特許第5794949号(P5794949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5794949シリコン膜の形成方法およびその形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794949
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】シリコン膜の形成方法およびその形成装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20150928BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20150928BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/24
   H01L21/285 C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-121940(P2012-121940)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-247332(P2013-247332A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】小森 克彦
(72)【発明者】
【氏名】柿本 明修
(72)【発明者】
【氏名】岡田 充弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信広
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−004542(JP,A)
【文献】 特開平10−321556(JP,A)
【文献】 特開2001−196573(JP,A)
【文献】 特開平04−118924(JP,A)
【文献】 特開昭62−098747(JP,A)
【文献】 特開2002−141304(JP,A)
【文献】 特開平11−340217(JP,A)
【文献】 特開2003−218037(JP,A)
【文献】 特開平08−203847(JP,A)
【文献】 特開2003−142484(JP,A)
【文献】 特開平01−111877(JP,A)
【文献】 特開2011−254063(JP,A)
【文献】 特開2004−336048(JP,A)
【文献】 特開2012−079745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/28−21/288、21/302、
21/3065−21/336、21/365、
21/44−21/445、21/461、21/469、
21/8229、21/8234−21/8247、
21/8249、21/86、27/06−27/08、
27/088−27/092、27/10−27/115、
27/28、29/40−29/49、29/76、
29/772−29/78、29/872、51/05、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成方法であって、
前記被処理体の溝を埋め込むようにホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第1成膜工程と、
前記第1成膜工程で成膜されたシリコン膜をエッチングするエッチング工程と、
前記エッチング工程でエッチングされたシリコン膜を埋め込むように、ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜工程と、
を備える、ことを特徴とするシリコン膜の形成方法。
【請求項2】
前記第1成膜工程では、前記被処理体の溝に開口部を有するように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜し、
前記エッチング工程では、前記開口部を広げるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングし、
前記第2成膜工程では、前記開口部を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項3】
前記エッチング工程では、前記開口部がV字形状となるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングする、ことを特徴とする請求項2に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項4】
前記エッチング工程でエッチングされたシリコン膜を前記ホウ素と炭素とを含む不純物でドープするドープ工程を、さらに備え、
前記第2成膜工程では、前記ドープ工程でドープされたシリコン膜を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項5】
前記第1成膜工程、及び、前記エッチング工程を複数回繰り返した後、前記第2成膜工程を実行する、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項6】
反応室内に前記被処理体が収容された状態で、前記第1成膜工程、前記エッチング工程、及び、前記第2成膜工程を行う、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項7】
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成装置であって、
前記被処理体の溝を埋め込むようにホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第1成膜手段と、
前記第1成膜手段で成膜されたシリコン膜をエッチングするエッチング手段と、
前記エッチング手段でエッチングされたシリコン膜を埋め込むように、ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜手段と、
を備える、ことを特徴とするシリコン膜の形成装置。
【請求項8】
前記第1成膜手段は、前記被処理体の溝に開口部を有するように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜し、
前記エッチング手段は、前記開口部を広げるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングし、
前記第2成膜手段は、前記開口部を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、
ことを特徴とする請求項に記載のシリコン膜の形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン膜の形成方法およびその形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のストレージノードコンタクトやフラッシュメモリーのコントロールゲート等の製造プロセスでは、被処理体、例えば、半導体ウエハに形成されたトレンチ、ホール形状の溝内に、ホウ素(B)のような不純物でドープされたポリシリコン膜等のシリコン膜(Si膜)を埋め込む工程がある。
【0003】
このような工程として、例えば、特許文献1には、水素化合物系のドーピングガスを供給して被処理体の表面を還元する表面処理を行なった後に、ドーピングガスと成膜ガスを供給して成膜を行なう成膜方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−321612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体装置の微細化に伴って、埋め込む溝の幅も狭くなる傾向にある。このため、埋め込み時に溝内にボイドやシームが発生しやすくなり、これらが抵抗成分となってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ボイドやシームの発生を抑制することができるシリコン膜の形成方法およびその形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるシリコン膜の形成方法は、
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成方法であって、
前記被処理体の溝を埋め込むようにホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第1成膜工程と、
前記第1成膜工程で成膜されたシリコン膜をエッチングするエッチング工程と、
前記エッチング工程でエッチングされたシリコン膜を埋め込むように、ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0008】
前記第1成膜工程では、前記被処理体の溝に開口部を有するように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜し、
前記エッチング工程では、前記開口部を広げるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングし、
前記第2成膜工程では、前記開口部を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、ことが好ましい。
【0009】
前記エッチング工程では、前記開口部がV字形状となるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングする、ことが好ましい。
前記エッチング工程でエッチングされたシリコン膜を前記ホウ素と炭素とを含む不純物でドープするドープ工程を、さらに備えてもよい。この場合、前記第2成膜工程では、前記ドープ工程でドープされたシリコン膜を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する。
【0010】
前記第1成膜工程、及び、前記エッチング工程を複数回繰り返した後、前記第2成膜工程を実行してもよい。
反応室内に前記被処理体が収容された状態で、前記第1成膜工程、前記エッチング工程、及び、前記第2成膜工程を行ってもよい。
【0011】
本発明の第2の観点にかかるシリコン膜の形成装置は、
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成装置であって、
前記被処理体の溝を埋め込むようにホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第1成膜手段と、
前記第1成膜手段で成膜されたシリコン膜をエッチングするエッチング手段と、
前記エッチング手段でエッチングされたシリコン膜を埋め込むように、ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0012】
前記第1成膜手段は、前記被処理体の溝に開口部を有するように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜し、
前記エッチング手段は、前記開口部を広げるように、前記成膜されたシリコン膜をエッチングし、
前記第2成膜手段は、前記開口部を埋め込むように、前記ホウ素と炭素とを含む不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、
ことが好ましい
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボイドやシームの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態の熱処理装置を示す図である。
図2図1の制御部の構成を示す図である。
図3】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するレシピを示した図である。
図4】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するための図である。
図5】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のシリコン膜の形成方法およびその形成装置について説明する。本実施の形態では、シリコン膜の形成装置として、図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置を用いた場合を例に説明する。
【0016】
図1に示すように、熱処理装置1は、長手方向が垂直方向に向けられた略円筒状の反応管2を備えている。反応管2は、内管3と、内管3を覆うとともに内管3と一定の間隔を有するように形成された有天井の外管4とから構成された二重管構造を有する。内管3及び外管4は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0017】
外管4の下方には、筒状に形成されたステンレス鋼(SUS)からなるマニホールド5が配置されている。マニホールド5は、外管4の下端と気密に接続されている。また、内管3は、マニホールド5の内壁から突出するとともに、マニホールド5と一体に形成された支持リング6に支持されている。
【0018】
マニホールド5の下方には蓋体7が配置され、ボートエレベータ8により蓋体7は上下動可能に構成されている。そして、ボートエレベータ8により蓋体7が上昇すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ8により蓋体7が下降すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が開口される。
【0019】
蓋体7には、例えば、石英からなるウエハボート9が載置されている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハ10が垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚収容可能に構成されている。
【0020】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように断熱体11が設けられている。断熱体11の内壁面には、例えば、抵抗発熱体からなる昇温用ヒータ12が設けられている。この昇温用ヒータ12により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハ10が所定の温度に加熱される。
【0021】
マニホールド5の側面には、複数の処理ガス導入管13が挿通(接続)されている。なお、図1では処理ガス導入管13を1つだけ描いている。処理ガス導入管13は、内管3内を臨むように配設されている。例えば、図1に示すように、処理ガス導入管13は、支持リング6より下方(内管3の下方)のマニホールド5の側面に挿通されている。
【0022】
処理ガス導入管13は、図示しないマスフローコントローラ等を介して、図示しない処理ガス供給源が接続されている。このため、処理ガス供給源から処理ガス導入管13を介して所望量の処理ガスが反応管2内に供給される。処理ガス導入管13から供給される処理ガスとしては、例えば、不純物としてのホウ素(B)でドープされたポリシリコン膜(Si膜)を成膜する成膜用ガスがある。成膜用ガスとして、例えば、SiH等とホウ素(B)が含まれたガス(BCl、B)とが用いられる。また、不純物としてのホウ素(B)と炭素(C)とでドープされたポリシリコン膜(Si膜)を成膜する場合には、例えば、SiH等と、ホウ素(B)が含まれたガス(BCl、B)と、炭素(C)が含まれたガス(C)とが用いられる。なお、不純物でドープされたポリシリコン膜をさらに不純物でドープする場合には、前述のBCl等が用いられる。
【0023】
また、本発明のシリコン膜の形成方法では、後述するように、半導体ウエハ10の表面に形成された溝に第1成膜工程でSi膜が埋め込まれた後、エッチング工程で埋め込まれた溝の開口部が広げられ、第2成膜工程で開口部が広げられた溝にSi膜が埋め込まれる。このため、処理ガス導入管13から供給される処理ガスとして、エッチングガスがある。エッチングガスとしては、例えば、Cl、F、ClFなどのハロゲンガスが用いられる。
【0024】
また、本発明のシリコン膜の形成方法において、後述するように、第1成膜工程前に溝にシード層を形成する場合には、処理ガス導入管13からシード層形成用ガス、例えば、アミノ基を含むシラン、Si、Si10等の高次シランが反応管2内に供給される。アミノ基を含むシランとしては、例えば、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、トリ−ジメチルアミノシラン(3DMAS)、テトラ−ジメチルアミノシラン(4DMAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)、ビスジエチルアミノシラン(BDEAS)、ビスジメチルアミノシラン(BDMAS)等がある。
【0025】
マニホールド5の側面には反応管2内のガスを排気するための排気口14が設けられている。排気口14は支持リング6より上方に設けられており、反応管2内の内管3と外管4との間に形成された空間に連通する。そして、内管3で発生した排ガス等が内管3と外管4との間の空間を通って排気口14に排気される。
【0026】
マニホールド5の側面の排気口14の下方には、パージガス供給管15が挿通されている。パージガス供給管15には、図示しないパージガス供給源が接続されており、パージガス供給源からパージガス供給管15を介して所望量のパージガス、例えば、窒素ガスが反応管2内に供給される。
【0027】
排気口14には排気管16が気密に接続されている。排気管16には、その上流側から、バルブ17と、真空ポンプ18とが介設されている。バルブ17は、排気管16の開度を調整して、反応管2内の圧力を所定の圧力に制御する。真空ポンプ18は、排気管16を介して反応管2内のガスを排気するとともに、反応管2内の圧力を調整する。
【0028】
なお、排気管16には、図示しないトラップ、スクラバー等が介設されており、反応管2から排気された排ガスを、無害化した後、熱処理装置1外に排気するように構成されている。
【0029】
また、熱処理装置1は、装置各部の制御を行う制御部100を備えている。図2に制御部100の構成を示す。図2に示すように、制御部100には、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等が接続されている。
【0030】
操作パネル121は、表示画面と操作ボタンとを備え、オペレータの操作指示を制御部100に伝え、また、制御部100からの様々な情報を表示画面に表示する。
【0031】
温度センサ(群)122は、反応管2内、処理ガス導入管13内、排気管16内等の各部の温度を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
圧力計(群)123は、反応管2内、処理ガス導入管13内、排気管16内等の各部の圧力を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
【0032】
ヒータコントローラ124は、昇温用ヒータ12を個別に制御するためのものであり、制御部100からの指示に応答して、これらに通電してこれらを加熱し、また、これらの消費電力を個別に測定して、制御部100に通知する。
【0033】
MFC制御部125は、処理ガス導入管13、及び、パージガス供給管15に設けられた図示しないマスフローコントローラ(MFC)を制御して、これらに流れるガスの流量を制御部100から指示された量にするとともに、実際に流れたガスの流量を測定して、制御部100に通知する。
【0034】
バルブ制御部126は、各管に配置されたバルブの開度を制御部100から指示された値に制御する。
【0035】
制御部100は、レシピ記憶部111と、ROM112と、RAM113と、I/Oポート114と、CPU(Central Processing Unit)115と、これらを相互に接続するバス116とから構成されている。
【0036】
レシピ記憶部111には、セットアップ用レシピと複数のプロセス用レシピとが記憶されている。熱処理装置1の製造当初は、セットアップ用レシピのみが格納される。セットアップ用レシピは、各熱処理装置に応じた熱モデル等を生成する際に実行されるものである。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う熱処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、例えば、反応管2への半導体ウエハ10のロードから、処理済みの半導体ウエハ10をアンロードするまでの、各部の温度の変化、反応管2内の圧力変化、処理ガスの供給の開始及び停止のタイミングと供給量などを規定する。
【0037】
ROM112は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU115の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。
RAM113は、CPU115のワークエリアなどとして機能する。
【0038】
I/Oポート114は、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に接続され、データや信号の入出力を制御する。
【0039】
CPU115は、制御部100の中枢を構成し、ROM112に記憶された制御プログラムを実行し、操作パネル121からの指示に従って、レシピ記憶部111に記憶されているレシピ(プロセス用レシピ)に沿って、熱処理装置1の動作を制御する。すなわち、CPU115は、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、MFC制御部125等に反応管2内、処理ガス導入管13内、及び、排気管16内の各部の温度、圧力、流量等を測定させ、この測定データに基づいて、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に制御信号等を出力し、上記各部がプロセス用レシピに従うように制御する。
バス116は、各部の間で情報を伝達する。
【0040】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いたシリコン膜の形成方法について説明する。なお、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部の動作は、制御部100(CPU115)により制御されている。また、各処理における反応管2内の温度、圧力、ガスの流量等は、前述のように、制御部100(CPU115)がヒータコントローラ124(昇温用ヒータ12)、MFC制御部125、バルブ制御部126等を制御することにより、例えば、図3に示すようなレシピに従った条件に設定される。
【0041】
また、本実施の形態では、被処理体としての半導体ウエハ10には、図4(a)に示すように、基板51上に絶縁膜52が形成されており、半導体ウエハ10の表面には溝53が形成されている。
【0042】
本実施の形態のシリコン膜の形成方法では、溝53を埋め込むように、開口部54を有し、ホウ素(B)を含む不純物がドープされたシリコン膜(Si膜)55を成膜する第1成膜工程と、成膜されたSi膜55をエッチングして開口部54をV字形状に広げるエッチング工程と、開口部54が広げられたSi膜55をホウ素(B)を含む不純物でドープするドープ工程と、不純物がドープされたSi膜55(開口部54)を埋め込むように、ホウ素(B)を含む不純物がドープされたSi膜56を成膜する第2成膜工程と、を備えている。以下、これらの工程を含むシリコン膜の形成方法について説明する。
【0043】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、400℃に設定する。また、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、図4(a)に示す半導体ウエハ10が収容されているウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0044】
続いて、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、525℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0045】
ここで、反応管2内の温度は、450℃〜700℃であることが好ましく、490℃〜650℃であることがさらに好ましい。また、反応管2内の圧力は、1.33Pa〜133Pa(0.01Torr〜1Torr)であることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、Si膜をより均一に成膜することができるためである。
【0046】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図3(d)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiHと、図3(f)に示すように、ホウ素(B)を含むガス、例えば、BClと、を供給する(第1成膜工程)。この第1成膜工程により、図4(b)に示すように、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内に、開口部54を有し、ホウ素(不純物)がドープされたSi膜55が形成される。
【0047】
ここで、第1成膜工程では、開口部54を有するように、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内にホウ素がドープされたSi膜55を形成することが好ましい。すなわち、第1成膜工程では、溝53を完全に埋めるようにホウ素がドープされたSi膜55を形成するのではなく、溝53内に開口部54を有するようにホウ素がドープされたSi膜55を形成することが好ましい。これにより、第1成膜工程で溝53内のボイドが発生することを確実に防止することができる。
【0048】
半導体ウエハ10に所定量のホウ素がドープされたSi膜55が形成されると、処理ガス導入管13からの成膜用ガスの供給を停止する。次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、40Pa(0.3Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(パージ・安定化工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0049】
ここで、反応管2内の温度は、100℃〜550℃であることが好ましい。100℃より低いと後述するエッチング工程においてホウ素がドープされたSi膜55をエッチングできないおそれがあり、550℃より高いとホウ素がドープされたSi膜55のエッチング制御が困難となるおそれがあるためである。反応管2内の圧力は、1.33Pa〜666.7Pa(0.01Torr〜5Torr)であることが好ましい。
【0050】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、図3(e)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のエッチング用ガス、例えば、Clを供給する(エッチング工程)。このエッチング工程により、図4(c)に示すように、半導体ウエハ10の溝53に形成された開口部54を有するSi膜55がエッチングされる。
【0051】
ここで、エッチング工程では、第1成膜工程で形成されたSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングする。すなわち、図4(c)に示すように、開口部54に形成されたSi膜55のエッチング量を多くするとともに、溝53の底部付近に形成されたSi膜55のエッチング量を少なくし、開口部54がV字形状となるようにエッチングすることが好ましい。これにより、後述する第2成膜工程で溝53の底部付近にSi膜を形成しやすくなる。また、後述するドープ工程で溝53の底部付近のSi膜55に不純物をドープしやすくなる。
【0052】
また、エッチング用ガスは、Si膜55のエッチング制御が容易なClを用いることが好ましい。エッチング用ガスにClを用いた場合には、反応管2内の温度を250℃〜300℃にすることが好ましい。また、反応管2内の圧力を1.33Pa〜666.7Pa(0.01Torr〜5Torr)にすることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、エッチング均一性を良好にすることができる。
【0053】
ホウ素がドープされたSi膜55の所望のエッチングが完了すると、処理ガス導入管13からのエッチング用ガスの供給を停止する。次に、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、525℃に加熱するとともに、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、図3(f)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の不純物、例えば、ホウ素B(BCl)を供給する(ドープ工程)。このドープ工程により、Si膜55に含まれる不純物(B)の量を所望の量に調整することができる。
【0054】
ここで、エッチング工程により第1成膜工程で形成されたSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングされているので、溝53の底部付近のSi膜55に不純物をドープしやすくなる。
【0055】
次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を525℃、74.5Pa(0.56Torr)で安定させる(パージ・安定化工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0056】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図3(d)及び図3(f)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiH及びBClを供給する(第2成膜工程)。この第2成膜工程により、図5(e)に示すように、ホウ素(B)がドープされたSi膜55上に、ホウ素(B)がドープされたSi膜56が形成される。
【0057】
ここで、エッチング工程により第1成膜工程で形成されたSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングされているので、溝53の底部付近にSi膜56を形成しやすくなる。このため、溝53へのSi膜56埋め込み時に、溝53内にボイドやシームが発生することを抑制することができる。
【0058】
所望のSi膜56が形成されると、処理ガス導入管13からの成膜用ガスの供給を停止する。次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、400℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を常圧に戻す(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を下降させることにより、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内からアンロードする(アンロード工程)。これにより、Si膜の形成が終了する。
【0059】
次に、本発明のシリコン形成方法の効果を確認するため、図3に示すレシピに沿って、図4(a)に示す半導体ウエハ10に、図5(e)のようにSi膜を形成した。形成したSi膜をSEM観察したところ、ボイドやシームが発生していないことが確認できた。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、開口部54を有するSi膜55を成膜する第1成膜工程後に、Si膜55をエッチングして開口部54を広げるエッチング工程、開口部54が広げられたSi膜55を不純物でドープするドープ工程、及び、不純物がドープされたSi膜56を成膜する第2成膜工程を実施しているので、形成するSi膜のボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0062】
上記実施の形態では、開口部54を有するように、ホウ素がドープされたSi膜55を成膜した場合を例に本発明を説明したが、例えば、溝53を埋めるようにホウ素がドープされたSi膜55を形成してもよい。この場合にも、エッチング工程によるSi膜55のエッチング、及び、第2成膜工程によるドープされたSi膜56の成膜により、形成するSi膜のボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0063】
上記実施の形態では、エッチング工程で開口部54がV字形状となるようにエッチングした場合を例に本発明を説明したが、例えば、開口部54がU字形状となるようにエッチングしてもよい。この場合にも形成するSi膜のボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0064】
上記実施の形態では、第1成膜工程、エッチング工程、ドープ工程、及び、第2成膜工程を実施した場合を例に本発明を説明したが、例えば、エッチング工程後にドープ工程を実施せずに第2成膜工程を実施してもよい。この場合にも形成するSi膜のボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0065】
また、第1成膜工程、エッチング工程、及び、ドープ工程を複数回繰り返した後、第2成膜工程を実施してもよい。さらに、第1成膜工程前に、絶縁膜52及び溝53上にシード(seed)層を形成するシード層形成工程を実施してもよい。また、第1成膜工程前に、溝53の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程を実施してもよい。
【0066】
上記実施の形態では、不純物がホウ素(B)の場合を例に本発明を説明したが、不純物はホウ素を含む不純物であればよく、例えば、ホウ素と炭素とを含む不純物であってもよい。
【0067】
上記実施の形態では、成膜用ガスとしてSiHを用いた場合を例に本発明を説明したが、Si膜を成膜可能なガスであれば、他のガスを用いてもよい。
【0068】
上記実施の形態では、エッチングガスとして、Clを用いた場合を例に本発明を説明したが、第1成膜工程で形成されたホウ素を含む不純物がドープされたSi膜をエッチング可能なガスであればよく、F、ClFなどの他のハロゲンガスを用いてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、熱処理装置として、二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置を用いた場合を例に本発明を説明したが、例えば、本発明を単管構造のバッチ式熱処理装置に適用することも可能である。
【0070】
本発明の実施の形態にかかる制御部100は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部100を構成することができる。
【0071】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、シリコン膜の形成方法およびその形成装置に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 熱処理装置
2 反応管
3 内管
4 外管
5 マニホールド
6 支持リング
7 蓋体
8 ボートエレベータ
9 ウエハボート
10 半導体ウエハ
11 断熱体
12 昇温用ヒータ
13 処理ガス導入管
14 排気口
15 パージガス供給管
16 排気管
17 バルブ
18 真空ポンプ
100 制御部
111 レシピ記憶部
112 ROM
113 RAM
114 I/Oポート
115 CPU
116 バス
121 操作パネル
122 温度センサ
123 圧力計
124 ヒータコントローラ
125 MFC制御部
126 バルブ制御部
図1
図2
図3
図4
図5