(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持板及び前記犠牲金属層を除去する工程の後に、前記バリア金属層を前記銅層に対して選択的に除去する工程を有することを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
前記バリア金属層は、金層の単層膜、銀層の単層膜、パラジウムの単層膜、ニッケル層の単層膜、下から順に、金層/ニッケル層の積層膜、金層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、金層/銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、銀層/ニッケル層の積層膜、及び銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜のいずれかから形成されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1〜
図2は第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図、
図3は第1実施形態の配線基板を示す図である。
【0015】
第1実施形態の配線基板の製造方法では、
図1(a)に示すように、まず、仮基板として、銅(Cu)からなる支持板10を用意する。支持板10としては、金属板や金属箔が使用され、一例として銅箔が使用される。そして、支持板10の表面を粗化処理して凹凸を形成することにより粗化面Sを得る。
【0016】
次いで、
図1(b)に示すように、支持板10の粗化面Sにドライフィルムレジスト12を貼付し、フォトリソグラフィによりドライフィルムレジスト12に開口部12aを形成する。ドライフィルムレジスト12に開口部12aは平面視して円形で形成される。
【0017】
このとき、ドライフィルムレジスト12は、支持板10の粗化面Sに形成されるため、支持板10と密着性よく形成される。なお、ドライフィルムレジスト12の代わりに液状レジストを使用してもよい。
【0018】
続いて、
図1(c)に示すように、ドライフィルムレジスト12の開口部12aを通して、支持板10をウェットエッチングすることにより凹部10aを形成する。支持板10の凹部10aは等方性エッチングで形成されるため、ドライフィルムレジスト12の開口部12aより大きなサイズで形成される。凹部10aの深さは例えば1〜5μmに設定される。
【0019】
次いで、
図1(d)に示すように、支持板10をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ドライフィルムレジスト12の開口部12a内の支持板10の凹部10aの上にニッケル(Ni)層20a(バリア金属層)を形成する。
【0020】
図1(d)の例では、ニッケル層20aが支持板10の凹部10aの全体に充填されているが、凹部10aの深さの途中まで形成されてもよいし、ドライフィルムレジスト12の開口部12aの深さの途中まで形成されてもよい。
【0021】
ニッケル層20aを形成する工程では、支持板10の凹部10aの底面はエッチング処理により平滑面となっているので、薄膜のニッケル層20aであっても凹部10aの底面を十分に被覆して形成される。
【0022】
さらに、
図1(e)に示すように、同様な電解めっきによりドライフィルムレジスト12に開口部12a内のニッケル層20aの上に銅層20bを形成する。
【0023】
このようにして、支持板10の凹部10a及びドライフィルムレジスト12の開口部12aに接続パッド用の金属層を形成する。
【0024】
その後に、
図2(a)に示すように、ドライフィルムレジスト12が除去される。第1実施形態では、ニッケル層20a(バリア金属層)及び銅層20bにより接続パッドPが形成される。接続パッドPは第1配線層として形成される。接続パッドPは島状に孤立して形成されていてもよいし、延在する引き出し配線層の一端に繋がって配置されていてもよい。
【0025】
次いで、
図2(b)に示すように、
図2(a)の構造体にスプレー装置のノズル(不図示)から粗化処理液を吹きかけることにより、接続パッドPの銅層20bの表面をエッチングして粗化面Sにする。
【0026】
このとき同時に、支持板10(銅)の表面もエッチングされて粗化面Sが維持される。粗化処理液としては、ギ酸又は酢酸に、イミダゾール・トリアゾール・アミンなどの銅と錯体を形成する化合物からなる添加剤が含まれたものが使用される。
【0027】
そのような粗化処理液によるウェットエッチングでは、凸状の接続パッドPの外側周辺部A(裾部)に粗化処理液が十分に供給されない傾向がある。このため、接続パッドPの外側周辺部Aの支持板10(銅)のリング状部分は、他の領域よりも粗化処理液でのエッチング量がかなり少なくなる。
【0028】
その結果、接続パッドPの外側周辺部Aの支持板10(銅)のリング状部分が他のエッチング面10xより高さが高い凸状段差部10yとなる。接続パッドPの周りに形成される凸状段差部10yの幅Wは例えば2〜5μmである。また、粗化処理液による支持板10(銅)のエッチング量(深さ)dは例えば1〜5μmである。
【0029】
第1実施形態では、支持板10のエッチング面10xがニッケル層20aの下面と同一高さに配置されるように支持板10がエッチングされる。
【0030】
なお、スプレー装置を使用する方法以外に、処理槽にワークをディップ(浸漬)してウェットエッチングする方式などにおいても上記と同様なエッチング結果となる。
【0031】
続いて、
図2(c)に示すように、支持板10及び接続パッドPの上に第1層間絶縁層30を形成し、第1層間絶縁層30をレーザで加工することにより接続パッドPに到達する第1ビアホールVH1を形成する。第1層間絶縁層30は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂シートが貼付されて形成される。
【0032】
接続パッドP及び支持板10の表面が粗化面Sとなっているので、第1層間絶縁層30はそれらの上に密着性よく形成される。
【0033】
あるいは、第1層間絶縁層30として、感光性樹脂を使用し、フォトリソグラフィによって第1ビアホールVH1を形成してもよい。また、樹脂シートを貼付する他に、液状樹脂を塗布してもよい。
【0034】
さらに、第1ビアホールVH1(ビア導体)を介して接続パッドPに接続される第2配線層22を第1層間絶縁層30の上に形成する。第2配線層22は例えばセミアディティブ法によって形成される。
【0035】
詳しく説明すると、まず、第1層間絶縁層30上及び第1ビアホールVH1の内面に無電解めっき又はスパッタ法により銅などからなるシード層(不図示)を形成する。次いで、第2配線層22が配置される部分に開口部が設けられためっきレジスト(不図示)をシード層の上に形成する。
【0036】
続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、第1ビアホールVH1内からめっきレジストの開口部に銅などからなる金属めっき層を形成する。次いで、めっきレジストを除去した後に、金属めっき層をマスクにしてシード層をエッチングする。これにより、シード層及び金属めっき層から第2配線層22が形成される。
【0037】
さらに、同様な工程を繰り返すことにより、第2配線層22に到達する第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層32を第1層間絶縁層30の上に形成する。続いて、同様な工程を繰り返すことにより、第2ビアホールVH2(ビア導体)を介して第2配線層22に接続される第3配線層24を第2層間絶縁層32の上に形成する。
【0038】
その後に、第3配線層24の接続部上に開口部34aが設けられた保護絶縁層34を形成する。保護絶縁層34としては、ソルダレジストなどが使用される。そして、必要に応じて、第3配線層24の接続部の上に、下から順にニッケル/金めっき層を形成するなどしてコンタクト層を形成する。
【0039】
次いで、
図2(d)に示すように、支持板10(銅)をアルカリ水溶液などのエッチャントによってウェットエッチングして除去する。このとき、接続パッドPのニッケル層20a(バリア金属層)及び第1層間絶縁層30(樹脂)が支持板10(銅)をエッチングする際のエッチングストップ層として機能してエッチングがストップする。
【0040】
第3配線層24の表面に銅が露出している場合は、第3配線層24が保護シートで保護された状態で支持板10(銅)がエッチングされる。
【0041】
またこのとき、前述した
図2(b)の工程で得られる支持板10の凸状段差部10yがエッチングされて除去されることにより、接続パッドPのニッケル層20aの外側周縁部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cがリング状に繋がって形成される。以上により、第1実施形態の配線基板1が得られる。
【0042】
なお、多面取りの大型の支持板10を使用する場合は、個々の配線基板が得られるように
図2(d)の配線部材が切断される。
【0043】
本実施形態では、支持板10を銅から形成し、接続パッドPの最下にバリア金属層としてニッケル層20aを形成することにより、支持板10(銅)を接続パッドPに対して選択的に除去している。
【0044】
銅とニッケルとの組み合わせ以外にも、支持板10のウェットエッチング時に耐性を有するように、接続パッドPのバリア金属層を支持板10と異なる各種の金属から形成してもよい。
【0045】
例えば、支持板10を銅から形成する場合は、接続パッドPのバリア金属層として、ニッケル(Ni)以外に、金(Au)、パラジウム(Pd)、又は銀(Ag)などを使用することができる。
【0046】
図3には、
図2(d)の配線基板1を上下反転させた状態が示されている。
図3に示すように、第1実施形態の配線基板1では、接続パッドPの上面が第1層間絶縁層30から露出した状態で第1層間絶縁層30に第1配線層として接続パッドPが埋設されている。
【0047】
第1実施形態の例では、接続パッドPは、銅層20bとその上に形成されたニッケル層20a(バリア金属層)とにより形成される。ニッケル層20aの径は銅層20bの径より大きく設定され、ニッケル層20aが銅層20bの外周から外側にはみ出した状態となっている。
【0048】
このように、接続パッドPは下層部とそれより径が大きな上層部とを含み、接続パッドPの下層部の例が銅層20bであり、上層部の例がニッケル層20aである。接続パッドPの下層部(銅層20b)の外周縁が、上層部(ニッケル層20a)の外周縁よりも接続パッドPの中心に向けて後退している。
【0049】
接続パッドPの平面形状の一例としては、円形で形成される。この場合、接続パッドPの直径は20〜150μmに設定される。この形態では、接続パッドPの下層部(銅層20b)の外周縁が、上層部(ニッケル層20a)の外周縁よりも接続パッドPの中心に向けて後退する幅は、0.5〜5μm程度となる。
【0050】
なお、接続パッドPの平面形状は、矩形状や多角形状などの円形以外の形状でもよい。
【0051】
前述したように、本実施形態では、支持板10の上に接続パッドPを含む多層配線を形成した後に、支持板10を除去することにより、接続パッドPを露出させる手法を採用している。このため、配線基板1の接続パッドPの上面と第1層間絶縁層30の上面とは同一の高さに配置されている
接続パッドPのバリア金属層としてニッケル層20aを例示するが、金(Au)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及び銀(Ag)の群から選択される1つの金属層、又は2つ以上の積層金属膜からバリア金属層を形成してもよい。
【0052】
好適には、
図3の状態で、上から順に、金層/ニッケル層の積層膜、金層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、金層/銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、銀層の単層膜、銀層/ニッケル層の積層膜、銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜などを使用することができる。つまり、金層又は銀層が外部に露出する層として形成される。
【0053】
前述した
図1(d)の工程で、ニッケル層20aの代わりに所望のバリア金属層が得られるようにめっき金属層を形成
すればよい。
【0054】
図3の例では、接続パッドPの下面と下層部(銅層20b)の側面全体が絶縁層30に接触して埋設され、上層部(ニッケル層20a)の側面が露出しているが、接続パッドPの側面の少なくとも一部が絶縁層30に接触して埋設されていればよい。
【0055】
図3の部分平面図を同時に参照すると、接続パッドPのニッケル層20aの外側周辺部の第1層間絶縁層30のリング状部分に凹状段差部Cが形成されている。凹状段差部Cは、接続パッドPの上層部(ニッケル層20a)の外周縁に接して設けられている。また、凹状段差部Cは、第1層間絶縁層30の上面からニッケル層20a(上層部)の下面に対応する位置まで形成されている。
【0056】
このように、第1実施形態の配線基板1では、接続パッドPの銅層20bの下面及び側面が第1層間絶縁層30に埋設され、接続パッドPのニッケル層20aの外側周辺部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが形成されている。これにより、接続パッドPのニッケル層20aの上面及び側面が第1層間絶縁層30から露出している。
【0057】
さらに、第1層間絶縁層30にはその下面側から接続パッドPに到達する第1ビアホールVH1が設けられている。そして、第1ビアホールVH1(ビア導体)を介して接続パッドPに接続される第2配線層22が第1層間絶縁層30の下面に形成されている。
【0058】
また同様に、第2配線層22に到達する第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層32が第1層間絶縁層30の下面に形成されている。そして同様に、第2ビアホールVH2(ビア導体)を介して第2配線層22に接続される第3配線層24が第2層間絶縁層32の下面に形成されている。さらに、第3配線層24の接続部上に開口部34aが設けられた保護絶縁層34が第2層間絶縁層32の下面に形成されている。
【0059】
図3の例では、接続パッドPに接続される2層のビルドアップ配線層を第1層間絶縁層30の下側に形成しているが、ビルドアップ配線層の層数はn層(nは1以上の整数)で任意に設定することができる。以下の第2、第3実施形態においても同様である。
【0060】
図3に示すように、第1実施形態の配線基板1のビアホールVH1,VH2の断面形状は、接続パッドP側を底面として外部接続端子形成面側に開口する円錐台状に形成され、底面側の径が開口側の径より小さくなっている。
【0061】
本実施形態の配線基板1は、厚みの厚いコア基板をもたないコアレス基板として製造され、高性能な半導体チップの実装基板として使用することができる。
【0062】
図4及び
図5には第1実施形態の配線基板1に半導体チップがフリップチップ接続される様子が示されている。
【0063】
図4に示すように、
図3の配線基板1の接続パッドPの上にフラックス(不図示)を塗布した後に、はんだペーストなどのはんだ材26を塗布する。そして、はんだバンプ42を備えた半導体チップ40が用意され、半導体チップ40のはんだバンプ42が配線基板1の接続パッドP上のはんだ材26に配置される。
【0064】
さらに、
図5に示すように、リフロー加熱を行うことにより、半導体チップ40をはんだ電極44によって配線基板1の接続パッドPにフリップチップ接続する。半導体チップ40の下側と配線基板1の上面との隙間にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0065】
そして、半導体チップ40を実装する前又は後に、第3配線層24の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子28を設ける。
【0066】
第1実施形態の配線基板1では、接続パッドPの外側周辺部の第1層間絶縁層30に接続パッドPを取り囲むように凹状段差部Cが形成されている。このため、半導体チップ40をフリップチップ接続する際に、はんだが接続パッドPの周りの凹状段差部Cでせき止められ、隣接する接続パッドPに余分なはんだが流れて電気ショートすることが防止される。
【0067】
また、接続パッドPの周りの第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが形成された構造のフィデューシャル(基準)マークを同時に作成することができる。フィデューシャル(基準)マークは、接続パッドPの形成時に接続パッドPと同様な方法で形成されて同様な構造となる。
【0068】
このとき、本実施形態と違って接続パッドPの周りに凹状段差部Cが形成されていない場合は、特に接続パッドPと第1層間絶縁層30との表面粗さが同等のときは、フィデューシャル(基準)マークを鮮明に画像認識することは困難になる。
【0069】
しかしながら、本実施形態では、接続パッドPと第1層間絶縁層30との表面粗さに関係することなく、接続パッドPの周りの凹状段差部Cによってフィデューシャル(基準)マークを鮮明に画像認識することができる。これにより、100μm以下の狭ピッチの接続電極を備えた半導体チップ40であっても、配線基板1に高精度に位置合わせして実装することができる。
【0070】
あるいは、
図6に示すように、
図5とは逆に、
図3の配線基板1を上下反転させ、第3配線層24の接続部にはんだ電極44によって半導体チップ40をフリップチップ接続してもよい。そして、接続パッドPにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子28を設ける。この形態の場合は、接続パッドPの直径は150〜1000μmに設定される。
【0071】
また、接続パッドPの上層部と下層部との直径の差は1〜10μmとなる。
【0072】
(第2の実施の形態)
図7及び
図8は第2実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図、
図9及び
図10は第2実施形態の配線基板を示す断面図である。第2実施形態では、第1実施形態と同一工程及び同一要素についてはその詳しい説明を省略する。
【0073】
前述した第1実施形態では、接続パッドPが銅層20bとその上に形成されたバリア金属層(ニッケル層20aなど)とから形成される。第2実施形態では、接続パッドは、銅層単層から形成されるか又は銅層の表面に酸化防止剤(OSP)が形成される。
【0074】
第2実施形態の配線基板の製造方法では、
図7(a)に示すように、第1実施形態の
図1〜
図3と同様に、銅からなる支持板10の粗化面Sの上に開口部12aが設けられたドライフィルムレジスト12をパターニングする。さらに、ドライフィルムレジスト12の開口部12a内の支持板10をエッチングして凹部10aを形成する。
【0075】
次いで、
図7(b)に示すように、支持板10をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ドライフィルムレジスト12の開口部12a内の支持板10の凹部10aにニッケル層20a(バリア金属層)を形成する。第2実施形態では、支持板10の凹部10aの深さの途中までニッケル層20aを形成する。
【0076】
さらに、
図7(c)に示すように、同様な電解めっきにより、支持板10の凹部10aの残りの空間からドライフィルムレジスト12の開口部12aにニッケル層20aに接続される銅層20bを形成する。このようにして、支持板10の凹部10a及びドライフィルムレジスト12の開口部12aに接続パッド用の金属層を形成する。
【0077】
その後に、
図7(d)に示すように、ドライフィルムレジスト12が除去される。
【0078】
第2実施形態では、銅層20bが接続パッドPとなり、銅層20bの下のニッケル層20a(バリア金属層)は支持板10をエッチングする際のエッチングストップ層として機能し、最終的に除去される。
【0079】
さらに、
図8(a)に示すように、第1実施形態と同様に、
図7(d)の構造体にスプレー装置(不図示)によって粗化処理液を吹きつけることにより、接続パッドPの銅層20b及び支持板10(銅)をエッチングして粗化面Sを得る。
【0080】
このとき、第1実施形態の
図2(b)の工程と同様に、接続パッドPの外側周辺部Aの支持板10のリング状部分がエッチング面10xより高さが高い凸状段差部10yとなる。
【0081】
第2実施形態では、支持板10のエッチング面10xが銅層20b(接続パッドP)の下面と同一高さになるように支持板10がエッチングされる。
【0082】
次いで、
図8(b)に示すように、第1実施形態の
図2(c)と同様に、接続パッドPに接続される2層のビルドアップ配線層(第2、第3配線層22,24、第1、第2層間絶縁層30,32、保護絶縁層34)を形成する。
【0083】
その後に、
図8(c)に示すように、第1実施形態の
図2(d)と同様に、支持板10(銅)をアルカリ水溶液によってウェットエッチングして除去する。このとき、接続パッドPの下に形成されたニッケル層20a(バリア金属層)及び第1層間絶縁層30(樹脂)が支持板10をエッチングする際のエッチングストップ層として機能する。
【0084】
第1実施形態と同様に、銅とニッケルの組み合わせ以外にも、支持板10のウェットエッチング時に耐性を有するように、接続パッドPのバリア金属層を支持板10と異なる各種の金属から形成してもよい。
【0085】
さらに、
図8(d)に示すように、接続パッドPの下面に露出したニッケル層20aを接続パッドP(銅)に対して選択的にウェットエッチングして除去する。ニッケル層20aのエッチャントとしては、硝酸過水液(硝酸と過酸化水素水の混合液(HNO
3/H
2O
2))が使用される。これにより、露出した接続パッドPの外側周辺部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが得られる。
【0086】
以上により、第2実施形態の配線基板2が得られる。なお、多面取りの大型の支持板10を使用する場合は、個々の配線基板が得られるように
図8(d)の配線部材が切断される。
【0087】
図9には、
図8(d)の配線基板2を上下反転させた状態が示されている。
図9に示すように、第2実施形態の配線基板2では、接続パッドPはその全体が銅層20bからなり、下層部P1とそれより径が大きな上層部P2とから形成されている。接続パッドPの下層部P1の下面及び側面が第1層間絶縁層30に埋設されている。
【0088】
そして、第1実施形態と同様に、接続パッドPの上層部P2の外側周辺部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが形成されている。凹状段差部Cは第1層間絶縁層30の上面から接続パッドPの上層部P2の下面に対応する位置まで形成されている。
【0089】
これにより、接続パッドPの上層部P2の上面及び側面が第1層間絶縁層30から露出している。凹状段差部Cは、接続パッドPの上層部P2の外周縁に接して設けられている。
【0090】
さらに、第1実施形態と同様に、第1層間絶縁層30の下面側には接続パッドPに接続される2層のビルドアップ配線層(第2、第3配線層22,24、第1、第2層間絶縁層30,32、保護絶縁層34)が形成されている。
【0091】
そして、第1実施形態の
図4及び
図5の配線基板1と同様に、配線基板2の接続パッドPに半導体チップがフリップチップ接続される。あるいは、第1実施形態の
図6と同様に、第3配線層24の接続部に半導体チップ40をフリップチップ接続し、接続パッドPに外部接続端子28を設けてもよい。
【0092】
図10に示す配線基板2aのように、
図9の配線基板2の銅層20bの上に表面処理層として酸化防止剤23(OSP(Organic Solder Passivation))を形成して接続パッドPとしてもよい。
【0093】
酸化防止剤は、イミダゾール化合物などからなり、接続パッドPの接続面(銅)の酸化を防止し、接続パッドPに半導体チップのはんだバンプなどをリフロー加熱して搭載する際に消失する。
【0094】
第2実施形態の配線基板2,2aは第1実施形態の配線基板1と同様な効果を奏する。
【0095】
(第3の実施の形態)
図11及び
図12は第3実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図、
図13及び
図14は第3実施形態の配線基板を示す断面図である。第3実施形態では、第1実施形態と同一工程及び同一要素についてはその詳しい説明を省略する。
【0096】
第3実施形態の配線基板では、接続パッドが第1層間絶縁層の凹部の底部側に配置され、凹部の上部外側周辺部の第1層間絶縁層に凹状段差部が設けられる。
【0097】
第3実施形態の配線基板の製造方法では、
図11(a)に示すように、第1実施形態の
図1(a)及び(b)と同様に、銅からなる支持板10の粗化面Sに開口部12aが設けられ
たドライフィルムレジスト12をパターニングする。第3実施形態では、支持板10に凹部を形成する工程が省略される。
【0098】
次いで、
図11(b)に示すように、支持板10をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ドライフィルムレジスト12の開口部12a内の支持板10の上に、第1銅層21a(犠牲金属層)、ニッケル層21b(バリア金属層)及び第2銅層21cを順に形成する。
【0099】
第3実施形態では、接続パッドPはニッケル層21b(バリア金属層)及び第2銅層21cから形成される。最下の第1銅層21aは凹部を得るための犠牲金属層であり、最終的に除去される。このようにして、ドライフィルムレジスト12の開口部12a内の支持板10の上に、犠牲金属層及び接続パッド用の金属層を順に形成して積層金属層を得る。
【0100】
その後に、
図11(c)に示すように、ドライフィルムレジスト12が除去される。
【0101】
続いて、
図11(d)に示すように、第1実施形態と同様に、
図11(c)の構造体にスプレー装置(不図示)によって粗化処理液を吹きつけることにより、接続パッドPの表面及び支持板10(銅)をエッチングして粗化面Sを得る。
【0102】
このとき、第1実施形態と同様に、接続パッドPの外側周辺部Aの支持板10のリング状部分が他のエッチング面10xより高さが高い凸状段差部10yとなる。
【0103】
次いで、
図12(a)に示すように、第1実施形態の
図2(c)と同様に、接続パッドPに接続される2層のビルドアップ配線層(第2、第3配線層22,24、第1、第2層間絶縁層30,32、保護絶縁層34)を形成する。
【0104】
続いて、
図12(b)に示すように、第1実施形態の
図2(d)と同様に、支持板10(銅)をアルカリ水溶液によってウェットエッチングして除去する。このとき、接続パッドPの下に形成された第1銅層21a(犠牲金属層)が連続してエッチングされて除去される。これにより、接続パッドPの下方の第1層間絶縁層30に凹部30aが設けられ、その外側周辺部に凹状段差部Cが得られる。
【0105】
第3実施形態においても、支持板10及び犠牲金属層(第1銅層21a)を銅から形成し、接続パッドPの最下層としてバリア金属層(ニッケル層21b)を形成することにより、支持板10及び犠牲金属層(第1銅層21a)を接続パッドPに対して選択的に除去している。
【0106】
第1実施形態と同様に、銅とニッケルの組み合わせ以外にも、支持板10及び犠牲金属層のウェットエッチング時に耐性を有するように、接続パッドPのバリア金属層を支持板10及び犠牲金属層と異なる各種の金属から形成してもよい。
【0107】
以上により、第3実施形態の配線基板3が得られる。なお、多面取りの大型の支持板10を使用する場合は、個々の配線基板が得られるように
図12(b)の配線部材が切断される。
【0108】
図13には、
図12(b)の配線基板3を上下反転させた状態が示されている。第3実施形態の配線基板3では、接続パッドPは第2銅層21cとその上に形成されたニッケル層21b(バリア金属層)とから形成され、全体にわたって同一径で形成される。
【0109】
第1実施形態と同様に、接続パッドPのバリア金属層としてニッケル層21bを例示するが、金(Au)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及び銀(Ag)の群から選択される1つの金属層、又は2つ以上の積層金属膜からバリア金属層を形成してもよい。
【0110】
第1実施形態と同様に、好適には、
図13の状態で、上から順に、金層/ニッケル層の積層膜、金層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、金層/銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜、銀層の単層膜、銀層/ニッケル層の積層膜、銀層/パラジウム層/ニッケル層の積層膜などを使用することができる。
【0111】
前述した
図11(b)の工程で、ニッケル層21bの代わりに所望のバリア金属層が得られるようにめっき金属層を形成ればよい。
【0112】
第1層間絶縁層30には上面側が開口された凹部30aが形成されており、接続パッドPがその凹部30aの底部側に埋設されている。これにより、接続パッドPの上面が第1層間絶縁層30の上面よりも下に配置された状態で第1層間絶縁層30から露出している。
【0113】
凹部30aの上部外側周辺部の第1層間絶縁層30には、第1層間絶縁層30の他の上面より高さが低い凹状段差部Cがリング状に形成されている。
【0114】
このようにして、第3実施形態においても、接続パッドPの外側周辺部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが形成されている。
【0115】
さらに、第1実施形態と同様に、第1層間絶縁層30の下面側には接続パッドPに接続される2層のビルドアップ配線層(第2、第3配線層22,24、第1、第2層間絶縁層30,32、保護絶縁層34)が形成されている。
【0116】
図14に示す配線基板3aのように、
図13の配線基板3の接続パッドPからニッケル層21b(バリア金属層)を除去することにより、接続パッドPを第2銅層21cから形成してもよい。この形態では、第2実施形態の
図10と同様に、露出した第2銅層21cの上に酸化防止剤(OSP)を形成してもよい。
【0117】
第3実施形態の配線基板3,3aにおいても、厚みの厚いコア基板をもたないコアレス基板として製造され、高性能な半導体チップの実装基板として使用することができる。
【0118】
そして、
図15に示すように、
図13の配線基板3の接続パッドPの上にフラックス(不図示)を塗布した後に、はんだペーストなどのはんだ材26を塗布する。そして、半導体チップ40のはんだバンプ42が配線基板3の接続パッドP上のはんだ材26に配置される。
【0119】
さらに、
図16に示すように、リフロー加熱を行うことにより、半導体チップ40をはんだ電極44によって配線基板3の接続パッドPにフリップチップ接続する。半導体チップ40の下側と配線基板3の上面との隙間にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0120】
そして、半導体チップ40を実装する前又は後に、第3配線層24の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子28を設ける。
【0121】
第3実施形態の配線基板3では、接続パッドPは第1層間絶縁層30の凹部30aの底部側に配置されていると共に、凹部30aの外側周辺部の第1層間絶縁層30に凹状段差部Cが形成されている。
【0122】
このため、半導体チップ40をフリップチップ接続する際に、はんだが第1層間絶縁層30の凹部30a及び凹状段差部Cでせき止められ、隣接する接続パッドPに余分なはんだが流れて電気ショートすることが防止される。
【0123】
また、接続パッドPの上及び周りの第1層間絶縁層30に凹部30a及び凹状段差部Cが形成されているので、フィデューシャル(基準)マークを鮮明に画像認識することができる。これにより、半導体チップを配線基板に高精度に位置合わせして実装することできる。
【0124】
あるいは、第1実施形態の
図6と同様に、第3配線層24の接続部に半導体チップ40をフリップチップ接続し、接続パッドPに外部接続端子28を設けてもよい。