(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1工程では、予め所定の形状に加工された前記第1の樹脂部を準備し、前記第1の樹脂部を前記半導体チップ実装領域の内側に配置する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記第2工程では、前記配線基板上に、前記第1の樹脂部及び前記半導体チップ実装領域の全部を露出する開口部が形成されたマスク材を配置する請求項1乃至3の何れか一項記載の半導体装置の製造方法。
前記第4工程の後に、回路形成面側にバンプが形成された半導体チップを準備し、前記バンプを前記第2の樹脂部に押し込むことにより、前記半導体チップを前記配線基板に実装すると共に、前記第2の樹脂部を前記配線基板の一方の面と前記半導体チップの回路形成面との間に充填し、更に、前記半導体チップの側面の全部又は一部に延在させる第5工程を更に有する請求項1乃至6の何れか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する平面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照するに、第1の実施の形態に係る半導体装置10は、主要な構成要素として、配線基板20と、半導体チップ40と、アンダーフィル樹脂60とを有する。半導体チップ40は、配線基板20の一方の面に実装され、アンダーフィル樹脂60は、配線基板20の一方の面と半導体チップ40の回路形成面との間に充填されている。以下、半導体装置10の各構成要素について詳説する。
【0016】
配線基板20において、コア基板21の一方の側には、配線層22、絶縁層23、配線層24、及びソルダーレジスト層25が順次積層されている。
【0017】
コア基板21は、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸したリジッドな基板(例えば、FR4材等)である。コア基板21には、コア基板21を貫通する貫通孔21xが形成され、貫通孔21x内には貫通配線29が充填されている。
【0018】
配線層22は、コア基板21の一方の面に形成されており、貫通配線29と電気的に接続されている。配線層22は、所定の平面形状にパターニングされている。配線層22の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層22の厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0019】
絶縁層23は、コア基板21の一方の面に配線層22を被覆するように形成されている。絶縁層23の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層23の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0020】
配線層24は、絶縁層23上に形成されている。配線層24は、絶縁層23を貫通し配線層22の上面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び絶縁層23上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。
【0021】
配線層24は、ビアホール23x内に露出した配線層22と電気的に接続されている。配線層24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層24を構成する配線パターンの厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0022】
ソルダーレジスト層25は、絶縁層23上に、配線層24を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層25は開口部25xを有し、開口部25x内には配線層24の一部が露出している。ソルダーレジスト層25の材料としては、絶縁層23と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層25の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0023】
開口部25x内に露出する配線層24は、半導体チップ40と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部25x内に露出する配線層24を第1電極パッド24と称する場合がある。第1電極パッド24の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば10〜120μm程度とすることができる。第1電極パッド24のピッチは、例えば35〜200μm程度とすることができる。第1電極パッド24は、例えば、ペリフェラル状やエリアアレイ状に配置されている。なお、第1電極パッド24の平面形状は、矩形形状でもよい。
【0024】
第1電極パッド24上には、ソルダーコート51が形成されている。ソルダーコート51の材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0025】
コア基板21の他方の側には、配線層32、絶縁層33、配線層34、及びソルダーレジスト層35が順次積層されている。配線層22と配線層32とは、貫通配線29を介して電気的に接続されている。なお、配線層32、絶縁層33、ビアホール33x、配線層34、ソルダーレジスト層35、及びソルダーコート52は、それぞれ配線層22、絶縁層23、ビアホール23x、配線層24、ソルダーレジスト層25、及びソルダーコート51に対応しているため、共通部分の説明は省略する。
【0026】
ソルダーレジスト層35の開口部35x内には配線層34の一部が露出している。開口部35x内に露出する配線層34は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部35x内に露出する配線層34を第2電極パッド34と称する場合がある。
【0027】
第2電極パッド34の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜1000μm程度とすることができる。第2電極パッド34は、例えば、ペリフェラル状やエリアアレイ状に配置されている。このように、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド34の径は、半導体チップ40と電気的に接続される第1電極パッド24の径(例えば40〜120μm程度)よりも大きい。
【0028】
第2電極パッド34のピッチは、例えば300〜1200μm程度とすることができる。このように、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド34のピッチは、半導体チップ40と電気的に接続される第1電極パッド24のピッチ(例えば35〜200μm程度)よりも広い。
【0029】
半導体チップ40は、本体41と、電極パッド42と、バンプ43とを有する。本体41は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。本体41の回路形成面側には、電極パッド42が形成されている。電極パッド42は、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド42の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0030】
バンプ43は、電極パッド42上に形成されている。バンプ43は、ソルダーコート51を介して、配線基板20の第1電極パッド24と電気的に接続されている。バンプ43としては、例えば、金バンプ、銅バンプ、はんだバンプ、銅コアバンプ等を用いることができる。
【0031】
アンダーフィル樹脂60は、配線基板20の一方の面(開口部25x内を含むソルダーレジスト層25の表面)と半導体チップ40の回路形成面との間に充填されている。アンダーフィル樹脂60は、半導体チップ40の回路形成面、バンプ43、及びソルダーコート51を保護する機能を有する。アンダーフィル樹脂60の一部は、半導体チップ40の側面の全部又は一部に延在し、フィレットを形成している。
【0032】
アンダーフィル樹脂60内には、ほとんどボイドが存在しない(アンダーフィル樹脂60内に存在するボイドの数は、従来の半導体装置に比べて大幅に低減されている)。又、半導体チップ40の側面(特に半導体チップ40の四隅)にはフィレットが十分に形成されている。これらの理由については、後述の半導体装置10の製造方法において説明する。
【0033】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図3〜
図13は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。
【0034】
まず、
図3に示す工程では、配線基板20を準備し、配線基板20の第1電極パッド24上にソルダーコート51を形成する。又、配線基板20の第2電極パッド34上にソルダーコート52を形成する。ソルダーコート51及び52は、例えば、第1電極パッド24及び第2電極パッド34上にそれぞれソルダーペーストを印刷後、リフロー炉に投入して加熱することにより形成できる。ソルダーコート51及び52は、例えば、はんだ粉を第1電極パッド24及び第2電極パッド34上にそれぞれ付着させて、リフロー炉に投入して加熱することにより形成してもよい。
【0035】
第1電極パッド24上にソルダーコート51を形成後、ソルダーレジスト層25の表面にプラズマトリートメントを施してもよい。プラズマトリートメントを施すことにより、ソルダーレジスト層25の表面が粗化され、後述の工程でマスキングフィルムとの密着性を向上できる。
【0036】
次に、
図4及び
図5(
図4は平面図、
図5は断面図である)に示す工程では、開口部25x上を含むソルダーレジスト層25の表面に、開口部91xを有するマスキングフィルム91(マスク材)を配置する。開口部91xは、半導体チップ実装領域40aの内側の一部を露出するように形成できるが、半導体チップ実装領域40aの中央部に形成することが好ましい。
【0037】
なお、本願において、中央部とは、所定の領域のおおよそ中央付近であることを意味し、厳密に中央であることを意味するものではない。従って、後述の所定の効果を実質的に損なわない範囲で中央からずれていてもよい。
【0038】
例えば、マスキングフィルム91のソルダーレジスト層25側には粘着材が形成されており、マスキングフィルム91は剥離可能な状態で開口部25x上を含むソルダーレジスト層25の表面に貼付される。開口部91x内には、ソルダーレジスト層25の表面が露出する。
【0039】
なお、開口部91xは、予めマスキングフィルム91に形成しておいてもよいし、開口部25x上を含むソルダーレジスト層25の表面にマスキングフィルム91を配置した後、レーザ加工法等により形成してもよい。マスキングフィルム91の材料としては、例えば、塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。マスキングフィルム91の厚さは、例えば、25μm程度とすることができる。
【0040】
次に、
図6に示す工程では、開口部91x上(開口部91x内に露出するソルダーレジスト層25上)を含むマスキングフィルム91上に樹脂フィルム61を配置し、更に、樹脂フィルム61上にリリースフィルム92を配置する。樹脂フィルム61の材料としては、例えば、エポキシ系の絶縁性樹脂等を主成分とする未硬化(Bステージ)の熱硬化性樹脂(例えば、NCF(Non Conductive Film))等を用いることができる。樹脂フィルム61の厚さは、例えば、15〜50μm程度とすることができる。樹脂フィルム61は、例えば、所定の樹脂フィルム貼り付け装置を用いて配置できる。
【0041】
リリースフィルム92の材料としては、例えば、塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。リリースフィルム92の厚さは、例えば、35μm程度とすることができる。リリースフィルム92の表面には離型処理が施されており、リリースフィルム92は樹脂フィルム61及び後述する押圧部材(図示せず)から容易に剥離可能とされている。
【0042】
次に、
図7及び
図8に示す工程では、ソルダーレジスト層25の表面に樹脂部62を形成する。具体的には、
図7に示すように、
図6の状態で樹脂フィルム61を例えば60〜100℃程度に加熱しながら、押圧部材(図示せず)を有する所定の押圧装置によってリリースフィルム92を介して例えば0.1〜0.9MPa程度の圧力で配線基板20側に押圧する。これにより、樹脂フィルム61は、開口部91x内に露出するソルダーレジスト層25の表面に熱圧着される。なお、熱圧着は、真空雰囲気中で行うことが好ましい。
【0043】
続いて、樹脂フィルム61を例えば60〜100℃程度に加熱しながら、マスキングフィルム91を配線基板20から剥離する。この際、マスキングフィルム91上に配置された樹脂フィルム61及びリリースフィルム92も同時に引き裂かれて除去される。この時点では、樹脂フィルム61は未硬化であるため、マスキングフィルム91を剥離することで容易に樹脂フィルム61を厚み方向に引き裂くことができる。
【0044】
この際、開口部91x内の樹脂フィルム61は流動化してソルダーレジスト層25の表面に接着されているので、マスキングフィルム91を剥離してもソルダーレジスト層25上に残存し、
図8に示すような樹脂部62が形成される。なお、樹脂フィルム61を加熱しない状態でマスキングフィルム91を配線基板20から剥離すると、樹脂フィルム61は流動化していないため、所望の形状に引き裂くことはできない。
【0045】
このようにして、マスキングフィルム91の開口部91xに対応する位置に、樹脂部62が形成される。なお、樹脂部62は、樹脂フィルム61と同じ材料である。マスキングフィルム91を剥離する際に、樹脂部62の周縁部(端面)には樹脂部62の中心部よりも突起した環状の突起部62xが形成される。
【0046】
なお、
図8では、平坦なソルダーレジスト層25の表面上に樹脂部62を形成したが、例えば、第1電極パッド24がエリアアレイ状に配置されている場合に、樹脂部62を第1電極パッド24が形成されている領域を含むソルダーレジスト層25上に形成してもよい。つまり、樹脂部62は凹凸を有する領域にも形成できる。この場合も、樹脂フィルム61を加熱することにより樹脂フィルム61が流動化して凹部に流れ込むため、凹凸に対応した隙間のない樹脂部62を形成できる。
【0047】
次に、
図9及び
図10(
図9は平面図、
図10は断面図である)に示す工程では、ソルダーレジスト層25の表面に、開口部93xを有するマスキングフィルム93(マスク材)を配置する。開口部93xは、樹脂部62及びその周辺部を露出する大きさに形成することができるが、樹脂部62及び半導体チップ実装領域40aの全部を露出する大きさに形成することが好ましい。但し、最終的に半導体チップ40の側面(特に半導体チップ40の四隅)に十分なフィレットが形成できれば、半導体チップ実装領域40aの全部を露出しなくてもよい。
【0048】
例えば、マスキングフィルム93のソルダーレジスト層25側には粘着材が形成されており、マスキングフィルム93は剥離可能な状態でソルダーレジスト層25の表面に配置される。開口部93x内には、ソルダーレジスト層25の表面及び樹脂部62が露出する。
【0049】
なお、開口部93xは、予めマスキングフィルム93に形成しておくことができる。マスキングフィルム93の材料や厚さ等は、マスキングフィルム91と同様とすることができる。
【0050】
次に、
図6と同様にして、開口部93x上(開口部93x内に露出するソルダーレジスト層25上、及び樹脂部62上)を含むマスキングフィルム93上に樹脂フィルム63を配置し、更に、樹脂フィルム63上にリリースフィルム94を配置する(図示せず)。樹脂フィルム63の材料や厚さは、樹脂フィルム61と同様とすることができる。但し、樹脂フィルム63の材料や厚さは、樹脂フィルム61と異なる仕様としても構わない。樹脂フィルム63は、例えば、所定の樹脂フィルム貼り付け装置を用いて配置できる。
【0051】
そして、
図11及び
図12に示す工程では、ソルダーレジスト層25の表面に樹脂部64を形成する。具体的には、
図11に示すように、樹脂フィルム63を例えば60〜100℃程度に加熱しながら、押圧部材(図示せず)を有する所定の押圧装置によってリリースフィルム94を介して例えば0.1〜0.9MPa程度の圧力で配線基板20側に押圧する。これにより、樹脂フィルム63は流動化し、開口部93x内に露出するソルダーレジスト層25の表面、及び樹脂部62の表面に熱圧着される。又、樹脂フィルム63は、樹脂部62と一体化する。なお、熱圧着は、真空雰囲気中で行うことが好ましい。
【0052】
続いて、
図12に示すように、一体化した樹脂部62及び樹脂フィルム63を例えば60〜100℃程度に加熱しながら、
図11に示すマスキングフィルム93を配線基板20から剥離する。この際、マスキングフィルム93上に配置された樹脂フィルム63及びリリースフィルム94も同時に引き裂かれて除去される。この時点では、樹脂フィルム63は未硬化であるため、マスキングフィルム93を剥離することで容易に樹脂フィルム63を厚み方向に引き裂くことができる。
【0053】
この際、開口部93x内の樹脂フィルム63は流動化し樹脂部62と一体化してソルダーレジスト層25の表面に接着されているので、マスキングフィルム93を剥離してもソルダーレジスト層25上に残存し、
図12に示すような樹脂部64が形成される。
【0054】
このようにして、マスキングフィルム93の開口部93xに対応する位置に、樹脂部64が形成される。なお、樹脂部64は、樹脂フィルム61(樹脂部62)及び樹脂フィルム63と同じ材料である。樹脂部64の中央部の樹脂部62に対応する位置には、ドーム状の突起部64aが形成される。又、突起部64aの周囲には突起部64aよりも低い環状の突起部64bが形成される。突起部64bは、主に樹脂部62の周縁部に形成されていた環状の突起部62xが溶融してできたものである。なお、突起部64bは、突起部64aから、突起部64x近傍までの傾斜面に形成された段差部を指してもよい。
【0055】
又、マスキングフィルム93を剥離する際に、樹脂部64の周縁部には、突起部64aよりも低く、突起部64bと同程度の高さの環状の突起部64xが形成される。なお、突起部64aの高さが突起部64b及び64xよりも高いことが重要であり、突起部64bと突起部64xとの高さ関係はそれほど重要ではない。
【0056】
次に、
図13に示す工程では、半導体チップ40を、配線基板20の一方の面に実装する。具体的には、電極パッド42上にバンプ43が形成された半導体チップ40を準備する。そして、樹脂部64を100℃程度に加熱して軟化させた状態とし、樹脂部64に半導体チップ40のバンプ43を押し込むことにより、半導体チップ40のバンプ43をソルダーコート51に圧接する。
【0057】
樹脂部64の中央部には、突起部64b及び64xよりも高い突起部64aが形成されているため、樹脂部64に半導体チップ40のバンプ43を押し込む際に、半導体チップ40の回路形成面の何れかの部分が最初に突起部64aと接する。そして、突起部64aは、半導体チップ40により周囲に押し広げられながら配線基板20側に押し込まれる。
【0058】
これにより、樹脂部64は、ほとんどボイドが巻き込まれていない状態で、配線基板20の一方の面と半導体チップ40の回路形成面との間に充填され、更に、半導体チップ40の側面の全部又は一部に延在し、フィレットを形成する。この際、突起部64b及び64xの部分が半導体チップ40の回路形成面側から側面側(半導体チップ40の四隅も含む)に回り込むため、半導体チップ40の側面(特に半導体チップ40の四隅)にもフィレットを容易に形成できる。
【0059】
その後、接合部が250℃程度の温度となるようにローカルリフロー加熱することによりソルダーコート51を溶融させて、半導体チップ40のバンプ43を配線基板20の第1電極パッド24と電気的に接続する。ローカルリフロー加熱する際に、未硬化の樹脂部64が同時に硬化し、アンダーフィル樹脂60となる。アンダーフィル樹脂60の一部は、半導体チップ40の側面の全部又は一部に延在し、フィレットを形成する。これにより、半導体装置10(
図1及び
図2参照)が完成する。
【0060】
このように、第1の実施の形態では、配線基板20の一方の面の半導体チップ実装領域40aの内側に樹脂部62を配置し、更に樹脂部62よりも大きな樹脂フィルム63を樹脂部62に重ねて配置する。そして、樹脂部62及び樹脂フィルム63を溶融させることにより、中央部に最も高い突起部64aを有し、その周囲に突起部64aよりも低い突起部64b及び64xを有する樹脂部64を形成する。これにより、半導体チップ40を配線基板20の一方の面に実装する際に、半導体チップ40の回路形成面は最初に突起部64aと接して、突起部64aは半導体チップ40により周囲に押し広げられながら配線基板20側に押し込まれる。その後、樹脂部64を硬化させることにより、半導体チップ40は配線基板20の一方の面にフリップチップ実装され、ほとんどボイドが巻き込まれていない状態のアンダーフィル樹脂60が形成される。つまり、第1の実施の形態に係る半導体装置10の製造方法によれば、半導体チップ40実装時のアンダーフィル樹脂60へのボイドが巻き込みを防止できる。
【0061】
又、アンダーフィル樹脂60内にほとんどボイドが存在しないため、耐リフロー性や耐環境性(所定の温湿度条件下での動作)等を含めた半導体装置10の信頼性を向上できる。又、半導体装置10の電気特性検査や外観検査等を含めた半導体装置10の組立歩留まりを向上できる。
【0062】
又、突起部64b及び64xの部分が半導体チップ40の回路形成面側から側面側(半導体チップ40の四隅も含む)に回り込むため、半導体チップ40の側面(特に半導体チップ40の四隅)にもフィレットを容易に形成でき、半導体装置10の信頼性を向上できる。
【0063】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態とは異なる半導体装置10の製造方法を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0064】
図14及び
図15は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態の
図3〜
図8に示す工程に代えて、
図14に示す工程を実行する。すなわち、予め金型を用いたパンチング等により所定の形状に加工された樹脂部62を準備する。そして、準備した樹脂部62をダイスボンダー等の樹脂部搭載装置を用いて位置あわせし、配線基板の一方の面(ソルダーレジスト層25の表面)の中央部に配置する。
【0065】
なお、樹脂部62を配置する際、マスキングフィルムを用いないため、この工程では樹脂部62を流動化させる必要はない。従って、樹脂部62を加熱する工程や樹脂部62を加圧する工程は不要である。又、マスキングフィルムを用いないため、樹脂部62の周縁部には
図8に示す突起部62xは形成されない。
【0066】
次に、第1の実施の形態の
図9〜
図12に示す工程を実行するが、
図15に示すように、樹脂部64には
図12に示す突起部64bは形成されない。これは、樹脂部62の周縁部に
図8に示す突起部62xが形成されていないためである。
【0067】
次に、第1の実施の形態の
図13に示す工程を実行することにより、半導体装置10(
図1及び
図2参照)が完成する。
【0068】
このように、第1の実施の形態の変形例1では、予め所定の形状に加工された樹脂部62を配線基板20の一方の面の半導体チップ実装領域40aの内側に配置し、更に樹脂部62よりも大きな樹脂フィルム63を樹脂部62に重ねて配置する。このような工程でも、中央部に最も高い突起部64aを有し、周縁部に突起部64aよりも低い突起部64xを有する樹脂部64を形成できるため、第1の実施の形態と同様に、半導体チップ40実装時のアンダーフィル樹脂60へのボイドの巻き込みを防止できる。
【0069】
又、突起部64xの部分が半導体チップ40の回路形成面側から側面側(半導体チップ40の四隅も含む)に回り込むため、第1の実施の形態と同様に、半導体チップ40の側面(特に半導体チップ40の四隅)にもフィレットを容易に形成でき、半導体装置10の信頼性を向上できる。
【0070】
又、第1の実施の形態では、マスキングフィルム91を配線基板20から剥離する際に樹脂フィルム61が引き裂かれるが(
図7及び
図8参照)、引き裂かれた部分は廃棄される。すなわち、樹脂フィルム61の一部を無駄にすることになるため、材料の使用効率が悪い。第1の実施の形態の変形例1では、予め所定の形状に加工された樹脂部62を配線基板の一方の面の中央部に配置するため、廃棄する部分が少なく、材料の使用効率を向上できる。
【0071】
なお、第1の実施の形態では、樹脂フィルム貼り付け装置及び押圧装置の2つの装置を用いていたが、第1の実施の形態の変形例1では、これらに樹脂部搭載装置を加えた3つの装置を用いている。しかし、第1の実施の形態の変形例1では、樹脂部を加熱する工程や樹脂部を加圧する工程を第1の実施の形態よりも減らすことが可能となり、半導体装置10の製造工程を簡略化できる点がメリットとなる。
【0072】
但し、第1の実施の形態の変形例1では、突起部64xが形成されているため、半導体チップ40の回路形成面側から側面側(特に半導体チップ40の四隅)に樹脂を回り込ませる効果を有するが、より多くの樹脂を回り込ませる観点からは、突起部64xに加えて更に突起部64b(
図12参照)が形成される第1の実施の形態の製造方法の方が有利である。
【0073】
〈比較例〉
第1の実施の形態及びその変形例1では、配線基板20の一方の面の半導体チップ実装領域40aの内側に樹脂部62を配置し、更に樹脂部62よりも大きな樹脂フィルム63を樹脂部62に重ねて配置した。これとは反対に、配線基板20の一方の面に半導体チップ実装領域40aと同程度の第1の樹脂部を配置し、更に半導体チップ実装領域40aの内側に第1の樹脂部よりも小さな第2の樹脂部を第1の樹脂部に重ねて配置する工程としてもよいように思われる。しかしながら、この工程は好ましくない。これについて、比較例を参照しながら説明する。なお、比較例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0074】
図16〜
図22は、比較例に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。まず、
図16及び
図17(
図16は平面図、
図17は断面図である)に示す工程では、
図4及び
図5に示す工程と同様にして、ソルダーレジスト層25の表面に、開口部910xを有するマスキングフィルム910を配置する。開口部910xは、例えば、半導体チップ実装領域40aを全て露出するように形成することができる。
【0075】
次に、
図18に示す工程では、
図6と同様にして、開口部910x内に露出するソルダーレジスト層25上及びマスキングフィルム910上に樹脂フィルム610を配置し、更に、樹脂フィルム610上にリリースフィルム920を配置する。樹脂フィルム610は、例えば、所定の樹脂フィルム貼り付け装置を用いて配置できる。
【0076】
次に、
図19及び
図20に示す工程では、
図7及び
図8に示す工程と同様にして、押圧部材(図示せず)を有する所定の押圧装置を用いてソルダーレジスト層25の表面に樹脂部620を形成する。樹脂部620は、半導体チップ実装領域40aを全て被覆するように形成することができる。マスキングフィルム910を剥離する際に、樹脂部620の周縁部には樹脂部620の中心部よりも突起した環状の突起部620xが形成される。
【0077】
次に、
図21に示す工程では、
図14と同様にして、樹脂部620よりも小さな形状に加工された樹脂部630を準備し、準備した樹脂部630を、ダイスボンダー等の樹脂部搭載装置を用いて位置あわせし、ソルダーレジスト層25の表面に形成された樹脂部620の中央部に配置する。この際、マスキングフィルムは用いないため、樹脂部630の周縁部に
図8に示す突起部62xに相当する突起部は形成されない。なお、この工程は、
図4〜
図8に示すように、マスキングフィルム91を用いて行ってもよい。
【0078】
次に、
図22に示す工程では、
図21に示す樹脂部620上及び樹脂部630上にリリースフィルム(図示せず)を配置し、樹脂部620及び630を例えば60〜100℃程度の温度雰囲気で加熱しながら、押圧部材(図示せず)を有する所定の押圧装置によってリリースフィルム(図示せず)を介して例えば0.1〜0.9MPa程度の圧力でソルダーレジスト層25側に押圧する。
【0079】
これにより、樹脂部620及び630は溶融して一体化し、ソルダーレジスト層25の表面に熱圧着され、中央部にドーム状の突起部640aを有する樹脂部640が形成される。
図21に示す突起部620xはリリースフィルム(図示せず)を介して押圧されて消滅する。なお、熱圧着は、真空雰囲気中で行うことが好ましい。
【0080】
このように、比較例に係る製造工程では、樹脂フィルム貼り付け装置、押圧装置、及び樹脂部搭載装置の3つの装置を用いる必要があるため、樹脂フィルム貼り付け装置及び押圧装置の2つの装置を用いる第1の実施の形態よりも製造工程が複雑化する。
【0081】
又、第1の実施の形態の変形例1では、比較例と同様に3つの装置を用いるが、樹脂部を加熱する工程や樹脂部を加圧する工程を減らすことにより半導体装置10の製造工程を簡略化できるメリットを有していた。しかし、比較例ではこのようなメリットも有さない。
【0082】
つまり、比較例のような配線基板20の一方の面に第1の樹脂部を配置し、更に第1の樹脂部よりも小さな第2の樹脂部を第1の樹脂部に重ねて配置する工程とするよりも、第1の実施の形態やその変形例1に係る製造工程のようにする方が好ましい。
【0083】
すなわち、半導体チップ40実装時のアンダーフィル樹脂へのボイドの巻き込みを低減し、かつ、半導体チップ40の回路形成面側から側面側(特に半導体チップ40の四隅)に十分に樹脂を回り込ませるためには、配線基板20の一方の面の半導体チップ実装領域40aの内側に第1の樹脂部を配置し、更に第1の樹脂部よりも大きな第2の樹脂部を第1の樹脂部に重ねて配置する工程と、マスキングフィルムを剥離して第2の樹脂部を引き裂く工程が必須となる。これらの工程を有することにより、中央部に最も高い突起部を有し、周縁部に低い突起部を有する樹脂部を形成できるため、ボイドの巻き込みを低減し、かつ、半導体チップ40の回路形成面側から側面側(特に半導体チップ40の四隅)に十分に樹脂を回り込ませることができる。
【0084】
なお、例えば直方体形状の樹脂部を流動化させ、所定形状の金型を用いて
図12や
図15の形状に成形することは困難である。離型剤を用いても樹脂部と金型との接触部分が容易に離型しないため、所望の形状が形成できないためである。
【0085】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。