【0042】
[搬送容器と装置のインターフェイス]
搬送容器の扉側の面が装置扉に接続されるが、ここで搬送容器の扉が装置扉に対してずれることなく高精度に位置決めされることが必要である。この点は、搬送容器を手で装置扉に接続する場合であっても、あるいは搬送装置にて接続する場合であっても同じである。
しかも、搬送容器と装置扉との間で摺擦する部分があれば、その部分からはパーティクルを発生することになり、その後、装置内を汚染したり搬送容器内の物品を汚染することになりかねない。このため、搬送容器の扉側には特定の構造を持たせる必要がある。
まず、搬送容器の扉は、搬送容器本体に埋め込まれるようにして設置される。そして搬送容器本体の扉側の面の周縁部には搬送容器側面にかけての傾斜部を設ける。この傾斜部は装置本体のポートの周縁部に設け、ポート中心部に向けて設けられた傾斜部と一致するようにされている。
さらに搬送容器の扉の周囲の搬送容器本体部には、複数の突起部を設けてなり、該突起部は装置本体のポートに設けられた凹部に嵌合するようにされている。
さらに、搬送容器の扉の外面には3つの先端が半球状の突起として設けられ、この突起に対応して装置扉表面には3つのV字状の溝が放射状に設けられている。
このような構造の搬送容器本体、搬送容器扉、装置本体及び装置扉を使用して以下の通りに搬送容器は装置扉に高精度に接続される。
まず、装置本体に接近してきた搬送容器は、上記の搬送容器本体の扉側の面の周縁部に設けた傾斜部を装置本体のポートの周縁部に設けた傾斜部に合わせるようにして挿入され始める。途中まで挿入されて、搬送容器は装置本体に対して多少の遊びがある程度に位置決めされる。
次いで、上記の搬送容器の扉の周囲の搬送容器本体部に設けた複数の突起部が、対応する該装置本体のポートに設けられた凹部に嵌合する。この際に上記の多少の遊びは相当削減されて、搬送容器の垂直軸に対する回転がある程度抑制される。
その状態でさらに搬送容器本体が装置扉に接近すると、搬送容器の扉に設けた3つの先端の半球状の突起が、装置本体の扉に設けた上記の3つのV字の溝に入ることになる。このときには、1つのV字の溝を構成する対向した2つの斜面それぞれが、該半球状の突起と接触し、該半球状の突起は2箇所において該対向した2つの斜面それぞれと接触する。
この結果、搬送容器は垂直軸に対する回転方向へのぶれが無くなり、かつ水平方向へのぶれも放射状の3つのV字の溝により解消する。
このような機構によって、搬送容器は装置本体に対して垂直方向への移動以外は不可能となり固定される。
[装置]
上記搬送容器と密着連結される装置としては、上記のように搬送される「物」が取り扱われる各種装置でよく、「物」が半導体用基板であれば半導体製造用装置、センサ用基板であればセンサ製造用装置、微生物や培地、あるいは遺伝子であれば培養装置や分析装置、不安定な化合物や酸化されやすい金属であれば反応装置や分析装置、有害物質であれば分析装置等のそれを取り扱う装置等、外気を遮断して操作することが必要な公知の各種の装置を選択し得る。
なかでも半導体製造装置としては、半導体製造工程にて使用される一連の各種装置を採用することができる。
【実施例】
【0043】
以下図面に基づいて実施例を説明する。
図1(c)は本発明の連結システムを構成する搬送容器7と装置8が密着連結している図であり、図示はしないが搬送容器7を装置8に固定し、密着連結させるための公知の手
段に基づいて、搬送容器7と装置8が密着している。ここで、本発明の最も特徴的な点は
、搬送容器7は装置8の前室に密着しているのではなく、装置8そのものに密着させることができる点である。ただし、これは搬送容器7が装置前室に密着することを排除するものではない。
前記のように、搬送容器7と装置8が密着連結した結果、搬送容器7の容器扉12と装置8の装置扉9で規定される連結室10が従来の連結システムにおける前室の役目を果たすものとして形成される。
【0044】
従来技術における前室は、搬送容器に収納された物品を装置内に搬入させるために、大気と減圧下、あるいは大気と特定の雰囲気下という環境が異なる外気と装置内を接続するために機能するものである。これに対して、本発明における上記連結室10はあたかも該前室であるかのように、連結室10内部の環境が、密着連結直後の外界と同じ環境から、容器扉12と装置扉9が一体となって装置内に向けて移動し、2つの扉が開くまでの間に、連結室に接続された気体供給用ポート15及び気体排出用のポート16を介して装置内の雰囲気と同様の雰囲気となるように調整されうる。
【0045】
半導体のように真空下において処理する工程に付すものは、特にこのような清浄用気体の供給と排出が要求される。この場合、複数の工程毎に異なる装置を用いる製造設備においては、各工程に使用する装置それぞれに本発明の連結システムを必要とする。
装置内の雰囲気が真空であれば、気体排出用ポート16から連結室10内の気体を真空ポンプ等により排出し、必要であれば、続いて気体供給用ポート15から不活性の気体を連結室内に導入後、さらに気体排出用ポート16からその気体を排出する操作を任意の回数行う等により、微粒子等を含有している連結室10内の環境を装置内の環境と同程度のものとすることが可能である。
【0046】
もちろん、目的とする装置内の清浄度や雰囲気に応じて、必要であれば、連結室10内の環境を装置内の環境と近づけるようにすることができる。
このように、本発明は搬送容器を前室ではなく直接装置8に密着連結できるものであり、そのために密着連結により形成された連結室10には、気体導入用ポート15及び気体排出用のポート16が接続されるように、装置8にはこれらのポートを設けることができる。
これらのポートにより連結室10内を気体が流通して清浄化するにあたっては、気体が連結室10内全てにわたって流通することが必要であるし、容器扉12と装置扉9が密着していた容器7の開口部及び装置本体8の開口部に付着している、粒子等も除去可能なように気体が流通することも必要である。
【0047】
本発明の連結システムを用いた搬送容器7と装置8の密着連結の詳細を、搬送容器内部のウエハを装置内に導入する例を挙げて次に示す。この例に限らず、他に例えば、微生物の培地、不安定な化合物を導入することも可能である。
図2には、搬送容器7が搬送容器本体11と容器扉12からなり、搬送容器本体11と容器扉は公知のシール手段により気密にシールされている。そして搬送容器本体11には容器扉から搬送容器本体11の内部に向けて設けられたウエハ17を支持する部材を設けてなる。
【0048】
容器7と装置8を密着連結させた後を考慮して、搬送容器7は搬送容器本体11の壁部に磁石18を設け、容器扉12の搬送容器本体11の壁部に当接する箇所には鉄等の磁性体19を設けておくことができる。その際には、該搬送容器本体11の壁部及び該容器扉12の磁性体19を設けた箇所を延長し、容器扉12の磁性体19を設けた箇所と当接する装置扉9の箇所には電磁石14を配置しておく。
【0049】
図2の状態では、搬送容器7は搬送容器本体11が容器扉12と磁気力によって強力に密着し、搬送容器本体11の内部は外気とは確実に遮断されている。また、装置8の装置扉9は何らかの手段により装置本体13に確実に密着しており、装置本体13もまた外気とは確実に遮断された状態である。
【0050】
このような
図2の状態から、次には
図3に示されているように、搬送容器7は容器扉12を下方に向けた状態で、上面に装置扉9を設けてなる装置8の装置扉9に重ね合わされるようにして載置される。このとき、搬送容器7と装置8の一方に位置決め用のピンを設け、他方にその位置決め用ピンを嵌合する穴を設ける等して、搬送容器7と装置8が正確に重ね合わされるようにすることが重要である。その位置決めのための機構としてはピンに限定されるものではなく、公知の位置決め手段を採用することも可能である。
【0051】
装置本体13と装置扉9も、公知のシール手段により気密にシールされている。
搬送容器7を装置8の上に正確な位置で載置した後には、両者を密着連結させるための操作を行う。密着連結をしない場合には、搬送容器7と装置8が気密にシールされず、それらの間には隙間が形成されることになり、その状態で扉を開くと外気が搬送容器7内や装置8内に侵入し、これらの内部が外気と微粒子等で汚染されることになる。
この密着連結するための手段としては、ラッチ機構等の公知の手段でよく、その密着強度としては搬送容器本体11と装置本体13の間に介在するガスケット等の公知のシール手段によるシールが有効に機能する程度の強度でよい。
【0052】
搬送容器7を装置8に密着した後に、搬送容器本体11と装置本体13との間に、どちらか一方又は両方に設けられていた公知のシール手段により気密なシール構造が形成される。そしてそのシール手段により区画された容器扉12と装置扉9との間に形成された連結室10を装置内の環境と同じ環境にすべく、予め装置に設けられている気体供給用ポート15及び気体排出用のポート16を用いて、連結室10内の環境を調整する。
具体的な調整方法としては、当初は外気と同じ環境の連結室10内の空気を気体排出用ポート16から排気して減圧とする。次いで気体供給用ポート15から例えば乾燥した窒素ガスを導入し、さらに気体排出用ポート16から排気して減圧とする工程からなる方法を採用できる。
【0053】
このような方法によれば、当初は外気と同じ環境であって、酸素等の反応性ガスの他に微粒子等の汚染物質が存在した連結室10は、気体の排気と供給による気流により、除去が可能な微粒子等が除去されると共に、酸素等の反応性ガスも排気される。その後に、装置8内の環境と同じ環境、つまり、装置8内が減圧下であれば、連結室10も減圧下、装置8内が不活性ガス雰囲気下であれば、連結室10も不活性ガス雰囲気下に調整される。もちろん連結室10の環境の調整はその他の工程によってもよい。
【0054】
このような連結室10の環境の調整は、従来の装置において前室においてなされていた調整と特に変わることはないが、前室と比較して、搬送容器7と装置8の双方の扉等により規定される連結室は従来の前室と比較して圧倒的に小さいので、気体の供給や排気に要する装置もより小規模な装置で十分であり、また所要時間も遙かに短時間で済むものである。
【0055】
引き続き、搬送容器7内に収納されているウエハを装置8内に移動させる方法を説明する。
図示していないが、装置扉9を開閉するためのエレベータ等の装置が装置8内に設けられており、搬送容器7の容器扉に固定されたウエハを、容器扉12及び装置扉9ごと装置8内に移送して装置内の処理手段による処理に付すことになる。
一体化した容器扉12と装置扉9を共に装置8内に移動させるに際して、容器扉12と
容器本体7との密着を公知の手段により解除する。
【0056】
その解除するための手段の一例として、以下の手段が挙げられる。
容器扉12に設けられた磁性体19は、搬送容器本体7の壁に設けられた磁石18の磁力を受けて、該磁石18と磁着している。
このため、容器扉12を搬送容器本体11から離すためには、磁性体19に作用する磁石18からの磁気力に抗して、磁性体19に対して容器扉12を離す方向へと力を加えることが必要である。
【0057】
図3においては、装置扉9に設けられている電磁石14に電流を通して、磁性体19に対して磁気力を加えることにより、磁性体19にかかる磁気力が磁石18によるものよりも電磁石14によるものを強くすることにより、磁気力の閉回路が形成されて装置扉9に容器扉12が磁着する結果となる。
このように、装置扉9に容器扉12を磁着させた状態で、装置扉9を下方に移動させることにより、
図4に示すように装置内に装置扉9と容器扉12が共に導入される。電磁石への通電は永久磁石18から容器扉12への磁気力がある程度弱くなった時点で停止してもよい。
この状態において、装置扉9と容器扉12からなる連結室10は装置8内の空間と連通するが、既に連結室10は装置8内の環境と同環境であるので、連結室10に由来する装置内の汚染はみられない。
【0058】
なお、この例は装置8に気体供給用ポート15及び気体排出用のポート16を設けてなる例であるが、これらのポートを設けなくても良い場合がある。それは、装置8の容積と連結室10の容積を比較すると、連結室10の内容積が圧倒的に小さいので、仮に連結室10に存在する微粒子やガスが装置内の雰囲気に混入しても、それによる汚染の程度が極めて小さく無視可能である場合である。
【0059】
この際、形成された連結室10と装置8内の気圧等の環境を同じとするために、例えば装置扉9に装置8内と連結室10内を連通する開閉可能な管路を設け、搬送容器7と装置8が密着して、連結室10が形成された後において、該管路を開として連結室10と装置8内を連通させるようにしてもよい。
さらに、上記の実施例の装置8の装置扉の向きを横向き、あるいは下向きとし、搬送容器7の容器扉12も横向き、あるいは上向きとすることも可能である。
【0060】
磁気力により容器扉と装置扉を開閉する別の機構について
図5を基に説明する。
図5は搬送容器21が装置20に密着した状態の図であり、装置扉22の上面に容器扉23が対向し、搬送容器本体25の容器扉23の周囲の部分が装置本体24に対向している。
装置扉には、電磁石26が埋め込まれ、その先端が装置扉の上面に露出している。
該電磁石26の先端の位置に対向するように、磁性体27が容器扉23の表面から反対面を貫通するように埋め込まれている。この磁性体27は複数埋め込まれており、その複数の磁性体27は磁石36の両端に磁気力にて接続されている。そして、このような2つの磁性体27と磁石36からなる組が1つ以上埋め込まれている。
【0061】
また、容器扉23の内側、つまり搬送容器本体側に磁性体27が露出した箇所には、搬送容器本体25に埋め込まれた磁性体28が磁気力を及ぼしており、容器扉23は内部に埋め込まれた磁性体27と搬送容器本体25に埋め込まれた磁性体28との間に発生する磁気力による引力により、搬送容器本体25に固定され、このため、容器扉23により搬送容器本体25の内部が密閉される。
搬送容器本体25に埋め込まれた複数の磁性体28は、容器扉23と対向する部分から
離れた箇所にて、磁性体29により接続されており、この状態において搬送容器本体と容器扉を磁気力が接続して閉回路が形成されている。
【0062】
搬送容器本体25の内部には、装置20内との間を容器扉23と共に移動可能となるように容器扉23に固定されてなる被処理物30が収納されており、装置本体24や搬送容器本体25に外気の侵入や微粒子の侵入を防止しつつ、被処理物を装置内、あるいは容器内に移動可能とするためには搬送容器21と装置20が密着して連結室を形成し、該連結室は外気に対して気密であることが必要である。
このため、
図5においては搬送容器本体25と容器扉23との間を気密しシールするための、Oリング等のシール部材31が設けられ、装置本体24と装置扉22との間を気密にシールするための、Oリング等のシール部材33が設けられ、また搬送容器本体25と装置本体24を気密にシールするためのOリング等のシール部材32が設けられており、これらのシール部材により、容器21の内部と装置20の内部は、容器21が装置20に接続しているときはもちろん、そうでないときも、内部が外気から遮断された状態でいられることが可能である。
【0063】
さらに、容器21が装置20に正確に接続され、搬送容器本体21内の被処理物30が装置本体24の内部を行き来して、正確に処理することが可能となるには、搬送容器本体25に設けた複数の位置決めピン34と、装置本体24に設けた複数の穴や溝を正確に嵌合などすることが必要である。もちろん、装置側に位置決めピンを設け容器側に穴や溝を設けてもよいが、操作性を考慮すると、容器側に位置決めピンを設け、装置側に該位置決めピンと嵌合するように穴や溝を形成することが好ましい。
位置決めピン34の先端形状は円球状でも円錐状、角錐状でもよく、ピンとして明確な先端を備えるものであればよい。また穴や溝35はその位置決めピン34と嵌合するように、位置決めピンの先端形状を反映した内面の形状を有してもよいが、特にV字状の溝、U字状の溝とすることが好ましい。このときに位置決めピン34の先端付近の2点が穴や溝35の底部付近の2点に接触するようにしてもよい。このときには、例えば位置決めピン34の先端が円球状、穴や溝がV字の溝のときのように、位置決めピンの先端の円球状部分がV字の溝35の中心部に位置させてもよい。このような位置決め手段によれば、容器21を装置20に正確且つ確実に、予定した位置に接続させることが可能となる。
【0064】
図5では図示しないが、装置20に
図2に示すような気体供給用ポート及び気体排出用のポートを設け、かつ搬送容器本体25と装置本体24との間はシール部材32により気密にシールされるので、装置扉22と容器扉23の間に形成された連結室を装置20や容器21の内の雰囲気に合わせることができるように、任意のガスにより満たすことも、また任意の気圧下とすることも可能となる。
図5において、容器、装置及びそれらの扉の形状、電磁石の形状、磁性体の形状、ピンや穴、溝は図示されたものに限定されず、同様の機能を発揮可能であれば任意の形状のものでよい。また、電磁石26に代えて磁石とすることも可能である。
また、
図2〜4に示したように、
図5に記載の装置も容器扉が装置扉と共に装置内に移動されて、装置内にて所定の処理等がなされるものである。
【0065】
図5で示す状態及び搬送容器を装置から離した場所に位置させている状態において、各磁性体及び電磁石のみの関係を
図6に示す。
図6において、搬送容器は電磁石から離れた場所に位置し、電磁石は磁気力を持っていない状態にある。一方、搬送容器においては、容器扉に埋め込まれた磁石36により接続された2つの磁性体27がある。そして該磁性体27のそれぞれには搬送容器本体に設けられた磁性体28が接続され、さらにこれらの該磁性体28は磁性体29により接続されている。このように接続した結果、
図6に示すようにそれぞれの磁性体により矢印方向に磁気力による回路が形成される。
【0066】
同様に、搬送容器が装置に接続された後、電磁石26により磁気力が発生したときであり、容器扉がまだ開いていない状態での磁性体及び電磁石の関係を
図7に示す。
まず電磁石26に電流を流して、電磁力を発生させると、その電磁力発生前に磁性体27内部で磁性体28へ向かっていた磁力線は、電磁石の磁力により、磁性体28へ向かうのをやめ、その磁力線は電磁石方向へ再配置される。結果として、磁石36-磁性体27-電磁石26-電磁石26-磁性体27という磁気回路を形成する。このことで、磁性体27と電磁石26は強い吸引力を持つことになる。このことで、搬送容器本体25と容器扉23で構成されていた磁気回路は、磁性体27と磁性体28の間で、磁力線がかなり弱くなり、事実上磁気回路として切断される。すなわち、磁性体27と磁性体28の吸引力が極めて弱くなり、搬送容器本体25と容器扉23は、磁気ロックが解除される。
以上のように、電磁石で磁力を発生させると、搬送容器本体と容器扉の磁気ロックが解除され、電磁石と容器扉が磁気ロックされるので、容器扉を開くことができることになる。
このように、電磁石の作用により容器扉の開閉と装置扉の開閉を同時に行うことができるので、外気や外部の微粒子が容器内部や装置内部に流入することを防止でき、その際には容器扉の開閉前後ともに磁気力の閉回路が形成されるので、磁気力が外部に漏れることがない。
【0067】
搬送容器扉の内部側からみた構造の模式図を
図8に示す。該搬送容器扉は搬送容器の開口部に埋め込まれるようにして扉が閉まるものであり、該搬送容器扉の上下面に対して垂直でない斜面37を全周に有する円盤状であり、その搬送容器内部側には、被搬送物を保持するための爪38が3本設けられている。例えば円板状の被搬送物はこれらの爪38に載置、あるいは嵌合により保持される。また、該搬送容器扉の外面には溝35が設けられている。
この搬送容器扉には磁性体39及び磁石40が埋め込まれている。
【0068】
図8と
図9に基づき、搬送容器本体25を搬送容器扉23で閉める工程を説明する。
該搬送容器扉23の爪38に被搬送物を保持した後に、装置との位置決めピンを備えた搬送容器本体25に搬送容器扉23を嵌合させるようにして該被搬送物を該搬送容器内に入れる。この際に、
図8で示される搬送容器扉を反転し、該搬送容器扉23の斜面37を搬送容器25の内部の斜面43に合わせるようにして嵌合させる。このとき該搬送容器扉23の周囲に設けられた切り欠き部41が搬送容器内部に設けた突起44にかみ合うようにされる。さらに同時に該搬送容器扉の周囲に設けられ、かつ斜面43に一致するように設けられた斜面37が、該搬送容器本体の内面を形成する斜面43に徐々に接するように接近して該搬送容器本体に該搬送容器扉が嵌合されると同時に、該斜面37と43も接するようになる。
さらに、上記のように、該搬送容器扉23の磁性体39は、搬送容器本体25内部に設けた磁性体42と対向配置される。このとき、磁性体39を経由して磁石40の磁力線が磁性体42へ配向することで、該搬送容器扉側の磁性体39へ該搬送容器本体25側の磁性体42が磁気力で吸引され、これによって該搬送容器扉23は該搬送容器本体25に固定される。