公知の接着剤として知られているアクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂は、耐熱性が250℃程度しかなく、250℃以上もの高温化下で使用することはできない。
そこで耐熱性の向上を狙って、特許文献1〜4等に開示されるようなポリエーテルエーテルケトンのような芳香族ポリエーテルを用いた接着剤が提案されているが、一般にポリエーテルエーテルケトンは溶剤や樹脂溶液中への溶解性が低く、塗布型の接着剤とすることができず、例えばペースト状インクとしてスクリーン印刷法で被接着物を被覆する方法が採られていた。しかしながらポリエーテルエーテルケトン樹脂の含有量が増えすぎるとスクリーン印刷可能なインクを形成できず、例えば、特許文献1ではポリエーテルエーテルケトンの含有量が30体積%〜45体積%の割合に制限され、依然として耐熱性に問題を残すものであった。
このように、ポリエーテルエーテルケトンのような芳香族ポリエーテルは溶媒溶解性が極めて低く溶解性を示さないため、溶媒選択性に乏しく、厚膜化が難しく、更に塗布性も十分ではないという問題がある。
溶媒溶解性向上の方法として、長鎖アルキルに代表される柔軟な構造を導入することが提案されているものの、総じて耐熱性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、種々の有機溶媒に容易に溶解して、塗布性良く十分な厚さの接着層を形成することが可能で、且つその接着層がメタルバンプ接合、CVD、イオン拡散工程などの高温プロセスにおいて熱重量減が極めて少なく、密着性が良好な高耐熱性接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は第1観点として、下記式(1):
【化1】
(式中、L1はアリーレン基、又はアリーレン基とスルホニル基若しくはカルボニル基との組み合わせを表し、T1はフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、置換基を有するアリーレン基、又は置換基を有していても良いアリーレン基とフルオロアルキレン基若しくは環状アルキレン基との組み合わせを表す。)で表される単位構造を含むポリマーであって、該ポリマーの末端、側鎖、又は主鎖に式(2−A)で表される構造、式(2−B)で表される構造、又はそれら両方の構造を有する基を少なくとも一つ有するポリマーを含む接着剤組成物、
【化2】
第2観点として、前記L1及びT1におけるアリーレン基が、それぞれ独立してフェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基である、第1観点に記載の接着剤組成物、
第3観点として、前記ポリマーが1種類の単位構造を有する単独重合体である、第1観点又は第2観点に記載の接着剤組成物、
第4観点として、前記ポリマーが少なくとも2種類の単位構造を有する共重合体である、第1観点又は第2観点に記載の接着剤組成物、
第5観点として、前記L1が下記式(3)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含むポリマー、又は前記L1が下記式(4)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含むポリマーを含む、第1観点乃至第4観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
【化3】
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表し、L2はスルホニル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフィニル基、又はスルホンアミド基を表し、n1、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を示す。)
第6観点として、前記L1が第5観点記載の式(3)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造と、前記L1が第5観点記載の式(4)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造との組み合わせを含むポリマーを含む、第1観点、第2観点及び第4観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第7観点として、前記T1が下記式(5)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含むポリマー、又は前記T1が下記式(6)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造を含むポリマーを含む、第1観点乃至第6観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
【化4】
(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表し、n4、n5及びn6はそれぞれ0〜4の整数を表す。T2はフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)
第8観点として、前記T1が第7観点記載の式(5)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造と、前記T1が第7観点記載の式(6)で表される二価の基であるところの上記式(1)で表される単位構造との組み合わせを含むポリマーを含む、第1観点、第2観点及び第4観点乃至第6観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第9観点として、前記式(3)において、R1が少なくともシアノ基を含み、n1が1〜4の整数である、第5観点又は第6観点に記載の接着剤組成物、
第10観点として、前記式(3)において、R1が少なくともシアノ基を含み、n1が1〜4の整数である、第7観点又は第8観点に記載の接着剤組成物、
第11観点として、前記式(4)において、L2はスルホニル基又はカルボニル基である、第5観点又は第6観点に記載の接着剤組成物、
第12観点として、前記式(4)において、L2はスルホニル基又はカルボニル基である、第7観点又は第8観点に記載の接着剤組成物、
第13観点として、更に式(7):
【化5】
(式中L3は上記式(3)又は式(4)で表される二価の基を表し、T3はアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)で表される単位構造を含むポリマーを含む、第1観点乃至第2観点及び第4観点乃至第12観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第14観点として、前記アリーレン基がフェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基である、第13観点に記載の接着剤組成物、
第15観点として、前記T3が式(8):
【化6】
(式中、R7及びR8はそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせを表し、n7及びn8はそれぞれ0〜4の整数を表す。T4はアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを表す。)で表される二価の基である、第13観点又は第14観点に記載の接着剤組成物、
第16観点として、前記第3級炭素構造を有する基がターシャリーブチル基である、第5観点乃至第15観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第17観点として、ポリマーの重量平均分子量が500〜5,000,000である、第1観点乃至第16観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第18観点として、更に溶剤を含み、0.001〜5,000Pa・sの粘度を有する、第1観点乃至第17観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物、
第19観点として、被接着物とそれとは種類が同じ又は異なる被接着物との間に第1観点乃至第17観点のいずれか1項に記載の接着剤組成物にて形成された接着層が挟まれてなる積層体であって、該接着層が、厚さ0.1μm〜200μmである、積層体、
第20観点として、前記被接着物がシリコン基板、ガラス基板、樹脂基板、又はセラミックス基板である、第19観点に記載の積層体、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、種々の溶媒に容易に溶解し、且つ良好な塗布性を得ることが可能な接着剤組成物を得ることができる。
また本発明の接着剤組成物に使用するポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルアリーレン等のポリエーテル構造を有することで、接着するのに十分な厚さの接着層を形成することができ、且つその接着層がメタルバンプ接合、CVD、イオン拡散工程などの高温プロセスにおいて熱重量減が極めて少なく、高温プロセス後も高い密着性を有するなど、耐熱性に非常に優れる接着剤組成物を得ることができる。
また本発明はの接着剤組成物は、ポリエーテル構造を有するポリマーを含む被加工物(例えば、加熱処理、加圧処理、又はリソグラフィー等を通じて加工される積層物質)同士の接着に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は前記式(1)で表される単位構造を含むポリマーであって、該ポリマーの末端、側鎖、又は主鎖に前記式(2−A)で表される構造、前記式(2−B)で表される構造、又はそれら両方の構造を有する基を少なくとも一つ有するポリマーを含む接着剤組成物である。
上記接着剤組成物は前記ポリマーに加えてさらに溶剤を含み得、さらに任意成分として接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、粘着付与剤、可塑剤、接着助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等を含有することもできる。
【0010】
本発明の接着剤組成物において、該接着剤組成物から溶剤を取り除いた残部の割合で示される固形分量は、0.1〜80質量%、好ましくは1〜60質量%である。固形分中に占める式(1)で表される単位構造を含むポリマーの割合は30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%とすることが可能である。
本発明に用いられる前記ポリマーは熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0011】
前記式(2−A)で表される構造は炭素と炭素の三重結合であり、また式(2−B)で表される構造は炭素と炭素の二重結合であり、これら構造がポリマーの末端や側鎖に存在する場合、これら構造は下記に示す一価の基:
【化7】
となり、また、ポリマーの主鎖中では式(2−A)で表される二価の基、又は式(2−B)で表される四価の基である。
【0012】
このポリマーの末端、側鎖、又は主鎖に存在する炭素と炭素の三重結合は加熱(例えば、400℃以上)により、連続した不飽和結合(例えばジエン構造)や芳香族環構造を形成し、ポリマー分子同士が架橋化すると考えられる。
また、炭素と炭素の二重結合もやはり加熱により、架橋構造を形成すると考えられる。
【0013】
本発明に用いられる前記式(1)で表される単位構造を含むポリマーの分子量は重量平均分子量として、500〜5,000,000、好ましくは1,000〜1,000,000、好ましくは1,000〜100,000である。
【0014】
以下、本発明に用いられる前記式(1)で表される単位構造を含むポリマーの構造について詳述する。
【0015】
式(1)中、L1はアリーレン基、又はアリーレン基とスルホニル基若しくはカルボニル基との組み合わせを表す。
【0016】
式(1)中、T1はフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、置換基を有するアリーレン基、又は置換基を有していても良いアリーレン基とフルオロアルキレン基若しくは環状アルキレン基との組み合わせを示す。
置換基を有するアリーレン基は、以下に述べられる置換基を有するアリーレン基を示す。
置換基を有していても良いアリーレン基とフルオロアルキレン基若しくは環状アルキレン基との組み合わせは、置換又は非置換のアリーレン基とフルオロアルキレン基又は環状アルキレン基との組み合わせを示す。
【0017】
上記L1、T1中のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチル基、又はアントリル基等が挙げられ、中でもフェニレン基又はナフチル基を好ましく用いることができる。
【0018】
上記フロオロアルキレン基としては炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基が挙げられ、これらのフルオロアルキレン基は、完全フッ素化(パーフルオロ化)された基や、一部フッ素化されたアルキレン基(モノフルオロ化、ジフルオロ化等)として用いることができる。その具体例としては、例えばフルオロメチレン基、フルオロエチレン基、フルオロ−n−プロピレン基、フルオロイソプロピレン基、フルオロプロパン−2,2−ジイル基、フルオロ−n−ブチレン基、フルオロイソブチレン基、フルオロ−s−ブチレン基、フルオロ−t−ブチレン基等が挙げられる。中でもパーフルオロプロパン−2,2−ジイル基等の炭素原子数1〜4のフルオロアルキレン基が挙げられる。
【0019】
環状アルキレン基としては、炭素原子数が3〜30の環状アルキレン基が挙げられ、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基、1−メチル−シクロペンチレン基、2−メチル−シクロペンチレン基、3−メチル−シクロペンチレン基、1−エチル−シクロブチレン基、2−エチル−シクロブチレン基、3−エチル−シクロブチレン基、1,2−ジメチル−シクロブチレン基、1,3−ジメチル−シクロブチレン基、2,2−ジメチル−シクロブチレン基、2,3−ジメチル−シクロブチレン基、2,4−ジメチル−シクロブチレン基、3,3−ジメチル−シクロブチレン基、1−n−プロピル−シクロプロピレン基、2−n−プロピル−シクロプロピレン基、1−i−プロピル−シクロプロピレン基、2−i−プロピル−シクロプロピレン基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピレン基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピレン基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピレン基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピレン基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピレン基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピレン基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピレ基等が挙げられる。また、アダマンタン、ノルボルネンから誘導される2価の有機基を用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる式(1)で表される単位構造を含むポリマーにおいて、L1、T1は、上述に例示したこれらの官能基を一種単独で用いることも、複数組み合わせて用いることもできる。
上記ポリマーは、1種類の繰り返し単位構造からなる単独重合体として用いることも、2種類又はそれ以上の繰り返し単位構造からなる共重合体としても用いることができる。
【0021】
本発明の接着剤組成物では、L1がそれぞれ前記式(3)で表される二価の基であるか、或いは前記式(4)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造を含むポリマーを含むことができる。
即ち、L1が前記式(3)で表される二価の基であるところの式(1)で表される単位構造を含むポリマー、L1が前記式(4)で表される二価の基であるところの式(1)で表される単位構造を含むポリマー、又はそれらの単位構造の組み合わせを含むポリマーを含むことができる。
【0022】
前記式(3)、(4)中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせであり、L2はスルホニル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフィニル基、又はスルホンアミド基であり、n1、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を示す。
【0023】
炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基等が挙げられる。
【0024】
炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基としては、完全フッ素化(パーフルオロ化)された基や、一部フッ素化されたアルキル基(モノフルオロ化、ジフルオロ化等)として用いることができる。例えばフルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロ−n−プロピル基、フルオロイソプロピル基、フルオロ−n−ブチル基、フルオロイソブチル基、フルオロ−s−ブチル基、フルオロ−t−ブチル基等が挙げられる。
【0025】
アシル基としては炭素原子数2〜10のアシル基が挙げられ、例えばメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、1−メチル−シクロプロピルカルボニル基、2−メチル−シクロプロピルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、1−メチル−n−ブチルカルボニル基、2−メチル−n−ブチルカルボニル基、3−メチル−n−ブチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−n−プロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、1−メチル−シクロブチルカルボニル基、2−メチル−シクロブチルカルボニル基、3−メチル−シクロブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−シクロプロピルカルボニル基、2,3−ジメチル−シクロプロピルカルボニル基、1−エチル−シクロプロピルカルボニル基、2−エチル−シクロプロピルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルカルボニル基、3−メチル−n−ペンチルカルボニル基、4−メチル−n−ペンチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1−エチル−n−ブチルカルボニル基、2−エチル−n−ブチルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0026】
アシルオキシ基としては炭素原子数2〜10のアシルオキシ基が挙げられ、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、1−メチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、2−メチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−シクロブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−シクロブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−シクロブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−シクロプロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
第3級炭素構造を有する基はタ−シャリーブチル基を好ましく用いることができる。
【0028】
環状アルキル基としては、炭素原子数が3〜30の環状アルキル基が挙げられ、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。また、アダマンタン、ノルボルネンから誘導される1価の有機基を用いることができる。
【0029】
好ましくは式(3)において、R1が少なくともシアノ基を含み、n1が1〜4の整数である構造を用いることができる。
また式(4)において、L2はスルホニル基、又はカルボニル基である構造を用いることができる。
【0030】
また本発明に用いる式(1)で表される単位構造を含むポリマーは、上記L1の選択とは別に、又は上記L1の選択と共に、T1が前記式(5)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造を含むポリマー、T1が前記式(6)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造を含むポリマー、又はそれらの単位構造の組み合わせを含むポリマーを含むことができる。
【0031】
即ち、本発明に用いるポリマーは、L1が前記式(3)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造;L1が前記式(4)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造;T1が前記式(5)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造;T1が前記式(6)で表される二価の基であるところの前記式(1)で表される単位構造;L1が前記式(3)で表される二価の基であり且つT1が前記式(5)で表される二価の基であるところの前記式(1)の単位構造;L1が前記式(3)で表される二価の基であり且つT1が前記式(6)で表される二価の基であるところの前記式(1)の単位構造;L1が前記式(4)で表される二価の基であり且つT1が前記式(5)で表される二価の基であるところの前記式(1)の単位構造;L1が前記式(4)で表される二価の基であり且つT1が前記式(6)で表される二価の基であるところの前記式(1)の単位構造;又はこれらの単位構造の組み合わせを含むポリマーを用いることができる。
【0032】
式(5)、(6)中、R4、R5及びR6はそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせであり、n4、n5及びn6はそれぞれ0〜4の整数を示す。T2はフルオロアルキレン基、環状アルキレン基、又はこれらの組み合わせを示す。
【0033】
炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、第3級炭素構造を有する基、及び環状アルキル基は上述に例示した基を用いることができる。
フルオロアルキレン基及び環状アルキレン基は上述に例示した基を用いることができ、これらを単独で用いることも、組み合わせて用いることもできる。
【0034】
本発明の接着剤組成物に含まれるポリマーとして、式(1)で表される単位構造に加え、更に前記式(7)で表される単位構造を含む、共重合体を用いることができる。
【0035】
式(7)中、L3は前記式(3)又は前記式(4)で表される二価の基を表し、T3はアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを示す。これらのうち、アリーレン基、アルキレン基は上述に例示した基を用いることができる。
式(7)において、上記アルキレン基としては炭素原子数1〜10のアルキレン基が挙げられ、これらのアルキレン基は例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、プロパン−2,2−ジイル基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基等が挙げられる。中でもプロパン−2,2−ジイル基等の炭素原子数1〜4のアルキレン基が挙げられる。
式(7)においてアリーレン基は、置換若しくは非置換のフェニレン基又はナフチレン基を用いることができる。
式(7)においてT3は前記式(8)で表される二価の基を用いることができる。式(8)中、R7及びR8はそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アリル基、アリロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、又はそれらの組み合わせであり、n7及びn8はそれぞれ0〜4の整数を示す。T4はアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数6〜30のアリーレン基、又はこれらの組み合わせを示す。
上記アルキル基、炭素原子数1〜4のフルオロアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、第3級炭素構造を有する基、環状アルキル基、アルキレン基、及びアリーレン基は上述の例示を用いることができる。
【0036】
なお本発明において“第3級炭素構造を有する基”とは、第3級炭素構造を有する官能基を意味し、この官能基が炭素原子の水素原子に置換して第4級炭素を生じる。この第3級炭素構造の炭素に結合している有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、フェニル基等のアリール基が例示されるが、メチル基が好ましく用いられ、3つのメチル基を有するターシャリーブチル基が好ましく用いることができる。
【0037】
本発明の接着剤組成物に用いられるポリマーとして、以下の式(1−1)〜(1−42)で表されるポリマーを例示することができる。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0038】
式(1)で表される単位構造を含むポリマーの合成では、その工程中において、末端にヒドロキシ基を有し、また側鎖にヒドロキシ基を有する官能基を導入することができる。
そして、このヒドロキシ基とモノハロゲン化アルキン(例えば、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。)や、モノハロゲン化アルケン(例えば、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。)を反応させることにより、脱ハロゲン化水素反応により末端や側鎖に炭素−炭素の三重結合(アルキン)や炭素−炭素の二重結合(アルケン)が形成される。
また、末端や側鎖にヒドロキシ基を有するポリマーと、ジハロゲン化アルキン(例えば、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。)や、ジハロゲン化アルケン(例えば、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。)を反応させることにより、脱ハロゲン化水素反応により分子主鎖中に炭素−炭素の三重結合(アルキン)や炭素−炭素の二重結合(アルケン)が形成されることとなる。
【0039】
本発明の接着剤組成物は、有機溶剤を含む塗布液の形態とすることができる。前記式(1)で表される単位構造を有するポリマーが有機溶剤に溶解したとき、その溶液粘度が0.001〜5,000Pa・sの粘度を示す範囲であることが好ましく、これによりスピンコート性を示す塗布液とすることができる。
【0040】
上記有機溶剤としては、その他半導体工程で使用できる溶媒であれば特に限定はないが、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
本実施の形態に係る接着剤組成物には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲で、さらに、混和性のある添加剤、例えば接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、粘着付与剤、可塑剤、接着助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加することができる。
【0042】
接着剤の性能を改良するための付加的樹脂(ポリマー)としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルエーテル、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ポリエーテル、ポリアミド、及びポリカーボネート等の付加重合ポリマーまたは縮重合ポリマーを使用することができる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、キノリン環、及びキノキサリン環等の芳香環構造を有するポリマーが好ましく使用される。
【0043】
そのような付加的樹脂(ポリマー)としては、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、ベンジルビニルエーテル、及びN−フェニルマレイミド等の付加重合性モノマーをその構造単位として含む付加重合ポリマーや、フェノールノボラック、及びナフトールノボラック等の縮重合ポリマーが挙げられる。
【0044】
また、付加的樹脂(ポリマー)としては芳香環構造を有さないポリマーを使用することができる。そのようなポリマーとしては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、アクリロニトリル、マレイミド、N−アルキルマレイミド、及びマレイン酸無水物等の芳香環構造を有さない付加重合性モノマーのみをその構造単位として含む付加重合ポリマーが挙げられる。
【0045】
付加的樹脂(ポリマー)として付加重合ポリマーが使用される場合、そのポリマーは単独重合体でもよく共重合体であってもよい。付加重合系ポリマーの製造には付加重合性モノマーが使用される。そのような付加重合性モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、マレイン酸無水物、及びアクリロニトリル等が挙げられる。
【0046】
アクリル酸エステル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリクロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及びグリシジルアクリレート等が挙げられる。
【0047】
メタクリル酸エステル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリクロロエチルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、及びブロモフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0048】
アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びN−アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0049】
メタクリルアミド化合物としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、及びN−アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0050】
ビニル化合物としては、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニル酢酸、ビニルトリメトキシシラン、2−クロロエチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセン等が挙げられる。
【0051】
スチレン化合物としては、スチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、シアノスチレン、及びアセチルスチレン等が挙げられる。
【0052】
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、及びN−ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げられる。
【0053】
本発明の接着剤組成物に使用される付加的樹脂(ポリマー)の分子量としては、重量平均分子量として、例えば、1,000〜1,000,000であり、または3,000〜300,000であり、また、例えば5,000〜200,000であり、または10,000〜100,000である。
【0054】
発明の接着剤組成物に付加的樹脂(ポリマー)が含まれる場合、その含有量としては、固形分中で例えば0〜40質量%であり、または0〜20質量%であり、または1〜19質量%である。
【0055】
粘着付与剤は、弾性率、粘性制御、表面状態制御のために添加される。かかる粘着付与剤の種類は、粘性を考慮して定めることが好ましいが、具体的に、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、不均化ロジン系樹脂、二量化ロジン系樹脂、エステル化ロジン系樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。粘着付与剤は接着剤組成物の主成分ポリエーテル100質量部に対して0〜100質量部の割合で含有することができる。この理由は、かかる粘着付与剤の添加量が100質量部を越えると、耐熱性が不十分になることがあるためである。
したがって、かかる粘着付与剤の添加量を0〜100質量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜50質部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0056】
本発明では、基板などの被接着物上に本発明の接着性組成物をスピンコートで塗布し50〜300℃で焼成し接着層を形成し、接着層の上から前記と同じ又は異なる種類の被接着物で被覆するように接着させることで、被接着物層と該被接着物層間に設けられた接着層を含む積層体を得ることができる。該積層体において、被接着物層を加工してもよい。
スピンコートには、前述のとおり、有機溶剤を含有する形態の本発明の接着剤組成物を好適に用いることができる。
【0057】
本発明の接着剤組成物を使用でき、積層体を形成可能な被接着物としては例えば、シリコン、酸化シリコン、ガラス、窒化シリコンなどの無機材料、アルミニウム、銅などの金属材料、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの樹脂材料等が用いられる。
また、本発明の接着剤組成物を使用できる支持体としては例えば、シリコン基板、ガラス基板、樹脂基板、及びセラミック基板を例示することができる。
【0058】
本発明では、被接着物(基板など)に接着剤組成物(の塗布液)をスピンコート法などを用いて塗布する際、形成した接着層の厚さが0.1um以上200μm以下であることが好ましい。
これは、例えば半導体ウェハ等で使用するとき、被接着物上に形成した接着層の厚さが薄すぎると表面の凹凸を追従できず接着時にボイドが入る可能性があり、厚すぎると接着層にクラックが生じる可能性があることによる。好ましくは接着層の厚さは1μm〜50μmであることが望ましい。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例、比較例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
以下に記載する合成例で得られた高分子化合物のGPC分析は、下記の装置を用い、測定条件は下記のとおりである。
装置:一体型高速GPCシステム HLC−8220GPC 東ソー株式会社製
カラム:KF−G,KF804L
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流量:1.0mL/分
標準試料:ポリスチレン
ディテクター:RI
【0060】
合成例1
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で4,4’−ジクロロジフェニルスルホン54.56gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン67.25gを1−メチル−2−ピロリドン753.46gに溶解させ、炭酸カリウム28.88gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−1)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は19,000であった。
【0061】
合成例2
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン40.37gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン69.11gを1−メチル−2−ピロリドン558.56gに溶解させ、炭酸カリウム76.71gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−2)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は15,000であった。
【0062】
合成例3
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン25.83gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン50.43g、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン2.75gを1−メチル−2−ピロリドン504.22gに溶解させ、炭酸カリウム21.82gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−3)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は22,000であった。
【0063】
合成例4
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン43.07gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン50.43g、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン2.75gを1−メチル−2−ピロリドン590.40gに溶解させ、炭酸カリウム21.82gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−4)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は26,000であった。
【0064】
合成例5
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,4−ジフルオロベンゾニトリル10.43gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン26.54gを1−メチル−2−ピロリドン204.22gに溶解させ、炭酸カリウム31.10gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−5)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は7,000であった。
【0065】
合成例6
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,5−ジフルオロベンゾニトリル10.76gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン26.54gを1−メチル−2−ピロリドン204.22gに溶解させ、炭酸カリウム31.10gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−6)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は12,000であった。
【0066】
合成例7
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,6−ジフルオロベンゾニトリル10.76gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン26.54gを1−メチル−2−ピロリドン204.22gに溶解させ、炭酸カリウム31.10gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−7)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は11,000であった。
【0067】
合成例8
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン25.84gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン26.54gを1−メチル−2−ピロリドン204.22gに溶解させ、炭酸カリウム31.10gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、炭酸カリウム12.44gとプロパルギルブロミド22.54gを加え、80℃で20時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−8)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は40,000であった。
【0068】
合成例9
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,4’−ジクロロベンゾトリフロリド10.21gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.16g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.41gを1−メチル−2−ピロリドン204.22gに溶解させ、炭酸カリウム20.73gを加え、系内を窒素置換した。
190℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、プロパルギルブロミド14.14gを加え、80℃で20時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−14)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は40,000であった。
【0069】
合成例10
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン10.81gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.16g、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン6.71gを1−メチル−2−ピロリドン80.01gに溶解させ、炭酸カリウム20.73gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン43.31gに溶解させたアリルブロミド66.54g及び炭酸カリウム20.73gを加え、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に2N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−36)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は13,400であり、末端フェノール基およびアミノ基の反応率は88%であった。
【0070】
合成例11
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン37.09gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.63g、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン34.65gを1−メチル−2−ピロリドン325.10gに溶解させ、炭酸カリウム82.93gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン156.76gに溶解させたアリルブロミド193.57gおよび炭酸カリウム138.21gを加えて、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に2N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−37)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は13,900であり、末端フェノール基およびアミノ基の反応率は88%であった。
【0071】
合成例12
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン9.27gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.16g、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン8.66gを1−メチル−2−ピロリドン81.27gに溶解させ、炭酸カリウム20.73gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン39.73gに溶解させたプロパルギルブロミド50.56gおよび炭酸カリウム20.73gを加えて、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に2N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−16)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は14,700であり、末端フェノール基およびアミノ基の反応率は86%であった。
【0072】
合成例13
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン9.27gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.16g、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン8.66gを1−メチル−2−ピロリドン81.27gに溶解させ、炭酸カリウム20.73gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン39.73gに溶解させたプロパルギルブロミド12.64gおよび炭酸カリウム20.73gを加えて、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に2N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−16)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は14,700であり、末端フェノール基およびアミノ基の反応率は52%であった。
【0073】
合成例14
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,4−ジフルオロベンゾニトリル6.61gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.16g、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン8.66gを1−メチル−2−ピロリドン73.28gに溶解させ、炭酸カリウム20.73gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン27.96gに溶解させたプロパルギルブロミド14.13gを加えて、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に2N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−17)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は12,700であり、末端フェノール基およびアミノ基の反応率は50%であった。
【0074】
合成例15
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,6−ジフルオロベンゾニトリル20.86gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン54.91g、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン1.16gを1−メチル−2−ピロリドン489.50gに溶解させ、炭酸カリウム20.93gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとプロパルギルブロミド1.69gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−18)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は18,000であった。
【0075】
合成例16
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン29.05gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン50.43g、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン1.06gを1−メチル−2−ピロリドン519.13gに溶解させ、炭酸カリウム21.82gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、炭酸カリウム2.16gとアリルブロミド1.97gを加え、リフラックス条件で20時間反応させた。得られた反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られた溶液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−40)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は27,000であった。
【0076】
合成例17
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、2,6−ジフルオロベンゾニトリル20.44gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン50.44g、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1.12gを1−メチル−2−ピロリドン528.50gに溶解させ、炭酸カリウム63.43gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応終了後、系内の温度が80℃になるまで冷却し、1−メチル−2−ピロリドン53.53gに溶解させたプロパルギルブロミド17.84g、ヨウ化カリウムを6.02gおよび炭酸カリウム22.80gを加えて、80℃で20時間撹拌し、ポリマー末端のフェノール基およびアミノ基に反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−20)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は23,000であった。
【0077】
合成例18
撹拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた三口フラスコ中で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン20.67gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン33.62g、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1.92gを1−メチル−2−ピロリドン361.12gに溶解させ、炭酸カリウム20.67gを加え、系内を窒素置換した。
160℃のオイルバスで20時間反応させた。
反応溶液を桐山ロートで吸引濾過し、得られたろ液に1N−塩酸:1−メチル−2−ピロリドン=1:9の溶液を酸性になるまで加え、リトマス試験紙を用いて溶液が酸性条件であることを確認した。その後、得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
テトラヒドロフラン100gに得られた粉体10gを溶解させた後、トリエチルアミン0.45gを加え、0℃に冷却し、テトラヒドロフラン10gに溶かしたアクリル酸クロリド0.36gを10分間かけて滴下した。その後、自然昇温させ、20時間反応させた。得られた溶液を水:メタノール=1:9の混合液に滴下し、再沈殿させた。滴下後、ブフナーロートで吸引濾過し、メタノール3回、水2回、メタノール3回の順で洗浄し、得られた粉体を減圧乾燥機で12時間乾燥させた。
得られた高分子化合物(式(1−42)で表される化合物に相当)のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量はNDであった。
【0078】
比較合成例1
撹拌装置、還流器、温度計、滴下槽を備えているフラスコに4,4’−ジクロロジフェニル−スルホン15.00g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン12.56g、炭酸カリウム8.37g、N−メチル−2−ピロリドン82.61gを入れ、その後フラスコ内を窒素置換した後、160℃まで加熱し20時間反応させた。合成された芳香族ポリエーテルエーテルスルホンを室温まで冷却させた後、ろ過してろ液を回収し、N−メチル−2−ピロリドンと2mol/l塩酸の体積比が90:10の混合液30mlと混合させた。その後メタノールに投入し再沈精製を行った。
その後メタノールと水にて洗浄し、85℃で1日真空乾燥させ、比較例1で用いられる芳香族ポリエーテルエーテルスルホン(下記式(2−1)で表される化合物に相当)を得た。得られた芳香族ポリエーテルのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量で16,700であった。
【化18】
【0079】
比較合成例2
市販品で合成されたアクリル樹脂であるポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を準備した。
【0080】
(溶媒溶解性評価)
合成例1〜18より得られた芳香族ポリエーテル又は比較合成例1〜2より得られたポリマーの5質量部に対して、(1)プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、(2)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、(3)乳酸エチル(EL)、(4)シクロヘキサノン(Cy)、(5)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、(6)ジメチルアセトアミド(DMAC)、(7)4−メチル2−ペンタノン(MIBK)、(8)5−メチル−2−ヘキサノン(MIAK)、(9)アセト酢酸エチル(EAA)、(10)ガンマブチロラクトン(GBL)、(11)シクロペンタノン(Cp)を95質量部加えて溶解性を評価した。結果を表1に示す。○は溶解、△は微溶、×は不溶を示す。
【0081】
【表1】
【0082】
合成例1〜18より得られたポリエーテルは比較合成例2として使用したアクリル樹脂と同様の溶解性を示し、比較合成例1で得られたポリスルホンより高い溶解性を示した。
【0083】
(耐熱性評価)
合成例1〜18及び比較合成例1より得られたポリエーテル並びに比較合成例2として使用したポリメタクリル酸メチルの耐熱性について、TG−DTA(ブルカーエイエックスエス株式会社製、TG/DTA2010SR)にて10℃/分で昇温し5質量%の減量を生ずる温度から評価した。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
合成例1〜18より得られたポリエーテルは比較合成例2として使用したアクリル樹脂と比べ、350℃以上というより高い耐熱性を示した。
【0086】
(接着剤組成物の調製)
[実施例1]
上記合成例1で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例2]
上記合成例2で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例3]
上記合成例3で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例4]
上記合成例4で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例5]
上記合成例5で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例6]
上記合成例6で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例7]
上記合成例7で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例8]
上記合成例8で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例9]
上記合成例9で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例10]
上記合成例10で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン9gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として25質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例11]
上記合成例11で得た高分子化合物3gをシクロペンタノン5.57gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として35質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例12]
上記合成例12で得た高分子化合物3gをシクロペンタノン7gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例13]
上記合成例13で得た高分子化合物3gをシクロペンタノン7gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例14]
上記合成例14で得た高分子化合物3gをシクロペンタノン7gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例15]
上記合成例15で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例16]
上記合成例16で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例17]
上記合成例17で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[実施例18]
上記合成例18で得た高分子化合物3gをシクロへキサノン12gに溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
【0087】
[比較例1]
比較合成例1より得られた芳香族ポリエーテルをN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として10質量%含有する接着剤組成物を調製した。
[比較例2]
比較合成例2のポリメタクリル酸メチルをシクロヘキサノン中に溶解させ、その後、孔径1.0μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製した。
【0088】
(塗布性評価)
実施例1〜18及び比較例1〜2で得られた接着剤組成物をそれぞれ塗布条件1,000rpm、30秒間でシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行って形成した膜について評価を行った。結果を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
表3に示すように、比較例1は、塗布不良が生じ均一な膜を形成することができなかったのに対し、本発明の実施例1〜18の芳香族ポリエーテルと比較合成例2として使用したアクリル樹脂は何れも1μm以上の均一な膜を形成することができた。
【0091】
(接着性評価)
実施例1〜18及び比較例1〜2で得られた接着剤組成物を1,000rpm、30秒間の塗布条件で塗布した後、100℃及び250℃でそれぞれ2分間のベークを行ってシリコンウェハー上にそれぞれ塗布膜を形成した後、シリコンウェハを5mm角に切り取り、270℃のホットプレート上にあらかじめ静置しておいたガラスウェハ上に塗布面を下向きにして置いて上から圧着し、接着性を評価した。結果を表4に示す。ガラスウェハ面から見た状態でボイド(孔)がなく接着された場合を良好とした。
【0092】
【表4】
【0093】
比較例1で得られた接着剤組成物は接着不良が発生し、均一に接着することができなかったのに対して、本発明の実施例1〜18の接着剤組成物は比較例2の接着剤組成物と同様に良好な接着性を示した。
【0094】
(接着力評価サンプルの作製)
合成例1、合成例3、合成例6及び合成例7、並びに比較合成例2で得られたポリマーの接着力評価サンプルを下記方法で作製した。
[実施例19]
合成例1より得られた芳香族ポリエーテルをシクロヘキサノン中に溶解させ、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製し、得られた接着剤組成物を塗布条件1500rpm、30秒間で4インチのシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行い、膜厚が4.6μmの膜を形成した後、貼り合せ装置(アユミ工業株式会社製、VJ−300)を使用して、真空度10Pa以下、温度280℃、貼り合せ圧力200kgの条件下で4インチガラスウェハと接着させ、そのウェハをダイシング装置(株式会社ディスコ製、DAD321)で1cm角に切断し、サンプルを作製した。
[実施例20]
合成例3より得られた芳香族ポリエーテルをシクロヘキサノン中に溶解させ、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製し、得られた接着剤組成物を塗布条件1500rpm、30秒間で4インチのシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行って、膜厚が4.6μmの膜を形成した後、貼り合せ装置(アユミ工業株式会社製、VJ−300)を使用して、真空度10Pa以下、温度240℃、貼り合せ圧力400kgの条件下で4インチガラスウェハと接着させ、そのウェハをダイシング装置(株式会社ディスコ製、DAD321)1cm角に切断し、サンプルを作製した。
[実施例21]
合成例6より得られた芳香族ポリエーテルをシクロヘキサノン中に溶解させ、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製し、得られた接着剤組成物を塗布条件1000rpm、30秒間で4インチのシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行って、膜厚が5.1μmの膜を形成した後、貼り合せ装置(アユミ工業株式会社製、VJ−300)を使用して、真空度10Pa以下、温度260℃、貼り合せ圧力200kgの条件下で4インチガラスウェハと接着させ、そのウェハをダイシング装置(株式会社ディスコ製、DAD321)1cm角に切断し、サンプルを作製した。
[実施例22]
合成例7より得られた芳香族ポリエーテルをシクロヘキサノン中に溶解させ、固形分として30質量%含有する接着剤組成物を調製し、得られた接着剤組成物を塗布条件1000rpm、30秒間で4インチのシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行って、膜厚が4.2μmの膜を形成した後、貼り合せ装置(アユミ工業株式会社製、VJ−300)を使用して、真空度10Pa以下、温度240℃、貼り合せ圧力200kgの条件下で4インチガラスウェハと接着させ、そのウェハをダイシング装置(株式会社ディスコ製、DAD321)1cm角に切断し、サンプルを作製した。
[比較例3]
比較合成例2より得られたアクリル樹脂をシクロヘキサノン中に溶解させ、固形分として20質量%含有する接着剤組成物を調製し、得られた接着剤組成物を塗布条件1300rpm、60秒間で4インチのシリコンウェハ上にスピン塗布し、100℃および200℃でそれぞれ2分間ずつのベークを行って、膜厚が5.0μmの膜を形成した後、貼り合せ装置(アユミ工業株式会社製、VJ−300)を使用して、真空度10Pa以下、温度270℃、貼り合せ圧力400kgの条件下で4インチガラスウェハと接着させ、そのウェハをダイシングソー(株式会社ディスコ製、DAD321)を使用して1cm角に切断し、サンプルを作製した。
【0095】
(接着力評価1)
実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22並びに比較例3で得られた接着力評価サンプルの両面に、アラルダイト2014(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製、商品名)を塗布し、接着力(せん断)測定用専用冶具に両面を接着後、オートグラフ(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−100NX)で接着力(せん断)を評価した。接着力は1mm/分の引っ張り速度で測定した。結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】
表5中、接着力の値が1000N以上とは、上記接着力測定機の測定限界以上であることを示す。
実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22で得られたサンプルは、比較例3で得られたサンプルより、高い接着力を示した。
【0098】
(接着力評価2)
実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22並びに比較例3で得られた接着力評価サンプルを350℃のオーブンで1時間焼成し、その後、得られたサンプルの両面にアラルダイト2014(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製、商品名、エポキシ系接着剤)を塗布し、接着力(せん断)測定用専用冶具に両面を接着後、オートグラフ(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−100NX)で接着力(せん断)を評価した。接着力は1mm/分の引っ張り速度で測定した。結果を表6に示す。
【0099】
【表6】
【0100】
表6中、接着力の値が1000N以上とは、上記接着力測定機の測定限界以上であることを示す。
実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22で得られたサンプルは、熱処理後も比較例3で得られたサンプルより、高い接着力を示し、耐熱性に優れるとする結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の接着剤組成物は、種々の有機溶媒に容易に溶解し、塗布性に優れ、十分な厚さの接着層を形成することが可能であり、且つその接着層がメタルバンプ接合、CVD、イオン拡散工程などの高温プロセスにおいて熱重量減が極めて少なく、密着性が良好であるため、半導体デバイスの製造に有用な高耐熱性接着剤組成物としての使用が期待される。