特許第5794157号(P5794157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5794157ポリプロピレン樹脂組成物、成形体、自動車用インナーパネル用部品、自動車用エンジンカバー、および自動車用ファンシュラウド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794157
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ポリプロピレン樹脂組成物、成形体、自動車用インナーパネル用部品、自動車用エンジンカバー、および自動車用ファンシュラウド
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/12 20060101AFI20150928BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20150928BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20150928BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   C08L23/12
   C08L23/08
   C08L23/26
   C08K7/02
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-12786(P2012-12786)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-151601(P2013-151601A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 堅二
(72)【発明者】
【氏名】新 健二
(72)【発明者】
【氏名】▲はま▼ 久勝
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−007158(JP,A)
【文献】 特開2007−326979(JP,A)
【文献】 特開2006−056971(JP,A)
【文献】 特開2004−204224(JP,A)
【文献】 特開2004−231911(JP,A)
【文献】 特開平04−173850(JP,A)
【文献】 特開2011−241284(JP,A)
【文献】 特開2012−007030(JP,A)
【文献】 特開2010−150328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
B29B11/16
B29B15/08−15/14
C08J5/04−5/10
C08J5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、
下記ポリプロピレン樹脂と、
グリシジル基を有するエチレン系共重合体(C)と、
不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物により変性された変性ポリオレフィン樹脂(D)と
を含有し、
前記繊維100質量部に対して、
ポリプロピレン樹脂の含有量が120〜900質量部であり、
前記エチレン系共重合体(C)と変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量の合計が5〜200質量部であり、
下記要件(1)を充足するポリプロピレン樹脂組成物。
要件(1):エチレン系共重合体(C)と変性ポリオレフィン樹脂(D)が、下記の式(1)を充足すること。
0.02≦(Dx・Dy)/(Cx・Cy)≦3.0・・・(1)
Cx:エチレン系共重合体(C)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Cy:エチレン系共重合体(C)中のグリシジル基を有する単量体単位の含有量(質量%)(ただし、エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)
Dx:変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Dy:変性ポリオレフィン樹脂(D)中の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有量(質量%)(ただし、変性ポリオレフィン樹脂(D)の質量を100質量%とする)
ポリプロピレン樹脂:下記プロピレン単独重合体成分(A)と下記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)とからなり、
温度230℃、および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレートが70〜150g/10分であり、
前記ポリプロピレン樹脂の質量を100質量%とするときに、プロピレン単独重合体成分(A)の含有量が50〜95質量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の含有量が5〜50質量%であり、
下記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の極限粘度[η]と下記プロピレン単独重合体成分(A)の極限粘度[η]の比である[η]/[η]が1.3〜2.5であるポリプロピレン樹脂。
プロピレン単独重合体成分(A):135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.90〜1.2dl/gであるプロピレン単独重合体。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B):エチレンに由来する単量体単位と、α−オレフィンに由来する単量体単位とを有し、
エチレンに由来する単量体単位の含有量が25〜75質量%であり(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体成分の質量を100質量%とする)、
135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜2.9dl/gであるエチレン-α-オレフィン共重合体。
【請求項2】
前記繊維の数平均繊維長が3〜20mmである請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物からなる成形体。
【請求項4】
請求項3に記載の成形体からなる自動車用インナーパネル用部品。
【請求項5】
請求項3の成形体からなる自動車用エンジンカバー。
【請求項6】
請求項3の成形体からなる自動車用ファンシュラウド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物、該樹脂組成物からなる成形体、自動車用インナーパネル用部品、自動車用エンジンカバー、および自動車用ファンシュラウドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高い強度が要求される構造部材には、繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物が用いられている。例えば特許文献1には、疲労特性の改良を目的とした、平均極限粘度が1.05dl/g以上であるポリプロピレン樹脂と繊維とを含む樹脂組成物が記載されている。また特許文献2には、成形体の外観の改良を目的とした、メルトインデックスが100〜250g/10分である熱可塑性樹脂と、変性ポリオレフィン系樹脂と、強化繊維と、メルトインデックスが20〜70g/10分であるポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−2837号公報
【特許文献2】WO2009/116608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2に記載されている樹脂組成物からなる成形体は、疲労強度と衝撃強度が十分ではなかった。
以上の課題に鑑み本発明は、疲労強度と衝撃強度に優れる成形体を得られるポリプロピレン樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維と、
下記ポリプロピレン樹脂と、
グリシジル基を有するエチレン系共重合体(C)と、
不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物により変性された変性ポリオレフィン樹脂(D)と
を含有し、
前記繊維100質量部に対して、
ポリプロピレン樹脂の含有量が120〜900質量部であり、
前記エチレン系共重合体(C)と変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量の合計が5〜200質量部であり、
下記要件(1)を充足するポリプロピレン樹脂組成物にかかるものである。
要件(1):エチレン系共重合体(C)と変性ポリオレフィン樹脂(D)が、下記の式(1)を充足すること。
0.02≦(Dx・Dy)/(Cx・Cy)≦3.0・・・(1)
Cx:エチレン系共重合体(C)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Cy:エチレン系共重合体(C)中のグリシジル基を有する単量体単位の含有量(質量%)(ただし、エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)
Dx:変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Dy:変性ポリオレフィン樹脂(D)中の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有量(質量%)(ただし、変性ポリオレフィン樹脂(D)の質量を100質量%とする)
ポリプロピレン樹脂:下記プロピレン単独重合体成分(A)と下記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)とからなり、
温度230℃、および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレートが70〜150g/10分であり、
前記ポリプロピレン樹脂の質量を100質量%とするときに、プロピレン単独重合体成分(A)の含有量が50〜95質量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の含有量が5〜50質量%であり、
下記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の極限粘度[η]と下記プロピレン単独重合体成分(A)の極限粘度[η]の比である[η]/[η]が1.3〜2.5であるポリプロピレン樹脂。
プロピレン単独重合体成分(A):135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.90〜1.2dl/gであるプロピレン単独重合体。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B):エチレンに由来する単量体単位と、α−オレフィンに由来する単量体単位とを有し、
エチレンに由来する単量体単位の含有量が25〜75質量%であり(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体成分の質量を100質量%とする)、
135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜2.9dl/gであるエチレン-α-オレフィン共重合体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、疲労強度と衝撃強度に優れる成形体を得られるポリプロピレン樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形体、自動車用インナーパネル用部品、自動車用エンジンカバー、および自動車用ファンシュラウドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔繊維〕
本発明で使用される繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ケナフ、セルロース系繊維等が挙げられる。中でもポリエステル繊維を用いることが好ましい。
【0008】
上記ポリエステル繊維は、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンイソフタレート等のアルキレングリコールと芳香族ジカルボン酸より合成されるポリエステルから得られる繊維;
テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールより得られるポリエステルから得られる繊維;
ビスフェノールAの両末端の水酸基にエチレンオキシドが一つずつ付加した化合物と、マレイン酸、フタール酸、アジピン酸等のジカルボン酸とを縮合して得られるポリエステルから得られる繊維;
芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジヒドロキシ化合物及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸を縮合して得られる全芳香族ポリエステル、より具体的にはテレフタル酸とビスフェノールAの縮合物、イソフタル酸とp−ヒドロキシ安息香酸の縮合物等から得られる繊維;
等が挙げられる。
【0009】
これらのうち、アルキレングリコールと芳香族ジカルボン酸より合成されるポリエステルから得られる繊維を用いることが好ましい。より好ましくは、ポリアルキレンテレフタレート繊維又はポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート繊維であり、さらに好ましくはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート繊維である。
【0010】
繊維の単糸繊度は、好ましくは1〜30dtex(decitex)、より好ましくは1.5〜25dtexである。単糸繊度を1dtex以上とすることにより、製糸性が安定する。単糸繊度を30dtex以下とすることにより繊維と樹脂との間の界面強度を適切なものとすることができる。樹脂中の繊維の分散性の観点から、単糸繊度が1.5dtex以上であることが好ましく、成形体の衝撃強度の観点から、単糸繊度が25dtex以下であることが好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂組成物中の繊維の数平均繊維長は、好ましくは1〜50mm、より好ましくは3〜20mmであり、さらに好ましくは5〜15mmである。繊維の繊維長を1mm以上とすることによって、得られる成形体の衝撃強度をより高くすることができる。また50mm以下とすることによって成形性を良好にすることが可能となる。
【0011】
繊維は、収束剤で処理された繊維であることが好ましい。繊維の表面に付着した収束剤の含有量は、繊維100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。収束剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、澱粉、植物油、及びこれらとエポキシ化合物の混合物等が挙げられる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を収束剤として用いることが好ましい。
【0012】
〔ポリプロピレン樹脂〕
本発明で使用されるポリプロピレン樹脂は、プロピレン単独重合体成分(A)と、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)とからなる。
[プロピレン単独重合体成分(A)]
プロピレン単独重合体成分(A)(以下、成分(A)と称することがある)は、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.90〜1.2dl/gであるプロピレン単独重合体である。成分(A)の極限粘度は、好ましくは、0.90〜1.0dl/gである。極限粘度を1.2dl/g以下とすることにより、樹脂組成物の成形加工性を良好にすることが可能となる。極限粘度を0.90dl/g以上とすることにより、得られる成形体の疲労強度および衝撃強度をより高くすることができる。
【0013】
上記極限粘度は、以下の方法によってテトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される。
【0014】
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.5g/dlの3点について還元粘度を測定される。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法即ち、還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
【0015】
成分(A)の13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率(mmmm分率)は、結晶性が高く、剛性が高いという観点から、好ましくは0.960以上であり、より好ましくは0.980以上である。
【0016】
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、ポリプロピレン分子中のペンタッド単位について、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であって、A.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 第6巻、第925頁、1973年)に記載の13C−NMR法に従って求められる。但し、13C−NMR吸収ピークの帰属は、Macromolecules 第8巻、第687頁(1975年)に基づいて行うものである。
【0017】
[エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)]
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)(以下、成分(B)と称することがある)は、エチレンに由来する単量体単位と、α−オレフィンに由来する単量体単位とを有し、
エチレンに由来する単量体単位の含有量が25〜75質量%であり(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体成分の質量を100質量%とする)、
135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜3.0dl/gであるエチレン-α-オレフィン共重合体である。
【0018】
α−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンである。
【0019】
炭素数3〜12のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜8のα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン)であり、より好ましくはプロピレンである。
【0020】
成分(B)のエチレンに由来する単量体単位の含有量は、25〜75質量%であり、好ましくは40〜60質量%である(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体成分の質量を100質量%とする)。成分Bのエチレンに由来する単量体単位の含有量を25〜75質量%とすることにより、得られる成形体の衝撃強度を高くすることができる。
【0021】
前記エチレンに由来する単量体単位の含有量は、“新版 高分子分析ハンドブック”(日本化学会、高分子分析研究懇談会編、紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法またはNMR法を用いて測定される。
【0022】
成分(B)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]は、1.5〜2.9dl/gであり、好ましくは、1.5〜2.5dl/gである。極限粘度を2.9dl/g以下とすることにより、樹脂組成物の成形加工性を良好にすることが可能となる。極限粘度を1.5dl/g以上とすることにより、得られる成形体の疲労強度および衝撃強度をより高くすることができる。成分(B)の極限粘度は、上記成分(A)の極限粘度の測定方法と同じ方法で測定される。
【0023】
ポリプロピレン樹脂が、後述のとおり、プロピレン単独重合体成分(A)と、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)とを連続重合により製造される場合、成分(B)の極限粘度[η]は下式から計算される:
[η]=([η]total−[η]×X)/X
式中、[η]totalはポリプロピレン樹脂の極限粘度であり、Xは第一段階の重合工程で生成した成分(A)の質量割合であり、Xは第二段階の重合工程で生成した成分(B)の質量割合であり、XおよびXは物質収支から求める。
【0024】
本発明のポリプロピレン樹脂は、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)[η]とプロピレン単独重合体成分(A)の極限粘度[η]の比である[η]/[η]が1.3〜2.5である。
【0025】
ポリプロピレン樹脂に含まれる成分(A)の含有量は50〜95質量%であり、成分(B)の含有量が5〜50質量%であり、好ましくは成分(A)の含有量は60〜95質量%であり、成分(B)の含有量が5〜40質量%である(ただし、ポリプロピレン樹脂の質量を100質量%とする)。
【0026】
ポリプロピレン樹脂の温度230℃、および荷重21.2Nで測定されるメルトフローレートは、70〜150g/10分であり、好ましくは75〜120g/10分であり、より好ましくは75〜100g/10分である。ポリプロピレン樹脂のメルトフローレートは、温度230℃、および荷重21.2Nで、JIS K7210(1995)に従い測定される。
【0027】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物に含有されるポリプロピレン樹脂の含有量は、繊維100質量部に対して好ましくは120〜90質量部であり、より好ましくは150〜900質量部である。
【0028】
ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、成分(A)と成分(B)を溶融混練して得る方法、第一段階の重合で成分(A)を得た後に、第二段階の重合で成分(A)の存在下で成分(B)を得る連続重合方法を例示できるが、好ましくは第一段階の重合で成分(A)を得た後に、第二段階の重合で成分(A)の存在下で成分(B)を得る連続重合方法である。
【0029】
ポリプロピレン樹脂は、後述の重合触媒を用いて、後述の重合方法によって製造することができる。
【0030】
ポリプロピレン樹脂の重合に用いる重合触媒として、チーグラー型触媒系;チーグラー・ナッタ系触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、アルキルアミノキサンからなる触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと、それと反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物からなる触媒系;これらの各触媒を無機物のような粒子で処理してなる触媒系;および各触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させてなる予備重合触媒を例示することができる。
【0031】
上記の触媒系として、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開2004−182981号公報、特開平9−316147号公報に記載の触媒系が挙げられる。
【0032】
ポリプロピレン樹脂の重合方法として、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行うバルク重合;プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で行う溶液重合法またはスラリー重合法;および気体状態の単量体を媒体として、その媒体中の気体状態の単量体を重合する気相重合法を例示することができる。これらの重合方法はバッチ式、連続式またはこれらの組合せで行われる。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法、バルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法が好ましい。
【0033】
〔エチレン系共重合体(C)〕
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、グリシジル基を有するエチレン系共重合体(C)を含有する。
エチレン系共重合体(C)はエチレンに由来する単量体単位と、下記式(2)で表されるグリシジル基を有する単量体単位とを含有する共重合体である。
式中Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。Zは−CO−または−CH−である。
グリシジル基を有する単量体単位は、グリシジル基を有する単量体由来の単位である。グリシジル基を有する単量体として、例えばグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のα,β−不飽和グリシジルエステル、またはアリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテルなどのα,β−不飽和グリシジルエーテルを挙げることが出来る。好ましくはグリシジルメタクリレートである。
【0034】
またエチレン系共重合体(C)は下記式(3)で表される単量体単位を含有することが好ましい。
式中Rは、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、−COORまたは−O−CO−Rである(R、Rは各々独立に、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。)
式(3)で表される単量体単位は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル等の不飽和ビニルエステル等に由来する単位である。
【0035】
エチレン系共重合体(C)中のグリシジル基を有する単量体単位の含有量(以下、「Cy」と記載することがある)は、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。エチレン系共重合体(C)中のグリシジル基を有する単量体単位の含有量は、国際公開2008/081791号パンフレットに記載の方法に準じて測定できる。また式(3)で表される単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトルによって測定できる。
【0036】
エチレン系共重合体(C)は、変性ポリオレフィン樹脂(D)との相溶分散性の観点から、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を有していないことが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、クロロスチレン、2,4−ジメチルスチレンなどが挙げられる。
【0037】
エチレン系共重合体(C)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分〜500g/10分であり、より好ましくは10g/10分〜400g/10分である。エチレン系共重合体(C)のメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に規定された方法によって、荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定される。
【0038】
エチレン系共重合体(C)は、例えば、高圧ラジカル重合法、溶液重合法、乳化重合法等により、グリシジル基を有する単量体とエチレンと、必要に応じて他の単量体とを共重合する方法、エチレン系樹脂にグリシジル基を有する単量体をグラフト重合させる方法等により製造することができる。
【0039】
〔変性ポリオレフィン樹脂:D〕
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂(D)を含有する。変性ポリオレフィン樹脂(D)は、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物により変性された樹脂である。
【0040】
変性ポリオレフィン樹脂(D)の原料となるポリオレフィン樹脂は、1種類のオレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体である。
変性ポリオレフィン樹脂(D)は、1種類のオレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体に不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物を反応させて生成した樹脂であって、分子中に不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位を有している樹脂である。具体的には、次の(D−a)〜(D−c)の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
(D−a) :オレフィンの単独重合体に、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(D−b) :2種以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体に、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(D−c) :オレフィンを単独重合した後に2種以上のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0042】
また、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸としてはマレイン酸、アクリル酸を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いることが好ましい。
【0043】
上記変性ポリオレフィン樹脂(D)として、好ましくは、(D−c)である。(D−c)のうち、次の(D−d)を用いることがより好ましい。
(D−d) :エチレンおよび/またはプロピレンに由来する単位を主な単量体単位として含有するポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸またはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをグラフト重合することによって得られる変性ポリオレフィン樹脂。
【0044】
変性ポリオレフィン樹脂(D)に含有される不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有量(以下、「Dy」と記載することがある)は、得られる成形体の衝撃強度、疲労特性、剛性等の機械的強度を良好なものとするという観点から、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは、0.1〜10質量%である。なお、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有量は、赤外吸収スペクトルまたはNMRスペクトルによって、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に基づく吸収を定量して算出した値を用いる。
【0045】
変性ポリオレフィン樹脂(D)の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物のグラフト効率は、成形体の機械物性などの観点から0.51以上であることが好ましい。グラフト効率は、以下の(手順1)および(手順2)によって求めることができる。
(手順1)
変性ポリオレフィン1.0gをキシレン100mlに溶解した後、サンプルのキシレン溶液をメタノール1000mlに攪拌しながら滴下してサンプルを再沈殿により回収する。(以下、溶解から回収までの上記作業を精製と称する。)回収した精製サンプルを真空乾燥した後(80℃、8時間)、熱プレスにより厚さ100μmのフィルムを作製する。この作製したフィルムを赤外吸収スペクトルによって、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に基づく吸収を定量することで、変性ポリオレフィン中のポリオレフィン樹脂と反応した不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物の含有量(X1)を算出する。
(手順2)
前記(手順1)の方法で不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物の含有量を求めた際の精製前の変性ポリオレフィン樹脂を熱プレスにより厚さ100μmのフィルムを作製する。この作製したフィルムを赤外吸収スペクトルによって、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に基づく吸収を定量することで、変性ポリオレフィン中の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物の含有量(Dy)を算出する。前記(手順1)で求めた含有量(X1)を手順2で求めた含有量(Dy)で割ることで、グラフト効率を算出する。
【0046】
これらの変性ポリオレフィン樹脂(D)は、溶液法、バルク法、溶融混練法等によって製造することができる。また、2種以上の方法を併用しても良い。溶液法、バルク法、溶融混練法等の具体的な例としては、例えば、“実用ポリマーアロイ設計”(井手文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog.Polym.Sci.,24,81−142(1999)、特開2002−308947号公報、特開2004−292581号公報、特開2004−217753号公報、特開2004−217754号公報等に記載されている方法が挙げられる。
【0047】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物に含有されるエチレン系共重合体(C)と変性ポリオレフィン(D)の含有量の合計は、繊維100質量部に対して、5〜200質量部、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部である。
エチレン系共重合体(C)の含有量と変性ポリオレフィン(D)の含有量は、繊維と樹脂成分の密着性を効率的に強化するという観点から、下記の式(1)を満足することが好ましい。
0.02≦(Dx・Dy)/(Cx・Cy)≦3.0・・・(1)
下記式(4)を満足することがさらに好ましい。
0.02≦(Dx・Dy)/(Cx・Cy)≦0.8・・・(4)
Cx:エチレン系共重合体(C)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Cy:エチレン系共重合体(C)中のグリシジル基を有する単量体単位の含有量(重質量%)(ただし、エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)
Dx:変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量(質量%)(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)
Dy:変性ポリオレフィン樹脂(D)中の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有量(質量%)(ただし、変性ポリオレフィン樹脂(D)の質量を100質量%とする)
(Cx・Cy)は、本発明にかかる樹脂成分中に含まれるグリシジル基を有する単量体単位の含有率(質量%)を表す(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)。
(Dx・Dy)は、本発明にかかる樹脂成分中に含まれる不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有率(質量%)を表す(ただし、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)との合計量を100質量%とする)。
なお、(Cx・Cy)、(Dx・Dy)の値は赤外吸収スペクトルから以下の方法により算出することができる。
【0048】
<(Cx・Cy)の算出方法>
下記の方法により得られたプレスシートを、赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を厚さで補正して、検量線法により樹脂成分中のグリシジル基を有する単量体単位の含有率を求めた。なお、グリシジル基を有する単量体単位の特性吸収としては、910cm−1のピークを用いた。
【0049】
<(Dx・Dy)の算出方法>
下記の方法により得られたプレスシートを、赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を厚さで補正して、検量線法により樹脂成分中の不飽和カルボン酸およびは不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の含有率を求めた。なお、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群より選ばれる化合物に由来する単量体単位の特性吸収としては、1780cm−1のピークを用いた。
【0050】
上記(Cx・Cy)、(Dx・Dy)を算出するために用いる赤外吸収スペクトル測定用プレスシートは、以下の方法で作製されたものを用いる。本発明に係る樹脂組成物1.0gをキシレン100mlに溶解し、濾過して、前記キシレン溶液から繊維を除去した。濾過後のキシレン溶液をメタノール1,000mlに攪拌しながら滴下して、キシレンに溶解した樹脂成分を再沈殿により回収し、回収した樹脂成分を80℃、8時間真空乾燥した後、熱プレスして、厚さ100μmのプレスシートを作製した。
【0051】
[その他]
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂組成物は、必要に応じて、以下の成分を含有していてもよい。例えば、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、硫酸バリウム、シリカ、ケイ酸カルシウム、及びチタン酸カリウムなどの無機充填材;
フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤及び有機リン系酸化防止剤のような酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤のような光安定剤;
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾエート系紫外線吸収剤のような紫外線吸収剤;
ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤及びアニオン系帯電防止剤のような帯電防止剤;
ビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤及び有機金属塩系分散剤のような分散剤;
アミド系滑剤、ワックス系滑剤、有機金属塩系滑剤及びエステル系滑剤のような滑剤;オキシド系分解剤及びハイドロタルサイト系分解剤のような分解剤;
ヒドラジン系金属不活性剤及びアミン系金属不活性剤のような金属不活性剤;
含臭素有機系難燃剤、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、及び赤リンのような難燃剤;
有機リン酸系結晶核剤及びソルビトール系結晶核剤のような結晶核剤;
有機顔料及び無機顔料のような顔料;
有機充填剤;
無機抗菌剤及び有機抗菌剤のような抗菌剤;等が挙げられる。
【0052】
〔ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法〕
本発明で用いられる樹脂組成物は、下記(A)〜(C)の製造方法により得られる。これらの方法のうち、樹脂組成物の製造の容易さ、及び得られる成形体の衝撃強度等の機械的強度の観点から、(C)の方法を用いることが好ましい。
(A):各成分の全てを混合して混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(B):全成分を逐次添加することにより混合物を得た後、その混合物を溶融混練する方法。
(C):プルトルージョン法
上記(A)又は(B)の方法において、混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法が挙げられる。そして、溶融混練する方法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ベラベンダープラストグラフ、一軸押出機又は二軸押出機を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0053】
上記(C)の方法のプルトルージョン法とは、連続した繊維束を引きながら、繊維束に樹脂を含浸させる方法をいう。例えば、次の(α)〜(γ)の方法が挙げられる。
(α):樹脂成分と溶媒からなるエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸槽の中に繊維束を通し、繊維束にエマルジョン、サスペンジョン又は溶液を含浸させた後、溶媒を除去する方法。
(β):樹脂成分の粉末を繊維束に吹き付けた後、又は、樹脂成分の粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂成分粉末を付着させた後、該粉末を溶融して繊維束に樹脂成分を含浸させる方法。
(γ):クロスヘッドの中に繊維束を通しながら、押出機等からクロスヘッドに溶融樹脂成分を供給し、繊維束に該樹脂成分を含浸させる方法。
【0054】
上記(α)〜(γ)の方法のうち、(γ)のクロスヘッドを用いるプルトルージョン法、より好ましくは特開平3−272830号公報に記載されているクロスヘッドを用いるプルトルージョン法で製造することが好ましい。
上記のプルトルージョン法において、樹脂成分の含浸操作は1段で行ってもよく、2段以上に分けて行ってもよい。また、プルトルージョン法によって製造される樹脂組成物は、上記(A)または(B)の溶融混練法によって製造される樹脂組成物と組合せて用いてもよい。
【0055】
樹脂組成物の形状は、ペレット状であることが好ましい。ペレットの長手方向の長さは、射出成形における金型キャビティへの充填のしやすさ、強度が高い成形体が得られるという観点から、好ましくは、1〜50mm、より好ましくは3〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmである。ペレットの長手方向の長さが1mm以上であれば、衝撃強度の高い成形体が得られるため好ましい。ペレットの長手方向の長さが50mm以下であれば、成形が容易であり、好ましい。
【0056】
上記(C)のプルトルージョン法を用いて製造された樹脂組成物ペレットの長手方向の長さと、ペレット中の繊維の長さは等しい。ペレットの長手方向の長さとペレット中に含有される繊維の長さが等しいということは、樹脂組成物ペレット中に含有される繊維の数平均長さが、ペレットの長手方向の長さの90〜110%の長さであることをいう。ペレット中の繊維の数平均長さは、ペレットの長手方向の長さと同様、好ましくは1〜50mm、より好ましくは3〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmである。また、ペレット中の繊維は、互いに平行に配列していることが好ましい。
【0057】
なお、繊維の数平均長さは、以下の(i)〜(v)の手順で測定した値を用いる。
(i) ペレットから分離された繊維の適量を、その質量の1000倍以上の質量の水等の液体中に均一に分散させる。
(ii) 得られた均一分散液から、繊維0.1〜2mgを含有する量に相当する量の均一分散液を区分する。
(iii) 区分された均一分散液をろ過し、分離された繊維を乾燥する。
(iv) 乾燥された繊維の各々について繊維長を測定する。
(v)各繊維長から数平均長さを求める。
【0058】
〔成形体〕
上記の方法により得られる成形体中の繊維の数平均長さは、成形体の疲労強度等の機械的強度や外観の観点から3〜20mmであることが好ましい。より好ましくは5〜15mmである。
成形体の用途としては、自動車用部品、電気製品の部品、機械部品、及び建材などが挙げられる。
自動車部品としては、構造部材部品、内装材部品、外装材部品、エンジンルーム内部品等が挙げられる。
構造部材部品としては、自動車用インナーパネル用部品等が挙げられる。
エンジンルーム内部品としては、自動車用エンジンカバー、自動車用ファンシュラウド等が挙げられる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例、及び比較例によって、本発明を説明する。実施例及び比較例における評価方法を以下に示す。
【0060】
(1)振動疲労強度(単位:回)
片持ち曲げ試験方法A.S.T.M.D671−71T METHOD Bに準拠して、下記条件にて測定を行い、破断までの繰り返し回数より評価を行った。破断までの繰り返し回数が多いほど、疲労強度に優れる。
試験機 :東洋精機製作所製 繰り返し振動疲労試験機(型式B70TH)
試験片形状:TYPE A
測定温度 :23℃
繰返し速度:30Hz
負荷応力 :19MPa
【0061】
(2)面衝撃強度(単位:J)
試料の面衝撃強度は、HIGH RATE IMPACT TESTER(Rheometrics.inc製)を用いて測定した。測定は2インチの孔径を有するリングで固定したサンプル(80mm×80mm×3mmt)を、ダート径1/2インチ、速度を5m/秒で打ち抜き、変位と荷重の波形を測定した。その後、打ち抜きに要するエネルギー値を算出した。
【0062】
〔原料〕
〔繊維〕
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートのチップから、溶融紡糸法により得られたポリエチレンナフタレート繊維を用いた(帝人ファイバー株式会社製、繊維径:35μm)。この繊維の表面にはポリウレタン樹脂が2.0質量%付着しており、単糸繊度は13dtexであった。
【0063】
〔ポリプロピレン樹脂1〕
プロピレン単独重合体の存在下にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体(住友化学製 ノーブレン(登録商標) AU161C)とプロピレン単独重合体(住友化学製 ノーブレン(登録商標) Z101A)を95/5の質量比で混合してポリプロピレン樹脂1とした。
JIS K7210(1995)に従い、230℃、21.2N荷重で測定したポリプロピレン樹脂1のメルトフローレートは、80g/10分であった。ポリプロピレン樹脂1に含まれるプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は0.83dl/gであり、ポリプロピレン樹脂1に含まれるエチレン−プロピレン共重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は8.0dl/gであった。ポリプロピレン樹脂1に含まれるプロピレン単独重合体成分の含有量は90質量%であり、エチレン−プロピレン共重合体成分の含有量は10質量%であった(ただし、ポリプロピレン樹脂1の質量を100質量%とした)。エチレン−プロピレン共重合体成分中のエチレンに由来する単量体単位の含有量は32質量%であった(ただし、エチレン−プロピレン共重合体成分の質量を100質量%とした)。
【0064】
〔ポリプロピレン樹脂2〕
[固体触媒の合成]
特開2009−173870の実施例1記載の方法で、固体触媒を合成した。
[予備重合]
内容積3Lの撹拌機付きSUS製オートクレーブに、充分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム20ミリモル、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン2.0ミリモルと上記固体触媒16gを添加し、オートクレーブ内の温度を約5〜10℃に保ちながらプロピレン32gを約40分かけて連続的に供給して予備重合を行った後、予備重合スラリーを内容積200Lの攪拌機付きSUS製オートクレーブに移送し、液状ブタン132Lを加えて、予備重合触媒成分のスラリーとした。
[プロピレン単独重合体成分の製造]
<重合工程(1)>
内容積40Lの攪拌機付きベッセルタイプのリアクターに、プロピレン、水素、トリエチルアルミニウム、シクロヘキシルエチルジメトキシシランおよび予備重合触媒成分のスラリーを連続的に供給し、重合温度を68℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を18Lに維持し、プロピレンの供給量を25kg/時間にし、水素の供給量を262NL/時間にし、トリエチルアルミニウムの供給量を40ミリモル/時間にし、シクロヘキシルエチルジメトキシシランの供給量を6ミリモル/時間にし、予備重合触媒成分のスラリーの供給量を固体触媒成分換算として0.64g/時間にして0.29時間連続重合を行った。ポリマーは3.4kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(2)>
重合工程(1)でリアクターから排出されたスラリーを、重合工程(1)のリアクターとは別のベッセルタイプのリアクターに連続的に移送し、プロピレンおよび水素を連続的に供給し、重合温度を75℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を44Lに維持し、プロピレンの供給量を15kg/時間にし、水素の供給量を91NL/時間にして更に0.46時間連続重合を行った。ポリマーは5.3kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(3)>
重合工程(2)でリアクターから排出されたスラリーを、重合工程(1)および(2)のリアクターとは別のベッセルタイプのリアクターに連続的に移送し、重合温度を63℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を44Lに維持し、更に0.53時間連続重合を行った。ポリマーは3.3kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(4)>
重合工程(3)でリアクターから排出されたスラリーを、内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器に連続的に移送し、プロピレン、水素を連続的に供給し、重合温度を80℃にし、重合圧力を1.8MPaにし、反応器内ガスのプロピレンと水素の濃度比を89.1体積%/10.9体積%(プロピレン濃度/水素濃度)にして、1.69時間重合を行った。重合体成分(プロピレン単独重合体成分)は5.7kg/時間の速度で排出された。得られた重合体成分(プロピレン単独重合体成分)の極限粘度は0.93dl/gであった。
[エチレン−プロピレン共重合体成分の製造]
<重合工程(5)>
重合工程(4)でリアクターから排出された重合体成分(プロピレン単独重合体成分)を、重合工程(4)で使用した反応器とは別の内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器に連続的に移送し、プロピレン、エチレン、および水素を連続的に供給し、重合温度を70℃にし、重合圧力を1.4MPaにし、反応器内ガスのプロピレン、エチレンと水素の濃度比を42.1体積%/48.8体積%/9.1体積%(プロピレン濃度/エチレン濃度/水素濃度)にし、失活剤として酸素を、重合工程(1)で供給しているトリエチルアルミニウムに対するモル比0.0462として添加して2.0時間重合を行い、ポリプロピレン樹脂2を得た。ポリプロピレン樹脂2は2.67kg/時間の速度で排出された。
JIS K7210(1995)に従い、230℃、21.2N荷重で測定したポリプロピレン樹脂2のメルトフローレートは、75g/10分であった。ポリプロピレン樹脂2に含まれるプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]は0.93dl/gであり、ポリプロピレン樹脂2に含まれるエチレン−プロピレン共重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]は2.0dl/gであった。ポリプロピレン樹脂2に含まれるプロピレン単独重合体成分の含有量は86質量%であり、エチレン−プロピレン共重合体成分の含有量は14質量%であった(ただし、ポリプロピレン樹脂2の質量を100質量%とした)。エチレン−プロピレン共重合体成分中のエチレンに由来する単量体単位の含有量は57質量%であった(ただし、エチレン−プロピレン共重合体成分の質量を100質量%とした)。
【0065】
〔ポリプロピレン樹脂3〕
[固体触媒の合成]
特開2009−173870の実施例1記載の方法で、固体触媒を合成した。
[予備重合]
内容積3Lの撹拌機付きSUS製オートクレーブに、充分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム20ミリモル、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン2.0ミリモルと上記固体触媒16gを添加し、オートクレーブ内の温度を約5〜10℃に保ちながらプロピレン32gを約40分かけて連続的に供給して予備重合を行った後、予備重合スラリーを内容積200Lの攪拌機付きSUS製オートクレーブに移送し、液状ブタン132Lを加えて、予備重合触媒成分のスラリーとした。
[プロピレン単独重合体成分の製造]
<重合工程(1)>
内容積40Lの攪拌機付きベッセルタイプのリアクターに、プロピレン、水素、トリエチルアルミニウム、シクロヘキシルエチルジメトキシシランおよび予備重合触媒成分のスラリーを連続的に供給し、重合温度を68℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を18Lに維持し、プロピレンの供給量を25kg/時間にし、水素の供給量を262NL/時間にし、トリエチルアルミニウムの供給量を40ミリモル/時間にし、シクロヘキシルエチルジメトキシシランの供給量を6ミリモル/時間にし、予備重合触媒成分のスラリーの供給量を固体触媒成分換算として0.71g/時間にして0.29時間連続重合を行った。ポリマーは3.3kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(2)>
重合工程(1)でリアクターから排出されたスラリーを、重合工程(1)のリアクターとは別のベッセルタイプのリアクターに連続的に移送し、プロピレンおよび水素を連続的に供給し、重合温度を75℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を44Lに維持し、プロピレンの供給量を15kg/時間にし、水素の供給量を91NL/時間にして更に0.45時間連続重合を行った。ポリマーは5.2kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(3)>
重合工程(2)でリアクターから排出されたスラリーを、重合工程(1)および(2)のリアクターとは別のベッセルタイプのリアクターに連続的に移送し、重合温度を63℃にし、攪拌速度を150rpmにし、リアクター内の液量を44Lに維持し、更に0.52時間連続重合を行った。ポリマーは3.0kg/時間の速度で排出された。
<重合工程(4)>
重合工程(3)でリアクターから排出されたスラリーを、内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器に連続的に移送し、プロピレン、水素を連続的に供給し、重合温度を80℃にし、重合圧力を1.8MPaにし、反応器内ガスのプロピレンと水素の濃度比を88.9体積%/11.1体積%(プロピレン濃度/水素濃度)にして、1.71時間重合を行った。重合体成分(プロピレン単独重合体成分)は6.1kg/時間の速度で排出された。得られた重合体成分(プロピレン単独重合体成分)の極限粘度は0.93dl/gであった。
[エチレン−プロピレン共重合体成分の製造]
<重合工程(5)>
重合工程(4)でリアクターから排出された重合体成分(プロピレン単独重合体成分)を、重合工程(4)で使用した反応器とは別の内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器に連続的に移送し、プロピレン、エチレン、および水素を連続的に供給し、重合温度を70℃にし、重合圧力を1.4MPaにし、反応器内ガスのプロピレン、エチレンと水素の濃度比を71.5体積%/23.2体積%/5.3体積%(プロピレン濃度/エチレン濃度/水素濃度)にし、失活剤として酸素を、重合工程(1)で供給しているトリエチルアルミニウムに対するモル比0.0468として添加して2.1時間重合を行い、ポリプロピレン樹脂3を得た。ポリプロピレン樹脂3は1.82kg/時間の速度で排出された。
JIS K7210(1995)に従い、230℃、21.2N荷重で測定したポリプロピレン樹脂3メルトフローレートは、80g/10分であった。ポリプロピレン樹脂3に含まれるプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は0.93dl/gであり、ポリプロピレン樹脂3に含まれるエチレン−プロピレン共重合体成分の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は1.9dl/gであった。ポリプロピレン樹脂3に含まれるプロピレン単独重合体成分の含有量は91質量%であり、エチレン−プロピレン共重合体成分の含有量は9質量%であった(ただし、ポリプロピレン樹脂3の質量を100質量%とした)。エチレン−プロピレン共重合体成分中のエチレンに由来する単量体単位の含有量は35質量%であった(ただし、エチレン−プロピレン共重合体成分の質量を100質量%とした)。
【0066】
〔変性ポリオレフィン樹脂(D)〕
無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR(230℃、21.2N荷重で測定;JIS K7210(1995))=70g/10分、無水マレイン酸に由来する単量体単位の含有量=0.6質量%、グラフト効率=0.75)を用いた。
なお、上記変性ポリオレフィン樹脂1は、特開2004−197068号公報の実施例1に記載された方法に従って作製した。
【0067】
〔エチレン系共重合体(C)〕
エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学製ボンドファースト、グレード:CG5001、MFR(190℃、21.2N荷重で測定;JIS K7210(1995))=380g/10分、グリシジルメタクリレート含量=19質量%)を用いた。
【0068】
〔実施例1〕
(1)樹脂組成物
特開平3−121146号公報に掲載されているプルトルージョン法に従って、以下のとおり実施し、樹脂組成物ペレットを得た。ポリプロピレン樹脂2と、エチレン系共重合体(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)とを下記の含有量となるように混合し、樹脂混合物を得た。
上記繊維を、通路が波上に加工されたクロスヘッドダイを通じて引きながら、クロスヘッドダイに接続された押出機から供給される約200℃の樹脂混合物を該繊維に含浸させた後、賦形ダイを通してストランドを引取り裁断して(引取り速度13m/分)、長さ11mmの樹脂組成物ペレットを得た。
このペレットは、繊維:100質量部、ポリプロピレン樹脂2:222質量部、変性ポリオレフィン樹脂(D):9.0質量部、エチレン系共重合体(C):2.7質量部を含有していた。このとき、(Dx・Dy)/(Cx・Cy)は0.1であった。
【0069】
(2)成形体
射出成形機として、以下のものを用いた。
〔射出成形機〕
射出成形機:日本製鋼所製、射出成形機 150EN
上記の樹脂組成物ペレットを、上記の成形機を用いて、シリンダー温度が200℃、金型温度が50℃で成形し、成形体を得た。
【0070】
〔実施例2〕
ポリプロピレン樹脂2の代わりにポリプロピレン樹脂3を用いた以外は実施例1と同様に行い、成形体を得た。結果を表1に示した。
【0071】
〔比較例1〕
ポリプロピレン樹脂2の代わりにポリプロピレン樹脂1を用いた以外は実施例1と同様に行い、成形体を得た。結果を表1に示した。
【0072】
〔表1〕