特許第5793341号(P5793341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793341
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H01L21/304 622P
   H01L21/304 631
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-107001(P2011-107001)
(22)【出願日】2011年5月12日
(65)【公開番号】特開2012-238731(P2012-238731A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】原田 晴司
(72)【発明者】
【氏名】小林 義和
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−003576(JP,A)
【文献】 特開2009−117653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0285232(US,A1)
【文献】 特開2006−041258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の表面に複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成されたウェーハの裏面を加工するウェーハの加工方法であって、
デバイスが表面に形成されたウェーハの裏面を研削して所定の厚さに形成する裏面研削工程と、
研削されたウェーハの裏面を研磨して研削ひずみを除去する裏面研磨工程と、
研磨されたウェーハの裏面にシリコン窒化膜を被覆するシリコン窒化膜被覆工程と、
を少なくとも含み、
該シリコン窒化膜被覆工程においては、研磨された裏面に厚さ6nm〜100nmのシリコン窒化膜が被覆され
該シリコン窒化膜被覆工程の後にウェーハを分割することによって形成される個々のチップを、抗折強度が1000MPaを超えるものとする
ウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの抗折強度及びゲッタリング効果を十分に得ることができるウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウェーハは、裏面が研削されて所定の厚みに形成された後、ダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、各種電子機器等に利用されている。
【0003】
また、ウェーハの裏面を研削してウェーハを100μm以下の厚みに形成した後、ウェーハを積層して上下のデバイスの端子同士を連結し、全体として機能を向上させたMCP(マルチ・チップ・パッケージ)と呼ばれるパッケージデバイスも実用に供されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
積層されるか否かにかかわらず、デバイスは、シリコン基板の表面に形成され、裏面が研削されて所定の厚さに形成された後にダイシングされて形成される。ところが、ウェーハの裏面を研削すると、研削ひずみが当該裏面に残存してデバイスの抗折強度を低下させるという問題がある。そこで、研削された裏面を研磨パッドを使用して研磨することにより研削ひずみを除去し、デバイスの抗折強度を向上させる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−26992号公報
【特許文献2】特開2006−80329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、研削ひずみは、銅等の重金属原子を裏面側に引き付けてデバイス側に重金属原子が移動するのを防止することによりデバイスの機能低下を抑制するゲッタリング効果を有している。したがって、裏面を研磨して研削ひずみを除去すると、ゲッタリング効果が失われ、デバイスの機能を低下させるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、ウェーハを構成するデバイスに関して十分な抗折強度を確保しつつ十分なゲッタリング効果も生じさせることができるように、ウェーハを加工することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シリコン基板の表面に複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成されたウェーハの裏面を加工するウェーハの加工方法に関するもので、デバイスが表面に形成されたウェーハの裏面を研削して所定の厚さに形成する裏面研削工程と、研削された裏面を研磨して研削ひずみを除去する裏面研磨工程と、研磨された裏面にシリコン窒化膜を被覆するシリコン窒化膜被覆工程とを少なくとも含み、シリコン窒化膜被覆工程においては、研磨された裏面に厚さ6nm〜100nmのシリコン窒化膜が被覆され
該シリコン窒化膜被覆工程の後にウェーハを分割することによって形成される個々のチップを、抗折強度が1000MPaを超えるものとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、研削ひずみを除去するとともに、研磨された裏面にシリコン窒化膜を被覆するため、ウェーハを構成する各デバイスについて、十分な抗折強度を確保しつつ、ゲッタリング効果を生じさせることができる。また、実験により、シリコン窒化膜の膜厚を200nm以上とするとデバイスの抗折強度が許容値の1000MPaを下回ること、及び、シリコン窒化膜の膜厚を6nm未満とするとゲッタリング効果が十分に発揮されないことが確認された。したがって、デバイスの裏面に被覆するシリコン窒化膜の膜厚を6〜100nmとすることにより、許容値を上回る抗折強度を得るとともにゲッタリング効果を十分に発揮できるデバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ウェーハ及び保護テープの一例を示す分解斜視図である。
図2】裏面研削工程の状態を示す斜視図である。
図3】裏面が研削され研削痕が形成されたウェーハを示す斜視図である。
図4】研削痕が形成されたウェーハを研磨装置の保持テーブルに保持した状態を示す斜視図である。
図5】裏面研磨工程の状態を示す斜視図である。
図6】裏面研磨工程後のウェーハを示す斜視図である。
図7】スパッタリング装置の構造の一例を示す説明図である。
図8】裏面にシリコン窒化膜が被覆されたウェーハを示す正面図である。
図9】ゲッタリング効果試験の結果を示す表である。
図10】試験対象のウェーハの構成を示す平面図である。
図11】抗折強度試験の状態を示す斜視図である。
図12】抗折強度試験の状態を示す断面図である。
図13】抗折強度試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すウェーハWFは、シリコン基板の表面に複数のデバイスDが形成されて構成され、ウェーハWFの表面W1のデバイスDは、分割予定ラインLによって区画されて形成されている。このように構成されるウェーハWは、分割予定ラインLに沿って切断することにより、個々のデバイスごとのチップとなる。
【0012】
このウェーハWFの表面W1には、デバイスDを保護するための保護テープTが貼着される。以下では、ウェーハWFの裏面W2を研削及び研磨した後、裏面W2にシリコン窒化膜を被覆することにより、デバイスDを、抗折強度が高く十分なゲッタリング効果を確保できるものとする方法について説明する。
【0013】
1 裏面研削工程
図2に示すように、研削装置7のチャックテーブル70に保護テープT側を保持し、ウェーハWFの裏面W2を露出させた状態とし、研削手段71の下方に位置させる。研削手段71は、回転軸72の先端部に形成されたマウント73に研削ホイール74が装着され、研削ホイール74の下面に円環状に砥石75が固着されて構成されている。
【0014】
ウェーハWFの裏面W2を砥石75と対面させ、チャックテーブル70を例えば回転速度300RPMで矢印A1方向に回転させるとともに、回転軸72を例えば回転速度6000RPMで矢印A2方向に回転させ、研削手段71を降下させることにより、回転する砥石75をウェーハWFの裏面W2に接触させて研削を行う。研削中は、砥石75が常にウェーハWFの回転中心を通るように接触させる。そして、ウェーハWFが所定の厚さに形成されると、研削手段71を上昇させて研削を終了する。こうして裏面W2が研削されると、図3に示すように、研削後の裏面W2’には、ウェーハWFの回転中心から砥石75の回転軌道に沿って放射状に研削痕Iが形成される。
【0015】
2 裏面研磨工程
裏面研削工程の後、図4に示すように、研磨装置8の保持テーブル80に保護テープT側を保持し、研削された裏面W2’を露出させた状態とし、研磨手段81の下方に位置させる。
【0016】
研磨手段81は、回転軸82の先端部に形成されたマウント83にホイール84が装着され、ホイール84の下面に研磨パッド85が固着されて構成されている。研磨パッド85としては、例えば、不織布やウレタン等の母材に砥粒を分散させ固定して形成したものを使用することができる。
【0017】
ウェーハWFの研削された裏面W2’を研磨パッド85と対面させ、図5に示すように、保持テーブル80を例えば回転速度100RPMで矢印A3方向に回転させるとともに、回転軸82を例えば回転速度3000RPMで矢印A4方向に回転させ、研磨パッド85を裏面W2’に接触させて研磨を行う。研磨中は、研磨パッド85を常に裏面W2’の全面に接触させる。そして、図6に示すように研削痕がなくなり、研削ひずみが除去され平坦化された裏面W2’’が形成されると、研磨を終了する。研削ひずみを除去することにより、各デバイスの抗折強度を高めることができる。
【0018】
3 シリコン窒化膜被覆工程
裏面研磨工程の後、研磨後の裏面W2’’にシリコン窒化膜を被覆する。シリコン窒化膜は、例えばスパッタリングにより被覆することができる。スパッタリングによるシリコン窒化膜の被覆には、例えば図7に示すスパッタリング装置9を用いることができる。
【0019】
スパッタリング装置9は、ガス導入口91及びガス排出口92を有するチャンバー90を備えており、チャンバー90の内部には、アノード電極93及びカソード電極94が対面した状態で収容されている。アノード電極93には、保護テープTが保持され、研磨された裏面W2’’が露出した状態となる。一方、カソード電極94には、シリコン窒化膜の材料となるSiNxからなるターゲット95が保持される。カソード電極94としては、例えばφ4インチマグネトロンカソードを使用する。
【0020】
スパッタリング装置9においては、チャンバー90の内部のガスをガス排出口92から排出して真空とした後、ガス導入口91からArガス及びN2ガスを導入する。例えばArガスを10ml/min、N2ガスを50ml/minの割合で導入する。また、ガスの圧力は、例えば0.3[Pa]とする。
【0021】
そして、アノード電極93とカソード電極94との間に例えばRF700ワットの電圧を印加し、グロー放電を発生させる。そうすると、プラズマ中のアルゴンイオンAr+がカソード電極94上のターゲット95に衝突し、その表面からターゲット原子96が弾き出される。弾き出されたターゲット原子96は、アノード電極93側に引きつけられるため、ウェーハWFの裏面W2’’にシリコン窒化膜100が被覆される。このようにして、図8に示すように、ウェーハWFの裏面W2’’にシリコン窒化膜100が被覆されると、ウェーハWFを構成する各デバイスDの抗折強度を確保しつつ、ゲッタリング効果を生じさせることができる。
【実施例1】
【0022】
デバイスの抗折強度及びゲッタリング効果を適切に確保するためのシリコン窒化膜の膜厚を求めるための試験を行った。具体的には、上記裏面研削工程、裏面研磨工程及びシリコン窒化膜被覆工程を実行することにより、ウェーハWFの裏面W2’’に種々の厚みのシリコン窒化膜を被覆し、それぞれについてゲッタリング効果試験及び抗折強度試験を行い、シリコン窒化膜の膜厚とデバイスの抗折強度及びゲッタリング効果との関係について考察を行った。なお、本試験において、ウェーハは以下のものを使用した。
ウェーハ:シリコンウェーハ
ウェーハの直径:8インチ
ウェーハの厚み:500μm(裏面研磨後)
チップサイズ:20mm×20mm
ウェーハ1枚当たりのチップ数:61(図10参照)
【0023】
(1)ゲッタリング効果試験
(ア)シリコン窒化膜被覆ステップ
裏面を研削及び研磨したウェーハを複数用意し、前記シリコン窒化膜被覆工程により、当該ウェーハのそれぞれの裏面に、膜厚が1,3,5,6,7,10,50,100,200[nm]のシリコン窒化膜を被覆した。また、研削及び研磨した裏面にシリコン窒化膜を被覆しないウェーハも用意した。これらのすべてのウェーハに対し、以下の(イ)〜(エ)のステップを実行した。
【0024】
(イ)強制汚染ステップ
上記すべてのウェーハについて、シリコン窒化膜が被覆された面に、直径8インチのウェーハの当該裏面の面積あたり、1.0×1013[atoms/cm]のCu標準液(硫酸銅)を塗布し、ウェーハに対して銅による強制汚染を行った。
【0025】
(ウ)加熱ステップ
すべてのウェーハについて、Cu標準液を乾燥させた後、ウェーハを350℃の温度で3時間加熱し、ウェーハ内の銅原子を拡散しやすい状態とした。
【0026】
(エ)測定ステップ
すべてのウェーハを冷却し、それぞれについて、Cu標準液を塗布した裏面の逆面(表面)の銅原子量を、TXRF(全反射蛍光X線分析装置:テクノス株式会社製)を用いて測定した。詳細には、ウェーハの表面を15mm×15mmで区画される領域に分割し、それぞれの領域について1箇所ずつ銅原子量を測定し、平均値及び最大値を求めた。なお、強制汚染ステップ前においても、同様の方法により銅原子の検出量を測定した。
【0027】
本ステップにおいては、ウェーハの表面において銅原子が検出された場合は、銅原子がウェーハ内部に拡散しており、ゲッタリング効果がないかまたは不十分であると判断することができる。一方、ウェーハの表面において銅原子が検出されない場合は、銅原子がシリコン窒化膜側に捕捉されていて、十分なゲッタリング効果があると判断することができる。試験結果は図9の表に示すとおりである。なお、銅原子が検出されたか否かの判断のためのしきい値(検出限界)は、0.5×1010[atoms/cm]とした。
【0028】
図9の試験結果からわかるように、強制汚染後は、平均値、最大値のいずれにおいても、シリコン窒化膜の膜厚が5[nm]以下の場合は表面において銅原子が検出され、ゲッタリング効果がないかまたは不十分であることが確認された。一方、シリコン窒化膜の膜厚が6[nm]以上の場合は、表面において銅原子が検出されず、ゲッタリング効果が十分であることが確認された(図9におけるNDは、銅原子が検出されなかったことを示す)。したがって、十分なゲッタリング効果を確保するためには、シリコン窒化膜の膜厚を6[nm]以上とすることが必要であると考えられる。また、図9の結果からは、シリコン窒化膜の膜厚が厚い方がゲッタリング効果が良好であることがわかる。
【0029】
(2)抗折強度試験
図10に示すように、ウェーハWFは、チップ番号1〜61からなる61個のチップによって構成されている。このようなウェーハWFについて、上記シリコン窒化膜被覆ステップを実行した後、チップごとに抗折強度を測定した。なお、シリコン窒化膜被覆ステップでは、膜厚を0,5,10,50,100,200nmとした。抗折強度測定の具体的な方法は、以下のとおりである。
【0030】
(オ)分割ステップ
切削装置を用いてウェーハの分割予定ラインに沿って切削を行い、図10に示した個々のチップ1〜61に分割した。
【0031】
(カ)抗折強度測定ステップ
株式会社島津製作所製の圧縮試験機 (AGI−1kN9)を使用し、各チップの抗折強度を測定した。具体的な測定方法は、以下のとおりである。
(カ)−1
図11及び図12に示すように、中央部に円形の孔110が形成された基台111の上に、各チップ1〜61をそれぞれ載置する。このとき、シリコン窒化膜が下になるようにする。
(カ)−2
球面を有する球状圧子112によって各チップ1〜61に下方(矢印A5方向)に向けて押圧する。
(カ)−3
各チップ1〜61が割れた瞬間において、以下の式(1)を用いて抗折強度δを算出する。
【0032】
【数1】
【0033】
上記式(1)において、各変数の意味及び値は以下のとおりである(図12参照)。
∂:抗折強度
W:破壊強度(測定時に得られた値)[kgf]
h:チップの厚さ=500[μm]
v:ポアソン比(シリコン)=0.28
a:孔の半径=3.5[mm]
:チップの半径=10[mm]
:ポアソン比(球状圧子)=0.3
【0034】
また、上記式(1)において、aは球状圧子112とチップとの接触半径であり、以下の式(2)を用いて算出する。
【0035】
【数2】
【0036】
上記式(2)において、各変数の意味及び値は以下のとおりである。
ε:ヤング率(シリコン)=1.31×10[MPa]
ε:ヤング率(球状圧子)=2.01×10[MPa]
R:球状圧子の半径=3.0[mm]
【0037】
すべてのチップについて上記式(1)による抗折強度の算出を行い、各膜厚ごとに最大値、平均値及び最小値を求めた。図13に示すように、抗折強度の最低ライン(最低限必要な抗折強度の許容値)を1000[MPa]とすると、最低値が1000[Mpa]を超える膜厚は、0〜100[nm]である。一方、膜厚が200[nm]のときは、最低値が1000[MPa]を下回っている。
【0038】
(3)最適な膜厚について
図9に示したゲッタリング効果試験の結果より、既に述べたとおり、十分なゲッタリング効果を確保するためには、シリコン窒化膜の膜厚を6[nm]以上とすることが必要である。一方、許容値を超える十分な抗折強度を確保するためのシリコン窒化膜の膜厚は、0〜100[nm]である。したがって、十分なゲッタリング効果を得ることができ、かつ、抗折強度も十分とするためには、シリコンウェーハの裏面に被覆されたシリコン窒化膜の膜厚を、6〜100[nm]とすることが必要であることが確認された。
【符号の説明】
【0039】
WF:ウェーハ
W1:表面 D:デバイス L:分割予定ライン
W2,W2’,W2’’:裏面 I:研削痕
T:保護テープ
1〜61:チップ
7:研削装置
70:チャックテーブル 71:研削手段 72:回転軸 73:マウント
74:研削ホイール 75:砥石
8:研磨装置
80:保持テーブル 81:研磨手段 82:回転軸 83:マウント
84:ホイール 85:研磨パッド
9:スパッタリング装置
90:チャンバー 91:ガス導入口 92:ガス排出口
93:アノード電極 94:カソード電極 95:ターゲット 96:ターゲット原子
100:シリコン窒化膜
110:孔 111:基台 112:球状圧子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13