(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の保持部の剛性と前記第2の保持部の剛性は、それぞれ前記第1の保持部の厚みと前記第2の保持部の厚みで調節されるか、或いはそれぞれ前記第1の保持部の材質と前記第2の保持部の材質で調節されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接合装置。
前記第2の保持部に保持された支持基板を覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器を備え、当該圧力容器内に流体を流入出させることで前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する加圧機構を有し、
前記制御部は、前記加熱工程において、前記第1の加熱機構又は前記第2の加熱機構のいずれか一方又は両方により被処理基板と支持基板を加熱しながら、前記加圧機構により被処理基板と支持基板を押圧し、前記冷却工程において、前記第1の冷却機構と前記第2の冷却機構により被処理基板と支持基板をそれぞれ冷却しながら、前記加圧機構により被処理基板と支持基板を押圧するように、被処理基板と支持基板の接合を制御することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の接合装置。
前記第1の冷却機構は、被処理基板の中心部を冷却する第1の中心領域と、当該第1の中心領域の外側に設けられ、被処理基板の周辺部を冷却する第1の周辺領域とに区画され、前記第1の中心領域と前記第1の周辺領域を個別に温度設定可能であり、
前記第2の冷却機構は、支持基板の中心部を冷却する第2の中心領域と、当該第2の中心領域の外側に設けられ、支持基板の周辺部を冷却する第2の周辺領域とに区画され、前記第2の中心領域と前記第2の周辺領域を個別に温度設定可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の接合装置。
前記第1の保持部の剛性と前記第2の保持部の剛性は、それぞれ前記第1の保持部の厚みと前記第2の保持部の厚みで調節されるか、或いはそれぞれ前記第1の保持部の材質と前記第2の保持部の材質で調節されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の接合方法。
少なくとも前記冷却工程において、前記第1の保持部又は前記第2の保持部のいずれか一方又は両方における保持面の温度と非保持面の温度をそれぞれ2つの温度測定器で測定し、
前記2つの温度測定器の測定結果に基づいて、前記第1の保持部又は前記第2の保持部のいずれか一方又は両方の保持面の温度と非保持面の温度との温度差を所定の温度差に制御することを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の接合方法。
前記加熱工程において、前記第1の加熱機構又は前記第2の加熱機構のいずれか一方又は両方により被処理基板と支持基板を加熱しながら、加圧機構により被処理基板と支持基板を押圧し、
前記冷却工程において、前記第1の冷却機構と前記第2の冷却機構により被処理基板と支持基板をそれぞれ冷却しながら、前記加圧機構により被処理基板と支持基板を押圧することを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の接合方法。
前記第1の冷却機構は、被処理基板の中心部を冷却する第1の中心領域と、当該第1の中心領域の外側に設けられ、被処理基板の周辺部を冷却する第1の周辺領域とに区画され、前記冷却工程において、前記第1の中心領域の冷却温度を前記第1の周辺領域の冷却温度より低くし、
前記第2の冷却機構は、支持基板の中心部を冷却する第2の中心領域と、当該第2の中心領域の外側に設けられ、支持基板の周辺部を冷却する第2の周辺領域とに区画され、前記冷却工程において、前記第2の中心領域の冷却温度を前記第2の周辺領域の冷却温度より低くすることを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載の接合方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。
図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0031】
接合システム1では、
図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面W
J」といい、当該接合面W
Jと反対側の面を裏面としての「非接合面W
N」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面S
J」といい、接合面S
Jと反対側の面を裏面としての「非接合面S
N」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。
【0032】
なお、接着剤Gには熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂は、加熱することによって軟化し、また冷却することによって固化する樹脂である。
【0033】
また、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面W
Jに複数の電子回路が形成されており、非接合面W
Nが研磨処理される。被処理ウェハWの径は例えば300mmである。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0034】
接合システム1は、
図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC
W、C
S、C
Tが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0035】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(
図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC
W、C
S、C
Tを搬入出する際に、カセットC
W、C
S、C
Tを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットC
Tのうち、1つのカセットC
Tを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットC
Tを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
【0036】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC
W、C
S、C
Tと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0037】
処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0038】
例えば第1の処理ブロックG1には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。
【0039】
例えば第2の処理ブロックG2には、
図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度に加熱する熱処理装置41〜43と、同様の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(
図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。熱処理装置41〜43と熱処理装置44〜46は、それぞれ下からこの順で3段に設けられている。なお、熱処理装置41〜46の装置数や鉛直方向及び水平方向の配置は任意に設定することができる。
【0040】
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
【0041】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
【0042】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0043】
次に、上述した接合装置30〜33の構成について説明する。接合装置30は、
図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0044】
処理容器100の内部は、内壁102によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口101は、前処理領域D1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁102にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口103が形成されている。
【0045】
前処理領域D1には、接合装置30の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部110が設けられている。受渡部110は、搬入出口101に隣接して配置されている。また受渡部110は、後述するように鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部110で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部110で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部110で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部110で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
【0046】
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口103側において、受渡部110の鉛直上方には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部111が設けられている。なお、反転部111は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することもできる。
【0047】
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部110、反転部111及び後述する接合部113に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部112が設けられている。搬送部112は、搬入出口103に取り付けられている。
【0048】
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部113が設けられている。
【0049】
次に、上述した受渡部110の構成について説明する。受渡部110は、
図5に示すように受渡アーム120とウェハ支持ピン121とを有している。受渡アーム120は、接合装置30の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン121との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン121は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
【0050】
受渡アーム120は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部130と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部131とを有している。アーム部130は、略円板形状を有している。アーム駆動部131は、アーム部130をX方向(
図5中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部131は、Y方向(
図5中の左右方向)に延伸するレール132に取り付けられ、当該レール132上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム120は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン121との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
【0051】
アーム部130上には、
図6及び
図7に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン140が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部130上には、ウェハ支持ピン140に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド141が設けられている。ガイド141は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
【0052】
アーム部130の外周には、
図5及び
図6に示すように切り欠き142が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き142により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム120に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部130と干渉するのを防止できる。
【0053】
アーム部130には、X方向に沿った2本のスリット143が形成されている。スリット143は、アーム部130のウェハ支持ピン121側の端面からアーム部130の中央部付近まで形成されている。このスリット143により、アーム部130がウェハ支持ピン121と干渉するのを防止できる。
【0054】
次に、上述した反転部111の構成について説明する。反転部111は、
図8〜
図10に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム150を有している。保持アーム150は、水平方向(
図8及び
図9中のX方向)に延伸している。また保持アーム150には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持部材151が例えば4箇所に設けられている。保持部材151は、
図11に示すように保持アーム150に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材151の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き152が形成されている。そして、これら保持部材151は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
【0055】
保持アーム150は、
図8〜
図10に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部153に支持されている。この第1の駆動部153によって、保持アーム150は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(
図8及び
図9中のX方向、
図8及び
図10のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部153は、保持アーム150を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム150を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部153の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部154が設けられている。この第2の駆動部154によって、第1の駆動部153は鉛直方向に延伸する支持柱155に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部153と第2の駆動部154によって、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。
【0056】
支持柱155には、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構160が支持板161を介して支持されている。位置調節機構160は、保持アーム150に隣接して設けられている。
【0057】
位置調節機構160は、基台162と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部163とを有している。そして、位置調節機構160では、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部163で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
【0058】
なお、
図12に示すように、以上のように構成された受渡部110は鉛直方向に2段に配置され、またこれら受渡部110の鉛直上方に反転部111が配置される。すなわち、受渡部110の受渡アーム120は、反転部111の保持アーム150と位置調節機構160の下方において水平方向に移動する。また、受渡部110のウェハ支持ピン121は、反転部111の保持アーム150の下方に配置されている。
【0059】
次に、上述した搬送部112の構成について説明する。搬送部112は、
図13に示すように複数、例えば2本の搬送アーム170、171を有している。第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、後述するように異なる形状を有している。
【0060】
搬送アーム170、171の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部172が設けられている。このアーム駆動部172によって、各搬送アーム170、171は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム170、171とアーム駆動部172は、基台173に支持されている。
【0061】
搬送部112は、
図4及び
図14に示すように処理容器100の内壁102に形成された搬入出口103に設けられている。そして、搬送部112は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口103に沿って鉛直方向に移動できる。
【0062】
第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面W
N、S
N)を保持して搬送する。第1の搬送アーム170は、
図15に示すように先端が2本の先端部180a、180aに分岐したアーム部180と、このアーム部180と一体に形成され、且つアーム部180を支持する支持部181とを有している。
【0063】
アーム部180上には、
図15及び
図16に示すように樹脂製のOリング182が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング182が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング182と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング182は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム170は、Oリング182上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
【0064】
またアーム部180上には、Oリング182に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材183、184が設けられている。第1のガイド部材183は、アーム部180の先端部180aの先端に設けられている。第2のガイド部材184は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部181側に設けられている。これらガイド部材183、184によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング182に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材183、184と接触しない。
【0065】
第2の搬送アーム171は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面S
Jの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム171は、反転部111で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面S
Jの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム171は、
図17に示すように先端が2本の先端部190a、190aに分岐したアーム部190と、このアーム部190と一体に形成され、且つアーム部190を支持する支持部191とを有している。
【0066】
アーム部190上には、
図17及び
図18に示すように第2の保持部材192が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材192は、支持ウェハSの接合面S
Jの外周部を載置する載置部193と、当該載置部193から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部194とを有している。載置部193は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部194の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部194に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部193に保持される。そして、第2の搬送アーム171は、第2の保持部材192上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
【0067】
なお、
図19に示すように、後述する接合部113の第2の保持部201には切り欠き201cが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き201cにより、第2の搬送アーム171から第2の保持部201に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム171の第2の保持部材192が第2の保持部201に干渉するのを防止することができる。
【0068】
次に、上述した接合部113の構成について説明する。接合部113は、
図20に示すように被処理ウェハWを上面(保持面)で載置して保持する第1の保持部200と、支持ウェハSを下面(保持面)で吸着保持する第2の保持部201とを有している。第1の保持部200は、第2の保持部201の下方に設けられ、第2の保持部201と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
【0069】
第1の保持部200には、例えば被処理ウェハWを静電吸着するための静電チャックが用いられる。第1の保持部200には、熱伝導性を有する窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。また、第1の保持部200には、例えば直流高圧電源210が接続されている。そして、
図21に示すように第1の保持部200の保持面200aに静電気力を生じさせて、被処理ウェハWを第1の保持部200の保持面200a上に静電吸着することができる。なお、第1の保持部200の保持面200aは常温時に所定の平面度、例えば1μm〜3μmを有し、第1の保持部200の保持面200aと反対側の非保持面200bも常温時に所定の平面度、例えば1μm〜3μmである。すなわち、保持面200a、201aは常温時に平坦になっている。また、第1の保持部200の厚みは例えば20mmである。
【0070】
図20に示すように第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを加熱する第1の加熱機構211が設けられている。第1の加熱機構211には、例えばヒータが用いられる。第1の加熱機構211による被処理ウェハWの加熱温度は、例えば制御部400により制御される。
【0071】
また、第1の保持部200の非保持面200bには、第1の冷却機構212が設けられている。第1の冷却機構212には、例えば銅製の冷却ジャケットが用いられる。すなわち、第1の冷却機構212に冷却媒体、例えば冷却ガスが流通し、当該冷却媒体によって被処理ウェハWが冷却される。第1の冷却機構212による被処理ウェハWの冷却温度は、例えば制御部400により制御される。なお、第1の冷却機構212は本実施の形態に限定されず、被処理ウェハWを冷却できれば種々の構成を取り得る。例えば第1の冷却機構212には、ペルチェ素子などの冷却部材が内蔵されていてもよい。
【0072】
さらに、第1の冷却機構212の下面側には、断熱板213が設けられている。断熱板213は、第1の加熱機構211により被処理ウェハWを加熱する際の熱が後述する下部チャンバ281側に伝達されるのを防止する。なお段熱板213には、例えば窒化ケイ素が用いられる。
【0073】
第1の保持部200の内部であって保持面200aには、当該保持面200aの温度を測定する第1の温度測定器214が設けられている。第1の温度測定器214には例えば温度センサが用いられる。第1の冷却機構212の内部であって第1の保持部200側の表面には、第1の保持部200の非保持面200bの温度を測定する第2の温度測定器215が設けられている。第2の温度測定器215には例えば温度センサが用いられる。これら2つの温度測定器214、215の測定結果は、例えば制御部400に出力される。なお第2の温度測定器215は、第1の保持部200の内部であって非保持面200bに設けられていてもよい。
【0074】
第1の保持部200の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン220が例えば3箇所に設けられている。昇降ピン220は、昇降駆動部221により上下動できる。昇降駆動部221は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、第1の保持部200の中央部付近には、第1の保持部200及び下部チャンバ281を厚み方向に貫通する貫通孔222が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン220は貫通孔222を挿通し、第1の保持部200の上面から突出可能になっている。なお、昇降駆動部221は後述する下部チャンバ281の下部に設けられている。そして昇降駆動部221は、支持部材230上に設けられている。
【0075】
第2の保持部201には、例えば支持ウェハSを静電吸着するための静電チャックが用いられる。第2の保持部201には、熱伝導性を有する窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。また、第2の保持部201には、例えば直流高圧電源240が接続されている。そして、
図21に示すように第2の保持部201の保持面201aに静電気力を生じさせて、支持ウェハSを第2の保持部201の保持面201a上に静電吸着することができる。なお、第2の保持部201の保持面201aは常温時に平坦であり、第2の保持部201の保持面201aと反対側の非保持面201bも常温時に平坦である。また、第2の保持部201の厚みは例えば15mmである。すなわち、第2の保持部201の厚みは第1の保持部200の厚みより小さく、第2の保持部201の剛性は第1の保持部200の剛性よりも小さい。
【0076】
図20に示すように第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを加熱する第2の加熱機構241が設けられている。第2の加熱機構241には、例えばヒータが用いられる。2の加熱機構241には、例えばヒータが用いられる。第2の加熱機構241による被処理ウェハWの加熱温度は、例えば制御部400により制御される。
【0077】
また、第2の保持部201の非保持面200bには、第2の冷却機構242が設けられている。第2の冷却機構242には、例えば銅製の冷却ジャケットが用いられる。すなわち、第2の冷却機構242に冷却媒体、例えば冷却ガスが流通し、当該冷却媒体によって支持ウェハSが冷却される。第2の冷却機構242による被処理ウェハWの冷却温度は、例えば制御部400により制御される。なお、第2の冷却機構242は本実施の形態に限定されず、第2の冷却機構242を冷却できれば種々の構成を取り得る。例えば第2の冷却機構242には、ペルチェ素子などの冷却部材が内蔵されていてもよい。
【0078】
なお、第2の保持部201は、第2の冷却機構242の上面側に設けられた断熱板(図示せず)を有していてもよい。この断熱板は、第2の加熱機構241により支持ウェハSを加熱する際の熱が後述する支持板250側に伝達されるのを防止する。
【0079】
第2の保持部201の上面側には、支持板250を介して、第2の保持部201を鉛直下方に押圧する加圧機構260が設けられている。加圧機構260は、被処理ウェハWと支持ウェハSを覆うように設けられた圧力容器261と、圧力容器261の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管262と、内部に流体を貯留し、流体供給管262に流体を供給する流体を流体供給源263とを有している。
【0080】
なお、これら第2の保持部201の上面側の部材は、支持板250の上方に設けられたエアシリンダ(図示せず)に支持されている。そして、支持板250の上方に設けられた調整ボルト(図示せず)によって、上部チャンバ282の平行出しや、第2の保持部201と第1の保持部200との隙間の調整が行われる。
【0081】
圧力容器261は、例えば鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。圧力容器261は、その下面が支持板250の上面に固定されると共に、上面が第2の保持部201の上方に設けられた支持板264の下面に固定されている。流体供給管262は、その一端が圧力容器261に接続され、他端が流体供給源263に接続されている。そして、圧力容器261に流体供給管262から流体を供給することで、圧力容器261が伸長する。この際、圧力容器261の上面と支持板264の下面とが当接しているので、圧力容器261は下方向にのみ伸長し、圧力容器261の下面に設けられた第2の保持部201を下方に押圧することができる。そして圧力容器261が伸縮性を有するので、第2の保持部201の平行度と第1の保持部200の平行度に差異が生じていても、圧力容器261はその差異を吸収できる。またこの際、圧力容器261の内部は流体により加圧されており、均一に押圧できる。さらに圧力容器261の平面形状は被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状と同一であり、圧力容器261の径は被処理ウェハWの径と同じ、例えば300mmであるため、余計なエッジ応力が発生しない。したがって、第1の保持部200と第2の保持部201の平行度に関わらず、圧力容器261は第2の保持部201(被処理ウェハWと支持ウェハS)を面内均一に押圧することができる。第2の保持部201を押圧する際の圧力の調節は、圧力容器261に供給する圧縮空気の圧力を調節することで行われる。なお、支持板264は、加圧機構260により第2の保持部201にかかる荷重の反力を受けても変形しない強度を有する部材により構成されているのが好ましい。
【0082】
第1の保持部200と第2の保持部201との間には、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWの表面を撮像する第1の撮像部270と、第2の保持部201に保持された支持ウェハSの表面を撮像する第2の撮像部271とが設けられている。第1の撮像部270と第2の撮像部271には、例えば広角型のCCDカメラがそれぞれ用いられる。また、第1の撮像部270と第2の撮像部271は、移動機構(図示せず)によって鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。
【0083】
接合部113は、内部を密閉可能な処理容器280を有している。処理容器280は、上述した第1の保持部200、第2の保持部201、支持板250、圧力容器261、支持板264、第1の撮像部270、第2の撮像部271を内部に収容する。
【0084】
処理容器280は、第1の保持部200を支持する下部チャンバ281と、第2の保持部201を支持する上部チャンバ282とを有している。上部チャンバ282は、例えばエアシリンダ等の昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に昇降可能に構成されている。下部チャンバ281における上部チャンバ282との接合面には、処理容器280の内部の気密性を保持するためのシール材283が設けられている。シール材283には、例えばOリングが用いられる。そして、
図22に示すように下部チャンバ281と上部チャンバ282を当接させることで、処理容器280の内部が密閉空間に形成される。
【0085】
上部チャンバ282の周囲には、
図23に示すように当該上部チャンバ282を介して第2の保持部201を水平方向に移動させる移動機構290が複数、例えば5つ設けられている。5つの移動機構290のうち、4つの移動機構290は第2の保持部201の水平方向への移動に用いられ、1つの移動機構290は第2の保持部201の鉛直軸周り(θ方向)の回転に用いられる。移動機構290は、
図20に示すように上部チャンバ282に当接して第2の保持部201を移動させるカム291と、シャフト292を介してカム291を回転させる、例えばモータ(図示せず)を内蔵した回転駆動部293とを有している。カム291はシャフト292の中心軸に対して偏心して設けられている。そして、回転駆動部293によりカム291を回転させることで、第2の保持部201に対するカム291の中心位置が移動し、第2の保持部201を水平方向に移動させることができる。
【0086】
下部チャンバ281には、処理容器280内の雰囲気を減圧する減圧機構300が設けられている。減圧機構300は、処理容器280内の雰囲気を吸気するための吸気管301と、吸気管301に接続された例えば真空ポンプなどの負圧発生装置302とを有している。
【0087】
なお、接合装置31〜33の構成は、上述した接合装置30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0088】
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、
図24に示すように内部を密閉可能な処理容器310を有している。処理容器310のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0089】
処理容器310内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック320が設けられている。スピンチャック320は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック320上に吸着保持できる。
【0090】
スピンチャック320の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部321が設けられている。スピンチャック320は、チャック駆動部321により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部321には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック320は昇降自在になっている。
【0091】
スピンチャック320の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ322が設けられている。カップ322の下面には、回収した液体を排出する排出管323と、カップ322内の雰囲気を真空引きして排気する排気管324が接続されている。
【0092】
図25に示すようにカップ322のX方向負方向(
図25中の下方向)側には、Y方向(
図25中の左右方向)に沿って延伸するレール330が形成されている。レール330は、例えばカップ322のY方向負方向(
図25中の左方向)側の外方からY方向正方向(
図25中の右方向)側の外方まで形成されている。レール330には、アーム331が取り付けられている。
【0093】
アーム331には、
図24及び
図25に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル332が支持されている。アーム331は、
図25に示すノズル駆動部333により、レール330上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル332は、カップ322のY方向正方向側の外方に設置された待機部334からカップ322内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム331は、ノズル駆動部333によって昇降自在であり、接着剤ノズル332の高さを調節できる。
【0094】
接着剤ノズル332には、
図24に示すように当該接着剤ノズル332に接着剤Gを供給する供給管335が接続されている。供給管335は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源336に連通している。また、供給管335には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群337が設けられている。
【0095】
なお、スピンチャック320の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面W
Nに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面W
Nと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0096】
次に、上述した熱処理装置41〜46の構成について説明する。熱処理装置41は、
図26に示すように内部を閉鎖可能な処理容器340を有している。処理容器340のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0097】
処理容器340の天井面には、当該処理容器340の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口341が形成されている。ガス供給口341には、ガス供給源342に連通するガス供給管343が接続されている。ガス供給管343には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群344が設けられている。
【0098】
処理容器340の底面には、当該処理容器340の内部の雰囲気を吸引する吸気口345が形成されている。吸気口345には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置346に連通する吸気管347が接続されている。
【0099】
処理容器340の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部350と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部351が設けられている。加熱部350と温度調節部351はY方向に並べて配置されている。
【0100】
加熱部350は、熱板360を収容して熱板360の外周部を保持する環状の保持部材361と、その保持部材361の外周を囲む略筒状のサポートリング362を備えている。熱板360は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板360には、例えば加熱機構363が内蔵されている。加熱機構363には、例えばヒータが用いられる。熱板360の加熱温度は例えば制御部400により制御され、熱板360上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
【0101】
熱板360の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン370が例えば3本設けられている。昇降ピン370は、昇降駆動部371により上下動できる。熱板360の中央部付近には、当該熱板360を厚み方向に貫通する貫通孔372が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン370は貫通孔372を挿通し、熱板360の上面から突出可能になっている。
【0102】
温度調節部351は、温度調節板380を有している。温度調節板380は、
図27に示すように略方形の平板形状を有し、熱板360側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板380には、Y方向に沿った2本のスリット381が形成されている。スリット381は、温度調節板380の熱板360側の端面から温度調節板380の中央部付近まで形成されている。このスリット381により、温度調節板380が、加熱部350の昇降ピン370及び後述する温度調節部351の昇降ピン390と干渉するのを防止できる。また、温度調節板380には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板380の冷却温度は例えば制御部400により制御され、温度調節板380上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
【0103】
温度調節板380は、
図26に示すように支持アーム382に支持されている。支持アーム382には、駆動部383が取り付けられている。駆動部383は、Y方向に延伸するレール384に取り付けられている。レール384は、温度調節部351から加熱部350まで延伸している。この駆動部383により、温度調節板380は、レール384に沿って加熱部350と温度調節部351との間を移動可能になっている。
【0104】
温度調節板380の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン390が例えば3本設けられている。昇降ピン390は、昇降駆動部391により上下動できる。そして、昇降ピン390はスリット381を挿通し、温度調節板380の上面から突出可能になっている。
【0105】
なお、熱処理装置42〜46の構成は、上述した熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0106】
また、熱処理装置41〜46では、重合ウェハTの温度調節もすることができる。さらに、重合ウェハTの温度調節をするために、温度調節装置(図示せず)を設けてもよい。温度調節装置は、上述した熱処理装置41と同様の構成を有し、熱板360に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。
【0107】
以上の接合システム1には、
図1に示すように制御部400が設けられている。制御部400は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部400にインストールされたものであってもよい。
【0108】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。
図28は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0109】
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットC
W、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットC
S、及び空のカセットC
Tが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC
W内の被処理ウェハWが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面W
Nが下方を向いた状態で搬送される。
【0110】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック320に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面W
Nが吸着保持される。
【0111】
続いて、アーム331によって待機部334の接着剤ノズル332を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック320によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル332から被処理ウェハWの接合面W
Jに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面W
Jの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面W
Jに接着剤Gが塗布される(
図28の工程A1)。
【0112】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置41に搬送される。このとき熱処理装置41の内部は、不活性ガスの雰囲気に維持されている。熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン390に受け渡される。続いて昇降ピン390を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板380に載置する。
【0113】
その後、駆動部383により温度調節板380をレール384に沿って熱板360の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン370に受け渡される。その後、昇降ピン370が下降して、被処理ウェハWが熱板360上に載置される。そして、熱板360上の被処理ウェハWは、所定の温度、例えば300℃に加熱される(
図28の工程A2)。かかる熱板360による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
【0114】
その後、昇降ピン370が上昇すると共に、温度調節板380が熱板360の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン370から温度調節板380に受け渡され、温度調節板380がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板380の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度、例えば常温である23℃に温度調節される。
【0115】
熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。接合装置30に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0116】
反転部111に搬送された被処理ウェハWは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(
図28の工程A3)。
【0117】
その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、上部チャンバ282は下部チャンバ281の上方に位置しており、上部チャンバ282と下部チャンバ281は当接しておらず、処理容器280内が密閉空間に形成されていない。接合部113に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部200に載置される(
図28の工程A4)。第1の保持部200上では、被処理ウェハWの接合面W
Jが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが吸着保持される。
【0118】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。なお、支持ウェハSが接合装置30に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0119】
接合装置30に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0120】
反転部111に搬送された支持ウェハSは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(
図28の工程A5)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構160から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(
図28の工程A6)。すなわち、支持ウェハSの接合面S
Jが下方に向けられる。
【0121】
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部112の第2の搬送アーム171によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面S
Jの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面S
Jが汚れることはない。接合部113に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部201に吸着保持される(
図28の工程A7)。第2の保持部201では、支持ウェハSの接合面S
Jが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
【0122】
このように接合部113に被処理ウェハWと支持ウェハSが搬送されると、続いて被処理ウェハWと支持ウェハSが接合される。
図29は、この接合部113での接合処理における、加圧機構260の作動と停止、加熱機構211、241の作動と停止、第1の冷却機構212による第1の保持部200の温度差の制御と制御の停止、処理容器280内の圧力、被処理ウェハWと支持ウェハSの温度、及び
図28に示した接合処理の工程の関係を示すタイムチャートである。なお工程A1〜A7が終了し、さらに後述する工程A8の被処理ウェハWと支持ウェハSの位置調節が行われた後、被処理ウェハWと支持ウェハSがそれぞれ接合部113の第1の保持部200と第2の保持部201に保持された状態が、
図29における時間t
1である。また、時間t
1における被処理ウェハWと支持ウェハSの温度はそれぞれ温度T
1であり、温度T
1は例えば常温である23℃である。
【0123】
接合部113では、先ず、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSとの水平方向の位置調節が行われる。被処理ウェハWの表面と支持ウェハSの表面には、予め定められた複数、例えば4点以上の基準点が形成されている。そして、第1の撮像部270を水平方向に移動させ、被処理ウェハWの表面が撮像される。また、第2の撮像部271を水平方向に移動させ、支持ウェハSの表面が撮像される。その後、第1の撮像部270が撮像した画像に表示される被処理ウェハWの基準点の位置と、第2の撮像部271が撮像した画像に表示される支持ウェハSの基準点の位置とが合致するように、移動機構290によって支持ウェハSの水平方向の位置(水平方向の向きを含む)が調節される。すなわち、回転駆動部293によってカム291を回転させて上部チャンバ282を介して第2の保持部201を水平方向に移動させ、支持ウェハSの水平方向の位置が調節される。こうして被処理ウェハWと支持ウェハSとの水平方向の位置が調節される(
図27の工程A8)。
【0124】
この工程A8の時間t
1では、第1の加熱機構211と第2の加熱機構241が作動している。これら加熱機構211、241によって、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSが加熱される。そして、所定の時間が経過して時間t
2になると、被処理ウェハWと支持ウェハSは所定の温度T
2、例えば340℃まで加熱される(
図27の工程A9)。そして被処理ウェハWと支持ウェハSは、後述するように工程A10が終了する時間t
4まで温度T
2に維持される。なお本実施の形態では、被処理ウェハWが支持ウェハSに先んじて接合部113に搬送されているが、第1の保持部200上で被処理ウェハWが支持ウェハSの搬送を待つ間、第1の加熱機構211によって加熱されていてもよい。
【0125】
また、第1の撮像部270と第2の撮像部271を第1の保持部200と第2の保持部201との間から退出させた後、移動機構(図示せず)によって上部チャンバ282を下降させる。そして時間t
1において、上部チャンバ282と下部チャンバ281を当接させて、これら上部チャンバ282と下部チャンバ281で構成される処理容器280の内部が密閉空間に形成される。このとき、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSとの間には、微小な隙間が形成されている。すなわち、被処理ウェハWと支持ウェハSは当接していない。
【0126】
そして、工程A9において被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度T
2に加熱する間に、減圧機構300によって処理容器280内の雰囲気を吸引し、処理容器280内を真空状態まで減圧する。本実施の形態では、処理容器280内を所定の真空圧、例えば10.0Pa以下まで減圧する。
【0127】
その後、被処理ウェハWと支持ウェハSが所定の温度T
2に昇温した時間t
3において
図30に示すように加圧機構260を作動させる(
図28の工程A10)。具体的には圧力容器261に圧縮空気を供給し、当該圧力容器261内を所定の圧力、例えば1.00001MPaにする。ここで、処理容器280内は真空状態に維持されており、圧力容器261は処理容器280内の真空雰囲気内に配置されている。このため、加圧機構260によって下方に押圧される圧力、すなわち圧力容器261から第2の保持部201に伝達される圧力は、圧力容器261内の圧力と処理容器280内の圧力との差圧1.0MPaになる。そして、この加圧機構260によって第2の保持部201が下方に押圧され、被処理ウェハWの全面と支持ウェハSの全面が当接する。被処理ウェハWと支持ウェハSが当接する際、被処理ウェハWと支持ウェハSはそれぞれ第1の保持部200と第2の保持部201に吸着保持されているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの位置ずれが生じない。また圧力容器261の平面形状は被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状と同一であるため、加圧機構260は被処理ウェハWと支持ウェハSを全面で押圧することになる。なお、工程A10において、処理容器280内は真空状態に維持されているため、被処理ウェハWと支持ウェハSを当接させても、当該被処理ウェハWと支持ウェハSとの間におけるボイドの発生を抑制することができる。また、本実施の形態では加圧機構260によって1.0MPaで第2の保持部201を押圧したが、この押圧する際の圧力は、接着剤Gの種類や被処理ウェハW上のデバイスの種類等に応じて設定される。
【0128】
このように加圧機構260により被処理ウェハWと支持ウェハSを押圧する際、加熱機構211、241により被処理ウェハWと支持ウェハSは所定の温度T
2に維持されている。この温度T
2は、固化した接着剤Gが軟化する融点温度、例えば300℃よりも高い。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSは、接着剤Gが軟化した状態で加圧機構260により押圧されて強固に接着される(
図28の工程A10、
図29の時間t
4)。
【0129】
その後、時間t
4において、加熱機構211、241を停止して被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却を開始すると共に、減圧機構300を停止して処理容器280内の圧力を元の大気圧に戻す。このとき、処理容器280内に窒素ガスを供給してパージしてもよいが、供給速度を低速に抑えるのが好ましい。窒素ガスの供給速度が高速であると、保持部200、201の外周部が急速に冷却され、当該保持部200、201に生じる反り(熱応力)が過大になり、保持部200、201が割れるおそれがあるためである。
【0130】
その後、時間t
5において処理容器280内の圧力が大気圧になると、第1の冷却機構212と第2の冷却機構242による被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却をそれぞれ開始する(
図28の工程A11)。なお、冷却機構212、242による被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却を時間t
4から開始してもよいが、時間t
4における処理容器280内の圧力は真空圧であり、かかる真空圧下では熱が伝達し難く、被処理ウェハWと支持ウェハSが冷却され難い。そこで、本実施の形態では冷却を効率よく行うため、時間t
5において冷却機構212、242による被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却を開始している。
【0131】
この工程A11において、第1の冷却機構212は、第1の保持部200の保持面200aの温度と非保持面200bの温度との温度差が所定の温度差、例えば10℃になるように、当該第1の保持部200を介して被処理ウェハWを冷却する。具体的には、例えば軟化した接着剤Gが固化する温度T
3、例えば300℃まで被処理ウェハWを冷却した際、第1の保持部200の保持面200aの温度は300℃となり、非保持面200bの温度は290℃となる。この保持面200aの温度と非保持面200bの温度の制御は、それぞれ第1の温度測定器214と第2の温度測定器215による測定結果に基づいて、制御部400により第1の冷却機構212をフィードフォワード制御することにより行われる。具体的には、第1の冷却機構212に流通させる冷却媒体の流量が制御され、第1の保持部の温度差が制御される。またこの工程A11において、加圧機構260による被処理ウェハWと支持ウェハSの押圧は工程A10から継続して行われている。そして、加圧機構260により被処理ウェハWと支持ウェハSを押圧しながら、保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃に制御する。このように保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃に制御されると、
図31に示すように第1の保持部200の反りを抑制して、当該第1の保持部200の保持面200aが所定の平面度に維持される。この所定の平面度は、接合後の重合ウェハTに要求される仕様に応じて定められるものであり、本実施の形態では例えば1μm〜3μmである。
【0132】
上述した第1の保持部200の保持面200aと非保持面200bの所定の温度差は、工程A11における被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却速度(例えば10℃/min)、工程A10における被処理ウェハWと支持ウェハSの温度T
2、第1の保持部200の厚みや材質等に応じて定められるものであり、例えばシミュレーションや実験によって定められる。次に、本実施の形態において所定の温度差を10℃とした根拠について説明する。
【0133】
発明者らは、第1の冷却機構212により第1の保持部200の保持面200aと非保持面200bの温度差を5℃、10℃、15℃で変化させてシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいて、加圧機構260による押圧圧力は1.0MPaの一定に維持している。シミュレーションの結果を
図32に示す。
図32の横軸は第1の保持部200の径方向の位置を示している。この位置は第1の保持部200の中心部を0(ゼロ)mmとした位置であって、150mmの位置が被処理ウェハWの端部の位置を示している。また
図32の縦軸は第1の保持部200と第2の保持部201間の距離を示している。この距離は重合ウェハTの厚みを差し引いた距離であり、
図32の縦軸は第1の保持部200の保持面200aの平面度を示している。
【0134】
図32を参照すると、保持面200aと非保持面200bの温度差が10℃以下であれば、第1の保持部200と第2の保持部201間の距離、すなわち保持面200aの平面度が許容範囲1μm〜3μmになることが分かった。したがって、本実施の形態では、保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃としている。
【0135】
また、上述したように第2の保持部201の剛性は第1の保持部200の剛性より小さい。このため、
図31に示すように第2の保持部201の保持面201aは、第1の保持部200の保持面200aに倣い、所定の平面度に維持される。
【0136】
工程A11では、被処理ウェハWと支持ウェハSが上述した温度T
3まで冷却されると、接着剤Gが固化されて、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合される。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSはさらに所定の温度T
4、例えば150℃まで冷却される(
図28の工程A11、
図29の時間t
6)。
【0137】
このように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって接合部110から受渡部110に搬送される。受渡部110に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン121を介して受渡アーム120に受け渡され、さらに受渡アーム120からウェハ搬送装置61に受け渡される。
【0138】
その後重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットC
Tに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
【0139】
以上の実施の形態によれば、工程A10において被処理ウェハWと支持ウェハSを温度T
2で加熱した後、工程A11において被処理ウェハWと支持ウェハSを冷却する際に、第1の冷却機構212を制御して、第1の保持部200の保持面200aの温度と非保持面200bの温度との温度差を所定の温度差に制御する。そうすると、第1の保持部200の反りを抑制して、当該第1の保持部200の保持面200aが所定の平面度にすることができる。したがって、接合後の重合ウェハTの厚みをウェハ面内で均一にすることができ、その後の重合ウェハTの搬送や処理を適切に行うことができる。
【0140】
しかも、このような第1の保持部200における保持面200aの温度と非保持面200bの温度の制御は、それぞれ第1の温度測定器214と第2の温度測定器215による測定結果に基づいて行われる。そして、制御部400では、温度測定器214、215の測定結果に基づいて第1の冷却機構212をフィードフォワード制御するので、保持面200aの温度と非保持面200bの温度の制御をより正確に行うことができる。
【0141】
また、第1の保持部200の保持面200aと第2の保持部201の保持面201aはそれぞれ常温時に平坦であるので、工程A11において第1の保持部200の保持面200aをより確実に所定の平面度にすることができる。
【0142】
また、第2の保持部201の剛性は第1の保持部200の剛性よりも小さいので、第2の保持部201の保持面201aは、第1の保持部200の保持面200aに倣う。そうすると、工程A11において第2の冷却機構212により支持ウェハSを冷却しても、第2の保持部201の保持面201aには反りが生じず、当該保持面201aを所定の平面度に維持することができる。
【0143】
また工程A11では、第1の冷却機構212と第2の冷却機構242によって被処理ウェハWと支持ウェハTがそれぞれ積極的に冷却されるので、当該冷却をウェハ面内で均一に行うことができる。かかる観点からも重合ウェハTに歪みや反りが生じることがない。
【0144】
また工程A10では、加熱機構211、241により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度T
2で加熱しながら、加圧機構260により被処理ウェハWと支持ウェハSを押圧するので、被処理ウェハWと支持ウェハSを強固に密着させることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをより適切に接合することができる。
【0145】
また接合システム1は、接合装置30〜31、塗布装置40、熱処理装置41〜46を有しているので、被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布して所定の温度に加熱すると共に、接合装置30において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合装置30において、接着剤Gが塗布されて所定の温度に加熱された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、熱処理装置41及び接合装置30において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
【0146】
以上の実施の形態では、第1の冷却機構212により第1の保持部200の保持面200aの温度と非保持面200bの温度の温度差を制御していたが、第2の冷却機構242により第2の保持部201の保持面201aの温度と非保持面201bの温度の温度差を制御してもよい。かかる場合、第1の保持部200の厚みを第2の保持部201の厚みよりも小さくして、第1の保持部200の剛性を第2の保持部201の剛性よりも小さくしてもよい。
【0147】
或いは、第1の冷却機構212と第2の冷却機構242の両方によって、第1の保持部200の保持面200aの温度と非保持面200bの温度の温度差と、第2の保持部201の保持面201aの温度と非保持面201bの温度の温度差とを両方制御してもよい。かかる場合、第1の保持部200の剛性と第2の保持部201の剛性は同程度であるのが好ましい。
【0148】
いずれの場合でも、上記実施の形態の効果を享受することができ、第1の保持部200の保持面200aと第2の保持部201の保持面201aをそれぞれ所定の平面にすることができる。したがって、重合ウェハTの厚みをウェハ面内で均一にすることができ、その後の重合ウェハTの搬送や処理を適切に行うことができる。
【0149】
以上の実施の形態において、第1の保持部200の剛性と第2の保持部201の剛性は、それぞれ第1の保持部200の厚みと第2の保持部201の厚みで調節されていたが、それぞれ第1の保持部200の材質と第2の保持部201の材質で調節されてもよい。例えば第1の保持部200と第2の保持部201には窒化アルミセラミックが用いられていたが、例えば炭化ケイ素セラミックやアルミナセラミック等の他のセラミックを用いてもよい。これら炭化ケイ素セラミック、アルミナセラミック、窒化アルミセラミックの剛性はそれぞれ異なり、その剛性は記載順に小さくなる。或いは例えば第1の保持部200の表面と第2の保持部201の表面に絶縁層を形成する場合には、第1の保持部200と第2の保持部201には、セラミックの他、例えばアルミニウムやステンレス等の金属材料を用いてもよい。この金属材料の剛性はセラミックの剛性よりも小さい。そして、第1の保持部200の材質と第2の保持部201の材質を異なるようにすれば、第1の保持部200の剛性と第2の保持部201の剛性を調整することができる。
【0150】
以上の実施の形態では、第1の保持部200と第2の保持部201の反りを抑制するため、例えば第1の保持部200における保持面200aと非保持面200bの温度差を制御していたが、この第1の保持部200の温度差の制御に加えて、
図33に示すように常温時に第1の保持部200の保持面200aの中央部を周辺部に比べて窪ませてもよい。保持面200aにおいて周辺部に対する中央部の窪み量Hは、保持面200aと非保持面200bの温度差に基づいて生じる第1の保持部200の反り量に応じて設定される。窪み量Hは例えばシミュレーションや実験によって定められ、例えば20μmに定められる。
【0151】
ここで、保持面200aの窪み量Hを20μmとした根拠について説明する。発明者らは、第1の保持部200の保持面200aと非保持面200bを同じ温度にした場合(温度差が0(ゼロ)℃)と、保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃にした場合についてシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、第1の保持部200の厚みを30mmとしている。シミュレーションの結果を
図34に示す。
図34の横軸は第1の保持部200の径方向の位置を示している。この位置は第1の保持部200の中心部を0(ゼロ)mmとした位置である。また
図34の縦軸は第1の保持部200の反り量(鉛直方向の変位量)と、当該第1の保持部200の保持面200aの形状を示している。
【0152】
図34を参照すると、保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃とすると、第1の保持部200の反り量は20μmであることが分かった。そこで、保持面200aの窪み量Hを20μmとしてシミュレーションしたところ、保持面200aと非保持面200bの温度差が0(ゼロ)℃の場合、上記窪み量Hがそのまま保持面200aの形状として現れる。一方、保持面200aと非保持面200bの温度差を10℃とすると、第1の保持部200の反り量20μmは保持面200aの窪み量H20μmに吸収され、保持面200aの平面度は許容範囲1μm〜3μmになり、保持面200aは平坦になった。したがって、本実施の形態では、保持面200aの窪み量Hを20μmとしている。
【0153】
なお本実施の形態では、第2の保持部201についても、保持面201aと非保持面201bの温度差を制御し、さらに
図33に示すように常温時に保持面201aの中央部を周辺部に比べて窪ませる。また保持面201aの窪み量Hは、保持面200aの窪み量Hと同様に20μmである。
【0154】
かかる場合、冷却機構212、242により保持部200、201の保持面200a、201aと非保持面200b、201bの温度差をそれぞれ制御する場合、当該冷却機構212、242による制御は、
図35に示すように工程A9〜A11(時間t
2〜t
6)において行われる。なお、その他の工程A1〜A8については、上記実施の形態における工程A1〜A8と同様であるので説明を省略する。
【0155】
本実施の形態では、工程A9〜A11において、
図36に示すように保持面200a、201aと非保持面200b、201bの温度差により各保持部200、201が反ったとしても、当該保持部200、201の反りを吸収するように保持面200a、201aが窪んでいる。したがって、各保持面200a、201aを確実に平坦にすることができる。その結果、重合ウェハTの厚みをウェハ面内で均一にすることができ、その後の重合ウェハTの搬送や処理を適切に行うことができる。
【0156】
例えば工程A11における被処理ウェハWと支持ウェハSの冷却速度が大きく、保持面200a、201aと非保持面200b、201bの温度差が大きい場合や、加圧機構260による押圧圧力を大きくできない場合などでは、単に保持面200a、201aと非保持面200b、201bの温度差を制御するだけでは、保持部200、201の反りを吸収できないおそれがある。この点、本実施の形態では保持面200a、201aが窪んで保持部200、201の反りを吸収できるので、上述したような状況下で特に有用になる。
【0157】
以上の実施の形態の第1の冷却機構212は、
図37に示すように被処理ウェハWの中心部を冷却する第1の中心領域212aと、当該第1の中心領域212aの外側に設けられ、被処理ウェハWの周辺部を冷却する第1の周辺領域212bとに区画されていてもよい。第1の中心領域212aと第1の周辺領域212bにはそれぞれ個別に冷却媒体が流通するようになっており、第1の中心領域212aと第1の周辺領域212bは個別に温度設定可能になっている。
【0158】
同様に第2の冷却機構242は、支持ウェハSの中心部を冷却する第2の中心領域242aと、当該第2の中心領域242aの外側に設けられ、支持ウェハSの周辺部を冷却する第2の周辺領域242bとに区画されている。第2の中心領域242aと第2の周辺領域242bにはそれぞれ個別に冷却媒体が流通するようになっており、第2の中心領域242aと第2の周辺領域242bは個別に温度設定可能になっている。
【0159】
ここで、発明者らが鋭意検討したところ、被処理ウェハWと支持ウェハSの周辺部は中心部に比べて、外部雰囲気に露出している分、冷却されやすいことが分かった。
【0160】
そこで本実施の形態では、例えば工程A11において第1の冷却機構212により被処理ウェハWを冷却する際、第1の中心領域212aの冷却温度を第1の周辺領域212bの冷却温度より低くする。同様に第2の冷却機構242により支持ウェハSを冷却する際、第2の中心領域242aの冷却温度を第2の周辺領域242bの冷却温度より低くする。このように冷却機構212、242の冷却温度を制御することで、被処理ウェハWと支持ウェハSをウェハ面内でより均一に冷却することができる。したがって、接合後の重合ウェハTの厚みをウェハ面内でより均一にすることができ、その後の重合ウェハTの搬送や処理をより適切に行うことができる。
【0161】
以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面S
Jに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5〜A7を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A8〜A11を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。但し、被処理ウェハW上の電子回路等を保護する観点から、被処理ウェハW上に接着剤Gを塗布するのが好ましい。
【0162】
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
【0163】
以上の実施の形態では、第1の加熱機構211と第2の加熱機構241の両方を用いて被処理ウェハWと支持ウェハSを加熱していたが、いずれか一方の加熱機構211、241を用いて被処理ウェハWと支持ウェハSを加熱してもよい。
【0164】
以上の実施の形態では、上部チャンバ282を昇降させていたが、上部チャンバ282の昇降に代えて下部チャンバ281を昇降させてもよい。或いは、処理容器280を一の処理容器とし、被処理ウェハW、支持ウェハS及び重合ウェハTの搬入出口にゲートバルブ(図示せず)を設けてもよい。いずれの場合でも、処理容器280の内部を密閉空間に形成することができる。
【0165】
以上の実施の形態において、上部チャンバ282と下部チャンバ281が当接する部分であって、上部チャンバ282と下部チャンバ281の内側面又は外側面には、メカニカルストッパ(図示せず)が設けられていてもよい。ここで、チャンバ281、282を開閉させる度に上部チャンバ282の接触面と下部チャンバ281の接触面同士が接触を繰り返すと、当該接触面に傷がつくおそれがある。そこで、上部チャンバ282と下部チャンバ281を閉じた際、シール材283を潰して処理容器280の内部を真空密閉空間にできる程度に、上部チャンバ282と下部チャンバ281の接触面の隙間を確保するため、本実施の形態のメカニカルストッパが設けられる。
【0166】
以上の実施の形態では、移動機構290は第2の保持部201を水平方向に移動させていたが、第1の保持部200を水平方向に移動させてもよい。或いは、
図38に示すように第1の保持部200側と第2の保持部201側にそれぞれ移動機構290を設け、第1の保持部200と第2の保持部201を共に水平方向に移動可能にしてもよい。
【0167】
また
図38に示すように第2の保持部201の上面側に、支持板250を介して、当該第2の保持部201を支持する支持部材450を設けてもよい。支持部材450は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、例えばマイクロメータとして機能し、さらにリニアシャフトとして機能する。また、支持部材450は、圧力容器261の外側に例えば3箇所に設けられている。なお、工程A10において被処理ウェハWと支持ウェハSが押圧される際、支持部材450は圧力容器261の伸縮に連動して伸縮する。そして、圧力容器261が第2の保持部201の平行度と第1の保持部200の平行度に差異を吸収する際に、支持部材450がこの吸収を妨げることはない。
【0168】
以上の実施の形態において、移動機構290によって第1の保持部200を水平方向に円滑に移動させるため、第1の保持部200を下部チャンバ281から浮上させてもよい。この第1の保持部200を浮上させる手段には種々の手段を取り得るが、例えばエアベアリングを用いてもよいし、昇降ピンを用いてもよい。
【0169】
以上の実施の形態において、上部チャンバ282には、処理容器280の内部を確認するためのメンテナンス用の窓が設けられていてもよい。
【0170】
以上の実施の形態では、工程A2において被処理ウェハWを所定の温度300℃に加熱していたが、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行ってもよい。例えば熱処理装置41において、第1の熱処理温度、例えば100℃〜150℃に加熱した後、熱処理装置44において第2の熱処理温度、例えば300℃に加熱する。かかる場合、熱処理装置41と熱処理装置44における加熱機構自体の温度を一定にできる。したがって、当該加熱機構の温度調節をする必要がなく、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0171】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。