特許第5794135号(P5794135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794135
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-278123(P2011-278123)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130606(P2013-130606A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】石神 良明
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 欣哉
(72)【発明者】
【氏名】須永 義則
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/128413(WO,A1)
【文献】 特開2009−170675(JP,A)
【文献】 特開2007−147664(JP,A)
【文献】 特開2009−251600(JP,A)
【文献】 特開2011−191778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/42−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に搭載された光電変換素子と、
前記光電変換素子と光ファイバとを光学的に結合する光コネクタと、
前記回路基板に搭載され、前記光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子と、
前記光コネクタを前記回路基板側に押し付けて固定する棒状弾性押付部材と、
前記棒状弾性押付部材を支持する支持部材とを備え、
前記回路基板は、前記半導体回路素子が実装された搭載面とは反対側の非搭載面に複数の電極を有し、
前記支持部材は、前記複数の電極に電気的に接続される複数の相手側電極を有する相手基板に固定される取付部を有し、
前記棒状弾性押付部材は、前記支持部材に支持された被支持部を中心に回動可能であり、
前記支持部材は、前記光コネクタが前記棒状弾性押付部材によって押し付けられた状態で前記棒状弾性押付部材を固定する固定部を有すると共に、
前記支持部材は、前記半導体回路素子と熱的に接続された吸熱面、及び前記吸熱面から吸収した前記半導体回路素子の熱を放熱する放熱面を有する光モジュール。
【請求項2】
回路基板と、
前記回路基板に搭載された光電変換素子と、
前記光電変換素子と光ファイバとを光学的に結合する光コネクタと、
前記回路基板に搭載され、前記光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子と、
前記光コネクタを前記回路基板側に押し付けて固定する押付部材と、
前記押付部材を支持する支持部材とを備え、
前記回路基板は、前記半導体回路素子が実装された搭載面とは反対側の非搭載面に複数の電極を有し、
前記支持部材は、前記複数の電極に電気的に接続される複数の相手側電極を有する相手基板に固定される取付部を有し、
前記支持部材は、前記光コネクタに保持された前記光ファイバの延伸方向に交差する第1の方向に延びる本体部と、前記本体部の前記第1の方向の両端部から前記光コネクタを挟むように前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる一対の腕部とを一体に有し、前記一対の腕部に突起が形成され、
前記押付部材は、弾性平板を屈曲して形成され、平板押え部と、該平板押え部を挟んで前記押付部材の両端部に形成された一対の係止部とからなり、前記係止部には前記支持部材に形成された前記突起に嵌合する孔が形成され、
前記支持部材は、前記半導体回路素子と熱的に接続された吸熱面、及び前記吸熱面から吸収した前記半導体回路素子の熱を放熱する放熱面を有する光モジュール。
【請求項3】
前記一対の腕部には、前記回路基板が嵌合する嵌合部がそれぞれ形成されている、請求項に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光コネクタは、前記回路基板に対して立設された突起に係合することにより、前記回路基板に平行な方向への移動が規制されている、
請求項1又は2に記載の光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを介して信号の伝送を行う光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギーを光エネルギーに、又は光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子を備え、光ファイバを介して信号の送信又は受信を行う光モジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の光モジュールは、升状のセラミックパッケージの開口部を金属製の蓋で気密封止し、セラミックパッケージの内部にプリアンプIC、PD(フォトダイオード)素子、及びレンズを収容して構成されている。セラミックパッケージには、光ファイバを内部固定したフェルールが挿通され、光ファイバから放射される光がレンズを介してPD素子に入射する。PD素子は、光の強度を電気信号に変換してプリアンプICに出力する。
【0004】
また、特許文献1には、PD素子及びプリアンプICに替えて、セラミックパッケージ内にVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)素子及びレーザドライバーICを収容した光モジュールも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−243990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PD素子やVCSEL素子等の光電変換素子に接続されたプリアンプICやレーザドライバーIC等の半導体回路素子は、使用時に熱を発生する。特許文献1に記載の光モジュールでは、プリアンプICやレーザドライバーICを収容する空間が気密に封止されているため、この収容空間内が高温になりやすく、使用状態によっては、プリアンプICやレーザドライバーIC等の使用温度範囲を超えてしまうおそれがある。このため、使用に制限が生じたり、空冷用のファンを光モジュールの近傍に設ける等の必要が生じる場合があり得る。また、半導体回路素子の発熱の問題は、複数の光ファイバを用いて多チャンネルの通信を行う多チャンネル光モジュールではより顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子の温度上昇を抑制することが可能な光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、回路基板と、
前記回路基板に搭載された光電変換素子と、
前記光電変換素子と光ファイバとを光学的に結合する光コネクタと、
前記回路基板に搭載され、前記光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子と、
前記光コネクタを前記回路基板側に押し付けて固定する棒状弾性押付部材と、
前記棒状弾性押付部材を支持する支持部材とを備え、
前記回路基板は、前記半導体回路素子が実装された搭載面とは反対側の非搭載面に複数の電極を有し、
前記支持部材は、前記複数の電極に電気的に接続される複数の相手側電極を有する相手基板に固定される取付部を有し、
前記棒状弾性押付部材は、前記支持部材に支持された被支持部を中心に回動可能であり、
前記支持部材は、前記光コネクタが前記棒状弾性押付部材によって押し付けられた状態で前記棒状弾性押付部材を固定する固定部を有すると共に
前記支持部材は、前記半導体回路素子と熱的に接続された吸熱面、及び前記吸熱面から吸収した前記半導体回路素子の熱を放熱する放熱面を有する光モジュールを提供する。
【0010】
また、回路基板と、
前記回路基板に搭載された光電変換素子と、
前記光電変換素子と光ファイバとを光学的に結合する光コネクタと、
前記回路基板に搭載され、前記光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子と、
前記光コネクタを前記回路基板側に押し付けて固定する押付部材と、
前記押付部材を支持する支持部材とを備え、
前記回路基板は、前記半導体回路素子が実装された搭載面とは反対側の非搭載面に複数の電極を有し、
前記支持部材は、前記複数の電極に電気的に接続される複数の相手側電極を有する相手基板に固定される取付部を有し、
前記支持部材は、前記光コネクタに保持された前記光ファイバの延伸方向に交差する第1の方向に延びる本体部と、前記本体部の前記第1の方向の両端部から前記光コネクタを挟むように前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる一対の腕部とを一体に有し、前記一対の腕部に突起が形成され、
前記押付部材は、弾性平板を屈曲して形成され、平板押え部と、該平板押え部を挟んで前記押付部材の両端部に形成された一対の係止部とからなり、前記係止部には前記支持部材に形成された前記突起に嵌合する孔が形成され、
前記支持部材は、前記半導体回路素子と熱的に接続された吸熱面、及び前記吸熱面から吸収した前記半導体回路素子の熱を放熱する放熱面を有する光モジュールを提供する。
【0012】
また、前記一対の腕部には、前記回路基板が嵌合する嵌合部がそれぞれ形成されているとよい。
【0014】
また、前記光コネクタは、前記回路基板に対して立設された突起に係合することにより、前記回路基板に平行な方向への移動が規制されているとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光モジュールによれば、光電変換素子に電気的に接続された半導体回路素子の温度上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】第1の実施の形態に係る光モジュールの非ロック状態を示す斜視図である。
図1B】第1の実施の形態に係る光モジュールのロック状態を示す斜視図である。
図2】光モジュールの裏面を示す平面図である。
図3】(a)は光モジュールの分解斜視図、(b)は(a)の一部拡大図である。
図4】放熱ブロックの斜視図である。
図5】異なる方向から見た放熱ブロックの斜視図である。
図6】レバー部材の斜視図である。
図7】本実施の形態に係る光モジュールを第1アームと第2アームの間で切断した断面図である。
図8】第2の実施の形態に係る光モジュールの断面図である。
図9】第3の実施の形態に係る光モジュールの放熱ブロックを示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は斜視図である。
図10A】光モジュールの分解斜視図を、電子回路基板、LGAソケット、及び取付部材と共に示す図である。
図10B】光モジュールが電子回路基板に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図11】(a)は、第4の実施の形態に係る光モジュールの放熱ブロック及び押え板を示す斜視図である。(b)は、異なる角度から見た放熱ブロック及び押え板を示す斜視図である。
図12】光モジュールを電子回路基板に取り付けた状態を示す斜視図である。
図13】第5の実施の形態に係る光モジュールの放熱ブロック及び押え板を示す斜視図である。
図14】光モジュールを電子回路基板に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの一構成例を、図1A図7を参照して説明する。この光モジュールは、例えばCPU(Central Processing Unit)等が実装された電子回路基板に搭載され、当該電子回路基板と共通のラックに収容された他の電子回路基板との間の通信のために用いられる。
【0018】
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係る光モジュールを複数の光ファイバからなる光ケーブルと共に示す斜視図である。図2は、光モジュールの裏面を示す平面図である。図3(a)は、光モジュールの分解斜視図であり、図3(b)はその一部拡大図である。
【0019】
この光モジュール1は、板状の回路基板2と、回路基板2に搭載された複数のLD(Laser Diode)素子31、複数のPD(Photo Diode)素子32、ドライバIC(Integrated Circuit)41、及びプリアンプIC42と、光コネクタ5と、支持部材としての放熱ブロック6と、放熱ブロック6に支持された押付部材としてのレバー部材7とを有している。
【0020】
LD素子31及びPD素子32は、回路基板2の第2の搭載面2c(図3(b)に示す)に実装され、ドライバIC41及びプリアンプIC42は、回路基板2の第1の搭載面2aに実装されている。LD素子31及びPD素子32は、本発明の光電変換素子の一例である。また、ドライバIC41及びプリアンプIC42は、本発明の半導体回路素子の一例である。
【0021】
図1A及び図1Bに示すように、レバー部材7は、放熱ブロック6に回動可能に支持されている。レバー部材7が図1Aに示す非ロック状態にあるとき、光コネクタ5は回路基板2及び放熱ブロック6に対して着脱可能である。また、レバー部材7が図1Bに示すロック状態にあるとき、レバー部材7は、光コネクタ5を回路基板2に押し付け、光コネクタ5を回路基板2及び放熱ブロック6に対して固定する。
【0022】
図2に示すように、回路基板2の非搭載面である裏面2dには、複数の電極21が格子状に配列されている。これらの電極21は、ドライバIC41及びプリアンプIC42の端子に電気的に接続されている。
【0023】
図3(a)に示すように、光コネクタ5は、アクリル等の透光性を有する樹脂からなるレンズブロック50と、透光性を有しない平板状の樹脂からなる押え板51とを有している。レンズブロック50には、レンズブロック50の外縁から内方に向かって窪む一対の凹部501が形成されている。
【0024】
レンズブロック50と押え板51との間には、複数の光ファイバ81,82からなる光ケーブル8の一端部が挟まれて保持されている。レンズブロック50と押え板51とは、例えば接着によって互いに固定されている。
【0025】
図3(b)に示すように、第1の搭載面2aにおける回路基板2の厚み(第1の搭載面2aと裏面2dと間の距離)は、第2の搭載面2cにおける回路基板2の厚み(第2の搭載面2cと裏面2dと間の距離)よりも厚く形成されている。第1の搭載面2aと第2の搭載面2cとの間には、回路基板2の厚さ方向に平行な段差面2bが形成されている。第1の搭載面2a、第2の搭載面2c、及び裏面2dは、互いに平行である。
【0026】
本実施の形態では、4つのLD素子31及び4つのPD素子32が、第2の搭載面2cにおける段差面2bの近傍に、段差面2bに沿って直線状に並んで搭載されている。4つのLD素子31とドライバIC41との間、及び4つのPD素子32とプリアンプIC42との間は、図略のボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【0027】
また、回路基板2には、第2の搭載面2cに、一対の円柱状の突起20が設けられている。この一対の突起20は、回路基板2の第2の搭載面2cに対して中心軸が垂直になるように立設されている。一対の突起20の間隔は、レンズブロック50の一対の凹部501の間隔に対応して設定されており、光コネクタ5は、一対の凹部501が一対の突起20にそれぞれ係合することにより、回路基板2に平行な方向への移動が規制されている。
【0028】
図4は、放熱ブロック6を示す斜視図である。図5は、図4とは異なる方向から見た放熱ブロック6を示す斜視図である。
【0029】
放熱ブロック6は、例えばアルミニウム等の金属からなり、直方体状の本体部60と、本体部60の両端部から互いに平行に突出して形成された一対の腕部としての第1アーム61及び第2アーム62とを一体に有している。
【0030】
本体部60は、光コネクタ5に保持された光ファイバ81,82の延伸方向に交差する第1の方向(図4に矢印Aで示す)に延びるように形成されている。第1アーム61及び第2アーム62は、本体部60の第1の方向の両端部から光コネクタ5を挟むように、第1の方向に直交する第2の方向(図4に矢印Bで示す)に延びるように形成されている。本実施の形態では、第1アーム61及び第2アーム62の延伸方向(第2の方向)が、光コネクタ5に保持された光ファイバ81,82の延伸方向と平行であり、かつ本体部60の延伸方向(第1の方向)と直交している。
【0031】
本体部60には、第1のスリットS及び第2のスリットSが形成されている。第1のスリットSは第1アーム61側に、第2のスリットSは第2アーム62側に形成されている。第1のスリットS及び第2のスリットSは、第1アーム61及び第2アーム62に平行な方向に本体部60を貫通している。また、本体部60には、一対の保持孔601が形成され、一方の保持孔601の一端は第1のスリットSに開口を有し、他方の保持孔601の一端は第2のスリットSに開口を有している。
【0032】
第1のスリットS及び第2のスリットSは、回路基板2側の底部が他の部分(幅狭部)よりも幅広な幅広部として形成されている。第1のスリットSの底部は第1アーム61側に向かって、また第2のスリットSの底部は第2アーム62側に向かって、それぞれ幅が広がるように形成されている。
【0033】
第1のスリットSの幅狭部の第1アーム61側、及び第2のスリットSの幅狭部の第2アーム62側には、レバー部材7を図1Bに示すロック状態で固定するための固定部602が形成されている。この固定部602によって、第1のスリットS及び第2のスリットSの幅広部と幅狭部との段差が形成されている。
【0034】
第1アーム61と第2アーム62との間には、図1Aに示すように、光コネクタ5が配置される。また、第1アーム61及び第2アーム62には、回路基板2と嵌合する切り欠き部610,620が形成されている。切り欠き部610は、第1アーム61の底面(回路基板2の裏面2d側から目視可能な面)のうち第2アーム62側の一部に形成され、切り欠き部620は、第2アーム62の底面(同上)のうち第1アーム61側の一部に形成されている。切り欠き部610,620は、回路基板2が嵌合する嵌合部の一例である。放熱ブロック6と回路基板2とは、例えば切り欠き部610,620における接着により、相互に固定される。
【0035】
また、放熱ブロック6は、ドライバIC41及びプリアンプIC42に熱的に接続される吸熱面60bと、吸熱面60bから吸収したドライバIC41及びプリアンプIC42の熱を放熱する放熱面60aとを有している。吸熱面60bは、本体部60の回路基板2との対向面に形成されている。放熱面60aは、本体部60の吸熱面60b以外の面に形成されている。
【0036】
図6は、レバー部材7を示す斜視図である。レバー部材7は、弾性を有する棒状の金属部材を屈曲することにより、一対の被支持部70と、一対の連結部71と、一対の押付部72と、操作部73とが形成されている。一対の被支持部70と一対の連結部71とは互いに直交し、一対の被支持部70は、一対の連結部71の一端部から互いに逆向きに延びるように形成されている。また、一対の押付部72は、一対の連結部71の他端部から互いに接近するように形成されている。操作部73は、一対の押付部72の間に形成されている。
【0037】
レバー部材7は、一対の被支持部70が放熱ブロック6の一対の保持孔601にそれぞれ収容され、一対の被支持部70を中心に回動可能である。一対の押付部72は、図1Bに示すロック状態において光コネクタ5の押え板51に当接し、光コネクタ5を回路基板2に向かって付勢する。操作部73は、作業者が指によってレバー部材7を回動操作しやすいように、ロック状態において押え板51との間に空間が形成されるように屈曲されている。
【0038】
レバー部材7が図1Aに示す非ロック状態にあるときには、一対の連結部71が第1のスリットS及び第2のスリットSの幅狭部に位置し、図1Bに示すロック状態にあるときには、一対の連結部71が第1のスリットS及び第2のスリットSの幅広部に位置する。レバー部材7は、その弾性によって一対の連結部71同士が互いに離間するように付勢されており、ロック状態にあるときには、放熱ブロック6の固定部602に一対の連結部71が係合することで、レバー部材7の回動が規制されている。つまり、例えば作業者が外力を加えてレバー部材7を回動操作しない限り、レバー部材7が光コネクタ5を押し付けた状態が維持される。
【0039】
図7は、光モジュール1を第1アーム61と第2アーム62の間で切断した断面図である。
【0040】
ドライバIC41は、その裏面側に複数の電極410を有している。この電極410は、図略のはんだによって、回路基板2の第1の搭載面2aに形成された電極22に電気的に接続されている。電極22は、回路基板2に設けられた配線23によって、回路基板2の裏面2dに形成された電極21に接続されている。
【0041】
ドライバIC41は、電極22及び配線23を介して伝達される電気信号を受け、LD素子31に駆動電流を出力する。LD素子31は、この駆動電流を受けてレーザ光を発光し、そのレーザ光はレンズブロック50に形成された反射面50aで反射して光ファイバ81に入射する。
【0042】
また、PD素子32には、光ファイバ82から出射された光がレンズブロック50の反射面50aで反射して入射する。PD素子32は、入射光の強度の変化を電気信号に変換し、プリアンプIC42に出力する。プリアンプIC42は、この電気信号を増幅し、裏面側の電極420から出力する。電極420は回路基板2の電極22に電気的に接続されている。
【0043】
このように、光コネクタ5のレンズブロック50は、LD素子31及びPD素子32と光ファイバ81,82とを光学的に結合し、ドライバIC41及びプリアンプIC42は、LD素子31及びPD素子32によって、光ファイバ81,82を伝送媒体とした光通信を行う。
【0044】
ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面(回路基板2とは反対側の面)は、放熱ブロック6の吸熱面60bに対向し、ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面と吸熱面60bとの間には、伝熱部材9が配置されている。この伝熱部材9としては、例えば熱伝導性グリースやシリコンからなる熱伝導シート等を用いることができる。本実施の形態では、この伝熱部材9によって、ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面と放熱ブロック6の吸熱面60bとが熱的に接続されている。
【0045】
吸熱面60bは、回路基板2との間にドライバIC41及びプリアンプIC42を挟んで回路基板2の第1の搭載面2aと平行となるように形成されている。また、吸熱面60bと回路基板2の第1の搭載面2aとの間隔gは、ドライバIC41及びプリアンプIC42の厚さtに対応した寸法である。より具体的には、間隔gは、ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面と吸熱面60bとの間に僅かな隙間Sが形成される寸法であり、この隙間Sの寸法gは、例えばドライバIC41及びプリアンプIC42の厚さtの半分以下である。
【0046】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に示す作用及び効果が得られる。
【0047】
(1)放熱ブロック6は、ドライバIC41及びプリアンプIC42から発生した熱を放熱する放熱部材としての機能とともに、光コネクタ5を回路基板2に押し付けるレバー部材7を支持する支持部材としての機能も有する。よって、支持部材と放熱部材とを別々に設ける必要がないため、部品点数・組立工数の削減が可能となる。
【0048】
(2)ドライバIC41及びプリアンプIC42で発生した熱は、伝熱部材9を介して吸熱面60bから放熱ブロック6に伝導し、放熱ブロック6の放熱面60aから大気に放熱される。これにより、ドライバIC41及びプリアンプIC42の過熱が抑制される。
【0049】
(3)ドライバIC41及びプリアンプIC42と吸熱面60bとの間には伝熱部材9が介在するので、ドライバIC41及びプリアンプIC42の熱を効率よく吸熱面60bに伝導させることができる。
【0050】
(4)光コネクタ5の第1及び第2アーム61,62に平行な方向への移動が突起20により規制されているので、光コネクタ5を確実に保持することができる。また、放熱ブロック6は、本体部60と第1及び第2アーム61,62が四角形状の光コネクタ5の三方を囲むように形成されているので、放熱ブロック6を押圧して光モジュール1をCPU等が実装された電子回路基板に押し付けた際、本体部60と第1及び第2アーム61,62によってその押圧力が回路基板2の全体に伝達され、回路基板2に作用する押し付け力が均等化される。
【0051】
(5)回路基板2は、切り欠き部610,620に嵌合するので、放熱ブロック6と回路基板2との位置合わせが容易となり、ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面と吸熱面60bとを適切に向い合せることが可能となる。
【0052】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態に係る光モジュール1の断面図である。
【0053】
第1の実施の形態では、ドライバIC41及びプリアンプIC42の厚さが共にtで共通である場合について説明したが、本実施の形態では、ドライバIC41の厚さとプリアンプIC42の厚さが異なり、ドライバIC41の厚さtがプリアンプIC42の厚さtよりも薄く形成されている。これに応じて、放熱ブロック6の吸熱面60bが、ドライバIC41に対応する第1の段差面60bと、プリアンプIC42に対応する第2の段差面60bとによって構成されている。第1の段差面60bと第2の段差面60bとの間には、段差面60bが形成されている。これ以外の構成は、第1の実施の形態に係る光モジュール1と同様である。
【0054】
第1の段差面60bとドライバIC41との間の隙間S41の寸法g41は、第2の段差面60bとプリアンプIC42との間の隙間S42の寸法g42と同等である。つまり、第1の段差面60bと第2の段差面60bとの段差寸法は、ドライバIC41の厚さtとプリアンプIC42の厚さtとの差に等しくなるように設定されている。第1の段差面60bとドライバIC41との間、及び第2の段差面60bとプリアンプIC42との間には、それぞれ伝熱部材9が配置されている。
【0055】
本実施の形態によれば、ドライバIC41の厚さとプリアンプIC42の厚さが異なっても、ドライバIC41及びプリアンプIC42の熱を効率よく吸熱面60b(第1の段差面60b及び第2の段差面60b)に伝達することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について図9及び図10A,10Bを参照して説明する。図9及び図10A,10Bにおいて、第1の実施の形態と共通する構成要素については同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る光モジュール1Aの放熱ブロック6Aを示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は斜視図である。図10Aは、光モジュール1Aの分解斜視図を、電子回路基板90、LGA(Land Grid Array)ソケット91、及び取付部材92と共に示す図である。図10Bは、光モジュール1Aが電子回路基板90に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0058】
放熱ブロック6Aは、本体部60、第1アーム61、及び第2アーム62に加え、第1の取付部611及び第2の取付部621を一体に有している。第1の取付部611は、第1アーム61に連続して形成されている。第2の取付部621は、第2アーム62に連続して形成されている。
【0059】
第1の取付部611には、2つのボルト挿通孔611aと、1つの貫通孔611bが形成されている。第2の取付部621には、2つのボルト挿通孔621aと、1つの貫通孔621bが形成されている。第1の取付部611の底面611c及び第2の取付部621の底面621cは、平坦な面に形成されている。
【0060】
LGAソケット91は、格子状に配列された複数のピン911を有している。ピン911は、ばねを内蔵し、LGAソケット91の厚さ方向に伸縮可能な弾性を有している。
【0061】
電子回路基板90は、CPU等の複数の図略の電子回路部品が実装されたプリント基板であり、その実装面90aには複数のパッド電極900が形成されている。また、電子回路基板90には、4つのボルト挿通孔90c(図10Aには3つのみ示す)と2つの貫通孔90d(図10Aには一方のみ示す)が形成されている。電子回路基板90は、本発明の相手基板の一例であり、パッド電極900は、本発明の相手側電極の一例である。
【0062】
回路基板2の電極21(図7参照)は、回路基板2と電子回路基板90との間に介在するLGAソケット91の複数のピン911を介して、パッド電極900に電気的に接続される。
【0063】
放熱ブロック6Aの第1及び第2の取付部611,621は、電子回路基板90の非実装面90b(実装面90aの裏側の面)側に配置される取付部材92によって電子回路基板90に固定される。取付部材92は、平板状の本体部920と、本体部920に立設された円柱状の2つの突起921とを有している。本体部920には、電子回路基板90の4つのボルト挿通孔90cにそれぞれ対応して形成された4つのねじ孔920aが形成されている。
【0064】
光モジュール1Aの電子回路基板90への取り付けは、2つの突起921が電子回路基板90の2つの貫通孔90d、ならびに第1及び第2の取付部611,621の貫通孔611b,621bを貫くように光モジュール1A及び取付部材92を位置決めし、4つのボルト63をねじ締めすることにより行う。4つのボルト63は、第1及び第2の取付部611,621のボルト挿通孔611a,621、及び電子回路基板90のボルト挿通孔90cに挿通され、取付部材92のねじ孔920aに螺合する。光モジュール1Aが電子回路基板90への取り付けられると、第1及び第2の取付部611,621の底面611c,621cが電子回路基板90の実装面90aに接触する。
【0065】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態について述べた作用及び効果に加え、放熱ブロック6Aの吸熱面60bから吸熱したドライバIC41及びプリアンプIC42の熱の一部が第1及び第2の取付部611,621を介して電子回路基板90及び取付部材92に放熱されるので、ドライバIC41及びプリアンプIC42の過熱がさらに抑制される。
【0066】
また、本体部60と第1及び第2アーム61,62によって回路基板2の全体をLGAソケット91に押し付けることができるので、電極21によってLGAソケット91の複数のピン911を弾性変形させ、ピン911を介して電極21とパッド電極900とを確実に電気的に接続することができる。
【0067】
[第4の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る光モジュール1Aをさらに変形した本発明の第4の実施の形態について図11及び図12を参照して説明する。本実施の形態に係る光モジュール1Bは、レバー部材7に替えて押付部材としての押え板7Aを用いた構成が第3の実施の形態に係る光モジュール1Aとは異なり、他の構成は光モジュール1Aと共通である。
【0068】
図11(a)は、光モジュール1Bの放熱ブロック6B及び押え板7Aを示す斜視図である。図11(b)は、図11(a)とは異なる角度から見た放熱ブロック6B及び押え板7Aを示す斜視図である。図12は、光モジュール1Bを電子回路基板90に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0069】
押え板7Aは、例えばステンレス等の弾性を有する金属を屈曲して形成され、平板状の押え部74と、押え部74を挟んで押え板7Aの両端部に形成された一対の被係止部75とを一体に有している。被係止部75には、四角形状の貫通孔75aが形成されている。
【0070】
放熱ブロック6Bの第1アーム61には、一方の被係止部75の貫通孔75aに嵌合する突起612aを有する係止部612が形成されている。また、第2アーム62には、他方の被係止部75の貫通孔75aに嵌合する突起622aを有する係止部622が形成されている。
【0071】
図12に示すように、押え部74の一方の被係止部75が係止部612に係止され、他方の被係止部75が係止部622に係止されると、押え部74が光コネクタ5を弾性的に押し付け、これにより光コネクタ5が固定される。
【0072】
本実施の形態によっても、第3の実施の形態について説明した作用及び効果が得られる。
【0073】
[第5の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る光モジュール1Aをさらに変形した本発明の第5の実施の形態について図13及び図14を参照して説明する。本実施の形態に係る光モジュール1Cは、レバー部材7に替えて押付部材としての押え板7Bを用いた構成が第3の実施の形態に係る光モジュール1Aとは異なり、他の構成は光モジュール1Aと共通である。
【0074】
図13は、光モジュール1Cの放熱ブロック6C及び押え板7Bを示す斜視図である。図14は、光モジュール1Cを電子回路基板90に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0075】
押え板7Bは、例えばステンレス等の弾性を有する金属を屈曲して形成され、平板状の押え部76と、放熱ブロック6Cの本体部60に固定された被固定部77と、押え部76と被固定部77とを弾性的に連結する連結部78とを一体に有している。被固定部77は、本体部60に螺合するボルト64によって固定されている。
【0076】
図14に示すように、押え板7Bは、押え部76によって光コネクタ5を弾性的に押し付け、これにより光コネクタ5が固定される。
【0077】
本実施の形態によっても、第3の実施の形態について説明した作用及び効果が得られる。
【0078】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0079】
また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、光モジュールが発光素子としてのLD素子31と、受光素子としてのPD素子32とを有する場合について説明したが、これに限らず、LD素子31又はPD素子32の一方を有していてもよい。
【0080】
また、伝熱部材9を用いることなく、ドライバIC41及びプリアンプIC42の表面と放熱ブロック6の吸熱面60bとを直接接触させて熱的に接続してもよい。この場合でも、伝熱部材9を用いた場合と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0081】
また、レバー部材7のロック位置での固定のための構成や、放熱ブロック6の形状も、上記実施の形態のものに限らない。放熱ブロック6に加え、さらなる放熱のための部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B,1C…光モジュール、2…回路基板、2a…第1の搭載面、2b…段差面、2c…第2の搭載面、2d…裏面、5…光コネクタ、6,6A,6B,6C…放熱ブロック(支持部材)、7…レバー部材(押付部材)、7A,7B…押え板、8…光ケーブル、90…電子回路基板、90a…実装面、90b…非実装面、90c…ボルト挿通孔、90d…貫通孔、20…突起、21,22…電極、23…配線、31…LD素子(光電変換素子)、32…PD素子(光電変換素子)、41…ドライバIC(半導体回路素子)、42…プリアンプIC(半導体回路素子)、50…レンズブロック、50a…反射面、51…押え板、60…本体部、60a…放熱面、60b…吸熱面、60b…第1の段差面、60b…第2の段差面、61…第1アーム(腕部)、62…第2アーム(腕部)、63,64…ボルト、70…被支持部、71…連結部、72…押付部、73…操作部、74…押え部、75…被係止部、75a…貫通孔、76…押え部、77…被固定部、78…連結部、81,82…光ファイバ、91…LGAソケット、92…取付部材、410,420…電極、501…凹部、601…保持孔、602…固定部、610,620…切り欠き部、611…第1の取付部、611a…ボルト挿通孔、611b…貫通孔、612,622…係止部、611c,621c…底面、612a,622a…突起、621…第2の取付部、621a…ボルト挿通孔、621b…貫通孔、900…パッド電極、911…ピン、920…本体部、920a…ねじ孔、921…突起、S,S…スリット、S41,S42…隙間
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14