特許第5797532号(P5797532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797532有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法及び現像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797532
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法及び現像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20151001BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   H01L21/30 569C
   G03F7/30 502
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-252571(P2011-252571)
(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公開番号】特開2012-191168(P2012-191168A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2013年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-37760(P2011-37760)
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】本武 幸一
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 崇文
(72)【発明者】
【氏名】京田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】吉原 孝介
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−232550(JP,A)
【文献】 特開2007−318087(JP,A)
【文献】 特開平11−165114(JP,A)
【文献】 特開平05−119482(JP,A)
【文献】 特開平09−244258(JP,A)
【文献】 特開平09−251953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板に有機溶剤を含有する現像液を供給して現像を行う現像処理方法において、
上記基板を回転させながら、現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して液膜を形成する液膜形成工程と、
上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止すると共に、上記現像液の液膜を薄く保ち、かつ乾燥させない状態で上記基板を回転させながら上記基板上のレジスト膜の領域のうち、露光部分以外を溶解・除去する現像工程と、
上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して、上記現像工程において上記現像液に溶解したレジスト成分を洗い流す洗浄工程と、を備え、
上記液膜形成工程は、上記現像工程よりも短い時間にて行われ、
上記液膜形成工程と、上記現像工程とを交互に複数回繰り返し、
上記液膜形成工程においては、第1の回転数で上記基板を回転させ、
上記現像工程においては、上記第1の回転数よりも低く上記現像液の液膜の乾燥を促進しない第2の回転数で上記基板を回転させ、
上記洗浄工程においては、上記第2の回転数よりも高い第3の回転数で上記基板を回転させる、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法。
【請求項2】
請求項記載の現像処理方法において、
上記第1の回転数は、100rpm〜1500rpmであり、上記第2の回転数は、10rpm〜100rpmである、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像処理方法において、
上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記現像液供給ノズルを上記基板の周縁部から中心部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を連続的に供給する工程を備える、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の現像処理方法において、
上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給した後に、上記基板を回転させながら、上記現像液供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を供給する工程と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止する工程と、を交互に複数回繰り返す、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載の現像処理方法において、
上記現像液供給ノズルは、複数設けられ、上記液膜形成工程では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板の中心部及び中心部以外の部位に上記現像液を供給し、上記現像工程では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給が停止される、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法。
【請求項6】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板に有機溶剤を含有する現像液を供給して現像を行う現像処理装置において、
上記基板を水平に保持する基板保持部と、
上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、
上記基板保持部に保持された基板の表面に対して上記現像液を供給する現像液供給ノズルと、
上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を具備し、
上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して液膜を形成する液膜形成処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止すると共に、上記現像液の液膜を薄く保ち、かつ乾燥させない状態で上記基板を回転させながら上記基板上のレジスト膜の領域のうち、露光部分以外を溶解・除去する現像処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して、上記現像処理において上記現像液に溶解したレジスト成分を洗い流す洗浄処理を行い、上記液膜形成処理は、上記現像処理よりも短い時間にて行われ、上記液膜形成処理と、上記現像処理とを交互に複数回繰り返し、上記液膜形成処理においては、第1の回転数で上記基板を回転させ、上記現像処理においては、上記第1の回転数よりも低く上記現像液の液膜の乾燥を促進しない第2の回転数で上記基板を回転させ、上記洗浄処理においては、上記第2の回転数よりも高い第3の回転数で上記基板を回転させる、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理装置。
【請求項7】
請求項記載の現像処理装置において、
上記第1の回転数は、100rpm〜1500rpmであり、上記第2の回転数は、10rpm〜100rpmである、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の現像処理装置において、
上記現像液供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される現像液供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給する前に、上記現像液供給ノズルを上記基板の周縁部から中心部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を連続的に供給する、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の現像処理装置において、
上記現像液供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される現像液供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給した後に、上記現像液供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を供給する処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止する処理と、を交互に複数回繰り返す、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理装置。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれかに記載の現像処理装置において、
上記現像液供給ノズルは、複数設けられ、上記液膜形成処理では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板の中心部及び中心部以外の部位に上記現像液が供給され、上記現像処理では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給が停止される、ことを特徴とする有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レジスト膜を形成し、露光処理を行った半導体ウエハ等の基板に有機溶剤を含有する現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法及び現像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体ウエハ等の製造ラインにおいては、半導体ウエハやLCD基板等の基板の表面に、レジストのパターンを形成するために、フォトリソグラフィ技術が用いられている。このフォトリソグラフィ技術は、基板の表面にレジスト液を塗布するレジスト塗布処理と、形成されたレジスト膜にパターンを露光する露光処理と、露光処理後の基板に現像液を供給する現像処理などの一連の処理が順次行われ、基板の表面に所定のレジストパターンを形成することができる。
【0003】
ところで、現像処理においては、露光処理において露光されたレジスト膜の領域のうち、光照射強度の強い領域を選択的に溶解・除去し、パターン形成を行うポジ型システムと、光照射強度の弱い領域を選択的に溶解・除去し、パターン形成を行うネガ型システムと、が知られている。この場合、ネガ型システムでは、有機溶剤を含有する現像液を基板に供給して現像処理を行う。
【0004】
そして、ネガ型システムにおいて、有機溶剤を含有する現像液を基板に供給する現像処理を行う手法の一つとして、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出し続けて基板に現像液を供給する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−152353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の現像処理方法においては、一定速度で回転している基板上に現像液吐出ノズルから現像液を吐出し続けるため、基板の表面上に形成される現像液の液膜の厚さが厚くなる。有機溶剤を含有する現像液は液膜が厚くなると、レジスト膜の溶解・除去速度が遅くなるため、現像処理の処理時間が長くなる虞がある。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理において、処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる現像処理方法及び現像処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の現像処理方法は、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板に有機溶剤を含有する現像液を供給して現像を行う現像処理方法において、 上記基板を回転させながら、現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して液膜を形成する液膜形成工程と、 上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止すると共に、上記現像液の液膜を薄く保ち、かつ乾燥させない状態で上記基板を回転させながら上記基板上のレジスト膜の領域のうち、露光部分以外を溶解・除去する現像工程と、 上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して、上記現像工程において上記現像液に溶解したレジスト成分を洗い流す洗浄工程と、を備え、 上記液膜形成工程は、上記現像工程よりも短い時間にて行われ、 上記液膜形成工程と、上記現像工程とを交互に複数回繰り返し、 上記液膜形成工程においては、第1の回転数で上記基板を回転させ、 上記現像工程においては、上記第1の回転数よりも低く上記現像液の液膜の乾燥を促進しない第2の回転数で上記基板を回転させ、 上記洗浄工程においては、上記第2の回転数よりも高い第3の回転数で上記基板を回転させる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
この場合、上記第1の回転数は、100rpm〜1500rpmであり、上記第2の回転数は、10rpm〜100rpmである方が好ましい(請求項)。
【0012】
この場合、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記現像液供給ノズルを上記基板の周縁部から中心部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を連続的に供給する工程を備える方が好ましい(請求項)。
【0013】
また、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給した後に、上記基板を回転させながら、上記現像液供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を供給する工程と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止する工程と、を交互に複数回繰り返す方が好ましい(請求項)。
【0014】
この場合、上記現像液供給ノズルは、複数設けられ、上記液膜形成工程では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板の中心部及び中心部以外の部位に上記現像液を供給し、上記現像工程では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給が停止されてもよい(請求項)。
【0016】
また、この発明の現像処理装置は、上記現像処理方法を実施するものであり、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板に有機溶剤を含有する現像液を供給して現像を行う現像処理装置において、 上記基板を水平に保持する基板保持部と、 上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、 上記基板保持部に保持された基板の表面に対して上記現像液を供給する現像液供給ノズルと、 上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を具備し、 上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して液膜を形成する液膜形成処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止すると共に、上記現像液の液膜を薄く保ち、かつ乾燥させない状態で上記基板を回転させながら上記基板上のレジスト膜の領域のうち、露光部分以外を溶解・除去する現像処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給して、上記現像処理において上記現像液に溶解したレジスト成分を洗い流す洗浄処理を行い、上記液膜形成処理は、上記現像処理よりも短い時間にて行われ、上記液膜形成処理と、上記現像処理とを交互に複数回繰り返し、上記液膜形成処理においては、第1の回転数で上記基板を回転させ、上記現像処理においては、上記第1の回転数よりも低く上記現像液の液膜の乾燥を促進しない第2の回転数で上記基板を回転させ、上記洗浄処理においては、上記第2の回転数よりも高い第3の回転数で上記基板を回転させる、ことを特徴とする(請求項)。
【0018】
この場合、上記第1の回転数は、100rpm〜1500rpmであり、上記第2の回転数は、10rpm〜100rpmである方がよい(請求項)。
【0020】
この場合、上記現像液供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される現像液供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給する前に、上記現像液供給ノズルを上記基板の周縁部から中心部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を連続的に供給する方が好ましい(請求項)。
【0021】
また、上記現像液供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される現像液供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記現像液供給ノズルから上記基板の中心部に上記現像液を供給した後に、上記現像液供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記現像液供給ノズルから上記基板に上記現像液を供給する処理と、上記現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給を停止する処理と、を交互に複数回繰り返す方が好ましい(請求項)。
【0022】
この場合、上記現像液供給ノズルは、複数設けられ、上記液膜形成処理では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板の中心部及び中心部以外の部位に上記現像液が供給され、上記現像処理では、上記複数の現像液供給ノズルから上記基板への上記現像液の供給が停止されてもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0024】
この発明の有機溶剤を含有する現像液を用いた現像処理方法及び現像処理装置によれば、基板を回転させながら、現像液供給ノズルから基板の中心部に現像液を供給して液膜を形成する液膜形成工程と、基板を回転させながら、現像液供給ノズルから基板への現像液の供給を停止すると共に、現像液の液膜を乾燥させない状態で基板を回転させながら基板上のレジスト膜を現像する現像工程と、を備えることにより、基板の表面上に形成される現像液の液膜の厚さを薄く保ち、レジスト膜の溶解・除去速度を速くすることができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明に係る現像処理装置を適用した塗布・現像処理装置に露光処理装置を接続した処理システムの全体を示す概略平面図である。
図2】上記処理システムの概略斜視図である。
図3】この発明に係る現像処理装置を示す概略断面図である。
図4】上記現像処理装置の概略平面図である。
図5】第1実施形態における現像処理方法の手順を示すフローチャートである。
図6】この発明における現像液供給ノズルから基板の中心部に現像液を供給する液膜形成工程を示す概略斜視図(a)及び、現像液供給ノズルから基板への現像液の供給を停止する現像工程を示す概略斜視図(b)である。
図7】パターンの線幅と第1実施形態に係る工程との関係を示す図である。
図8】パターンの線幅と第1実施形態に係る工程の処理時間との関係を示す図である。
図9】第2実施形態における現像液供給ノズルを基板の周縁部から中心部に移動させつつ、現像液供給ノズルから基板に現像液を連続的に供給する工程を示す概略斜視図である。
図10】パターンの線幅と第2実施形態に係る工程との関係を示す図である。
図11】第3実施形態における現像液供給ノズルを基板の中心部から周縁部に移動させつつ、現像液供給ノズルから基板に現像液を供給する工程と、現像液供給ノズルから基板への現像液の供給を停止する工程と、を交互に複数回繰り返す工程を示す概略斜視図である。
図12】第4実施形態における複数の現像液供給ノズルから基板の中心部及び中心部以外の部位に現像液を供給する供給工程を示す概略斜視図(a)及び、複数の現像液供給ノズルから基板への現像液の供給を停止する停止工程を示す概略斜視図(b)である。
図13】第5実施形態における現像処理方法の手順を示すフローチャートである。
図14】第5実施形態における液膜形成工程を示す概略斜視図(a)、現像工程を示す概略斜視図(b)及び、現像工程において現像液に溶解したレジスト成分を洗い流す洗浄工程を示す概略斜視図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。ここでは、この発明に係る現像処理装置を塗布・現像処理装置に適用した場合について説明する。
【0027】
上記処理システムは、図1及び図2に示すように、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理部2と、ウエハWの表面に光を透過する液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光部4と、処理部2と露光部4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェース部3とを具備している。
【0028】
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0029】
インターフェース部3は、処理部2と露光部4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、それぞれに第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。
【0030】
また、キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理部2が接続されており、この処理部2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3が交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配置されている。また、キャリアステーション1と処理部2との間、処理部2とインターフェース部3との間には、各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニット22が配置されている。
【0031】
棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせはウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(図示せず)、ウエハWを冷却する冷却ユニット(図示せず)等が含まれる。また、液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、レジストや現像液などの薬液収納部の上に反射防止膜を塗布する反射防止膜塗布ユニット(BCT)23,塗布ユニット(COT)24、ウエハWに現像液を供給して現像処理する現像ユニット(DEV)25等を複数段例えば5段に積層して構成されている。この発明に係る現像処理装置50は現像ユニット(DEV)25に設けられている。
【0032】
上記のように構成される塗布・現像処理装置におけるウエハの流れについて一例について、図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。まず、例えば25枚のウエハWを収納したキャリア10が載置部11に載置されると、開閉部12と共にキャリア10の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、塗布処理の前処理として例えば反射防止膜形成処理、冷却処理が行われた後、塗布ユニットCOTにてレジスト液が塗布される。次いで、主搬送手段A2によりウエハWは棚ユニットU1〜U3の一の棚をなす加熱ユニットで加熱(ベーク処理)され、更に冷却された後棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェース部3へと搬入される。このインターフェース部3において、第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bの第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bによって露光部4に搬送され、ウエハWの表面に対向するように露光手段(図示せず)が配置されて露光が行われる。露光後、ウエハWは逆の経路で主搬送手段A2まで搬送され、現像ユニットDEVにて現像されることでパターンが形成される。しかる後ウエハWは載置部11上に載置された元のキャリア10へと戻される。
【0033】
次に、この発明に係る現像処理装置50について説明する。現像処理装置50は、図3及び図4に示すように、ウエハWの搬入出口51aを有するケーシング51内に、ウエハWの裏面側中心部を吸引吸着して水平に保持する基板保持部をなすスピンチャック40を具備している。なお、搬入出口51aにはシャッタ51bが開閉可能に配設されている。
【0034】
上記スピンチャック40は軸部41を介して例えばサーボモータ等の回転駆動機構42に連結されており、この回転駆動機構42によりウエハWを保持した状態で回転可能に構成されている。なお、回転駆動機構42は、この発明における制御部であるコントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいてスピンチャック40の回転数が制御されるようになっている。
【0035】
また、スピンチャック40に保持されたウエハWの側方を囲むようにしてカップ43が設けられている。このカップ43は、円筒状の外カップ43aと、上部側が内側に傾斜した筒状の内カップ43bとからなり、外カップ43aの下端部に接続された例えばシリンダ等の昇降機構44により外カップ43aが昇降し、更に内カップ43bは外カップ43aの下端側内周面に形成された段部に押し上げられて昇降可能なように構成されている。なお、昇降機構44はコントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいて外カップ43aが昇降するように構成されている。
【0036】
また、スピンチャック40の下方側には円形板45が設けられており、この円形板45の外側には断面が凹部状に形成された液受け部46が全周に亘って設けられている。液受け部46の底面にはドレイン排出口47が形成されており、ウエハWから零れ落ちるか、あるいは振り切られて液受け部46に貯留された現像液やリンス液はこのドレイン排出口47を介して装置の外部に排出される。また、円形板45の外側には断面山形のリング部材48が設けられている。なお、図示は省略するが、円形板45を貫通する例えば3本の基板支持ピンである昇降ピンが設けられており、この昇降ピンと図示しない基板搬送手段との協働作用によりウエハWはスピンチャック40に受け渡しされるように構成されている。
【0037】
一方、スピンチャック40に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面の中心部と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能な現像液供給ノズル52(以下に現像ノズル52という)が設けられている。この場合、現像ノズル52は、ノズル先端部に現像液を供給(吐出)する円形状の吐出口(図示せず)を有している。
【0038】
また、現像ノズル52は、ノズルアーム54Aの一端側に支持されており、このノズルアーム54Aの他端側は図示しない昇降機構を備えた移動基台55Aと連結されており、更に移動基台55Aは例えばボールねじやタイミングベルト等の現像液供給ノズル移動機構56A(以下に現像ノズル移動機構56Aという)にてX方向に伸びるガイド部材57Aに沿って横方向に移動可能なように構成されている。現像ノズル移動機構56Aを駆動することにより、現像ノズル52は、ウエハWの中心部から周縁部に向かう直線(半径)に沿って移動する。
【0039】
なお、カップ43の一方の外方側には、現像ノズル52の待機部59Aが設けられており、この待機部59Aで現像ノズル52のノズル先端部の洗浄などが行われる。
【0040】
また、スピンチャック40に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面の中心部と隙間を介して対向するようにして、リンス液を供給(吐出)するリンス液供給ノズル58(以下にリンスノズル58という)が昇降及び水平移動可能に設けられている。
【0041】
このリンスノズル58は、ノズルアーム54Bの一端側に互いに平行状態に保持されており、このノズルアーム54Bの他端側は図示しない昇降機構を備えた移動基台55Bと連結されており、更に移動基台55Bは例えばボールねじやタイミングベルト等のリンス液供給ノズル移動機構56B(以下にリンスノズル移動機構56Bという)にてX方向に伸びるガイド部材57Bに沿って横方向に移動可能、すなわちウエハWの中心部から基板の周縁部に向かって径方向に移動可能なように構成されている。なお、カップ43の一方の外方側には、リンスノズル58の待機部59Bが設けられている。
【0042】
また、現像ノズル52は、開閉弁V1を介設した現像液供給管70を介して現像液供給源71に接続されている。一方、リンスノズル58は、リンスノズル58と洗浄液供給源であるリンス液供給源77とを接続するリンス液供給管76に開閉弁V2が介設されている。
【0043】
なお、上記現像ノズル移動機構56A,リンスノズル移動機構56B、開閉弁V1,V2は、それぞれ上記コントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60に予め記憶された制御信号に基づいて現像ノズル52の水平移動、リンスノズル58の水平移動、開閉弁V1,V2の開閉駆動が行われるように構成されている。コントローラ60は、開閉弁V1の開閉駆動を制御することにより、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給の制御が可能となる。
【0044】
上記のように構成される現像ノズル52からウエハWに供給される現像液は、有機溶剤を含有する現像液を用いる。この現像液は、露光処理において露光されたレジスト膜の領域のうち、光照射強度の弱い領域を選択的に溶解・除去し、パターン形成を行うことができる。有機溶剤を含有する現像液としては、例えばケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤等を用いることができ、本実施形態においては、エステル系溶剤である酢酸ブチルを含有する現像液を用いる。
【0045】
一方、リンスノズル58からウエハWに供給されるリンス液は、有機溶媒を含むリンス液を用いる。有機溶媒を含むリンス液としては、例えば分岐及び環状構造の少なくもいずれかを含むアルキル鎖を有し、該アルキル鎖における2級又は3級炭素原子が水酸基と結合している、炭素数が少なくとも5であるアルコール、もしくは、炭素数が少なくとも5であるアルキル基及び炭素数が少なくとも5であるシクロアルキル基の少なくともいずれかを有するジアルキルエーテル、を含有するリンス液を用いることができ、本実施形態においては、該当するアルコールである4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)を含有するリンス液を用いる。
【0046】
次に、上記のように構成される現像処理装置50によるウエハWの現像処理の第1実施形態について説明する。図5は、第1実施形態における現像処理方法の手順を示すフローチャートであって、矢印の方向にステップが進行する。なお、第1実施形態においては、直径300mmのウエハWを現像処理する。
【0047】
まず、図示しない搬送手段によって、ウエハWをスピンチャック40上に搬送し、ウエハWをスピンチャック40にて保持し、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって例えば1000rpmで回転する(ステップS1)。そして、現像ノズル移動機構56Aを駆動して現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS2)。
【0048】
なお、ステップS1とステップS2の順序を逆にしてもよい。すなわち、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動した後、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって例えば1000rpmで回転してもよい。
【0049】
次いで、現像液ノズル52からウエハWの中心部に現像液を供給する(ステップS3)。ステップS3は、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液Dを供給して液膜を形成する液膜形成工程(ステップA:図6(a)参照)と、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWへの現像液Dの供給を停止してレジスト膜を現像する現像工程(ステップB:図6(b)参照)と、を備え、液膜形成工程(ステップA)と現像工程(ステップB)とを交互に複数回繰り返す。
【0050】
まず、1回目の液膜形成工程(ステップA)を行う。現像液Dの供給は、例えば1000rpmで回転するウエハWの中心部に現像ノズル52から現像液Dを供給して液膜を形成する。現像ノズル52から供給される現像液Dの流速は、例えば300ml/minであって、現像液Dを供給してから現像液Dの供給を停止するまでの間の現像液供給期間Tは0.5秒である。
【0051】
次いで、1回目の現像工程(ステップB)を行う。現像工程は、例えば1000rpmでウエハWを回転させながらウエハW上のレジスト膜の現像を行う。現像液Dの供給を停止してから次の現像液供給までの間の現像液停止期間Pは1.5秒である。この現像工程において、ウエハWを1000rpmで回転させながら現像液の供給を停止すると、乾燥が促進される虞があるので、乾燥を抑制する方法として、例えば、ウエハW上の一部に整流板を配設するか、あるいは、ウエハ全体をカバーで覆って、現像液の揮発を抑制する方がよい。なお、現像工程において、ウエハWの回転数を例えば100rpmまで減速することにより現像の乾燥を抑制することができる。また、乾燥を抑制する別の手段として、ウエハWの温度と現像液の温度のうち少なくとも一方の温度を18℃〜21℃にするか、あるいは、現像工程において、カップ43(具体的には、外カップ43a)の開口部を縮小して30mm以下にすることにより、現像の乾燥を抑制することができる。
【0052】
次いで、2回目の液膜形成工程(ステップA)を、1回目の液膜形成工程と同様にして行い、次いで、2回目の現像工程(ステップB)を、1回目の現像工程と同様にして行う。
【0053】
そして、液膜形成工程(ステップA)と現像工程(ステップB)とを交互に複数回例えばn=8回繰り返すことにより、ステップS3を達成することができる。
【0054】
次に、現像ノズル移動機構56Aを駆動して現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動する(ステップS4)。
【0055】
上記のようにして、現像ノズル52からウエハWに現像液を供給した後、リンスノズル移動機構56Bを駆動してリンスノズル58をウエハ表面の中心部上方位置に移動し、例えば1000rpmで回転するウエハWの表面にリンスノズル58より有機溶媒を含むリンス液を供給する(ステップS5)。リンスノズル58から供給されるリンス液の流速は、例えば120ml/minであって、リンス液を供給してからリンス液の供給を停止するまでの間のリンス液供給期間は5秒である。リンスノズル58より供給されたリンス液によって、現像液によるレジスト膜の溶解が停止すると共に、ウエハ表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流すことができる。
【0056】
なお、ステップS5のリンス処理において、リンス液に代えてステップS3において有機現像液を用いてウエハ表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流してもよい。この場合、現像ノズル52からウエハWの中心部に有機現像液を供給する他、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部、あるいは、ウエハWの周縁部から中心部に移動しながら有機現像液を供給してもよい。
【0057】
次いで、回転駆動機構42の駆動によりウエハWを高速回転例えば回転数を2000rpmにしてウエハ表面の液を振り切るスピン乾燥処理を20秒間行う(ステップS6)。
【0058】
上記第1実施形態によれば、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液を供給して液膜を形成する液膜形成工程と、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWへの現像液Dの供給を停止してレジスト膜を現像する現像工程と、を備え、液膜形成工程と現像工程とを交互に複数回繰り返すことにより、ウエハWの表面上に形成される現像液Dの液膜の厚さを薄く保ち、レジスト膜の溶解・除去速度を速くすることができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。
【0059】
図7は、直径300mmのウエハWに、現像液を20秒間、各処理条件:○(現像液供給期間T/現像液停止期間P:0.5s/1.5s),△(現像液供給期間T/現像液停止期間P:1.0s/1.0s),□(現像液供給期間T/現像液停止期間P:1.5s/0.5s),×(All Dispense)にて供給後、上述したリンス処理及び乾燥処理した後の、ウエハWの中心部から周縁部までの各部位のパターンの線幅を測定した実験結果である。
【0060】
図7に示すように、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する現像工程を設けず、連続的に現像液をウエハWに供給する処理条件:×(All Dispense)は、ウエハW中心部から周縁部までの各部位において、現像工程を設けた処理条件:○(T/P:0.5s/1.5s)、△(T/P:1.0s/1.0s)及び□(T/P:1.5s/0.5s)より、パターンの線幅が太く、レジスト膜の溶解・除去速度が遅いことが示されている。
【0061】
また、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する現像工程を設ける処理条件:○(T/P:0.5s/1.5s)と、処理条件:△(T/P:1.0s/1.0s)と、処理条件:□(T/P:1.5s/0.5s)の比較により、現像液供給期間Tが最も短い処理条件:○(現像液供給期間T/現像液停止期間P:0.5s/1.5s)が最もパターンの線幅が細く、レジスト膜の溶解・除去速度が速いことが示されている。
【0062】
図8は、直径300mmのウエハWに、現像液を所定の処理時間、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する現像工程を設けず、連続的に現像液をウエハWに供給する処理条件:×(All Dispense),処理条件:○(現像液供給期間T/現像液停止期間P:0.5s/1.5s)にて供給後、上述したリンス処理及び乾燥処理した後の、ウエハWの中心部における処理時間経過毎のパターンの線幅を測定した実験結果である。
【0063】
図8に示すように、目標の線幅を40nmとすると、処理条件:×(All Dispense)では30秒の処理時間が必要なのに対して、処理条件:○(T/P:0.5s/1.5s)では20秒の処理時間で達成しており、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する停止工程を設ける処理条件:○(T/P:0.5s/1.5s)の方が、目標の線幅にするための処理時間が短くなっていることが判る。
【0064】
上述した第1実施形態では、現像ノズル移動機構56Aを駆動して現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動させたが(ステップS2)、例えば図9に示すように、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液Dを連続的に供給してもよい(ステップS2a:図示せず)。なお、現像液を連続的に供給するとは、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する工程を設けずに、現像ノズル52からウエハWに現像液を供給し続けることをいう。
【0065】
現像処理装置50によるウエハWの現像処理の第2実施形態について説明すると、第1実施形態と同様に、まず、図示しない搬送手段によって、ウエハWをスピンチャック40上に搬送し、ウエハWをスピンチャック40にて保持し、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって例えば1000rpmで回転する(ステップS1)。
【0066】
次いで、図9に示すように、現像ノズル移動機構56Aを駆動して、40mm/sの速度にて現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52から現像液Dを流速例えば300ml/minにて連続的に供給する(ステップS2a)。その後の処理工程(ステップS3〜S6)は、第1実施形態と同様に行われる。
【0067】
上記第2実施形態によれば、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液Dを供給する前に、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液Dを連続的に供給することにより、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動する工程の時点から、レジスト膜の溶解・除去を開始することができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。また、ウエハWの中心部以外の部位に現像液Dを供給することにより、ウエハW全体に対しより均一な現像処理を行うことができる。
【0068】
図10は、直径300mmのウエハWを1000rpmで回転させ、現像ノズル52を各処理条件:×(移動時に現像液の供給を行わない),△(現像ノズル52の移動速度120mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給),○(現像ノズル52の移動速度40mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)にて、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動させ、ウエハWの中心部にて現像液を現像液供給期間T/現像液停止期間P:1.0s/1.0sの条件で16秒間供給後、上述したリンス処理及び乾燥処理した後の、ウエハWの中心部から周縁部までの各部位のパターンの線幅を測定した実験結果である。
【0069】
図10に示すように、現像ノズル52からウエハWに現像液の供給を行わない処理条件:×(移動時に現像液の供給を行わない)より、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液を連続的に供給する工程を備える処理条件:△(現像ノズル52の移動速度120mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)及び○(現像ノズル52の移動速度40mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)の方が、パターンの線幅が細くなっている。
【0070】
また、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液を連続的に供給する工程を設ける処理条件:△(現像ノズル52の移動速度120mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)と、処理条件:○(現像ノズル52移動速度40mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)の比較により、現像ノズル52の移動速度が遅い処理条件:○(現像ノズル52移動速度40mm/s、流量300ml/minにて現像液を供給)が最もパターンの線幅が細くなっている。
【0071】
以上の結果よりステップS2aにおいて、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液を連続的に供給することにより、パターンの線幅の調整が可能となることが示された。また、現像ノズル52の移動速度によっても線幅の調整ができることが判った。
【0072】
上述した第1実施形態では、現像液の供給を停止したまま現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動させたが(ステップS4)、例えば図11に示すように、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液Dを供給する工程と、現像ノズル52からウエハWへの現像液Dの供給を停止する工程と、を交互に複数回繰り返してもよい(ステップS4a:図示せず)。
【0073】
現像処理装置50によるウエハWの現像処理の第3実施形態について説明すると、第1実施形態と同様に、処理工程(ステップS1〜S3)を行う。
【0074】
次いで、図11に示すように、現像ノズル移動機構56Aを駆動して、40mm/sの速度にて現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、現像ノズル52から現像液を流速例えば300ml/minにてウエハWに現像液を供給する工程と、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する工程と、を交互に複数回例えば2回繰り返す(ステップS4a)。その後の処理工程(ステップS5,S6)は、第1実施形態と同様に行われる。
【0075】
上記第3実施形態によれば、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液を供給した後に、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、現像ノズル52からウエハWに現像液を供給する工程と、現像ノズル52からウエハWへの現像液の供給を停止する工程と、を交互に複数回繰り返すことにより、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動する工程においても、ウエハWに現像液を供給してレジスト膜の溶解・除去を行うことができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。また、ウエハWの中心部以外の部位に現像液を供給することにより、ウエハW全体に対しより均一な現像処理を行うことができる。
【0076】
上述した第1実施形態では、1本の現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液の供給を行ったが(ステップS3)、例えば図12に示すように、現像ノズルを複数例えば5本設け、1本の現像ノズル52AからウエハWの中心部に現像液Dを供給すると共に、4本の現像ノズル52Bから中心部以外の部位に現像液Dを供給してもよい(ステップS3a:図示せず)。
【0077】
現像処理装置50によるウエハWの現像処理の第4実施形態について説明すると、第1実施形態と同様に、処理工程(ステップS1,S2)を行う。なお、ステップS2においては、現像ノズル52AをウエハWの中心部の上方に配置し、現像ノズル52BをウエハWの中心部以外の部位の上方であって、現像ノズル52Aを介して対称となる左右の位置に2本ずつ配置してある(図12参照)。
【0078】
次いで、複数の現像ノズル52A,52BからウエハWの中心部及び中心部以外の部位に現像液Dを供給する(ステップS3a)。ステップS3aは、図12(a)に示すように、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52A,52BからウエハWの中心部及び中心部以外の部位に現像液Dを供給して液膜を形成する液膜形成工程(ステップAa:図示せず)と、図12(b)に示すように、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52A,52BからウエハWへの現像液の供給を停止してレジスト膜を現像する現像工程(ステップBa:図示せず)と、を備え、液膜形成工程(ステップAa)と現像工程(ステップBa)とを交互に複数回繰り返す。
【0079】
まず、1回目の液膜形成工程(ステップAa)を行う。現像液Dの供給は、例えば1000rpmで回転するウエハWの中心部及び中心部以外の部位に現像ノズル52A,52Bから現像液Dを供給する。現像ノズル52A,52Bから供給される現像液Dの流速は、例えば60ml/minであって、現像液Dを供給してから現像液Dの供給を停止するまでの間の現像液供給期間Tは0.5秒である。
【0080】
次いで、1回目の現像工程(ステップBa)を行う。現像液の供給の現像工程は、例えば1000rpmでウエハWを回転させながら行う。現像液の供給を停止してから次の現像液供給までの間の現像液停止期間Pは1.5秒である。
【0081】
次いで、2回目の液膜形成工程(ステップAa)を、1回目の液膜形成工程と同様にして行い、次いで、2回目の現像工程(ステップBa)を、1回目の現像工程と同様にして行われる。
【0082】
そして、液膜形成工程(ステップAa)と現像工程(ステップBa)とを交互に複数回例えばn=8回繰り返すことにより、ステップS3aを達成することができる。その後の処理工程(ステップS4〜S6)は、第1実施形態と同様に行う。
【0083】
上記第4実施形態によれば、複数の現像ノズル52A,52Bを設け、液膜形成工程では、現像ノズル52A,52BからウエハWの中心部及び中心部以外の部位に現像液を供給し、現像工程では、現像ノズル52A,52BからウエハWへの現像液の供給が停止されることにより、複数の現像ノズル52A,52Bから、ウエハWの中心部及び中心部以外の部位に現像液を供給することができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。また、ウエハWの中心部以外の部位に現像液を供給することにより、ウエハW全体に対しより均一な現像処理を行うことができる。
【0084】
次に、上記のように構成される現像処理装置50によるウエハWの現像処理の第5実施形態について、図13に示すフローチャートと図14に示す概略斜視図を参照して説明する。
【0085】
まず、図示しない搬送手段によって、ウエハWをスピンチャック40上に搬送し、ウエハWをスピンチャック40にて保持し、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって例えば1000rpmで回転する(ステップS1)。そして、現像ノズル移動機構56Aを駆動して現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS2)。
【0086】
なお、ステップS1とステップS2の順序を逆にしてもよい。すなわち、現像ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動した後、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって例えば1000rpmで回転してもよい。
【0087】
次いで、現像液ノズル52からウエハWの中心部に現像液を供給する(ステップS3)。ステップS3は、ウエハWを1000rpm(第1の回転数)で回転させながら、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液Dを供給して液膜を形成する液膜形成工程(ステップA:図14(a)参照)と、第1の回転数よりも低く、現像液の乾燥が促進しない程度の回転数(第2の回転数)例えば100rpmでウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWへの現像液Dの供給を停止してレジスト膜を現像する現像工程(ステップB:図14(b)参照)と、ウエハWの回転数を例えば1000rpmに上げると共に、現像液DをウエハWの中心部に供給してレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流す洗浄工程(ステップC:図14(c)参照)と、を備えている。
【0088】
ステップS3について詳細に説明する。まず、1回目の液膜形成工程(ステップA)を行う。現像液Dの供給は、例えば1000rpm(第1の回転数)で回転するウエハWの中心部に現像ノズル52から現像液Dを供給して液膜を形成する。現像ノズル52から供給される現像液Dの流速は、例えば60ml/minであって、現像液Dを供給してから現像液Dの供給を停止するまでの間の現像液供給期間Tは5秒である。この液膜形成工程により現像液の液膜はウエハ全面に広げられる。
【0089】
次いで、1回目の現像工程(ステップB)を行う。現像工程は、第1の回転数よりも低い例えば100rpmでウエハWを回転させながらウエハW上のレジスト膜の液膜を薄く保ったまま現像を行う。現像液Dの供給を停止してから次の現像液供給までの間の現像液停止期間Pは14秒である。なお、現像工程において、ウエハWの回転数を例えば100rpmまで減速することにより現像の乾燥を抑制することができる。また、乾燥を抑制する方法として、例えば、ウエハW上の一部に整流板を配設するか、あるいは、ウエハ全体をカバーで覆って、現像液の揮発を抑制することができる。また、乾燥を抑制する別の手段として、ウエハWの温度と現像液の温度のうち少なくとも一方の温度を18℃〜21℃にするか、あるいは、現像工程において、カップ43(具体的には、外カップ43a)の開口部を縮小して30mm以下にすることにより、現像の乾燥を抑制することができる。
【0090】
なお、上記説明では、液膜形成工程において、現像液の流速を60ml/min、現像液供給期間Tを5秒とし、現像工程において、現像液停止期間Pを14秒としているが、現像液の流速を60ml/minより遅くし、現像液供給期間Tを5秒より長くし、現像液停止期間Pをその分短くしてもよい。
【0091】
現像工程後、ウエハWの回転数を例えば1000rpmに上げると共に、現像液DをウエハWの中心部に供給してレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流す洗浄工程(ステップC)によりステップS3が達成される。なお、ステップCの洗浄工程において、現像ノズル52からウエハWの中心部に有機現像液を供給する他、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部、あるいは、ウエハWの周縁部から中心部に移動しながら有機現像液を供給してもよい。
【0092】
次に、現像ノズル移動機構56Aを駆動して現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部に移動する(ステップS4)。
【0093】
上記のようにして、現像ノズル52からウエハWに現像液を供給した後、図13に二点鎖線で示すように、リンスノズル移動機構56Bを駆動してリンスノズル58をウエハ表面の中心部上方位置に移動し、例えば1000rpmで回転するウエハWの表面にリンスノズル58より有機溶媒を含むリンス液を供給してリンス処理を行う(ステップS5)。リンスノズル58から供給されるリンス液の流速は、例えば120ml/minであって、リンス液を供給してからリンス液の供給を停止するまでの間のリンス液供給期間は5秒である。リンスノズル58より供給されたリンス液によって、現像液によるレジスト膜の溶解が停止すると共に、ウエハ表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流すことができる。
【0094】
なお、ステップS3の洗浄工程において有機現像液を用いてウエハ表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流すので、ステップS5のリンス処理を行わずに次工程の乾燥処理を行ってもよい。なお、リンス処理を行わずに乾燥処理を行う場合、乾燥工程の前にN2などのガスをウエハWの中心部に供給してレジスト膜の現像の進行を調整してもよい。このとき、現像ノズル52をウエハWの中心部から周縁部、あるいは、ウエハWの周縁部から中心部に移動しながら有機現像液を供給する場合には、ガスの供給位置をウエハWの中心部から周縁部へと移動させ、ウエハW上で現像液の液膜が均一になるようにガスを供給する。
【0095】
乾燥工程は、回転駆動機構42の駆動によりウエハWを高速回転例えば回転数を2000rpmにしてウエハ表面の液を振り切るスピン乾燥処理を20秒間行う(ステップS6)。
【0096】
なお、上記説明では、液膜形成工程においてウエハWの回転数を1000rpmとし、現像工程においてウエハWの回転数を100rpmとしたが、液膜形成工程におけるウエハWの回転数を100rpm〜1500rpmとし、現像工程におけるウエハWの回転数を10rpm〜100rpmとしても、同様の効果が得られる。例えば、液膜形成工程においてウエハWの回転数を1000rpmとし、現像工程においてウエハWの回転数を100rpmに減速して現像液の供給を停止すると共に、更に10rpmと超低速回転させて現像処理を行ってもよい。なお、現像工程においてウエハWの回転停止を含めない理由は、ウエハWの回転を停止すると、現像液に溶けたレジスト成分によって濃度分布ができてしまい、均一な線幅が得られなくなるからである。
【0097】
なお、第5実施形態において、液膜形成工程と現像工程とを交互に複数回繰り返してもよい。
【0098】
上記第5実施形態によれば、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWの中心部に現像液を供給して液膜を全面に薄く形成する液膜形成工程と、ウエハWを回転させながら、現像ノズル52からウエハWへの現像液Dの供給を停止してウエハW上のレジスト膜の液膜を薄く保ったまま現像する現像工程と、有機現像液を用いてウエハ表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流す洗浄工程と、を備えることにより、ウエハWの表面上に形成される現像液Dの液膜の厚さを薄く保ち、レジスト膜の溶解・除去速度を速くすることができるため、現像処理の処理時間の短縮化を可能にして、処理能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0099】
W 半導体ウエハ(基板)
40 スピンチャック(基板保持部)
42 回転駆動機構
50 現像処理装置
52,52A,52B 現像ノズル(現像液供給ノズル)
56A 現像ノズル移動機構(現像液供給ノズル移動機構)
56B リンスノズル移動機構(リンス液供給ノズル移動機構)
58 リンスノズル(リンス液供給ノズル)
60 コントローラ(制御部)
図1
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