(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域を前記ストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する判定部と、
最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域とを合成して1つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれ前記ストライプ領域幅のストライプ領域になるように、前記描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域を前記ストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する場合に得られるストライプ領域数を演算するストライプ数演算部と、
前記描画領域を前記ストライプ領域数で除した幅で前記描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域を前記ストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する判定部と、
最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域の幅と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域の幅とを合成して平均化した同じ幅の2つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれ前記ストライプ領域幅のストライプ領域になるように、前記描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域を前記ストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する工程と、
最終段のストライプ領域の幅が前記ストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域とを合成して1つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれ前記ストライプ領域幅のストライプ領域になるように、前記描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割する工程と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する工程と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算する工程と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する工程と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、描画領域を上述したストライプ領域に分割する際、最終段のストライプの幅が、その他のストライプ領域に比べて著しく小さくなってしまう。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域に一部でも含まれるセルの数が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べてかなり多くなってしまう。そのため、最終段のストライプのデータ処理領域にセルが所属しているかどうかの判定処理に時間がかかってしまうといった問題があった。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて遅延してしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、最終段のストライプのデータ処理領域内に割り当てられるセルの数が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて突出して多くなることを抑制することが可能な描画装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する判定部と、
最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域とを合成して1つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれストライプ領域幅のストライプ領域になるように、描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する場合に得られるストライプ領域数を演算するストライプ数演算部と、
描画領域をストライプ領域数で
除した幅で描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する判定部と、
最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域の幅と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域の幅とを合成して平均化した同じ幅の2つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれストライプ領域幅のストライプ領域になるように、描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割するストライプ分割部と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する処理領域分割部と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算するパターン密度演算部と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画方法は、
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する工程と、
最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域と最終段のストライプ領域から1つ前のストライプ領域とを合成して1つのストライプ領域になるように、最終段のストライプ領域から2つ前以前のストライプ領域はそれぞれストライプ領域幅のストライプ領域になるように、描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割
する工程と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する工程と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算する工程と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する工程と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様の荷電粒子ビーム描画方法は、
ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する場合に得られるストライプ領域数を演算する工程と、
描画領域をストライプ領域数で
除した幅で描画領域を短冊状の複数のストライプ領域に分割する工程と、
分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数の処理領域に分割する工程と、
ストライプ領域毎に、複数の処理領域について並列的に内部のパターン密度を演算する工程と、
演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する工程と、
得られた照射量の荷電粒子ビームで、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、最終段のストライプのデータ処理領域内に割り当てられるセルの数が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて突出して多くなることを抑制できる。よって、最終段のストライプのデータ処理領域にセルが所属しているかどうかの判定処理時間の長期化を抑制できる。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて遅延してしまうことを抑制できる。よって、描画時間を短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
【0018】
制御部160は、制御計算機108,110、メモリ112、制御回路120、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機108,110、メモリ112、制御回路120、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
【0019】
制御計算機110内には、判定部10、合成処理部11、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24が配置される。判定部10、合成処理部11、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。判定部10、合成処理部11、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0020】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の多段偏向器を用いているが、1段の偏向器或いは3段以上の多段偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。
【0021】
記憶装置140(記憶部)には、少なくとも1つの図形パターンから構成される複数のセルを有するチップの描画データが外部より入力され、格納されている。描画データには、各図形パターンの形状、配置座標、およびサイズ等を示す各図形パターンデータが定義される。
【0022】
図2は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図2において、実施の形態1における描画方法は、ショット数演算工程(S100)と、判定工程(S102)と、合成処理工程(S104)と、ストライプ分割工程(S110)と、データ処理領域(DPB)分割工程(S112)と、セル割当工程(S114)と、所属判定工程(S116)と、密度計算工程(S118)と、照射量演算工程(S120)と、ショットデータ生成工程(S122)と、描画工程(S124)という一連の工程を実施する。
【0023】
ショット数演算工程(S100)として、制御計算機108にて、かかる描画データに定義されたチップを描画する場合のショット数を演算により見積もる。制御計算機108は、ショット数演算部の一例として機能する。描画装置100で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズに描画データに定義された各図形パターンを分割する必要がある。具体的には、各セルを所定のメッシュサイズのメッシュ領域に分割し、メッシュ領域毎に、メッシュ領域内の図形について最大ショットサイズで分割していく。そして、最大ショットサイズで分割しきれない余りの寸法については、1つ手前の図形と合わせて平均化したサイズで分割すればよい。このようにして、メッシュ領域毎の図形の分割数を求めることでビームのショット数を演算により見積もる。見積もられたショット数のデータは、制御計算機110に出力される。かかるショット数を用いてDPB領域を作成する際の分割サイズが設定されることになる。
【0024】
判定工程(S102)として、判定部10は、ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する。
【0025】
図3は、実施の形態1におけるストライプ領域の一例を示す図である。
図3(a)に示すように、描画装置100では、描画領域40(チップ領域)を例えばy方向に所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域30
(30a,30b,30c,30d)に分割する。そして、描画処理は、ストライプ領域単位で行われることになる。かかるストライプ領域の幅(所定の幅)は、一般に、主偏向器208で偏向可能なサイズで設定される。通常、描画装置100では、外部からかかるストライプ分割幅
D1を入力し、このストライプ分割幅
D1で描画領域を描画開始側から複数のストライプ領域30に分割していく。
図3では、例えば下側から上側へと分割している。その際、
図3(a)に示すように、チップサイズによっては、最終段のストライプ領域32の幅
D2が、それまでの各ストライプ領域30a〜30dの幅
D1に比べて著しく狭くなってしまう場合がある。判定部10は、かかる最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する。
【0026】
合成処理工程(S104)として、合成処理部11は、最終段のストライプ領域32の幅
D2が設定されたストライプ領域幅
D1よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域32の幅
D2と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dの幅
D1とを合成する。そして、合成された幅
D3を出力する。
【0027】
ストライプ分割工程(S110)として、ストライプ分割部12は、
図3(b)に示すように、最終段のストライプ領域32から2つ前以前のストライプ領域30a〜30cはそれぞれ設定されたストライプ領域幅
D1のストライプ領域になるように、描画領域40を短冊状の複数のストライプ領域に分割する。そして、ストライプ分割部12は、
図3(b)に示すように、最終段のストライプ領域32の幅
D2がストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域32と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dとを合成して、ストライプ領域幅
D3の1つのストライプ領域34になるように分割する。言い換えれば、最終段のストライプ領域32を最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dが取り込んで1つのストライプ領域34とする。
【0028】
データ処理領域(DPB)分割工程(S112)として、DPB分割部14は、分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数のデータ処理領域(DPB)(処理領域の一例)に分割する。DPB分割部14は、処理領域分割部の一例である。
【0029】
図4は、実施の形態1における合成前の最終ストライプ領域と合成後の最終ストライプ領域におけるデータ処理分割の違いを説明するための概念図である。
図4(a)では、従来のように、最終ストライプ領域32がその他のストライプ領域30(ここではストライプ領域30dを図示している)に比べて著しく幅が狭い場合を示している。
図4(a)ででは、例えば、複数のセルA,C〜Gが、最終ストライプ領域32と1つ手前のストライプ領域30dに跨って配置され、セルBがストライプ領域30dとその手前の図示しないストライプ領域(ストライプ領域30cに相当)に跨って配置される場合を示している。また、
図4(a)では、ストライプ領域30dには、最終ストライプ領域32に比べて、セルA,C〜Gのそれぞれ多くの部分が含まれる場合を示している。ストライプ領域30dには、セルA,C〜Gのそれぞれ多くの部分が含まれるので、含まれる各セルの領域部分のショット数の割合が最終ストライプ領域32より多くなる。よって、ストライプ領域30d全体でのショット数は、最終ストライプ領域32全体でのショット数に比べてかなり多くなる。その結果、かかる2つのストライプ領域30d,32をそれぞれ内部のショット数がほぼ均一になるようにDPB領域に分割した場合、ストライプ領域30dでは、ストライプ分割方向に直交する方向(
図4では左右方向)に複数のDPB領域50a〜50eに分割されることになる。一方、最終ストライプ領域32では、そもそも、領域全体でのショット数が少ないため、例えば、最終ストライプ領域32全体が1つのDPB領域52になる。
【0030】
これに対して、実施の形態1では、
図4(b)に示すように、最終段のストライプ領域32と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dとを合成して、1つのストライプ領域34になっている。そのため、複数のセルA〜Gが、ストライプ領域34に配置される。よって、ストライプ領域34全体でのショット数は、合成前の最終ストライプ領域32より多くなる。その結果、かかるストライプ領域34をそれぞれ内部のショット数がほぼ均一になるようにDPB領域に分割した場合、ストライプ領域34では、ストライプ分割方向に直交する方向(
図4(b)では左右方向)に複数のDPB領域54a〜54eに分割されることになる。
【0031】
次に、セル割当工程(S114)として、セル割当部16は、分割された各DPB領域に少しでも含まれるセルをそれぞれ割り当てる。よって、従来のように、最終ストライプ領域32がその他のストライプ領域30(ここではストライプ領域30dを図示している)に比べて著しく幅が狭い場合、
図4(a)に示すように、1つのDPB領域52にセルA,C〜Gの6つのセルが割り当てられることになる。一方、DPB領域52とショット数が同等のDPB領域50aでは、セルA,Bの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50bでは、セルB,C,Dの3つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50cでは、セルD,Eの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50dでは、セルE,Fの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50eでは、セルF,Gの2つが割り当てられることになる。このように、最終段のストライプ領域32のDPB領域52には、1つ前のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べて多くのセルが割り当てられてしまうことになる。
【0032】
これに対して、実施の形態1では、
図4(b)に示すように、幅が著しく狭いストライブ領域が存在しないので、DPB領域54aでは、セルA,Bの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域54bでは、セルB,C,Dの3つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域54cでは、セルD,Eの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域54dでは、セルE,Fの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域54eでは、セルF,Gの2つが割り当てられることになる。このように、最終段のストライプ領域34のDPB領域54a〜54eでは、他と比べて相当数多くセルが割り当てられるようなDPB領域の発生を無くすことができる。
【0033】
所属判定工程(S116)として、所属判定部18は、DPB領域毎に割り当てられた各セル内のすべての図形パターンについて、当該DPB領域内に所属するかどうかの判定を行う。従来の手法では、
図4(a)に示したように、最終ストライプ領域32のDPB領域52に、他のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べて多くのセルが割り当てられてしまうので、かかる所属判定を行う図形パターン数がDPB領域50a〜50eに比べて膨大となる。よって、最終ストライプ領域32のDPB領域52での所属判定処理にかかる時間が、他のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べてかなり長くなってしまう。その結果、DPB領域52での所属判定処理が終了するまで、次のデータ処理が開始できずに待機状態となってしまうので、結果として、描画時間を長期化させる原因となってしまう。
【0034】
これに対して、実施の形態1では、
図4(b)に示したように、最終ストライプ領域34のDPB領域54a〜54eに割り当てられるセル数が従来よりも少なくできるので、各DPB領域54a〜54eにおいて所属判定を行う図形パターン数を低減することができる。その結果、各DPB領域54a〜54eでの所属判定処理が高速化でき、次のデータ処理を速やかに開始できる。結果として、従来よりも描画時間を短縮できる。
【0035】
密度計算工程(S118)として、密度計算部20は、ストライプ領域毎に、複数のDPB領域について並列的に内部のパターン密度を演算する。密度計算部20は、パターン密度演算部の一例である。具体的には、密度計算部20は、DPB領域毎に複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域内に配置される図形パターンの面積密度ρを演算する。メッシュサイズは、例えば、近接効果補正を行うためのサイズにすると好適である。例えば、近接効果の影響半径の1/10程度にすると好適である。例えば、1μm程度にすると好適である。ここで、密度計算は、近接効果用メッシュに限定されるものではない。例えば、かぶり効果の補正を行うためのかぶり用メッシュの面積密度ρを演算してもよい。かぶり効果は、その影響半径が、数mmに及ぶため、補正演算を行なうには、かぶり用メッシュのサイズを影響半径の1/10程度、例えば、1mmにすると好適である。
【0036】
照射量演算工程(S120)として、照射量演算部22は、演算されたパターン密度を用いてビームの照射量を演算する。照射量演算部22は、所定のサイズのメッシュ領域毎に必要な照射量を演算する。照射量は、基準照射量Dbaseに補正係数を乗じた値で演算できる。補正係数として、例えば、近接効果の補正を行うための近接効果補正照射係数Dp(ρ)を用いると好適である。近接効果補正照射係数Dp(ρ)は、近接効果用メッシュのパターン面積密度ρに依存する関数である。また、かぶり補正を行う際には、基準照射量Dbaseに、かぶり効果補正照射係数Df(ρ)を乗じた値で演算できる。かぶり効果補正照射係数Df(ρ)は、かぶり用メッシュのパターン密度ρに依存する関数である。その他、照射量は、ローディング効果補正用の補正係数Dl(ρ)等で補正しても好適である。また、これらの一部或いは全ての補正係数を基準照射量Dbaseに乗じて補正してもよい。これらの補正においてもそれぞれの計算用のメッシュ領域におけるパターン密度が利用される。そして、照射量演算部22は、演算された各照射量を領域毎に定義した照射量マップを作成する。生成された照射量マップは、記憶装置142に記憶される。
【0037】
ショットデータ生成工程(S122)として、ショットデータ生成部24は、記憶装置140から描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。上述したように、描画装置100で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズに描画データに定義された各図形パターンを分割する必要がある。そこで、ショットデータ生成部24は、実際に描画するために、各図形パターンを1回のビームのショットで照射できるサイズに分割してショット図形を生成する。そして、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。生成されたショットデータは、記憶装置142に記憶される。
【0038】
描画工程(S124)として、制御回路120は、記憶装置142からショットデータと照射量マップを入力し、描画部150を制御し、描画部150は、電子ビーム200を用いて、得られた照射量の電子ビーム200で、試料101にパターンを描画する。具体的には、以下のように動作する。
【0039】
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形させる)ことができる。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。
図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でストライプ領域をさらに仮想分割したサブフィールド(SF)の基準位置にステージ移動に追従しながら該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。
【0040】
以上のように、実施の形態1によれば、最終段のストライプ領域34のDPB領域54
(54a,54b,54c,54d,54e)内に割り当てられるセルの数が、他のストライプ領域30でのDPB領域に比べて突出して多くなることを抑制できる。よって、最終段のストライプ領域34のDPB領域54にセルが所属しているかどうかの判定処理時間の長期化を抑制できる。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて遅延してしまうことを抑制できる。よって、描画時間を短縮できる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1では、狭い幅の最終段のストライプ領域を1つ手前のストライプ領域が取り込んで1つのストライプ領域にしたが、これに限るものではない。実施の形態2では、合成後のストライプ領域を平均化する構成について説明する。
【0042】
図5は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概念図である。
図5において、合成処理部11の代わりに平均化処理部13が配置された点以外は、
図1と同様である。また、判定部10、平均化処理部13、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。判定部10、平均化処理部13、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0043】
図6は、実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図6において、合成処理工程(S104)の代わりに、平均化処理工程(S106)が追加される点以外は、
図2と同様である。また、以下、特に説明する点以外の内容は実施の形態1と同様である。
【0044】
判定工程(S102)として、判定部10は、ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する際に、最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する。
【0045】
図7は、実施の形態2におけるストライプ領域の一例を示す図である。
図7(a)に示すように、描画装置100では、描画領域40(チップ領域)を例えばy方向に所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域30に分割する。描画装置100では、上述したように外部からかかるストライプ分割幅
D1を入力し、このストライプ分割幅
D1で描画領域を描画開始側から複数のストライプ領域30に分割していく。その際、
図7(a)に示すように、チップサイズによっては、最終段のストライプ領域32の幅
D2が、それまでの各ストライプ領域30a〜30dの幅
D1に比べて著しく狭くなってしまう場合がある。判定部10は、かかる最終段のストライプ領域の幅がストライプ領域幅よりも狭くなるかどうかを判定する。
【0046】
平均化処理工程(S106)として、平均化処理部13は、最終段のストライプ領域32の幅
D2が設定されたストライプ領域幅
D1よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域32の幅
D2と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dの幅
D1とを合成して平均化した同じ幅
D4を演算する。そして、平均化された幅
D4を出力する。
【0047】
ストライプ分割工程(S110)として、ストライプ分割部12は、
図7(b)に示すように、最終段のストライプ領域32から2つ前以前のストライプ領域30a〜30cはそれぞれ設定されたストライプ領域幅
D1のストライプ領域になるように、描画領域40を短冊状の複数のストライプ領域に分割する。そして、ストライプ分割部12は、
図7(b)に示すように、最終段のストライプ領域32の幅
D2がストライプ領域幅よりも狭くなる場合には、最終段のストライプ領域32と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dとを合成して平均化した、同じストライプ領域幅
D4の2つのストライプ領域36a,36bになるように分割する。言い換えれば、最終段のストライプ領域32を最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dが取り込んで平均化した2つのストライプ領域36a,36bとする。
【0048】
DPB分割工程(S112)として、DPB分割部14は、分割されたストライプ領域毎に、ビームのショット数が同等になるように当該ストライプ領域を複数のDPB領域に分割する。
【0049】
図8は、実施の形態2における合成前の最終ストライプ領域と合成後の最終ストライプ領域におけるデータ処理分割の違いを説明するための概念図である。
図8(a)では、従来のように、最終ストライプ領域32がその他のストライプ領域30(ここではストライプ領域30dを図示している)に比べて著しく幅が狭い場合を示している。
図8(a)ででは、例えば、複数のセルA,C〜Gが、最終ストライプ領域32と1つ手前のストライプ領域30dに跨って配置され、セルBがストライプ領域30dとその手前の図示しないストライプ領域(ストライプ領域30cに相当)に跨って配置され、セルH,Jがストライプ領域30dに配置される場合を示している。また、
図8(a)では、ストライプ領域30dには、最終ストライプ領域32に比べて、セルA,C〜Gのそれぞれ多くの部分が含まれる場合を示している。ストライプ領域30dには、セルA,C〜Gのそれぞれ多くの部分が含まれるので、含まれる各セルの領域部分のショット数の割合が最終ストライプ領域32より多くなる。よって、ストライプ領域30d全体でのショット数は、最終ストライプ領域32全体でのショット数に比べてかなり多くなる。その結果、かかる2つのストライプ領域30d,32をそれぞれ内部のショット数がほぼ均一になるようにDPB領域に分割した場合、ストライプ領域30dでは、ストライプ分割方向に直交する方向(
図4では左右方向)に複数のDPB領域50a〜50eに分割されることになる。一方、最終ストライプ領域32では、そもそも、領域全体でのショット数が少ないため、例えば、最終ストライプ領域32全体が1つのDPB領域52になる。
【0050】
これに対して、実施の形態2では、
図8(b)に示すように、最終段のストライプ領域32と最終段のストライプ領域32から1つ前のストライプ領域30dとを足して平均化した2つのストライプ領域36a,36bになっている。そのため、同じ幅の2つのストライプ領域36a,36bのそれぞれに含まれる各セルの領域部分のショット数の割合に著しい偏りは生じない。その結果、かかる2つのストライプ領域36a,36bをそれぞれ内部のショット数がほぼ均一になるようにDPB領域に分割した場合、ストライプ領域36aでは、ストライプ分割方向に直交する方向(
図8(b)では左右方向)に例えば複数のDPB領域56a〜56cに分割されることになる。ストライプ領域36bでは、ストライプ分割方向に直交する方向(
図8(b)では左右方向)に例えば複数のDPB領域57a〜57eに分割されることになる。
【0051】
次に、セル割当工程(S114)として、セル割当部16は、分割された各DPB領域に少しでも含まれるセルをそれぞれ割り当てる。よって、従来のように、最終ストライプ領域32がその他のストライプ領域30(ここではストライプ領域30dを図示している)に比べて著しく幅が狭い場合、
図8(a)に示すように、1つのDPB領域52にセルA,C〜Gの6つのセルが割り当てられることになる。一方、DPB領域52とショット数が同等のDPB領域50aでは、セルA,Bの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50bでは、セルB,C,Dの3つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50cでは、セルD,Eの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50dでは、セルE,F
,Hの
3つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域50eでは、セルF,G
,Jの
3つが割り当てられることになる。このように、最終段のストライプ領域32のDPB領域52には、1つ前のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べて多くのセルが割り当てられてしまうことになる。
【0052】
これに対して、実施の形態2では、
図8(b)に示すように、幅が著しく狭いストライブ領域が存在しないので、ストライプ領域36aのDPB領域56aでは、セルB,Dの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域56bでは、セルD,Hの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域56cでは、セルF,G,H,Jの4つが割り当てられることになる。同様に、ストライプ領域36bのDPB領域57aでは、セルA,Cの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域57bでは、セルC,Dの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域57cでは、セルD,Eの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域57dでは、セルF,Gの2つが割り当てられることになる。同様に、DPB領域57eでは、セルGの1つが割り当てられることになる。このように、平均化された2つのストライプ領域36a,36bのDPB領域56a〜56c,57a〜57eでは、他と比べて相当数多くセルが割り当てられるようなDPB領域の発生を無くすことができる。
【0053】
所属判定工程(S116)として、所属判定部18は、DPB領域毎に割り当てられた各セル内のすべての図形パターンについて、当該DPB領域内に所属するかどうかの判定を行う。従来の手法では、
図8(a)に示したように、最終ストライプ領域32のDPB領域52に、他のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べて多くのセルが割り当てられてしまうので、かかる所属判定を行う図形パターン数がDPB領域50a〜50eに比べて膨大となる。よって、最終ストライプ領域32のDPB領域52での所属判定処理にかかる時間が、他のストライプ領域30dの各DPB領域50a〜50eに比べてかなり長くなってしまう。
【0054】
これに対して、実施の形態2では、
図8(b)に示したように、平均化された2つのストライプ領域36a,36bの各DPB領域56a〜56c,57a〜57eに割り当てられるセル数が従来よりも少なくできるので、各DPB領域56a〜56c,57a〜57eにおいて所属判定を行う図形パターン数を低減することができる。その結果、各DPB領域56a〜56c,57a〜57eでの所属判定処理が高速化でき、次のデータ処理を速やかに開始できる。結果として、従来よりも描画時間を短縮できる。
【0055】
以上のように、実施の形態2によれば、最終段とその1つ手前の2つのストライプ領域36a,36bの各DPB領域56a〜56c,57a〜57e内に割り当てられるセルの数が、他のストライプ領域30でのDPB領域に比べて突出して多くなることを抑制できる。よって、2つのストライプ領域36a,36bの各DPB領域56a〜56c,57a〜57eにセルが所属しているかどうかの判定処理時間の長期化を抑制できる。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて遅延してしまうことを抑制できる。よって、描画時間を短縮できる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、最終段のストライプ領域と1つ手前のストライプ領域とについてストライプ幅を調整したが、これに限るものではない。実施の形態3では、すべてのストライプ領域を平均化する構成について説明する。
【0057】
図9は、実施の形態3における描画装置の構成を示す概念図である。
図9において、判定部10及び合成処理部11の代わりに、ストライプ数演算部26及びストライプ幅算出部28が配置された点以外は、
図1と同様である。また、ストライプ数演算部26、ストライプ幅算出部28、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。ストライプ数演算部26、ストライプ幅算出部28、ストライプ分割部12、データ処理領域(DPB)分割部14、セル割当部16、所属判定部18、密度計算部20、照射量演算部22、及びショットデータ生成部24に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0058】
図10は、実施の形態3における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図10において、判定工程(S102)及び合成処理工程(S104)の代わりに、ストライプ数演算工程(S108)及びストライプ幅算出工程(S109)が追加される点以外は、
図2と同様である。また、以下、特に説明する点以外の内容は実施の形態1と同様である。
【0059】
ストライプ数演算工程(S108)として、ストライプ数演算部26は、ストライプ領域幅の情報を入力し、描画領域をストライプ領域幅で短冊状の複数のストライプ領域に分割する場合に得られるストライプ領域数を演算する。
【0060】
図11は、実施の形態3におけるストライプ領域の一例を示す図である。
図11(a)は、
図3(a)と同様である。
図11(a)に示すように、描画装置100では、描画領域40(チップ領域)を例えばy方向に所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域30に分割する。描画装置100では、上述したように外部からかかるストライプ分割幅
D1を入力し、このストライプ分割幅
D1で描画領域を描画開始側から複数のストライプ領域30に分割していく。その際、
図11(a)に示すように、チップサイズによっては、最終段のストライプ領域32の幅
D2が、それまでの各ストライプ領域30a〜30dの幅
D1に比べて著しく狭くなってしまう場合がある。ストライプ数演算部26は、かかる著しく狭い最終段のストライプ領域も含めてストライプ領域数を演算する。
図11(a)の例では、ストライプ領域数は、「5」となる。
【0061】
ストライプ幅算出工程(S109)として、ストライプ幅算出部28は、
図11(b)に示すように、描画領域を演算されたストライプ領域数で序した幅
5を演算する。言い換えれば、当初設定されたストライプ幅
D1ではなく、描画領域全体をストライプ領域数で平均化したストライプ幅
D5を求める。
【0062】
ストライプ分割工程(S110)として、ストライプ分割部12は、
図11(b)に示すように、描画領域をストライプ領域数で序した幅
D5で描画領域を短冊状の複数のストライプ領域38a〜38eに分割する。
【0063】
実施の形態3では、
図11(b)に示すように、描画領域全体を平均化した幅に調整した同じ幅のストライプ領域38a〜38eになっている。そのため、同じ幅のストライプ領域のそれぞれに含まれる各セルの領域部分のショット数の割合に著しい偏りは生じない。その結果、ストライプ領域38a〜38eをそれぞれ内部のショット数がほぼ均一になるようにDPB領域に分割した場合でも、他と比べて相当数多くセルが割り当てられるようなDPB領域の発生を無くすことができる。
【0064】
よって、実施の形態3では、平均化された各ストライプ領域38a〜38eの各DPB領域に割り当てられるセル数が従来の最終ストライプのDPB領域よりも少なくできるので、各DPB領域において所属判定を行う図形パターン数を低減することができる。その結果、各DPB領域での所属判定処理が高速化でき、次のデータ処理を速やかに開始できる。結果として、従来よりも描画時間を短縮できる。
【0065】
以上のように、実施の形態3によれば、全てのストライプ領域38a〜38eの各DPB領域内に割り当てられるセルの数が、他のストライプ領域でのDPB領域に比べて突出多くなることを抑制できる。よって、各ストライプ領域38a〜38eの各DPB領域にセルが所属しているかどうかの判定処理時間の長期化を抑制できる。その結果、最終段のストライプのデータ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間が、他のストライプ領域でのデータ処理領域に比べて遅延してしまうことを抑制できる。よって、描画時間を短縮できる。
【0066】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0067】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0068】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。