(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
有利には、一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの製造のために、記載された高反応性ポリイソブテンと一酸化炭素および水素とをヒドロホルミル化反応でヒドロホルミル化触媒、例えばロジウム触媒またはコバルト触媒の存在下および場合により適当な不活性溶剤、例えば炭化水素の存在下で、典型的には80〜200℃および600バールまでのCO/H
2圧力で反応させ、こうして製造されたオキソ中間生成物を水素、適当な窒素化合物、適当な触媒、例えばラニーニッケルまたはラニーコバルト、および場合によっては適当な不活性溶剤、例えばアルコールおよび/または炭化水素の存在下で典型的には80〜200℃および600バールまで、殊に80〜300バールの水素圧力で還元アミノ化に掛ける。ポリイソブチル基R
1と窒素含有基−NR
2R
3との間で架橋員として生じる、構造的な性質に対して式I中で基本となる−CH
2−基は、ヒドロホルミル化工程に供給される一酸化炭素から生じる。本発明によるポリイソブテンアミンIを製造するためのヒドロホルミル化および還元アミノ化の記載された工程は、当業者によく知られており、例えば{1}中に詳細に記載されている。このために使用される高反応性ポリイソブテンの製造は、当業者に同様によく知られており;この製造は、特に純粋なイソブテン、またはイソブテンに富み、それと共に本質的に1−ブテン、2−ブテンおよびブタンを含有する工業用C
4炭化水素流、例えばラフィネートI、を触媒としての三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素錯体の存在下でカチオン重合させることによって行なわれる。
【0020】
一般式I中での窒素含有基−NR
2R
3が由来とし、および本発明によるポリイソブテンアミンを製造するために上記のヒドロホルミル化反応において使用されることができる適当なアミンは、式HNR
2R
3の化合物である。前記化合物中で、変数R
2およびR
3は、同一かまたは互いに独立に、次のものを表わす:
(1)水素;
(2)C
1〜C
18アルキル基;適当なアルキル基の例としては、1〜18個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピルまたはn−プロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチル、n−ペンチルまたはイソペンチル;さらに、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシルおよびn−オクタデシルならびに前記基のモノまたはポリの分枝鎖状同族体;ならびに炭素鎖が1個以上のエーテル橋を有する相応する基を挙げることができ;
(3)C
2〜C
18アルケニル基;適当なアルケニル基の例としては、2〜18個の炭素原子を有する上記アルキル基の1回または数回、特に1回または2回不飽和の同族体を挙げることができ、この場合二重結合は、炭素鎖の任意の位置に存在することができ;
(4)C
4〜C
18シクロアルキル基;例として、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、ならびに1〜3個のC
1〜C
4アルキル基で置換された、前記の同族体を挙げることができ、この場合C
1〜C
4アルキル基は、特にメチル、エチル、イソプロピルまたはn−プロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチルの中から選択され;
(5)(C
1〜C
18アルキル)アリール基、この場合C
1〜C
18アルキル基は、上記に定義されたものであり、アリール基は、単核または二核の縮合されたかまたは縮合されていない4〜7員、殊に6員の芳香族またはヘテロ芳香族基、例えばフェニル、ピリジル、ナフチルおよびビフェニリルであり、
(6)(C
2〜C
18アルケニル)アリール基、この場合C
2〜C
18アルケニル基は、上記に定義されたものであり、アリール基は、同様に上記に定義されたものであり;
(7)ヒドロキシ−C
1〜C
18アルキル基、この場合この基は、1回または数回、特に1回、殊に1回末端でヒドロキシル化された、上記のC
1〜C
18アルキル基の同族体、例えば2−ヒドロキシエチルおよび3−ヒドロキシプロピルに相当し;
(8)窒素原子を2〜10個のC
1〜C
4アルコキシ基でアルコキシル化することによって得られる、場合によってはヒドロキシル化されたポリ(オキシアルキル)基、この場合個々の炭素原子は、場合により他のヒドロキシル基を有することができ;好ましいアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基およびn−プロポキシ基を含み;
(9)式
Z−NH−(C
1−C
6−アルキレン−NH)
m−C
1−C
6−アルキレン−
〔式中、mは、0〜5の整数値を表わし、Zは、水素またはC
1〜C
6アルキルを表わし、C
1〜C
6アルキル基は、メチル、エチル、イソプロピルまたはn−プロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチル、n−ペンチルまたはイソペンチル、またはn−ヘキシルのような基を示し、C
1〜C
6アルキレンは、前記基の相応する架橋する同族体を表わす〕で示されるポリアルキレンポリアミン基;
(10)1〜10個のC
1〜C
4アルキレンイミン基から構成されたポリアルキレンイミン基、殊にエチレンイミン基;または
(11)変数R
2およびR
3が結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては他の環上ヘテロ原子、例えばOまたはNである、場合によっては置換された5〜7員の、場合によっては1〜3個のC
1〜C
4アルキル基で置換されたヘテロ環式基を表わす。
【0021】
式HNR
2R
3の適当な化合物の典型的な例は、次の通りである;
アンモニア;
第1アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、第二ブチルアミン、第三ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロペンチルアミンおよびシクロヘキシルアミン;ならびに式CH
3−O−C
2H
4−NH
2、C
2H
5−O−C
2H
4−NH
2、CH
3−O−C
3H
6−NH
2、C
2H
5−O−C
3H
6−NH
2、n−C
4H
9−O−C
4H
8−NH
2、HO−C
2H
4−NH
2、HO−C
3H
6−NH
2およびHO−C
4H
8−NH
2のエーテル酸素官能基またはヒドロキシル官能基を有する第1アミン;
第2アミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−第二ブチルアミン、ジ−第三ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびジフェニルアミン;ならびに式(CH
3−O−C
2H
4)
2NH、(C
2H
5−O−C
2H
4)
2NH、(CH
3−O−C
3H
6)
2NH、(C
2H
5−O−C
3H
6)
2NH、(n−C
4H
9−O−C
4H
8)
2NH、(HO−C
2H
4)
2NH、(HO−C
3H
6)
2NHおよび(HO−C
4H
8)
2NHのエーテル酸素官能基またはヒドロキシル官能基を有する第2アミン;
ヘテロ環式アミン、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンならびに前記アンミンの置換誘導体、例えばN−C
1〜C
6アルキルピペラジンおよびジメチルモルホリン;
ポリアミン、例えばC
1〜C
4アルキレンジアミン、ジ−C
1〜C
4アルキレントリアミン、トリ−C
1〜C
4アルキレンテトラミンおよび高級同族体;ならびに1〜10個、有利に2〜6個のエチレンイミン単位からなるポリエチレンイミン、有利にオリゴエチレンイミン。
【0022】
適当なポリアミンおよびポリイミンの例は、n−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンおよびポリエチレンイミンならびにこれらのアルキル化生成物、例えば3−(ジメチルアミノ)−n−プロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラメチレンジエチレントリアミンであり;同様に適しているのは、エチレンジアミンである。
【0023】
特に好ましい実施態様において、本発明は、一般式Iのポリイソブテンアミンに関し、この場合基−NR
2R
3は、アンモニアまたは一般式II
H
2N−(CH
2CH
2−NH−)
n−H (II)
〔式中、変数nは、1〜5の整数を表わす〕で示されるポリアミンから形成されている。
【0024】
更に、特に好ましい実施態様において、本発明は、それぞれ希釈されていない形で100℃で測定された、70〜200cSt、殊に80〜150cSt、なかんずく90〜120cStの動粘度を有する一般式Iのポリイソブテンアミンに関する。ポリイソブテンアミンIのためのこの種の粘度値は、しばしば95〜105cStの範囲内にある。本明細書中で動粘度の測定は、通常、ウッベローデ粘度計中で行なわれる。
【0025】
一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの比較的低い粘度を調節するためには、前記重合体の全ての構造的特徴の全体が重要である。影響の大きさは、長さ(数平均分子量M
nによって表わされた)、重合体鎖の枝分かれの規則正しさならびに−CH
2−NR
2R
3−基への重合体鎖の結合位置にある。即ち、重合体鎖がイソブテン単位だけから構成されている(即ち、規則的な枝分かれパターンを有する)か、または直鎖状のn−ブテン単位が(枝分かれパターンの障害として)一緒に組み込まれているかは、区別される。更に、多分散度(即ち、質量平均分子量と数平均分子量とからの商M
w/M
n)は、重合体の粘度に対して影響を及ぼす。もう1つの影響は、重合体鎖のNR
2R
3基の種類および大きさから生じる。望ましい粘度範囲に調節するために、全ての記載された構造の特徴の互いの一致は、前記の構造の特徴の前記定義の範囲内で必要とされる。前記一致は、予想することもできないし、予め勘定に入れることもできない。
【0026】
装置および導管へのよりいっそう良好な貫流という純粋に機械的な利点と共に、予測することができない有利な形式で燃料添加剤としての一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの作用形式に対しても影響を及ぼす。即ち、ポリイソブテンアミンIは、該ポリイソブテンアミンIがそれぞれ希釈されていない形で100℃で測定された、70〜200cSt、殊に80〜150cSt、なかんずく90〜120cStの動粘度を有するとしても、バルブとの粘着の減少の際、洗剤とキャリヤー油との相容性の改善の際、殊に低い温度の際、および鉱物質燃料分およびC
1〜C
4アルカノールを含有する燃料組成物中での相容性の改善の際になお上昇された作用を示し、この場合には、それによってエンジンの入口バルブおよび入口管系の清浄化および汚染対策の際にポリイソブテンアミンの良好な作用が損なわれることがない。
【0027】
一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンは、有利に洗剤作用を有する燃料添加剤として適している。従って、本発明の対象は、一般式Iの少なくとも1つのポリイソブテンアミンを洗剤として有効な量で含有する、燃料組成物、殊にC
1〜C
4アルカノールを含有する燃料組成物でもある。この燃料組成物は、エンジンの入口バルブおよび入口管系の清浄化および汚染対策の際の満足の行く作用ないし優れた作用と共に、さらに燃料添加剤としての一連の他の好ましい作用を発揮する。この燃料組成物は、バルブとの粘着を減少させ、および/またはこの燃料組成物は、殊に低い温度の際に洗剤とキャリヤー油、なかんずくポリエーテルキャリヤー油およびポリエーテルアミンキャリヤー油との相容性を改善し、および/またはこの燃料組成物は、鉱物質燃料分およびC
1〜C
4アルカノールを含有する燃料組成物中での相容性を改善する。とりわけ、前記の燃料組成物は、十分に希薄液状であり(即ち、十分に低い粘度を有し)、したがって不活性の溶剤または希釈剤を併用した場合でも、時間的に制限された貫流量に基づく製造の際に装置および導管による容量の供給不足(Kapazitaetsengpaesse)が回避され、比較的低い粘度は、予測不可能な有利な方法で燃料添加剤としての前記燃料組成物の作用形式に影響を及ぼす。
【0028】
従って、本発明の対象は、バルブとの粘着を減少させるための燃料添加剤としての一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの使用でもある。"バルブとの粘着"("バルブの差込"とも呼ばれる)とは、当業者によれば、バルブがバルブシャフトへの粘着性残留物、殊に燃料添加剤の付着のために、もはや閉鎖せず、したがってエンジンが遅延されてのみ始動しうるかまたは全くもはや始動し得ないことであると理解されている。
【0029】
従って、さらにまた、本発明の対象は、殊に低い温度の際に洗剤とキャリヤー油、なかんずくポリエーテルキャリヤー油およびポリエーテルアミンキャリヤー油との相容性を改善するための燃料添加剤としての一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの使用である。このことから均一に準備された混合物の貯蔵安定性の範囲内で洗剤とキャリヤー油との十分な相容性が全く存在しないならば、低い温度で相分離が生じるか、または既に室温で混濁が生じる。本明細書中で低い温度とは、燃料添加剤パケット、ひいては添加された燃料が貯蔵および輸送の際に晒される温度であり、通常、これは、+10℃〜−25℃、殊に0℃〜−20℃の温度範囲である。貯蔵安定性でない混合物の場合には、勿論、溶剤、例えば炭化水素、例えばキシレンが溶解助剤として添加されてよく、勿論、経済的理由からこの硫酸バリウムの溶剤の添加を回避させることは、有利である。
【0030】
従って、さらに本発明の対象は、鉱物質燃料分およびC
1〜C
4アルカノールを含有する燃料組成物中での相容性を改善するための燃料添加剤としての一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの使用である。このことから均一に準備された混合物の貯蔵安定性の範囲内で燃料添加剤と鉱物質燃料分との十分な相容性が全く存在しないならば、混濁が生じるかまたは均一な混合物は、決して最初に製造することができない。この技術的問題は、殊に今後も常に重要性を増す、鉱物質分と主要量の低級アルコールとからなる大量の燃料を使用する際に起こり、このような燃料の1つの例は、エタノール85体積%と鉱物質オットー機関用燃料15体積%とからなる混合物である"E85"である。
【0031】
従って、さらに本発明の対象は、同時にバルブの粘着を減少させ、洗剤とキャリヤー油、なかんずくポリエーテルキャリヤー油およびポリエーテルアミンキャリヤー油との相容性を、殊に低い温度の際に改善させ、および鉱物質燃料分およびC
1〜C
4アルカノールを含有する燃料組成物中での相容性を改善させるための、燃料添加剤としての一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンの使用でもある。
【0032】
燃料組成物は、本発明に関連して特にオットー機関用燃料である。オットー機関用燃料としては、市販の全てのオットー機関用燃料組成物がこれに該当する。この場合、典型的な代表例として、EN 228に記載の市場で通例のオイロスーパー(Eurosuper)基本燃料が挙げられる。更に、WO 00/47698{4}に記載の規格のオットー機関用燃料組成物も本発明によるポリイソブテンアミンIにとって可能な使用分野である。
【0033】
例えば、最大60体積%、例えば最大42体積%の芳香族化合物含量および最大2000質量ppm、例えば最大150質量ppmの硫黄含量を有するオットー機関用燃料組成物を挙げることができる。
【0034】
オットー機関用燃料組成物の芳香族化合物含量は、特に最大50体積%、殊に1〜45体積%、なかんずく5〜40体積%である。オットー機関用燃料の硫黄含量は、特に最大500質量ppm、殊に0.5〜150質量ppm、なかんずく1〜100質量ppmである。
【0035】
更に、オットー機関用燃料組成物は、例えば50体積%まで、特に0.1〜21体積%、殊に2〜18体積%のオレフィン含量、5体積%まで、特に0〜1.0体積%、殊に0.05〜0.9体積%のベンゼン含量および/または47.5体積%まで、例えば0.1〜2.7体積%または例えば2.7〜47.5体積%の酸素含量(主に低級アルコールを含有するオットー機関用燃料組成物に対して)を有することができる。
【0036】
殊に、例示的に、同時に最大38体積%の芳香族化合物含量、最大21体積%のオレフィン含量、最大50質量ppmの硫黄含量、最大1.0体積%のベンゼン含量および0.1〜47.5質量%の酸素含量を有するオットー機関用燃料組成物を挙げることができる。
【0037】
オットー機関用燃料組成物の夏期の蒸気圧は、通常、最大70kPa、殊に60kPa(それぞれ37℃で)である。
【0038】
オットー機関用燃料組成物のROZは、一般に、75〜105である。相応するMOZの通常の範囲は、65〜95である。
【0039】
記載された規格は、通常の方法により定められる(DIN EN 228)。
【0040】
しかし、オットー機関用燃料中への使用と共に、別の燃料種または動力用燃料種、例えばディーゼル燃料、ケロシンまたはタービン用燃料中への本発明によるポリイソブテンアミンの使用も原理的に可能である。潤滑剤組成物中への使用も考えることができる。
【0041】
1つの好ましい実施態様において、本発明による燃料組成物、殊にオットー機関用燃料組成物は、C
1〜C
4アルカノール0.1〜95体積%、特に有利に1〜90体積%、殊に有利に5〜90体積%、殊に10〜90体積%、なかんずく50〜90体積%を低級アルコール燃料成分として含有する。この種の燃料は、例えばWO 2004/090079{5}中に記載されている。C
1〜C
4アルカノールとしては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノールおよび殊にエタノールがこれに該当し;記載されたC
1〜C
4アルカノールの混合物も低級アルコール燃料成分として可能である。記載された低級アルコール燃料成分と共に、本発明による燃料組成物は、なお5個またはそれ以上の炭素原子を有するエーテル、例えばメチル−第三ブチルエーテルを分子中に30体積%までの量で含有することもできる。
【0042】
一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンは、添加すべき燃料組成物に単独で添加されてもよいし、他の作用を有する添加剤成分(共添加剤)との混合物で添加されてもよい。
【0043】
この種の共添加剤の例としては、本発明によるポリイソブテンアミンIとは異なる、洗浄作用および/または弁座摩耗抑制作用を有する添加剤(以下、共に洗剤添加剤と呼ぶ)を挙げることができる。このような洗剤添加剤は、85〜20000の数平均分子量(M
n)を有する少なくとも1つの疎水性炭化水素基ならびに次のもの:
(a)6個までの窒素原子を有するモノアミノ基またはポリアミノ基、この場合少なくとも1個の窒素原子は、塩基性の性質を有し;
(b)ニトロ基、場合によってはヒドロキシル基との組合せでのニトロ基;
(c)モノアミノ基またはポリアミノ基との組合せでのヒドロキシル基、この場合少なくとも1個の窒素原子は、塩基性の性質を有し;
(d)カルボキシル基、または該カルボキシル基とのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩;
(e)スルホン酸基、または該スルホン酸基とのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩;
(f)ヒドロキシル基、モノアミノ基またはポリアミノ基によって、但し、この場合、少なくとも1個の窒素原子は塩基性の性質を有するものとし、またはカルバメート基によって末端基を形成しているポリオキシ−C
2〜C
4−アルキレン基;
(g)カルボン酸エステル基;
(h)無水コハク酸に由来する、ヒドロキシ基および/またはアミノ基および/またはアミド基および/またはイミド基を有する基;および/または
(i)置換フェノールとアルデヒドおよびモノアミンまたはポリアミンとのマンニッヒ反応によって形成された基から選択された少なくとも1つの極性基を有する。
【0044】
燃料中での十分な溶解性の達成に役立つ、上記洗剤添加剤中の疎水性炭化水素基は、85〜20000、殊に113〜10000、なかんずく300〜5000の数平均分子量(M
n)を有する。典型的な疎水性炭化水素基としては、殊に極性基(a)、(c)、(h)および(i)と結合して、それぞれ300〜5000、殊に500〜2500、なかんずく700〜2300のM
nを有するポリプロペニル基、ポリブテニル基およびポリイソブテニル基がこれに該当する。
【0045】
洗剤添加剤の上記群のための例としては、次のものが挙げられる:
モノアミノ基またはポリアミノ基(a)を含有する添加剤は、特に300〜5000のM
nを有するポリプロペン、または常用の(即ち、主に中位の二重結合を有する)ポリブテンまたはポリイソブテンを基礎とするポリアルケンモノアミンまたはポリアルケンポリアミンである。上記添加剤の製造の際に主に中位の二重結合(多くの場合にβ位およびγ位)を有するポリブテンまたはポリイソブテンから出発する場合には、製造過程は、塩素化および引続くアミノ化、またはカルボニル化合物またはカルボキシル化合物への空気またはオゾンでの二重結合の酸化および還元(水素化)条件下での引続くアミノ化によって提供される。本明細書中で、アミノ化のために、アミン、例えばアンモニア、モノアミンまたはポリアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンまたはテトラエチレンペンタミンを使用することができる。ポリプロペンを基礎とする相応する添加剤は、殊にWO−A−94/24231中に記載されている。
【0046】
更に、好ましいモノアミノ基(a)を有する添加剤は、殊にWO−A−97/03946中に記載されているような、平均重合度P=5〜100を有するポリイソブテンと窒素酸化物または窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物の水素化生成物である。
【0047】
更に、好ましいモノアミノ基(a)を有する添加剤は、ポリイソブテンエポキシドから、アミンとの反応および次の脱水素化およびアミノアルコールの還元によって得られた化合物であり、例えばこの化合物は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19620262号明細書中に記載されている。
【0048】
ニトロ基(b)を含有する、場合によってはヒドロキシル基と組み合わせた添加剤は、特に平均重合度P=5〜100または10〜100のポリイソブテンと窒素酸化物または窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物であり、例えばこの反応生成物は、殊にWO−A−96/03367およびWO−A−96/03479中に記載されている。前記の反応生成物は、一般に、純粋なニトロポリイソブテン(例えば、α,β−ジニトロポリイソブテン)と混合ヒドロキシニトロポリイソブテン(例えば、α−ニトロ−β−ヒドロキシポリイソブテン)との混合物である。
【0049】
モノアミノ基またはポリアミノ基(c)と組み合わせたヒドロキシル基を含有する添加剤は、特に主に末位の二重結合を有する、M
n=300〜5000を有するポリイソブテンから得られたポリイソブテンエポキシドと、アンモニア、殊に欧州特許出願公開第476485号明細書中に記載されているモノアミンまたはポリアミンとの反応生成物である。
【0050】
カルボキシル基、または該カルボキシル基とのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(d)を含有する添加剤は、特にC
2〜C
40オレフィンと500〜20000の全分子量を有する無水マレイン酸との共重合体であり、この共重合体のカルボキシル基は、全部または一部分がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩に反応され、カルボキシル基の残基は、アルコールまたはアミンと反応されている。このような添加剤は、殊に欧州特許出願公開第307815号明細書の記載から公知である。この種の添加剤は、主に弁座の摩耗を回避させるために使用され、WO−A−87/01126に記載されているように、通常の燃料洗剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミンまたはポリエーテルアミンと組み合わせて有利に使用されることができる。
【0051】
スルホン酸基、または該スルホン酸基とのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(e)を含有する添加剤は、特にスルホコハク酸アルキルエステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、これらの金属塩は、例えば欧州特許出願公開第639632号明細書中に記載されている。この種の添加剤は、主に弁座の摩耗を回避させるために使用され、通常の燃料洗剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミンまたはポリエーテルアミンと組み合わせて有利に使用されることができる。
【0052】
ポリオキシ−C
2〜C
4−アルキレン基(f)を含有する添加剤は、特にポリエーテルまたはポリエーテルアミンであり、これらは、C
2〜C
60アルカノール、C
6〜C
30アルカンジオール、モノ−C
2〜C
30アルキルアミンまたはジ−C
2〜C
30アルキルアミン、C
1〜C
30アルキルシクロヘキサノールまたはC
1〜C
30アルキルフェノールを、ヒドロキシル基またはアミノ基1個当たり酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび/または酸化ブチレン1〜30モルと反応させ、ポリエーテルアミンの場合には、アンモニア、モノアミンまたはポリアミンとの引続く還元アミノ化によって得ることができる。この種の生成物は、殊に欧州特許出願公開第310875号明細書、欧州特許出願公開第356725号明細書、欧州特許出願公開第700985号明細書および米国特許第4877416号明細書中に記載されている。ポリエーテルの場合には、このような生成物は、キャリヤー油特性をも満たす。このための典型的な例は、トリデカノールブトキシレートまたはイソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレートならびにポリイソブテノールブトキシレートおよびポリイソブテノールプロポキシレートならびにアンモニアとの相応する反応生成物である。
【0053】
カルボン酸エステル基(g)を含有する添加剤は、なかんずくモノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸と長鎖状アルカノールまたはポリオールとのエステル、殊に100℃で2mm
2/秒の最小粘度を有するエステルであり、例えばこのエスエルは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3838918号明細書中に記載されている。モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸としては、脂肪族酸または芳香族酸を使用することができ、エステルアルカノールまたはエステルポリオールとしては、なかんずく例えば6〜24個のC原子を有する長鎖状の代表例が適している。エステルの典型的な代表例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノールおよびイソトリデカノールのアジペート、フタレート、イソフタレート、テレフタレートおよびトリメリテートである。この種の生成物は、キャリヤー油特性をも満たす。
【0054】
ヒドロキシ基および/またはアミノ基および/またはアミド基および/またはイミド基を有する、無水コハク酸に由来する基(h)を含有する添加剤は、特にポリイソブテニルコハク酸無水物の相応する誘導体であり、この誘導体は、M
n=300〜5000を有する常用または高反応性のポリイソブテンと無水マレイン酸との反応によって熱的経過または塩素化ポリイソブテンを経て得ることができる。この場合、脂肪族ポリアミンを有する誘導体、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンまたはテトラエチレンペンタミンは、特に重要である。この種の燃料添加剤は、殊に米国特許第4849572号明細書中に記載されている。
【0055】
置換フェノールとアルデヒドおよびモノアミンまたはポリアミンとのマンニッヒ反応によって形成された基(i)を含有する添加剤は、特にポリイソブテン置換フェノールとホルムアルデヒドおよびモノアミンまたはポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンまたはジメチルアミノプロピルアミンとの反応生成物である。ポリイソブテニル置換フェノールは、M
n=300〜5000を有する常用または高反応性のポリイソブテンに由来することができる。この種の"ポリイソブテンマンニッヒ塩基"は、殊に欧州特許出願公開第831141号明細書中に記載されている。
【0056】
本明細書中で個別的に記載された燃料添加剤の正確な定義には、公知技術水準の上記刊行物の開示が表現的に関連する。
【0057】
更に、本発明によるポリイソブテンアミンIは、なお他の通常の成分および添加剤と組み合わせることができる。本明細書中で第1に顕著な洗剤効果なしにキャリヤー油を挙げることができる。
【0058】
適した鉱物質キャリヤー油は、石油加工の際に生じる留分、例えばケロシンまたはナフサ、ブライトストックまたはクラスSN 500〜2000のような粘度を有する基油であるが、しかし、芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素およびアルコキシアルカノールでもある。同様に"水素化分解油"として公知であり、鉱油のラフィネーションの際に生じる留分も使用可能である(高圧下で接触水素化され、異性体化され、ならびに脱パラフィン化された天然鉱油から得ることができる、約360〜500℃の沸騰範囲を有する真空蒸留留分)。同様に、上記の鉱物質キャリヤー油の混合物も適している。
【0059】
本発明により使用可能な合成キャリヤー油の例は、次のものから選択される:ポリオレフィン(ポリアルファオレフィンまたはポリ内部オレフィン(Polyinternalolefin))、(ポリ)エステル、(ポリ)アルコキシレート、ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、アルキルフェノール出発したポリエーテル、アルキルフェノール出発したポリエーテルアミン、および長鎖状アルカノールのカルボン酸エステル。
【0060】
適したポリオレフィンのための例は、M
n=400〜1800を有するオレフィン重合体、なかんずくポリブテンまたはポリイソブテンを基礎とするオレフィン重合体である(水素化されているかまたは水素化されていない)。
【0061】
適したポリエーテルまたはポリエーテルアミンの例は、特にポリオキシ−C
2〜C
4−アルキレン基を含有する化合物であり、この化合物は、C
2〜C
60−アルカノール、C
6〜C
30−アルカンジオール、モノ−またはジ−C
2〜C
30−アルキルアミン、C
1〜C
30−アルキルシクロヘキサノールまたはC
1〜C
30−アルキルフェノールと、ヒドロキシル基またはアミノ基1個当たり1〜30molの酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび/または酸化ブチレンとの反応により得ることができ、ポリエーテルアミンの場合には、引続くアンモニア、モノアミンまたはポリアミンを用いた還元アミノ化により得ることができる。この種の生成物は、特に欧州特許出願公開第310875号明細書、欧州特許出願公開第356725号明細書、欧州特許出願公開第700985号明細書および米国特許第4877416号明細書に記載されている。例えば、ポリエーテルアミンとして、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンオキシドアミンまたはこの官能性誘導体が使用されてよい。これについての典型的な例は、トリデカノールブトキシラートまたはイソトリデカノールブトキシラート、イソノニルフェノールブトキシラートならびにポリイソブテノールブトキシラートおよび−プロポキシラートならびにアンモニアとの相応する反応生成物である。
【0062】
長鎖状アルカノールのカルボン酸エステルのための例は、殊に、モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸と長鎖状アルカノールまたはポリオールとのエステルであり、例えばこれはドイツ連邦共和国特許出願公開第3838918号明細書中に記載されている。モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸として、脂肪族または芳香族の酸を使用することができ、エステルアルコールもしくはエステルポリオールとして特に、例えば6〜24個のC原子を有する長鎖状の代表例が適している。前記エステルの典型的な代表例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノールおよびイソトリデカノールのアジペート、フタレート、イソフタレート、テレフタレートおよびトリメリテート、例えばジ−(n−トリデシルまたはイソトリデシル)−フタレートである。
【0063】
更に、適したキャリヤー油系は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3826608号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4142241号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4309074号明細書、欧州特許出願公開第452328号明細書および欧州特許出願公開第0548617号明細書中に記載されており、この場合この刊行物は参考のために挙げたものである。
【0064】
特に適した合成キャリヤー油のための例は、約5〜35個、例えば約5〜30個のC
3〜C
6−アルキレンオキシド単位を有するアルコール出発したポリエーテルまたはこれらの混合物であり、前記アルキレンオキシド単位は、例えばプロピレンオキシド単位、n−ブチレンオキシド単位およびイソブチレンオキシド単位から選択される。適した出発アルコールのための例は、これに制限されるものではなく、長鎖状アルコールまたは長鎖状アルキルで置換したフェノールであり、この場合この長鎖状アルキル基は、殊に長鎖状または分枝鎖状C
6〜C
18−アルキル基を表わす。好ましい例として、トリデカノールおよびノニルフェノールが挙げられる。
【0065】
更に、適した合成キャリヤー油は、アルコキシル化アルキルフェノールであり、例えばこれは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10102913号明細書中に記載されている。
【0066】
更に、通常の助剤は、腐食抑制剤、例えば有機カルボン酸の皮膜形成傾向のあるアンモニウム塩を基礎とする腐食抑制剤、または非鉄金属腐食防止の場合には、複素環式芳香族化合物を基礎とする腐食抑制剤;酸化防止剤または安定剤、例えばアミン、例えばp−フェニレンジアミン、ジシクロヘキシルアミンまたは前記アミンの誘導体を基礎とするか、またはフェノール、例えば2,4−ジ−t−ブチルフェノールまたは3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸を基礎とする酸化防止剤または安定剤;解乳化剤;帯電防止剤;メタロセン、例えばフェロセン;メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル;潤滑能改善剤(潤滑性添加剤)、例えば、特定の脂肪酸、アルケニルコハク酸エステル、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン、ヒドロキシアセトアミドまたはヒマシ油;ならびに着色剤(マーカー)である。場合により、燃料のpH値を低下させるためのアミンも添加される。
【0067】
前記成分または添加剤は、燃料組成物に単独で、または予め準備された濃縮物(添加剤パケット)として、本発明によるポリイソブテンアミンIと共に添加されてよい。
【0068】
一般式Iの本発明によるポリイソブテンアミンは、燃料組成物に通常、燃料組成物の全体量に対して、それぞれ純粋物質の含量(即ち、溶剤および希釈剤なしで)として記載した5〜5000質量ppm、特に10〜2000質量ppm、殊に25〜1000質量ppm、なかんずく50〜500質量ppmの量で添加される。更に、極性基(a)〜(i)を有する洗剤添加剤を共用した場合には、上記の計量供給速度は、本発明によるポリイソブテンアミンIを含めて全ての燃料洗剤の全体量に関連する。その他の前記の成分および添加剤は、所望の場合には、このために通常の量で添加される。
【0069】
更に、本発明は、次の制限されない実施例につき詳細に記載される:
【実施例】
【0070】
製造例
実施例1:720の数平均分子量(M
n)を有するポリイソブテンからのポリイソブテンアミン"P1"の製造
{2}からの製造例2と同様に、720の数平均分子量(M
n)および81モル%の末端ビニリデン二重結合の含量を有する、純粋なイソブテンから製造された、高反応性ポリイソブテン500g、n−パラフィン/ナフテンからなる溶剤混合物180gならびにコバルトオクタカルボニル2.8gを185℃で5時間、2.5 lのストローク攪拌型オートクレーブ(Hubruehrautoklaven)中で攪拌しながら280バールCO/H
2(1:1Vol./Vol.)で加熱した。引続き、混合物を室温に冷却し、触媒を10質量%の酢酸水溶液400mlで除去し、混合物を中和するまで洗浄した。生じるオキソ生成物をアンモニア1 l、エタノール300gおよびラニーコバルト100gで5 lの回転型オートクレーブ中で200バールの水素圧力下で180℃で5時間処理する。混合物の冷却後、触媒を濾別し、過剰のアンモニアを蒸発させ、溶剤を留去した。希釈されていない形で100℃でウベローデの粘度計中で測定された、98cStの動粘度を有する、末位のCH
2NH
2基を有する相応するポリイソブテンアミン520gを生じた。
【0071】
使用例
次の使用例において、比較のために、それぞれ1000の数平均分子量(M
n)を有し、末位の−CH
2NH
2−基を有する、純粋なイソブテンから製造された、均一な高反応性のポリイソブテンからなるポリイソブテンアミン"P2"を使用した。P2は、希釈されていない形で100℃でウベローデの粘度計中で測定した、241cStの動粘度を有した。
【0072】
実施例2a〜2e:オットー機関の際の入口バルブの清浄化度
オットー機関の際の入口バルブの清浄化度の試験を、メルセデスベンツM 111試験用エンジンを用いてCEC F−20−A−98(実施例2aで)により、またはメルセデスベンツM 102E試験用エンジンを用いてCEC F−05−A−93(実施例2b〜2eで)により実施した。基本燃料としてEN 228によるオイロスーパー燃料(Eurosuper-Krafrstff)を使用した。4個の入口バルブ上での沈着を測定し、それからそれぞれ平均値を作成した。実施例2aおよび2bの場合には、それぞれ純粋なポリイソブテンアミンP1またはP2だけを供給し、実施例2c〜2eの場合には、付加的に他の共添加剤と共に微少量ではあるが、しかし、入口バルブの清浄化度に全く影響を及ぼさない、ポリエーテルキャリヤー油を含有する市販の添加剤パケットまたは市販の調整された添加剤パケットを供給した。質量ppmでのそれぞれの添加剤の記載された計量供給量(溶剤なしの純粋物質含量として記載した)は、それぞれ使用されたオットー機関用燃料組成物の全体量に対するものである。次の第1表は、測定の結果を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
"T1"は、酸化ブチレン22モルと反応されたトリデカノールの構造の市販のポリエーテルキャリヤー油である。
【0075】
本発明によるポリイソブテンアミンP1を使用した際の方法の測定精度に基づく結果の通常のばらつきの範囲内で入口管系の清浄化度における比較可能な作用が、公知技術水準のポリイソブテンアミンP2の場合と同様に存在することは、実施例2a〜2eの記載から判明する。
【0076】
実施例3aおよび3b:バルブとの粘着の際の挙動
バルブとの粘着の際の挙動の試験をVWウォーターボックス試験(Wasserboxer-Test)での調査によってCEC F−16−T−96により行なった。基本燃料としてEN 228によるオイロスーパー燃料(Eurosuper-Krafrstff)を使用した。試験規定の判断基準により、"合格"(3つの順次に続く試験走行においてバルブとの粘着なし)か、"不合格"(順次に続く試験走行において1番目か、2番目か、または3番目においてバルブとの粘着あり)かを試験した。この場合、バルブとの粘着は、エンジンが遅延してのみ始動し得るかまたはもはや全く始動し得ないことによってはっきりと兆候が現れる。区別を可能にするために、計画的に予想することができるバルブとの粘着の限界範囲内で試験した。質量ppmでのそれぞれの添加剤の記載された計量供給量(溶剤なしの純粋物質含量として記載した)は、それぞれ使用されたオットー機関用燃料組成物の全体量に対するものである。2つの次の表は、試験の結果を示す。
【0077】
【表2】
【0078】
P2と比較して、本発明によるP1は、同じ計量供給量の際にバルブとの粘着に対して殆んど影響を受けない。P1 160質量ppmでの試験は、バルブとの粘着が原則的に取り除かれないことを示す。この理由から実際には常にキャリヤー油は、共用される。
【0079】
【表3】
【0080】
"T1"は、酸化ブチレン22モルと反応されたトリデカノールの構造の市販のポリエーテルキャリヤー油である。
【0081】
バルブとの粘着は、キャリヤー油の添加によって回避させることができるが、しかし、公知技術水準のP2の場合には、そのために本発明によるP1の場合の3倍量のキャリヤー油が必要とされる。
【0082】
実施例4:低い温度での洗剤とキャリヤー油との相容性に対する混合試験
ポリイソブテンアミンおよびポリエーテルキャリヤー油の相容性および貯蔵安定性を20℃(室温)、0℃および−20℃で試験した。そのために、それぞれP1またはP2の50質量%の溶液60質量部を希釈剤としての常用の炭化水素混合物中でポリエーテルキャリヤー油T2またはT3 40質量部と、記載された温度で混合し、この混合物の均一性を目視的に評価した。"T2"は、酸化プロピレン15モルと反応したトリデカノールの構造の市販のポリエーテルキャリヤー油であり、"T3"は、酸化プロピレン30モルと反応したトリデカノールの構造の市販のポリエーテルキャリヤー油である。酸化プロピレンを基礎とする使用されたキャリヤー油は、低い温度で簡単に相分離が起こり、むしろ既に室温で簡単に混濁が起こることで公知である。この望ましくない効果は、実際に部分的に相当量の付加的な溶剤、例えばキシレンを添加することによって排除されなければならない。混合試験の結果は、次の表中に記載されている。
【0083】
【表4】
【0084】
この結果は、公知技術水準のP2と比較して、本発明によるP1とポリエーテルキャリヤー油との明らかに良好な相容性を示す。
【0085】
実施例5:鉱物質オットー機関用燃料とエタノールとの混合物中でのポリイソブテンアミンの相容性を改善するための混合試験
"E85"燃料の製造に関連して鉱物質オットー機関用燃料とエタノールとの混合物中での相容性の改善に対するポリイソブテンアミンの影響をP1およびP2につき試験した。そのために、それぞれP1またはP2(溶剤なしの純粋な物質) 0.1gの等量をEN 228("OK")による添加剤なしのオイロスーパー燃料30ml中の予め溶解した(このような高い"計量供給速度"は、実際には通常ではなく、即ちこの場合に起こる混濁は、実際に通常の計量供給速度で明らかに殆んど生じない)。その後に、エタノールで200mlに補充して満たし、このことは、"E85"燃料の組成にほぼ相当する。その際に、何時顕著な混濁が生じるのかを観察した。次の表は、試験の結果を示す。
【0086】
【表5】
【0087】
この結果は、公知技術水準のP2と比較して鉱物質オットー機関用燃料の混合物中でのポリイソブテンアミンの相容性の改善に対する本発明によるP1の明らかな強力な影響を示す。P2を用いると既に2:1のエタノール:OKの体積比の際に顕著な混濁が起こり、P1の場合には、混濁が起こるまで4:1のエタノール:OKの体積比は上昇される。"E85"燃料(体積比エタノール:OK=5.7:1)においても、P1は、明らかに混濁を殆んど示さない。
【0088】
実施例6:貫流挙動に対するポリイソブテンアミンの粘度の影響
装置および導管によるよりいっそう良好な貫流挙動に関連して低粘度のポリイソブテンアミンの利点は、同じ絶対量のポリイソブテンアミンを同じ時間単位で混合するために必要とされる溶剤または希釈剤の量に対して明らかになる。P2(100℃で希釈されていない241cStの動粘度)に対して典型的な製造過程において、最終製品を通常の炭化水素混合物で65質量%の重合体含量に希釈して調節する際に、最終製品を同じ炭化水素混合物で71質量%の重合体含量に希釈して調節した際の本発明によるP1(100℃で希釈されていない98cStの動粘度)に対して同様の製造過程の場合と同じ単位時間当りの体積流が生じた。これは、僅かな希釈剤中に溶解された活性重合体に対して9%のP1に対する生産の上昇率を意味する。