(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ダイヤフラム弁が閉状態であり前記第2ダイヤフラム弁が開状態であり前記ポンプの流量が低減されている場合において、前記第1ダイヤフラム弁を開状態に切り替え、
ついで、前記第2ダイヤフラム弁を閉状態に切り替え、
ついで、前記ポンプの流量を増加させる
ことを特徴とする請求項2記載のスラリー供給装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できるスラリー供給装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のスラリー供給装置の制御方法は、スラリー供給元とスラリー供給先とを接続する第1配管と、前記第1配管に介装され、前記スラリー供給元から前記スラリー供給先へスラリーを送るポンプと、前記第1配管の前記ポンプの吐出側に介装された第1ダイヤフラム弁と、前記第1配管の前記ポンプの吐出側であり前記第1ダイヤフラム弁の上流側に一端が接続された第2配管と、前記第2配管に介装された第2ダイヤフラム弁と、を備えるスラリー供給装置の制御方法であって、前記ポンプを、前記第1ダイヤフラム弁および/または前記第2ダイヤフラム弁の開閉切替動作中の流量が、該第1ダイヤフラム弁または該第2ダイヤフラム弁が開状態である場合の流量に比べて少なくなるように制御することを特徴とする。
第2発明のスラリー供給装置の制御方法は、
第1発明において、前記第2配管の他端が前記ポンプの吸引側に接続されているスラリー供給装置の制御方法であって、前記ポンプを、前記第1ダイヤフラム弁が閉状態であり前記第2ダイヤフラム弁が開状態である場合の流量が、該第1ダイヤフラム弁が開状態であり該第2ダイヤフラム弁が閉状態である場合の流量に比べて少なくなるように制御することを特徴とする。
第3発明のスラリー供給装置の制御方法は、
第2発明において、前記第1ダイヤフラム弁が開状態であり前記第2ダイヤフラム弁が閉状態である場合において、前記ポンプの流量を低減し、ついで、前記第2ダイヤフラム弁を開状態に切り替え、ついで、前記第1ダイヤフラム弁を閉状態に切り替えることを特徴とする。
第4発明のスラリー供給装置の制御方法は、
第2発明において、前記第1ダイヤフラム弁が閉状態であり前記第2ダイヤフラム弁が開状態であり前記ポンプの流量が低減されている場合において、前記第1ダイヤフラム弁を開状態に切り替え、ついで、前記第2ダイヤフラム弁を閉状態に切り替え、ついで、前記ポンプの流量を増加させることを特徴とする。
第5発明のスラリー供給装置の制御方法は、第1、第2、第
3または
第4発明において、前記スラリー供給元は浸出槽であり、前記スラリー供給先は濾過機であり、前記スラリーは前記浸出槽においてニッケル硫化物を塩素浸出して生成されたスラリーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、第1ダイヤフラム弁および/または第2ダイヤフラム弁の開閉切替動作中のスラリーの流量が少ないので、第1ダイヤフラム弁および/または第2ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できる。
そのため、ダイヤフラム弁の寿命が長くなり、メンテナンス性が向上する。
第2発明によれば、第2配管によってスラリーを自己循環している間のポンプの消費エネルギーを低減できるので、省エネルギーとなる。
第3発明によれば、ポンプの流量を低減させた状態で第1ダイヤフラム弁および第2ダイヤフラム弁を開閉切替させるので、第1ダイヤフラム弁および第2ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できる。また、第2ダイヤフラム弁を開状態に切り替えた後に、第1ダイヤフラム弁を閉状態に切り替えるので、ポンプの吐出側が閉塞してポンプ、第1配管および第2配管に負荷がかかることを防止できる。
第4発明によれば、ポンプの流量を低減させた状態で第1ダイヤフラム弁および第2ダイヤフラム弁を開閉切替させるので、第1ダイヤフラム弁および第2ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できる。また、第1ダイヤフラム弁を開状態に切り替えた後に、第2ダイヤフラム弁を閉状態に切り替えるので、ポンプの吐出側が閉塞してポンプ、第1配管および第2配管に負荷がかかることを防止できる。
第5発明によれば、ダイヤフラム弁の開閉切替動作中の流量が少ないので、ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できる。そのため、ダイヤフラム弁の寿命が長くなり、メンテナンス性が向上する。その結果、ニッケル硫化物の塩素浸出工程の操業トラブルを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るスラリー供給装置1は、ニッケル硫化物の塩素浸出設備の一部であって、浸出槽Dにおいて生成されたスラリーを濾過機Fに供給するための装置である。浸出槽Dでは塩素ガスによりニッケル硫化物中のニッケルなどの有価金属を浸出してスラリーが生成される。そのスラリーはスラリー供給装置1により濾過機Fに供給され、濾過機Fにおいて浸出液と浸出残渣とに固液分離される。浸出槽Dからは生成されたスラリーが連続的に排出される。一方、濾過機Fはフィルタープレスなどの間欠処理を行う濾過機である。そのため、スラリー供給装置1は、浸出槽Dから連続的に流入するスラリーを、濾過機Fへ間欠的に供給する。
【0011】
スラリー供給装置1は、中継槽10と、主配管20と、ポンプ30と、循環配管40とを備えている。主配管20は中継槽10と濾過機Fとを接続し、ポンプ30が介装されている。また、主配管20のポンプ30の吐出側には供給弁21が介装されている。循環配管40は、一端が主配管20のポンプ30の吐出側であり供給弁21の上流側に接続され、他端が中継槽10に接続されている。また、循環配管40には循環弁41が介装されている。浸出槽Dから流入するスラリーは中継槽10に一時貯留され、中継槽10のスラリーは、ポンプ30により濾過機Fへ送られるか、再び中継槽10へ循環される。
【0012】
また、ポンプ30には、ポンプ30に電力を供給するインバータ31が接続されている。さらに、濾過機F、供給弁21、循環弁41およびインバータ31は、それぞれ制御装置50に電気的に接続されており、その制御装置50により制御可能となっている。
【0013】
なお、浸出槽Dおよび濾過機Fは、それぞれ特許請求の範囲に記載のスラリー供給元およびスラリー供給先に相当する。
また、主配管20は、特許請求の範囲に記載の配管および第1配管に相当する。特許請求の範囲に記載の配管および第1配管は、スラリー供給元およびスラリー供給先に直接接続されるものに限られず、間接的に接続されるものも含まれる。例えば、本実施形態の主配管20のように、浸出槽D(スラリー供給元)と中継槽10を介して間接的に接続されてもよい。
また、供給弁21は、特許請求の範囲に記載のダイヤフラム弁および第1ダイヤフラム弁に相当する。
また、循環配管40および循環弁41は、特許請求の範囲に記載の第2配管および第2ダイヤフラム弁に相当する。特許請求の範囲に記載の「前記第2配管の他端が前記ポンプの吸引側に接続されている」とは、第2配管がポンプの吸引側に直接接続される形態に限られず、間接的に接続される形態も含まれる。例えば、本実施形態の循環配管40のように、循環配管40とポンプ30の吸引側とが中継槽10を介して間接的に接続されてもよい。
【0014】
供給弁21および循環弁41は公知のダイヤフラム弁である。一般的なダイヤフラム弁は、主に弁座と、硬質ゴムなどの可撓性を有する素材で形成されたダイヤフラムと、駆動手段とからなる。また、弁座とダイヤフラムとで流路が構成されており、駆動手段でダイヤフラムを弁座の内面から離したり押し付けたりして、流路の開閉を行うことができる。本実施形態に用いられるダイヤフラム弁は、駆動手段が電磁式であり、制御装置50から入力される制御信号により弁の開閉を制御できるものである。
【0015】
ポンプ30としては、スラリーを送ることができる種々のポンプを採用することができる。ポンプ30として、ベーンポンプ、ねじポンプ、ギヤポンプなど回転式のポンプを採用した場合、ポンプ30が吸引、吐出する流量はポンプ30を駆動するモータの回転数に比例する。また、ACモータの回転数は供給される電力の周波数に比例する。そのため、回転式のポンプ30を駆動するモータとしてACモータを採用した場合、インバータ31によりポンプ30に供給する電力の周波数を制御することで、ポンプ30の流量を制御することができる。本発明において、ポンプの流量の制御方法は特に限定されないが、以下、インバータ31の出力電力(ポンプ30に供給する電力)の周波数制御によりポンプの流量を制御する場合を前提に説明する。
【0016】
制御装置50は、コンピュータなどであり、濾過機Fの運転状況が入力され、その運転状況を基に、供給弁21、循環弁41、インバータ31へ制御信号を出力するように構成されている。制御装置50により後述のスラリー供給装置1の制御が行われる。
【0017】
つぎに、スラリー供給装置1の制御方法について説明する。
前述のごとく、スラリー供給装置1は、浸出槽Dから連続的に流入するスラリーを、濾過機Fへ間欠的に供給する。具体的には、浸出槽Dから連続的に流入するスラリーを中継槽10に一時的に貯留する。そして、濾過機Fへのスラリー供給が可能な場合には、供給弁21を開状態、循環弁41を閉状態とし、主配管20を通して中継槽10から濾過機Fへスラリーを供給する(以下、供給モードという。)。また、濾過機Fへのスラリー供給が不可能な場合には、供給弁21を閉状態、循環弁41を開状態とし、主配管20、循環配管40、中継槽10によりスラリーを循環させる(以下、自己循環モードという。)。このように、供給弁21および循環弁41の開閉により、供給モードと自己循環モードとを切り替えて、濾過機Fへのスラリー供給を間欠的に行う。
【0018】
本発明は、上記のような供給弁21および循環弁41の開閉制御と同期して、ポンプ30の流量を制御するところに特徴がある。以下、
図2および
図3を基にその詳細を説明する。なお、
図3において矢印はスラリーの流れる方向を示し、実線矢印はスラリーの流量が多い状態、破線矢印はスラリーの流量が少ない状態を示す。
【0019】
図2に示すように、供給モードにおいては、制御装置50により、供給弁21は開状態に、循環弁41は閉状態に、インバータ31は出力電力が高周波数(例えば60Hz)になるように制御される。そして、
図3(a)に示すように、中継槽10に貯留されたスラリーが主配管20を通って濾過機Fに供給される。
【0020】
ここで、インバータ31の出力電力の周波数は、ニッケル硫化物の塩素浸出設備の操業において、ポンプ30の流量が中継槽10から濾過機Fへのスラリー供給に最適な流量となるように制御される。生産性向上の観点から考えると、ポンプ30は、ポンプ30自身や主配管20などスラリー供給装置1や濾過機Fに過度の負荷がかからない範囲において、流量が多くなるように運転することが好ましい。そのため、生産性向上の観点からは、インバータ31の出力電力の周波数は、スラリー供給装置1や濾過機Fが過負荷とならない範囲において高い周波数に制御されるのが好ましい。
【0021】
つぎに、濾過機Fへのスラリー供給が不可能になった場合には、濾過機Fは制御装置50に終了信号を出力する。
図2に示すように、終了信号が入力された制御装置50は、供給モードから自己循環モードへの切り替えを行う。具体的には、まず、インバータ31の出力電力の周波数を低くする(例えば40Hz)ことで、ポンプ30の流量を低減させる(
図3(b)参照)。その後、循環弁41を閉状態から開状態に切り替え、つぎに、供給弁21を開状態から閉状態に切り替える(
図3(c)参照)。
【0022】
一般に、ポンプ30の流量の低減には数秒から十数秒を要するため、インバータ31の出力電力の周波数も数秒から十数秒かけて変更される。そのため、ポンプ30の流量が低減した後に、供給弁21および循環弁41を切り替えるためには、供給弁21および循環弁41の切り替えを終了信号の入力から遅延させて行う必要がある。
さらに、ポンプ30の吐出側が閉塞して高圧になることによりポンプ30や供給弁21および循環弁41に負荷がかかることを防止するためには、循環弁41を開状態に切り替えた後に、供給弁21を閉状態に切り替える必要がある。
【0023】
このようなタイミングの制御は、例えば、以下のように行われる。
すなわち、予め制御装置50において、終了信号の入力から供給弁21の切り替えおよび循環弁41の切り替えまでの遅延時間をそれぞれ定めておく。そして、終了信号の入力をきっかけとしてインバータ31の出力電力の周波数の変更を開始させるとともに、タイマーで終了信号の入力からの経過時間を計測する。所定の遅延時間経過後に、循環弁41に切替信号を出力し、供給弁21に切替信号を出力する。
【0024】
また、以下のようにタイミングの制御を行なってもよい。
すなわち、制御装置50が終了信号の入力をきっかけとしてインバータ31の出力電力の周波数の変更を開始させる。周波数の変更が完了したときにインバータ31から制御装置50へ完了信号を出力し、制御装置50はその完了信号をきっかけとして循環弁41へ切替信号を出力する。そして、循環弁41の切り替えが完了したときに循環弁41から制御装置50へ完了信号を出力し、制御装置50はその完了信号をきっかけとして供給弁21へ切替信号を出力する。
【0025】
前述のごとく、ダイヤフラム弁は開閉切替動作中に弁内部(弁座やダイヤフラムなど)に負荷がかかり摩耗する。これは、開閉切替動作中は、弁内部の口径が小さくなりスラリーの流速が増加するためであると考えられる。
これに対して、本実施形態では、供給モードから自己循環モードへの切り替えにおいて、ポンプ30の流量を低減させた状態、すなわち供給弁21および循環弁41を通過するスラリーの流量を低減させた状態で、供給弁21および循環弁41を開閉切替させるので、供給弁21および循環弁41の弁内部のスラリーの流速を抑えることができ、摩耗を軽減できる。
【0026】
図2に示すように、自己循環モードにおいては、制御装置50により、供給弁21は閉状態に、循環弁41は開状態に、インバータ31は出力電力が低周波数(例えば40Hz)になるように制御される。そして、
図3(c)に示すように、スラリーが主配管20、循環配管40、中継槽10を循環している。
【0027】
主配管20および循環配管40内のスラリーの流量が少ないと、スラリー内の固体粒子が沈降して主配管20および循環配管40を閉塞する恐れがある。そこで、自己循環モードにおけるインバータ31の出力電力の周波数は、ポンプ30の流量が、スラリーが沈降することにより主配管20および循環配管40内が閉塞することを防止できる範囲において低い周波数に制御されることが好ましい。また、本実施形態では中継槽10に貯留されたスラリーの水圧がポンプ30の吸引側にかかることから、ポンプ30の流量が少ないとポンプ30の吸引側と吐出側の圧力バランスが崩れ、ポンプ30に負荷がかかる恐れがある。そのため、インバータ31の出力電力の周波数は、ポンプ30の流量が、ポンプ30の吸引側と吐出側の圧力バランスが崩れることによりポンプ30に負荷がかかることを防止できる範囲において低い周波数に制御されることが好ましい。
【0028】
以上のように、ポンプ30を、自己循環モードにおける流量が供給モードにおける流量に比べて少なくなるように制御することで、自己循環モードにおけるポンプ30の消費電力を低減でき、省エネルギーとなる。
【0029】
つぎに、濾過機Fへのスラリー供給が可能になった場合には、濾過機Fは制御装置50に開始信号を出力する。
図2に示すように、開始信号が入力された制御装置50は、自己循環モードから供給モードへの切り替えを行う。具体的には、まず、供給弁21を閉状態から開状態に切り替え、つぎに、循環弁41を開状態から閉状態に切り替える(
図3(b)参照)。その後、インバータ31の出力電力の周波数を高くする(例えば60Hz)ことで、ポンプ30の流量を増加させる(
図3(a)参照)。
【0030】
一般に、ダイヤフラム弁は開閉切替動作に数秒を要するため、供給弁21および循環弁41を切り替えた後に、ポンプ30の流量を増加させるためには、インバータ31の出力電圧の周波数の変更を開始信号の入力から遅延させて行う必要がある。
さらに、ポンプ30の吐出側が閉塞して高圧になることによりポンプ30や供給弁21および循環弁41に負荷がかかることを防止するためには、供給弁21を開状態に切り替えた後に、循環弁41を閉状態に切り替える必要がある。
【0031】
このようなタイミングの制御は、例えば、以下のように行われる。
すなわち、予め制御装置50において、開始信号の入力から循環弁41の切り替えまでの遅延時間、およびインバータ31の出力電圧の周波数の変更開始までの遅延時間をそれぞれ定めておく。そして、開始信号の入力をきっかけとして供給弁21に切替信号を出力するとともに、タイマーで開始信号の入力からの経過時間を計測する。所定の遅延時間経過後に、循環弁41に切替信号を出力し、インバータ31の出力電力の周波数の変更を開始させる。
【0032】
また、以下のようにタイミングの制御を行なってもよい。
すなわち、制御装置50が開始信号の入力をきっかけとして供給弁21へ切替信号を出力する。供給弁21の切り替えが完了したときに供給弁21から制御装置50へ完了信号を出力し、制御装置50はその完了信号をきっかけとして循環弁41へ切替信号を出力する。そして、循環弁41の切り替えが完了したときに循環弁41から制御装置50へ完了信号を出力し、制御装置50はその完了信号をきっかけとしてインバータ31の出力電力の周波数の変更を開始させる。
【0033】
以上のように、自己循環モードから供給モードへの切り替えにおいても、ポンプ30の流量を低減させた状態、すなわち供給弁21および循環弁41を通過するスラリーの流量を低減させた状態で、供給弁21および循環弁41を開閉切替させるので、供給弁21および循環弁41の弁内部のスラリーの流速を抑えることができ、摩耗を軽減できる。
そのため、供給弁21および循環弁41の寿命が長くなり、頻繁に交換する必要がないのでメンテナンス性が向上する。その結果、ニッケル硫化物の塩素浸出工程の操業トラブルを防止できる。
【0034】
(第2実施形態)
上記実施形態では、自己循環モードにおけるポンプ30の流量が少なくなるように制御しているが、自己循環モードにおけるポンプ30の流量を多くしたとしても、供給弁21および循環弁41の開閉切替動作中のポンプ30の流量が少なくなるように制御すれば、供給弁21および循環弁41の摩耗を軽減できる。
【0035】
例えば、
図4に示すように、スラリー供給装置2に濾過機F1、F2を2台接続した第2実施形態においては、ポンプ30は、ダイヤフラム弁21、41の開閉切替動作中のみ流量が少なくなるように制御される。
具体的には、スラリー供給装置2は、浸出槽Dから流入するスラリーを一時貯留する中継槽10と、その中継槽10と第1濾過機F1とを接続する第1配管20と、第1配管20に介装され中継槽10から第1濾過機F1および第2濾過機F2へスラリーを送るポンプ30と、第1配管20のポンプ30の吐出側に介装された第1供給弁21と、第1配管20のポンプ30の吐出側であり第1供給弁21の上流側に一端が接続され、他端が第2濾過機F2に接続された第2配管40と、第2配管40に介装された第2供給弁41とを備える。
【0036】
そして、スラリー供給装置2は、スラリーの供給先として第1濾過機F1と第2濾過機F2を交互に切り替える。具体的には、第1濾過機F1へのスラリー供給が可能な場合には、第1供給弁21を開状態、第2供給弁41を閉状態とし、第1配管20を通して中継槽10から第1濾過機F1へスラリーを供給する(以下、第1供給モードという。)。第1供給モードの間、第2濾過機F2では濾布の洗浄などが行われる。また、第2濾過機F2へのスラリー供給が可能な場合には、第1供給弁21を閉状態、第2供給弁41を開状態とし、第1配管20および第2配管40を通して中継槽10から第2濾過機F2へスラリーを供給する(以下、第2供給モードという。)。第2供給モードの間、第1濾過機F1では濾布の洗浄などが行われる。
【0037】
そして、第1供給モードと第2供給モードの切り替え時には、まず、インバータ31の出力電力の周波数を低くすることで、ポンプ30の流量を低減させる。その後、第1供給弁21および第2供給弁41を切り替える。そして再び、インバータ31の出力電力の周波数を高くすることで、ポンプ30の流量を増加させる。
【0038】
以上のような制御であっても、ポンプ30の流量を低減させた状態、すなわち第1供給弁21および第2供給弁41を通過するスラリーの流量を低減させた状態で、第1供給弁21および第2供給弁41を開閉切替させるので、第1供給弁21および第2供給弁41の弁内部のスラリーの流速を抑えることができ、摩耗を軽減できる。
【0039】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態のようにポンプが介装される配管の下流を二股とした実施形態に限られず、三股以上に分岐した実施形態にも適用できし、スラリー供給元とスラリー供給先とを1本の配管で接続する実施形態にも適用できる。
このような実施形態でも、ポンプを、各配管に介装されたダイヤフラム弁の開閉切替動作中の流量が少なくなるように制御することで、ダイヤフラム弁の摩耗を軽減できる。
【0040】
また、本発明は、ニッケル硫化物を塩素浸出して生成されたスラリーに限られず、種々のスラリーを供給するスラリー供給装置に適用できる。
【実施例】
【0041】
塩素浸出設備の操業において、上記第1実施形態に係るスラリー供給装置1(
図1参照)により、ニッケル硫化物を塩素浸出して生成されたスラリーを浸出槽Dから濾過機Fへ供給した。供給弁21および循環弁41には、口径100Aのダイヤフラム弁を用いた。
【0042】
(実施例)
スラリー供給装置1の制御として、上記第1実施形態にかかる制御を適用して操業を行った(
図2参照)。なお、供給モードにおけるインバータ31の出力電力の周波数を60Hzとし、自己循環モードにおける出力電力の周波数を40Hzとした。インバータ31の出力電力の周波数が60Hzのときのポンプ30の流量は約800L/minであった。また、供給弁21および循環弁41の開閉切替は、1日当たり約45回行った。
その結果、6ヶ月間の操業においても、循環弁41の摩耗による損傷は確認されなかった。
【0043】
(比較例)
スラリー供給装置1の制御として、インバータ31の出力電力の周波数を常に60Hzとし、ポンプ30を常に一定流量のスラリーを吐出するように制御した。すなわち、供給弁21および循環弁41の開閉切替動作中もポンプ30の流量を少なくする制御を行わなかった。なお、供給弁21および循環弁41の開閉切替は、1日当たり約30回行った。
5ヶ月間の操業の結果、循環弁41の摩耗による損傷が確認された。