(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)下記一般式(1)で表され、25℃での粘度が500〜5000mPa・sであり、アミン当量が1000〜5000g/molであるアミノ基含有オルガノポリシロキサン
【化1】
[式中、Rは炭素数1〜12の、置換または非置換の1価炭化水素基であり、Aは−R
1(NR
2CH
2CH
2)
aNR
3R
4で示される1価の基であり(式中、R
1は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R
2、R
3、及びR
4は、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜4の1価炭化水素基であり、aは0〜4の整数である)、XはR、A又は−OR
5で示される1価の基であり、R
5は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、m及びnは平均値であり、上記粘度及びアミン当量を満たす数である。但し、n=0の場合、Xの少なくとも1個はAである]
(B)2種類以上のノニオン性界面活性剤の混合物、
(C)アニオン性界面活性剤 (A)成分の質量に対して0.1〜3質量%、
(D)有機酸 (A)成分の質量に対して0.1〜3質量%、
(E)多価アルコ−ル (A)成分の質量に対して0.1〜10質量%、及び
(F)水
を含有し、(B)成分の含有量が(A)成分の質量に対して40〜60質量%であり、(A)成分の含有量が全成分の合計質量に対して50〜70質量%であり、(F)成分の含有量が全成分の合計質量に対して5〜25質量%であり、25℃での粘度が10000mPa・s以下であ
り、
前記(B)成分が、異なるHLB値を有する2種類以上のノニオン性界面活性剤の混合物であり、少なくとも2のノニオン性界面活性剤のHLB値の差が1以上であり、及び、該ノニオン性界面活性剤の混合物全体のHLB値12〜16を有する、
マイクロエマルション組成物。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやコンディショナー、トリートメントなどの毛髪化粧料には、使用後の毛髪の柔軟性、なめらかさ、エモリエント効果などコンディショニング効果に優れることが望まれている。
【0003】
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は艶や指どおりが悪くなるため、シャンプー後にヘアコンディショナー等が用いられる。ヘアコンディショナーには、通常カチオン性界面活性剤、油分等が主成分として配合されている。カチオン性界面活性剤は、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果が高いため、各種毛髪化粧料に配合されているが、艶やなめらかさに欠けるため、通常油分が添加される。
【0004】
油分としては、ジメチルポリシロキサンに代表される低重合度シリコーンオイルが、毛髪に艶やさらさら感を付与する目的で広く使用されている。しかし低重合度シリコーンオイルは油分としての性能に限界があった。特許文献1では、艶やさらさら感を付与する効果をより高く得るために高分子量シリコーンオイルが使用されている。しかし、高分子量シリコーンオイルは粘度が非常に高いため、ヘアコンディショナー組成物への配合が難しく、低粘度シリコーンオイルで希釈して使用してもその効果が十分に発揮されないことがあった。
【0005】
また、粒径が150nm以下であるジメチルシリコーンオイルのマイクロエマルションを配合することも提案されているが、粒径が細かいために洗い流され易く、毛髪への付着量が低下し、コンディショニング効果が十分とは言えなかった(特許文献2〜3)。付着性を高めるためにカチオン化グアーガム、カチオン化セルロースを併用することを提案しているが、塗布時の広がりが悪くすすぎが上手くできないため好ましくない(特許文献4)。
【0006】
アミノ変性シリコーンオイルを使用して付着性を高めるものとして、カチオン界面活性剤およびアミン当量が4000未満のアミノ変性シリコーンオイルを配合することにより、すすぎ時および乾燥後のなめらかさを改良したシャンプー(特許文献5)、特定の重合度以下のアミノ変性シリコーンオイルと高重合度シリコーンオイルを併用した毛髪化粧料及びアミノ変性シリコーンオイルと高重合度シリコーンガム混合物を配合した化粧料(特許文献6)、並びに、重合度3000〜20000のアミノ変性シリコーンを配合した毛髪用組成物(特許文献7)などが提案されている。しかし、毛髪への付着性は改良されたがコンディショニング効果が十分でなかった。このように従来の毛髪化粧料では、塗布からすすぎ、そして乾燥後までの工程で、十分に満足のいく使用感やコンディショニング効果は得られていない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)アミノ基含有オルガノポリシロキサン
(A)成分は、25℃での粘度が500〜5000mPa・sであり、アミン当量が1000〜5000g/molであり、下記一般式(1)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンである。
【化2】
[式中、Rは炭素数1〜12の、置換または非置換の1価炭化水素基であり、Aは−R
1(NR
2CH
2CH
2)
aNR
3R
4で示される1価の基であり(式中、R
1は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R
2、R
3、及びR
4は、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜4の1価炭化水素基であり、aは0〜4の整数である)、XはR、A又は−OR
5で示される1価の基であり、R
5は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、m及びnは平均値であり、上記粘度及びアミン当量を満たす数である。但し、n=0の場合、Xの少なくとも1個はAである。]
【0014】
上記式(1)においてRは、炭素数1〜12の、好ましくは炭素数1〜8の、置換または非置換の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリ−ル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子で置換された基を挙げることができる。中でも、特にメチル基が毛髪への滑らかさ付与の面から好ましい。
【0015】
上記式(1)においてAは−R
1(NR
2CH
2CH
2)
aNR
3R
4で示される1価の基であり、R
1は炭素数1〜8、好ましくは2〜4の2価炭化水素基である。R
1としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのアルキレン基が好ましく、中でもトリメチレン基が好ましい。また、aは、0〜4の整数である。R
2、R
3、及びR
4は、互いに独立に水素原子又は炭素数1〜4の1価炭化水素基である。炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基等が挙げられる。好ましくは水素原子である。
【0016】
Aとしては例えば下記のものを挙げることができる。
−(CH
2)
3NH
2
−(CH
2)
3NHCH
2CH
2NH
2
−(CH
2)
3NHCH
2CH
2NHCH
2CH
2NH
2
−CH
2CH(CH
3)CH
2NHCH
2CH
2NH
2
【0017】
中でも、−(CH
2)
3NH
2で表される3−アミノプロピル基、−(CH
2)
3NHCH
2CH
2NH
2で表されるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が、毛髪へ良好ななめらかさ及び柔らかさを付与できることから好ましい。
【0018】
(A)成分は25℃での粘度が500〜5000mPa・sであり、好ましくは800〜3500mPa・s、より好ましくは1000〜3000mPa・sである。25℃での粘度が上記下限値未満であると毛髪への吸着が悪く、コンディショニング効果が不十分である。また乳化が困難になる。25℃での粘度が上記上限値を超えると、マイクロエマルション組成物の25℃での粘度が10000mPa・sを超えてしまうため、取扱いや毛髪化粧料への配合が難しくなる。粘度はBM型粘度計(東京計器社製)を用いて測定することができる。
【0019】
また、(A)成分は、アミン当量が1000〜5000g/molであり、好ましくは1500〜3000g/mol、より好ましくは1500〜2500g/molである。アミン当量が上記下限値未満であると、毛髪にべたつき感を付与してしまう。上記上限値を超えるとマイクロエマルションの調製が困難となり、外観の透明性が低下し、毛髪への吸着性が悪く、コンディショニング効果の持続性が悪くなる傾向にある。なお、上記アミン当量とは、窒素原子1個当たりの平均分子量である。
【0020】
一般式(1)におけるXは、上記R、A又は−OR
5で示される1価の基である。R
5は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基等のアルキル基が挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、公知の合成方法により容易に得ることができる。例えば、アルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの触媒存在下に、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンと、3−アミノプロピルジエトキシシランあるいはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、またはその加水分解物、及びその他の原料としてヘキサメチルジシロキサン等から選択される化合物とを平衡化反応することにより得られる。なお、(A)成分は、アミノ基含有オルガノポリシロキサン骨格中に分岐単位を有しても良い。また、上記一般式(1)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンと、有機酸無水物、カーボネート、又はエポキシ化合物等との反応生成物を使用することも可能である。
【0022】
本発明においてマイクロエマルション組成物中の(A)成分の含有量は、全成分の合計質量に対して50〜70質量%、好ましくは50〜60質量%である。(A)成分の含有量が上記下限値未満ではコンディショニング効果が十分得られず、また上記上限値超では外観の透明性が低下する。
【0023】
(B)ノニオン性界面活性剤
(B)成分は2種類以上のノニオン性界面活性剤の混合物であり、公知のノニオン性界面活性剤から適宜選択して組み合わせればよいが、好ましくは異なるHLB値を有する2種類以上、好ましくは3種類以上のノニオン性界面活性剤の混合物であり、少なくとも2のノニオン性界面活性剤のHLB値の差が1以上、好ましくは2以上である組合せがよい。特に、3種類以上の異なるHLB値を有するノニオン界面活性剤の混合物とする場合には、一番高いHLB値と一番低いHLB値の差が1以上、好ましくは2以上となるノニオン性界面活性剤の組合せとするのが良い。このような組合せとすることにより、組成物の乳化能力が向上する。HLB値とはグリフィン法(即ち、HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量)で定義される値である。また、(B)成分は、混合物全体のHLB値が12〜16の範囲内、好ましくは13〜15の範囲内となることが好ましく、これによりマイクロエマルションを良好に得ることができる。ここで、混合物全体のHLB値とは、各ノニオン性界面活性剤が有するHLB値の加重平均である。
【0024】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール等が使用できる。これらの中でも、一般式RO(EO)
p(PO)
qHで示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい(式中、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを意味する)。Rは炭素数8〜30、好ましくは炭素数8〜13の、直鎖又は分岐のアルキル基であり、p及びqは互いに独立に0〜50、好ましくは0〜25であり、但しp+qは1以上である。
【0025】
(B)成分は、好ましくは異なるHLB値を有する2種類以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの混合物である。より好ましくは、異なるHLB値を有する2種類以上のポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテル、または異なるHLB値を有する2種類以上のポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテルの混合物である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの組合せは、少なくとも2のポリオキシアルキレンアルキルエーテルのHLB値の差が1以上、好ましくは2以上であり、かつ、混合物全体のHLB値が12〜16の範囲内となるように組み合わせるのが好ましい。また、HLB値が12〜16の範囲外にあるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを混合してもよいが、その場合は、混合物全体のHLB値が12〜16の範囲内となるように組み合わせることが好ましい。
【0026】
(B)成分の配合量は(A)成分の質量に対して40〜60質量%、好ましくは45〜55質量%である。上記下限値未満では、得られるエマルションがマイクロエマルションにならず、外観の透明性が低下する。また、上記上限値超では、マイクロエマルションの25℃での粘度が10000mPa・s超となってしまい、取扱いや毛髪化粧料への配合が難しくなる。
【0027】
(C)アニオン性界面活性剤
(C)成分はアニオン性界面活性剤であり、公知のアニオン性界面活性剤から適宜選択することができるが、好ましくは、一般式ROSO
3M又はR−Ph−OSO
3Mで示されるものがよい。上記式において、Rは炭素数8〜30の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Mは水素原子あるいは金属元素である。特に好ましくは、Rは炭素数8〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Mは水素原子、アルカリ金属元素、又はアルカリ土類金属元素である。該アニオン性界面活性剤としては、例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミスチルベンゼンスルホン酸及びその塩等が例示される。他には、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸等の高級脂肪酸およびその塩、または一般式RO(EO)
s(PO)
tSO
3M、又はR−Ph−O(EO)
s(PO)
tSO
3Mで表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステル、アルキルナフチルスルホン酸及びその塩等が使用できる(上記式中、R、Mは上述の通りであり、s、tは互いに独立に0〜30の整数であり、但し、s+tは1以上である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを意味する)。これらの中でも、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステルが好ましい。(C)成分の含有量は(A)成分の質量に対して0.1〜3質量%、好ましくは0.5〜2質量%である。
【0028】
(D)有機酸
(D)成分は有機酸であり、公知の有機酸から適宜選択することができるが、例えば、蟻酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキシグルタミン酸、酪酸、グリコール酸、及びヒドロキシ酸等の有機酸等が挙げられる。これらの中でも、蟻酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸、ヒドロキシ酸が好ましい。(D)成分の含有量は(A)成分の質量に対して0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜1.8質量%である。
【0029】
(E)多価アルコール
(E)成分は多価アルコールであり、公知の多価アルコールから適宜選択することができるが、例えば、ジプロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ル、グリセリン、ジグリセリン、イソプロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブチレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,4−ブチレングリコ−ル、2,3−ブチレングリコ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、2−メチル−2,4ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、などのジオ−ル類、1,2−シクロヘキサンジオ−ル、1,3−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,2−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノンなどの脂環式ジオ−ル、1,2−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンなどの芳香族ジオ−ル、ペンダエルスリトール、グリセリンなどのアルカンポリオ−ル、ソルビト−ル、マンニト−ルなどの糖誘導体、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリンなどのポリグリセリンおよびペンタエルスリトールなどのポリアルカンポリオ−ルなどが挙げられ、これら1種または2種以上の混合物として使用される。この中でも、エチレングリコ−ル、グリセリン、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブチレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,4−ブチレングリコ−ル、2,3−ブチレングリコ−ル1,5−ペンタンジオ−ル、2−メチルペンタン−2,4−ジオ−ルが好ましい。(E)成分の含有量は(A)成分の質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%である。
【0030】
本発明においてマイクロエマルション組成物中の(F)水の含有量は、全成分の合計質量に対して5〜25質量%、好ましくは15〜25質量%である。該水の含有量とは例えば転相の為の水の量と希釈の為の水の量の合計である。
【0031】
マイクロエマルション組成物の調製方法は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、上記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)成分、及び転相の為の水を配合し、せん断力下に転相させ、混錬した後、更に所定量の水を配合し、分散させることにより調製できる。このとき、転相のための水分量は、全成分の合計質量に対して1〜15質量%が好ましく、特に5〜10質量%が好ましい。使用される乳化機としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサーなどが挙げられる。
【0032】
乳化においては、(A)成分のアミノ基の一部と(D)有機酸が四級塩を形成して、マイクロエマルションとなることができる。(D)有機酸の配合量は(A)成分のアミノ基含有オルガノポリシロキサンのNH基に対して、0.1〜0.5モル当量が好ましく、より好ましくは、0.2〜0.4モル当量である。有機酸が上記上限値を超える場合は、エマルションの粘度が高くなり、また、保存経時で黄色化するため好ましくない。また上記下限値未満ではマイクロエマルションとならない。
【0033】
本発明のマイクロエマルション組成物は25℃での粘度が10000mPa・s以下、好ましくは7000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下である。25℃での粘度が上記上限値超では取扱いや毛髪化粧料への配合が難しくなる。粘度はBM型粘度計(東京計器社製)を用いて測定することができる。
【0034】
本発明において、マイクロエマルション組成物の透明性は紫外可視吸光光度計により評価することができる。本発明において、マイクロエマルション組成物は、波長500nmにおける光の透過率90%以上、好ましくは95%以上であることがよい。また、本発明においてマイクロエマルション組成物の外観が無色であることはハーゼン色数(APHA)により評価することができる。本発明において、マイクロエマルション組成物は、ハーゼン色数(APHA)10以下を有するのがよい。ハーゼン色数の測定は肉眼でおこなっても、ハーゼンメーターを使用して行ってもよい。肉眼での測定は、例えば、ハーゼン色数の異なる多数の標準液、例えばハーゼン色数10〜1000までの範囲において、10から100までは10刻み、100〜1000までは100刻みの標準液を用意して、試料がどの標準液に近いかを比較して決定する事ができる。本発明のマイクロエマルション組成物は、広い温度範囲で無色透明であり、特には25℃以下において無色透明であり、15℃や5℃でも安定に無色透明であることができる。ただし25℃超では、組成物が二層分離する傾向にある。
【0035】
本発明において、マイクロエマルション組成物中の乳化粒子の平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製のN4 Plus submicron Particle Size Analyzerにより測定することができる。本発明のマイクロエマルション組成物は、乳化粒子の平均粒径が50nm以下、好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下であるのがよい。マイクロエマルション組成物中の乳化粒子の平均粒径が上記上限値より大きいと外観の透明性が低下するため好ましくない。
【0036】
本発明は上記マイクロエマルション組成物を含有する毛髪化粧料を提供する。マイクロエマルション組成物の配合量は、効果の発現及び使用性の点から、毛髪化粧料中に0.1〜20質量%となる量が好ましく、更に好ましくは0.5〜10質量%となる量である。配合量が上記下限値より少ないと髪に対するコンディショニング効果が十分に得られない場合があり、上記上限値を超えるとべたつき、油感などの好ましくない感触となるおそれがある。
【0037】
本発明の毛髪化粧料には、上記マイクロエマルション組成物に加え、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分、例えば、通常毛髪化粧料に配合される、粘度調整剤、皮膜形成剤、髪質改良剤、pH調整剤、乳化剤、乳化助剤、噴射剤等を配合してもよい。
【0038】
粘度調整剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の水溶性高分子や脂肪酸アルキロールアミド等のノニオン界面活性剤等を使用することができる。皮膜形成剤としては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、ビニルピロリドン−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体4級化物、ジアリル4級アンモニウム塩重合物等のカチオン性重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等のノニオン性重合体、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液等のアニオン性重合体、N−メタクリロイルオキシエチレンN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体等の両性共重合体等を使用することができる。
【0039】
髪質改良剤としては、例えば、低粘度シリコーンオイル、高重合シリコーンオイル、環状シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カチオン性シリコーンオイル等のシリコーン誘導体を使用することができる。pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸等の酸又はその塩を使用することができる。乳化剤としては、例えば、上記(B)成分とは別に、さらにノニオン性界面活性剤を使用することができる。乳化助剤としては、例えば、高級アルコールやグリセリン脂肪酸エステル類等を使用することができる。噴射剤としては、例えば、液化石油ガス、窒素ガス、炭酸ガス、ジメチルエーテル等を使用することができる。
【0040】
また上記に加えて、高級脂肪酸、直鎖あるいは分岐鎖を有するエステル類、炭化水素、油脂類等の油性成分、低級アルコール等の水性成分、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌殺菌剤、保湿剤、塩類、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等、通常化粧料に配合されるその他の成分も配合することができる。
【0041】
本発明の毛髪化粧料は、他の成分との併用や容器の機構により、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、ムース状、ミスト状等、種々の形態にて実施することができ、特に剤型を問わない。また、本発明の毛髪化粧料の調製方法は、特に限定されず、公知の方法により調製することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例と比較例をあげて本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0043】
下記実施例及び比較例における各測定方法は以下の通りである。
(1)粘度はBM型粘度計(東京計器社製)により25℃で測定した。
(2)マイクロエマルション組成物中の乳化粒子の平均粒径はベックマン・コールター株式会社製のN4 Plus submicron Particle Size Analyzerにより測定した。
(3)透過率は島津製作所社製の紫外可視分光光度計UV−1800により測定した。
(4)ハーゼン色数(APHA)は色数標準液と試料を肉眼で比較して測定をした。詳細には、ハーゼン色数10〜1000までの範囲において、10から100までは10刻み、100〜1000までは100刻みの標準液を用意し、マイクロエマルション組成物がどの標準液に近いかを肉眼で比較してハーゼン色数を決定した。
(5)pHはpHメータ−(HORIBA社製)を用いて25℃にて測定した。
(6)不揮発分は熱風循環式恒温器(ヤマト科学社製)を用いて、加熱残量法により測定した。
(7)HLB値はグリフィン法(即ち、HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量)にて算出した。
【0044】
[実施例1]
容量が2.5リットルのステンレス製万能混合攪拌機に、下記式(2)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンA(粘度:800mPa・s、アミン当量:1500g/mol)200g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(7EO)(サンノニックSS−70、三洋化成(株)製)50g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(12EO)(サンノニックSS−120、三洋化成(株)製)25g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル(エマルゲン109P、花王(株)製)25g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル硫酸ナトリウム水溶液(エマール20C、花王(株)製)4g、1,3−ブチレングリコ−ル12g、乳酸(純度90%)3.4g(アミノ基含有オルガノポリシロキサンAのNH基に対して0.25モル当量)、及び転相水40gを仕込み、攪拌翼を200rpmで30分間攪拌し、転相乳化した。その後、攪拌翼を停止して、イオン交換水40.6gを添加し、攪拌翼を100rpmで30分間攪拌し、均一に混合してマイクロエマルション組成物(I)を得た。該マイクロエマルション組成物中の各成分の配合(質量%)を表1に示す。
【0045】
【化3】
(m=200(平均値)、n=5(平均値))
【0046】
[実施例2]
実施例1において、アミノ基含有オルガノポリシロキサンAを下記式で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンB(粘度:1300mPa・s、アミン当量:1700g/mol)とした以外は実施例1と同様にマイクロエマルション組成物(II)を調製した。該マイクロエマルション組成物中の各成分の配合(質量%)を表1に示す。
【化4】
(m=300(平均値)、n=6.5(平均値))
【0047】
[実施例3]
実施例1において、アミノ基含有オルガノポリシロキサンAを下記式で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンC(粘度:3500mPa・s、アミン当量:1700g/mol)とした以外は実施例1と同様にマイクロエマルション組成物(III)を調製した。該マイクロエマルション組成物中の各成分の配合(質量%)を表1に示す。
【化5】
(m=650(平均値)、n=15(平均値))
【0048】
[実施例4]
実施例1において、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(12EO)(サンノニックSS−120、三洋化成(株)製)を50gとし、ポリオキシエチレンラウリルエ−テルを使用しなかった以外は実施例1と同様にマイクロエマルション組成物(IV)を調製した。該マイクロエマルション組成物中の各成分の配合(質量%)を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
容量が2.5リットルのステンレス製万能混合攪拌機に、上記アミノ基含有オルガノポリシロキサンA200g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(7EO)40g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(12EO)16g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル16g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル硫酸ナトリウム水溶液4g、1,3−ブチレングリコ−ル12g、乳酸3.4g、及び転相水40gを仕込み、攪拌翼を200rpmで30分間攪拌し、転相乳化した。その後、攪拌翼を停止して、イオン交換水68.6gを添加し、攪拌翼を100rpmで30分間攪拌し、均一に混合し、無色半透明のエマルションを得た。該エマルション中の各成分の配合(質量%)成分を表1に示す。
【0050】
[比較例2]
容量が2.5リットルのステンレス製万能混合攪拌機に、上記アミノ基含有オルガノポリシロキサンA200g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(7EO)60g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(12EO)32g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル32g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル硫酸ナトリウム水溶液4g、1,3−ブチレングリコ−ル12g、乳酸3.4g、転相水40gを仕込み、攪拌翼を200rpmで30分間攪拌し、転相乳化した。その後、攪拌翼を停止し、イオン交換水16.6gを添加し、攪拌翼を100rpmで30分間攪拌し、均一に混合して、白色半透明のエマルションを得た。該エマルション中の各成分の配合(質量%)成分を表1に示す。
【0051】
[比較例3]
容量が2.5リットルのステンレス製万能混合攪拌機に、上記アミノ基含有オルガノポリシロキサンA200g、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エ−テル(12EO)100g、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル硫酸ナトリウム水溶液4g、1,3−ブチレングリコ−ル12g、乳酸3.4g、及び転相水40gを仕込み、攪拌翼を200rpmで30分間攪拌し、転相乳化した。攪拌翼を停止し、イオン交換水40.6gを添加し、100rpmの攪拌翼で30分間均一に混合して、無色半透明なエマルションを得た。該エマルション中の各成分の配合(質量%)成分を表1に示す。
【0052】
実施例1〜4及び比較例1〜3で調製したエマルション組成物の調製直後の外観、透明度、組成物中の乳化粒子の平均粒径、粘度、pH及び不揮発分を測定した。また、各エマルション組成物を25℃で30日間保管した後の外観、透明度、及び組成物中の乳化粒子の平均粒径を測定し、保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【表1】
【0053】
表1において、実施例1〜4のマイクロエマルション組成物のハーゼン色数(APHA)はいずれも色数10の標準液よりも色が薄かったため10以下と判定した。比較例1〜3のエマルションは半透明のためハーゼン色数の測定において無色の判断がしにくく、従って測定不可とした。上記表1に示される通り、本発明の配合組成を有するマイクロエマルション組成物は、アミノ基含有オルガノポリシロキサンを高濃度で含有するにも関わらず、外観が無色透明であり、かつ保存安定性に優れる。
【0054】
[実施例5〜8及び比較例4〜6]
ヘアコンディショナーの製造
上記実施例1、2または4で調製したマイクロエマルション組成物と、表2に示す成分を用い、以下に記載する製造方法でヘアコンディショナーを製造した。各成分の組成は表2に示す通りである。
工程A:成分1、2、11、12及び14を均一に混合し、加熱溶解した。
工程B:成分3〜10を均一に混合し、加熱溶解した。
工程C:工程Aで得た混合物に工程Bで得た混合物を添加し、混合した。乳化した後冷却して得られた組成物に成分13を加え、ヘアコンディショナーを得た。
【0055】
ヘアコンディショナーの使用感及びコンディショニング効果の評価
女性10名の専門パネラーにより使用感及びコンディショニング効果のテストを行なった。市販のシャンプーで洗髪した後、上記で得られた各ヘアコンディショナーを毛髪に塗布し、すすぎをし、その後毛髪を乾燥した。塗布時のヘアコンディショナーの伸び、すすぎ時の指通り、並びに、乾燥後の髪のまとまり具合、なめらかさ、及びしっとり感について以下の評価基準を用いて評価した。項目毎に平均点を出し、下記判定指標に基づき使用感及びコンディショニング効果を判定した。結果を表2に示す。
【0056】
[評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
【0057】
[判定]
◎:平均点4.5以上
○:平均点3.5以上4.5未満
△:平均点2.5以上3.5未満
×:平均点2.5未満
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示される通り、本発明のマイクロエマルション組成物を配合した実施例5〜8のヘアコンディショナーは、比較例4〜6のヘアコンディショナーと比較して、塗布時ののび、すすぎ時の指通り、並びに乾燥後の髪のまとまり具合、なめらかさ、及びしっとり感において、極めて優れた効果を示し、総合的に非常に優れている。