特許第5794498号(P5794498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794498
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ポリ乳酸樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20150928BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20150928BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20150928BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20150928BHJP
【FI】
   C08L67/04ZBP
   C08L71/02
   C08K5/103
   !C08L101/16
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-201603(P2010-201603)
(22)【出願日】2010年9月9日
(65)【公開番号】特開2011-80048(P2011-80048A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2009-209079(P2009-209079)
(32)【優先日】2009年9月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 敦好
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 真紀
(72)【発明者】
【氏名】相羽 誠一
(72)【発明者】
【氏名】杉原 佳之
(72)【発明者】
【氏名】山中 敬雄
【審査官】 新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−206868(JP,A)
【文献】 特表平08−501584(JP,A)
【文献】 特開2008−106009(JP,A)
【文献】 特開2008−174735(JP,A)
【文献】 特開2008−239760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00− 13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)と(2)の成分を含むポリ乳酸樹脂組成物:
(1)分子量が5〜50万のポリ乳酸50〜99重量%;
(2)末端に乳酸のエステル残基を含む分子量が1000〜45000のポリ乳酸誘導体1〜50重量%;
前記乳酸のエステル残基が、乳酸とベンジルアルコールのモノエステルである
【請求項2】
分子量が5〜50万のポリ乳酸が70〜99重量%、分子量が1000〜45000のポリ乳酸誘導体が1〜30重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項3】
末端に乳酸のエステル残基を含む分子量が1000〜45000のポリ乳酸誘導体からなるポリ乳酸樹脂組成物用の核剤であって、
前記乳酸のエステル残基が、乳酸とベンジルアルコールのモノエステルである
核剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物を用いて成形してなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物、核剤及び成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸は、とうもろこしやさとうきびなどのバイオマスを出発原料とする、いわゆるバイオベースマテリアルとして様々な用途展開が期待されているが、耐熱性の不十分さ、脆さがその広がりを妨げている。この原因の一つとしてポリ乳酸が結晶化しにくいことが挙げられ、例えば射出成形しても十分な時間をかけて成形を行わないと結晶化が進まず、耐熱温度が低い点が問題点として指摘されている。
【0003】
そのため、現在までタルクなど無機系や各種の有機系核剤が開発されてきており、射出成形のサイクルタイムをロスすることなく、相応の結晶化の進んだ成形品を得ることができるようになり、ポリ乳酸の耐熱化が実現できるようになってきた。
【0004】
しかしながら、開発されてきた多くのものは、バイオベースマテリアルではないために、ポリ乳酸と混合することで、混合後のポリ乳酸組成物のバイオマス度が下がってしまう恐れがある。
【0005】
特許文献1,2は、分子量5万以上20万以下のポリ乳酸と分子量1万以上5万以下のポリ乳酸を混合する繊維状物ないし網を開示しているが、分子量の低いポリ乳酸はいずれも耐熱性付与や核剤効果を付与するために配合されているわけではなく、分子量の低いポリ乳酸が加水分解することによる防汚効果を付与するために配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005―146425
【特許文献2】特開2005―273082
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、結晶化速度が速く、耐熱性があり、バイオマス度の高いポリ乳酸樹脂組成物を提供することを主な課題とする。また、本発明は、ポリ乳酸に配合するのに適した核剤を提供することも課題とする。さらに本発明は、耐熱性の高いポリ乳酸樹脂成形体を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリ乳酸の末端にCOOH基もしくはエステル残基を有する低分子量ポリ乳酸誘導体を使用することで、上記課題が解決できることを見出した。本発明は、以下のポリ乳酸樹脂組成物、核剤及び成形体を提供するものである。
項1 以下の(1)と(2)の成分を含むポリ乳酸樹脂組成物:
(1)高分子量ポリ乳酸50〜99重量%;
(2)末端に乳酸のCOOH基もしくはエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体1〜50重量%。
項2 前記の高分子量ポリ乳酸が70〜99重量%、前記の低分子量ポリ乳酸誘導体が1〜30重量%であることを特徴とする、項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
項3 乳酸のエステル残基が、乳酸と1価アルコール化合物もしくはポリオール化合物のモノエステルである、項1または2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
項4 ポリオール化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンからなる群より選ばれる、項3に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
項5 アルコール化合物が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、ドデカノールおよびベンジルアルコールからなる群より選ばれる、項3に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
項6 末端に乳酸のCOOH基もしくはエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体からなる核剤。
項7 乳酸のエステル残基が、乳酸と1価アルコール化合物もしくはポリオール化合物のモノエステルである項6に記載の核剤。
項8 ポリオール化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンからなる群より選ばれる、項7に記載の核剤。
項9 アルコール化合物が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、ドデカノールおよびベンジルアルコールからなる群より選ばれる、項7に記載の核剤。
項10 項7〜9のいずれか1項に記載のポリ乳酸樹脂組成物用の核剤。
項11 項1〜5のいずれか1項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を用いて成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明により得られる樹脂組成物は、結晶化速度が速く、耐熱性があり、バイオマス度の高い特徴を有し、射出成形、押出成形などの成形体、シート、フィルム(1軸ないし2軸延伸フィルムを含む)を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いる高分子量ポリ乳酸の分子量としては、5〜50万、より好ましくは8〜30万、さらに好ましくは10〜20万である。高分子量ポリ乳酸は、乳酸100%からなる樹脂が好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内で、グリコール酸、ε−カプロラクトンなどの生分解性モノマーを共重合してもよく、これらの生分解性ポリマーをブレンドしてもよい。但し、共重合体中の乳酸の割合は50モル%を超えることが必要である。
【0011】
末端に乳酸のCOOH基もしくはエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体の分子量は、1000〜45000、好ましくは2000〜40000、より好ましくは2000〜30000である。低分子量ポリ乳酸誘導体の分子量が上記の範囲にあれば、核剤、特に高分子量ポリ乳酸の結晶化を促進する核剤として有用である。
【0012】
本発明の末端に乳酸のCOOH基もしくはエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体は、例えばポリ乳酸を水で加水分解して末端に乳酸のCOOH基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体としてもよく、ポリ乳酸をアルコール化合物で分解して末端に乳酸のエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体としてもよい。或いは、ポリ乳酸の製造時に分子量を上記の低分子量の範囲に制御して末端に乳酸のCOOH基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体としてもよく、ポリ乳酸の製造時に、例えば重合が進んだ段階でポリオール化合物やアルコール化合物を添加することにより、末端に乳酸のエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体としてもよい。
【0013】
本発明のアルコール化合物としては、1価アルコール化合物もしくはポリオール化合物があげられる。1価アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの低級アルコール化合物や、オクタノール、ドデカノールなどの高級アルコール化合物やベンジルアルコールなどの芳香族アルコール化合物などがあげられる。ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどがあげられる。
【0014】
ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなど)の分子量としては、300〜4000、好ましくは400〜3000、より好ましくは400〜2000である。
【0015】
乳酸には光学異性体として、L−乳酸とD−乳酸が存在する。本発明のポリ乳酸は、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、ポリDL乳酸のいずれでもよく、ポリDL乳酸のD体とL体のモル比は、例えばD体1〜99モル%:L体99〜1モル%の範囲から選択できる。
【0016】
なお、ポリ乳酸は、乳酸を原料として用いてもよいが、ラクチドを原料として用いるのが好ましい。従って、本発明のポリ乳酸は、ポリラクチドを包含する。
【0017】
ポリ乳酸ないし低分子量ポリ乳酸誘導体の重合方法としては、縮合重合法、開環重合法などの公知の方法を採用できる。
【0018】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、(1)高分子量ポリ乳酸50〜99重量%、好ましくは70〜99重量%、より好ましくは70〜95重量%、と(2)末端に乳酸のCOOH基もしくはエステル残基を含む低分子量ポリ乳酸誘導体1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜30重量%を含む。
【0019】
本発明の成形体の製造方法としては、射出成形、中空成形、粉末成形等を挙げることができ、また上記方法により得られたシート、フィルムより圧空成形、真空成形等の二次加工成形法を用いて成形体を得ることができる。
【0020】
射出成形については射出成形機に該組成物を供給し、樹脂の溶融温度において金型内に射出成形し、一般には金型内で十分に熱結晶化を進行させた後に金型を開放することにより成形体を得る。また熱結晶化は金型より取り出した後にもなすこともできる。中空成形、粉末成形についても、成形後、金型内で十分に熱結晶化を進行させた後に金型を開放することにより成形体を得る。また熱結晶化は金型より取り出した後にもなすこともできる。成形体の場合にも、本発明の核剤を用いることにより結晶化が促進し、耐熱性に優れた成形体を得ることができる。
【0021】
シート、フィルムあるいは成形体の熱処理温度は、組成物のガラス転移点〜融点の間で適宜選択される。好ましい熱処理温度は組成物の「ガラス転移点+10℃」〜「融点−10℃」であり、より好ましくは「ガラス転移点+20℃」〜「融点−20℃」である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、分子量、DSC、結晶化度は、以下のようにして測定した。
(1)分子量測定
クロロホルムを溶離液とするGPC測定によるポリスチレン換算値で求めた。
(2)DSC測定
示差走査熱量計(DSC)として(株)マックサイエンスを用い、窒素ガス流入量50mL/分の雰囲気下で10℃/分で室温から220℃まで昇温し、10℃/分で220℃から50℃まで降温し、さらに10℃/分で50℃から220℃まで昇温した。得られた降温時の結晶化ピークの温度およびエンタルピーで評価した。
(3)結晶化度
ポリ乳酸が完全に結晶化したときのエンタルピーを用い、ΔHc/93(J/g)×100で求めた。
【0023】
使用した樹脂あるいは原材料を以下に示す。
ポリ乳酸:L−乳酸単位/D−乳酸単位=98.6重量%/1.4重量%、重量平均分子量 20万、Tg65℃(商品名:NatureWorks3001D/ネイチャーワー
クス社製)(以下、PLAと略す)。
【0024】
合成例1
フラスコにPLA 10gとエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)10gを入れ150℃で24時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−1をGPC測定した結果、分子量はMn4.2×10、Mw7.1×10であった。
合成例2 フラスコにPLA 10gとテトラエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−2をGPC測定した結果、分子量はMn6.0×10、Mw8.5×10であった。
【0025】
合成例3
フラスコにPLA 10gとテトラエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)10gを入れ110℃で40時間攪拌反応させた。得られた反応物を蒸留水で洗浄した。得られた反応物LP−3をGPC測定した結果、分子量はMn2.5×10、Mw4.4×10であった。
【0026】
合成例4
フラスコにPLA 10gとポリエチレングリコール400(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−4をGPC測定した結果、分子量はMn7.8×10、Mw1.1×10であった。
【0027】
合成例5
フラスコにPLA 10gとポリエチレングリコール2000(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−5をGPC測定した結果、分子量はMn9.8×10、Mw1.8×10であった。
【0028】
合成例6
フラスコにPLA 10gと1.4−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で5時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−6をGPC測定した結果、分子量はMn4.7×10、Mw6.7×10であった。
【0029】
合成例7
フラスコにPLA 10gとポリテトラメチレンオキシド650(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−7をGPC測定した結果、分子量はMn9.8×10、Mw1.6×10であった。
【0030】
合成例8
フラスコにPLA 10gとポリテトラメチレンオキシド1000(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−8をGPC測定した結果、分子量はMn9.1×10、Mw1.3×10であった。
【0031】
合成例9
フラスコにPLA 10gとグリセリン(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で5時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−9をGPC測定した結果、分子量はMn3.8×10、Mw5.2×10であった。
【0032】
合成例10
フラスコにPLA 1kgとベンジルアルコール(和光純薬工業株式会社製)100gを入れ185℃で1時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−10をGPC測定した結果、分子量はMn6.4×10、Mw1.1×10であった。
【0033】
合成例11
フラスコにPLA 10gと1−ペンタノール(和光純薬工業株式会社製)10gを入れ130℃で15時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−11をGPC測定した結果、分子量はMn1.2×104、Mw2.0×104であった。
【0034】
合成例12
フラスコにPLA 10gと1−ドデカノール(和光純薬工業株式会社製)1gを入れ200℃で8時間攪拌反応させた。得られた反応物をクロロホルムで溶解しメタノール中に再結晶化させることで精製した。得られた反応物LP−12をGPC測定した結果、分子量はMn5.8×10、Mw9.4×10であった。
【0035】
合成例13
フラスコにPLA 1kgと蒸留水10Lを入れ80℃で40時間攪拌反応させた。得られた反応物を蒸留水で洗浄した。得られた反応物LP−13は、末端に乳酸のCOOH基を含む低分子量ポリ乳酸であり、その分子量はMn7.8×10、Mw1.5×10であった。
【0036】
実施例1〜16、比較例
PLAと上記合成例にて得られた各種反応物(LP−1〜LP−13)を核剤としてフラスコにいれ、200℃で30分溶融混合し、サンプリングした。混合割合との記載は、全体に対して混合させた各種反応物の重量%を表す。比較例はPLAのみを200℃で30分溶融し、サンプリングした。これをDSC分析し結晶化速度(Tc)、結晶化エンタルピー(ΔHc)、および結晶化度を求めた。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
上記実施例及び比較例に示されるように、本発明の反応物(核剤)をPLAに混合することで迅速に結晶化が進んだポリ乳酸を得ることができる。