特許第5793068号(P5793068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793068
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20150928BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20150928BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20150928BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K5/521
   C08K3/22
   C08L27/18
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-267220(P2011-267220)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-119575(P2013-119575A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(72)【発明者】
【氏名】畑中 知幸
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 賢司
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120717(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/000973(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/147830(WO,A1)
【文献】 特開2007−063346(JP,A)
【文献】 特開2011−088970(JP,A)
【文献】 特開2003−026935(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00126454(EP,A1)
【文献】 特開平11−172253(JP,A)
【文献】 特開平09−278947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂に対して、難燃剤成分として、下記(A)成分及び下記(B)成分を含有し、さらにドリップ防止剤として、下記(D)成分を含有してなり、
下記(A)成分と下記(B)成分の合計の含有量が、32〜38質量%であり、下記(A)成分と下記(B)成分との含有比率(質量基準)が、(A)/(B)=35/65〜50/50であり、下記(D)成分の含有量が、0.1〜1質量%であって、
厚さ1.6mm以下でUL94 5VAの規格を満足することを特徴とする難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
(A)成分:下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
(B)成分:下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
(D)成分:ポリテトラフルオロエチレン
【化1】
(式中、nは1〜100の数を表し、X1はアンモニア又は下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。)
【化2】
(式中、Z1及びZ2は同一でも異なっていてもよく、−NR56基〔ここでR5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はメチロール基である〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれる基である。)
【化3】
(式中、rは1〜100の数を表し、Y1は〔R12N(CH2)mNR34〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンを表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、水素原子、又は炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、mは1〜10の整数を表し、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。)
【請求項2】
更に(C)成分として酸化亜鉛を含有する請求項に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
上記(A)成分として、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミン(上記一般式(2)におけるZ1及びZ2が−NH2)であるピロリン酸メラミンを用いる請求項1又は2に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
上記(B)成分として、上記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジンを用いる請求項1〜の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
上記ポリリン酸ピペラジンが、ピロリン酸ピペラジンである請求項に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物から得られる電気自動車、機械又は電気・電子機器のハウジング又は部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に関し、詳しくは難燃性の規格であるUL規格のUL94 5VAに適合する難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂は、その成形加工性、力学的特性及び低比重等に優れているという利点があり、安価な汎用樹脂として、その成形品は機械、電気・電子機器、OA機器、自動車内外装材、電気自動車用途等に広く使用されている。これらの製品のうち電気・電子機器やOA機器等に関して、特にこれらのハウジング(枠、筐体、外装、カバー等)や部品に使用される場合、高い難燃性が要求されている。
【0003】
具体的には、アンダーライターズ ラボラトリー社(Underwritters Laboratories)のUL規格を満たすことが求められており、大型の稼働型機器や設置型機器、高電圧を使用する機器等を中心に、近年、特にUL94 5VAの規格を満たすことが求められている。
【0004】
従来、自己消性を有するポリカーボネート樹脂等の成形品では、このUL94 5VAの規格を満たすものが提案されている(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、従来のポリオレフィン系樹脂においては、UL94 5VAの規格を満たすことが困難であり、また前記規格を満たす場合も、燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を使用しなければならないという問題があった。また難燃剤の配合量によっては、樹脂本来の物性に悪影響を及ぼすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−12859号公報
【特許文献2】特開2001−40202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を使用していない、UL94 5VAの規格を満足する難燃性を有するポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ポリオレフィン系樹脂に対して、難燃剤成分として、下記(A)成分及び下記(B)成分を含有してなり、UL94 5VAの規格を満足することを特徴とする難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
(A)成分:下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
(B)成分:下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
【0008】


【化1】
(式中、nは1〜100の数を表し、X1はアンモニア又は下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。)
【0009】
【化2】
(式中、Z1及びZ2は同一でも異なっていてもよく、−NR56基〔ここでR5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はメチロール基である〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれる基である。)
【0010】
【化3】
(式中、rは1〜100の数を表し、Y1は〔R12N(CH2)mNR34〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンを表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、水素原子、又は炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、mは1〜10の整数を表し、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。)
【0011】
また本発明は、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が、15〜50質量%であることを特徴とする前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また本発明は、更に(C)成分として酸化亜鉛を含有する前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
また本発明は、更に(D)成分としてドリップ防止剤を含有する前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0014】
また本発明は、上記(D)成分がポリテトラフルオロエチレンである前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0015】
また本発明は、上記(A)成分として、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミン(上記一般式(2)におけるZ1及びZ2が−NH2)であるピロリン酸メラミンを用いる前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0016】
また本発明は、上記(B)成分として、上記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジンを用いる前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0017】
また本発明は、上記ポリリン酸ピペラジンが、ピロリン酸ピペラジンである前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0018】
また本発明は、厚さ3.2mm以下でUL94 5VAの規格を満足することを特徴とする前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0019】
また本発明は、厚さ1.6mm以下でUL94 5VAの規格を満足することを特徴とする前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
【0020】
また本発明は、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物から得られる電気自動車、機械、電気・電子機器のハウジング又は部品を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、燃焼時に有害なガスを発生しない、UL94 5VA規格を満足する難燃性を有するポリオレフィン系樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物を用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、難燃性の点から、特にポリプロピレンの使用が好ましい。
【0023】
次に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(A)成分について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物において(A)成分として用いられる上記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、リン酸とアンモニア又は上記一般式(2)で表わされるトリアジン誘導体との塩である。
【0024】
上記一般式(2)におけるZ1及びZ2で表される炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等が挙げられ、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基としては、これらアルキル基から誘導される基が挙げられる。また、Z1及びZ2がとり得る−NR56基におけるR5及びR6で表される炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記に挙げたアルキル基のうちの炭素原子数1〜6のものが挙げられる。
【0025】
上記トリアジン誘導体の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の中でも、(A)成分としては、(ポリ)リン酸とメラミンとの塩又は(ポリ)リン酸アンモニウム化合物が好ましく使用される。。
【0027】
上記(ポリ)リン酸とメラミンとの塩としては、例えば、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等が挙げられ、これらの中でも、難燃性の点から、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミンであるピロリン酸メラミンが特に好ましい。(ポリ)リン酸とメラミンとの塩は、例えば、ピロリン酸メラミンの場合は、ピロリン酸ナトリウムとメラミンとを任意の反応比率で塩酸を加えて反応させ、水酸化ナトリウムで中和することにより得ることができる。
【0028】
上記(ポリ)リン酸アンモニウム化合物は、(ポリ)リン酸アンモニウム単体若しくは(ポリ)リン酸アンモニウムを主成分とする化合物である。上記(ポリ)リン酸アンモニウム単体としては、クラリアント社製のエキソリット−422、エキソリット−700、モンサント社製のフォスチェク−P/30、フォスチェク−P/40、住友化学(株)社製のスミセーフ−P、チッソ(株)社製のテラージュ−S10、テラージュ−S20等の市販品を使用することができる。
【0029】
上記の(ポリ)リン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、(ポリ)リン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆若しくはマイクロカプセル化したものや、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等で(ポリ)リン酸アンモニウム表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコン処理を行ったもの、(ポリ)リン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し難溶化したもの等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、クラリアント社製のエキソリット−462、住友化学(株)社製のスミセーフ−PM、チッソ(株)社製のテラージュ−C60、テラージュ−C70、テラージュ−C80等が挙げられる。
【0030】
次に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(B)成分について説明する。本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物において(B)成分として用いられる上記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、(ポリ)リン酸とY1で表わされるジアミンとの塩である。Y1で表されるジアミンは、R12N(CH2mNR34、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンである。
【0031】
1〜R4で表される炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例えば、前記でZ1及びZ2で表されるアルキル基の具体例として挙げたもののうちの炭素原子数1〜5のものが挙げられる。ピペラジン環を含むジアミンとしては、例えば、ピペラジンの2、3、5、6位の1箇所以上をアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物;ピペラジンの1位及び/又は4位のアミノ基を、アミノ基で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物が挙げられる。
【0032】
上記一般式(3)におけるY1で表されるジアミンとしては、具体的には、N,N,N',N'−テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−ジエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1、7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans−2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられ、これらの化合物としては、全て市販品を用いることができる。
【0033】
上記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の中でも、(B)成分としては、(ポリ)リン酸とピペラジンとの塩、即ち、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンが好ましい。これらの中でも、難燃性の点から、上記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジン、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0034】
(ポリ)リン酸とピペラジンとの塩は、例えば、ピロリン酸ピペラジンの場合は、ピペラジンとピロリン酸とを水中又はメタノール水溶液中で反応させて、水難溶性の沈殿として容易に得られる。ポリリン酸ピペラジンを使用する場合は、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、その他のポリリン酸の混合物からなるポリリン酸とピペラジンとから得られた塩でもよい。この場合、原料の(ポリ)リン酸の構成は特に限定されない。
【0035】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物において、上記(A)成分の含有量は、難燃性の点から、1〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましく、6〜20質量%であることが更に好ましく、8〜18質量%であることが最も好ましい。
【0036】
上記(B)成分の含有量は、難燃性の点から、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、8〜30質量%であることが更に好ましく、12〜25質量%であることが最も好ましい。
【0037】
本発明の難燃性オレフィン系樹脂組成物において、難燃剤成分である上記(A)成分と上記(B)成分の合計の含有量は、15〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることが更に好ましく、32〜38質量%であることが最も好ましい。15質量%未満では十分な難燃化効果が得られず、50質量%を超えると樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0038】
また、上記(A)成分と上記(B)成分との含有比率(質量基準)は、難燃性の点から、(A)/(B)=20/80〜50/50が好ましく、(A)/(B)=30/70〜50/50がより好ましく、(A)/(B)=35/65〜45/55が更に好ましい。
【0039】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、更に(C)成分として、難燃助剤である酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。酸化亜鉛は例えば、酸化亜鉛1種(三井金属工業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属工業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。上記(C)成分としての酸化亜鉛の含有量は、0.5〜10質量%であることが好ましく、1.2〜5質量%であることがより好ましい。
【0040】
また、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、更に(D)成分として、ドリップ防止剤を含有することが好ましい。ドリップ防止剤としては、フッ素系ドリップ防止剤やシリコンゴム類、層状ケイ酸塩等が挙げられる。
【0041】
上記層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0042】
上記(D)成分のドリップ防止剤の中でも、特にフッ素系のドリップ防止剤が好ましく、フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記フッ素系のドリップ防止剤の中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
【0043】
上記(D)成分のドリップ防止剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることが更に好ましい。0.01質量%未満であるとドリップ防止効果が十分ではなく、5質量%を超えると、樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0044】
本発明に使用される難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に対し、上記(A)成分及び(B)成分を配合すればよく、更に上記(C)成分及び/又は(D)成分を配合することが好ましい。(A)〜(D)成分をポリオレフィン系樹脂に配合するタイミングは特に制限されず、例えば、あらかじめ(A)〜(D)成分の中から選択される2種以上をワンパック化してポリオレフィン系樹脂に配合してもよく、又は各々の成分をポリオレフィン系樹脂に対して配合してもよい。ワンパック化する場合は、各成分は、各々粉砕してから混合してもよく、又は混合してから粉砕してもよい。
【0045】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、配合時における二次凝集の抑制や耐水性を改良するためにシリコーンオイルを配合してもよく、シリコーンオイルの例としては、ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、これらのコポリマーが挙げられ、またこれらの側鎖及び/又は末端の一部に有機基を導入した、アミン変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メルカプト変性、ポリエーテル変性、長鎖アルキル変性、フロロアルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、シラノール変性、ジオール変性、フェノール変性及び/又はアラルキル変性した変性シリコーンオイルを使用してもよい。
【0046】
上記シリコーンオイルの具体例をあげると、ジメチルシリコーンオイルとして、KF−96(信越化学(株)製)、KF−965(信越化学(株)製)、KF−968(信越化学(株)製)等が挙げられ、メチルハイドロジェンシリコーンオイル又はメチルハイドロジェンポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルとして、KF−99(信越化学(株)製)、KF−9901(信越化学(株))、HMS−151(Gelest社製)、HMS−071(Gelest社製)、HMS−301(Gelest社製)、DMS−H21(Gelest社製)等が挙げられ、メチルフェニルシリコーンオイルの例としては、KF−50(信越化学(株)製)、KF−53(信越化学(株)製)、KF−54(信越化学(株)製)、KF−56(信越化学(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性品としては、例えば、X−22−343(信越化学(株)製)、X−22−2000(信越化学(株)製)、KF−101(信越化学(株)製)、KF−102(信越化学(株)製)、KF−1001(信越化学(株)製)、カルボキシル変性品としては、例えば、X−22−3701E(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X−22−4039(信越化学(株)製)、X−22−4015(信越化学(株)製)、アミン変性品としては、例えば、KF−393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0047】
また、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤とは、有機官能基と共に加水分解性基を有する化合物であり、例えば、一般式A−(CH2k−Si(OR)3で表される。Aは有機官能基であり、kは1〜3の数を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。Aの有機基としては、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤としては、エポキシ基を有するものが特に好ましい。
【0048】
更に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて滑剤を配合することも好ましい。このような滑剤としては、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
本発明における滑剤の好ましい配合量は、0.01〜5質量%であり、より好ましくは、0.1〜1質量%である。
【0049】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤等を配合して安定化することが好ましい。
【0050】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらのフェノール系酸化防止剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0051】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0052】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0053】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0054】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0055】
上記の老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダーフェノール系、亜リン酸エステル系等が挙げられる。これらの老化防止剤の配合量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0056】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として強化材を配合してもよい。強化材としては、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0057】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更に結晶核剤を配合してもよい。結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを適宜用いることができ、本発明においては無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤の何れも使用することができる。
【0058】
上記無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0059】
上記有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0060】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを適宜用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。
【0061】
上記ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジン等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分とからなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端が封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端が封鎖されていてもよい。
【0062】
上記グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
【0063】
上記多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコール等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
【0064】
上記ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコール、或いはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の、末端封鎖化合物等を挙げることができる。
【0065】
上記エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、本願発明では、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0066】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル及びパラフィン類等を挙げることができる。
【0067】
本発明において可塑剤を使用する場合は、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0068】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、ハロゲンを含有しない、有機若しくは無機系の難燃剤又は難燃助剤の一種以上を使用することができる。それら難燃剤・難燃助剤としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛、その他の無機系難燃助剤、ペンタエリスリトール、その他の有機系難燃剤等が挙げられる。
【0069】
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0070】
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(協和化学工業(株)製水酸化マグネシウムの商標)等が挙げられる。
【0071】
上記リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0072】
上記縮合リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0073】
上記無機リン系難燃剤としては、例えば、赤リンが挙げられる。
【0074】
上記ジアルキルホスフィン酸塩としては、例えば、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
【0075】
上記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の無機化合物、及びその表面処理品が挙げられる。その具体例としては、例えば、TIPAQUE R−680(石原産業(株)製酸化チタンの商標)、キョーワマグ150(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムの商標)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(協和化学工業(株)製亜鉛変性ハイドロタルサイトの商標)等の種々の市販品を用いることができる。
【0076】
その他、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、金属石鹸、充剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【0077】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物において、上記(A)〜(D)成分以外の任意成分を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、好ましくは合計で40質量%以下とする。
【0078】
本発明の難燃性ポリオレフィン系脂組成物を成形することにより、UL945VA規格に適合した成形品を得ることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
【0079】
本発明の難燃性ポリオレフィン系脂組成物によれば、好ましくは厚さ3.2mm以下、より好ましくは厚さ1.6mm以下で、UL95 5VAに適合することが可能である。
【0080】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、電気自動車、機械、電気・電子機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材等に使用でき、UL94 5VAの規格が必要とされる用途に用いられる。
【0081】
具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)等のOA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器等が挙げられ、これらのハウジングや部品等が挙げられる。更にはコネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器等が挙げられる。また高電圧筐体や、ハイブリッドカー、電気自動車用途にも好ましく用いられる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に示す。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0083】
〔実施例1〜15〕難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造及び評価
〔表1〕又は〔表2〕記載の成分を配合して難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を220℃で押し出してペレットを製造し、このペレットを使用して金型温度50℃、樹脂温度220℃の条件で射出成形し、寸法127mm×13mm×1.6mmのバー(Bar)試験片、及び寸法127mm×13mm×3.2mmのバー(Bar)試験片を得た。また同じペレットを使用して220℃でプレス成形し、寸法150mm×150mm×1.6mmのプラーク(Plaque)試験片及び寸法150mm×150mm×3.2mmのプラーク(Plaque)試験片を得た。
【0084】
〔比較例1〜9〕比較の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造及び評価
〔表3〕記載の成分を用いる以外は、実施例1〜15と同様にして、比較の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を得、得られた樹脂組成物から比較の試験片を得た。
【0085】
〔表1〕〜〔表3〕記載の(A)成分と(B)成分は、以下の方法で製造した。
〔製造例1〕
(A)成分:ピロリン酸メラミン
ピロリン酸とメラミンを1:2のモル比で反応させて製造した。
〔製造例2〕
(B)成分:ピロリン酸ピペラジン
ピロリン酸とピペラジンを1:1のモル比で反応させて製造した。
【0086】
実施例又は比較例で得られた試験片について、以下の難燃性試験、荷重たわみ温度(HDT)の試験及びアイゾット衝撃強さの試験を行った。結果を〔表1〕〜〔表3〕に示す。尚、〔表1〕〜〔表3〕の配合は、すべて質量部基準である。
【0087】
<難燃性試験>
上記で得られた1.6mmの試験片及び3.2mmの試験片それぞれ難燃性の評価を難燃性の規格UL94 5Vに基づいてバー(Bar)試験とプラーク(Plaque)試験を行った。難燃性は5VAが5VBより優れ、5VA、5VBの何れも達成できなかった場合は、not-5Vと記載した。
【0088】
<荷重たわみ温度(HDT)>
上記で得られたペレットを用い、金型温度50℃、樹脂温度220℃の条件で射出成形し、寸法80×10×4mmの試験片を作製し、ISO75(荷重0.45MPa)に準拠して、荷重たわみ温度(℃)を測定した。
【0089】
<シャルピー衝撃強さ>
ISO179に準拠して室温条件下、耐衝撃性を試験した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】