特許第5791699号(P5791699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791699
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】レーザビーム位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   H01L21/268 T
   H01L21/268 G
   H01L21/268 J
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-502787(P2013-502787)
(86)(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公表番号】特表2013-524518(P2013-524518A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011030453
(87)【国際公開番号】WO2011123500
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年3月26日
(31)【優先権主張番号】61/319,777
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】テルティトスキー, レオニード, エム.
(72)【発明者】
【氏名】クッタネネーア, クリシュナ, クマール
(72)【発明者】
【氏名】ハンター, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】モファット, スティーヴン
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−285886(JP,A)
【文献】 特開平10−006049(JP,A)
【文献】 特開2004−193490(JP,A)
【文献】 特開2006−216820(JP,A)
【文献】 特開2001−007043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を熱処置する装置であって、
回転可能な基板支持体と、
前記回転可能な基板支持体の近傍で実質的に均一の強度を有する放射のビームを生成することが可能な放射源であって、放射の前記ビームが前記放射源からビーム入射点で出る放射源と、
前記ビーム入射点と光学的に連通して配設される固定光路長ビーム位置アセンブリであって、複数の可動光学構成要素を有し、該複数の可動光学構成要素が、第1の鏡と第2の鏡とを備え、前記第1の鏡が第1のリニアポジショナおよび第1の回転ポジショナに結合され、前記第2の鏡が第2のリニアポジショナおよび第2の回転ポジショナに結合される、複数の可動光学構成要素を有する固定光路長ビーム位置アセンブリと、
前記基板支持体および前記固定光路長ビーム位置アセンブリに結合されるコントローラであって、前記コントローラが前記ビーム位置アセンブリの前記光学構成要素および前記基板支持体上の基板の選択された部分を位置決めするようになされ、そのため前記ビームが前記選択された部分を照らし、前記ビームの前記光路長が前記基板の全ての部分について実質的に同一であるコントローラとを備える
装置。
【請求項2】
前記第1のリニアポジショナが第1の方向に配向され、前記第2のリニアポジショナが前記第1の方向に配向され、各回転ポジショナが前記第1の方向に垂直な軸の周りを回転する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
記第2の鏡が前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って動き、各回転ポジショナが前記第1の方向および前記第2の方向に垂直な軸の周りを回転する、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記放射源が前記コントローラに結合される作動開孔を備え、前記コントローラが前記基板上の前記ビームの前記位置に基づいて前記開孔を位置決めするようにさらになされる、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラにビーム位置信号を送信するビーム位置検出器をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記ビームが不均一な断面形状を有し、前記光源の最終的な光学素子の前記アクチュエータが前記開孔を回転して、前記ビームを配向する、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記ビーム位置検出器が前記ビームの強度プロファイルを検出するようになされたカメラを備え、前記最終的な光学素子が可変焦点レンズを備え、前記コントローラが前記ビームの前記強度プロファイルに基づいて前記可変焦点レンズを調整するようにさらになされる、請求項に記載の装置。
【請求項8】
レーザアニーリングチャンバのためのビーム位置アセンブリであって、
ビームターゲッティング光学アセンブリと、
ビームターゲッティング検出器と、
レーザ放射のビームを複数の位置に実質的に一定の光路長で連続してターゲッティングするようになされるコントローラと
を備え
前記ビームターゲッティング光学アセンブリが少なくとも2つの作動鏡を備え、前記コントローラが前記鏡に結合され、前記コントローラが前記鏡の位置及び回転を調整することにより前記ビームを実質的に一定の光路長でターゲッティングするようになされる、ビーム位置アセンブリ。
【請求項9】
前記コントローラに結合される作動入射開孔をさらに備え、前記コントローラが、レーザ放射の前記ビームの伝播の方向に垂直な平面に前記開孔を動かすことにより、前記ビームをターゲッティングするようになされる、請求項に記載のビーム位置アセンブリ。
【請求項10】
前記ビームターゲッティング検出器がCCDマトリックスを備える、請求項に記載のビーム位置アセンブリ。
【請求項11】
レーザ放射のビームを表面上のターゲット位置にターゲッティングする方法であって、
前記表面をアクセス可能な配向に回転することにより、前記ターゲット位置をステージングするステップと、
前記ターゲット位置の上にビーム捕捉鏡を位置させるステップと、
ビーム操向鏡および前記ビーム捕捉鏡から前記ターゲット位置に反射する前記ビームの光路長がターゲット光路長と実質的に等しいように前記ビーム操向鏡の反射点を決定するステップと、
前記ビーム操向鏡を前記反射点に移動するステップと、
前記ビーム操向鏡を回転し前記ビームを前記ビーム捕捉鏡に向けるステップと、
前記ビーム捕捉鏡を回転し前記ビームを前記ターゲット位置に向けるステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記ターゲット位置をステージングするステップ、前記ビーム捕捉鏡を前記ターゲット位置の上に位置させるステップ、前記ビーム操向鏡を動かすステップ、および前記ビーム操向鏡およびビーム捕捉鏡を回転するステップが同時に実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
開孔をビーム原点において回転することによってビーム配向を調整するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のリニアポジショナが第1の方向に沿って前記第1の鏡を移動させ、前記第2のリニアポジショナが前記第1の方向に沿って前記第2の鏡を移動させる、請求項1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、半導体基板の熱処理に関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、半導体基板のレーザ熱アニーリングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ熱処理は、半導体産業で通常使用される技法である。半導体基板は、集積回路、フラットパネルディスプレイおよびソーラーパネルなど大画面パネル、光媒体、および磁気媒体に関係する、様々な再結晶化、活性化、およびアニーリングプロセスのためのレーザ熱処置を施される。レーザ処理は、高い加熱速度がレーザ手段で達成可能であり、速いスループットが得られるため、しばしば選択される。
【0003】
ほとんどの場合、処理される基板は、レーザ装置内の支持体上に位置決めされ、レーザが基板上のスポットに合焦される。次いで、基板上の所望の位置が全て処理されるまで、レーザスポットを基板上の連続する位置に位置決めするために基板が移動される。位置決めは、通常、基板を支持するための高精度xyステージを使用して達成される。また基板をz方向に移動し、基板上のレーザスポットの合焦を維持することができる。
【0004】
半導体基板上のデバイスのサイズはムーアの法則で減少するので、位置決めおよび合焦の正確な制御の必要性は増す。レーザを位置決めする際に精度が悪いと、熱処理することが望ましいデバイスを外すおそれがあり、一方、熱処理が望ましくない他の位置が照射される。加えて、デバイスサイズに対し、放射を合焦する際の精度がより悪化するので、均一な処理がますます困難になる。これらの傾向によって、ステージを、x、y、およびz方向に正確に位置決めすることが、急速に困難になっている。したがって、位置および合焦の精度の改善をもたらす熱処理装置および方法が引き続き求められている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示の実施形態は、半導体基板を熱的に処置する装置を提供し、装置は、プロセスチャンバ、プロセスチャンバ内に配設される回転可能な基板支持体、ビーム入射点においてプロセスチャンバに結合される、実質的に均一な強度を有する光のビームを生成することのできる光源、ビーム入射点と光学的に連通するチャンバ内に配設される固定光路長ビーム位置アセンブリであって、複数の可動光学構成要素を有する固定光路長ビーム位置アセンブリ、および基板支持体および固定光路長ビーム位置アセンブリに結合されるコントローラを有し、コントローラがビーム位置アセンブリの光学構成要素および基板支持体上の基板の選択された部分を位置決めするように構成され、そのためビームが選択された部分を照らし、ビームの光路長が基板の全ての部分について実質的に同一である。
【0006】
他の実施形態は、レーザアニーリングチャンバ用のビーム位置装置を提供し、ビーム位置装置が、ビームターゲッティング光学アセンブリ、ビームターゲッティング検出器、およびレーザ放射のビームを複数の位置に実質的に一定の光路長で連続してターゲットとするように構成されるコントローラを有する。
【0007】
他の実施形態は、レーザ放射のビームを表面上の位置にターゲッティングする方法であって、表面をアクセス可能な配向に回転することによってターゲットの位置をステージングすること、ターゲットの位置の上にビーム捕捉鏡を位置させること、ビーム操向鏡およびビーム捕捉鏡から表面に反射するビームの光路長がターゲット光路長と実質的に等しいようにビーム操向鏡の反射点を決定すること、ビーム操向鏡を反射点に移動すること、ビーム操向鏡を回転しビームをビーム捕捉鏡に向けること、ビーム捕捉鏡を回転しビームをターゲット位置に向けることを含む方法を提供する。
【0008】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することが可能なやり方を、上で簡単に要約された本発明のより具体的な説明が実施形態を参照することによってわかることができるように、その一部が添付の図面に示されている。しかし、他の同様に有効な実施形態を本発明が容認することができるので、添付の図面は、本発明の単に典型的な実施形態を示しており、したがって本発明の範囲を限定すると考えるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】一実施形態による、熱処理装置の概略上面図である。
図1B図1Aの熱処理装置の概略側面図である。
図2】別の実施形態によるレーザ装置の概略図である。
図3】別の実施形態による熱処理装置の概略上面図である。
図4】別の実施形態による基板のレーザ処置のための装置の概略図である。
【0010】
理解しやすくするために、可能な場合は、図に共通な同一の要素を指定するため、同一の参照番号が使用されている。一実施形態で開示される要素は、具体的な記述なしに、他の実施形態に有利に使用され得ることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、半導体基板を熱的に処置する装置を提供する。図1Aは、一実施形態による、熱処理装置100の概略上面図である。熱処理装置100は、レーザアニーリングチャンバであってもよいが、プロセスチャンバ102およびプロセスチャンバ102内に配設される回転可能な基板支持体104を備える。放射源110が、ビーム入射点132でプロセスチャンバ102に結合される。放射源110は、放射源110の最終的な光学素子である、光学素子112を特色として備える。放射源110の最終的な光学素子112は、チャンバ102内にレーザ放射114のビームを放出する。
【0012】
ビーム114は、一般に、放射源110によって形成され、ビーム114の断面にわたって均一である強度プロファイルを有する。一実施形態において、ビーム114は、約2%以下の均一性を有する強度プロファイルを有する。本明細書に開示の実施形態で使用可能な放射ビームを発生するために使用することができる放射源の例は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年2月5日公開の米国特許公開第2009/0032511号に記載されている。ビーム114は、表面上に投射されるとき、一定の輪郭を有する像に形成することもできる。一実施形態において、ビーム114は、円形の断面形状を有することができる。他の実施形態において、ビーム114は、正方形、矩形、または卵形の断面形状を有することができる。ビーム114の断面形状は、放射源110の最終的な光学素子112内に所望の形状を有する開孔を含むことにより生成することができる。
【0013】
装置100は、ビーム入射点132と光学的に連通するチャンバ内に配設されるビーム位置アセンブリ134をさらに備える。ビーム位置アセンブリ134は、回転可能な基板支持体104上に配設される基板上のターゲット位置に放射ビーム114を狙う。ビーム位置アセンブリ134は、ビームターゲッティング光学アセンブリであってもよいが、複数の可動光学構成要素を備える。図1Aの実施形態において、ビーム位置アセンブリ134は、ビーム捕捉鏡108およびビーム操向鏡122を備え、ビーム捕捉鏡108およびビーム操向鏡122の両方は、回転可能な基板支持体104上に配設される基板の選択された位置上に放射ビーム114を向けるように作動される。
【0014】
ビーム操向鏡122は、リニアアクチュエータ(図1Aの視野では不可視)により第1のyガイド120に沿ってy方向に移動可能であり、そのため、ビーム操向鏡122とビーム入射点132の間の距離「a」が変わる。ビーム捕捉鏡108は、xガイド116および第2のyガイド118に沿って、x方向およびy方向に移動可能である。一実施形態において、基板支持体104が回転し、ビーム捕捉鏡108のx/y移動を直径Dの片側に制限することが可能となる。また、第1のyガイド120に沿ったビーム操向鏡122のy方向の移動を、直径Dの片側に制限することができる。鏡108および122が、鏡108および122のそれぞれのリニアガイド116、118、および120に沿って移動すると、2つの鏡の間の距離「b」は変化する。距離「a」および「b」は、放射114のビームがビーム入射点からターゲット位置に進行する、光路長の部分を画定する。図1Aおよび図1Bは、平坦な平面鏡を示しているが、パラボラ、球形、楕円、または円筒形の鏡など曲面鏡を使用することができる。
【0015】
ビーム位置アセンブリ134は、一般に、固定経路長ビーム位置アセンブリとして構成される。そのため、ビーム位置アセンブリ134の鏡108および122は、鏡108および122のリニアアクチュエータに結合されるコントローラ106により制御される。コントローラ106は、鏡108および122を移動し、基板支持体104を回転して、放射114のビームをターゲット位置に位置決めし、一方放射ビーム114用に固定光路長を維持する。固定経路長は、放射ビーム114の断面積および強度プロファイルを維持するのに有用である。露光間の経路長の変動は、ダイ間で、または単一のダイの異なる位置間で、不均一な処置をもたらす可能性がある。
【0016】
放射源110は、連続波レーザもしくはパルスレーザまたは複数の連続波レーザもしくはパルスレーザであってもよい。放射源110は、任意の好都合な方法、例えば、所望の周波数および位相差を有する複数のレーザからパルスを生成すること、パルス伸張光学系を使用してパルスを混合し、任意の形状および時間的なエネルギープロファイルのエネルギーパルスを作ることによって、複数のレーザの出力を混合、形成、または組み合わせることができる。放射源110は、加えて、偏光光学系を含むことができる。レーザ熱アニーリング装置内の動作において、放射ビーム114を鏡108/122の連続した移動によって基板の表面全体にわたってスキャンすることができ、または、ビーム114が基板を照射するとき鏡が静止し、ステッピングプロセス中にビーム114が遮断されるとき鏡を動かすことができ、またはこれらの任意の組合せであってもよい。
【0017】
図1Bは、図1Aの装置100の概略側面図である。図1Bの視界では、装置100をy方向に沿って見ている。回転アクチュエータ130は、コントローラ106と通信し、基板支持体104に結合され、回転が可能になる。図1Aの第1のyガイド120は、支持体128により支持され、支持体128は、レールまたはロッドであってもよく、第1のyガイド120用にアクチュエータを含むことができる。ビーム捕捉鏡108は、リニアガイド116および118から、コントローラ106と通信する回転アクチュエータ124を有する回転支持体126によって支持される。アクチュエータ124は、ビーム捕捉鏡108を回転させ、ビーム操向鏡122を、ビーム114がターゲット位置に向かうのに好適な角度の方に向ける。ビーム操向鏡122は、同じく、ビーム操向鏡122のリニアガイド(図1Bの視界では不可視)から、コントローラ106と通信する第2の回転アクチュエータ130で、同様の回転支持体によって支持される。
【0018】
回転アクチュエータ124および130は、特定の実施形態により要求される自由度に依存して、1つ、2つ、または3つの軸の周りに鏡122および108を回転させることができる。例えば、ビーム捕捉鏡がxy平面内で移動する、図1Aおよび図1Bの実施形態などの実施形態において、鏡122および108のそれぞれは、xy平面に垂直な、z方向に平行な軸の周りに回転するよう制限される場合があり、ビーム捕捉鏡108用の回転の軸が、ビーム捕捉鏡108の中心または質量中心など、ビーム捕捉鏡108の中心部を通って延び、ビーム操向鏡122用の回転の軸が、ビーム操向鏡122の直径に沿って延び、そのため、ビーム操向鏡122がz方向に沿って配向される。そのような実施形態において、2つの鏡108および122は一緒に回転し、そのため、2つの鏡108および122が、常に光学的に連通し、ビーム114を直径Dの片側上の全てのターゲット位置に向け(図1A)、その後、基板支持体104を180度回転して、基板上の全ての他のターゲット位置にアクセスすることを可能にすることができる。
【0019】
そのような実施形態は、基板が基板の半径に沿って配向されないダイを有するとき、有用な場合がある。例えば、シリコンウエハは、ウエハの表面全体にわたって、直線の格子状に配向される矩形のダイを有する場合がある。矩形のダイが矩形のレーザスポットを使用して処理される場合、レーザスポットの配向がダイの配向と位置合せすることが、一般的に求められる。基板支持体104を、180度の倍数でない任意の角距離回転することによって、レーザスポットの配向に対するダイの配向が変化する。したがって、直径Dの片側上の全てのダイの処理を可能にする、ビーム位置アセンブリの実施形態が、そのようなプロセスにとって有用な可能性がある。
【0020】
円形の断面を有するレーザスポットなど、レーザスポットが特定の配向を有さない実施形態において、鏡122および108の自由度は、例えばビーム捕捉鏡108がビーム操向鏡122とともにy方向に移動することを制限することによって、さらに制限される場合がある。処理される各ターゲット位置について決定された量だけ基板支持体104を回転することによって、ビーム114の固定経路長を、そのような実施形態で維持することができる。そのような実施形態において、熱処理を望まない基板の部分が、レーザスポットのプロファイルとターゲット位置の形状の間の不一致に起因して、レーザスポットからのアニーリング放射に曝される可能性がある。例えば高放射率コーティングで基板を覆うことによって、基板上のそのような位置を保護することができる。
【0021】
交互に、放射源は、例えば放射源110の最終的な光学素子112に含まれる回転可能な開孔を含み、ターゲット位置の配向の回転に追従するように回転可能な、例えば矩形のレーザスポットといった、配向されたレーザスポットをもたらすことができる。コントローラ106は、回転アクチュエータを介して回転可能な開孔と通信することができる。放射源110から出るビーム114を形成する開孔は、一般的に、セラミックなど、熱的に安定な材料または高融点材料を含み、長時間および/または繰り返される照射に耐える。放射源110の内側に面する開孔の表面は、一般的に、放射源に収納されるレーザまたは複数のレーザによって、長時間および/または繰り返して照射を受けることになる。したがって、開孔の内側表面または開孔全体のいずれかが、耐熱または高融点材料を含む。いくつかの実施形態において、開孔の内側表面に入射する放射の熱的影響は、粗面から放射を散乱させることにより、または表面を反射性材料または高放射率材料でコーティングすることにより、緩和することができる。他の実施形態において、回転可能な開孔は、開孔の部分を通る冷却流体用にチャネルを形成することにより冷却することができる。
【0022】
図1Bの視界で、xz平面上に投影される、ビーム操向鏡122からビーム捕捉鏡108への距離を、「b」と示す。ビーム捕捉鏡108からの距離「c」に、ビーム操向鏡122からビーム捕捉鏡108への距離「b」、およびビーム入射点132からビーム操向鏡122への距離「a」に加えたものが、チャンバ内のビーム114の光路長である。コントローラ106は、必要に応じて、それぞれのリニアガイド116/118/120に沿った各鏡108/122の位置、各鏡108/122の回転、および基板支持体104の角配向を調整して、a+b+cの合計を実質的に一定に維持する。光路長を実質的に一定に維持することによって、ビーム114の均一な強度プロファイルを保持し、単一のターゲット位置の全体にわたる処置の均一性およびターゲット位置全ての間の処置の均一性を向上させる。
【0023】
鏡108/122が一緒にy方向に移動する実施形態において、ビーム捕捉鏡108がx方向に移動し、ビーム入射点からビーム操向鏡122への距離「a」を補正する。この実施形態において、鏡を回転することは要求されず、ターゲット位置が基板支持体の半径に沿って、装置のx軸に対して45°の角度で移動する。基板支持体上の基板の、全ての可能なターゲット位置に到達するため、支持体が回転し、ビームアクセス線に沿ってターゲット位置を持って行く。そのような場合、配向されないビームを使用して、または回転可能な開孔を使用してビーム配向を調整するように、基板支持体を回転することによって、ターゲット位置の配向を回転することができる。
【0024】
放射源用に、増分位置決め調整、回転調整、および焦点調整をもうけることにより、いくつかの実施形態において、精度を向上させることができる。図2は、焦点調整装置の実施形態を組み込んだレーザ装置200の概略図である。レーザ装置200は、基板214に対して仮想的な配向で、ビーム操向鏡122およびビーム捕捉鏡108に関係して示される。装置200は、任意の所望のやり方で光学的に組み合わされた複数のレーザであってもよいレーザ源202を備え、レーザ源202は、可変焦点レンズ206の焦点を調整するアクチュエータ212と通信する可変焦点レンズ206を通してレーザ放射のビームを放射する。
【0025】
ほとんどの実施形態で有用な可変焦点レンズは、調整が速く、一般的に耐熱性となる。一実施形態において、レンズを通して液体を流すためのコンジットを有する、液体セル可変焦点レンズを使用することができる。別の実施形態において、可変焦点レンズは、液体セルの外にレンズを通して冷却流体を流すためのチャネルまたはコンジットを組み込むことができる。他の実施形態において、液晶レンズを使用することができる。
【0026】
アクチュエータ212は、図1Aおよび図1Bのコントローラ106などのコントローラによって制御することができる。コントローラは、エミッタ204から放出される放射の閃光またはビームを検出するように構成される検出器210からの、焦点距離を表す信号を受信することができる。エミッタ204は、検出器210によって識別可能な放射を放出するように構成されるレーザまたは他の源であってもよい。エミッタ204は、レーザ放射が可変焦点レンズ206から基板214にたどる光路と実質的に同一の光路に沿って、開孔208を通ってビームまたは閃光を放出する。基板214からの反射光は、検出器210により検出される。コントローラは、光路長を登録し、アクチュエータ212を介して可変焦点レンズ206を調整する。開孔208に対する検出器210の近接度を最小化して、可変焦点レンズ206の自動合焦で確実に最高の精度にする。
【0027】
検出器210は、カメラを含む、任意の好都合なタイプのフォトン検出器であってもよい。使用することができるフォトン検出器のタイプとしては、CCDマトリックスおよびフォトダイオードアレイが挙げられる。検出器210は、いくつかの実施形態において、加えて光強度均一性検出器であってもよい。
【0028】
代替実施形態において、基板支持体は、高精度xyステージ上に取り付けられる高精度回転子を備え、支持体上に配設される基板の、xy移動および回転運動を可能にすることができる。xy位置決めを追加することにより、xyステージによる粗い位置決めおよび本明細書に記載の高精度光学系による精細な位置決めを可能にすることによって、いくつかの実施形態では、処理のスループットを改善することができる。別の代替実施形態において、放射源110の開孔または最終的な光学素子を通る放射ビームの光路を見るための撮像デバイスを使用することによって、ビーム位置決めおよび合焦を向上することができる。CCDマトリックスが放射源110とともに組み込まれ、例えば、基板から光の経路に沿って反射される放射を集めることができる。コントローラ106がCCDマトリックスからのデータを使用して、本明細書に記載の作動デバイスのいずれかのための制御信号を生成し、ビームの位置決めおよび合焦を改善することができる。
【0029】
図3は、別の実施形態による熱処理装置300の概略上面図である。装置300は、上の図1Aおよび図1Bに関連して記載した同一の構成要素の多くを特色として備える。装置300は、第1の回転可能な基板支持体304Aおよび第2の回転可能な基板支持体304Bを備える筐体302を有する。各基板支持体は、処理するため基板を保持することができる。放射源110を使用して、ビーム114Aの場合のように、第1の基板支持体304Aの全体にわたって、または破線の鏡122からの反射して示されているビーム114Bの場合のように、第2の基板支持体304Bの全体にわたってビームを向けるため、ビーム操向鏡122を回転することによって、2つの基板を同時にまたは連続して処理する。各基板支持体は、それぞれのリニアガイド316A/Bおよび318A/Bを使用して位置決めされるそれぞれのビーム捕捉鏡308Aおよび308Bを備えるそれぞれのビーム位置アセンブリを有する。そのような装置において、ビーム操向鏡122は、ビームを第1および第2の基板支持体304A/Bの全体にわたって交互に向けるため回転することができ、こうして、基板を同時に処理し、または基板を連続して処理して、一方の処理ステーションが活発に処理する間、他方が基板をロードおよびアンロードすることができる。
【0030】
他の実施形態において、複数のビーム捕捉鏡およびビーム操向鏡を単一の基板支持体とともに使用して、基板を回転することなく、基板上の全ての点でターゲット位置をアドレス指定することができる。一例示的な実施形態において、第1のビーム操向鏡を第1のビーム捕捉鏡とともに使用して、基板の半分にわたってターゲット位置をカバーし、上記のように動かして、第1の固定経路長を維持することができる。次いで、第1のビーム操向鏡を、所定の位置に置き、ビームを第2のビーム操向鏡に操向することができ、第2のビーム操向鏡が、第2のビーム捕捉鏡とともに動いて、第1の固定経路長と異なる第2の固定経路長で、残りのターゲット位置をカバーすることができる。
【0031】
本明細書に開示の実施形態は、レーザ放射のビームを表面上の位置にターゲティングする方法も提供する。方法は、ターゲット位置がビーム位置光学アセンブリにアクセス可能な配向に表面を回転することによってターゲット位置をステージングすること、ターゲットの位置の上にビーム捕捉鏡を位置させることを含む。ビーム捕捉鏡は、光源からターゲット位置にレーザ放射のビームを反射することになる。
【0032】
一実施形態において、放射ビームの光路長は、表面上の全てのターゲット位置について、実質的に一定を保つ。ビーム捕捉鏡上に当たるビームの光源位置は、ビーム操向鏡の反射点を決定することにより識別され、そのため、ビーム操向鏡およびビーム捕捉鏡からターゲット位置へ反射するビームの光路長は、ターゲット光路長と実質的に等しい。ビームは、固定点からビーム操向鏡に向けられており、したがって、光路長は、ビーム操向鏡の場所、ビーム捕捉鏡、およびターゲットの位置にのみ依存する。ビーム操向鏡を識別した反射点に動かし、2つの鏡を必要に応じて回転し、光学的に連通して位置合せする。コントローラを使用して、様々な要素の動きを同時に同期させ、ターゲティングの速度を改善することができる。
【0033】
ターゲティングの精度を改善するため、様々なバーニア調整をすることができる。例えば、ビームの固定点光源を、最初の位置決めの正確さを検知した後で調整することができる。特定の焦点距離を維持することが求められる場合、光路の長さは、本明細書に記載の方法のいずれかなど、任意の好都合な検知器を使用して検知することができ、焦点は、コントローラと通信する可変焦点レンズを使用して調整することができる。最後に、ビームが所望の回転の配向を有する場合、その配向は、コントローラの制御の下で、回転可能な開孔をもうけることによって、高精度に調整することができる。
【0034】
他の実施形態において、ビームがターゲット位置に到達する前の、ビームの最終的な調整としてレンズを使用することができる。レンズは、ビームの伝播の方向に対しある角度で傾けた平坦なプリズムなど、位置調整レンズのみであってもよく、またはレンズは、投影レンズなど、光学的に活性なレンズであってもよい。レンズまたはプリズムをターゲット位置にわたって移動して、本明細書に記載の鏡のいずれかなどの光源からの放射のビームを受け、ビームをターゲット位置に高精度に向けることができる。レンズまたはプリズムは、本明細書に記載のように位置決めすることができ、回転して、必要な配向を達成することができる。
【0035】
図4は、別の実施形態による基板のレーザ処置のための装置400の概略図である。レーザビーム402は開始点404を有し、開始点404は、チャンバ内への入射開孔、または単に装置に関して定義したレーザビームの開始点であってもよい。ビーム402は、第1の鏡406から第2の鏡414に反射し、第2の鏡414は、回転可能な基板支持体410上に配設される基板416の表面上のダイ408にビームを向ける。基板416が処理期間に回転されるので、各ダイ408は、例えば処理前のダイ408の位置である基準位置408、処理期間のダイ408の位置であるターゲット位置408という2つの関連する位置を有する。基板416および基板支持体410のそれぞれは、中心412を有する。
【0036】
図4の実施形態において、レーザビーム402がビーム入射点404から第2の鏡414に一定の距離進行するように、基板支持体410の回転位置は、直線的位置および第1の鏡406の回転および第2の鏡414の回転とともに決定される。加えて、ダイ408は、ダイ408の形状に一致するように設計された、レーザビーム402の断面形状と位置合せされる。ダイ408をビーム402と位置合せすることによって、ダイ408は、その全領域を光エネルギーにより確実に均一に照射される。ビーム402は、いくつかの実施形態において、矩形などの選択された断面形状でビームを表示するようにデザインされたビームカッタ(図示せず)を通過することにより、形成することができる。いくつかの実施形態において、ビームカッタは、ビーム入射点404に置かれる。図4の実施形態において、ビームカッタは、微調整および/または合焦およびサイズ調整をすること以外に移動または回転されず、そのため、ビーム402は、特定の軸に沿って整合して基板416に達し、ダイ408を回転してその同じ軸に沿って整合する。
【0037】
上記の構成を条件として、基板支持体410の回転位置は、以下のように決定される。ビーム入射点404から第2の鏡414に、基板表面に平行に進行するビーム402を用い、基板表面に平行でビーム中心を通る直交座標平面418を定義する。x軸およびy軸が基準位置408内のダイ408の側面に平行であるように、座標平面418が定義される場合、計算は簡単になる。(x,y)を、ビーム入射点404におけるビームの中心の座標位置であるとする。(x,y)を第1の鏡406の中心のターゲット位置であるとする。(x,y)を基板支持体410の回転の中心412であるとする。(x,y)をターゲット位置408におけるダイ408の中心の位置であるとする。(x,y)を基準位置408におけるダイ408の中心の位置であるとする。処理前に回転することにより、ダイ408が基準位置408となる基準位置に基板416を配向することができる。交互に、基板の配向と基準配向の間で、オフセットを検出することができる。
【0038】
位置(x,y)は、(x,y)から(x,y)および(x,y)から(x,y)への距離の合計が一定であり、かつターゲット位置408におけるダイ408の側面がレーザビーム402の矩形の断面形状に整合されるように計算される。一定のビーム長をBLで示すこととする。基板416がダイ408を基準位置408からターゲット位置408に動かすための回転角θは、次式のように計算される。
ここで、
位置(x,y)は、極座標から直交座標に単に変換することにより、位置(x,y)から計算することができる。基板が基準配向に物理的に配向されていなかった場合、位置(x,y)を決定する前に、検出されるオフセット角度を、適宜、回転角θに加算または減算することができる。
【0039】
第2の鏡414は、xyポジショナにより(図1Aのように)位置(x,y)に動かされる。第1の鏡406のx位置、xを用いて、定数yが次式で計算される。
=y+(x−X)tanθ
第1の鏡406は、リニアポジショナにより位置(x,y)に動かされる。
【0040】
第2の鏡414は、xy平面に関して45°の一定角度で保持され、回転アクチュエータによりxy平面に垂直な軸の周りで回転されて、第1の鏡406から反射されるビームを係合する。x軸に関する第2の鏡414の回転角αは、角度θと同じである。第1の鏡406は、xy平面に関し一定の垂直配向で保持され、回転アクチュエータによりxy平面に垂直な軸の周りで回転され、ビーム402を第2の鏡414に反射する。x軸に関する第1の鏡406の回転角γは、次式で与えられる。
上記の方法にしたがって基板および鏡を位置決めすることによって、ビームの光路長を、基板上の全ての処理位置について、確実に一定に保つ。コントローラ420は、鏡406および414、ならびに基板支持体410に結合され、上式により決定される動きを達成することができる。コントローラは、上の計算を実施するようにデザインされるソフトウェアとともに構成され、計算される位置に基づいて、鏡406および414、ならびに基板支持体410を動かすアクチュエータに制御信号を送信することができる。
【0041】
基板支持体410は、一般的に、一定の定められた精度で、高精度回転アクチュエータによって回転される。アクチュエータによって与えられる回転位置の不正確さが、300mmウエハの実施形態において、最大約40μmの位置決め誤差に変換される可能性がある。一実施形態において、そのような誤差を、上記のビーム形成開孔またはビームカッタの位置を微調整することにより補正することができる。開孔がビーム入射点404に置かれる場合、開孔を回転または2つの方向に横方向に動かして、微細な位置決め誤差を補正することができる。そのような微調整のため、ピエゾアクチュエータを使用することができる。基板を位置決めする際の誤差を、カメラ、CCDマトリックス、またはフォトダイオードアレイなどのフォトン検出器を使用して検出および測定することができる。
【0042】
上記が本発明の実施形態を対象とする一方、本発明の他のさらなる実施形態が、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4