(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出器は、前記試料の平面の垂直上方に配置された上部検出器と、前記試料の前記平面に対して斜角に配置された2つ又はそれ以上の側部検出器とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記水平領域を識別するステップ、前記表面を、前記材料種のそれぞれで構成される複数のセグメントにセグメント化するステップと、前記セグメントの各々の内の1つ又はそれ以上の水平領域を識別するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
前記3次元トポグラフィカルモデルを計算するステップは、前記表面上の複数の点における高さ勾配を推定するステップと、前記高さ勾配を積分して前記3次元トポグラフィカルモデルを生成するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記高さ勾配を推定するステップは、前記表面上の所与の点に対して、前記検出器出力をそれぞれの反射率関数の関数として表す一組の式を定義するステップと、前記一組の式を解いて前記所与の点における高さ勾配を導出するステップとを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
所与の検出器の反射率関数を、前記所与の検出器によって捕捉される角度範囲にわたって前記放出電子収率の角度分布を積分することによって導出するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
前記高さ勾配を推定するステップは、前記高さ勾配の成分の曖昧さを、前記表面上の閉ループ経路にわたる該高さ勾配の積分がゼロであることを要求する基準を適用することによって解決するステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
前記検出器は、前記試料の平面の垂直上方に配置された上部検出器と、前記試料の前記平面に対して斜角に配置された2つ又はそれ以上の側部検出器とを含むことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
前記プロセッサは、前記表面を、前記それぞれの材料種で構成される複数のセグメントにセグメント化し、各々の前記セグメント内の1つ又はそれ以上の水平領域を識別するように構成されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
前記プロセッサは、前記3次元トポグラフィカルモデルを、前記表面上の複数の点における高さ勾配を推定し、前記高さ勾配を積分して該3次元トポグラフィカルモデルを生成することにより計算するように構成されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
前記プロセッサは、前記表面上の所与の点に対して、前記検出器出力をそれぞれの反射率関数の関数として表す一組の式を定義し、前記一組の式を解くことによって前記所与の点における高さ勾配を導出するように構成されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
前記プロセッサは、所与の検出器の反射率関数を、前記所与の検出器によって捕捉される角度範囲にわたり前記放出電子収率の角度分布を積分することによって導出するように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
前記プロセッサは、前記高さ勾配の成分の曖昧さを、前記表面上の閉ループ経路にわたる該高さ勾配の積分がゼロであることを要求する基準を適用することによって解決するように構成されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
前記プロセッサは、ある材料種で構成される表面上の点において推定される所与の検出器の反射率関数を、前記材料種に対して計算された較正係数を用いて規格化することによって適用するように構成される、請求項10に記載の装置。
複数の材料種で構成される試料に対してそれぞれ異なる位置に配置されたそれぞれの検出器から、一次電子ビームによる前記試料の照射に応じて該試料から放出される放出電子を表す複数の検出器出力を受け取るように構成されるインタフェースと、
各々の材料種に対して、該材料種で構成された前記表面上の1つ又はそれ以上の水平領域を識別すること、及び、前記識別された水平領域における少なくとも1つの前記検出器出力に基づいて該材料種の較正係数を計算することによって前記複数の材料種間の放出電子収率の変動を補償するための前記複数の材料種の各々に対応する較正係数を取得し、前記取得した較正係数を前記検出器出力に適用し、前記取得した較正係数が適用された前記検出器出力に基づいて前記表面の3次元トポグラフィカルモデルを計算するように構成されたプロセッサと、
を備えることを特徴とする装置。
プログラム命令が内部にストアされた有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令は、コンピュータによって読み出されたとき、複数の材料種で構成される試料に対してそれぞれ異なる位置に配置されたそれぞれの検出器から、一次電子ビームによる前記試料の照射に応じて該試料から放出される放出電子を表す複数の検出器出力を受け取ることと、各々の材料種に対して、該材料種で構成された表面上の1つ又はそれ以上の水平領域を識別し、前記識別された水平領域における少なくとも1つの前記検出器出力に基づいて該材料種に対する較正係数を計算することによって前記複数の材料種間の放出電子収率の変動を補償するための前記複数の材料種の各々に対応する較正係数を取得することと、前記取得した較正係数を前記検出器出力に適用することと、前記取得した較正係数が適用された前記検出器出力に基づいて前記表面の3次元トポグラフィカルモデルを計算することと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする製品。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概要
本発明の実施形態は、複数の検出器によって捕捉された試料の複数の走査電子顕微鏡(SEM)画像から、試料表面の3次元(3D)トポグラフィカルモデルを計算する方法及びシステムを提供する。特に、開示される較正プロセスは、試料表面が複数の材料種で構成される場合の3Dモデルのゆがみを防止する。
【0017】
幾つかの実施形態において、試料は一次電子ビームで照射される。試料に対して異なる位置に配置された複数の検出器が、照射された試料から放出される2次電子及び後方散乱電子を検出する。例えば、検出器は、試料の直接上方に配置された上部検出器と2つ又はそれ以上の側部検出器とを含むことができる。
【0018】
各々の検出器は、検出器によって捕捉された二次電子の収率を示すそれぞれの検出器出力を生成する。プロセッサが、複数の検出器出力を処理して試料の3Dトポグラフィカルモデルを再構成する。典型的には、プロセッサは、試料全域にわたる表面の高さ勾配を推定し、この勾配を積分して3Dトポグラフィカルモデルを生成する。
【0019】
多くの実際的用途において、試料表面は複数の材料種で構成される。特定の方向における二次電子収率は、表面トポグラフィに依存するだけでなく、その材料組成にも依存するので、それを考慮に入れない限り、材料種の違いが3D再構成を歪める可能性がある。
【0020】
1つの実施形態において、プロセッサは、異なる材料種の間の二次電子収率の変動を補償するための較正係数を計算する。プロセッサは、表面の3Dトポグラフィカルモデルを計算する際に較正係数を検出器出力に適用する。例示的な実施形態において、プロセッサは、各材料種に対して、実質的に水平の1つ又はそれ以上の表面の領域を識別する。プロセッサは、その水平領域において種々異なる材料種に関する基準収率計測を行い、これらの計測値を用いて較正係数を計算する。次にプロセッサは、これらの較正係数を試料の他の領域内で生成された検出器の出力に適用する。その結果、3Dトポグラフィカルモデルは、試料表面の異なる材料種による影響を受けないものとなる。
【0021】
本明細書で説明する方法及びシステムは、試料表面上に存在し得る種々の材料種にかかわらず、試料の高度に正確な3Dモデルを生成する。本開示の技法は、複数の材料を有する試料を検査する様々な用途、例えば、半導体ウェハの限界寸法(CD)計測、欠陥検査(DR)及び自動欠陥分類(ADC)など、に用いることができる。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、3次元(3D)マッピングのため走査電子顕微鏡(SEM)システム20の概略を示すブロック図である。この実施例において、システム20は、特にSEMカラムシステム(図示せず)、検出システム(図示せず)及び試料を取り扱うための試料取扱いシステム(図示せず)から構成された走査ユニット21を備え、SEMを用いて試料を走査し、試料の形状、設計、材料及び他の特徴を示す信号を検出する。
【0023】
システム20は、走査ユニット21内の検出器によって生成されるデジタル画像を処理する画像処理ユニット23をさらに備える。しかし、以下で説明するように、この種の分割は必須のものではなく、システム20の機能は、単一ユニットで実装することもでき、又は複数のユニットの間で適切に分割することもできる。
【0024】
システム20は、種々の用途、例えば、限界寸法(CD)計量、欠陥検査(DR)又は任意の他の適切な用途に用いることができる。本明細書で説明する実施形態において、システム20によってマッピングされる試料は、半導体ウェハを含む。しかし、代替的にシステム20は、その他の任意の適切な種類の試料、例えば、半導体マスク及びレチクル、平面ディスプレイパネル、ソーラーパネルなどの3Dマッピングに用いることができる。
【0025】
システム20内の走査ユニット21は、ある特定の高さプロファイル又は表面トポグラフィを有する試料22を走査する。例えば、試料は、電子部品、導電体及び他の素子が上に配置された、パターン形成された半導体ウェハを含むことができる。ユニット21は、電子ビームを用いて試料22を照射し、照射に応じて試料から放出される二次電子を検出し、この二次電子検出を用いて、以下で詳しく説明する方法により試料表面の3Dモデルを生成する。
【0026】
この例におけるユニット21は、試料22を一次電子(PE)ビームで照射する電子源24を備える。通常、PEビームは、試料表面上のある特定の点を任意の所与の時刻に照射し、ビームは、例えばラスタパターンで試料を走査する。PEによる照射に応じて、二次電子(SE)が試料上の照射点から放出される。SEは種々の角度で放出され、検出器アレイ28によって検出される。
【0027】
この実施形態において、アレイ28は、上部検出器32A並びにそれぞれD1及びD2で示す2つの側部検出器32B及び32Cを備える。上部検出器は試料平面の垂直上方に配置され、他方、側部検出器は試料平面に対して斜角に配置される。4つの側部検出器を有する代替の検出器構成を下の
図2に示す。4つの側部検出器の出力を処理する例示的な方法を以下の
図7に示す。(試料22、電子源24及びアレイ28は、側面図で示す。しかし、アレイ28内の検出器32A...32Cは、分かり易くするために平面図で示す)。
【0028】
各検出器は、照射点に対してある一定の角度範囲内のSEを捕捉する。
図1の例において、上部検出器32Aは、照射点を頂点とするある特定の円錐領域内に放出されるSEを捕捉する。側部検出器32B及び32Cの各々は、それぞれ異なる角度及びエネルギーセクタ内のSEを捕捉する。
【0029】
以下でさらに説明するように、通常、上部検出器は、試料表面の画像を異なる材料組成の領域にセグメント化するために用いられる。側部検出器がトポグラフィコントラストに対してより敏感であるのと対照的に、上部検出器は材料コントラストに非常に敏感であるのでこの作業に最も良く適している。SEの斜め収集とは異なり、SEの垂直収集(上部検出器によって行われる)において、収集画像内の各点は、試料表面の単一照射点を正確に示し、照射点の周囲からの寄与による影響をあまり受けない。
【0030】
従って、上部検出器の出力を分析するとき、パターンの縁部に関連付けられない強度差は、通常、材料組成の違いを示す。従って、本開示の技法は、材料関連情報を生成し、この情報を用いて試料の3Dモデル、例えば高さマップを生成する。材料関連情報は、上部検出器によって生成された信号を処理することにより生成される。縁部の情報は、材料のセグメント化を行うときは通常は無視される。しかし、代替的実施形態において、上部検出器は他の目的に用いることもできる。
【0031】
例示的な一実施形態において、電子源24は電子銃を含み、検出器32A...32Cの各々は、シンチレータと光電子増倍管(PMT)との組合せを含む。検出器アレイ28は、試料の上方、例えば120mmに配置され、上部検出器32Aの直径は、例えば14mm程度であり、側部検出器32B及び32Cの外径は、例えば25mm程度である。しかし、これらの実装の細部は単なる例として与えられるものである。代替的実施形態においては、他の任意の適切な構成を用いることができる。通常、各検出器は、幾何学的配置によって決まる角度及びエネルギーの特定のそれぞれの範囲内のSEを捕捉する。
【0032】
各検出器は、検出器によって捕捉される角度セクタ内の二次電子の収率に依存する信号を生成する。PEビームが試料を走査する際に、各検出器は、時間の関数として、試料の現在の照射点からのそれぞれの角度セクタ内のSE収率に依存する信号を生成する。
【0033】
図1の実施例において、画像処理ユニット23は、検出器32A...32Cによって生成された信号に基づいて、試料22の表面の3Dモデル(例えば、高さマップ)を生成する。ユニット23は、検出器によって生成された信号を受け取るインタフェース37と、本明細書で説明するマッピング法を実行するプロセッサ38とを備える。具体的には、プロセッサ38は、検出器によって生成された信号を較正し、3Dモデルが試料表面の材料組成の違いによって影響されないようにする。本明細書で説明する実施形態は、主に2つの異なる材料種を有する試料表面につい言及するものであるが、本開示の技法は、表面が任意の所望の数の材料種で構成される試料をマッピングするために用いることができる。
【0034】
幾つかの実施形態において、ユニット23は、デジタル表現の検出器出力、結果として得られる高さマップ、及び/又はあらゆる他の適切な情報をストアするための記憶デバイス39を備える。通常、プロセッサ38は、本明細書で説明する機能を実行するためのソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを含む。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンピュータにダウンロードすることもでき、又は、磁気、光、若しくは電子的なメモリなど、非一時的な有形媒体上で供給及び/又はストアすることができる。
【0035】
図2は、本発明の代替的実施形態による検出器アレイの概略を示す図である。この例において、アレイは、上部検出器と、D1...D4で表す4つの四分円側部検出器とを備える。
図2のアレイは、システム20のアレイ28の代りに用いることができる。さらに代替的に、システム20は、任意の他の適切な幾何学的配置に配置された任意の他の適切な数の検出器を備えることができる。検出器D1...D4の出力を処理する例示的な方法を以下の
図7で説明する。
【0036】
上の
図1のシステム構成は、例示的な構成である。代替の実施形態において、システム20は、任意の他の適切な構成で実装することができる。例えば、本開示の実施形態は、2つ又は4つの側部検出器を有する構成について言及するものである。しかし、本開示の技法はそのような構成に限定されず、代替の実施形態では任意の他の適切な数の側部検出器を用いることができる。
【0037】
別の実施例として、本開示の技法は、「ツール上で」、即ちシステム20の画像処理ユニット23によって実行することができる。これらの実施形態において、プロセッサ38は、本開示のマッピング技法を、場合によりシステム20の他の画像処理機能と共に、実行する。代替的実施形態において、本開示の技法は、別個の専用システム又はプロセッサによって実行することができる。本開示の技法の理解に必須ではないシステム要素は、分かり易くするために図から省略した。
【0038】
幾何学的記法
図3は、この後の説明で用いられる幾何学的記法を示す図である。本明細書で用いられる特定の幾何学的表記法は決して限定的なものではなく、単に概念的に明瞭にするために用いられるものである。
【0039】
試料22は、x、y及びz軸に関するある特定の面内に配置される。ベクトルnはこの面の法線を表す。換言すれば、ベクトルnは試料22に対して垂直である。xy面に対する試料の傾き、即ちnとz軸の間の角度はθで表す。座標系の原点(x=y=z=0)は、所与の時刻に試料がPEビームで照射される点を示す。ビームは、上から下へz軸に沿って試料を照射する。
【0040】
照射の結果として、SEが試料から種々の方向に放出される。SEの収率yは、典型的にはy=y(cos(θ))に従って、傾角θに依存する。SEの速度ベクトルは、vで表され、典型的にはランベルトの法則に従って分布し、即ち、p∝cos(φ)であり、ここでφはvとnとの間の角度である。
【0041】
複数の検出器信号に基づく高さプロファイルの3D再構成
Hで、試料22の高さプロファイル、即ちウェハの位置の関数としてのウェハ表面の高さを表すものとする。i番目検出器により生成される信号レベルは、Eiで表され、高さプロファイルの勾配に依存し、さらに検出器と照射点との間の相対的方向に依存する。これを次式のように書くことができる。
【数1】
式中、
【数2】
は高さプロファイル
【数3】
の勾配を表し、
【数4】
は、照射点からl番目検出器へのベクトルを表す。R
iは反射率関数を表し、Y
0は水平面からの全SE収率を表し、kは機械依存の定数を表す。
【0042】
2つの側部検出器の場合、所与の照射点について検出器により生成される信号は次式のように書くことができる。
【数5】
【0043】
ひとたび、E1及びE2の計測値が検出器から得られると、この方程式系を解いて、照射点における高さ勾配
【数6】
の2つの成分を得ることができる。異なる数の検出器に対して、同様の方程式系を定義して解くことができる。
【0044】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、検出器から計測信号レベルEiを受け取り、方程式系[2]を解いて高さ勾配
【数7】
を導出する。システム20は、このプロセスを試料22上の複数の照射点に対して繰返し、それにより試料の高さ勾配マップを生成する。次にプロセッサ38は、任意の適切な再構成方法を実施して、高さ勾配マップから試料の高さプロファイルHを再構成する。典型的には、プロセッサ38は、高さ勾配マップを2次元積分することにより、高さプロファイルを再構成する。
【0045】
i番目検出器の反射率関数R
iは以下のように書くことができる。
【数8】
式中、yは合計の相対SE収率を表し、ηiはi番目検出器によって捕捉されたSEの分率を表す。式[3]中の項
【数9】
は、全ての検出器に共通である。項
【数10】
は、異なる検出器の間の、捕捉されたSEの相対分布を示す。
【0046】
種々の実施形態において、プロセッサ38は、θに対するyの依存性に関する種々の既知のモデルを用いることができる。例示的な1つの実施形態において、プロセッサ38は、逆コサイン依存性、即ち、
【数11】
を用いる。別の実施形態において、プロセッサ38は、依存性y=(cosθ)
-α
を用いる。さらに別の実施形態において、プロセッサ38は、依存性
【数12】
を用いる。さらに代替的に、プロセッサ38は、θに対するyの、他の任意の適切な依存性を用いることができる。y=y(cos(θ))であるので、項
【数13】
は、以下のように書くことができる。
【数14】
【0047】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、i番目検出器によって捕捉された角度セクタ(φ/ψ極座標において)にわたってランベルト分布関数を積分することによって式[3]の反射率関数の中の各ηi項を計算する。
【0048】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、ランベルト分布関数を積分するのに用いられる幾何学的表記法を示す図である。この表記において、平面44は原点(照射点)を通り、検出器D1及びD2に関して対称に配置される。換言すれば、平面44は原点を通り、検出器D1とD2とを結ぶ線に直交する。平面44の検出器D1と同じ側に位置する部分空間をマークΩ1で示し、平面44の検出器D2と同じ側に位置する部分空間はマークΩ2で示す。
【0049】
輪郭40は、二次電子収率の空間分布を表すランバーシアンを示す。輪郭52はランバーシアン40と平面44との交線を示す。角度2ωは、上部検出器32Aによって捕捉される円錐セクタの頂角、即ちシステム20の固定物理特性を表す。輪郭48は、この円錐セクタとランバーシアン40との交線によって定義されるドームを示す。平面44のD1側に位置するドーム48の部分はT1で表され、平面44のD2側に位置するドーム48の部分はT2で表される。
【0050】
これらの定義から分かるように、ランベルト分布関数のドームにわたる(即ち、輪郭48の内部にわたる)積分が上部検出器によって捕捉される二次電子収率を与える。従って、η1及びη2は次式のように書くことができる。
【数15】
【0051】
通常、プロセッサ38は、式[4]の積分を、普通これらの積分の閉形式表現が存在しないので、数値的に計算する。上記の式[3]の反射率関数Riを計算しているので、プロセッサ38は式[3]を解いて高さ勾配マップ
【数16】
を導出することができる。
【0052】
表面材料を考慮した3Dマッピングの較正
ここまで、上述のプロセスは試料22の表面全域にわたる材料組成の違いを考慮に入れなかった。しかし多くの実際のシナリオにおいて、試料22の表面は、異なる材料で構成される異なる構造部(feature)又は構造を含む。例えば、表面の幾つかの領域はシリコンなどの基板材料を含むことがあり、一方、他の領域は、金属導電体、他の半導体材料又は任意の他の適切な材料を含むことがある。
【0053】
理解できるように、ある特定の方向における二次電子収率は、照射点における高さ勾配及び材料組成の両方に依存する。従って、システム20の検出器によって生成される信号E
iも同様にこれらの因子に依存する。これを考慮に入れない限り、材料組成の違いは、高さ勾配マップ
【数17】
の推定をゆがめる可能性があり、それゆえにシステム20によって計算される3Dモデルをゆがめる可能性がある。
【0054】
本発明の幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、試料表面の材料組成を計算から除外する較正プロセスを実行する。本開示の較正プロセスは、SE収率に影響を及ぼす2つの因子、即ち、表面トポロジと表面材料との間を区別する。この較正プロセスを用いると、得られる試料22の3Dモデルは、材料組成の違いによる影響を実質的に受けず、それゆえに試料の表面トポグラフィをより忠実に再現することになる。
【0055】
i番目検出器によって生成される信号Eiは、上記の式[1]によって定義される。式[1]中の項
【数18】
は、表面トポグラフィにのみ依存する。しかし、試料表面が種々異なる材料を含むとき、式[1]中の項k
i・Y
0は、事前には未知であり、Y0が材料の種類に依存するので照射点ごとに変化し得る。
【0056】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38はこの問題を、所与の照射点における実際の材料を考慮してその点の反射率関数Riを較正することによって解決する。完全に水平な平面に対して、次式を書くことができる。
[5] y=1, η
i=η
H
式中、ηHは、水平面から捕捉されるSEの分率、即ち、検出器の幾何学配置に依存する定数を表す。従って、水平面の照射に応じてi番目検出器によって生成される信号は次式で与えられる。
[6] E
iH=k
i・Y
0・η
H
【0057】
プロセッサ38は、例えば、水平
【数19】
であることが既知の試料22の基準照射点を選択し、この点が照射されたときの検出器信号を計測することによって、EiHを得ることができる。E
iHを得た後、プロセッサ38は式[6]からk
i・Y
0を導出することができる。この導出は、基準(水平)照射点における特定の材料に関するk
i・Y
0の値を与える。従って、画像内の基準照射点を選択し、E
iHを導出するプロセスは、通常、試料表面上に存在する各々の材料種に対して繰返す必要がある。
【0058】
後に所与の照射点を計測するとき、プロセッサ38は、所与の照射点における材料種に適用可能なEiH値を用いて反射率関数Riを次のように規格化する。
【数20】
【0059】
Ei及びEHiの両方が材料の種類に依存するので、規格化されたRiは表面トポグラフィにのみ依存し、材料には依存しない。規格化された反射率関数R
iから、プロセッサ38は照射点における高さ勾配
【数21】
を導出することができる。この導出された
【数22】
の値は材料種には依存しない。以下の記述は、R
iから
【数23】
を導出する例示的なスキームを説明する。
【0060】
従って、現在の文脈において、異なる材料種に対する計測された基準EiH値は、試料表面の3Dトポグラグラフィカルモデルを計算する際にプロセッサ38が検出器出力に適用する較正因子と考えられる。代替的実施形態において、プロセッサ38は、異なる材料の二次電子収率の違いを補償する任意の他の適切な種類の較正係数を計算して、適用することができる。
【0061】
Riを次式のように書けることを示すことができる。
【数24】
式中、γは次式で定義される。
【数25】
式中、
【数26】
は、照射点における試料表面に直角(垂直)な単位ベクトルを表し、
【数27】
は、2つの側部検出器を結ぶ線に沿った単位ベクトルを表す。項
【数28】
は、2つのベクトルのスカラー積を表す。
【0062】
勾配
【数29】
は、次式で与えられることを示すことができる。
【数30】
式中、
【数31】
である。
【0063】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、式[10]から、
【数32】
の2つの成分を計算する。関数F−1及びV1はω(上部検出器によって捕捉される円錐セクタの頂角)に依存する。通常、プロセッサ38は、これらの関数の値の所定の表を保持し、
【数33】
を計算するとき、表を用いて関数の値を求める。
【0064】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、高さ勾配を計算するのに用いられる関数F−1及びV1を示すグラフである。図中の上のグラフは、ωの種々の値に対する関数V1を示し、下のグラフは、ωの種々の値に対する関数F−1を示す。代替の実施形態において、例えば、他の検出器の幾何学的配置に対して、任意の他の適切な関数を用いることができる。
【0065】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38は高さ勾配
【数34】
の、2つの側部検出器D1及びD2を結ぶ線に沿った1つの成分、及び、この線に垂直な、勾配のもう1つの成分を計算する。これら2つの成分は、それぞれ、
【数35】
及び
【数36】
で表され、次式で与えられる。
【数37】
【0066】
勾配の垂直成分
【数38】
は曖昧であり、即ち、理論的に可能な2つの解を有することに留意されたい。この曖昧さを解決する1つの可能な方法は、勾配関数の可積分性を用いることである。一般に、勾配関数の閉ループにわたる積分はゼロである。
【数39】
式中、Sは試料表面上の任意の閉ループ経路を表すことができる。
【数40】
と平行な2辺、及び
【数41】
と平行な2辺を有する矩形経路を選択することにより、式[14]の要件は次のように書くことができる。
【数42】
式[15]から、以下の関係が分かる。
【数43】
【0067】
幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、式[15]及び[16]の検定において両方の仮定(式[13]内の
【数44】
の正の値及び負の値の両方)を検定する。式[15]の積分がゼロにより近くなる仮定が、
【数45】
の正しい値として選択される。
【0068】
上述の曖昧さ解決検定は、高さプロファイル勾配が検出器D1とD2とを結ぶ線に平行であるときには正常に機能しない可能性がある。1つの可能な解決策は、試料22の構造部が検出器を結ぶ線に対して斜めに配向するように試料22を配置することである。例示的な実施形態において、試料は、その軸が検出器を結ぶ線に対して45°の角度(xy平面内で)を成すように配置される。
【0069】
試料表面上の各照射点における勾配
【数46】
の2つの成分を計算した後、プロセッサ38は勾配を2次元積分して試料の高さマップHを再構成する。しかし、実際には、計算された勾配成分は多くの場合近似的であり、理想的な勾配関数からずれているので、容易に積分可能とはならない可能性がある。従って、勾配を積分する作業は、その2次元勾配が計算された勾配に可能な限り近い2次元スカラーマップを見出す作業と考えることができる。幾つかの実施形態において、プロセッサ38は、そのようなスカラーマップを見出し、これを試料の再構成された高さマップとして出力する。
【0070】
所与の勾配マップに対してスカラーマップをフィッティングする種々の方法が当技術分野において知られており、それら方法のいずれかをプロセッサ38によって用いることができる。例示的な方法がFrankot及びChellappaによって非特許文献3で説明されている。この論文によると、高さマップは次式によって計算される。
【数47】
式中、F
H(ω)は、高さマップHのフーリエ変換を表し、F
gx及びF
gyは、勾配成分のフーリエ変換を表す。
【0071】
3Dマッピング法の説明
図6は、本発明の実施形態による、例えば、
図1に示すウェハ試料22などの試料の3Dマッピングを、検査、計量又は評価システム、例えば
図1に示すシステム20によって行う方法の概略を示すフローチャートである。本方法は、走査ステップ60において、システム20が試料22を一次電子(PE)ビームで照射することで開始する。検出ステップ64において、走査中に検出器32A...32Cが試料表面上の各照射点の試料から放出される二次電子(SE)を検出する。デジタル表現の検出器信号がインタフェース37を介してマッピング・ユニット36のプロセッサ38に供給される。
【0072】
プロセッサ38は、検出器毎に1つの画像で試料の複数のSEM画像を生成する。所与の検出器の画像は、その検出器によって試料表面上の種々の照射点から捕捉されたSE収率を示す値の2次元配列を含む。
図1の例示的な構成において、プロセッサ38は検出器32A...32C(上部検出器と2つの側部検出器)に対応する3つの画像を生成する。プロセッサ38は、これら3つの画像を用い、試料表面を構成する材料の種類を考慮して補償して、試料22の3D高さマップを計算する。
【0073】
幾つかの実施形態において、セグメント化ステップ68において、プロセッサ38は、試料表面を表面材料に応じたセグメントに分割する。各セグメントは、それぞれの材料で構成される試料表面上の点を含む。例えば、1つのセグメントはシリコンで構成される試料表面上の場所を含むことができ、別のセグメントは金属導電体で構成される試料表面上の場所を含むことができる。プロセッサ38は、このセグメント化を実行するために任意の適切な画像処理スキームを用いることができる。プロセッサは、いずれかの単一画像に基づいて、又は複数の画像に基づいてセグメント化を行うことができる。1つの実施形態において、プロセッサはこの目的で上部検出器32Aの画像を用いる。
【0074】
領域識別ステップ72において、各々の材料種に対して、プロセッサ38は、実質的に水平な試料表面上の1つ又はそれ以上の領域を識別する。プロセッサ38は、種々の方法で水平領域を識別することができる。例示的な実施形態において、試料表面の大部分は水平であり、例外は構造部の縁部であり、これは検出器により生成された1つ又はそれ以上のSEM画像を処理することによって検出することができる。プロセッサ38は1つの画像の中の縁部を識別し、識別された縁部を用いてその画像をセグメント化することができる。プロセッサは、各セグメント内の計測された電子収率に基づいて、異なる材料で構成された水平領域の間を区別することができる。通常、必須ではないが、プロセッサはこの目的のために上部検出器32Aの画像を用いる。
【0075】
各々の材料種に対して、プロセッサ38は、この材料の水平領域内の1つ又はそれ以上の点を用いて、式[6]に関して上述したように、EiHを推定する。プロセッサは各材料種の推定されたEiHをストアして後で較正に用いる。
【0076】
試料表面上の各々の照射点に対して、プロセッサ38は、複数の画像内の対応する画像点に基づいて高さマップの勾配
【数48】
を計算する。幾つかの実施形態において、反射率計算ステップ76において、プロセッサ38は、反射率関数Riを計算し、事前に計算されたEiH値を用いて材料種を計算から除外するようにしてそれらを較正する。プロセッサ38は、所与の照射点についての反射率関数を、(i)所与の照射点における材料種を識別し、(ii)所与の照射点についての反射率関数Riを識別された材料種のEiH値を用いて規格化することによって計算する。
【0077】
次に、勾配計算ステップ80において、プロセッサ38は、規格化された反射率関数Riから勾配マップ
【数49】
を計算する。この計算は、例えば、上記の式[8]−[13]のプロセスに従うことができる。この段階で、プロセッサ38は、種々異なる材料種による影響を受けない試料の勾配マップを有することになる。次にプロセッサ38は、高さマップ導出ステップ84において、勾配マップから試料の高さマップHを導出する。この導出は、例えば、上記の式[14]−[17]のプロセスに従うことができる。次いで高さマップが出力として与えられる。幾つかの実施形態において、高さマップは、適切なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を用いてオペレータに提示することができる。付加的に又は代替的に、高さマップは、後の処理、例えば、試料の限界寸法(CD)の計測のため又は欠陥評価のために、別のシステム又はアプリケーションに供給することができる。
【0078】
本明細書で説明する実施形態は、複数の検出器によって生成される信号の、試料表面を構成する複数の材料を計算から除外するための較正について言及するものである。しかし、代替的実施形態において、本開示の較正スキームは、例えばプロセッサ38によって検出器信号から生成される画像など、検出器のなんらかの直接的又は間接的出力に適用することができる。
【0079】
図7は、本発明の代替的実施形態による、試料の3Dマッピングの方法の概略を示すフローチャートである。
図7の方法は、上記の
図2の4つの側部検出器の構成に関連して用いられる。この実施例において、本方法は、対形成ステップ90において、プロセッサ38が側部検出器の対を選択することで開始する。典型的には、プロセッサは、隣接する側部検出器の対、例えば、D1+D2及びD3+D4、を選択する。
【0080】
プロセッサ38は、対の組合せステップ94において、各対内の側部検出器によって生成された出力(画像)を組み合せる。実施形態において、プロセッサ38は、対の再形成ステップ98において、側部検出器の異なる対に対して、対形成及び組合せプロセスを繰返す。例えば、プロセッサ38は、初めに(ステップ90)検出器D1+D2及びD3+D4の対を形成し、次に(ステップ98)検出器D1+D4及びD2+D3の対を形成することができる。
【0081】
プロセッサ38は、合計ステップ102において、2つの対形成操作の結果を合計して単一の合成画像を形成する。次にプロセッサ38は、処理ステップ106において、この単一画像を処理して試料の3D高さマップを生成する。この処理には、例えば、上記の
図6の方法を用いることができる。
【0082】
図8は、本明細書で論じるいずれか1つ又はそれ以上の方法を機械に実行させるための一組の命令を実行することができるコンピュータシステム800の例示的な形態における、機械の図的表現を示す。代替的実施形態において、この機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の他の機械に接続する(例えば、ネットワーク接続する)ことができる。この機械は、クライアント−サーバ・ネットワーク環境におけるサーバ又はクライアント機械の容量内で動作することができ、又は、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピア機械として動作することができる。この機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ用電化製品、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、その機械が行う動作を指定する一組の命令(逐次又はそれ以外)を実行することができる任意の機械とすることができる。さらに、単一の機械だけを示すが、「機械」という用語はまた、本明細書で論じるいずれか1つ又は複数の方法を実行するための一組(又は複数組)の命令を個々に又は一緒に実行する機械のいかなる集合をも含むものと解釈されたい。1つの実施形態において、コンピュータシステム800は、サーバ102、現行画像変換器110などのサーバを表すものとすることができる。
【0083】
例示的なコンピュータシステム800は、処理デバイス802、主メモリ804(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)又はラムバスDRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ806(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及びデータ記憶デバイス818を含み、これらは互いにバス830を介して通信する。本明細書で説明する種々のバス上で供給される信号はいずれも、他の信号と時間多重化して1つ又はそれ以上の共通バス上で供給することができる。さらに、回路構成要素又はブロックの間の相互接続は、バス又は単一信号線として示すことができる。各々のバスは代替的に1つ又はそれ以上の単一信号線とすることができ、各々の単一信号線は代替的にバスとすることができる。
【0084】
処理デバイス802は、1つ又はそれ以上の汎用処理デバイス、例えば、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどを表す。より具体的には、処理デバイスは、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実行するプロセッサ、若しくは命令セットの組合せを実行するプロセッサとすることができる。処理デバイス802は、1つ又はそれ以上の専用処理デバイス、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどとすることもできる。処理デバイス802は、本明細書で論じる動作及びステップを行うための処理論理826を実行するように構成される。
【0085】
コンピュータシステム800は、ネットワークインタフェースデバイス808をさらに含むことができる。コンピュータシステム800はさらに、ビデオディスプレイユニット810(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極線管(CRT))、文字数字入力デバイス812(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス814(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス816(例えば、スピーカ)を含むことができる。
【0086】
データ記憶デバイス818は、本明細書で説明する機能のいずれか1つ又は複数の方法を具体化する命令822の1つ又はそれ以上のセット(例えば、ソフトウェア)がストアされた機械可読記憶媒体828を含むことができる。命令822は、コンピュータシステム800によるその実行中に、主メモリ804内及び/又は処理デバイス802内に、完全に又は少なくとも部分的に存在することもでき、主メモリ804及び処理デバイス802もまた機械可読記憶媒体を構成する。命令822はさらに、ネットワークインタフェースデバイス808を介してネットワーク820上で送信又は受信することができる。
【0087】
機械可読記憶媒体828は、例示的な実施形態において単一媒体として示したが、「機械可読記憶媒体」という用語は、1つ又はそれ以上の命令セットをストアする単一媒体又は複数媒体(例えば、集中型データベース又は分散型データベース、及び/又は関連付けられたキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈されたい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読な形式の情報(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)をストアするための任意の機構を含む。機械可読媒体としては、それらに限定されないが、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスケット)、光記憶媒体(例えば、CD−ROM)、光磁気記憶媒体、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラム可能メモリ(例えば、EPROM及びEEPROM)、フラッシュメモリ、又は、電子命令をストアするのに適したその他の型式の媒体を挙げることができる。
【0088】
前述の説明は、多数の特定の細部、例えば、特定のシステム、構成要素、方法などの例を説明して本発明の幾つかの実施形態のより良い理解を与えようとするものである。しかし、当業者には、本発明の少なくとも幾つかの実施形態はこれらの特定の細部を用いずに実施できることが明白であろう。他の場合には、周知の構成要素又は方法は、本発明を不必要に不明瞭にしないよう、詳しくは説明しないか又は簡単なブロック図形式で表している。従って、特定の細部の説明は単に例示的なものである。個々の実装はこれらの例示的な細部とは異なることもあるが、それでもなお本発明の範囲に入ることが意図されている。
【0089】
本明細書を通して、「1つの実施形態」又は「実施形態」に対する言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の種々の場所における語句「1つの実施形態において」又は「実施形態において」は、必ずしも全て同じ実施形態について言及するものではない。さらに用語「又は」は、排他的「又は」ではなく包含的「又は」を意味することを意図したものである。
【0090】
本明細書において、方法の動作は特定の順序で示し説明したが、各方法の動作の順序を変更して、特定の動作を逆の順序で実行することができるように、又は、特定の動作を他の動作と少なくとも部分的に同時に実行することができるようにすることができる。別の実施形態において、別個の動作の命令又は下位動作は、断続的及び/又は交互の方式にすることができる。
【0091】
本明細書で説明した実施形態は、主として半導体ウェアの検査に対処するものであるが、本明細書で説明した方法及びシステムはマスクの検査など他の用途に用いることもできる。
【0092】
従って、上述の実施形態は実施例として挙げたものであり、本発明は上で具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の種々の特徴の組合せ及びサブコンビネーションの両方、並びに、前述の説明を読むことによって当業者が思いつくであろう、従来技術には開示されていないそれらの変形及び修正を含む。引用により本特許出願に組み入れられる文献は、本出願の一部を成す部分とみなすべきであるが、但し、これらの組み入れられた文献においていずれかの用語が、本明細書において明示的に又は暗黙的になされた定義と矛盾する仕方で定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するべきである。