特許第5797295号(P5797295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5797295
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20151001BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20151001BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20151001BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   A41B13/02 K
   A41B13/02 B
   A41B13/02 T
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-82582(P2014-82582)
(22)【出願日】2014年4月14日
【審査請求日】2015年7月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
(72)【発明者】
【氏名】山中 康弘
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−119416(JP,A)
【文献】 特開平5−192368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴周り域と、後胴周り域と、前記前胴周り域と前記後胴周り域との間に位置する股下域と、
前記前胴周り域から前記後胴周り域に向かう製品長手方向と、
製品長手方向と直交する製品幅方向と、
一対の脚周り開口部と、
前記股下域を跨ぎ、前記前胴周り域及び前記後胴周り域の少なくとも一方に延びる吸収性コアと、
前記前胴周り域及び前記後胴周り域において、前記製品幅方向に延び、かつ使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴周り保持部と、
前記脚周り開口部に沿って配置される一対の脚周り伸縮部と、を有する使い捨ておむつであって、
前記脚周り伸縮部よりも製品幅方向内側には、前記製品長手方向に伸縮する股伸縮部が配置されており、
前記吸収性コアは、前記吸収性コアの前記製品幅方向の長さが最も短い幅狭部と、前記幅狭部よりも前記製品幅方向外側に位置する幅広部と、を有しており、
前記股伸縮部及び前記幅狭部は、前記胴周り保持部よりも前記製品長手方向内側に位置し、
前記股伸縮部の少なくとも一部は、前記製品幅方向において、前記幅広部の外側縁と前記幅狭部の外側縁の間に位置
前記股伸縮部は、第1股伸縮部と、前記第1股伸縮部よりも前記製品幅方向外側に位置する第2股伸縮部と、を有し、
前記第1股伸縮部は、前記幅広部の前記製品幅方向における中心を通りかつ前記製品長手方向に延びる線よりも、前記製品幅方向内側に位置し、
前記第2股伸縮部は、前記幅広部の前記製品幅方向における中心を通りかつ前記製品長手方向に延びる線よりも、前記製品幅方向内側に位置し、
前記第2股伸縮部の前記製品長手方向の長さは、前記第1股伸縮部の前記製品長手方向の長さよりも長い、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前胴周り域と、後胴周り域と、前記前胴周り域と前記後胴周り域との間に位置する股下域と、
前記前胴周り域から前記後胴周り域に向かう製品長手方向と、
製品長手方向と直交する製品幅方向と、
一対の脚周り開口部と、
前記股下域を跨ぎ、前記前胴周り域及び前記後胴周り域の少なくとも一方に延びる吸収性コアと、
前記前胴周り域及び前記後胴周り域において、前記製品幅方向に延び、かつ使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴周り保持部と、
前記脚周り開口部に沿って配置される一対の脚周り伸縮部と、を有する使い捨ておむつであって、
前記脚周り伸縮部よりも製品幅方向内側には、前記製品長手方向に伸縮する股伸縮部が配置されており、
前記吸収性コアは、前記吸収性コアの前記製品幅方向の長さが最も短い幅狭部と、前記幅狭部よりも前記製品幅方向外側に位置する幅広部と、を有しており、
前記股伸縮部及び前記幅狭部は、前記胴周り保持部よりも前記製品長手方向内側に位置し、
前記股伸縮部の少なくとも一部は、前記製品幅方向において、前記幅広部の外側縁と前記幅狭部の外側縁の間に位置し、
前記股伸縮部は、前記製品長手方向において前記前胴周り域側に偏倚して配置されている、使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記股伸縮部は、前記幅広部の前記製品幅方向における中心を通りかつ前記製品長手方向に延びる線よりも、前記製品幅方向内側に位置する、請求項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記股伸縮部の前記製品長手方向の長さは、前記脚周り伸縮部の前記製品長手方向の長さよりも短い、請求項1から請求項3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記股伸縮部は、使い捨ておむつの厚み方向において前記吸収性コアと重ならない、請求項1から請求項のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記股伸縮部は、複数設けられており、
前記複数の股伸縮部のうち一部の股伸縮部は、使い捨ておむつの厚み方向において前記吸収性コアと重なり、前記複数の股伸縮部のうち他の股伸縮部は、使い捨ておむつの厚み方向において前記吸収性コアと重ならない、請求項1から請求項のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚周り伸縮部よりも製品幅方向内側に配置された股伸縮部を有する使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつでは、排泄物の漏れを防ぎつつ、良好な履き心地を実現するため、様々な工夫がなされている。例えば、脚周り開口部に沿って弾性部材を配置することで当該弾性部材による圧迫跡が着用者の身体に付き難くした使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の使い捨ておむつには、脚周り開口部に沿って配置された弾性部材と別の弾性部材が、胴周り開口部に沿って配置されている。よって、特許文献1の使い捨ておむつは、脚周り開口部の周辺と胴周り開口部の周辺とを締め付けることができる。このような構造によって、使い捨ておむつが排泄物を吸収したり、着用者が激しく動いたりしても、使い捨ておむつが垂れ下がることを抑制し得る。
【0004】
また、特許文献2には、吸収体に重なる領域に前後方向に伸縮する弾性部材が配置された使い捨ておむつが開示されている。当該弾性部材は、着用者の股下に配置されるクロッチ部と、着用者の胴周りに配置される胴周り部と、に跨がって配置されている。また、特許文献2の使い捨ておむつは、前側の胴周り部の外側縁と後側の胴周り部の外側縁が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−37807号公報
【特許文献2】国際公開第2006/118214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の使い捨ておむつには、次のような問題があった。
特許文献1の使い捨ておむつは、脚周り開口部の周辺と胴周り開口部の周辺を主に締め付けるような構造である。しかし、着用者から排出された体液が吸収体に吸収されると、吸収体が体液の重みによって引き下がる。そのため、着用者の股下から吸収体から離れ、吸収性能が悪化するおそれがある。
【0007】
特許文献2の使い捨ておむつは、前側の胴周り部の外側縁と後側の胴周り部の外側縁が接合されているため、胴周り部全体が着用者の身体に密着する。また、特許文献2の使い捨ておむつは、弾性部材の収縮によって吸収体が着用者側に押し上げられる。この弾性部材は、クロッチ部と胴周り部に跨がっている。そのため、吸収体は、着用者の股下のみならず、着用者の胴周りに対しても密着する。特に排泄後においては、体液を吸収した吸収体が着用者の股下及び胴周りに密着すると、蒸れ等による不快感が生じるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、排泄後における吸収性能を確保しつつ、排泄後における快適性を維持できる使い捨ておむつの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る使い捨ておむつは、前胴周り域(前胴周り域20)と、後胴周り域(後胴周り域25)と、前記前胴周り域と前記後胴周り域との間に位置する股下域(股下域30)と、前記前胴周り域から前記後胴周り域に向かう製品長手方向(製品長手方向L)と、製品長手方向と直交する製品幅方向(製品幅方向W)と、一対の脚周り開口部(脚周り開口部35)と、前記股下域を跨ぎ、前記前胴周り域及び前記後胴周り域の少なくとも一方に延びる吸収性コア(吸収性コア40a)と、前記前胴周り域及び前記後胴周り域において、前記製品幅方向に伸び、使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴周り保持部と、前記脚周り開口部に沿って配置される一対の脚周り伸縮部(脚周り伸縮部75)と、を有する使い捨ておむつであって、前記脚周り伸縮部よりも製品幅方向内側には、前記製品長手方向に伸縮する股伸縮部(股伸縮部130)が配置されており、前記吸収性コアは、前記吸収性コアの製品幅方向の長さが最も短い幅狭部(幅狭部41)と、前記幅狭部よりも製品幅方向外側に位置する幅広部(幅広部42)と、を有しており、前記股伸縮部及び前記幅狭部は、前記胴周り保持部よりも前記製品長手方向内側に位置し、前記股伸縮部の少なくとも一部は、前記製品幅方向において前記幅広部の外側縁と前記幅狭部の外側縁の間に位置することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排泄後における吸収性能を確保しつつ、排泄後における快適性を維持できる使い捨ておむつを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る使い捨ておむつの展開平面図である。
図2図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつの断面図である。
図3図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつの断面図である。
図4図1に使い捨ておむつの装着状態を示す断面図である。
図5】変形例に係る使い捨ておむつの展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0013】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0014】
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。図2は、図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図3は、図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図1に示す展開平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドフラップ70等の皺が形成されない状態まで、脚周り伸縮部75、股伸縮部130及びレッグサイド伸縮部80のサイド弾性部材71を伸長させた伸長状態の図である。
【0015】
使い捨ておむつ10は、前胴周り域20と、股下域25と、後胴周り域30とを有する。前胴周り域20は、着用者の前胴周り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴周り域30は、着用者の後胴周り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴周り域20と後胴周り域30との間に位置する。
【0016】
また、使い捨ておむつ10には、一対の脚周り開口部35が形成される。脚周り開口部35は、使い捨ておむつの外側縁に設けられており、使い捨ておむつが着用者に着用された状態で、着用者の脚周りに沿って配置される部分である。なお、外側縁は、製品幅方向の外側端であり、内側縁は、製品幅方向の内側端である。
【0017】
なお、本実施形態では、前胴周り域20から後胴周り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶ。
【0018】
使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ、かつ股下域25から前胴周り域20及び後胴周り域30のうち少なくともいずれか一方に向かって延びる吸収体40を備える。吸収体40は、吸収性コア40aとコアラップ40bとによって構成される。
【0019】
吸収性コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマーなど、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。吸収性コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
【0020】
コアラップ40bは、吸収性コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌面側の一部は、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュシートによって構成される。例えば、質量約10〜30g/m2のエアースルー繊維不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布、または質量約10〜30g/m2のティッシュシートを用いることができる。
【0021】
吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられる。
【0022】
吸収体40の外側縁には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられる。サイドフラップ70は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。また、一対のサイドフラップ70には、ファスニングテープ90がそれぞれ備えられる。
【0023】
ファスニングテープ90は、後胴周り域30において、製品幅方向Wに沿って延び、前胴周り域20の非肌当接面に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。
【0024】
ターゲット部95は、前胴周り域内の非肌当接面に配置され、一対のファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。
【0025】
本実施形態において、前胴周り域20、後胴周り域30、及びファスニングテープ90によって胴周り保持部が構成される。後胴周り域30の胴周り保持部は、ファスニングテープ90の係合部材が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。前胴周り域20の胴周り保持部は、ターゲット部95が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。なお、パンツタイプの使い捨ておむつにおける胴周り保持部は、前胴周り域と後胴周り域が接合された部分から製品幅方向に延びる領域である。
【0026】
吸収体40の表面側(トップシート50側)は、脚周り開口部35の周囲に形成され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対の脚周り伸縮部75が備えられる。
【0027】
脚周り伸縮部75は、脚周り開口部35を製品長手方向に伸縮できるように構成されていればよく、脚周り開口部35に沿って配置されていてもよいし、一部が脚周り開口部35に対して傾斜した状態で配置されていてもよいし、製品長手方向に沿って直線状に延びるものであってもよい。また、脚周り伸縮部75は、伸縮性シート等によって実質的に製品長手方向に収縮する部分であり、収縮力が発揮されない状態で伸縮性シートが配置された部分を除く概念である。
【0028】
また、一対の脚周り伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイド伸縮部80が備えられる。レッグサイド伸縮部80は、サイドフラップ70の製品幅方向の内側縁に設けられており、脚周り伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置される起立性の伸縮ギャザーである。レッグサイド伸縮部80は、脚周り伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置されている。レッグサイド伸縮部80は、従来において周知の構成を採用することができ、具体的には、サイドフラップ70と別のシート材によって構成されていてもよい。
【0029】
サイドフラップ70は、内側縁において表面シート側に折り返されており、2層積層されている。この2層のサイドフラップ70間に、長手方向に伸長された状態でサイド弾性部材71(図2参照)が設けられている。このサイドフラップ70とサイド弾性部材71とでレッグサイド伸縮部80が形成される。
【0030】
レッグサイド伸縮部80は、トップシート50又はバックシート60a等、レッグサイド伸縮部80よりも非肌当接面側に位置する裏面側部材に接合される接合部分81と、サイド弾性部材71が配置され、裏面側部材に接合されず、サイド弾性部材71によって製品長手方向に収縮する収縮部84と、を有する。接合部分81は、収縮部84よりも製品幅方向外側に位置する第1接合部分81Aと、収縮部84よりも製品長手方向外側に位置する第2接合部分81Bと、を有する。
【0031】
裏面側部材は、レッグサイド伸縮部80よりも非肌当接面側に位置する部材であればよく、例えば、トップシート50、バックシート60a、及び外装シート60を例示できる。レッグサイド伸縮部80は、着用時には接合部分81を基端部として立ち上がり、収縮部84が頂点部として着用者の肌と接触する。すなわち、接合部分は、レッグサイド伸縮部の立ち上がりの基端部となる。
【0032】
なお、収縮部84は、サイド弾性部材71によって実質的に製品長手方向に収縮した部分であり、収縮力が発揮されない状態でサイド弾性部材71が配置された部分を除く概念である。また、図1に、レッグサイド伸縮部において、サイドフラップ70とトップシート50(又はバックシート60a等)とが接合された接合部分81に斜線を付して示す。
【0033】
接合部分81は、複数設けられており、第1接合部分81Aは、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置され、第2接合部分81Bは、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている。よって、レッグサイド伸縮部80は、股下域25を含む製品長手方向の中央部分が着用者側に立ち上がるように構成される。
【0034】
レッグサイド伸縮部80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置されている第1接合部分81Aは、製品幅方向Wにおいて、幅狭部41と脚周り伸縮部75との間に配置される。第1接合部分81Aは、製品長手方向の全長にてバックシート60a(及び一部において外装シート60)に接合される。なお、バックシート60aは、吸収体40と外装シート60との間に配置されており、防漏シートとして機能する。
【0035】
レッグサイド伸縮部80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている第2接合部分81Bは、トップシート50に接合される。
【0036】
なお、レッグサイド伸縮部80の接合部分81は、種々の構成を採用できる。接合部分は、例えば、製品長手方向に股下部から前胴周り域及び後胴周り域に延び、トップシートに接合される部分であってもよいし、吸収性コア40aよりも幅方向外側において液不透過性のバックシートや外装シートに接合される部分であってもよく、起立の基端部となるように構成される。
【0037】
また、レッグサイド伸縮部は、脚周り伸縮部よりも製品幅方向内側に配置される起立性のギャザーであればよく、上記構成に限定されず、従来において周知のレッグサイド伸縮部の構成を採用できることは勿論である。
【0038】
また、製品幅方向における一対のファスニングテープ間には、製品幅方向に伸縮可能な腰周り伸縮部85が設けられている。腰周り伸縮部85は、ファスニングテープ間を幅方向に収縮する。
【0039】
本実施形態において、腰周り伸縮部85は、伸縮性シートによって構成されている。腰周り伸縮部85を構成する部材については、特に限定されないが、出来る限り薄くて曲げ剛性が低く、幅入り率が小さいものを用いることが好ましい。曲げ剛性を低い材料によって腰周り伸縮部85を構成することにより、腰周り伸縮部85が身体に沿って曲がりやすくなり、着用者の身体に負荷をかけずに腰周り伸縮部85を身体に沿わせてフィットさせることができる。また、幅入りが小さい材料によって腰周り伸縮部85を構成することにより、使い捨ておむつが製品幅方向に伸長した場合における使い捨ておむつの製品長手方向の収縮を抑制し、着用者の腰周りにおいて使い捨ておむつが股下側に引き下がることを抑制できる。
【0040】
本実施形態では、腰周り伸縮部85として、目付けが20〜45g/mの伸縮性フィルムを用いた。
【0041】
腰周り伸縮部85は、非伸長状態(自然状態)における長さの1.5〜2.5倍に引き延ばされた後、ホットメルト接着剤又は加熱処理等によって外装シート60に接着される。
【0042】
本実施の形態では、腰周り伸縮部85は、外装シート60とバックシート60aとの間に配置されている。しかし、コアラップ40bが吸収性コア40aよりも製品長手方向外側に延出する構成にあっては、腰周り伸縮部85は、コアラップ40bと、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。腰周り伸縮部の位置は、特に限定されない。が、好ましくは、吸収体40よりも非肌当接面側に配置される。また、吸収体が配置されない領域にあっては、サイドフラップ70と、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。
【0043】
なお、本実施の形態に係る腰周り伸縮部は、製品幅方向に伸縮するように構成されているが、腰周り伸縮部が製品幅方向と製品長手方向に伸縮するように構成されていてもよい。
【0044】
吸収体40の吸収性コア40aは、吸収性コアの製品幅方向の長さが最も短い幅狭部41と、幅狭部41よりも製品幅方向外側に位置する幅広部42と、を有する。吸収性コア40aの幅広部42は、吸収性コア40aの前端縁から後側に延びる領域と、吸収性コア40aの後端縁から前側に延びる領域と、に設けられている。幅狭部41は、前後に配置された幅広部42の間に配置されている。幅広部42の製品幅方向の長さは、幅広部42の製品長手方向の外端縁から幅広部の内端縁(幅狭部の外端縁)に向かって徐々に短くなっている。吸収性コア40aの平面視の形状は、砂時計形状である。なお、吸収性コア40aのみならず、コアラップ40bを含んだ吸収体40の形状が、砂時計形状であってもよい。なお、外端縁は、製品長手方向の外側端であり、内端縁は、製品長手方向の内側端である。
【0045】
後胴周り域の吸収体40には、吸収体の他の部位よりも目付けが低い、または吸収性コア40aが存在しない低剛性領域としての切欠き110が設けられている。切欠き110は、吸収体40の後端縁の製品幅方向中央から前胴周り域側に向かって徐々に製品幅方向の長さが短くなる形状である。より具体的には、使い捨ておむつの平面視においてくさび形状である。また、吸収性コア40aの切欠き110との境界は、製品幅方向Wの中心に向けて凸となるような円弧で形成される。切欠き110よりも製品幅方向外側の吸収体40は、後端縁に向けて凸となる台形形状である。
【0046】
切欠き110の一部は、使い捨ておむつの平面視において、腰周り伸縮部85と重なって配置されている。なお、本実施形態では、腰周り伸縮部85は、切欠き110の一部と重なって配置されているが、腰周り伸縮部85の全てと切欠き110が重なって配置されていてもよい。
【0047】
このような切欠き110が形成されていることにより、腰周り伸縮部85の伸縮を阻害せず、腰周り伸縮部85が収縮しても、切欠き110が狭まり、切欠き110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなるため、吸収体40が意図しない形状で隆起し難くなる。なお、切欠き110は、排泄物の漏れ防止を考慮すると、腰周り伸縮部85の幅より狭いことが好ましい。
【0048】
また、腰周り伸縮部85によって吸収体40が製品幅方向Wにおいて収縮させられて、切欠き110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなると、切欠き110の後胴周り域30側の端部寄りの部位が股下域25寄りの部位よりも大きく製品幅方向W中央に寄せられるため、後胴周り域30側の部位と股下域25寄りの部位とでは製品幅方向Wにおける収縮量の差が発生し、後胴周り域30が起立するようになる。
【0049】
すなわち、製品幅方向Wに伸縮可能な腰周り伸縮部85とくさび状の切欠き110を有するため、使い捨ておむつ10の装着時に、非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易い。
【0050】
また、本実施形態では、切欠き110には、吸収性コア40aが存在せず、切欠き110と重なるように腰周り伸縮部85が存在するため、吸収性コアの後端縁寄りの部位が製品幅方向W中央に寄せられ、後胴周り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し得る。
【0051】
本実施形態では、腰周り伸縮部85は、吸収性コア40aの外側縁を超えて存在するため、使い捨ておむつ10をカップ形状に形成しつつ、吸収性コア40aの後端縁側の部分を着用者の体に積極的に沿わせることができる。さらには、腰周り伸縮部85及び切欠き110の少なくとも一部は、一対のファスニングテープ90から幅方向に延びる領域に存在する。よって、使い捨ておむつ10を下に敷いて着用者を寝かせた状態で使い捨ておむつ10を装着する際でも、吸収性コア40aの外側縁を超えて存在する腰周り伸縮部85が着用者の身体の下に敷かれない。したがって、ファスニングテープ90を引っ張ることによって腰周り伸縮部85の外側縁が伸長し、カップ形状のウエスト側より位置をより確実に体に沿わせることが容易となる。
【0052】
本実施形態では、切欠き110よりも製品幅方向外側の吸収性コア40aが、後胴周り域側に向かって凸形状である。このため、上述したように非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易くすることに加え、吸収性コア40aの表面面積が維持されるため、吸収性コア40aの後端縁からの排泄物の漏れを防止し得る。
【0053】
本実施形態では、切欠き110はくさび状であり、吸収性コア40aの切欠き110との境界は、股下域25に向けて凸となるような円弧である。なお、円弧の半径は50mm〜200mmである。このため、切欠き110の製品幅方向Wにおける幅は、後端縁に行くに連れて非線形に大きくなり、後胴周り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し易い。さらに、吸収性コア40aの切欠き110との境界が股下域25に向けて凸となるような円弧であるため、切欠き110の収縮によって後胴周り域30が丸みのあるカップ形状となり、着用者の丸みのある臀部に沿い易い形状となる。
【0054】
また、切欠き110が形成されていることで、吸収体40の後端縁には、左右それぞれに後周り域側に向かう凸形状が形成されている。この吸収体形状は、おしりを載せることを想起させるため、より使用者がおむつを着用者にとって正しい位置に合わせやすくなるという効果がある。
【0055】
また、吸収体40の股下域25には、切欠き115(切欠き125)が形成される。切欠き115及び切欠き125は、吸収体40を構成する吸収性コア40aが存在しない領域である。本実施形態において、切欠き115及び切欠き125は、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低い低剛性部に該当する。なお、切欠き115及び切欠き125を形成することに代えて、切欠き115及び切欠き125の領域を、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低くするようにしてもよい。
【0056】
なお、切欠き115及び切欠き125が形成されていても、前胴周り域20及び後胴周り域30に位置する吸収性コア40aと、股下域25に位置する吸収性コア40aとは、完全に切り離されることなく特に幅方向において連続していることが好ましい。
【0057】
また、切欠き115(切欠き125)の前胴周り域20(後胴周り域30)寄りの縁部は、円弧状である。切欠き115(切欠き125)の縁部は、円弧の中心が当該縁部よりも後胴周り域30(前胴周り域20)に位置するような形状である。このような形状により、着用者の体の丸みに沿った変形がより容易かつ顕著に起き易い。
【0058】
本実施の形態における曲げ剛性は、テーバー法(JISP8125)に準拠した剛性値に基づいており、以下の方法によって測定される。まず、使い捨ておむつを展開状態にて、曲げ剛性の測定対象部分のサンプル(例えば、吸収体)を採取する。サンプルは、測定対象部分について、製品幅方向の長さ70mm×製品長手方向38mmの寸法とする。サンプル中に伸縮弾性部材が含まれる場合には、弾性部材を取り除いておく。なお、剛性値の測定の試験器は、(株)安田精機製作所製のテーバースティフネステスターを使用する。また、サンプル数は、10であり、各サンプルについて測定し、その平均値を剛性値とする。
【0059】
測定の手順は、以下の(a)〜(e)の通りである。
(a)採取したサンプルの厚み(A)を測定する。
(b)次いで、試験機のチャック(下側)の中心に触れる程度にサンプルを挟み込む。
(c)支持ローラとサンプルとの左右隙間の合計を(A)×0.80(mm)に調節する。
(d)指示荷重目盛が最大目盛りの15〜85%の範囲に入るように、補助おもりを適切に選択する。
(e)サンプルを左右両方向に回転させ、15度支持刻線と振り子の中心刻とが一致した点で停止させ、試験機の目盛りを読み取る。目盛りの左側の数値を(B)とし、目盛りの右側の数値を(C)とする。
【0060】
剛性値は、以下の式によって求められる。
式: 剛性値(mN・m)=(((B)+(C))/2)×(補助おもり係数)×9.81×10-2
なお、試験片の幅が38mmを採取できない場合には、38mm幅の曲げモーメントへ換算を行う。
このように測定した剛性値が高いほど、曲げ剛性が高く、剛性値が低い程、曲げ剛性が低くなる。
【0061】
ファスニングテープ90は、後胴周り域30に対応するサイドフラップ70の領域に取り付けられている。ファスニングテープ90は、サイドフラップ70に連結された基材シート91と、複数の係合部材としての係合フック(図示せず)が設けられ、基材シート91に固定されたフックシート92と、を備える。フックシート92は、係合部材が設けられた領域であり、上述の胴周り保持部は、フックシート92から幅方向に延びる領域である。
【0062】
フックシート92は、基材シート91に固定、具体的には接合されている。フックシート92と基材シート91との接合は、ファスニングテープ90の剛性が必要以上に高くなることがないようされていることが好ましい。具体的には、フックシート92と基材シート91とは、点状、線状或いはスパイラル状のような間欠的に塗布されたホットメルト接着剤によって接合されていることが好ましい。なお、フックシート92と基材シート91とは、熱シールなどで接合されてもよい。
【0063】
基材シート91は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。基材シート91としては、スパンボンド(SB)またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)などの製法によって製造された不織布を用いることができる。基材シート91を構成する不織布の目付け(複数枚の場合は合計目付け)は、30〜120g/m2であり、好ましくは40〜90g/m2である。
【0064】
ターゲット部95は、前胴周り域の外装シート60の非肌当接側の面に設けられている。ターゲット部95は、ファスニングテープの係合フックが引っ掛かるように構成されており、フックとループの係止システムのループとして機能する。ターゲット部としては、例えば、エアースルー不織布を用いることができる。
【0065】
ターゲット部95は、例えばポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂繊維から作られた繊維不織布またはポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂フィルムを用いることができる。また、ターゲット部に取り付けられたループは、ポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂によって形成できる。
【0066】
更に、ターゲット部95として、嵩高の不織布であって、その一部をエンボスすることで不織布表面の毛羽立ちを防止した不織布を用いてもよい。
【0067】
また、使い捨ておむつの外装シート60を不織布によって形成し、ファスニングテープ90の取り付け位置を示す図柄をバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側の面に印刷する、若しくは図柄のシートをバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側に配置することによってもターゲット部とすることができる。
【0068】
脚周り伸縮部75は、吸収体40よりも製品幅方向外側に設けられた脚周り開口部35に沿って配置され、製品長手方向Lに伸縮可能に構成されている。脚周り開口部35及び脚周り伸縮部75は、幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する幅方向内端領域75Iを有している。脚周り開口部35及び脚周り伸縮部75は、特に後胴周り域において、股下域25から製品長手方向外側に向かうにつれて製品幅方向外側に向かって延びている。なお、脚周り伸縮部75の幅方向内端領域75Iは、製品長手方向に連続して配置されていてもよいし、製品長手方向に連続していなくてもよい。本実施の形態では、脚周り開口部35の幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する領域は、脚周り伸縮部75の幅方向内端領域75Iと一致しているが、必ずしも一致していなくてもよい。
【0069】
本実施の形態の脚周り伸縮部75は、伸縮性シートによって構成されている。例えば、かかる伸縮性シートとしては、ウレタンやスチレンのような熱可塑性エラストマ樹脂を溶融しフィルム状とした伸縮性フィルムや、伸縮繊維からなる伸縮性不織布や、伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され又は脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シート等を用いることができる。
【0070】
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、1本又は複数本配置することによって脚周り伸縮部75を構成してもよい。
【0071】
脚周り伸縮部75は、サイドフラップ70と外装シート60との間に配置されている。或いは、吸収体40と外装シート60との間に配置されるバックシート60aが備えられる領域では、脚周り伸縮部75は、バックシート60aとサイドフラップ70との間に配置されている。
【0072】
脚周り伸縮部75を構成する伸縮性シートは、少なくとも股下域25において、幅5mm(使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅)以上45mm以下、より好ましくは、12.5mm以上35mm以下であることが好ましい。5mm未満では、実質的に面で着用者の脚周りに沿うことで、部分的に締め付ける力が集中せずに、弾性要素による肌への負荷を下げるという効果が発現せず、45mmを超えると、使い捨ておむつ全体の製品幅方向の長さと比較して脚周りに沿う領域が広くなり過ぎてしまい、伸縮性シートが着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。
【0073】
脚周り伸縮部75の伸長率は、1.6〜2.3倍であることが好ましい。本実施形態では、脚周り伸縮部75の伸長率は、1.8〜2.0倍に設定される。なお、伸長率とは、脚周り伸縮部の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
伸長率=(伸長状態の脚周り伸縮部の長さ)÷(自然状態の脚周り伸縮部の長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
【0074】
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出す。次いで、脚周り伸縮部の配置領域を切り出す。このとき、脚周り伸縮部に接合される外装シートも含めて切り出す。切り出した後の脚周り伸縮部のサンプルの伸長率を測定して、脚周り伸縮部の伸長率を計測する。
【0075】
各サンプルについて、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿って脚周り伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態の脚周り伸縮部の長さ」とする。
【0076】
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が非伸縮性シート上に目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「伸長状態における脚周り伸縮部の長さ」とする。
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
【0077】
また、左右一対の脚周り伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側端の間隔は、股下域25から前胴周り域20に向かうに連れて広くなるとともに、股下域25から後胴周り域30に向かうに連れて広くなる。着用者の体におむつを装着する場合、股下部にて狭く、前後の胴周りに向かって広がる形状に脚周り伸縮部を配置することで、より脚周り伸縮部が身体のラインに沿うことが可能となり、着用者の脚周りに好適に脚周り伸縮部が伸長配置されることとなる。
【0078】
さらに、左右一対の脚周り伸縮部75の前端縁における当該間隔(図中のD1)は、左右一対の脚周り伸縮部75の後端縁における間隔(図中のD2)よりも狭い。なお、当該間隔は、使い捨ておむつ10を自然状態からしわがない状態に製品長手方向L及び製品幅方向Wに拡幅して保持した後、左右一対の脚周り伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側縁間の距離を測定したものである。
【0079】
着用者の身体の皮膚表面の伸びは、臀部において特に大きく、その幅方向外側寄りの位置にて顕著である。また、脚周り伸縮部75は、着用者の身体に密着している。そこで、D2>D1とすることで、着用者の動きが使い捨ておむつ10に加わった場合でも、臀部側での脚周り伸縮部75が密着したまま伸びることができ、伸びの変化量が大きくても脚周り伸縮部75が突っ張ることがない。従って、脚周り伸縮部75による使い捨ておむつ10のズレを抑制し得る。
【0080】
また、着用者の両脚の間隔は、股下域が最も狭く、股下域から腹側や背側に向かって広がる形状である。脚周り開口部及び脚周り伸縮部75は、股下域から長手方向外側に向かって幅方向外側に向かって延びる形状であるため、着用者の脚繰りに沿って脚周り開口部及び脚周り伸縮部75を配置でき、局所的な応力集中を抑制できるため、比較的低い伸長率にて着用者に密着でき、肌への負担を減らすことが可能となる。
【0081】
脚周り伸縮部75は、着用者の脚周りに沿って使い捨ておむつを湾曲させて収縮するように構成されている。脚周り伸縮部75の外端縁(長手方向の外端)は、幅方向に広がるように配置されており、胴周り保持部の近傍に配置される。よって、脚周り伸縮部75の外端縁(製品長手方向の外側端)は、胴周り保持部と共に幅方向に収縮するように作用する。
【0082】
股伸縮部130は、吸収性コア40aよりも製品幅方向外側かつ脚周り伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置されている。股伸縮部130は、左右それぞれに、第1股伸縮部131と、第1股伸縮部131よりも製品幅方向外側に位置する第2股伸縮部132と、が配置されている。第1股伸縮部131及び第2股伸縮部132は、使い捨ておむつの厚み方向において吸収性コアに重ならないように配置されている。股伸縮部130は、複数の糸状の弾性部材によって構成されている。股伸縮部130は、トップシート50とバックシート60aの間に配置されている。なお、股伸縮部130は、外装シート60とバックシート60aの間に配置されていてもよい。
【0083】
第2股伸縮部132の製品長手方向の長さは、第1股伸縮部131の製品長手方向の長さよりも長い。なお、変形例として、第2股伸縮部132の製品長手方向の長さと、第1股伸縮部131の製品長手方向の長さとが同じ長さであってもよい。また、股伸縮部130の製品長手方向の長さは、脚周り伸縮部75の製品長手方向の長さよりも短い。
【0084】
なお、本実施の形態において、股伸縮部130や脚周り伸縮部75等の伸縮部の長さが同じ構成とは、有効長さ(当該伸縮部と使い捨ておむつを構成する他の部材が接着剤で接着された部分の長さ)の差が10%以内の構成である。
【0085】
股伸縮部130は、製品長手方向において前胴周り域側に偏倚して配置されている。換言すると、股伸縮部130の製品長手方向中心は、使い捨ておむつの製品長手方向中心よりも前側に位置する。
【0086】
股伸縮部130の少なくとも一部は、使い捨ておむつの伸長状態において、製品幅方向において幅広部の外側縁と幅狭部の外側縁の間に位置する。股伸縮部130の少なくとも一部とは、第1股伸縮部131と第2股伸縮部132のうち一方、又は第1股伸縮部131(第2股伸縮部132)のうち一部を意味する。
【0087】
よって、本実施の形態では、第1股伸縮部131と第2股伸縮部132の両方が、製品幅方向において幅広部の外側縁と幅狭部の外側縁の間に位置しているが、本発明に係る使い捨ておむつは、当該構成に限られない。第1股伸縮部131と第2股伸縮部132の少なくともいずれか一方が、製品幅方向において幅広部の外側縁と幅狭部の外側縁の間に位置していればよい。又は、第1股伸縮部131の一部又は第2股伸縮部132の一部が部分的に幅広部の側縁と幅狭部の側縁の間に位置していればよい。
【0088】
第1股伸縮部131は、吸収性コアの幅狭部に沿って配置されている。第1股伸縮部は、幅広部の製品幅方向における中心を通りかつ製品長手方向に延びる線FL1よりも、製品幅方向内側に位置する。幅広部の製品幅方向における中心とは、幅広部の外側縁と幅広部の外側縁との中心である。
【0089】
股伸縮部130の伸長率は、1.2〜2.5倍であることが好ましい。本実施形態では、股伸縮部130の伸長率は、1.3〜1.9倍に設定される。なお、伸長率とは、股伸縮部130の伸長の程度を意味し、脚周り伸縮部の伸長率と同様に規定できる。股伸縮部130の伸長率が2.5倍よりも高いと、股伸縮部が収縮し過ぎ、股部において吸収性コアが体から離間してしまう。一方、股伸縮部130の伸長率が1.2倍よりも低いと、吸収性コアが体に近づくように持ち上げることができない。
【0090】
次いで、このように構成された使い捨ておむつの装着状態について、説明する。図4は、装着状態の使い捨ておむつの断面図である。図4に示す断面図は、図1に示すF1-F1線を基準とした断面における装着状態を示している。
【0091】
一般的に、使い捨ておむつ10の股下域25は、装着時に、下方向に垂れ下がり、着用者の身体と離れ易い。しかし、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、図4に示すように、股伸縮部130の収縮によって着用者の股下側に吸収性コア40aを引き上げることができる。よって、使い捨ておむつと着用者の身体とが離れることを抑制できる。股伸縮部130によって着用者の股下側に吸収性コア40aを引き上げ続けることができるため、吸収性コア40aに体液の重みが掛かった場合であっても、当該吸収性コア40aが着用者から離れることを抑制できる。よって、排泄後においても吸収性能を確保できる。
【0092】
また、胴周り保持部は、着用者の胴周りに使い捨ておむつを保持する部分であり、着用者の身体に密着する。当該胴周り保持部と股伸縮部130とが重なっていると、股伸縮部130の収縮と胴周り保持部によって、着用者の股下のみならず着用者の胴周りに対しても吸収性コア40aが密着する。よって、排泄後において、体液を吸収した吸収性コア40aが着用者の股下及び胴周りに密着することで、蒸れ等による不快感が生じるおそれがある。
【0093】
しかし、股伸縮部130は、使い捨ておむつの伸長状態において、胴周り保持部よりも製品長手方向内側に位置するため、胴周り保持部と股伸縮部130を別々に機能させることができる。すなわち、胴周り保持部によって着用者の胴周りに使い捨ておむつを密着させ、かつ股伸縮部130によって着用者の股下側に股下域の吸収性コアを引き上げることができる。よって、排泄後における吸収性能を確保しつつ、排泄後における快適性を維持できる。
【0094】
また、股伸縮部130から製品幅方向に延びる領域に切欠き115、125が配置されているため、股伸縮部130による引き上げ効果が更に発揮される。また、吸収性コアは、使い捨ておむつが着用者に装着された状態で股伸縮部130によって部分的に曲がる。吸収性コアが形成されているため、当該吸収性コアの曲がり方が滑らかになり、着用時の違和感を低減させることができる。
【0095】
使い捨ておむつの伸長状態において、股伸縮部130は、幅広部の製品幅方向における中心を通りかつ製品長手方向に延びる線よりも、製品幅方向内側に位置する。幅広部の製品幅方向における中心を通りかつ製品長手方向に延びる線よりも製品幅方向内側の領域は、吸収性コアの幅が比較的短い部分であって、着用者の股下に当てられる部分である。当該部分に股伸縮部130を配置することにより、着用者の股下に当たる部分の吸収性コアを引き上げることができる。
【0096】
使い捨ておむつの伸長状態において、股伸縮部の製品長手方向の長さは、脚周り伸縮部の製品長手方向の長さよりも短い。脚周り伸縮部75は、着用者の脚周りの周囲を覆うように配置され、着用者の脚周り全体に沿うように使い捨ておむつを配置する。これに対して、股伸縮部130は、吸収性コアのうち、着用者の股下に配置される部分のみを着用者の身体に沿うように配置する。例えば、股伸縮部130の製品長手方向の長さが脚周り伸縮部75の製品長手方向の長さと同様の場合には、吸収性コア全体が着用者の身体に密着し、上述した蒸れ等による不快感が生じるおそれがある。しかし、股伸縮部130の製品長手方向の長さが、脚周り伸縮部の製品長手方向の長さよりも短いため、吸収性コアの必要な部分のみを着用者の身体に沿って配置でき、蒸れ等の不快感を抑制できる。
【0097】
第1股伸縮部は、製品幅方向における中心を通りかつ製品長手方向に延びる線よりも、製品幅方向内側に位置し、第2股伸縮部は、幅広部の製品幅方向における中心を通りかつ製品長手方向に延びる線よりも、製品幅方向内側に位置する。使い捨ておむつの伸長状態において、第2股伸縮部132の製品長手方向の長さは、第1股伸縮部131の製品長手方向の長さよりも長い。吸収体の側縁部は、幅方向外側にいくに連れて製品長手方向外側に位置する。当該構成によれば、この吸収体の側縁部の形状の変化と、股伸縮部の長手方向の長さの変化とが一致し、吸収性コアを持ち上げる効果が顕著となる。
【0098】
使い捨ておむつの伸長状態において、股伸縮部130は、製品長手方向において前胴周り域側に偏倚して配置されている。一般的に、乳幼児の身体は下腹部よりも臀部がより出っ張った状態となっている。股伸縮部130が前胴周り域側に偏倚していることにより、股伸縮部130によって着用者側に引き上げられる部分と着用者の股下部とを合わせることができる。そのため、着用者の身体に合わせてバランスよく使い捨ておむつを配置できる。
【0099】
使い捨ておむつの伸長状態において、股伸縮部130は、使い捨ておむつの厚み方向において吸収性コアと重ならない。例えば、股伸縮部130と吸収性コアとが重なると、不織布に比べて剛性の高い前後の吸収性コア同士が互いに近づく。そのため、クロッチ域にて吸収性コアが閉じた状態となり、吸収コ性アが体に近づくように変形せず、吸収性コアが飛び出す状態となってしまう場合がある。しかし、股伸縮部130と吸収性コアとが重ならないように配置することで、吸収性コアが過度に屈曲し難くなる。よって、吸収性コアが体側に持ち上がり、吸収性コアと近づく状態を実現しやすい。
【0100】
次いで、変形例に係る使い捨ておむつを、図5に基づいて説明する。なお、変形例の説明において、実施の形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図5は、変形例に係る使い捨ておむつの展開平面図である。変形例に係る使い捨ておむつ10Aの股伸縮部130は、左右それぞれに3本ずつ配置されている。
【0101】
吸収性コアの製品幅方向外側に位置する第1股伸縮部131と、第1股伸縮部131よりも製品幅方向外側に位置する第2股伸縮部132と、第1股伸縮部131よりも製品幅方向内側に位置する第3股伸縮部133と、を有する。
【0102】
第1股伸縮部131及び第2股伸縮部132は、使い捨ておむつの厚み方向において吸収性コアと重なっていない。一方、第3股伸縮部133は、使い捨ておむつの厚み方向において吸収性コアと重なっている。
【0103】
第1股伸縮部131の製品長手方向の長さと、第2股伸縮部132の製品長手方向の長さと、第3股伸縮部133の製品長手方向の長さと、は同じ長さである。
【0104】
複数の股伸縮部のうち第3股伸縮部133は、使い捨ておむつの厚み方向において吸収性コアと重なるように構成されている。当該構成によれば、吸収性コアと重なる第3股伸縮部133によって、吸収性コアをより効果的に引き上げることができる。
【0105】
本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0106】
20 :前胴周り域
25 :股下域
30 :後胴周り域
35 :脚周り開口部
40 :吸収体
40a :吸収性コア
40b :コアラップ
41 :幅狭部
42 :幅広部
50 :トップシート
60 :外装シート
60a :バックシート
70 :サイドフラップ
71 :サイド弾性部材
75 :脚周り伸縮部
75I :幅方向内端領域
80 :レッグサイド伸縮部
81 :接合部分
81A :第1接合部分
81B :第2接合部分
84 :収縮部
85 :腰周り伸縮部
90 :ファスニングテープ
91 :基材シート
92 :フックシート
95 :ターゲット部
110 :切欠き
130 :股伸縮部
131 :第1股伸縮部
132 :第2股伸縮部
133 :第3股伸縮部
L :製品長手方向
W :製品幅方向
【要約】
【課題】排泄後における吸収性能を確保しつつ、排泄後における快適性を維持できる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】使い捨ておむつの脚周り伸縮部75よりも製品幅方向内側には、製品長手方向に伸縮する股伸縮部130が配置されている。吸収性コア40aは、吸収性コアの製品幅方向の長さが最も短い幅狭部41と、幅狭部よりも製品幅方向外側に位置する幅広部42と、を有する。股伸縮部及び幅狭部は、胴周り保持部よりも製品長手方向内側に位置する。股伸縮部の少なくとも一部は、製品幅方向において幅広部の外側縁と幅狭部の外側縁の間に位置する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5