(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含む外側コーティングを有する基材をベースとする効果顔料であって、前記外側コーティングが、効果顔料の全重量を基準として、≧0.5重量%の炭素含量を有する効果顔料。
B)において、ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよびカルシウムから選択される元素の、少なくとも2種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物が使用されていることを特徴とする、請求項1に記載の効果顔料。
前記有機カップリング剤が、アルキルシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、アミノシランおよびビニルシランから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の効果顔料。
亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物の割合が、効果顔料の全重量を基準として、ZnOとして計算して、≧0.1重量%であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の効果顔料。
B)におけるジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよびカルシウムから選択される元素の少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物の割合が、効果顔料の全重量を基準として、金属酸化物として計算して、≧0.1重量%であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の効果顔料。
B)におけるジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよびカルシウムから選択される元素の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物の割合が、効果顔料の全重量を基準として、0.1〜5重量%であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の効果顔料。
金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物およびこれらの混合物から選択される金属化合物の1以上の、場合によって交互の、層で被覆されたフレーク状基材が使用されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の効果顔料。
湿式化学方法によって、かつ/またはゾル−ゲル法によって、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含む外側コーティングを基材に付けるステップ、ならびにその後前記コーティングした基材を乾燥するステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の効果顔料の調製方法。
a)前記基材を溶媒中に懸濁させるステップ、b)1種以上の亜鉛塩と、ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよび/またはカルシウムの少なくとも1種以上の塩と、少なくとも1種の有機カップリング剤とを添加するステップ、ならびにc)前記コーティングした基材を乾燥するステップを含み、前記金属化合物および前記有機カップリング剤が前記基材上に堆積され、前記金属塩が、全部または一部、金属の酸化物、水酸化物または水和酸化物として堆積される、請求項11または12に記載の方法。
塗料、コーティング、印刷インキ、プラスチック、フィルムにおける、セキュリティ用途における、レーザーマーキングのための、熱保護における、または着色種のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の効果顔料の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物(oxide hydrate)と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含む外側コーティング(outer coating)を有する基材(substrates)をベースとする(based on)効果顔料(effect pigments)、このような効果顔料の調製方法、ならびにこのような効果顔料の使用に関する。
【0002】
効果顔料は、要求が全く異なる数多くの様々な適用媒体(application media)、例えば塗料、コーティングおよびプラスチックなどにおいて用いられる。第一に、効果顔料は、それらの周囲にある適用媒体に適合可能(compatible)であるべきであるが、またいくつかの場合、長期にわたって十分な安定性もなければならない。屋外用途向けのプラスチック部品および表面被覆層は、多くの場合、極端な気候条件に曝され、長時間にわたって光に継続して強く曝露されて、材料の老化を招く。
【0003】
二酸化チタン、酸化鉄または他の金属酸化物層を有する効果顔料は、光または水などの外部的影響の作用のため、それらの特性において、かなりの変化を示すことがある。このことは、変色、脆化ならびに機械的および化学的安定性の低下から明らかである。
【0004】
これらの問題を回避するために、適用特性(applicational properties)を改良する目的で、効果顔料を後処理にかけることが提案されている。後処理はしばしば、効果顔料をポリマー、種々の金属酸化物/水酸化物および/またはシランで被覆することを含む。例えば、WO99/57204は、表面コーティングにおいて良好な配向性および分布を示す効果顔料を調製するための反応性表面改質剤の使用を記述しており、WO94/01498は、積層して施された3層の金属酸化物の使用を記述している。WO98/13426、DE103 48 174およびUS4,544,415は、金属酸化物と、モノマー、オリゴマーおよびポリマーカップリング剤とを含む層を有する顔料を記述している。しかし、最新技術による顔料には、光安定性および/または適用媒体との適合性に関して不利益がある。
【0005】
したがって、改良された効果顔料およびこのような効果顔料の簡易な調製が継続して必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、本発明による効果顔料は、改良された安定性を示すことが見出された。
【0007】
したがって、本発明の主題は、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含む外側コーティングを有する効果顔料であって、外側コーティングが、効果顔料の全重量を基準として、≧0.5重量の炭素顔料を有する効果顔料、このような効果顔料の調製方法、ならびにこのような効果顔料の使用である。
【0008】
新たな外側コーティングが、改良された安定性、すなわち屋外使用のために重要である耐候性を有する効果顔料を提供することが、本発明の主な利点である。本発明の好ましい変形形態は、ベース効果顔料の彩度(chroma)、光沢(luster)および色に影響を及ぼさない外側コーティングにより、効果顔料を保護する可能性を有利に提供する。このことは、高彩度、高光沢および純粋な色を有する効果顔料、例えば、純粋な銀白色の真珠効果を示す真珠光沢顔料のために特に重要である。
【0009】
本発明による効果顔料は、真珠光沢顔料、干渉顔料、メタル効果顔料、透明、半透明および/もしくは不透明層を有する多層顔料、ゴニオクロマチック(goniochromatic)顔料、ホログラフィック顔料、被覆された(coated)もしくは非被覆の(uncoated)BiOClフレークならびに/またはLCP(液晶顔料)から好ましく選択される。好ましい顔料は、真珠光沢顔料、干渉顔料、透明、半透明および/または不透明層を有する多層顔料ならびにゴニオクロマチック顔料、特に真珠光沢顔料および干渉顔料である。
【0010】
このような顔料は、通常多層構造を有し、原則として任意の形状を有することができる基材をベースとしており;これらは、フレーク形態にあることが好ましい。適切な基材は、TiO
2、合成もしくは天然雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、SiO
2フレーク、Al
2O
3フレークまたは酸化鉄フレークである。金属フレークは、とりわけ、アルミニウム、チタン、青銅、鋼または銀、好ましくはアルミニウムおよび/またはチタンからなることができる。金属フレークは、適正な処理によって不動態化されていてよい。特には、合成もしくは天然雲母、ガラスフレーク、SiO
2フレーク、Al
2O
3フレークまたは酸化鉄フレークが使用され、とりわけ合成もしくは天然雲母またはガラスフレークが使用される。
【0011】
好ましい実施形態において、基材は、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、またはこれらの材料の混合物を含む、1以上の透明、半透明および/または不透明層で被覆されている。基材は、これらの層で一部または全体が包まれていることが好ましい。
【0012】
金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物もしくは金属酸窒化物の層、またはこれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)または高屈折率(屈折率≧1.8、好ましくは>2.0)を有することができる。適切な金属酸化物および水和金属酸化物は、当業者に知られている全ての金属酸化物および水和金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、水和酸化アルミニウム、酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特には二酸化チタン、水和酸化チタンおよびこれらの混合物など、例えば、チタン鉄鉱(ilmenite)または擬板チタン石(pseudobrookite)などである。用いることができる金属亜酸化物は、例えば、亜酸化チタンである。適切な金属は、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金であり、適切な金属フッ化物は、例えば、フッ化マグネシウムである。用いることができる金属窒化物または金属酸窒化物は、例えば、金属チタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの窒化物または酸窒化物である。金属酸化物、金属、金属フッ化物および/または水和金属酸化物の層、非常に特に好ましくは金属酸化物および/または水和金属酸化物の層を担体(support)に付けることが好ましい。さらに、高屈折率および低屈折率の金属酸化物、水和金属酸化物、金属または金属フッ化物の層を含む多層構造も存在でき、高屈折率層と低屈折率層が交互であることが好ましい。特に好ましいのは、高屈折率層と低屈折率層を含む層パッケージ(layer packages)であり、これらの層パッケージの1以上を基材に付けることが可能である。ここで、多層構造中に基材を含めるために、高屈折率層と低屈折率層の配列(sequence)を、基材と調和させる(match)ことができる。さらなる実施形態において、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物または金属酸窒化物の層に、着色剤(colorants)または他の元素を混合またはドープする(dope)ことができる。適切な着色剤または他の元素は、例えば、有機もしくは無機有色顔料、例えば、有色金属酸化物、例えば磁鉄鉱もしくは酸化クロムなど、または有色顔料、例えば、ベルリン青、群青、バナジン酸ビスマス、テナール青(Thenard’s Blue)など、または別法として有機有色顔料、例えばインジゴ、アゾ顔料、フタロシアニンなどもしくは別法としてカルミンレッド(Carmine Red)など、あるいは元素、例えばイットリウムまたはアンチモンなどである。これらの層を含む効果顔料は、それらのマストーン(mass tone)に関して広く様々な色を呈し、多くの場合、干渉のため、角度に依存する色変化(カラーフロップ(colour flop))を呈することができる。上述の材料および顔料構造の例および実施形態は、例えば、参照としてそれらの開示内容が本明細書に組み込まれているResearch Disclosures RD 471001およびRD 472005中にも示されている。この種の顔料は、例えば、名称Iriodin(登録商標)およびPyrisma(登録商標)のもとに市販されている(製造業者:Merck KGaA Darmstadt)。
【0013】
高屈折率層と低屈折率層を含む層パッケージの最終層は、高屈折率層、すなわち、TiO
2、亜酸化チタン、酸化鉄、および/またはこれらの酸化物の混合物、例えば、チタン鉄鉱または擬板チタン石などであることが好ましい。特に好ましいものは、TiO
2である。TiO
2は、ルチル型変態のものであることが好ましいが、アナターゼ型変態のものであることもできる。被覆された基材の下記のベース構造を有する効果顔料が好ましく、ここで、TiO
2/Fe
2O
3は、混合物としてかつ/または混合酸化物、すなわち、擬板チタン石として、TiO
2およびFe
2O
3を含む層を意味し、擬板チタン石および/またはTiO
2/Fe
2O
3混合物が、場合によってAl
2O
3を供与されて(donated)いてもよい:括弧内の酸化物は、場合によって使用される酸化物を意味する。ルチル化を促進するために、TiO
2形成の前にSnO
2を付けることが好ましい。
フレーク基材+(SiO
2)+TiO
2(ルチル型)、
フレーク基材+(SiO
2)+SiO
2+TiO
2(ルチル型)、
フレーク基材+(SiO
2)+TiO
2(ルチル型)+SiO
2+TiO
2(ルチル型)、
フレーク基材+(SiO
2)+TiO
2(アナターゼ型)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ型)、
フレーク基材+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
フレーク基材+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3。
【0014】
下記の構造を有する効果顔料が、特に好ましい:
雲母+(SnO
2)+TiO
2、
雲母+TiO
2/Fe
2O
3、
雲母+(SnO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2、
雲母+TiO
2/Fe
2O
3、
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2、
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
雲母+(SnO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
雲母+TiFe
2O
5、
Al
2O
3−フレーク+TiO
2、
SiO
2−フレーク+TiO
2、
ガラスフレーク+TiO
2、
ガラスフレーク+SiO
2+TiO
2、
ガラスフレーク+SiO
2+TiO
2+SiO
2、
ガラスフレーク+TiO
2+SiO
2+TiO
2、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3、
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiFe
2O
5。
【0015】
詳細には、下記の構造を有する効果顔料が好ましい:
合成雲母+TiO
2、
合成雲母+TiO
2+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)+SiO
2+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+TiO
2(アナターゼ型)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ型)。
【0016】
金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物もしくは金属酸窒化物の層、またはこれらの混合物の厚さは、通常3〜300nmであり、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物もしくは金属酸窒化物の層、またはこれらの混合物の場合、20〜200nmが好ましい。金属層の厚さは、4〜50nmが好ましい。
【0017】
基材のサイズ、したがって効果顔料のサイズは、それ自体重要ではない。フレーク状基材ならびに/または1以上の透明、半透明および/もしくは不透明層で被覆したフレーク状基材は、一般に、0.05と5μmの間、特には0.1と4.5μmの間の厚さを有する。長さまたは幅における寸法は、通常1と250μmの間、好ましくは2と200μmの間、特には2と100μmの間にある。
【0018】
本発明の効果顔料の本質的な特徴は、上述の被覆されたまたは非被覆の基材の上の(on top of)、すなわち上述の層パッケージ上の外側コーティングである。この本質的な外側コーティングは、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含み、外側コーティングは、効果顔料の全重量に対して、炭素含量≧0.5重量である。化合物A)およびB)は、関連した金属の、混合された、好ましくは水和した、酸化物系化合物(oxidic compounds)として存在することもできる。
【0019】
好ましくは、外側コーティングは、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とからなり、ここで外側コーティングは、効果顔料の全重量に対して、炭素含量≧0.5重量%である。
【0020】
本発明による外側コーティングの本質的な一成分は、亜鉛の酸化物系化合物A)、すなわち、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および/または水和酸化亜鉛である。好ましくは、外側コーティング中に、これらの化合物の2種または3種の組合せ、特に、水酸化亜鉛および/または水和酸化亜鉛が存在することができる。仕上がり顔料の機械的安定性を改良するために、これらの亜鉛化合物と組み合わせて、リン酸金属化合物を使用することも可能である。
【0021】
外側コーティング中の亜鉛の酸化物系化合物の割合は、効果顔料の全重量に対しZnOとして計算して、≧0.1重量%、特に0.1〜5%であることが好ましい。特には、外側コーティング中の亜鉛の酸化物系化合物の割合は、≧0.3重量%、好ましくは0.3〜5%、とりわけ0.3〜3%である。
【0022】
本発明による外側コーティングの他の本質的成分は、酸化物系金属化合物B)、すなわち、少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物である。好ましくは、外側コーティング中に、これらの化合物の2種または3種の組合せ、特に、少なくとも1種の金属の水酸化物および/または水和酸化物が存在できる。
【0023】
酸化物系金属化合物B)は、元素ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウム、カルシウムの化合物およびこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0024】
好ましいものは、ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよびこれらの混合物、特にジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびこれらの混合物である。
【0025】
アルミニウムおよび/またはケイ素の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物を、亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と組み合わせて使用することが、とりわけ好ましい。特に、合成雲母をベースとする効果顔料が、亜鉛およびアルミニウムの酸化物、水酸化物および/もしくは水和酸化物を含む外側コーティング、または亜鉛およびケイ素の酸化物、水酸化物および/もしくは水和酸化物を含む外側コーティングで覆われていることが有利である。
【0026】
亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物を、ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよびカルシウムから選択される元素の少なくとも2種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と組合せることもまた好ましい。特には、亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物を、ジルコニウム、セリウム、ケイ素およびアルミニウムの少なくとも3種の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と組合せることが、本発明に適している。とりわけ、亜鉛の酸化物系化合物の、ジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの酸化物系化合物との組合せが、有利に使用できる。また、亜鉛の酸化物系化合物の、ジルコニウム、セリウム、ケイ素およびアルミニウムの酸化物系化合物との組合せも、有利に使用できる。
【0027】
特には、外側コーティング中のジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウム、カルシウムおよびこれらの混合物から選択される元素の少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物の割合は、効果顔料の全重量に対して、金属酸化物(複数可)として計算して、≧0.1重量%であり、好ましくは効果顔料の全重量に対して0.1〜5重量%の範囲にある。特には、外側コーティング中の酸化物系化合物Bの割合は≧0.2重量%、好ましくは0.2〜5%、特に0.5〜3%である。これらの割合の範囲は、単一元素の化合物、ならびに異なる元素(複数)の化合物の混合物にあてはまる。
【0028】
本発明による外側コーティングのさらなる本質的成分は、少なくとも1種の有機カップリング剤C)である。外側コーティングは、少なくとも2種の、好ましくは少なくとも3種の有機カップリング剤を含むことが好ましい。少なくとも1種の有機カップリング剤は、外側コーティング内で、かつ/または外側コーティングの酸化物系金属化合物A)および/もしくはB)に、かつ/または基材に、固定されている(anchored)こと、すなわち酸素橋(oxygen bridges)を介して、固定されていることが好ましい。
【0029】
本発明に適した有機カップリング剤は、一般式
X
4−n−mZ−R
n(−B−Y)
m
(式中、X=OH、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシであり、
Z=Si、Al、Ti、Zrであり、
R=アルキル、フェニルまたは水素であり、
B=有機の、少なくとも二官能性基(アルキレン、アルキレンオキシアルキレン)であり、
Y=アミノ、置換されたアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シロキサン、アセトキシ、イソシアネート、ビニル、アクリロイル、エポキシド、エポキシプロピルオキシ、イミダゾールまたはウレイド基であり、
n、m=0、1、2、3であり、ここでn+m≦3である。)
のオルガノシラン、−アルミネート、−チタネートおよび/またはジルコネートである。
【0030】
有機カップリング剤は、Z=Siである化合物であることが好ましい。有機カップリング剤は、アルコキシシラン基を含むことが好ましく、このアルコキシシラン基は、加水分解反応条件によって対応するヒドロキシル基に変換されうる。後者は、酸素橋を介する固定を達成することができる。さらに、種々のカップリング試薬の混合物を用いることも可能であり、これらの試薬は混合物として、または個別に適用することができる。カップリング剤の適正な選択により、本発明の効果顔料は、種々の用途系(application systems)に適合させる(match)ことができる。
【0031】
有機カップリング剤は、適切な官能基を選択することによって、使用媒体に適合させることができる。さらに、有機カップリング剤を介して、官能基と適用媒体中の対応する官能性(functionalities)との反応によって、媒体へのさらなる結合を形成することができる。特定の実施形態において、本発明による効果顔料の表面は、使用媒体に適合(match)した、種々の有機カップリング剤の混合物の組合せによって改質される(modified)。効果顔料の表面の疎水性を、例えばアルキルシランなどの、アルキル含有有機カップリング剤を組み込むことによって、適合させることができる。オルガノシランの他に、加水分解物ならびにその均質(homogeneous)および不均質な(heterogeneous)オリゴマーおよび/またはポリマーの使用も好ましく、これらは同様に、有機コーティングとして、単独で、あるいはシラン、ジルコネート、アルミネート、ジルコアルミネートおよび/またはカルボキシジルコアルミネートと組み合わせて用いることができる。とりわけ好ましいのは、特には互いに異なる官能基(複数)Yを有する、種々の有機カップリング試薬の混合物であり、それにより特定の用途範囲が保証される。特に好ましいものは、オルガノシラン(複数)の混合物、特には、異なる官能基を有する少なくとも2種の、好ましくは少なくとも3種のオルガノシランを含む混合物である。
【0032】
オルガノシランの例は、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランである。適切なオリゴマーのアルコールを含まないオルガノシラン加水分解物は、とりわけ、Siventoによって、商標名「Dynasylan(登録商標)」のもとに販売されている製品、例えば、Dynasylan HS 2926、Dynasylan HS 2909、Dynasylan HS2907、Dynasylan HS 2781、Dynasylan HS 2776、Dynasylan HS 2627である。さらに、オリゴマービニルシランおよびまたアミノシラン加水分解物は、有機コーティングとして適している。官能化オルガノシランは、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランである。ポリマーシラン系の例は、WO98/13426において記述されており、例えば、Siventoにより商標名Hydrosil(登録商標)のもとに販売されている。
【0033】
特に好ましいものは、アルキルシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシランおよび/またはアミノシラン、特にこのようなシランの混合物である。具体的に好ましいものは、ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランおよび/またはベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、特にこのようなシランの混合物、特にこれらのシランの少なくとも3種超の混合物である。
【0034】
本発明の効果顔料が、効果顔料の全重量に対して、≧0.5重量%の炭素含量を有することが本質的である。上限は、顔料の効果を妨げ始める量により決定されるべきである。一般的に言うと、約5%である。炭素含量は、効果顔料の全重量に対して、0.5〜3.0重量%、特に0.5〜1.5重量%の範囲にあることが好ましい。炭素含量は、乾燥顔料についての元素分析によって、好ましくはLECO CorporationによるCH分析器RC612によって測定する。
【0035】
外側コーティングは、重層構造(layered structure)ではなく、酸化物系化合物の混合物であってよい。外側コーティングは、化合物(複数)、特に酸化物系化合物(複数)の不均一な分布(inhomogeneous distribution)を示すことが有利である。酸化物系亜鉛化合物A)の濃度は、効果顔料の外側表面に最大値を有し、ベース基材に向かって低下することが好ましい。他の酸化物系化合物B)は、外側コーティング全体にわたって一様に分散させてよい。好ましくは、単一のまたは全ての酸化物系化合物B)の濃度は、効果顔料表面から始まって低下または上昇できる。特には、アルミニウムおよび/またはケイ素の酸化物系化合物の濃度の低下が、効果顔料表面から始まることが好ましい。必要とされる場合、外側コーティングは、多層構造を有するような形で構成することができる。有機カップリング剤C)の濃度は、効果顔料の外側表面に最大値を有し、ベース基材に向かって低下することが好ましい。
【0036】
好ましくは、本発明の効果顔料は、ZnOとして計算した酸化物系亜鉛化合物A)を≧0.3重量%、特に0.3〜5.0重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%、および酸化物として計算した酸化物系金属化合物B)を≧0.2重量%、特に0.2〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%、および含有炭素を≧0.5重量%、特に0.5〜3.0%、好ましくは0.5〜1.5%含む。
【0037】
本発明のとりわけ好ましい変形形態において、本発明の効果顔料は、ZnOとして計算した酸化物系亜鉛化合物A)0.3〜3.0重量%、および酸化物として計算した酸化物系金属化合物B)0.5〜3.0重量%、および炭素含量0.5〜1.5%を含む。
【0038】
ZnOとして計算した酸化物系亜鉛化合物A)0.3〜3.0重量%、および酸化物として計算した酸化物系金属化合物B)0.5〜3.0重量%、および炭素含量0.5〜1.5%からなる顔料が、特に好ましい。
全ての重量%は、効果顔料の全重量に対するものである。
【0039】
本発明の特に好ましい変形形態は、酸化物系亜鉛化合物A)と、ジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの酸化物系化合物B)の少なくとも1種と、少なくとも2種の、好ましくは少なくとも3種の有機シランとからなる外側コーティングを有する効果顔料であり、ここで、効果顔料の炭素含量は0.5〜3.0%の範囲にあり、外側コーティングが、下記の構造を有する被覆された基材を覆っている(cover):
合成雲母+TiO
2、
合成雲母+TiO
2+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)+SiO
2+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+TiO
2(アナターゼ型)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ型)。
【0040】
このような好ましい効果顔料は、特に、酸化物系亜鉛化合物A)0.3〜3.0重量%、ジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの酸化物系化合物B)の少なくとも1種0.5〜3.0重量%、ならびにヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランおよび/またはベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランから選択される有機シラン、特にこれらのシランの少なくとも3種を含む。
【0041】
さらに、本発明の目的は、湿式化学方法によって、かつ/またはゾル−ゲル法によって、A)亜鉛の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、B)少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物と、C)少なくとも1種の有機カップリング剤とを含む外側コーティングを基材に付ける(apply)ステップ、ならびにその後、そのコーティングした基材を乾燥するステップを含む、効果顔料の調製方法によって達成される。
【0042】
合成もしくは天然雲母、ガラスフレーク、SiO
2フレーク、Al
2O
3フレークまたは酸化鉄フレーク、好ましくは合成もしくは天然雲母またはガラスフレークから選択されるフレーク形態の基材が使用されることが好ましい。特に、前述した金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物およびこれらの混合物から選択される金属化合物の1以上の、場合によって交互の、層で被覆したフレーク形態の基材が使用される。
【0043】
本発明による外側コーティングを、湿式化学方法によって付けることが好ましい。適切な溶媒は、有機溶媒、水またはこれらの混合物であり、水が使用されることが好ましい。湿式化学方法によって付ける場合、対応する金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物A)およびB)、ならびに有機カップリング剤C)でのコーティングが行われる。
【0044】
特には、本発明の方法は、a)基材を溶媒中に懸濁させるステップ、b)1種以上の亜鉛塩と、ジルコニウム、セリウム、ケイ素、アルミニウムおよび/またはカルシウムの少なくとも1種以上、好ましくは少なくとも2種の塩と、少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、特に少なくとも3種の有機カップリング剤とを添加するステップ、ならびにc)そのコーティングした基材を乾燥するステップを含み、ここで金属化合物および有機カップリング剤は基材上に堆積され(deposited)、金属塩は、全部または一部、金属の酸化物、水酸化物または水和酸化物として堆積される。
【0045】
本方法は、好ましい基材ならびに前述のA)、B)およびC)の化合物を用いて有利に実行でき、特に下記の構造を有する基材:
合成雲母+TiO
2、
合成雲母+TiO
2+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル型)+SiO
2+TiO
2(ルチル型)、
合成雲母+TiO
2(アナターゼ型)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ型)を用いて;かつ酸化物系化合物B)を形成するジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの元素の少なくとも1種の化合物、ならびに、ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランおよび/またはベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランから選択される有機シラン、特にこれらのシランの少なくとも3種を用いて有利に実行することができる。
【0046】
このために、基材を溶媒、好ましくは水中に懸濁させ、有機カップリング剤および金属塩の溶液を添加する。ここで、外側コーティングの成分は基材上に析出される。金属の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物A)およびB)のための適切な出発化合物は、対応するハロゲン化物、硝酸塩および/または硫酸塩であり;対応するハロゲン化物および/または硝酸塩の使用が、好ましく行われる。リン酸またはリン酸のナトリウム塩が、亜鉛塩と組み合わせて添加できる。
【0047】
出発化合物の量およびそれぞれの材料の析出条件、例えば、pHまたは温度は、当業者に知られている形で設定および最適化することができる。反応温度が30〜100℃の範囲にあり、pHが1.5〜11の範囲にあることが好ましい。
【0048】
外側コーティングを付けるための反応は、10〜120分の時間にわたって行うことが好ましいが、所望に応じて、延長することもできる。得られた効果顔料は、当業者によく知られている方法によって、例えば濾過、乾燥および篩分けによって、後処理され(worked up)、また分離される。
【0049】
改良された適用特性のため、本発明による外側コーティングを含む効果顔料は、数多くの用途に適している。したがって、本発明は、化粧品、塗料、コーティング、印刷インキ、プラスチック、フィルムを彩色する(pigmenting)ための、セキュリティ用途(security applications)における、レーザーマーキングのための、熱保護(thermal protection)における、または着色種(colouring seed)のための、このような効果顔料の使用にさらに関する。効果顔料は、当業者に知られている全ての方法によって、それぞれの適用媒体中に組み込むことができる。
【0050】
本発明による効果顔料を含む印刷インキは、全ての知られている印刷方法、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷またはオフセット印刷などに適している。本発明による効果顔料は好ましくは塗料において用いられ、塗料は効果顔料の特別な安定性のため、全ての屋内および屋外用途、例えば、水性塗料(water−borne coatings)などの自動車用塗料に適している。本発明の効果顔料は、自動車用塗料において最も有利に使用できる。当業者に知られている全てのプラスチックおよびフィルムは、本発明による効果顔料で有利に彩色することができ、その際、効果顔料の結合は、混合によって純粋に物理的に、または外側コーティング中の対応する官能基とプラスチックとの反応によって化学的に行われ得る。
【0051】
本発明による効果顔料は同様に、有機染料および/または顔料、例えば、透明および不透明な白色、有色および黒色顔料などとのブレンドにおける、またフレーク形態の酸化鉄、有機顔料、ホログラフィック顔料、LCP(液晶ポリマー)、ならびに雲母、ガラス、Al
2O
3、Fe
2O
3、SiO
2などをベースとする金属酸化物で被覆したフレークをベースとする従来の透明、有色および黒色の光沢顔料とのブレンドにおける使用に適している。本発明による効果顔料は、市販の顔料およびフィラーと任意の比率で混合することができる。
【0052】
言及できるフィラーは、例えば、天然および合成雲母、ナイロン粉末、純粋なまたはフィラーを含む(filled)メラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の酸化物または水酸化物、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、ならびにこれらの物質の物理的または化学的組合せである。フィラーの粒子形状に関して制約はない。フィラーは、例えば、要求に従ってフレーク形態、球状または針状の形状とすることができる。
【0053】
下記の例は、本発明をより詳細に説明することを意図しているが、本発明を制約するものではない。
【0054】
例
例1
Pyrisma(登録商標)T30−22の10%スラリー(顔料/イオン交換水100g/1000g)を調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、HCl溶液によりスラリーのpHを2.1に調節する。このスラリー中に塩化セリウム溶液を添加する。次に、オキシ塩化ジルコニウム、次亜リン酸ナトリウム溶液およびHCl溶液の混合物を、60分間同時に(simultaneously)滴加する。その間、NaOH溶液によりpHを2.1に保持する。30分保持した後、NaOH溶液によりpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム(sodium hydrate)溶液を、pH5.5で同時に滴加する。次に、pHを6.2に調節し、塩化亜鉛溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH6.2で同時に滴加する。次いで、メタクリルシラン、エポキシシラン、アルキルシランの混合物をこの溶液中に添加し、溶液を15分間保持する。その後、NaOH溶液によりpHを7.0まで上げ、これを1時間保持する。このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0055】
この効果顔料は、炭素含量1.1%、ZrO
2/Ce
2O
3/Al
2O
3合計2.5%およびZnO 0.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0056】
例2(比較)
Pyrisma(登録商標)T30−22の10%スラリー(顔料/イオン交換水100g/1000g)を調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、HCl溶液によりこのスラリーのpHを2.1に調節する。このスラリー中に塩化セリウム溶液を添加する。次に、オキシ塩化ジルコニウム、次亜リン酸ナトリウム溶液および塩化水素溶液の混合物を、60分間同時に滴加する。その間、NaOH溶液によりpHを2.1に保持する。30分保持した後、NaOH溶液によりpHを7.0まで上げ、15分間保持する。最後に、アミノシランをこの溶液中に添加し、これを60分間保持する。このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0057】
この効果顔料は、炭素含量0.2%、ZrO
2/Ce
2O
3合計2.7%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0058】
例3(比較)
Pyrisma(登録商標)T30−22の10%スラリー(顔料/イオン交換水100g/1000g)を調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、HCl溶液によりスラリーのpHを2.1に調節する。このスラリー中に塩化セリウム溶液を添加する。次いで、オキシ塩化ジルコニウム、次亜リン酸ナトリウム溶液および塩化水素溶液の混合物を、60分間同時に滴加する。NaOH溶液によりpHを2.1に保持する。30分間保持した後、NaOH溶液によりpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH5.5で同時に滴加する。pHを6.2に調節した後、塩化亜鉛溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH6.2で同時に滴加する。15分保持した後、NaOH溶液によりpHを7.0まで上げ、溶液を15分間保持する。最後に、アミノシランをこの溶液中に添加し、これを60分間保持する。このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0059】
この効果顔料は、炭素含量0.2%、ZrO
2/Ce
2O
3/Al
2O
3合計2.5%およびZnO 0.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0060】
例4(比較)
Pyrisma(登録商標)T30−22の10%スラリー(顔料/イオン交換水100g/1000g)を調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、HCl溶液によりスラリーのpHを2.1に調節する。このスラリー中に塩化セリウム溶液を添加する。次いで、オキシ塩化ジルコニウム、次亜リン酸ナトリウム溶液および塩化水素溶液の混合物を、60分間同時に滴加する。NaOH溶液によりpHを2.1に保持する。30分保持した後、NaOH溶液によりpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH5.5で同時に滴加する。次に、pHを6.2に調節し、塩化亜鉛溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH6.2で同時に滴加する。15分保持した後、エポキシシランをこの溶液中に添加し、この溶液を15分間保持する。NaOH溶液によりpHを7.0まで上げ、溶液を15分間保持する。最後に、アミノシランをこの溶液中に添加し、これを60分間保持する。このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0061】
この効果顔料は、炭素含量0.4%、ZrO
2/Ce
2O
3/Al
2O
3合計2.5%およびZnO 0.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0062】
例5
Iriodin(登録商標)6103/イオン交換水100g/1000gの10%スラリーを調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、スラリーのpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、同時に滴加する。次に、塩化亜鉛溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH5.5で同時に滴加する。シランカップリング剤であるメタクリルシラン、エポキシシランおよびアルキルシランの混合物を、このスラリー中に滴下する。最後に、スラリーpHを7.0に調節し、シランカップリング剤であるアミノシラン溶液をこの溶液に添加する。これを1時間保持した後、このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0063】
この効果顔料は、炭素含量0.7%、Al
2O
31.5%およびZnO 1.0%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0064】
例6(比較)
Iriodin(登録商標)6103/イオン交換水100g/1000gの10%スラリーを調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。スラリーのpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、同時に滴加する。スラリーpHを7.0に調節する。これを1時間保持した後、このスラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0065】
この効果顔料は、炭素含量0%、およびAl
2O
31.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0066】
例7(比較)
Iriodin(登録商標)6103/イオン交換水100g/1000gの10%スラリーを調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。スラリーのpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、同時に滴加する。シランカップリング剤であるメタクリルシラン、エポキシシランおよびアルキルシランの混合物を、このスラリーに滴下する。次いで、スラリーpHを7.0に調節し、シランカップリング剤であるアミノシラン溶液をこのスラリーに添加する。これを1時間保持した後、スラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。最後に、乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0067】
この効果顔料は、炭素含量0.6%、およびAl
2O
31.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0068】
例8(比較)
Iriodin(登録商標)6103/イオン交換水100g/1000gの10%スラリーを調製し、撹拌しながら温度を55℃まで上げる。次いで、スラリーのpHを5.5に調節し、塩化アルミニウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を、同時に滴加する。次に、塩化亜鉛溶液および水酸化ナトリウム溶液を、pH5.5で同時に滴加する。スラリーpHを7.0に調節する。これを1時間保持した後、スラリーを濾過し、イオン交換水で洗浄する。このケーキを、130℃で2.5時間乾燥する。最後に、乾燥した試料を、32μm篩によって篩分ける。
【0069】
この効果顔料は、炭素含量0%、ZnO 2.0%およびAl
2O
31.5%を含む。全ての百分率は、重量基準で、効果顔料の全重量に対するものである。炭素含量は、LECO CorporationによるCH分析器RC612により測定する。
【0070】
試験例
本発明による顔料および比較例の顔料を、下記の試験方法によって調べ、結果を表1(Pyrisma(登録商標)がベース)および表2(Iriodin(登録商標)がベース)中に示す。
【0071】
光活性試験
顔料試料をプラスチックマトリックス中に組み込み、Pb
2+のPbへの還元の程度を、目視で決定する。灰色着色(grey coloration)の査定を、ISO 105-Part A 02(DIN 54 001に対応する)に従って行う。試験等級は5(非常に良好)から1(非常に悪い)までにわたる。
【0072】
熱水浸漬試験
耐熱水性:○は良好であり、△は悪く、×は最悪である。この評価は、焼付け型(baking type)のアクリル−メラミン樹脂の使用による熱水浸漬試験からである。試験用パネルは、2回塗装1回焼付け系によって調製する。熱水浸漬試験条件は、80℃8時間である。試験後、上塗り層(finish)の白化(whitening)/しわ(wrinkling)を評価する。
【0073】
加速耐候性試験(SX試験)
顔料試料をポリメタクリル酸メチル樹脂中に組み込み、DIN 11341に従ってAtlas Xenotest Beta+装置内で1000時間試験する。色変化を、非曝露試料と比較して目視観察によって評価する。試験等級は1(非常に良好)から5(非常に悪い)までにわたる。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】