特許第5791018号(P5791018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791018光学表示デバイスの生産システム及び生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791018
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】光学表示デバイスの生産システム及び生産方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20150917BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20150917BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20150917BHJP
   G02B 5/30 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   G09F9/00 342
   G09F9/00 338
   G02F1/13 101
   G02F1/1335
   !G02B5/30
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-529503(P2014-529503)
(86)(22)【出願日】2013年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2013071217
(87)【国際公開番号】WO2014024867
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-175963(P2012-175963)
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-104402(P2013-104402)
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幹士
(72)【発明者】
【氏名】田中 大充
【審査官】 田井 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−043384(JP,A)
【文献】 特開2012−030243(JP,A)
【文献】 特開2003−107452(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/129523(WO,A1)
【文献】 特開平11−095028(JP,A)
【文献】 特開2011−053673(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/133− 1/1334、
1/1339− 1/1341、 1/1347
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムにおいて、
前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合装置と、
切断加工用のレーザー光を照射するレーザー光照射装置を有する切断装置と、
を備え、
前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、
前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、
前記切断装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分とを切り離して、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成し、
前記レーザー光照射装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記対向部分と余剰部分との間の切断部に向けて、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて、前記レーザー光を照射し、
前記貼合体において、前記光学部材シートと前記光学表示部品との貼合面の外周縁を検出する検出部をさらに有し、
前記切断部は、前記外周縁に沿って設定されることを特徴とする光学表示デバイスの生産システム。
【請求項2】
前記レーザー光照射装置は、前記切断部における前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残された切断線を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学表示デバイスの生産システム。
【請求項3】
前記切断装置は、引き裂き装置をさらに有し、
前記引き裂き装置は、前記レーザー光照射装置が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする請求項2に記載の光学表示デバイスの生産システム。
【請求項4】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムにおいて、
前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合装置と、
切断加工用のレーザー光を照射するレーザー光照射装置を有する切断装置と、
を備え、
前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、
前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、
前記切断装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分とを切り離して、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成し、
前記レーザー光照射装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記対向部分と余剰部分との間の切断部に向けて、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて、前記レーザー光を照射し、かつ前記切断部における前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残された切断線を形成し、
前記切断装置は、引き裂き装置をさらに有し、
前記引き裂き装置は、前記レーザー光照射装置が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする光学表示デバイスの生産システム。
【請求項5】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法において、
前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合工程と、
前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分との間の切断部に向けて切断加工用のレーザー光を照射し、前記対向部分と余剰部分とを切り離し、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成する切断工程とを含み、
前記切断工程に先立ち、前記貼合体において、前記光学部材シートと前記光学表示部品との貼合面の外周縁を検出する検出工程をさらに有し、
前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、
前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、
前記切断加工用のレーザー光は、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて照射され、
前記切断部は、前記外周縁に沿って設定されることを特徴とする光学表示デバイスの生産方法。
【請求項6】
前記切断工程は、レーザー光照射工程をさらに含み、
前記レーザー光照射工程は、前記切断部にレーザー光を照射し、前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残した切断線を形成することを特徴とする請求項5に記載の光学表示デバイスの生産方法。
【請求項7】
前記切断工程は、引き裂き工程さらに含み、
前記引き裂き工程は、前記レーザー光照射工程が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする請求項6に記載の光学表示デバイスの生産方法。
【請求項8】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法において、
前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合工程と、
前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分との間の切断部に向けて切断加工用のレーザー光を照射し、前記対向部分と余剰部分とを切り離し、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成する切断工程とを含み、
前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、
前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、
前記切断加工用のレーザー光は、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて照射され、
前記切断工程は、レーザー光照射工程をさらに含み、
前記レーザー光照射工程は、前記切断部にレーザー光を照射し、前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残した切断線を形成し、
前記切断工程は、引き裂き工程さらに含み、
前記引き裂き工程は、前記レーザー光照射工程が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする光学表示デバイスの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ等の光学表示デバイスの生産システム及び生産方法に関する。
本願は、2012年08月08日に出願された日本国特願2012−175963号および2013年05月16日に出願された日本国特願2013−104402号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ等の光学表示デバイスの生産システムにおいて、液晶パネル(光学表示部品)に貼合する偏光板等の光学部材は、長尺フィルムから液晶パネルの表示領域に合わせたサイズのシート片に切り出された後、液晶パネルに貼合されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2003−255132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の構成では、液晶パネル及びシート片の各寸法バラツキ、並びに液晶パネルに対するシート片の貼合バラツキ(位置ズレ)を考慮して、表示領域よりも若干大きめのシート片を切り出している。そのため、表示領域の周辺部に余分な領域(額縁部)が形成され、機器の小型化が阻害されるという問題がある。
【0005】
一方、特許文献1では、カッターを用いた切断加工により、光学部材シートから光学部材を切り出す方法が採用されている。また、光学部材シートから光学部材を切り出す方法としては、カッターを用いた切断加工に代えて、レーザー光を用いた切断加工も考えられる。レーザー光を用いた切断加工は、カッター等の刃物を用いた切断加工に比べて、切断線の振れ幅(公差)が小さく、切断精度の向上を図ることが可能である。なお、本明細書においては、レーザー光を用いた切断加工のことを「レーザーカット」と称することがある。
【0006】
ここで、光学部材シートが複数の光学層が積層された構造を含む場合、光学層には、照射されるレーザー光の発振波長範囲におけるレーザー光の平均吸収率が低いフィルム層が含まれることがある。以下、本明細書においては、「照射されるレーザー光の発振波長範囲におけるレーザー光の平均吸収率が低いフィルム層」のことを「低吸収率フィルム層」と称することがある。
【0007】
このような低吸収率フィルム層を含む複数の光学層が積層された光学部材シートをレーザーカットする場合、作業者は、低吸収率フィルム層が含まれない光学部材シートをレーザーカットする場合よりもレーザー光の出力を大きくして、低吸収率フィルム層を熱により切断する必要がある。そのため、低吸収率フィルム層を含む光学部材シートをレーザーカットして形成した光学部材は、切断端が大きく熱変形し、光学部材の有効面積が狭まるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、表示領域周辺の額縁部を縮小して表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ると共に、レーザーカットによる光学部材の切断端の熱変形を抑えて光学部材の有効面積を広げることができる光学表示デバイスの生産システム及び生産方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下を採用した。
(1)本発明の一態様に係る光学表示デバイスの生産システムは、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムにおいて、前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合装置と、切断加工用のレーザー光を照射するレーザー光照射装置を有する切断装置と、を備え、前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、前記切断装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分とを切り離して、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成し、前記レーザー光照射装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記対向部分と余剰部分との間の切断部に向けて、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて、前記レーザー光を照射し、前記貼合体において、前記光学部材シートと前記光学表示部品との貼合面の外周縁を検出する検出部をさらに有し、前記切断部は、前記外周縁に沿って設定されることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、前記表示領域よりも大きい光学部材シートを光学表示部品に貼合した後に該光学部材シートの余剰部分を切り離すことで、表示領域に対応するサイズの光学部材を光学表示部品の面上で精度よく形成することができ、表示領域外側の額縁部を狭めて表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ることができる。
また、レーザー光を用いた切断は切断刃を用いた切断よりも精度が高く、切断刃を用いる場合と比べて表示領域周辺の額縁部を狭めることができる。
そして、光学部材シートの最も前記光学表示部品に近い層(一般に低吸収率フィルム層)に焦点を合わせてレーザー光を照射することで、光学部材シートを効率よく切断することができ、光学部材シートの切断端の熱変形を抑え、かつ光学表示部品の表面のダメージも抑えて、光学表示デバイスのさらなる狭額縁化を図ることができる。
なお、上記構成中の「表示領域との対向部分」とは、表示領域の大きさ以上、光学表示部品の外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の領域で、かつ電気部品取り付け部等の機能部分を避けた領域を示す。すなわち、上記構成は、光学表示部品の外周縁に沿って余剰部分をレーザーカットする場合を含む。
また、上記構成中の「表示領域に対応する大きさ」とは、表示領域の大きさ以上、光学表示部品の外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の大きさであって、かつ光学表示部品における電気部品取付部等の機能部分を避けた大きさを指す。
また、上記構成中の「切断加工用のレーザー光」とは、照射されるレーザー光が光学部材シートの切断加工に用いられることを意味するものである。この意味において、切断加工は、レーザー光の照射のみで行うこととしてもよい。また、切断加工は、レーザー光の照射と、追加的な他の操作とにより行うこととしてもよい。
【0011】
(2)上記(1)の態様においては、前記レーザー光照射装置は、前記切断部における前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残された切断線を形成する構成であってもよい。
この場合、最も光学表示部品に近い層まで完全にレーザーカットする場合と比べて、光学表示部品の表面のダメージを効果的に抑えることができる。
【0012】
(3)上記(2)の態様においては、前記切断装置は、引き裂き装置をさらに有し、前記引き裂き装置は、前記レーザー光照射装置が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂く構成であってもよい。
この構成であれば、余剰部分を引き裂きにより簡単に除去できると共に、光学表示部品に貼り残す光学部材の前記引き裂きによる剥離や切断端の乱れを抑止することができる。
【0013】
(4)本発明の別の一態様に係る光学表示デバイスの生産システムは、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムにおいて、前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合装置と、切断加工用のレーザー光を照射するレーザー光照射装置を有する切断装置と、を備え、前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、前記切断装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分とを切り離して、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成し、前記レーザー光照射装置は、前記貼合体における前記光学部材シートの前記対向部分と余剰部分との間の切断部に向けて、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて、前記レーザー光を照射し、かつ前記切断部における前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残された切断線を形成し、前記切断装置は、引き裂き装置をさらに有し、前記引き裂き装置は、前記レーザー光照射装置が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする。
【0014】
上記構成中の「光学部材シートと光学表示部品との貼合面」とは、光学表示部品の光学部材シートと対向する面を指し、「貼合面の外周縁」とは、具体的には、光学表示部品において光学部材シートが貼合された側の基板の外周縁を指す。
【0015】
(5)本発明の別の一態様に係る光学表示デバイスの生産方法は、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法において、前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合工程と、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分との間の切断部に向けて切断加工用のレーザー光を照射し、前記対向部分と余剰部分とを切り離し、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成する切断工程とを含み、前記切断工程に先立ち、前記貼合体において、前記光学部材シートと前記光学表示部品との貼合面の外周縁を検出する検出工程をさらに有し、前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、前記切断加工用のレーザー光は、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて照射され、前記切断部は、前記外周縁に沿って設定されることを特徴とする。
【0016】
(6)上記(5)の態様においては、前記切断工程は、レーザー光照射工程をさらに含み、前記レーザー光照射工程は、前記切断部にレーザー光を照射し、前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残した切断線を形成する構成であってもよい。
【0017】
(7)上記(6)の態様においては、前記切断工程は、引き裂き工程さらに含み、前記引き裂き工程は、前記レーザー光照射工程が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂く構成であってもよい。
【0018】
(8)本発明の別の一態様に係る光学表示デバイスの生産方法は、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法において、前記光学表示部品に、前記光学表示部品の表示領域よりも大き光学部材シートを貼り合わせて貼合体とする貼合工程と、前記貼合体における前記光学部材シートの前記表示領域との対向部分と前記対向部分の外側の余剰部分との間の切断部に向けて切断加工用のレーザー光を照射し、前記対向部分と余剰部分とを切り離し、前記光学部材シートから前記表示領域に対応する大きさの前記光学部材を形成する切断工程とを含み、前記光学部材シートは、照射されるレーザー光に対する平均吸収率が高い高吸収率フィルム層と、前記高吸収率フィルム層よりも前記平均吸収率が低い低吸収率フィルム層とを有する積層構造の光学層を含み、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、前記低吸収率フィルム層が前記光学表示部品に最も近くなるように貼り合わされており、前記切断加工用のレーザー光は、前記積層構造の光学層に含まれる複数の層のうち、最も前記光学表示部品に近い前記低吸収率フィルム層に焦点を合わせて照射され、前記切断工程は、レーザー光照射工程をさらに含み、前記レーザー光照射工程は、前記切断部にレーザー光を照射し、前記最も光学表示部品に近い低吸収率フィルム層に部分的に切り残した切断線を形成し、前記切断工程は、引き裂き工程さらに含み、前記引き裂き工程は、前記レーザー光照射工程が前記切断線を形成した後の前記光学部材シートの余剰部分を、前記光学表示部品における前記光学部材シートを貼り合わせる貼合面と交差する方向で、前記光学表示部品側に変位させて、前記対向部分から引き裂くことを特徴とする。

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示領域周辺の額縁部を縮小して表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ると共に、レーザーカットによる光学部材の切断端の熱変形を抑えて光学部材の有効面積を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態における光学表示デバイスのフィルム貼合システムの概略構成図である。
図2】上記フィルム貼合システムの第二切断装置周辺の斜視図である。
図3】上記第二切断装置の内部構成を示す図2に相当する斜視図である。
図4】上記フィルム貼合システムの第二貼合装置周辺の斜視図である。
図5】上記フィルム貼合システム中の第一貼合シートの断面図である。
図6】上記フィルム貼合システム中の第二切断装置周辺にある第二貼合シートの断面図である。
図7】上記フィルム貼合システム中の第三切断装置周辺にある第三貼合シートの平面図である。
図8図7のA−A断面図である。
図9】上記フィルム貼合システムを経た両面貼合パネルの断面図である。
図10】液晶パネル及びこれに貼合された貼合シートの断面図である。
図11】上記貼合シートをレーザーカットした状態の断面図である。
図12A】上記貼合シートを一部切り残してレーザーカットした状態の断面図である。
図12B】上記貼合シートの余剰部分を引き裂く際の断面図である。
図13】光学表示部品から光学部材シートの余剰部分を引き裂く際のイメージを示す斜視図である。
図14】貼合面の外周縁を検出する第一検出部の模式図である。
図15】貼合面の外周縁を検出する第一検出部の変形例を示す模式図である。
図16】貼合面の外周縁を検出する位置を示す平面図である。
図17】貼合面の外周縁を検出する第二検出部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、光学表示デバイスの生産システムとして、光学表示デバイスの生産システムの一部を構成するフィルム貼合システム、およびフィルム貼合システムを用いた光学表示デバイスの生産方法について説明する。各図ではXYZ直交座標系を設定し、X方向は光学表示部品(液晶パネル)の幅方向、Y方向は光学表示部品の搬送方向、Z方向はX方向及びY方向と直交する方向をそれぞれ示す。
【0022】
図1は、本実施形態のフィルム貼合システム(光学デバイスの生産システム)1の概略構成を示す。フィルム貼合システム1は、例えば液晶パネルや有機ELパネルといったパネル状の光学表示部品に、偏光フィルムや位相差フィルム、輝度上昇フィルムといったフィルム状の光学部材を貼合するものである。フィルム貼合システム1は、前記光学表示部品及び光学部材を含んだ光学部材貼合体を製造する。フィルム貼合システム1では、前記光学表示部品として液晶パネルPを用いる。フィルム貼合システム1の各部は、電子制御装置としての制御装置20により統括制御される。
【0023】
フィルム貼合システム1は、始発位置から終着位置まで、例えば駆動式のローラコンベヤ5を用いて液晶パネルPを搬送しつつ、液晶パネルPに順次所定の処理を施す。液晶パネルPは、その表裏面を水平にした状態でローラコンベヤ5上を搬送される。
なお、図中左側は液晶パネルPの搬送方向上流側(以下、パネル搬送上流側という)を、図中右側は液晶パネルPの搬送方向下流側(以下、パネル搬送下流側という)をそれぞれ示す。
【0024】
図7〜9を併せて参照し、液晶パネルPは平面視で長方形状をなし、その外周縁よりも所定幅だけ内側に、前記外周縁に沿う外形状を有する表示領域P4を形成する。液晶パネルPは、後述する第二アライメント装置14よりもパネル搬送上流側では、表示領域P4の短辺を概ね搬送方向に沿わせた向きで搬送される。また、液晶パネルPは、第二アライメント装置14よりもパネル搬送下流側では、表示領域P4の長辺を概ね搬送方向に沿わせた向きで搬送される。
【0025】
この液晶パネルPの表裏面に対して、長尺帯状の第一、第二及び第三光学部材シートF1,F2,F3から切り出した第一、第二及び第三光学部材F11,F12,F13が適宜貼合される。本実施形態において、液晶パネルPのバックライト側及び表示面側の両面には、偏光フィルムとしての第一光学部材(光学部材、対向部分)F11及び第三光学部材(光学部材、対向部分)F13がそれぞれ貼合され、液晶パネルPのバックライト側の面には、第一光学部材F11に重ねて輝度向上フィルムとしての第二光学部材(光学部材、対向部分)F12がさらに貼合される。
【0026】
図1に示すように、フィルム貼合システム1は、上流工程からローラコンベヤ5のパネル搬送上流側上に液晶パネルPを搬送すると共に液晶パネルPのアライメントを行う第一アライメント装置11と、第一アライメント装置11よりもパネル搬送下流側に設けられる第一貼合装置(貼合装置)12と、第一貼合装置12に近接して設けられる第一切断装置13と、第一貼合装置12及び第一切断装置13よりもパネル搬送下流側に設けられる第二アライメント装置14とを備える。
【0027】
また、フィルム貼合システム1は、第二アライメント装置14よりもパネル搬送下流側に設けられる第二貼合装置(貼合装置)15と、第二貼合装置15に近接して設けられる第二切断装置(切断装置)16と、第二貼合装置15及び第二切断装置16よりもパネル搬送下流側に設けられる第三アライメント装置17と、第三アライメント装置17よりもパネル搬送下流側に設けられる第三貼合装置(貼合装置)18と、第三貼合装置18に近接して設けられる第三切断装置(切断装置)19とを備える。
【0028】
第一アライメント装置11は、液晶パネルPを保持して垂直方向及び水平方向で自在に搬送する。また、第一アライメント装置11は、例えば液晶パネルPのパネル搬送上流側及び下流側の端部を撮像するカメラ(不図示)を有する。このカメラの撮像データは制御装置20に送られる。制御装置20は、前記撮像データと予め記憶した光学軸方向の検査データとに基づき、第一アライメント装置11を作動させる。なお、後述する第二及び第三アライメント装置14,17も同様にカメラを有し、このカメラの撮像データをアライメントに用いる。
【0029】
第一アライメント装置11は、制御装置20に作動制御され、第一貼合装置12に対する液晶パネルPのアライメントを行う。このとき、液晶パネルPは、搬送方向と直交する水平方向(以下、部品幅方向という)での位置決めと、垂直軸回りの回転方向(以下、単に回転方向という)での位置決めとがなされる。この状態で、液晶パネルPが第一貼合装置12の貼合位置に導入される。
【0030】
第一貼合装置12は、貼合位置に導入された長尺の第一光学部材シート(光学部材シート)F1の下面に対し、その下方を搬送される液晶パネルPの上面(バックライト側)を貼合する(図5参照)。第一貼合装置12は、第一光学部材シートF1を巻回した第一原反ロールR1から第一光学部材シートF1を巻き出しつつ、第一光学部材シートF1をその長手方向に沿って搬送する搬送装置12aと、搬送装置12aが搬送する第一光学部材シートF1の下面に、ローラコンベヤ5が搬送する液晶パネルPの上面を貼合する挟圧ロール12bとを備える。
【0031】
搬送装置12aは、第一光学部材シートF1を巻回した第一原反ロールR1を保持すると共に、第一光学部材シートF1をその長手方向に沿って繰り出すロール保持部12cと、第一光学部材シートF1の上面に重なって第一光学部材シートF1と共に繰り出されたプロテクションフィルムpfを、第一貼合装置12のパネル搬送下流側で回収するpf回収部12dとを有する。
【0032】
挟圧ロール12bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成される。この間隙内が第一貼合装置12の貼合位置となる。前記間隙内には、液晶パネルP及び第一光学部材シートF1が重なり合って導入される。これら液晶パネルP及び第一光学部材シートF1が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。このような操作を、順次搬送される複数の液晶パネルPに対してそれぞれ行うことにより、第一貼合装置12は、複数の液晶パネルPが所定の間隔を空けつつ長尺の第一光学部材シートF1の下面に連続的に貼合された第一貼合シートF21を形成する。
【0033】
第一切断装置13はpf回収部12dよりもパネル搬送下流側に位置している。第一切断装置13は、第一貼合シートF21の第一光学部材シートF1から表示領域P4よりも大きい(本実施形態では液晶パネルPよりも大きい)シート片F1S(図6参照)を形成するべく、第一光学部材シートF1の所定箇所(搬送方向で並ぶ液晶パネルPの間)を前記部品幅方向の全幅にわたって切断する。なお、第一切断装置13が切断刃を用いるかレーザーカッターを用いるかは問わない。第一切断装置13は、前記切断により、液晶パネルPの上面に表示領域P4よりも大きい前記シート片F1Sが貼合された第一片面貼合パネル(光学表示部品、貼合体)P11を形成する(図6参照)。
【0034】
なお、シート片F1Sにおいて、液晶パネルPの外側にはみ出る部分の大きさ(シート片F1Sの余剰部分の大きさ)は、液晶パネルPのサイズに応じて適宜設定される。例えば、シート片F1Sを5インチ〜10インチの中小型サイズの液晶パネルPに適用する場合は、シート片F1Sの各辺においてシート片F1Sの一辺と液晶パネルPの一辺との間の間隔を2mm〜5mmの範囲の長さに設定する。
【0035】
第二アライメント装置14は、表示領域P4の短辺と略平行に搬送されていた第一片面貼合パネルP11を、表示領域P4の長辺と略平行に搬送されるように方向転換する。なお、前記方向転換は、第一光学部材シートF1の光軸方向に対して、液晶パネルPに貼合する他の光学部材シートの光学軸方向が直角に配置される場合になされる。
【0036】
第二アライメント装置14は、前記第一アライメント装置11と同様のアライメントを行う。すなわち、第二アライメント装置14は、制御装置20に記憶された光学軸方向の検査データ及び前記カメラの撮像データに基づき、第二貼合装置15に対する第一片面貼合パネルP11の部品幅方向での位置決め及び回転方向での位置決めを行う。この状態で、第一片面貼合パネルP11が第二貼合装置15の貼合位置に導入される。
【0037】
第二貼合装置15は、貼合位置に導入された長尺の第二光学部材シート(光学部材シート)F2の下面に対して、その下方を搬送される第一片面貼合パネルP11の上面(液晶パネルPのバックライト側)を貼合する。第二貼合装置15は、第二光学部材シートF2を巻回した第二原反ロールR2から第二光学部材シートF2を巻き出しつつ、第二光学部材シートF2をその長手方向に沿って搬送する搬送装置15aと、搬送装置15aが搬送する第二光学部材シートF2の下面に、ローラコンベヤ5が搬送する第一片面貼合パネルP11の上面を貼合する挟圧ロール15bとを備える。
【0038】
搬送装置15aは、第二光学部材シートF2を巻回した第二原反ロールR2を保持すると共に、第二光学部材シートF2をその長手方向に沿って繰り出すロール保持部15cと、挟圧ロール15bよりもパネル搬送下流側に位置し、第二切断装置16を経た第二光学部材シートF2の余剰部分を回収する第二回収部(引き裂き装置)15dとを有する。
【0039】
挟圧ロール15bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成される。この間隙内が第二貼合装置15の貼合位置となる。前記間隙内には、第一片面貼合パネルP11及び第二光学部材シートF2が重なり合って導入される。これら第一片面貼合パネルP11及び第二光学部材シートF2が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。このような操作を、順次搬送される複数の第一片面貼合パネルP11に対してそれぞれ行うことにより、第二貼合装置15は、複数の第一片面貼合パネルP11が所定の間隔を空けつつ長尺の第二光学部材シートF2の下面に連続的に貼合された第二貼合シートF22を形成する。
【0040】
第二切断装置16は挟圧ロール15bよりもパネル搬送下流側に位置している。第二切断装置16は、第二光学部材シートF2と、第二光学部材シートF2の下面に貼合した第一片面貼合パネルP11が有する第一光学部材シートF1のシート片F1S(図6参照)とを同時に切断する。第二切断装置16は例えばCOレーザーカッターである。第二切断装置16は、第二光学部材シートF2とシート片F1Sとを表示領域P4の外周縁に沿って(本実施形態では液晶パネルPの外周縁に沿って)無端状に切断する。
【0041】
第二切断装置16は、各光学部材シートF1,F2を液晶パネルPに貼合した後に各光学部材シートF1,F2をまとめてカットすることで、各光学部材シートF1,F2の光学軸方向の精度が高まると共に、各光学部材シートF1,F2間の光学軸方向のズレが無くなり、かつ第一切断装置13での切断が簡素化される。第二切断装置16の詳細は後述する。
【0042】
第二切断装置16は、上述のように各光学部材シートF1,F2を切断することにより、液晶パネルPの上面に第一及び第二光学部材F11,F12が重ねて貼合された第二片面貼合パネル(光学表示部品、貼合体)P12を形成する(図8参照)。このとき、図4に示すように、第二貼合シートF22は、第二片面貼合パネルP12と、表示領域P4との対向部分(各光学部材F11,F12)が切り取られて枠状に残る各光学部材シートF1,F2の余剰部分Y,Y’と、に分離する。第二光学部材シートF2の余剰部分Y’は複数連なって梯子状をなす(図4参照)。この余剰部分Y’は第一光学部材シートF1の余剰部分Yと共に第二回収部15dに巻き取られる。
【0043】
ここで、前記「表示領域P4との対向部分」とは、表示領域P4の大きさ以上、液晶パネルPの外形状の大きさ以下の領域で、かつ電気部品取り付け部等の機能部分を避けた領域を示す。本実施形態では、平面視矩形状の液晶パネルPにおける前記機能部分を除いた三辺では、液晶パネルPの外周縁に沿って余剰部分をレーザーカットし、前記機能部分に相当する一辺では、液晶パネルPの外周縁から表示領域P4側に適宜入り込んだ位置で余剰部分をレーザーカットしている。
なお、本実施形態では、第二切断装置16が第二光学部材シートF2と第一光学部材シートF1のシート片F1Sとを同時に切断する構成を挙げているが、これに限らず、第一光学部材シートF1のシート片F1Sのみ、あるいは第二光学部材シートF2のみを切断する構成も有り得る。
【0044】
図1を参照し、第三アライメント装置17は、液晶パネルPのバックライト側を上面にした第二片面貼合パネルP12を表裏反転させて液晶パネルPの表示面側を上面にすると共に、前記第一及び第二アライメント装置11,14と同様のアライメントを行う。すなわち、第三アライメント装置17は、制御装置20に記憶された光学軸方向の検査データ及び前記カメラの撮像データに基づき、第三貼合装置18に対する第二片面貼合パネルP12の部品幅方向での位置決め及び回転方向での位置決めを行う。この状態で、第二片面貼合パネルP12が第三貼合装置18の貼合位置に導入される。
【0045】
第三貼合装置18は、貼合位置に導入された長尺の第三光学部材シート(光学部材シート)F3の下面に対して、その下方を搬送される第二片面貼合パネルP12の上面(液晶パネルPの表示面側)を貼合する。第三貼合装置18は、第三光学部材シートF3を巻回した第三原反ロールR3から第三光学部材シートF3を巻き出しつつ、第三光学部材シートF3をその長手方向に沿って搬送する搬送装置18aと、搬送装置18aが搬送する第三光学部材シートF3の下面に、ローラコンベヤ5が搬送する第二片面貼合パネルP12の上面を貼合する挟圧ロール18bとを備える。
【0046】
搬送装置18aは、第三光学部材シートF3を巻回した第三原反ロールR3を保持すると共に、第三光学部材シートF3をその長手方向に沿って繰り出すロール保持部18cと、挟圧ロール18bよりもパネル搬送下流側に位置し、第三切断装置19を経た第三光学部材シートF3の余剰部分を回収する第三回収部18dとを有する。
【0047】
挟圧ロール18bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成される。この間隙内が第三貼合装置18の貼合位置となる。前記間隙内には、第二片面貼合パネルP12及び第三光学部材シートF3が重なり合って導入される。これら第二片面貼合パネルP12及び第三光学部材シートF3が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。このような操作を、順次搬送される複数の第二片面貼合パネルP12に対してそれぞれ行うことにより、第三貼合装置18は、複数の第二片面貼合パネルP12が所定の間隔を空けつつ長尺の第三光学部材シートF3の下面に連続的に貼合された第三貼合シートF23を形成する。
【0048】
第三切断装置19は挟圧ロール18bよりもパネル搬送下流側に位置し、第三光学部材シートF3を切断する。第三切断装置19は第二切断装置16と同様のレーザー加工機であり、第三光学部材シートF3を表示領域P4の外周縁に沿って(例えば液晶パネルPの外周縁に沿って)無端状に切断する。
【0049】
第三切断装置19は、上述のように第三光学部材シートF3を切断することにより、第二片面貼合パネルP12の上面に第三光学部材F13が貼合された両面貼合パネル(光学表示デバイス)P13を形成する(図9参照)。またこのとき、第三貼合シートF23は、両面貼合パネルP13と、表示領域P4との対向部分(第三光学部材F13)が切り取られて枠状に残る第三光学部材シートF3の余剰部分(不図示)とに分離する。第三光学部材シートF3の余剰部分は第二光学部材シートF2の余剰部分Y’と同様に複数連なって梯子状をなす。第三光学部材シートF3の余剰部分は第三回収部18dに巻き取られる。
【0050】
両面貼合パネルP13は、不図示の欠陥検査装置を経て欠陥(貼合不良等)の有無が検査された後、下流工程に搬送されて他の処理がなされる。
【0051】
以下、各光学部材シートF1,F2,F3を光学部材シートFX、各光学部材シートF1,F2,F3に貼合される液晶パネルP及び各片面貼合パネルP11,P12を光学表示部品PX、各光学部材F11,F12,F13を光学部材FSと総称することがある。
【0052】
光学部材シートFXを構成する偏光子フィルムは、例えば二色性色素で染色したPVAフィルムを一軸延伸して形成される。しかし、偏光子フィルムは、延伸する際のPVAフィルムの厚さのムラや二色性色素の染色ムラ等に起因して、光学部材シートFXの幅方向内側と幅方向外側とで光学軸方向の相違が生じる傾向にある。
【0053】
そこで、本実施形態のフィルム貼合システム1では、制御装置20に予め記憶した光学部材シートFXの各部における光学軸の面内分布の検査データに基づき、第一アライメント装置11、第二アライメント装置14及び第三アライメント装置17が、光学部材シートFXに貼合する光学表示部品PXのアライメントを行う。そして、第一貼合装置12、第二貼合装置15及び第三貼合装置18が、光学部材シートFXに光学表示部品PXを貼合している。なお、光学部材シートFXを巻き出しつつ光学軸方向を検出し、この検出データに基づき光学表示部品PXのアライメントを行うようにしてもよい。
【0054】
図5に示すように、液晶パネルPは、例えばTFT基板からなる長方形状の第一基板P1と、第一基板P1に対向して配置される同じく長方形状の第二基板P2と、第一基板P1と第二基板P2との間に封入される液晶層P3とを有する。なお、図示都合上、各層のハッチングは略す。
【0055】
図7,8を参照し、第一基板P1は、その外周縁の三辺を第二基板P2の対応する三辺に沿わせると共に、外周縁の残りの一辺を第二基板P2の対応する一辺よりも外側に張り出させる。これにより、第一基板P1の前記一辺側に第二基板P2よりも外側に張り出す電気部品取り付け部P5が設けられる。
【0056】
図6,8を参照し、第二切断装置16は、表示領域P4の外周縁をカメラ16a等の検出部で検出しつつ、表示領域P4の外周縁等に沿って第一及び第二光学部材シートF1,F2を切断する。また、第三切断装置19は、同じく表示領域P4の外周縁をカメラ19a等の検出部で検出しつつ、表示領域P4の外周縁等に沿って第三光学部材シートF3を切断する。表示領域P4の外側には、第一及び第二基板P1,P2を接合するシール剤等を配置する所定幅の額縁部Gが設けられている。各切断装置16,19は、この額縁部Gの幅内でレーザーカットを行う。
【0057】
樹脂製の光学部材シートFXを単独でレーザーカットすると、光学部材シートFXの切断端は、熱変形により膨れたり波打ったりすることがある。このため、レーザーカット後の光学部材シートFXを光学表示部品PXに貼合する場合には、光学部材シートFXにエア混入や歪み等の貼合不良が生じ易い。
【0058】
一方、光学部材シートFXを液晶パネルPに貼合した後に光学部材シートFXをレーザーカットする本実施形態では、光学部材シートFXの切断端が液晶パネルPのガラス面にバックアップされる。そのため、レーザーカット後の光学部材シートFXは、光学部材シートFXの切断端の膨れや波打ち等が生じ難い。また、液晶パネルPへの貼合後であることから前記貼合不良も生じ難い。
【0059】
レーザー加工機の切断線の振れ幅(公差)はカッター等の切断刃の公差よりも小さい。したがって本実施形態のフィルム貼合システム1では、切断刃を用いて光学部材シートFXを切断する場合と比べて、前記額縁部Gの幅を狭めることが可能である。その結果、本実施形態のフィルム貼合システム1に適用する液晶パネルPは、小型化及び(又は)表示領域P4の大型化が可能である。これは、近年のスマートフォンやタブレット端末のように、筐体のサイズが制限される中で表示画面の拡大が要求される高機能モバイルへの適用に有効である。
【0060】
また、光学部材シートFXを液晶パネルPの表示領域P4に整合するシート片にカットした後に液晶パネルPに貼合する場合、前記シート片及び液晶パネルPそれぞれの寸法公差、並びにこれらの相対貼合位置の寸法公差が重なる。そのため、液晶パネルPの額縁部Gの幅を狭めることが困難になる(表示エリアの拡大が困難になる)。
【0061】
一方、光学部材シートFXを液晶パネルPに貼合した後に表示領域P4に合わせてカットする場合、切断線の振れ公差のみを考慮すればよい。そのため、本実施形態のフィルム貼合システム1では、額縁部Gの幅の公差を小さくすることができる(±0.1mm以下)。この点においても、液晶パネルPの額縁部Gの幅を狭めることができる(表示エリアの拡大が可能となる)。
【0062】
さらに、本実施形態のフィルム貼合システム1では、光学部材シートFXを刃物ではなくレーザー光でカットしている。そのため、フィルム貼合システム1では、切断時の力が液晶パネルPに入力されず、液晶パネルPの基板の端縁にクラックや欠けが生じ難くなり、ヒートサイクル等に対する耐久性が向上する。同様に、フィルム貼合システム1では、光学部材シートFXをカットする際に液晶パネルPに非接触であるため、電気部品取り付け部P5に対するダメージも少ない。レーザーカットによる液晶パネルPへのダメージの抑制については後述する。
【0063】
図7に示すように、光学部材シートFX(図7では第三光学部材シートF3)をレーザーカットする場合、第三切断装置19は、例えば表示領域P4の一長辺の延長上にレーザーカットの始点pt1を設定し、この始点pt1からまず前記一長辺の切断を開始する。また、第三切断装置19は、レーザーカットの終点pt2を、レーザー光が表示領域P4を一周して表示領域P4の始点側の短辺の延長上に至る位置に設定する。始点pt1及び終点pt2は、光学部材シートFXの余剰部分に所定の接続代を残し、光学部材シートFXを巻き取る際の張力に耐え得るように設定される。
【0064】
図2は、各片面貼合パネルP11,P12の光学部材シートFXの切断部として用いられるレーザー光照射装置30の一例を示す斜視図である。なお、図2では第二切断装置16への適用を例に示すが、第三切断装置19も同様の構成を適用可能である。
【0065】
図2に示すように、レーザー光照射装置30は、テーブル31、第二切断装置16としてのスキャナー、移動装置32及び制御装置33を備える。
レーザー光照射装置30は、電子制御装置としての制御装置33の制御に基づいて各部を作動させ、第一片面貼合パネルP11(図6参照)の光学部材シートFX(第二光学部材シートF2及びシート片F1S)にレーザー光Lを照射し、該光学部材シートFXを所定サイズの光学部材FSに切断する。
【0066】
テーブル31は、第一片面貼合パネルP11(照射対象物)を保持する保持面31aを有する。
第二切断装置16(スキャナー)は、テーブル31に保持された第一片面貼合パネルP11の光学部材シートFXを切断するために、該光学部材シートFXにレーザー光Lを射出する。
【0067】
第二切断装置16は、テーブル31の保持面31aと平行な平面内(XY平面内)で、レーザー光Lを二軸走査可能である。すなわち、第二切断装置16は、テーブル31に対してX方向とY方向とに独立して相対移動可能である。これにより、テーブル31上の任意の位置に第二切断装置16を移動させ、テーブル31に保持された光学部材シートFXの任意の位置に精度よくレーザー光Lを照射することが可能である。
【0068】
移動装置32は、テーブル31に対して第二切断装置16を相対移動可能とする。移動装置32は、テーブル31に対して第二切断装置16を、保持面31aに平行な第一の方向V1(X方向)、保持面31aに平行かつ第一の方向V1に直交する第二の方向V2(Y方向)、保持面31aの法線方向である第三の方向V3(Z方向)に相対移動させる。移動装置32は、例えば第二切断装置16に設けられたスライダ機構のリニアモータを作動させて(何れも図示略)、第二切断装置16をXYZの各方向へ移動させる。
【0069】
上記構成は、第二切断装置16を移動装置32により移動するものであるが、テーブル31を上記同様の移動装置により移動する構成でもよく、かつテーブル31及び第二切断装置16の両方を移動する構成でもよい。
【0070】
図3は、レーザー光照射装置30における第二切断装置16(スキャナー)の内部構成を示す斜視図である。なお、図3では移動装置32及び制御装置33の図示を略す。
図3に示すように、第二切断装置16は、レーザー光発振機160、第一照射位置調整装置161、第二照射位置調整装置162及び集光レンズ163を備える。
【0071】
レーザー光発振機160は、レーザー光Lをパルス発振する装置であり、本実施形態ではCOレーザー光発振機(二酸化炭素レーザー光発振機)が用いられる。なお、レーザー光発振機160としては、他にUVレーザー光発振機、半導体レーザー光発振機、YAGレーザー光発振機及びエキシマレーザー光発振機等が挙げられるが、特に限定されるものではない。COレーザー光発振機は、例えば偏光フィルムの切断加工に好適な高出力でレーザー光を発振することができるので、より好ましい。
【0072】
第一及び第二照射位置調整装置161,162は、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lを保持面31aと平行な平面内で二軸走査可能な走査素子を構成する。
第一及び第二照射位置調整装置161,162としては、例えばガルバノスキャナー及びジンバル等が用いられる。第一及び第二照射位置調整装置161,162は、レーザー光発振機160と集光レンズ163との間におけるレーザー光Lの光路上に、レーザー光発振機160側から第一照射位置調整装置161、第二照射位置調整装置162の順に配置される。
【0073】
第一照射位置調整装置161は、ミラー161aと、ミラー161aの設置角度を調整するアクチュエータ161bとを備える。アクチュエータ161bは、Z方向に平行な回転軸161cを有し、この回転軸161cにミラー161aを連結する。
第二照射位置調整装置162は、ミラー162aと、ミラー162aの設置角度を調整するアクチュエータ162bとを備える。アクチュエータ162bは、Y方向に平行な回転軸162cを有し、この回転軸162cにミラー162aを連結する。
【0074】
レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは、ミラー161a、ミラー162a、集光レンズ163の順にこれらを経由し、テーブル31に保持された光学部材シートFXに照射される。第一及び第二照射位置調整装置161,162は、制御装置33の制御に基づいて、各アクチュエータ161b,162bを駆動させて各ミラー161a,162aの設置角度を調整する。そして、第一及び第二照射位置調整装置161,162は、テーブル31上の光学部材シートFXに向けて照射されるレーザー光Lの照射位置を二軸走査させる。
【0075】
レーザー光Lの光路が図中実線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは、光学部材シートFX上の集光点Qaに集光される。以下同様に、レーザー光Lの光路が図中一点鎖線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光Lは集光点Qbに集光される。レーザー光Lの光路が図中二点鎖線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光Lは集光点Qcに集光される。
【0076】
集光レンズ163は、本実施形態では第二照射位置調整装置162と光学部材シートFXとの間に配置される。集光レンズ163は、第一及び第二照射位置調整装置161,162により光路が調整されたレーザー光Lを、光学部材シートFXの所定位置に集光する。集光レンズ163は例えばfθレンズである。集光レンズ163は、ミラー162aから集光レンズ163に平行に入力された図中各線で示すレーザー光Lを、光学部材シートFXに平行に集光させることができる。
【0077】
制御装置33は、集光レンズ163を経たレーザー光Lを、テーブル31に保持された光学部材シートFX上で所望の軌跡を描くように移動させるように、移動装置32並びに第一及び第二照射位置調整装置161,162を作動制御する。
本実施形態では、移動装置32を用いたノズル方式により、レーザー光発振機160に対し光学部材シートFXを相対移動させて、広範囲のレーザーカットを可能とする。その上で、第一及び第二照射位置調整装置161,162を用いたスキャナー方式により、レーザー光Lを二軸走査させて、細部の高精度なレーザーカットをも可能とする。
ここで、上記説明において「ノズル方式」とは、テーブル31に対し第二切断装置16を相対移動させることを指す。
また、上記説明において「スキャナー方式」とは、第一及び第二照射位置調整装置161,162を用いて、テーブル31上の光学部材シートFXに向けて照射されるレーザー光Lの照射位置を二軸走査させることを指す。
【0078】
図10は、第一光学部材シートF1からプロテクションフィルムpf(セパレータ)を分離して液晶パネルPに貼合した状態の断面図である。以下、第一光学部材シートF1を例に説明を行うが、第二及び第三光学部材シートF2,F3も同様の構成を有する。
【0079】
第一光学部材シートF1は、フィルム状の光学層S1と、光学層S1の一方の面(図では下面)に設けられた粘着層S2と、粘着層S2を介して光学層S1の一方の面に分離可能に積層されたプロテクションフィルムpf(セパレータ、図10では不図示)と、光学層S1の他方の面(図では上面)に積層された表面保護フィルムS4とを有する。
【0080】
光学層S1は、シート状の偏光子S6と、偏光子S6の一方(液晶パネルP側)の面に接合される第一フィルム(最も前記光学表示部品に近い層)S7と、偏光子S6の他方の面に接合される第二フィルムS8とを有する。第一フィルムS7及び第二フィルムS8は、例えば偏光子S6を保護する保護フィルムである。
光学層S1は偏光板として機能し、液晶パネルPの表示領域P4の全域にわたって貼合される。なお、図示都合上、各層のハッチングは略す。
【0081】
第一光学部材シートF1は、一方の面に粘着層S2を残しつつプロテクションフィルムpfを分離させた状態で、液晶パネルPの貼合面T1(本実施形態ではバックライト側)に粘着層S2を介して貼合される。本実施形態のフィルム貼合システム1は、第一光学部材シートF1(光学部材シートFX)を液晶パネルP(光学表示部品PX)との貼合位置で粘着層S2を下方に向けるように搬送する。これにより、フィルム貼合システム1は、粘着層S2への異物の付着等を抑えて貼合不良の発生を抑制する。以下、第一光学部材シートF1(光学部材シートFX)からプロテクションフィルムpf及び粘着層S2を除いたシート体を貼合用シートS5という。
【0082】
第一光学部材シートF1において、偏光子S6はポリビニルアルコール(PVA)フィルム層である。第一フィルムS7はシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム層である。第二フィルムS8はトリアセチルセルロース(TAC)フィルム層である。表面保護フィルムS4(及びプロテクションフィルムpf)はポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム層である。
【0083】
図11に示すように、上記積層構造の光学層S1を有する貼合用シートS5は、液晶パネルPの貼合面T1に貼合された状態で、前述した第二切断装置16によりレーザーカットされる。第二切断装置16は、液晶パネルPに貼合された貼合用シートS5における液晶パネルPの表示領域P4との対向部分(第一光学部材F11)と余剰部分Yとの間の切断部Sに向けて、貼合用シートS5の光学層S1の液晶パネルP直近の層(第一フィルムS7、低吸収率フィルム層)に焦点Uを合わせてレーザー光Lを照射する。
【0084】
いま、液晶パネルPの一方の面に第一光学部材シートF1のみが貼合された状態で、この第一光学部材シートF1のレーザーカットを行うものとする。この場合、貼合用シートS5における第二切断装置16側の面T2からレーザー光Lの焦点Uまでの距離(焦点距離L1)は、液晶パネルPへのダメージを抑えつつ貼合用シートS5を効率よく切断するために、以下のように設定される。
【0085】
すなわち、前記焦点距離L1は、貼合用シートS5における第二切断装置16側の面T2から第一フィルムS7の第二切断装置16側の面T3までの厚さ以上で、貼合用シートS5における第二切断装置16側の面T2から第一フィルムS7の液晶パネルP側の面T4までの厚さ以下となるように設定される。焦点距離L1は、レーザー光Lの出力、移動速さ、スポット径等の照射条件により調整される。
なお、第一光学部材シートF1に重ねて第二光学部材シートF2が貼合された状態でこれらのレーザーカットを行う場合には、これらを一体の貼合用シートに見立てて焦点距離L1を設定すればよい。また、第三光学部材シートF3のレーザーカットも同様の焦点合わせが行われる。
【0086】
貼合用シートS5の内、照射されるレーザー光Lの発振波長範囲におけるレーザー光Lの平均吸収率が高いフィルム層(高吸収率フィルム層、本実施形態ではPET層、PVA層及びTAC層)は、レーザー光Lの出力を抑えても良好に切断される。
一方、貼合用シートS5の内、照射されるレーザー光Lの発振波長範囲におけるレーザー光Lの平均吸収率が低いフィルム層(低吸収率フィルム層、本実施形態ではCOP層)は、レーザー光Lの出力を大きくして熱により切断する必要がある。
すると、高吸収率フィルム層に過剰の熱が加わり、貼合用シートS5の切断端が大きく溶融、変形して、表示領域P4周辺の狭額縁化の妨げとなる。また、液晶パネルPの表面にも微小クラック等のダメージが発生し易く、耐久性に影響を与える。
【0087】
これに対し、本実施形態のフィルム貼合システム1では、貼合用シートS5の光学層S1に含まれる複数の層のうち光学表示部品(液晶パネルP)に最も近い層である低吸収率フィルム層に焦点Uを合わせて(エネルギーを集中させて)レーザー光Lを照射する。これにより、貼合用シートS5におけるレーザー光照射装置30側の高吸収率フィルム層はレーザー光Lのスポット径相当の間隔を空けて切断できる。また、貼合用シートS5における液晶パネルP側の低吸収率フィルム層はレーザー光Lのスポット径未満の間隔を空けて切断できる。これにより、レーザー光Lによる液晶パネルPへのダメージを抑えた上で、貼合用シートS5を効率よく切断できる。
【0088】
このように、レーザー光Lを照射して光学部材シート(貼合用シートS5)を切断し、光学部材を形成する工程は、本発明の切断工程に該当する。
【0089】
低吸収率フィルム層は、間隔を空けて完全に切断することが望ましいが、液晶パネルPへのダメージをより抑えるために、図12Aに示すように、光学層S1の第一フィルムS7(低吸収率フィルム層)の一部を引き裂き可能な程度に薄肉状あるいは断続状に切り残してもよい。この場合に第一フィルムS7に形成される切断線を図中符号SLで示す。
このように、レーザー光Lを照射して第一フィルムS7の一部を引き裂き可能な程度に薄肉状あるいは断続状に切り残して切断線を形成する工程は、本発明のレーザー光照射工程に該当する。
【0090】
切断線SLの形成後には、図12Bに示すように、表示領域P4に貼合する光学部材FSから余剰部分Yを引き裂く。その際、余剰部分Yは、液晶パネルPの貼合面T1と交差する方向(図では貼合面T1と直交する方向)で、液晶パネルP側に変位することで引き裂かれる。前記変位は、例えば第二回収部15dの巻き取りによりなされる(図4参照)。この変位により、光学部材FSと余剰部分Yとが、液晶パネルPの端縁のエッジでせん断されるように引き裂かれる。
このように、余剰部分Yを、液晶パネルPの貼合面T1と交差する方向で、液晶パネルP側に変位させ引き裂く工程は、本発明の引き裂き工程に該当する。
【0091】
前記引き裂きにより光学部材FSに生じる力は、光学部材FSを貼合面T1に押し付ける側に作用する。これにより、光学部材FSの切断端の剥離等の貼合不良が抑えられる。
余剰部分Yの変位方向は、切断線SL部分での切り残しの千切れ等による光学部材FSの切断端の乱れを抑止するために、貼合面T1と直交する方向に近い角度であることが望ましい。
【0092】
このように、レーザー光Lを照射して光学部材シート(貼合用シートS5)に切断線を形成し、さらに余剰部分Yを引き裂くことで光学部材シートを切断して、光学部材を形成する工程は、本発明の切断工程に該当する。
【0093】
以上説明したように、上記実施形態におけるフィルム貼合システム1を有する光学表示デバイスの生産システムによれば、液晶パネルPの表示領域P4よりも大きい光学部材シートFXを液晶パネルPに貼合した後に、この光学部材シートFXの余剰部分を切り離すことで、表示領域P4に対応するサイズの光学部材FSを液晶パネルPの面上で精度よく形成することができる。これにより、フィルム貼合システム1に適用する液晶パネルPは、表示領域P4外側の額縁部Gを狭めて表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ることができる。
また、レーザー光Lを用いた切断は切断刃を用いた切断よりも精度が高い。そのため、切断刃を用いる場合と比べて表示領域P4周辺の額縁部Gを狭めることができる。
【0094】
そして、光学部材シートFXにおける積層構造の光学層S1の液晶パネルP直近の層(低吸収率フィルム層)に焦点Uを合わせてレーザー光Lを照射することで、光学部材シートFXを効率よく切断することができる。そのため、光学部材シートFXの切断端の熱変形を抑え、かつ液晶パネルPの表面のダメージも抑えて、光学表示デバイスのさらなる狭額縁化を図ることができる。
【0095】
また、上記フィルム貼合システム1を有する光学表示デバイスの生産システムによれば、光学部材シートFXを切断するレーザー光照射装置30が、光学部材シートFXの切断部Sに光学層S1の液晶パネルP直近の層を部分的に切り残した切断線SLを形成することで、液晶パネルP直近の層まで完全にレーザーカットする場合と比べて、液晶パネルPの表面のダメージを効果的に抑えることができる。
【0096】
また、前記切断線SL形成後の光学部材シートFXの余剰部分を、液晶パネルPの貼合面T1と交差する方向で液晶パネルP側に変位させて光学部材FSから引き裂く引き裂き装置(第二回収部15d)を有することで、余剰部分を引き裂きにより簡単に除去できると共に、液晶パネルPに貼り残す光学部材FSの前記引き裂きによる剥離や切断端の乱れを抑止することができる。
【0097】
上記実施形態において、光学表示部品PXの光学部材FSと光学部材シートFXの余剰部分Yとの分離は、余剰部分Yを第二又は第三回収部15d,18dで巻き取ることで行っているが(図1,4参照)、これに限らず、種々の装置や工程を用いて前記分離を行うようにしてもよい。このとき、図13に示すように、光学表示部品PXの角部を起点に余剰部分Yを引き裂くことで、引き裂き始めから液晶パネルPの端縁のエッジを効かせ、余剰部分Yをスムーズに分離させることができる。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、例えば、本実施形態の切断対象となる積層型偏光板は、COP偏光板に限らず、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の高吸収率フィルム層と、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルム等の低吸収率フィルム層とを含む種々のものが挙げられる。
【0099】
本実施形態では、照射対象物にレーザー光を照射して所定の加工を行う構成として、光学部材シートを枠状に切断する構成を例に挙げたが、これに限らない。例えば光学部材シートを少なくとも二つに分割したり、光学部材シートに貫通する切れ目を入れたり、光学部材シートに所定の深さの溝(切れ込み)を形成したりする構成であってもよい。具体的には、例えば光学部材シートの端部の切断(切り落とし)、ハーフカット、マーキング加工等がある。
【0100】
液晶パネルに貼合される光学部材は、積層構造の光学層を有するものであれば、偏光フィルムではなく位相差フィルムや輝度向上フィルム等であってもよい。この場合も、各フィルムの光学層の液晶パネル直近の層に焦点を合わせてレーザー光を照射すればよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、第二切断装置16は、表示領域P4の外周縁をカメラ16a等の検出部で検出しつつ、表示領域P4の外周縁等に沿って第一及び第二光学部材シートF1,F2を切断することとした。また、第三切断装置19は、表示領域P4の外周縁をカメラ19a等の検出部で検出しつつ、表示領域P4の外周縁等に沿って第三光学部材シートF3を切断することとした。しかし、第二切断装置16及び第三切断装置19における検出部の構成はこれに限らない。
【0102】
具体的には、フィルム貼合システム1は、第二貼合シートF22において、第一及び第二光学部材シートF1,F2と液晶パネルPとの貼合面の外周縁を検出する検出部を有し、貼合面の外周縁に沿って設定された切断部SXを切断することとしてもよい。また、フィルム貼合システム1は、第三貼合シートF23において、第三光学部材シートF3と液晶パネルPとの貼合面の外周縁を検出する検出部を有し、貼合面の外周縁に沿って設定された切断部SXを切断することとしてもよい。
このように、第三光学部材シートF3と液晶パネルPとの貼合面の外周縁を検出する工程は、本発明の検出工程に該当する。
なお、切断部は、切断線と称してもよい。
【0103】
このような、貼合面の外周縁の検出および切断装置による切断は、詳しくは以下のようにして行う。以下、図14〜17を用い、フィルム貼合システム1の変形例について説明する。
【0104】
図14は、貼合面の外周縁を検出する第一検出部61の模式図である。本実施形態のフィルム貼合システム1が備える第一検出部61は、第二貼合シートF22における、液晶パネルPとシート片F1Sとの貼合面(以下、第一貼合面SA1と称することがある。)の外周縁EDの画像を撮像する撮像装置63と、外周縁EDを照明する照明光源64と、撮像装置63で撮像した画像の記憶や、画像に基づいて外周縁EDを検出するための演算を行う制御部65と、を有する。
【0105】
このような第一検出部61は、図1における第二切断装置16のパネル搬送上流側であって、挟圧ロール15bと第二切断装置16との間に設けられている。
【0106】
撮像装置63は、外周縁EDよりも第一貼合面SA1の内側に固定して配置されており、第一貼合面SA1の法線と、撮像装置63の撮像面63aの法線とが、角度θ(以下、撮像装置63の傾斜角度θと称する)をなすように傾斜した姿勢となっている。撮像装置63は、撮像面63aを外周縁EDに向け、第二貼合シートF22においてシート片F1Sが貼合された側から外周縁EDの画像を撮像する。
【0107】
撮像装置63の傾斜角度θは、第一貼合面SA1をなす第一基板P1の外周縁を確実に撮像できるように設定することが好ましい。例えば、液晶パネルPが、マザーパネルを複数枚の液晶パネルに分割する、いわゆる多面取りで形成されている場合、液晶パネルPを構成する第一基板P1と第二基板P2との外周縁にずれが生じ、第二基板P2の端面が第一基板P1の端面よりも外側にずれることがある。このような場合、撮像装置63の傾斜角度θは、撮像装置63の撮像視野内に第二基板P2の外周縁が入り込まないように設定することが好ましい。
【0108】
このような場合、撮像装置63の傾斜角度θは、第一貼合面SA1と撮像装置63の撮像面63aの中心との間の距離H(以下、撮像装置63の高さHと称する)に適合するように設定されることが好ましい。例えば、撮像装置63の高さHが50mm以上100mm以下の場合、撮像装置63の傾斜角度θは、5°以上20°以下の範囲の角度に設定されることが好ましい。ただし、経験的にずれ量が分かっている場合には、そのずれ量に基づいて撮像装置63の高さH及び撮像装置63の傾斜角度θを求めることができる。本実施形態では、撮像装置63の高さHが78mm、撮像装置63の傾斜角度θが10°に設定されている。
【0109】
撮像装置63の傾斜角度θは、0°であってもよい。図15は、第一検出部61の変形例を示す模式図であり、撮像装置63の傾斜角度θが0°である場合の例である。この場合、撮像装置63及び照明光源64の各々が、第一貼合面SA1の法線方向に沿って外周縁EDに重なる位置に配置されていてもよい。
【0110】
第一貼合面SA1と撮像装置63の撮像面63aの中心との間の距離H1(以下、撮像装置63の高さH1と称する)は、第一貼合面SA1の外周縁EDを検出しやすい位置に設定されることが好ましい。例えば、撮像装置63の高さH1は、50mm以上150mm以下の範囲に設定されることが好ましい。
【0111】
照明光源64は、第二貼合シートF22におけるシート片F1Sが貼合された側とは反対側に固定して配置されている。照明光源64は、外周縁EDよりも第一貼合面SA1の外側に配置されている。本実施形態では、照明光源64の光軸と撮像装置63の撮像面63aの法線とが平行になっている。
【0112】
なお、照明光源64は、第二貼合シートF22におけるシート片F1Sが貼合された側(すなわち、撮像装置63と同じ側)に配置されていてもよい。
【0113】
また、照明光源64から射出される照明光により、撮像装置63が撮像する外周縁EDが照明されていれば、照明光源64の光軸と撮像装置63の撮像面63aの法線とが交差していてもよい。
【0114】
図16は、貼合面の外周縁を検出する位置を示す平面図である。図に示す第二貼合シートF22の搬送経路上には、検査領域CAが設定されている。検査領域CAは、搬送される液晶パネルPにおける、第一貼合面SA1の外周縁EDに対応する位置に設定されている。図では、検査領域CAは、平面視矩形の第一貼合面SA1の4つの角部に対応する4箇所に設定されており、第一貼合面SA1の角部を外周縁EDとして検出する構成となっている。図では、第一貼合面SA1の外周縁のうち、角部に対応する鉤状の部分を外周縁EDとして示している。
【0115】
図14の第一検出部61は、4箇所の検査領域CAにおいて外周縁EDを検出する。具体的には、各検査領域CAには、それぞれ撮像装置63および照明光源64が配置されている。第一検出部61は、搬送される液晶パネルPごとに第一貼合面SA1の角部を撮像し、撮像データに基づいて外周縁EDを検出する。検出された外周縁EDのデータは、図14に示す制御部65に記憶される。
【0116】
なお、第一貼合面SA1の外周縁が検出可能であれば、検査領域CAの設定位置はこれに限らない。例えば、各検査領域CAが、第一貼合面SA1の各辺の一部(例えば各辺の中央部)に対応する位置に配置されていてもよい。この場合、第一貼合面SA1の各辺(四辺)を外周縁として検出する構成となる。
【0117】
また、撮像装置63および照明光源64は、各検査領域CAに配置されている構成に限らず、第一貼合面SA1の外周縁EDに沿うように設定された移動経路を移動可能である構成であってもよい。この場合、撮像装置63と照明光源64とが各検査領域CAに位置した際に外周縁EDを検出する構成とすることで、撮像装置63と照明光源64とがそれぞれ1つずつ設けられていれば、外周縁EDの検出が可能となる。
【0118】
第二切断装置16によるシート片F1Sおよび第二光学部材シートF2についての切断部(切断線)は、第一貼合面SA1の外周縁EDの検出結果に基づいて設定される。図11に示す制御部65は、記憶された第一貼合面SA1の外周縁EDのデータに基づいて、第一光学部材F11が液晶パネルPの外側(第一貼合面SA1の外側)にはみ出さない大きさとなるようにシート片F1mおよび第二光学部材シートF2のカット位置を決定する。第二切断装置16は、制御部65によって決定されたカット位置においてシート片F1Sおよび第二光学部材シートF2を切断する。
【0119】
図1に戻り、第二切断装置16は、第一検出部61よりもパネル搬送下流側に設けられている。第二切断装置16は、液晶パネルPに貼合されたシート片F1Sおよび第二光学部材シートF2のうち表示領域P4(図6参照)との対向部分と、対向部分の外側の余剰部分とを、検出された外周縁EDに基づいて設定された切断部(切断線)に沿って切り離し、表示領域P4に対応する大きさの第一光学部材F11および第二光学部材F12(図9参照)を切り出す。これにより、液晶パネルPの上面に第一及び第二光学部材F11,F12が重ねて貼合された第二片面貼合パネルP12が形成される。
【0120】
本実施形態では、平面視矩形状の液晶パネルPにおける機能部分を除いた三辺では、液晶パネルPの外周縁に沿って余剰部分をレーザーカットし、機能部分に相当する一辺では、液晶パネルPの外周縁から表示領域P4側に適宜入り込んだ位置で余剰部分をレーザーカットする構成を採用できる。例えば、第一基板P1がTFT基板の場合、機能部分に相当する一辺では機能部分を除くよう液晶パネルPの外周縁から表示領域P4側に所定量ずれた位置でカットする構成を採用できる。
【0121】
図17は、貼合面の外周縁を検出する第二検出部62の模式図である。本実施形態のフィルム貼合システム1が備える第二検出部62は、第三貼合シートF23における、液晶パネルPと第三光学部材シートF3との貼合面(以下、第二貼合面SA2と称することがある。)の外周縁EDの画像を撮像する撮像装置63と、外周縁EDを照明する照明光源64と、撮像装置63で撮像した画像を記憶し、画像に基づいて外周縁EDを検出するための演算を行う制御部65と、を有する。第二検出部62は、上述の第一検出部61と同様の構成を有している。
【0122】
このような第二検出部62は、図1における第三切断装置19のパネル搬送上流側であって、挟圧ロール18bと第三切断装置19との間に設けられている。第二検出部62は、第三貼合シートF23の搬送経路上において設定された検査領域において、上述の第一検出部61と同様にして第二貼合面SA2の外周縁EDを検出する。
【0123】
第三切断装置19による第三光学部材シートF3についての切断部(切断線)は、第二貼合面SA2の外周縁EDの検出結果に基づいて設定される。
【0124】
例えば、記憶された第二貼合面SA2の外周縁EDのデータに基づいて、第二検出部62の制御部65が、第三光学部材F13が液晶パネルPの外側(第二貼合面SA2の外側)にはみ出さない大きさとなるように第三光学部材シートF3の切断部(切断線)を設定する構成とすることができる。また、切断部(切断線)の設定は、必ずしも第二検出部62の制御部65で行う必要はなく、第二検出部62で検出した外周縁EDのデータを用い、別途計算部を用いて貼合面の外周縁に沿って切断部(切断線)を設定することとしても構わない。
【0125】
第三切断装置19は、貼合面の外周縁EDに沿って設定された切断部(切断線)において、第三光学部材シートF3を切断する。
【0126】
第三切断装置19は、液晶パネルPに貼合された第三光学部材シートF3のうち表示領域P4(図8参照)との対向部分と、対向部分の外側の余剰部分とを、検出された外周縁EDに基づいて設定された切断部(切断線)に沿って切り離し、表示領域P4に対応する大きさの第三光学部材F13(図9参照)を切り出す。これにより、第二片面貼合パネルP12の上面に第三光学部材F13が貼合された両面貼合パネルP13が形成される。
以上のような変形例に係るフィルム貼合システムにおいても、製品加工精度に影響することなく製品表面へのヒュームの付着を効果的に抑えることができ、狭額縁化に寄与することができる。
【0127】
また、上記実施形態では、レーザー光発振機160を含む第二切断装置16の全体がテーブル31に対して相対移動することとして説明したが、この構成に限らない。例えば、レーザー光発振機160が大きく、移動させるには不向きである場合には、レーザー光発振機160を固定し、走査素子(第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162)をテーブル31に対して相対移動させる構成を採用することができる。この場合、走査素子に追随して集光レンズ163も移動させるとよい。
【0128】
上記実施形態のフィルム貼合システムでは、検出部を用いて複数の液晶パネルPごとに貼合面の外周縁を検出し、検出した外周縁に基づいて、個々の液晶パネルPごとに貼合したシート片F1S、第二光学部材シートF2、第三光学部材シート3の切断位置を設定する。これにより、液晶パネルPやシート片F1Sの大きさの個体差によらず所望の大きさの光学部材を切り離すことができる。そのため、液晶パネルPやシート片F1Sの大きさの個体差による品質バラツキをなくし、表示領域周辺の額縁部を縮小して表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ることができる。
【0129】
そして、上記実施形態及び変形例における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 フィルム貼合システム(光学デバイスの生産システム)
12 第一貼合装置(貼合装置)
15 第二貼合装置(貼合装置)
15d 第二回収部(引き裂き装置)
18 第三貼合装置(貼合装置)
16 第二切断装置(切断装置)
19 第三切断装置(切断装置)
30 レーザー光照射装置
61 第一検出部(検出部)
62 第二検出部(検出部)
P 液晶パネル(光学表示部品)
P4 表示領域
F1 第一光学部材シート(光学部材シート)
F2 第二光学部材シート(光学部材シート)
F3 第三光学部材シート(光学部材シート)
F11 第一光学部材(光学部材、対向部分)
F12 第二光学部材(光学部材、対向部分)
F13 第三光学部材(光学部材、対向部分)
P11 第一片面貼合パネル(光学表示部品、貼合体)
P12 第二片面貼合パネル(光学表示部品、貼合体)
P13 両面貼合パネル(光学表示デバイス)
PX 光学表示部品
FS 光学部材
FX 光学部材シート
Y,Y’ 余剰部分
S 切断部
SL 切断線
S7 第一フィルム(最も前記光学表示部品に近い層)
U 焦点
L レーザー光
T1 貼合面
S1 光学層
ED 外周縁
SA1 第一貼合面(貼合面)
SA2 第二貼合面(貼合面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17