(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)のための前記分散媒体が、水、及び、溶媒と水からの混合物であって25℃で測定して35〜100mN/mの表面張力を有するもの、からなる群から選択されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本特許出願は、2010年11月23日の出願日を有する、係属中の仮米国特許出願第61/416,319号の優先権を主張し、この内容は、参照によりその全体において本特許出願中に取り込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも1のポリマー及び少なくとも1の更なる成分を含むポリマー混合物の製造方法に関し、この方法では、前記更なる成分の液状の溶液又は分散液が、粒子形態で存在する前記ポリマー上に噴霧器によって設けられ、このポリマー粒子は引き続き乾燥され、そして通常は成形プロセスにおいて更に加工される。
【0003】
ポリマーは、通常は、純粋な物質として使用されず、大抵は更なる成分と混合して使用される。熱可塑的に加工可能なポリマーでは、例えば、一方では、そのより良好な機械的特性故に、高い分子量を有するポリマーが所望されるが、低い分子量を有するポリマーがより良好に加工され、しかし、このことは、製造された生成物の機械的特性と引き替えである、という問題が頻繁に課せられる。
【0004】
この問題の解決アプローチは、レオロジー特性及び機械的特性の改善のためのナノ粒子の使用であり、例えばWO 2004/74360 A及びWO 2008/084021 Aに記載されている。
【0005】
しかし、ポリマーマトリックス中へのナノ粒子の均一な分布を伴ってのポリマーへのナノ粒子の混和は困難であり、それというのも、例えば押出機又は溶融混合機中での溶融物中のナノ粒子とポリマーの混合は、ナノ粒子が混合の際に集合してより大きなアグロメレートになり、そのようにしてナノ粒子の好ましい作用を低下させることを頻繁に生じるからである。
【0006】
加工性の改善のための他の手段は、熱可塑性ポリマーへの超分枝ポリマーの添加である。それによって、流動性、特に長期特性が改善され、例えばWO 2010/054933、WO 2009/115535及びWO 2009/115536を参照されたい。
【0007】
有機化合物では、混合の間の前記化合物の熱分解が問題を呈し、場合によっては揮発性ガスが遊離することすらあり得る。この熱分解は、ポリマー中の活性化合物の量を減少させ、さらに、この分解生成物は、ポリマー、所望の使用目的及び/又は使用される加工設備にとって有害であることがあり、例えば、分解生成物が腐食性である場合である。
【0008】
本発明の課題は、ポリマーと少なくとも1の更なる成分との混合物を製造することができ、その場合に、不所望な分解反応を促進するより高い温度による負荷が減少され、より劣悪な、例えばより不均一な混合成分分布を生じない方法を提供することであった。特に、この方法は、ナノ粒子が可能な限り微細に分布して存在し、そして、ナノ粒子からのアグロメラート形成が可能な限り少ない、ポリマーとナノ粒子との混合物の製造を可能にすることが望ましい。
【0009】
前記課題は、本発明に応じて、以下の、少なくとも1のポリマー(A)及び少なくとも1の成分(B)を含むポリマー混合物の製造方法であって、
(a) グラニュールとして(A)を準備する工程、
(b) 分散媒体中の液状の溶液及び/又は分散液として(B)を準備する工程、
(c) 工程(a)で準備されたグラニュールに、液滴として、工程(b)で準備された溶液及び/又は分散液を、噴霧器を用いて設ける工程、
(d) 工程(c)で得られたグラニュールを乾燥する工程、及び
(e) 場合によって、1又は複数の成形工程を実施する工程
を含む、 少なくとも1のポリマー(A)及び少なくとも1の成分(B)を含むポリマー混合物の製造方法によって解決される。
【0010】
前記ポリマーグラニュールへ少なくとも1の更なる成分(B)を小さい液滴の形で設け、引き続き前記分散媒体を除去することによって、一様かつ極めて微細な、成分(B)の分布が、ポリマーグラニュール上で達成され、その場合に、前記ポリマー及び前記成分(B)は強力な温度負荷に曝される必要はない。成分(B)としてのポリマーの使用では、このことは例えば、溶融混合で通常に発生するポリマー分子量低下の減少で好ましく認識可能になる。本発明の方法後にナノ粒子がポリマーと混合される場合に、ナノ粒子のアグロメレーションは顕著に低下され、このことは例えば、溶融混合により又は本発明により製造されそのつど引き続き押出しされたポリマー−ナノ粒子−混合物の比較が示す通りである。
【0011】
(A)として使用される少なくとも1のポリマーが、いわゆる固相重縮合(solid state polycondensation)により製造されるポリマーから選択される場合に、本発明の方法は特に簡易に、製造プロセスに、特に後縮合工程(ここで、予備縮合されたポリマーが若干の時間にわたりポリマーのガラス転移温度及び溶融温度未満の温度で維持される)に組み込まれ、これは、ポリマーの分子量を更なる縮合反応によって高めるためである。
【0012】
以下では、本発明は詳細に説明される。
【0013】
本発明の方法の工程(A)では、グラニュールとして少なくとも1のポリマー(A)が準備される。前記少なくとも1のポリマー(A)は、そうして、粒子形態にある。前記グラニュールは、篩分けによって測定して、通常は、5μm〜5mm、好ましくは50μm〜4mm、特に好ましくは100μm〜2mmのD
50値を有する。グラニュール粒子の直径として、本発明では、粒子の最長寸法が理解される。本発明では、グラニュール粒子は全ての任意の形態において使用されることができ、例えば丸、楕円、円柱状その他であり、これらは、規則的又は不規則的な形態及び規則的又は不規則的な表面を有することができる。
【0014】
本発明では少なくとも1のポリマー(A)は好ましくは熱可塑性ポリマーから選択される。「熱可塑性ポリマー」(熱可塑性樹脂とも呼ばれる)は、本発明の範囲では、熱可塑性に加工可能であるポリマー、即ち、加熱によって可塑的に変形可能であるポリマー、を意味する。この場合に、熱可塑性ポリマーは、加熱によって繰り返し可塑的に変形可能になることによって特徴付けられる。熱可塑性ポリマーとは、本発明では、熱可塑性エラストマーも該当する。原則的に、全ての種類の熱可塑性樹脂が本発明の方法で使用できる。適した熱可塑性樹脂の列記はKunststoff−Taschenbuch, Herausgeber Saechtling, 1989に見出すことができる。この熱可塑性樹脂の製造方法は一般に知られており、かつ、種々の熱可塑性樹脂が商業的に入手される。適した熱可塑性樹脂の例は、ポリアミド、ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタラート及びポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリカーボナート、ビニル芳香族ポリマー、例えばポリスチレン並びにそのコポリマー及び混合物である。
【0015】
本発明では特に好ましくは、少なくとも1のポリマー(A)は、重縮合を用いて製造可能であるポリマーから選択される。これは重縮合物とも称される。重縮合とは、単純な、即ち、低分子量の化合物、例えば水の脱離下での、繰り返した縮合工程による重合を意味する。最も頻繁に使用される重縮合物には、ポリアミド、ポリエステル及びポリカーボナートが属する。さらに、いくつかの高性能ポリマーが重縮合によって製造され、例えばポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリフェニレンスルホン及びポリフェニレンスルフィドである。
【0016】
更なる適したポリマーは、ポリオレフィン、例えばポリエチレンホモポリマー及びポリエチレンコポリマー及び/又はポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリラート及びこの段落中の及び前に列記した熱可塑性ポリマーの混合物である。
【0017】
いくつかの好ましい熱可塑性ポリマーを、以下では詳細に記載する。
【0018】
1.ポリアミド
本発明の方法で使用されるポリマーは、ISO307で決定して、25℃で96%硫酸中の0.5質量%の前記ポリマー溶液中で、通常は、90〜350ml/g、好ましくは110〜240ml/gの粘度数(内部粘度、過去にはシュタウジンガー指数)を有する。
【0019】
好ましくは、少なくとも5000g/molの分子量M
wを有する半結晶性又は無定形のポリマーを使用し、これは例えばUS2,071,250、US2,071,251、US2,130,523、US2,130,948、US2,241,322、US2,312,966、US2,512,606及びUS3,393,210に記載されている。
【0020】
その中では、例えば、7〜13員環のラクタム環から、例えばポリカプロラクタム、ポリカプリロラクタム及びポリラウロラクタムから製造されたポリアミドが記載され、また、ジカルボン酸とジアミンとの反応によって得られたポリアミドも記載される。
【0021】
ジカルボン酸として、例えば、6〜12個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が使用されることができる。さらに、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸が該当する。
【0022】
特に適したジアミンは、6〜12個の炭素原子、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアルカンジアミン、並びに、m−キシレンジアミン、ジ(4−アミノ−フェニル)メタン、ジ(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン又は2,2−ジ(4−アミノシクロヘキシル)プロパンである。
【0023】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバザミド及びポリカプロラクタム及びまたナイロン−6/6,6であり、特に5〜95質量%の割合のカプロラクタム単位を有するものである。ポリカプロラクタム(ポリアミド−6又はナイロン−6)及びポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド−6,6又はナイロン−6,6)は特に好ましい。これら化合物は、例えば、商標名Ultramid
登録商標 B及びUltramid
登録商標 Aのもとで、BASF SEから市販されている。
【0024】
さらに、例えば1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との高温での縮合によって得ることができるポリアミド(ナイロン−4,6)が言及されるものである。この構造を有するポリアミドのための製造方法は例えばEP 38094A、EP 38582A及びEP 39524Aに記載されている。他の適したポリアミドは、2又はそれより多い前述のモノマーの共重合によって得られることができる。1より多いポリアミドの混合物は同様に適しており、その際、この混合比は、望みに応じて調節されることができる。
【0025】
特別な利点を有する他のポリアミドは、部分芳香族コポリアミド、例えばナイロン−6/6T及びナイロン−6,6/6,Tであり、これは0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満のトリアミン含有量を、分子量に対して有する(EP 299444A)。少ないトリアミン含有量を有する部分芳香族コポリアミドは、EP 129195A及びEP 129196Aに記載の方法により製造されることができる。
【0026】
他の適したポリアミドは、好適な安定化剤、例えばアミンを含むポリアミド−6,6を基礎とする未着色ポリアミドを含む。この化合物はUltramid
登録商標AE製品としてBASF SEから入手される。同様に適したポリアミドは、ポリアミド−6を基礎とするガラス繊維強化した混合物である。そのような製品は、Ultramid
登録商標BEとしてBASF SEから市販されている。
【0027】
2.ポリエステル
通常は、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族及び/又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルが使用される。
【0028】
好ましいポリエステルの第1の群は、そのアルコール残基が2〜10個の炭素原子を有するポリアルキレンテレフタレートである。
【0029】
この種のポリアルキレンテレフタラートはそれ自体知られている。その主鎖は、芳香族ジカルボン酸から誘導されている芳香族環を含む。この芳香族環は、例えばハロゲン、例えば塩素又は臭素によって、又はC
1〜C
4−アルキル基、例えばメチル、エチル、イソ−又はn−プロピル又はn−、イソ−又はtert−ブチル基によって置換されていてよい。
【0030】
これらポリアルキレンテレフタラートは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル又はエステル形成誘導体と、脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応によって知られているように得られることができる。
【0031】
好ましいジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はその混合物である。32mol%までの、好ましくは10mol%を超えない芳香族ジカルボン酸は、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びシクロヘキサンジカルボン酸によって置き換えられることができる。このmol%の記載は、ポリマーの全分子量に対する。
【0032】
好ましい脂肪族ジヒドロキシ化合物は、2〜8個の炭素原子を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール又はその混合物である。
【0033】
特に好ましいポリエステルは、2〜6個の炭素原子を有するアルカンジオールから得られるポリアルキレンテレフタラートである。このうち、特には、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート及びポリブチレンテレフタラート及びその混合物が好ましい。同様に好ましくは、更なるモノマー単位として1質量%までの、好ましくは0.75質量%までの1,6−ヘキサンジオール及び/又は2−メチル−1,5−ペンタンジオールを含む、PET(ポリエチレンテレフタラート)及び/又はPBT(ポリブチレンテレフタラート)である。質量%での記載は、ポリアルキレンテレフタラートの全質量に対する。
【0034】
ポリエステルの粘度数は、通常は、ISO1628により25℃で質量比1:1でのフェノールとo−ジクロロベンゼンからの混合物中のポリエステルの0.5質量%溶液中で測定して、50〜220、好ましくは80〜160の範囲内にある。
【0035】
特に好ましくは、そのカルボキシ末端基の含有量が、100mval/kgポリエステルまで、好ましくは50mval/kgポリエステルまで、特に40mval/kgポリエステルまでであるポリエステルである。この種のポリエステルは、例えばDE 4401055Aの方法に応じて製造されることができる。カルボキシ末端基の含有量は通常は、滴定方法によって、例えば電位差滴定によって決定される。
【0036】
本発明の方法に適した組成物は、PBTとは異なるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)及び/又はポリカーボナートの混合物も含む。この場合に、例えばポリエチレンテレフタラート及び/又はポリカーボナートの比は混合物中で、(A)の全質量の100質量%を基礎として好ましくは50質量%まで、特に10〜30質量%である。
【0037】
本発明の方法における使用のための適したポリエステルは、生分解可能なポリエステル、例えば脂肪族芳香族ランダムコポリエステルであって例えばアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、1,4−ブタンジオール及び1,3−ブタンジオールを基礎とするものも含む。これら生成物は、生分解可能であるだけでなく、そのモノマーは再生可能な供給源からも入手される。生分解可能なポリエステルは、例えばBASF SEから商標名Ecoflex
登録商標で入手できる。
【0038】
リサイクル材料、例えばPETを、場合によって更なるポリアルキレンテレフタラート、例えばPBTと混合して使用することも好ましい。
【0039】
このリサイクルされた材料は、ペレット化されるか又は破砕された材料として使用できる。ポリエステルはこの加工の間に、湿分痕跡量のために加水分解されるため、リサイクルされた材料を事前に乾燥することが推奨される。乾燥後の残留湿分含有量は、ポリエステルの全質量に対して好ましくは0.01〜0.7%、特に0.2〜0.6%である。
【0040】
ポリエステルの更なる適した群は、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジヒドロキシ化合物から製造される完全芳香族ポリエステルである。
【0041】
適した芳香族ジカルボン酸は、上でポリアルキレンテレフタラートの製造のために記載の化合物である。好ましくは、混合物に対して、5〜100mol%のイソフタル酸及び0〜95mol%のテレフタル酸、特に50〜80mol%のテレフタル酸と20〜50mol%のイソフタル酸との混合物が使用される。
【0042】
3.ポリカーボナート
少なくとも1のポリマー(A)として、ホモポリカーボナート又はコポリカーボナートが使用されることができる。好ましくは、ビスフェノールAを有するホモポリカーボナート及びコポリカーボナートが使用される。好適なポリカーボナートは、知られているように分岐していてよく、例えば全ビスフェノール量に対して、少なくとも三官能性化合物、例えば3又はそれより多いフェノール性OH基を有する化合物0.05〜2.0mol%の組み込みによって分岐していてよい。
【0043】
好ましいポリカーボネートは、10000〜200000g/mol、好ましくは20000〜80000g/molの分子量M
w(質量平均)を有する。
【0044】
ポリカーボナートは、例えば界面にあるホスゲン又は均一相中のホスゲンとジフェノールとの反応によって(ピリジン法として知られている)製造されることができ、全ての場合に所望の分子量が、知られているように、適量の連鎖停止剤の使用によって調節されることができる。
【0045】
特に好ましくは、本発明のポリアミド、特にポリアミド−6,6及びポリアミド−6である。これらポリアミドは、例えば商標名Ultramid
登録商標でBASF SEから市販されている。同様に、本発明により好ましくはポリエステル、特にポリブチレンテレフタラート(PBT)である。この種のPBTは、商標名Ultradur
登録商標でBASF SEから市販されている。同様に特に好ましくはポリカーボナートである。さらに好ましくは、ポリアミド、ポリエステル及び/又はポリカーボナートを含むコポリマー及びその混合物である。特に好ましくは、少なくとも1のポリマー(A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリエステル及び/又はポリカーボナートを含むコポリマー、及び、前記ホモポリマー及び/又はコポリマーからの混合物、からなる群から選択されている。
【0046】
本発明の方法に応じて製造可能なポリマー混合物は、通常は、ポリマー混合物の全質量に対して1〜99.9質量%の少なくとも1のポリマー(A)、好ましくは5〜99.9質量%、特に好ましくは8〜99.9質量%の少なくとも1のポリマー(A)を含む。(A)として、1、2又はそれより多いポリマーを使用できる。2又はそれより多いポリマーを(A)として使用する場合には、工程(a)では、2又はそれより多いポリマーのグラニュールからの混合物を使用でき、しかし、まず2又はそれより多いポリマーから、その粒子が2又はそれより多いポリマーからの混合物を含む混合グラニュールも、例えば共通の押出によって製造されてよい。混合グラニュール及び1のポリマーからのグラニュールは一緒に使用されてもよい。
【0047】
ポリマー混合物中の少なくとも1の更なる成分(B)の含有量は、通常は、ポリマー混合物の全質量に対して0.1〜99質量%、好ましくは0.1〜95質量%、特に好ましくは0.1〜92質量%である。本発明のポリマー混合物中の少なくとも1のポリマー(A)の量は、通常は、ポリマー混合物の全質量に対して1〜99.9質量%、好ましくは5〜99.9質量%、特に好ましくは8〜99.9質量%である。
【0048】
濃度に関する前述の範囲は、この場合に、より狭い意味合いでポリマー混合物並びに中間生成物としてのいわゆるマスターバッチであって(A)中に成分(B)が濃く濃縮した形で提供されるものを含む。
【0049】
通常は、ポリマー混合物は、そのつどポリマー混合物の全質量に対して、50〜99.9質量%の少なくとも1のポリマー(A)及び0.1〜50質量%の成分(B)を含み、好ましくは90〜99.9質量%の少なくとも1のポリマー(A)及び0.1〜10質量%の成分(B)を含み、特に好ましくは95〜99.9質量%の少なくとも1のポリマー(A)及び0.1〜5質量%の成分(B)を含む。
【0050】
成分(B)として、原則的には、好適な形で、例えば溶液として、コロイドとして、分散液、懸濁液又はエマルションとして吹き付けられる、全ての化合物及び物質が使用できる。それらには、低分子量の有機及び無機の化合物、高分子量の有機化合物、例えばポリマー、高分子量の無機化合物、例えばシリケートゾル等、が属する。さらに、有機及び無機のナノ粒子が本発明の方法を用いて設けられることができる。有機ナノ粒子は、例えば、ポリマーラテックスであり、無機ナノ粒子は例えば微細状金属酸化物であってよい。
【0051】
少なくとも1の成分(B)は、本発明では好ましくは、ナノ粒子及び/又はポリマーから選択されている。
【0052】
ナノ粒子は、通常は、数平均粒径(粒子サイズとも称される)(D
50値)1〜500nm、好ましくは1〜250nm、より好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜50nm、とりわけ好ましくは1〜20nmを有する。平均粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、動的光散乱、超遠心(コロイド溶液の平均粒径測定に特に適している)、フィールド−フロー−分別(field flow fractionation)又は電子顕微鏡(TEM及び/又はSEM)によって決定されることができる。この場合に、狭い粒径分布並びに広い粒径分布を有するナノ粒子が使用できる。
【0053】
ナノ粒子は、好ましくは、直径(ナノ粒子の最短寸法)に対する長さ(ナノ粒子の最長寸法)の比率1〜50、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜5、とりわけ1〜3を有する。
【0054】
原則的に、当業者にナノ粒子として知られている全ての材料が、少なくとも1の更なる成分(B)として使用できる。それらには、炭素含有ナノ粒子、例えばフラーレン、炭素ナノチューブ及びカーボンブラック、金属及び半金属の酸化物及び酸化物水和物、金属及び金属スルフィドが属する。
【0055】
ナノ粒子の製造方法は、当業者に根本的に知られている。機械的−物理的方法を用いて、トップ−ダウン−戦略に応じて、マイクロ粒子からナノ粒子が得られることができ、この方法は、例えば金属性及びセラミック性ナノ粒子の製造の際に使用される。この場合に、マイクロ粒子は、例えば高エネルギーボールミル中での破砕によって又は反応性破砕を用いて細分化される。化学的−物理的製造方法は、ボトムアップ戦略に従い、それによれば、複雑な構造が、原子又は分子から、場合によって原子/分子の自己組織化機構を利用して狙いを定めて組み立てられることができる。それらには、例えば、液相中で実施されるゾル−ゲル法、熱水プロセス及び沈殿方法並びに気相中で実施される方法、例えばプラズマ方法、火炎加水分解及び噴霧熱分解、が該当する。多くのナノ粒子は、例えばコロイド溶液(ゾル)の形でも市販されている。
【0056】
ゾルの製造方法は、当業者に知られており、かつ、例えばIler, Ralph K. 「The Chemistry of Silica」、第4章: 「Colloidal Silica−Concentrated Sols」、John Wiley & Sons, New York, 1979, ISBN: 0−471−02404−X、331−343頁に記載されている。
【0057】
金属及び/又は半金属の酸化物及び/又は酸化物水和物の製造のためのゾル−ゲル方法は、当業者に同様に知られている。そのようなゾル−ゲル方法は、例えばSanchez et al., Chemistry of Materials 2001,13,3061−3083に記載されている。
【0058】
本発明では好ましくは、ナノ粒子が、金属及び半金属の酸化物及び酸化物水和物から、特にSi、Ti、Fe、Ba、Zr、Zn、Al、Ga、In、Sb、Bi、Cu、Ge、Hf、La、Li、Nb、Na、Ta、Y、Mo、V、Sn及びその混合物の酸化物及び酸化物水和物から選択される。特に好ましくは、ナノ粒子は、Si、Ti及びBaの、特にSiの酸化物及び酸化物水和物から選択される。
【0059】
少なくとも1の更なる成分(B)として使用されるポリマーは、溶液として準備されることができ、しかし、これはナノ粒子としても存在でき、例えばこれはエマルション重合又はマイクロエマルション重合を用いて製造される。後者は、特に架橋したポリマーに該当する。本発明で好ましくは、分枝状及び/又は超分枝状ポリマーが、少なくとも1の更なる成分(B)として使用される。ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン及びその混合物から選択される(B)として使用されるポリマーがさらに好ましい。
【0060】
「超分枝状」との特徴は、本発明の範囲では、問題となるポリマーの分岐度DB(degree of branching)[DB(%)=100×(T+Z)/(T+Z+L)(式中、Tは、末端結合したモノマー単位の平均数、Zは分枝を形成するモノマー単位の平均数、Lはそのつどのポリマーのマクロ分子中の鎖状結合したモノマー単位の平均数)として定義される]が、10〜98%、好ましくは25〜90%、特に好ましくは30〜80%であることを意味する。
【0061】
本発明の範囲内では、特に好ましく高官能性超分枝ポリエチレンイミン、超分枝ポリエーテルアミン及びその混合物が少なくとも1の更なる成分(B)として使用される。
【0062】
高官能性超分枝ポリエチレンイミンとは、本発明の範囲において、ポリマー骨格を形成する二級アミノ基及び三級アミノ基の他に、末端又は側位にさらに平均して少なくとも3、好ましくは少なくとも6、特に好ましくは少なくとも10個の官能基を有する生成物が理解される。官能基とは、好ましくは一級アミノ基である。末端又は側位の官能基の数は、原則として、上記によれば限定されず、しかし、極めて多くの数の官能基を有する生成物は不所望な特性、例えば高粘度及び劣悪な溶解性を示すことがある。本発明の高官能性超分枝ポリエチレンイミンは、好ましくは、多くとも500個の末端又は側位の官能基を有し、特に多くとも100の末端又は側位の基を有する。
【0063】
ポリエチレンイミンとは、本発明の意味合いにおいて、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,「Aziridines」, electronic release(2006年12月15日に公開の論文)中の方法に応じて又はWO−A 94/12560に応じて入手されるホモポリマーもコポリマーも理解されるものである。
【0064】
ホモポリマーは、好ましくは、酸分解化合物、酸又はルイス酸の存在下で水溶液又は有機溶液中でのエチレンイミン(アジリジン)の重合によって得られる。そのようなホモポリマーは、通常は一級、二級及び三級アミノ基を約30%対40%対30%の比で含む分枝状ポリマーである。アミノ基の分布は、
13C−NMR分光法によって決定されることができる。
【0065】
コモノマーとして、好ましくは、少なくとも2個のアミノ官能基を有する化合物が使用される。適したコモノマーとして、例えば、アルキレン基中に2〜10個の炭素原子を有するアルキレンジアミンが挙げられ、エチレンジアミン及びプロピレンジアミンが好ましい。さらに適したコモノマーは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン及びビスアミノプロピルエチレンジアミンである。
【0066】
ポリエチレンイミンは、通常は、100〜3000000、特に800〜2000000g/molの範囲にある平均分子量(質量平均)を有する。
【0067】
アジリジンの触媒作用した重合によって得られるポリエチレンイミンはこの場合に通常は、800〜50000g/mol、特に1000〜30000g/molの範囲に質量平均分子量を有する。高分子量ポリエチレンイミンは、特に、前述のポリエチレンイミンと二官能性アルキル化化合物、例えばクロロメチルオキシラン又は1,2−ジクロロエタンとの反応によって、又は、広い分子量分布を有するポリマーの限外濾過(例えばEP−A 873371及びEP−A 1177035に記載)によって、又は架橋によって得られる。
【0068】
さらに、成分(B)として、ポリエチレンイミンと、官能基として少なくとも1のハロゲンヒドリン単位、グリシジル単位、アジリジン単位、イソシアナート単位又はハロゲン原子を有する二官能性又は多官能性架橋剤との反応によって得られる架橋したポリエチレンイミンが適する。例として、2〜100個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を有するポリアルキレングルコールのエピクロロヒドリン又はビスクロロヒドリンエーテル並びにDE−A 19931720及びUS 4144123に記載の化合物が挙げられる。架橋したポリエチレンイミンの製造方法は、特に、上述の公報並びにEP−A 895521及びEP−A 25515から知られている。架橋したポリエチレンイミンは、通常は20000g/molより高い平均分子量を有する。
【0069】
さらに、成分(B)として、グラフトされたポリエチレンイミンが考慮され、グラフト剤として、ポリエチレンイミンのアミノ基又はイミノ基と反応できる全ての化合物が使用できる。適したグラフト剤及びグラフトしたポリエチレンイミンの製造方法は例えばEP−A 675914から取り出すことができる。
【0070】
同様に、適したポリエチレンイミンは、通常はポリエチレンイミンとカルボン酸、そのエステル又は無水物、カルボン酸アミド又はカルボン酸ハロゲン化物との反応によって得られるアミド化ポリマーである。ポリエチレンイミン鎖中のアミド化窒素原子の割合に応じて、アミド化ポリマーは後から前述の架橋剤で架橋されることができる。好ましくは、この場合に、30%までのアミノ官能基がアミド化され、それによって、引き続く架橋反応にはなお十分に一級及び/又は二級窒素が提供される。
【0071】
さらに、例えばポリエチレンイミンとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの反応によって得られるアルコキシル化ポリエチレンイミンが適する。そのようなアルコキシル化ポリマーは引き続き架橋可能である。
【0072】
成分(B)として適した更なるポリエチレンイミンとして、ヒドロキシ基含有ポリエチレンイミン及び両性ポリエチレンイミン(アニオン性基の組み込み)並びに通常はポリマー鎖への長鎖炭化水素基の組み込みによって得られる親油性ポリエチレンイミンが挙げられる。そのようなポリエチレンイミンの製造方法は当業者に知られており、そのため、更なる詳細はここでは不要である。
【0073】
成分(B)として使用されるポリエチレンイミンは、好ましくは800〜50000g/mol、特に好ましくは1000〜40000g/mol、特に1200〜30000g/molの質量平均分子量(光散乱法によって決定)を有する。平均分子量(質量平均)は、好ましくは、水溶液(水;0.02mol/lギ酸、0.2mol/l KCl)中の標準としてプルランを用いたゲル濾過クロマトグラフィによって決定される。
【0074】
DIN 53176によって決定された、成分(B)として使用されるポリエチレンイミンのアミン価は、50〜1000mg KOH/gの範囲にあるのが好ましい。好ましくは、成分(B)として使用されたポリエチレンイミンは、DIN 53176によれば、100〜900mg KOH/g、特に好ましくは150〜800mg KOH/gのアミン価を有する。
【0075】
高官能性超分枝状ポリエーテルアミンとは、本発明の範囲において、エーテル基及びアミノ基(ポリマー骨格を形成)の他に、末端又は側位でさらに平均して少なくとも3個、好ましくは少なくとも6個、特に好ましくは少なくとも10個の官能基を有するポリマーが理解されることができる。官能基とは、好ましくはOH基である。末端又は側位の官能基の数は、原則的には上側では限定されず、しかし、極めて多くの数の官能基を有する生成物は、不所望な特性、例えば高粘度又は劣悪な溶解性を示すことがある。本発明の高官能性超分枝状ポリエーテルアミンポリオールは、好ましくは、多くとも500個の末端又は側位の官能基、特に多くとも100個の末端又は側位の基を有する。
【0076】
ポリエーテルアミンは、
−官能性ヒドロキシ基を有する少なくとも1の三級アミン、特に少なくとも1のジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン又はテトラアルカノールアミンの
−任意に、ヒドロキシル基を置換基として有する二級アミン、特にジアルカノールアミンの存在下、及び/又は、任意に
−二官能性又はより高官能性ポリエーテルポリオールの存在下、
の反応によって得られ、前記反応は好ましくは、エーテル交換触媒及びエーテル化触媒の存在下で実施される。
【0077】
さらに、成分(B)として使用されるポリマーの更なる好ましい一実施態様は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド、特に内部ポリエチレンオキシドブロックを有するポリエチレンイミンと、及び、外部ポリプロピレンオキシドブロック(例えば、出願番号07120395.4を有するヨーロッパ特許出願に記載)並びにアルコキシル化ポリエチレンイミン(例えば、出願番号07120393.9を有するヨーロッパ特許出願に記載)との反応によって前述のように得られるポリエーテルアミンの更なる反応により得られる。
【0078】
好ましくは、成分(B)として使用されるポリエーテルアミンは、平均して少なくとも3個の官能性OH基を一分子あたり有し、即ち、平均OH官能性は少なくとも3である。特に好ましくは、成分(B)として使用されるポリエーテルアミンは、少なくとも1のトリアルカノールアミンと任意にジアルカノールアミン及び/又は任意に二官能性又はより高官能性ポリエーテルオールとの反応により得られる。
【0079】
超分枝ポリエーテルアミン(B)は、反応後に、即ち更なる修飾なしに、ヒドロキシル基で終端化されている。これは、種々の溶媒に良好に溶解する。
【0080】
そのような溶媒の例は、芳香族及び/又は(環状)脂肪族炭化水素及びその混合物、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル及びエーテルである。
【0081】
成分(B)として使用したポリエーテルアミンのDIN 53240に応じて決定したOH価は、50〜1000mg KOH/gの範囲が好ましい。好ましくは、成分(B)は、100〜900mg KOH/gの、特に好ましくは150〜800mg KOH/gの、DIN 53240に応じたOH価を有する。
【0082】
成分(B)として使用されたポリエーテルアミンの質量平均モル質量M
wは、大抵は1000〜500000、好ましくは2000〜300000g/molであり、数平均モル質量M
nは500〜50000、好ましくは1000〜40000g/molである(ゲル濾過クロマトグラフィ(GPC)を用いてヘキサフルオロイソプロパノールを移動相として、ポリメチルメタクリラート(PMMA)を標準として測定)。
【0083】
本発明の工程(b)では、少なくとも1の更なる成分(B)が、液状の溶液及び/又は分散液の形で分散媒体中で提供される。この場合に、分散媒体は、通常は同様に液状である。
【0084】
液状とは、本発明の範囲では、溶液/分散液又は分散媒体が流動性であり、かつ、選択される噴霧器を用いて小さい液滴へと細分化されることを意味する。分散液とは、本発明の範囲では、少なくとも1の液相と少なくとも1の更なる液相及び/又は固相を有する多相混合物を指し、例えばエマルション及びサスペンションである。サスペンションとして、本発明の範囲では、液相中の固体粒子の分散液、特にナノ粒子又は粒子状ポリマーのサスペンションが理解される。エマルションは、本発明では少なくとも2つの液相を有する多相混合物である。
【0085】
分散媒体は、通常は溶媒及び溶媒混合物から選択され、例えば水、脂肪族C
1〜C
6−アルコール、場合によってアルキル化した芳香族炭化水素、(環状)脂肪族炭化水素、アルカン酸アルキルエステル、ケトン、アルコキシル化アルカン酸アルキルエステル、ハロゲン化炭化水素及びその混合物から選択される。
【0086】
特に好ましくは、1回又は複数回アルキル化されたベンゼン及びナフタレン、ケトン、アルカン酸アルキルエステル及びアルコキシル化アルカン酸アルキルエステル並びにその混合物である。
【0087】
芳香族炭化水素混合物として、主として芳香族C
7〜C
14−炭化水素を含み、かつ、110〜300℃の沸点範囲を含むことができるものが好ましく、特に好ましくはトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン及びこれらを含む混合物である。
【0088】
そのための例は、ExxonMobil Chemical社の
登録商標Solvesso、特にSolvesso
登録商標100(CAS−Nr.64742−95−6、主としてC
9及びC
10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)及び200(CAS−Nr.64742−94−5)並びにShell社のShellsol
登録商標商標名である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物を基礎とする炭化水素混合物は、名称crystal oil(例えば、crystal oil30、沸点範囲約158〜198℃又はcrystal oil60;CAS−Nr.64742−82−1)、ホワイトスピリット(例えば同様にCAS−Nr.64747−82−1)又はソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)でも市販されている。そのような炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、通常は、90質量%超、好ましくは95質量%超、特に好ましくは98質量%超、特にとりわけ好ましくは99質量%である。特に減少した含有量のナフタレンを有する炭化水素混合物を使用することが有用であってよい。
【0089】
ハロゲン化炭化水素は、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼン又はその異性体混合物である。
【0090】
エステルは例えばn−ブチルアセタート、エチルアセタート、1−メトキシプロピルアセタート−2及び2−メトキシエチルアセタートである。
【0091】
エーテルは例えばTHF、ジオキサン並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチル−、ジエチル−又はジ−n−ブチルエーテルである。
【0092】
ケトンは例えばアセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ヘキサノン、イソブチル−メチルケトン、ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はシクロヘプタノンである。
【0093】
(環状)脂肪族炭化水素は、例えばデカリン、アルキル化デカリン及び直鎖状又は分枝状アルカン及び/又はシクロアルキンの異性体混合物である。
【0094】
さらに好ましくは、n−ブチルアセタート、エチルアセタート、1−メトキシ−2−プロピルアセタート、2−メトキシエチルアセタート、2−ブタノン、イソブチル−メチルケトン並びにその混合物、特に上述の芳香族炭化水素混合物を有するものである。
【0095】
そのような混合物は、体積比5:1〜1:5、好ましくは体積比4:1〜1:4、特に好ましくは体積比3:1〜1:3、特にとりわけ好ましくは体積比2:1〜1:2で作成されることができる。
【0096】
好ましい溶媒は、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、イソブチルメチルケトン、2−ブタノン、ソルベッソ
登録商標及びキシレンである。
【0097】
さらに、溶媒としてポリエーテルアミンのために、例えば、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、炭酸エチレン又は炭酸プロピレンが適していることができる。
【0098】
工程(b)で準備され、工程(c)で使用される、少なくとも1の更なる成分(B)の溶液及び/又は分散液は、少なくとも1の更なる成分(B)を、使用される溶液/分散液の全質量に対して、通常は、1〜50質量%、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%含有する。溶液/分散液は、1、2又はそれより多くの成分(B)を含むことができる。
【0099】
本発明の方法の工程(c)では、少なくとも1の成分(B)の溶液及び/又は分散液が、極めて微細な液滴の形で、グラニュールとして存在する少なくとも1のポリマー(A)に設けられる。噴霧によって製造された液滴は、グラニュールの表面で沈積され、例えばナノ粒子として液滴中に含まれる少なくとも1の成分(B)は、分散した状態でグラニュールに設けられる。(B)の分散液及び/又は溶液の製造のために使用される、好ましくは液状の分散媒体を引き続き除去し、通常はグラニュールの乾燥によって除去する。(B)でコーティングされたグラニュールの引き続く溶融混合によって、(A)及び(B)を含む混合物の更なる均質化が達成できる。特に、このようにしてポリマーナノ複合体(ポリマーとナノ粒子からの混合物)が著しく少なくアグロメレートしたナノ粒子とともに製造されることができ、これはより良好なレオロジー、機械的及び熱的特性を有することができる。
【0100】
噴霧器として、当業者に知られている通常の装置、例えば一成分圧力ノズルが、その中で乱流及びジェット形成ノズル(水圧噴霧器)並びにラメラ形成ノズル、二成分噴霧器であって外側又は内側の混合を有するもの(空気圧噴霧器)、回転噴霧器及び超音波噴霧器が使用できる。当業者に知られている噴霧技術に関する概要は、例えば、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook, 8th Edition, 2008, Herausgeber D.W. Green及びR.H. Perry, 14−93〜14−95頁に見出すことができる。本発明では好ましくは、噴霧器は工程(c)で使用され、平均直径0.5〜100μm、好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは0.5〜10μm(動的光散乱から決定した粒径分布から算出)を有する液滴を生じる。この決定は、例えばMalvern社の装置Spraytecを用いて実施できる。
【0101】
本発明では好ましくは工程(c)では超音波噴霧器(超音波ネブライザーとも称される)が使用される。超音波噴霧器は、種々の領域で使用され、例えば、空気湿潤化のための水のネブライザーとして、又は、吸入器で医薬目的に使用される。本発明の方法に適した超音波システムは、例えば、SONOSYS
登録商標Ultraschallsysteme GmbH社, ニュルンベルグ(ドイツ国)から購入される。本発明では、超音波噴霧器とは、25kHz〜5MHzの周波数範囲で作業する装置が理解される。本発明では好ましくは、工程(c)で超音波噴霧器が750kHz〜3MHzの周波数範囲で運転される。この周波数範囲は、メガソニックとも称される。
【0102】
好ましくは、本発明では表面張力35〜100mN/m(25℃で測定)を有する分散媒体が使用される。同様に好ましくは、粘度0.1〜500mPas、特に好ましくは1〜100mPas(使用温度、即ち、噴霧の際に支配的な温度、で測定)を有する分散媒体である。適した分散媒体は、例えば水、及び、1又は複数の溶媒と水とからの混合物であって表面張力35〜100mN/m(25℃で測定)を有するものである。これは特に、超音波噴霧器の使用の際に好ましく、それというのもこの場合に、少なくとも1の更なる成分(B)の溶液/分散液にとっては、水と類似の粘度及び表面張力を有する分散媒体を使用することが特に好ましいからである。
【0103】
工程(c)は、噴霧器によって製造した、(B)の溶液及び/又は懸濁液の滴霧(Troepfchennebel)の良好な分布がグラニュールとして存在するポリマー上で可能になる、全ての装置、例えばカラムにおいて実施できる。本発明によれば好ましくはグラニュールは工程(c)で固定床又は流動床として存在する。流動床は、例えば不活性ガス流の導通(同時に、工程(c)で吹き付けられたグラニュールの乾燥のため用いられる)を用いて生じさせられることができる。
【0104】
工程(c)では、1、2又はそれより多くの少なくとも1の更なる成分(B)を含む溶液及び/又は分散液を使用でき、しかし、1より多くの溶液/分散液が工程(c)で使用されることもでき、例えば、まずは、1の更なる成分(B)の溶液及び/又は分散液を、引き続き、第2の更なる成分(B)の溶液及び/又は分散液を前記グラニュール上に設けることなど、が可能である。
【0105】
通常は、工程(c)は、所望量の成分(B)がグラニュール上に設けられるまで実施される。これには通常は0.5〜60分間かかる。
【0106】
好ましくは、工程(c)が実施される温度は、(B)の溶液及び/又は分散液の製造に使用される分散媒体と調整され、このことは、液状分散媒体が工程(c)で支配的な温度で容易に除去可能であること、特に容易に蒸発すること、を意味する。
【0107】
本発明では好ましくは、工程(c)は少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは少なくとも30℃の温度で実施される。
【0108】
工程(d)では、工程(c)で得られたグラニュールが乾燥される。本発明では、「乾燥」とは、工程(c)で(B)の溶液及び/又は分散液と一緒にグラニュール上に設けた分散媒体が除去されること、を意味する。このことは、例えば不活性ガス流の導通を用いて行われることができる。「不活性ガス」とは本発明では、少なくとも1のポリマー(A)とも少なくとも1の成分(B)とも反応しないガス状物質又は物質混合物が理解される。これは、(A)及び(B)の選択に応じて異なっていてよい。不活性ガスとして、例えばN
2、He、Arが適し、酸素感受性材料では空気も適する。
【0109】
不活性ガス流はこの場合に、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは少なくとも100℃の温度を有する。この場合に、使用される不活性ガス流の温度は好ましくは、少なくとも1の成分(B)並びに少なくとも1のポリマー(A)の分解温度又はガラス転移温度又は溶融温度を下回る。
【0110】
工程(d)の後には工程(e)が続き、その中では場合によって1又はそれよい多い成形工程が実施されることができる。成形工程として、当業者に知られている全ての加工方法及び後加工方法が実施でき、例えば溶融混合、押出、ブロー成形、射出成形等である。本発明の方法で製造したポリマー混合物は、更なるポリマーと一緒に後加工されることもでき、特に、いわゆるマスターバッチとして成分(B)を他のポリマー又はポリマー混合物へと導入するために用いることができる。本発明の方法で製造したポリマー混合物からは、プラスチック加工から知られている物品、例えば繊維、シート、半製品及び成形体が製造され、例えば家庭用品、エレクトロニクス部材、医薬装置、自動車部材、電子装置のハウジング、エレクトロニクス素子のハウジング(自動車における)、フェンダー、ドアプランク、トランクリッド、スポイラー、インテークパイプ、ウォータータンク及び電子工具のハウジングである。
【0111】
本発明の方法は連続的に又はバッチで実施できる。
【0112】
以下では、本発明は実施例に基づき説明される。
【0113】
実施例1:コロイド状シリカを有するポリアミド(本発明による)
ポリアミドとして、Ultramid
登録商標 B27E (BASF SE、押出前にISO 307に応じた粘度数VZ=150を有するポリアミド)が使用される。ナノ粒子として、平均粒径D
50=8nmを有するコロイド状シリカゾル(Bindzil
登録商標 CC/360 Eka Chemicals)を使用し、前記平均粒径は動的光散乱を用いて測定した粒径分布から算出したものである。
【0114】
平均サイズ0.5〜2nmを有するポリアミドグラニュールを、実験室規模で小さい固定床中に充填する。コロイド状シリカゾルの分散液(水中30質量%)を周波数1MHzの超音波噴霧器を用いて噴霧し(Slimline Generatorを備えるSonosys megasonic Atomiser)、微細滴霧を2〜5分間前記固定床充填物を通じて導く。グラニュールを乾燥させるために、75℃の温度で窒素流を同時に前記固定床充填物を通じて導いた。噴霧終了後に、グラニュールを更なる5分間窒素流中で乾燥させ、最終生成物として取り出した。引き続き、グラニュールをDSM Miniextruder(二軸スクリュー押出機)中で280℃で、1分間の滞留時間で250rpmで押出した。いくつかの測定のために、射出成形を用いて(射出温度280℃)、試験体を製造した。
【0115】
比較例1(V1):シリカナノ粒子なしのポリアミド(本発明によらない)
実施例1からのポリアミド(ナノ粒子なし)を、実施例1と同じ条件下で押出し、加工して試験体にした。
【0116】
比較例2(V2):溶融物中に混合した、1質量%のシリカナノ粒子を有するポリアミド(本発明によらない)
実施例1からのポリアミド及び実施例1からのコロイド状シリカ分散液を実施例1に記載の条件下でMiniextruder中で混合し、熱くしてコロイド状シリカゾルを導入した。それに続き、実施例1に記載の試験体製造が引き続いた。
【0117】
実施例1並びに比較例2からのポリマー混合物に関しては、そのつど、ポリマーマトリックス中のナノ粒子のサイズ分布を電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)によって決定した。この結果を表1に示している。
【0118】
表1
【表1】
【0119】
本発明の方法で製造したポリマー混合物中では、ナノ粒子が、ポリマーと一緒にナノ粒子の溶融混合によって製造したポリマー混合物中に比較して顕著により小さい。ポリマーグラニュールに対しての微細液滴の形でのナノ粒子の設置は、より大きい粒子へのナノ粒子のアグロメレーションを顕著に減少させた。
【0120】
実施例1、V1及びV2で製造した試験体を用いて、ISO 527−2に応じた伸び実験において引張特性を決定した。このE−モジュラスをISO 527−2に応じて算出した。この結果を表2にまとめている。表中では、さらに、96質量%の硫酸中の0.5質量%の溶液に対するDIN 53727に応じたポリアミドの粘度数(VZ)の、及び、270℃/5kg 負荷でのISO 1133に応じたメルトフローインデックス(MVR)の測定結果が示されている。
【0121】
表2
【表2】
【0122】
両方の比較試験に比較して本発明により製造したポリマー混合物が顕著により高い破断点伸びを示すが、しかしこの場合に、充填していないポリアミドに比較して引張強さが実質的に影響されていないことが目立っている。メルトフローインデックス(MVR)も純粋なポリアミドより顕著により高いが、溶融物中に添加したナノ粒子を含むポリアミドよりも顕著により高い。したがって、本発明の方法では、中ではナノ粒子が顕著により小さく存在するナノ粒子含有ポリマー混合物が製造され、即ち、ナノ粒子のより少ないアグロメレーションが前記混合物の製造の際に発生し、さらに改善された機械的特性並びにより良好な加工性を示す。
【0123】
実施例2a及び2b:ポリエチレンイミンを有するポリアミド(本発明による)
実施例1からのポリアミドを二重ジャケット付き塔に充填した。この温度は約170℃であり、この塔を試験全体にわたり熱い窒素ですすいだ。前記塔の中央には、超音波噴霧器が存在し、これを用いて所望量(15.6g/h)のポリエチレンイミン(分子量M
w:1300g/mol;pH11、粘度20℃で、20000Pas、Lupasol
登録商標G 20, BASF SE)を、溶液(水中10質量%)として、1MHzの周波数でポリアミドグラニュールに吹き付けた。連続的に毎時間300gのグラニュールを1時間にわたり窒素と共に予備加熱し、上記塔上方から添加した。相応する量のグラニュールを、塔の通過及びポリエチレンイミン溶液の塗布後、下から取り出した(実施例2a)。
【0124】
引き続き、グラニュールの一部をDSM Miniextruder(二軸スクリュー押出機)中で206℃で、3分間の滞留時間で250rpmで押出した(実施例2b)。
【0125】
実施例2a及び2bからの試料からメルトフローインデックスを測定し、並びに、粘度数をメルトフローインデックスの測定前及び後に、上記のように測定した。
【0126】
比較例3a及び3b(V3a−b):ポリエチレンイミンなしのポリアミド(本発明によらない)
ポリアミドの一部を、直接的に測定に使用した(比較例V3a)。
【0127】
グラニュールの一部をDSM Miniextruder(二軸スクリュー押出機)中で206℃で、3分間の滞留時間で250rpmで押出した(比較例V3b)。
【0128】
実施例3a及び3bからの試料からメルトフローインデックスを測定し、並びに、粘度数をメルトフローインデックスの測定前及び後に、上記のように測定した。
【0129】
比較例4a及び4b(V4a−b):溶融物中に混合した、ポリエチレンイミンありのポリアミド(本発明によらない)
実施例1からのポリアミドを、溶融物中で実施例2からのポリエチレンイミン溶液と共に、二軸スクリュー押出機を用いて280℃で2分間の滞留時間で溶融物中で混合した(比較例V4a)。
【0130】
比較例4aからのグラニュールの一部を、引き続き、DSM Miniextruder(二軸スクリュー押出機)中で206℃で、3分間の滞留時間で250rpmで押出した(比較例V4b)。
【0131】
比較例4a及び4bからの試料からメルトフローインデックスを測定し、並びに、粘度数をメルトフローインデックスの測定前及び後に、上記のように測定した。
【0132】
実施例2a〜b、比較例3a〜3b及び4a〜4bからの粘度数及びメルトフローインデックスの測定結果を、表3にまとめてある。
【0133】
表3
【表3】
【0134】
V3と実施例2との比較は、本発明で製造したポリマー混合物ではより少ない分解(より高いVZ数)が発生するか(2bに対するV3b)、又は、同じ分解で本発明により製造したポリマー混合物のメルトフローインデックスが顕著により高く、したがって、より良好に熱可塑性に加工可能であることを示している。ポリエチレンイミンを有するポリマー混合物が溶融混合によって製造される場合に、本発明に比較して顕著により強力な分解(より低いVZ数)が発生する。