(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薄箔を除去する工程より後であって、前記ソルダーレジスト層を形成する工程よりも前に、前記パッド本体の上面及び前記配線パターンの上面を粗化面とする工程を有し、
前記ソルダーレジスト層を形成する工程よりも後に、前記開口部内に露出する前記パッド本体の上面を平滑面とする工程を有する請求項9又は10記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。なお、
図1(b)及び
図1(c)は、
図1(a)のA部を拡大して例示する部分断面図である。又、
図1(d)は、
図1(a)のB部を拡大して例示する部分断面図である。又、
図2は、
図1のA部近傍を拡大して例示する部分平面図である。なお、
図2では、便宜上、ソルダーレジスト層19を梨地模様で示している。
【0012】
図1及び
図2を参照するに、配線基板1は、パッド10と、配線層11と、絶縁層14と、配線層15と、絶縁層16と、配線層17と、ソルダーレジスト層18及び19とを有する。配線基板1は、所謂コアレスのビルドアップ配線基板である。
【0013】
本実施の形態では、便宜上、ソルダーレジスト層19側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層18側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層19側の面を上面又は一方の面、ソルダーレジスト層18側の面を下面又は他方の面とする。又、平面視とは対象物を絶縁層14の上面14aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層14の上面14aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
配線基板1において、絶縁層14は配線層11が形成される層である。絶縁層14の材料としては、例えば、非感光性である熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を主成分とする材料を用いることができる。本実施の形態では、絶縁層14は補強部材14gを有している。補強部材14gとしては、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布を用いることができる。絶縁層14は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層14の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。
【0015】
絶縁層14の上面14aは粗化面とされており、絶縁層14の上面14aの粗度は、例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度とすることができる。絶縁層14の上面14aの粗度は、例えば、光干渉式の装置を用いて測定することができる(他の面の粗度についても同様)。絶縁層14の上面14aを粗化面とすることにより、絶縁層14の上面14aとソルダーレジスト層19との密着性を向上できる。
【0016】
配線層11は絶縁層14に埋設されている。配線層11の下面11t及び側面11vは絶縁層14に被覆され、配線層11の上面11u、11wは絶縁層14の上面14aから窪んだ位置に露出している。言い換えれば、配線層11の上面11u、11wと絶縁層14の上面14aとの間には段差部Zが設けられている。配線層11の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層11の厚さは、例えば、5〜20μm程度とすることができる。絶縁層14の上面14aから配線層11の上面11u、11wの深さD(段差部Zの深さ)は、例えば、2〜4μm程度とすることができる。
【0017】
なお、配線層11は、パッド10の一部を構成するパッド本体11Aと、配線パターン11Bとを含んでいる。配線パターン11Bの幅は一定でなくてもよく、例えば、ビア配線と接続される部分(配線パターン11Bの端部)が幅広となっていてもよい。又、配線パターン11Bの端部は、例えば、パッド10と接続されていてもよい。パッド本体11Aの上面11wと配線パターン11Bの上面11uとは略同一平面上にある。パッド本体11Aと配線パターン11Bとを特に別する必要がない場合には、単に配線層11と称する。配線パターン11Bは、例えば、
図12のように、搭載された複数の半導体素子等の電子部品の間を接続するために狭ピッチで形成された配線として配置されてもよいし、引き回し配線として配置されてもよい。
【0018】
パッド10は、パッド本体11Aの上面11wに第1金属層12及び第2金属層13が順次積層された構造とされており、半導体チップ等とボンディングワイヤで接続されたり、はんだを介して接続されたりする部分となる。パッド10は、例えば、ペリフェラル状に配置することができる。その際、パッド10を複数列に配置してもよい。
【0019】
図2(a)に示すように、パッド10の平面形状は例えば矩形とすることができる。その場合、
図2(b)に示すように、パッド10の幅は、配線パターン11Bの幅と同一であってもよい。但し、
図2(c)に示すように、パッド10の平面形状は円形等であってもよく、その場合の直径は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
【0020】
又、
図2(a)〜
図2(c)は、開口部19xをパッド10よりも大きく形成し、開口部19x内にパッド10の全部を露出させる所謂NSMD(ノン・ソルダーマスク・デファイン)構造である。しかし、
図2(d)や
図2(e)に示すように、パッド10の一部がソルダーレジスト層19に被覆される構造としてもよい。なお、
図2(e)は、所謂SMD(ソルダーマスク・デファイン)構造である。
【0021】
なお、パッド本体11Aの上面11wは平滑面であり、その粗度は、例えば、Ra=0.05μm以上0.2μm未満程度とすることができる。このように、パッド本体11Aの上面11wを平滑面とすることで、第1金属層12の上面12uも平滑面となり、第1金属層12の上面12uに形成される第2金属層13の上面13uも平滑面となる。又、パッド本体11Aの上面11wが粗化面であると、その影響により第1金属層12及び第2金属層13の厚さのばらつきが生じやすいが、パッド本体11Aの上面11wが平滑面であれば、第1金属層12及び第2金属層13の厚さを均一にできる。これにより、例えば、第2金属層13の上面13uにボンディングワイヤを接続したり、はんだを介して半導体チップの電極パッドを接続したりする際の濡れ性が向上し、接続信頼性を向上できる。
【0022】
これに対し、配線パターン11Bの上面11uは粗化面であり、その粗度は、例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度とすることができる。配線パターン11Bは、ソルダーレジスト層19に被覆されるので、配線パターン11Bの上面11uを粗化面とすることでアンカー効果が生じ、配線パターン11Bとソルダーレジスト層19との密着性を向上できる。
【0023】
パッド10において、第1金属層12は、パッド本体11Aの上面11wに形成され、絶縁層14に埋設された埋設部12−1及び絶縁層14の上面14aから突出する突出部12−2を備えている。つまり、第1金属層12は、絶縁層14に側面12vの一部が埋め込まれた状態であり、残りの側面12vの一部は、絶縁層14から露出された状態となっている。具体的には、第1金属層12の下面12tはパッド本体11Aの上面11wと接し、第1金属層12の側面12vの下端側(パッド本体11A側)は絶縁層14に接して被覆されて埋設部12−1が構成されている。そして、第1金属層12の側面12vの上端側(第2金属層13側)及び上面12uは絶縁層14から露出して突出部12−2が構成されている。第1金属層12の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等を用いることができる。第1金属層12の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。第1金属層12の上面12uの絶縁層14の上面14aからの高さH(第1金属層12の突出部12−2の突出量)は、例えば、1〜8μm程度とすることができる。埋設部12−1と突出部12−2は、同一の金属材料からなり、一体的に(連続して)形成されている。
【0024】
なお、
図1(c)に示すように、第1金属層12の突出部12−2の外周部12sが、絶縁層14の上面14aに接して、平面方向に延在してもよい。つまり、第1金属層12の突出部12−2の直径は、第1金属層12の埋設部12−1の直径(パッド本体11Aを露出する絶縁層14の開口の直径)よりも大きくなる。例えば、パッド10の平面形状が円形であれば、第1金属層12の突出部12−2の外周部12sが円環状に絶縁層14の上面14aに延在する。第1金属層12は、例えばめっきにより形成することができ、めっき条件により
図1(b)又は
図1(c)の何れかの形状になる。又、
図1(b)又は
図1(c)の何れの場合も、第1金属層12の上面12uと側面12vとが連結する部分の断面形状はR状(ラウンド形状)や面取り状等であってもよい。
【0025】
パッド10において、第2金属層13は、第1金属層12の突出部12−2(絶縁層14の上面14aから突出して露出する部分)の上面12u及び側面12vを被覆するように形成されている。第2金属層13の材料としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。第2金属層13の厚さは、例えば、0.06〜1μm程度とすることができる。第2金属層13の上面13uは、ソルダーレジスト層19の上面19aよりも低い位置にある。第2金属層13の上面13uとソルダーレジスト層19の上面19aとの高低差は、例えば、3〜10μm程度とすることができる。
【0026】
ソルダーレジスト層19は、絶縁層14の上面14aに形成されている。より詳しくは、ソルダーレジスト層19は、パッド10を露出する開口部19xを備え、絶縁層14の上面14aと配線パターン11Bの上面11uとが形成する段差部Zを埋めるように形成されている。なお、開口部19xは、各パッド10に対して1つずつ設けてもよいし、1つの開口部19xが複数のパッド10を露出するように設けてもよい。又、開口部19x内に、パッド10と接続された配線パターン11Bの一部が露出してもよい。この場合には、開口部19x内に露出する配線パターン11Bにも第1金属層12及び第2金属層13が積層される。 ソルダーレジスト層19の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂等を用いることができる。又、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂(熱硬化性樹脂)を用いてもよい。ソルダーレジスト層19は、シリカ(SiO
2)やアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層19の厚さは、例えば5〜12μm程度とすることができる。
【0027】
配線層15は、絶縁層14の下面側に形成されている。配線層15は、絶縁層14を貫通し配線層11の下面を露出するビアホール14x内に充填されたビア配線、及び絶縁層14の下面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール14xは、絶縁層16側に開口されている開口部の面積が配線層11の下面を露出するように形成された開口部の底面の面積よりも大きくなる凹部とすることができる。例えば、ビアホール14xの両側の開口部が共に円形であれば、ビアホール14xは円錐台状の凹部となる。
【0028】
言い換えれば、配線層15を構成するビア配線は、配線層11の下面と接する部分の面積が、絶縁層14の下面から露出する部分(配線層15を構成する配線パターンとの境界部分)の面積よりも小さくなっている。なお、配線層15を構成するビア配線は、パッド本体11Aの下面及び配線パターン11Bの下面の全部と接続されていなくてもよい。
【0029】
配線層15は、ビアホール14xの底部に露出した配線層11と電気的に接続されている。配線層15の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層15を構成する配線パターンの厚さは、例えば5〜20μm程度とすることができる。
【0030】
絶縁層16は、絶縁層14の下面に、配線層15を覆うように形成されている。絶縁層16の材料としては、絶縁層14と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。本実施の形態では、絶縁層16は補強部材16gを有している。補強部材16gとしては、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布を用いることができる。絶縁層16は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層16の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。
【0031】
配線層17は、絶縁層16の下面側に形成されている。配線層17は、絶縁層16を貫通し配線層15の下面を露出するビアホール16x内に充填されたビア配線、及び絶縁層16の下面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール16xは、ソルダーレジスト層18側に開口されている開口部の面積が配線層15の下面を露出するように形成された開口部の底面の面積よりも大きくなる凹部とすることができる。例えば、ビアホール16xの両側の開口部が共に円形であれば、ビアホール16xは円錐台状の凹部となる。
【0032】
言い換えれば、配線層17を構成するビア配線は、配線層15の下面と接する部分の面積が、絶縁層16の下面から露出する部分(配線層17を構成する配線パターンとの境界部分)の面積よりも小さくなっている。
【0033】
配線層17は、ビアホール16xの底部に露出した配線層15と電気的に接続されている。配線層17の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層17を構成する配線パターンの厚さは、例えば5〜20μm程度とすることができる。
【0034】
ソルダーレジスト層18は、絶縁層16の下面に、配線層17を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層18は、配線層17を選択的に露出する開口部18xを備えている。開口部18xの底部には配線層17の一部が露出している。より詳しくは、配線層17の下面17tは、平滑な面を持つ中央部17pと、中央部17pの外側において、粗化された面を持つ外縁部17sとを備えている。配線層17の下面17tの外縁部17sはソルダーレジスト層18に被覆され、配線層17の下面17tの中央部17pは開口部18x内に露出している。
【0035】
配線層17の下面17tの外縁部17s及び側面17vの粗度は、配線パターン11Bの上面11uの粗度と同等であり、例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度とすることができる。又、配線層17の下面17tの中央部17pの粗度は、パッド本体11Aの上面11wの粗度と同等であり、例えば、Ra=0.05μm以上0.2μm未満程度とすることができる。つまり、配線層17の下面17tの中央部17pは平滑面である。
【0036】
なお、開口部18xの底部に露出する配線層17の下面17tの中央部17pは、他の配線基板や半導体パッケージ等と電気的に接続されるパッドとして機能する。ソルダーレジスト層18の材料や厚さは、例えば、ソルダーレジスト層19と同様とすることができる。
【0037】
必要に応じ、開口部18xの底部に露出する配線層17の下面17tの中央部17pに表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の厚さは、例えば、0.5〜1μm程度とすることができる。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、開口部18xの底部に露出する配線層17の下面17tの中央部17pに、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。なお、OSP処理により形成される表面処理層は、アゾール化合物やイミダゾール化合物等からなる有機被膜である。
【0038】
なお、本実施の形態では、開口部18xの底部に露出する配線層17の下面17tの中央部17pが平滑面であるため、配線層17の下面17tの中央部17pに形成される表面処理層の下面も平滑面となり、かつ、表面処理層の厚さを均一にできる。これにより、表面処理層と表面処理層に接続される対象物(例えば、はんだ等)との接続信頼性を向上できる。
【0039】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図3〜
図7は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0040】
まず、
図3(a)及び
図3(b)に示す工程では、支持体100を作製する(
図3(a)は断面図、
図3(b)は平面図である)。具体的には、まず、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布(図示せず)にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含侵させたプリプレグ110aを準備する。プリプレグ110aは、B−ステージ(半硬化状態)である。プリプレグ110aの平面形状は、例えば、縦及び横が400〜500mm程度の矩形状とすることができる。プリプレグ110aの厚さは、例えば、10〜100μm程度とすることができる。但し、要求される強度によっては、プリプレグ110aを2層重ねて構成してもよい。又、プリプレグ110aに代えてガラス繊維等を有しない絶縁性樹脂のみを用いてもよい。
【0041】
次に、キャリア付き金属箔120を2個準備する。キャリア付き金属箔120は、例えば銅からなる厚さ10〜50μm程度の厚箔(キャリア箔)122上に、剥離層(図示せず)を介して、例えば銅からなる厚さ1.5〜5μm程度の薄箔121が剥離可能な状態で貼着された構造を有する。厚箔122は、薄箔121の取り扱いを容易にするための支持材として設けられている。キャリア付き金属箔120の平面形状は、プリプレグ110aの平面形状よりも少し小さい矩形状とすることができる。なお、本実施の形態では、薄箔121が銅(Cu)である場合を例にして以降の説明を行う。
【0042】
次に、
図3(a)の矢印上側に示すように、一番下に、1個目のキャリア付き金属箔120を薄箔121を下側に向けて配し、厚箔122上にプリプレグ110aを積層する。更に、プリプレグ110a上に、2個目のキャリア付き金属箔120を薄箔121を上側に向けて積層する。なお、各部材は、夫々の中心が略一致するように順次積層する。
【0043】
次に、例えば、真空雰囲気で190〜230℃程度の温度でプリプレグ110aを加熱しながら、上側のキャリア付き金属箔120を下側のキャリア付き金属箔120側に押圧してプリプレグ110aを硬化させる。これにより、
図3(a)の矢印下側に示すように、プリプレグ110aが硬化して樹脂層110となり、各キャリア付き金属箔120が樹脂層110の上下両側に埋設されて樹脂層110と接着され、支持体100が作製される。
【0044】
上側のキャリア付き金属箔120の上面(薄箔121の上面)は樹脂層110の上面から露出しており、側面は樹脂層110に被覆され接着されている。上側のキャリア付き金属箔120の薄箔121の上面は、例えば、樹脂層110の上面と面一とすることができる。又、下側のキャリア付き金属箔120の下面(薄箔121の下面)は樹脂層110の下面から露出しており、側面は樹脂層110に被覆され接着されている。下側のキャリア付き金属箔120の薄箔121の下面は、例えば、樹脂層110の下面と面一とすることができる。又、薄箔121の上面及び薄箔121の下面に粗化面を有するものを用いた場合、夫々の粗度は、例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度とすることができる。又、上面及び下面が粗化面ではなく平滑面(Ra=0.2μm未満程度)である薄箔121を用いてもよい。以降では、薄箔121の上面及び薄箔121の下面に粗化面を有するものを用い場合を例にして説明する。
【0045】
なお、
図3(b)において、2点鎖線Cで囲まれた各領域は、配線基板1が形成される領域を示している。つまり、2点鎖線Cで囲まれた各領域に必要な層が形成された後、支持体100が除去され、更に必要な層が形成され、2点鎖線Cに沿って切断されて個片化された1つの配線基板1(
図1参照)となる。2点鎖線Cで囲まれた各領域は、平面視において、上側及び下側のキャリア付き金属箔120の外縁部よりも内側の領域に配されている。
図3(b)の例では、2点鎖線Cで囲まれた10の領域が示されているが、領域の数はこれには限定されない。
【0046】
なお、2点鎖線Cで囲まれた各領域に複数(例えば、20個)の配線基板1を形成し、最終的には2点鎖線Cに沿って切断して、複数(例えば、20個)の配線基板1を含むシート状の配線基板を作製してもよい。以降の工程では、便宜上、2点鎖線Cで囲まれた各領域に1つの配線基板1を作製する場合の例について説明する。
【0047】
次に、
図4(a)に示す工程では、支持体100の一方の面100a及び他方の面100bに配線層11(パッド本体11A及び配線パターン11B)を形成する。具体的には、支持体100の一方の面100a及び他方の面100bに、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いて、配線層11に対応する開口部を有するレジスト層を形成する。そして、各キャリア付き金属箔120をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、各開口部内に露出する支持体100の一方の面100a及び他方の面100bに配線層11を形成する。配線層11を形成後、レジスト層を除去する。なお、本実施の形態では、配線層11の材料が銅(Cu)である場合を例にして以降の説明を行う。
【0048】
次に、
図4(b)に示す工程では、支持体100の一方の面100a及び他方の面100bに、各々配線層11を覆うように補強部材14gを有する絶縁層14を形成する。絶縁層14は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層14の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。具体的には、まず、例えば、非感光性である熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を予めガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布である補強部材14gに含浸させた所謂プリプレグを準備する。そして準備したプリプレグを、支持体100の一方の面100a及び他方の面100bにラミネートする。そして、ラミネートしたプリプレグを押圧しつつ、絶縁性樹脂を硬化温度以上に加熱して硬化させ、補強部材14gを有する絶縁層14を形成する。なお、絶縁性樹脂を真空雰囲気中でラミネートすることにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
【0049】
次に、
図4(c)に示す工程では、各絶縁層14に、各絶縁層14を貫通し各配線層11の表面を露出するビアホール14xを形成する。ビアホール14xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール14xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール14xの底部に露出する配線層11の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0050】
レーザ加工法により形成されたビアホール14xは、絶縁層16を形成する側に開口されている開口部の面積が配線層11の表面によって形成された開口部の底面の面積よりも大きくなる凹部とすることができる。例えば、ビアホール14xの両側の開口部が共に円形であれば、ビアホール14xは、配線層11が上側になるように置いた場合に、円錐台状の凹部となる。この場合、ビアホール14xの絶縁層16を形成する側に開口されている開口部の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0051】
次に、
図5(a)に示す工程では、各絶縁層14に配線層15を積層する。配線層15は、ビアホール14x内に充填されたビア配線、及び絶縁層14上に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層15を構成するビア配線は、配線層11の表面と接する部分の面積が、絶縁層14の表面から露出する部分(配線層15を構成する配線パターンとの境界部分)の面積よりも小さくなる。配線層15は、ビアホール14xの底部に露出した配線層11と電気的に接続される。配線層15の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層15を構成する配線パターンの厚さは、例えば、5〜20μm程度とすることができる。配線層15は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0052】
例えば、セミアディティブ法を用いて配線層15を形成するには、まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。シード層は、ビアホール14xの底部に露出した配線層11の表面及びビアホール14xの内壁面を含む絶縁層14の表面全面に形成する。更に、シード層上に配線層15に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる電解めっき層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層15が形成される。
【0053】
次に、
図5(b)に示す工程では、
図4(b)〜
図5(a)と同様の工程により、配線層15を被覆するように補強部材16gを有する絶縁層16を絶縁層14上に形成する。そして、絶縁層16にビアホール16xを形成し、絶縁層16上に配線層17を形成する。配線層17は、ビアホール16xを介して、配線層15と電気的に接続される。配線層17及び絶縁層16の材料や厚さは前述の通りである。
【0054】
次に、
図6(a)に示す工程では、
図5(b)に示す構造体から支持体100の一部を除去する。具体的には、各絶縁層16上に配線層17を被覆する保護フィルム150(例えば、樹脂製)をラミネートする。そして、支持体100及びその両面に積層された各配線部材を、ルーター加工等により、
図3(b)における各キャリア付き金属箔120の外縁部より内側かつ2点鎖線Dで囲まれた各領域より外側で切断する。これにより、各キャリア付き金属箔120の側面と樹脂層110とが接着された部分が分離されるため、支持体100と各配線部材とは、薄箔121と厚箔122との間の貼着力のみで保持されている状態となる。
【0055】
次に、支持体100に機械的な力を加え、各キャリア付き金属箔120の薄箔121と厚箔122との界面を剥離する。前述のように、キャリア付き金属箔120は、薄箔121上に剥離層(図示せず)を介して厚箔122が貼着された構造を有するため、厚箔122は、剥離層(図示せず)とともに薄箔121から容易に剥離する。
【0056】
これにより、薄箔121のみが各絶縁層14側に残り、支持体100を構成する他の部材(樹脂層110及び厚箔122)が除去される。但し、剥離層とともに薄箔121から厚箔122が剥離する場合の他に、剥離層内で凝集破壊が起こり、薄箔121から厚箔122が剥離する場合もある。又、剥離層から厚箔122が剥離することで、薄箔121から厚箔122を剥離する場合もある。
【0057】
なお、この工程で、絶縁層14側に薄箔121が形成された同一の配線部材が2つ作製されるが、以降の工程では、このうちの一方についてのみ図示して説明する。但し、図示しない他方についても同一の工程が実行される。
【0058】
次に、
図6(b)に示す工程では、エッチングにより薄箔121を除去して絶縁層14の上面14aを露出させる。銅からなる薄箔121は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。配線層11も銅からなるため、上面側の一部がエッチングにより除去され、配線層11の上面11u、11wと絶縁層14の上面14aとの間に段差部Zが形成される。これにより、配線層11の上面11u、11wは、絶縁層14の上面14aよりも窪んだ位置に露出する。
【0059】
パッド本体11Aの上面11wと配線パターン11Bの上面11uとは、略同一平面上に位置するようにエッチングされる。配線層11の上面11u、11w(パッド本体11Aの上面11w及び配線パターン11Bの上面11u)の絶縁層14の上面14aからの深さD(段差部Zの深さ)は、例えば、2〜4μm程度とすることができる。深さD(段差部Zの深さ)は、エッチング時間を制御することにより任意の値に調整可能である。なお、配線層17は保護フィルム150に被覆されているため、薄箔121及び配線層11の一部を除去するエッチングにより配線層17の一部又は全部が除去されることはない。
【0060】
前述のように、薄箔121の配線層11及び絶縁層14と接する面は粗化面(例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度)とされているため、絶縁層14の上面14aに粗化面(例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度)が転写される。これに対し、配線層11の薄箔121の粗化面と接していた面は、エッチングにより除去されるため、絶縁層14の上面14aよりも窪んだ位置に露出する配線層11の上面11u、11wは平滑面(例えば、Ra=0.05μm以上0.2μm未満程度)となる。
【0061】
次に、
図7(a)に示す工程では、
図6(b)に示す保護フィルム150を除去(剥離)した後、絶縁層14の上面14aから露出する配線層11の上面11u、11w、並びに、絶縁層16の下面から露出する配線層17の下面及び側面を粗化する。配線層11及び配線層17の露出面の粗化は、例えば、蟻酸を用いたウェットエッチングにより行うことができる。配線層11及び配線層17の露出面の粗度は、例えば、Ra=0.3μm以上0.8μm未満程度とすることができる。
【0062】
次に、
図7(b)に示す工程では、絶縁層14の上面14aに配線層11を被覆するソルダーレジスト層19を形成する。又、絶縁層16の下面に配線層17を被覆するソルダーレジスト層18を形成する。ソルダーレジスト層19及びソルダーレジスト層18は、例えば、液状又はペースト状の絶縁性樹脂を、配線層11及び配線層17を被覆するように絶縁層14及び絶縁層16上にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の絶縁性樹脂を、配線層11及び配線層17を被覆するように絶縁層14及び絶縁層16上にラミネートすることにより形成してもよい。絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0063】
そして、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することでソルダーレジスト層19に配線層11のパッド本体11Aを露出する開口部19xを形成する(フォトリソグラフィ法)。本実施の形態では、平面視において、パッド本体11Aの周囲に絶縁層14の上面14aが露出するように開口部19xを形成する。同様に、ソルダーレジスト層18に配線層17を選択的に露出する開口部18xを形成する(フォトリソグラフィ法)。本実施の形態では、配線層17の下面17tの外縁部17sがソルダーレジスト層18に被覆され、配線層17の下面17tの中央部17pがソルダーレジスト層18から露出するように開口部18xを形成する。エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂(熱硬化性樹脂)をソルダーレジスト層19及びソルダーレジスト層18として用いた場合には、開口部19x及び開口部18xをレーザ加工法やブラスト処理等により形成してもよい。
【0064】
なお、絶縁層14の上面14aと配線パターン11Bの上面11uとが形成する段差部Zは、ソルダーレジスト層19により埋められている。前述のように、配線パターン11Bの上面11uは粗化面とされているため、アンカー効果により、配線パターン11Bとソルダーレジスト層19との密着性が良好となる。同様に、配線層17の下面17tの外縁部17s及び側面17vは粗化面とされているため、アンカー効果により、配線層17の下面17tの外縁部17s及び側面17vとソルダーレジスト層18との密着性が良好となる。
【0065】
次に、
図7(c)に示す工程では、第1金属層12及び第2金属層13を形成する前処理として、ソルダーレジスト層19の開口部19xから露出するパッド本体11Aの上面11w(粗化面)をエッチングして平滑面とする。又、ソルダーレジスト層18の開口部18xから露出する配線層17の下面17tの中央部17p(粗化面)をエッチングして平滑面とする。ソルダーレジスト層19の開口部19x内に露出するパッド本体11Aの上面11w、及びソルダーレジスト層18の開口部18xから露出する配線層17の下面17tの中央部17pの粗度は、例えば、Ra=0.05μm以上0.2μm未満程度とすることができる。エッチング液としては、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いることができる。
【0066】
次に、
図7(d)に示す工程では、ソルダーレジスト層19の開口部19xから露出するパッド本体11Aの上面11wに、例えば電解めっき法や無電解めっき法等により第1金属層12及び第2金属層13を順次積層し、パッド10を作製する。なお、電解めっき法を用いる場合には、予め、外部からパッド本体11Aに給電するためのバスラインを形成しておく必要がある。
【0067】
第1金属層12は、絶縁層14に埋設された埋設部12−1及び絶縁層14の上面14aから突出する突出部12−2を備えるように形成される。つまり、第1金属層12は、絶縁層14に側面12vの一部が埋め込まれた状態であり、残りの側面12vの一部は、絶縁層14から露出された状態となっている。具体的には、第1金属層12の下面12tはパッド本体11Aの上面11wと接し、第1金属層12の側面12vの下端側(パッド本体11A側)は絶縁層14に接して被覆されて埋設部12−1が構成されている。そして、第1金属層12の側面12vの上端側(第2金属層13側)及び上面12uは絶縁層14から露出して突出部12−2が構成されている。又、埋設部12−1と突出部12−2は、同一の金属材料からなり、一体的に(連続して)形成されている。
【0068】
第1金属層12の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等を用いることができる。第1金属層12の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。第1金属層12の上面12uの絶縁層14の上面14aからの高さH(
図1(b)参照)は、例えば、1〜4μm程度とすることができる。なお、第1金属層12は、
図1(b)又は
図1(c)の何れの断面形状としてもよい。
【0069】
第2金属層13は、第1金属層12の突出部12−2(絶縁層14の上面14aから突出する部分)の上面12u及び側面12vを被覆するように形成される。第2金属層13の材料としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。第2金属層13の厚さは、例えば、0.06〜1μm程度とすることができる。第2金属層13の上面13uは、ソルダーレジスト層19の上面19aよりも低い位置にある。第2金属層13の上面13uとソルダーレジスト層19の上面19aとの高低差は、例えば、3〜10μm程度とすることができる。
【0070】
なお、この工程において、開口部18xの底部に露出する配線層17の下面17tの中央部17pに、例えば電解めっき法や無電解めっき法等により表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、前述の通りである。
【0071】
図7(d)に示す工程の後、
図7(d)に示す構造体を、スライサー又はルーター等を用いて2点鎖線Cの位置で切断することにより、複数の配線基板1(
図1参照)が完成する。
【0072】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板1では、パッド本体11Aを絶縁層14に埋め込み、パッド本体11Aの上面11wを絶縁層14の上面14aから窪んだ位置に露出させている。そして、パッド本体11Aの上面11wに、絶縁層14に埋設された埋設部12−1及び絶縁層14の上面14aから突出する突出部12−2を備えた第1金属層12を形成する。そして、更に、第1金属層12の突出部12−2の上面12u及び側面12vを被覆する第2金属層13を形成し、パッド10としている。
【0073】
これにより、絶縁層14に第1金属層12の一部が埋め込まれた状態となるため、絶縁層14の上面14aと第2金属層13の上面13uとの高低差を従来(例えば、15〜50μm)よりも小さく(例えば、数μm程度)できる。その結果、パッド10の保護のためにソルダーレジスト層19を形成したとしても、ソルダーレジスト層19を従来(例えば、20〜60μm程度)より薄く(例えば、5〜15μm程度)することが可能となり、配線基板1を薄型化できる。なお、配線基板1を構成する各層の層厚や配線基板1の総厚の具体例については後述の実施例において示す。
【0074】
又、本実施の形態では、絶縁層14に第1金属層12の一部が埋め込まれた状態となっているため、第1金属層12の厚さを十分に確保できる。そのため、第1金属層12がニッケルからなる場合に、ワイヤボンディングやフリップチップ接続におけるパッドの接続信頼性(濡れ性)が低下することを防止できる。又、パッド本体11Aが銅からなる場合に、ニッケルからなる第1金属層12を薄く形成すると、銅層の側面に形成されるニッケル層が特に薄くなってしまい、バリア効果が不十分になり、パッド10に形成されるはんだへの銅の拡散が生じてしまう。これに対して、本実施の形態では、パッド本体11Aの側面11vは、絶縁層14に埋め込まれているため、パッド10に形成されるはんだへの銅の拡散が生じることを防止できる。
【0075】
又、本実施の形態では、パッド本体11Aの上面11wが平滑面であるため、パッド本体11Aの上面11wに形成される第1金属層12の上面12u及び第2金属層13の上面13uも平滑面となる。そして、第1金属層12及び第2金属層13の厚さを均一にできる。これにより、例えば、第2金属層13の上面13uにボンディングワイヤを接続したり、はんだを介して半導体チップの電極パッドを接続したりする際の濡れ性が向上し、接続信頼性を向上できる。
【0076】
又、従来は、パッド本体を形成する際に、絶縁層の上面を被覆するシード層を形成し、電解めっき法によりシード層上に選択的に電解めっき層を形成し、電解めっき層に覆われていないシード層をエッチングで除去する工程が必要であった。従来の工程では、シード層を除去する際に電解めっき層の側面の一部も除去されるため、予め除去される分(エッチング代)を見込んで径の大きな電解めっき層を形成する必要があり、パッド本体の狭ピッチ化(パッドの狭ピッチ化)が困難であった。これに対し、本実施の形態では、パッド本体11Aが絶縁層14に埋め込まれているため(パッド本体11Aの側面11vが絶縁層14に被覆されているため)、パッド本体11Aの側面11vがエッチングで除去される工程が存在しない。そのため、パッド本体11Aを形成する際にエッチング代を見込む必要がなくなり、パッド本体11Aの狭ピッチ化(パッド10の狭ピッチ化)が可能となる。
【0077】
又、従来の工程では、シード層を除去する際に、パッド本体11Aや配線パターン11Bの側面11vの一部も除去されるため、配線が細くなり、抵抗が増えたり、エレクトロマイグレーションが生じたりする問題があった。これに対し、本実施の形態では、パッド本体11Aが絶縁層14に埋め込まれているため、抵抗の増加やエレクトロマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0078】
又、シード層及び電解めっき層から形成した従来のパッド本体は絶縁層の上面から突出する。絶縁層の上面から突出したパッド本体にニッケルめっきにより第1金属層を形成すると、ニッケルめっきはパッド本体の上面及び側面に形成される。このため、パッド本体の側面に形成されるニッケルめっきの厚さを考慮して隣接するパッド本体の間隔を広げる必要があり、パッド本体の狭ピッチ化(パッドの狭ピッチ化)が困難であった。
【0079】
これに対し、本実施の形態では、パッド本体11Aが絶縁層14に埋め込まれているため(パッド本体11Aの側面11vが絶縁層14に被覆されているため)、パッド本体11Aの側面11vに第1金属層が形成されることはない。そのため、パッド本体11Aの側面11vに形成されるニッケルめっきの厚さを考慮せずに隣接するパッド本体11Aの間隔を決定することが可能となり、パッド本体11Aの狭ピッチ化(パッド10の狭ピッチ化)を実現できる。又、本実施の形態では、パッド本体11Aの側面11vは、絶縁層14に埋め込まれているため、パッド本体11Aの側面11vがはんだと接することがないため、バリア効果に対する懸念はない。
【0080】
なお、本実施の形態では、
図1(c)に示すように第1金属層12の突出部12−2の外周部12sが絶縁層14の上面14aに延在する場合があるが、延在する部分の幅は、従来の方法でパッド本体の側面に形成されるニッケルめっきの厚さに比べて十分に小さい。そのため、パッド本体11Aの狭ピッチ化(パッド10の狭ピッチ化)に与える影響は少ない。又、第2金属層13は、第1金属層12の側面12vにも形成されるが、第2金属層13の厚さは、従来の方法でパッド本体の側面に形成されるニッケルめっきの厚さに比べて十分に小さい。そのため、パッド本体11Aの狭ピッチ化(パッド10の狭ピッチ化)に与える影響は少ない。
【0081】
又、本実施の形態では、絶縁層14に第1金属層12の一部が埋め込まれた状態となるため、上記のような方法で、絶縁層の上面にシード層及び電解めっき層から形成した従来のパッド本体と比べて、パッド本体11Aの抜けや剥がれ等に対する強度が向上する。
【0082】
又、従来の配線基板では、例えば、非感光性の絶縁性樹脂材料からなる最表層の絶縁層には、パッドのみを形成し、ビア配線を介して他の層に配線パターンを形成していた。ところが、搭載される半導体素子の多端子化や複数の半導体素子の搭載に伴って配線密度が高くなったため、配線パターンを形成する層を多層化して対応する必要があった。これに対して、本実施の形態では、絶縁層14(絶縁層14の上面14a側)の同一平面に、パッド10と配線パターン11Bが形成されている。このように、最表層の絶縁層にも配線パターンを形成することで層数を減らすことができる。そして、搭載される半導体素子の多端子化や複数の半導体素子の搭載に対応した薄い配線基板を得ることができる。
【0083】
又、パッド10が形成されているのと同じ絶縁層14(配線が形成される最上層の絶縁層)に、上面14aよりも窪んだ位置に配線パターン11Bが形成されている。すなわち、絶縁層14の上面14aには、配線パターン11Bの窪みからなる凹凸が形成されている。そのため、絶縁層14の上面14aが粗化面であることに加え、配線パターン11Bの窪みからなる凹凸による絶縁層14とソルダーレジスト層19との接触面積の増加により、絶縁層14とソルダーレジスト層19との密着性を向上させるができる。その結果、ソルダーレジスト層19が絶縁層14から剥離することを防止できる。
【0084】
又、半導体素子搭載面側にもソルダーレジスト層19を形成すると共に、パッド10の上面(第2金属層13の上面13u)をソルダーレジスト層19の上面19aより低くさせたことにより、物理的、電気的な影響からをパッド10を保護することができる。
【0085】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、補強部材を有しない絶縁層を備えた配線基板の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0086】
図8は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図8を参照するに、配線基板1Aは、絶縁層14Aが補強部材14gを有していない点が、第1の実施の形態に係る配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0087】
このように、第2の実施の形態に係る配線基板1Aは、絶縁層14Aが補強部材14gを有していない。補強部材14gを有しない絶縁層14Aは、補強部材14gを有する絶縁層14よりも薄くできるため、配線基板1Aの総厚を配線基板1よりも薄くすることが可能となる。なお、配線基板1Aを構成する各層の層厚や配線基板1Aの総厚の具体例については後述の実施例において示す。その他の効果については、第1の実施の形態と同様である。
【0088】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、4層の配線層を備えた配線基板の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0089】
図9は、第3の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図9を参照するに、配線基板1Bは、配線層15と絶縁層16との間に、絶縁層21及び配線層22が追加された点が、第1の実施の形態に係る配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0090】
配線基板1Bにおいて、絶縁層21は、絶縁層14の下面に、配線層15を覆うように形成されている。絶縁層21の材料としては、絶縁層14と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。本実施の形態では、絶縁層21は補強部材21gを有している。補強部材21gとしては、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布を用いることができる。絶縁層21は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層21の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。
【0091】
配線層22は、絶縁層21の下面側に形成されている。配線層22は、絶縁層21を貫通し配線層15の下面を露出するビアホール21x内に充填されたビア配線、及び絶縁層21の下面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール21xは、絶縁層16側に開口されている開口部の面積が配線層15の下面を露出するように形成された開口部の底面の面積よりも大きくなる凹部とすることができる。例えば、ビアホール21xの両側の開口部が共に円形であれば、ビアホール21xは円錐台状の凹部となる。
【0092】
言い換えれば、配線層22を構成するビア配線は、配線層15の下面と接する部分の面積が、絶縁層21の下面から露出する部分(配線層22を構成する配線パターンとの境界部分)の面積よりも小さくなっている。
【0093】
配線層22は、ビアホール21xの底部に露出した配線層15と電気的に接続されている。配線層22の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層22を構成する配線パターンの厚さは、例えば5〜20μm程度とすることができる。
【0094】
絶縁層16は、絶縁層21の下面に、配線層22を覆うように形成されている。配線層17は、ビアホール16xの底部に露出した配線層22と電気的に接続されている。
【0095】
このように、第3の実施の形態に係る配線基板1Bは4層の配線層を備えている。配線基板1Bにおいて、各配線層やソルダーレジスト層等の厚さを調整することにより、3層の配線層を備えた配線基板1と同程度の総厚まで薄くすることが可能となる。なお、配線基板1Bを構成する各層の層厚や配線基板1Bの総厚の具体例については後述の実施例において示す。その他の効果については、第1の実施の形態と同様である。
【0096】
〈第1の実施の形態の応用例1〉
第1の実施の形態の応用例1では、第1の実施の形態に係る配線基板に半導体チップ(半導体素子)が搭載(ワイヤボンディング)された半導体パッケージの例を示す。なお、第1の実施の形態の応用例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0097】
図10は、第1の実施の形態の応用例1に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図10を参照するに、半導体パッケージ2は、
図1に示す配線基板1と、半導体チップ71と、接着層72と、ボンディングワイヤ73と、封止樹脂74とを有する。半導体パッケージ2において、配線基板1のソルダーレジスト層19側が半導体チップ71が搭載される半導体素子搭載面となる。
【0098】
半導体チップ71は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド(図示せず)が形成されている。
【0099】
半導体チップ71は、接着層72を介して、配線基板1のソルダーレジスト層19上にフェイスアップ状態で搭載されている。ボンディングワイヤ73は、半導体チップ71の電極パッド(図示せず)と、配線基板1のパッド10(第2金属層13の上面13u)とを電気的に接続している。より詳しくは、ボンディングワイヤ73は、例えば、金線や銅線であり、一端が半導体チップ71の電極パッドに溶接して接合され、他端が配線基板1のパッド10に溶接して接合されている。封止樹脂74は、半導体チップ71、接着層72及びボンディングワイヤ73を覆うように形成されている。
【0100】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板1に半導体チップ71を搭載することにより、半導体パッケージ2を実現できる。この際、配線基板1のパッド10の第2金属層13の上面13uが平滑面であり、かつ、第2金属層13の厚さが均一であるため、ボンディングワイヤ73を溶接する際の濡れ性が良好となり、パッド10とボンディングワイヤ73との接続信頼性を向上できる。
【0101】
〈第1の実施の形態の応用例2〉
第1の実施の形態の応用例2では、第1の実施の形態に係る配線基板に半導体チップ(半導体素子)が搭載(フリップチップ実装)された半導体パッケージの例を示す。なお、第1の実施の形態の応用例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0102】
図11は、第1の実施の形態の応用例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図11を参照するに、半導体パッケージ2Aは、
図1に示す配線基板1と、半導体チップ75と、バンプ76と、アンダーフィル樹脂77とを有する。半導体パッケージ2Aにおいて、配線基板1のソルダーレジスト層19側は、半導体チップ75が搭載される半導体素子搭載面となる。
【0103】
半導体チップ75は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド(図示せず)が形成されている。
【0104】
半導体チップ75は、バンプ76を介して、配線基板1のソルダーレジスト層19上にフェイスダウン状態で搭載されている。バンプ76は、はんだ材料等からなり、半導体チップ75の電極パッド(図示せず)と、配線基板1のパッド10(第2金属層13の上面13u)とを電気的に接続している。アンダーフィル樹脂77は、半導体チップ75と配線基板1の上面との間に充填されている。
【0105】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板1に半導体チップ75をフリップチップ実装することにより、半導体パッケージ2Aを実現できる。この際、配線基板1のパッド10の第2金属層13の上面13uが平滑面であり、かつ、第2金属層13の厚さが均一であるため、バンプ76となるはんだ材料等の濡れ性が良好となり、パッド10と半導体チップ75の電極パッドとの接続信頼性を向上できる。
【0106】
〈第1の実施の形態の応用例3〉
第1の実施の形態の応用例3では、複数の半導体チップ(半導体素子)が搭載(フリップチップ実装)されて半導体パッケージとなる配線基板の例を示す。なお、第1の実施の形態の応用例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0107】
図12は、第1の実施の形態の応用例3に係る配線基板を例示する図であり、
図12(a)は平面図、
図12(b)は
図12(a)のA−A線に沿う断面図である。
図12を参照するに、配線基板1Cは、
図1に示す配線基板1と基本構造は同じであるが、ソルダーレジスト層19の各開口部19x内に2列のパッド10が露出している点が異なる。なお、各開口部19x内に露出するパッド10を3列以上にしてもよい。
【0108】
配線基板1Cには、例えば、破線で示すように、半導体チップ78及び半導体チップ79をフリップチップ実装することができる。具体的には、配線基板1Cの一方の開口部19x内に露出するパッド10に、バンプ76を介して、半導体チップ78の電極パッド(図示せず)を電気的に接続することができる。又、他方の開口部19x内に露出するパッド10に、バンプ76を介して、半導体チップ79の電極パッド(図示せず)を電気的に接続することができる。
【0109】
配線基板1Cにおいて、一方の開口部19x内に露出するパッド10の少なくとも一部は、他方の開口部19x内に露出するパッド10の少なくとも一部と、配線パターン11Bを介して電気的に接続されている。これにより、配線基板1Cに実装される半導体チップ78と半導体チップ79とは、配線パターン11Bを介して電気的に接続される。半導体チップ78及び半導体チップ79と配線基板1Cの上面との間に、
図11と同様にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0110】
このように、配線基板1Cに2つの半導体チップ78及び半導体チップ79を実装することで、半導体チップ78と半導体チップ79とが配線パターン11Bを介して接続された半導体パッケージを実現できる。この際、配線基板1Cのパッド10の第2金属層13の上面13uが平滑面であり、かつ、第2金属層13の厚さが均一である。そのため、バンプ76となるはんだ材料等の濡れ性が良好となり、パッド10と半導体チップ78及び半導体チップ79の電極パッドとの接続信頼性を向上できる。
【0111】
[実施例]
実施例では、第1〜第3の実施の形態に係る配線基板について、実現可能な各層の層厚の一例を示す。
【0113】
図13(a)及び表1は第1の実施の形態に係る配線基板1の各層の層厚の一例を示している。この例では、補強部材14gを有する絶縁層14の層厚I
11及び補強部材16gを有する絶縁層16の層厚I
12を夫々25μmとして、配線基板1の総厚として103μmを実現している。
【0115】
図13(b)及び表2は第2の実施の形態に係る配線基板1Aの各層の層厚の一例を示している。この例では、第1の実施の形態に係る配線基板1よりも薄型化するために、補強部材16gを有する絶縁層16の層厚I
22を、補強部材を有する絶縁層の限界の薄さに近い18μmとしている。又、絶縁層14Aとして、補強部材を有する絶縁層よりも更に薄くできる補強部材を有しない絶縁層を使用し、絶縁層14Aの層厚I
21を、補強部材を有しない絶縁層の限界の薄さに近い13μmとしている。そして、更に各配線層及び各ソルダーレジスト層の厚さを調整し、配線基板1Aの総厚として70μmを実現している。
【0117】
図13(c)及び表3は第3の実施の形態に係る配線基板1Bの各層の層厚の一例を示している。この例では、4層の配線層を備えた配線基板1Bを3層の配線層を備えた配線基板1と同様の総厚(103μm)とするために、各絶縁層、各配線層及び各ソルダーレジスト層の厚さを調整している。
【0118】
このように、絶縁層における補強部材の有無や各絶縁層、各配線層及び各ソルダーレジスト層の厚さの調整により、要求仕様に合わせた様々な総厚の配線基板を実現できる。その際、絶縁層14に第1金属層12の一部が埋め込まれており、絶縁層14の上面14aと第2金属層13の上面13uとの高低差を従来よりも小さくできるため、ソルダーレジスト層19を従来よりも薄くすることが可能となり、配線基板を薄型化できる。
【0119】
以上、好ましい実施の形態等について詳説した。しかし、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0120】
例えば、半導体パッケージ2や2Aに、配線基板1に代えて、配線基板1Aや1Bを用いてもよい。
【解決手段】絶縁層と、下面及び側面が前記絶縁層に被覆され上面が前記絶縁層上面から窪んだ位置に露出する配線層と、前記絶縁層内の前記配線層下面に接続するビア配線と、前記絶縁層上面にソルダーレジスト層を有し、前記ビア配線は前記配線層下面と接する面積が前記絶縁層下面から露出する面積より小さく、前記配線層はパッド本体と配線パターンを含み、前記ソルダーレジスト層は開口部内に前記パッドを露出し、前記パッドは、前記パッド本体と、前記パッド本体上面の前記絶縁層に埋設された埋設部及び前記絶縁層上面から突出する突出部を備えた第1金属層と、前記第1金属層の突出部上面及び側面を被覆する第2金属層を備え、前記パッド本体上面と前記配線パターン上面は同一平面上にあり、前記第2金属層上面は前記ソルダーレジスト層上面よりも低い位置にある。