【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物が、インクジェット印刷法における塗工性に優れることから、マスクレス或いは金型レスによる非接触で光学素子を得ることができると共に、安価に、多品種のレンズ形状を有した光学素子の製造が可能になり、また、得られた硬化物が光学素子に適した屈折率等の特性を有することを見出したことから、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、(A)成分:ジビニル芳香族化合物(a)20〜99モル%及びモノビニル芳香族化合物(b)1〜80モル%を共重合して得られる共重合体であって、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する下記式(a1)
【化1】
(式中、R
1は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を示す。)で表される未反応のビニル基を含有する構造単位の含有量が、全ての単量体由来の構造単位の総モル数に対して10〜90モル%である可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、
(B)成分:分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する光硬化型多官能(メタ)アクリレート、
(C)成分:光重合開始剤、及び
(D)成分:界面活性剤、
を少なくとも含有し、
(A)成分の配合量が5〜45質量%、(B)成分の配合量が55〜94質量%、(C)成分の配合量が0.97〜20質量%、及び(D)成分の配合量が0.03〜1質量%であり
(但し、(A)〜(D)成分の合計は100質量%を超えない)、且つ、紫外線で硬化する成分を90質量%以上含有することを特徴とするインクジェット印刷法に用いる紫外線硬化樹脂組成物である。
【0013】
また、本発明は、インクジェット印刷法により、支持基板上に上記紫外線硬化樹脂組成物を塗工し、さらに紫外線硬化させて得たことを特徴とする光学素子である。
【0014】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の紫外線硬化樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含み、(A)成分の配合量が5〜45質量%であり、(B)成分の配合量が55〜94質量%であり、(C)成分の配合量が0.97〜20質量%であり、(D)成分の配合量が0.03〜1質量%である。これら構成材料の中で(A)、(B)及び(C)成分は、感光性樹脂組成物として機能する。このうち、(B)成分はインクジェット塗工に適した粘度に調製する液状成分であり、(A)成分は光学素子として必要な1.5以上の屈折率を与えるものである。
【0015】
上記(A)成分は、ジビニル芳香族化合物(a)20〜99モル%とモノビニル芳香族化合物(b)1〜80モル%とを共重合して得られる共重合体であって、かつ、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する上記式(a1)で表される未反応のビニル基を含有する構造単位(以下、構造単位(a1)という)の含有量が、共重合体を構成する全ての単量体由来の構造単位の総モル数に対して10〜90モル%である可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(以下、共重合体(A)ともいう)である。
【0016】
すなわち、この共重合体(A)は、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する構造単位(a)と、モノビニル芳香族化合物(b)に由来する構造単位(b)とを有し、上記式(a1)で表される構造単位(a1)は、構造単位(a)の1種であって、構造単位(a)の一部を占める。なお、共重合体(A)が可溶性であるとは、(B)成分の光硬化型多官能(メタ)アクリレートに対して可溶であることを意味する。
【0017】
また、共重合体(A)は、ジビニル芳香族化合物を含む単量体を共重合して得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体であるので、ジビニル芳香族化合物に由来する分岐構造単位やその他の構造単位を有するが、架橋構造単位の存在量は可溶性を示す程度に制限される。すなわち、上記構造単位(a1)を一定量有する多官能ビニル芳香族共重合体となっている。構造単位(a1)中の未反応のビニル基は、ペンダントビニル基ともいい、これは重合性を示すため、更なる重合処理により重合し、溶剤不溶の光硬化樹脂を与えることができる。また、分岐構造単位を増やすことにより、末端の数を増やすことができる。なお、上記のような可溶性多官能ビニル芳香族共重合体については、上記特許文献
6、7、8等で開示されており、それらの記載を参照することで理解される。
【0018】
共重合体(A)は、20〜99モル%のジビニル芳香族化合物(a)と1〜80モル%のモノビニル芳香族化合物(b)を共重合して得られるものであるので、ほぼこの単量体の組成比に対応するジビニル芳香族化合物(a)由来の構造単位と、モノビニル芳香族化合物(b)由来の構造単位とを有する。共重合体(A)は、ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)を全ての単量体由来の構造単位に対して、25〜95モル%含んでいることが好ましい。より好ましくは30〜90モル%である。構造単位(a)が20モル%未満であると、硬化物の耐熱性が不足するので、好ましくない。また、ジビニル芳香族化合物(a)由来の構造単位(a)が99モル%を越えると、溶解性が低下するので好ましくない。
【0019】
ジビニル芳香族化合物(a)は、共重合体(A)を分岐又は架橋させる他、ペンダントビニル基を有する構造単位(a1)を生じさせ、この共重合体(A)を硬化した際に耐熱性を発現させるための架橋成分として重要な役割を果たす。
【0020】
ジビニル芳香族化合物(a)の例としては、ジビニルベンゼン(m−及びp−両方の異性体を含む)、ジビニルナフタレン(各異性体を含む)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、コスト及び入手の容易さの観点からはジビニルベンゼン(m−及びp−両方の異性体を含む)であるのが良く、より高度の耐熱性が求められる場合は、ジビニルナフタレン(各異性体を含む)、又はジビニルビフェニル(各異性体を含む)が好ましく使用される。ジビニル芳香族化合物(a)は、耐熱性と共に硬化物の屈折率をあげる手段として作用する。
【0021】
上記式(a1)で表される構造単位(a1)は、ジビニル芳香族化合物(a)から生じるものであるので、ジビニル芳香族化合物(a)から式(a1)におけるR
1を理解することができる。すなわち、ジビニル芳香族化合物としてジビニルベンゼンを使用した場合は、R
1はフェニレン基であり、ジビニルビフェニル等の他のジビニル芳香族化合物もこれらから2つのビニル基を除いて生じる残基と理解される。
【0022】
一方のモノビニル芳香族化合物(b)は、ジビニル芳香族化合物(a)と共に使用されて、共重合体(A)の可溶性を改善する。このモノビニル芳香族化合物(b)の例としては、スチレン、核アルキル置換モノビニル芳香族化合物、α−アルキル置換モノビニル芳香族化合物、β−アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、重合体のゲル化を防ぎ、必要に応じて添加される溶媒への溶解性を改善するために、特に、スチレン、エチルビニルベンゼン(m−及びp−両方の異性体を含む)、又はエチルビニルビフェニル(各異性体を含む)がコスト及び入手の容易さの観点から好ましい。
【0023】
また、共重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、モノビニル芳香族化合物(b)、及びジビニル芳香族化合物(a)由来の構造単位の他に、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物、ジビニル脂肪族化合物、モノビニル脂肪族化合物など、その他の単量体成分(c)由来の構造単位を導入することができる。
【0024】
その他の単量体成分(c)の具体例としては、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、1,2,4−トリビニルシクロへキサン、エチレングリコールジアクリレート、ブタジエン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。その他の単量体成分(c)に由来する構造単位(c)は、単量体成分(a)由来の構造単位(a)及び単量体成分(b)由来の構造単位(b)の総量に対して30モル%未満の範囲内で使用される。
【0025】
共重合体(A)の数平均分子量Mn(ここで、Mnはゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量である)は500〜20000が好ましく、より好ましくは500〜10000である。Mnが100000以上になると、ゲルが生成しやすくなり、また、粘度が高くなるため望ましくない。更には、Mnと重量平均分子量Mwより求められる分子量分布(Mw/Mn)の値については、好ましくは2〜10である。
【0026】
共重合体(A)は、上記単量体を、(I)ルイス酸触媒及び(II)エステル化合物から選ばれる一種以上の助触媒存在下でカチオン共重合させることにより得ることができる。
【0027】
次に、共重合体(A)の製造方法について説明する。共重合体(A)の製造方法では、ジビニル芳香族化合物(a)を、20〜99モル%、好ましくは25〜95モル%、より好ましくは30〜90モル%と、モノビニル芳香族化合物を80〜1モル%、好ましくは75〜5モル%、より好ましくは70〜10モル%を含有する単量体成分を共重合させる。この際、上記したようにその他の単量体成分(c)を30モル%未満使用することができる。
【0028】
共重合体(A)の製造で用いられる(I)ルイス酸触媒としては、金属イオン(酸)と配位子(塩基)からなる化合物であって、電子対を受け取ることのできるものであれば特に制限なく使用できる。その際、助触媒や分子量分布調整剤(連鎖移動剤)を添加してもよい。また、重合反応停止後、共重合体を回収する方法は特に限定されず、例えば、スチームストリッピング法、貧溶媒での析出などの通常用いられる方法を用いればよい。
【0029】
次に、(B)成分について説明する。(B)成分としては、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する光硬化型多官能(メタ)アクリレートが使用される。
【0030】
この(B)成分の具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX-220、HX-620等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、及びポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、上記ポリグリシジル化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル等がある。
【0031】
その他、(B)成分の具体例としては、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物の反応物である多官能ウレタンアクリレートが挙げられる。ここで、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等があり、ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等がある。
【0032】
これらの(B)成分は、単独又は2種以上を混合して使用しても良い。好ましいものは、20℃〜45℃において粘度30mPa・sec以下となるようなジアクリレートもしくはトリアクリレート化合物であるのが良い。さらに、インクジェット塗工後の寸法安定性を考慮するとその沸点は200℃を超えるものが好ましく用いられる。
【0033】
次に、(C)成分の光重合開始剤について説明する。光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0034】
これらは、単独又は2種以上の混合物として使用でき、更にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができる。
【0035】
光重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0036】
また、(D)成分の界面活性剤としては、市販のシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。例えば、フッ素系界面活性剤であればDIC製メガファックシリーズ、シリコン系界面活性剤としてはビックケミー製BYKシリーズ等が挙げられる。
【0037】
界面活性剤の添加量は、全樹脂組成物に対して、0.03質量%〜1質量%であり、塗工時のインクジェットヘッド温度におけるインクジェット紫外線硬化樹脂組成物の表面張力が20〜32mN/mとなるように添加する。表面張力が32mN/mを超えると、インクジェット吐出初期に吐出量が安定せず、吐出しない場合もある。表面張力が20mN/mを下回るとノズル面を汚染し、着弾精度が低下する。
【0038】
以上の必須成分における配合量は、(A)成分の配合量が5〜45質量%、(B)成分の配合量が55〜94質量%、(C)成分の配合量が0.97〜20質量%、及び(D)成分の配合量が0.03〜1質量%であり、且つ紫外線で硬化する成分を90質量%以上含有するようにする。ここで、紫外線で硬化する成分を90質量%以上含有するとは、具体的には、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量が90質量%以上であることを意味する。
【0039】
本発明の紫外線硬化樹脂組成物における各成分の配合割合について、(A)成分が5質量%を下回ると、光学素子として必要となる屈折率が1.5以上を得られない場合がある。また、45質量%を超えると、インクジェット吐出に適した粘度上限40mPa・sec(20℃〜45℃)を超えてしまい、安定した吐出量を得ることが難しい。また、(B)成分の配合量が95質量%を超えると、(A)成分の場合と同様に屈折率1.5以上を得られない場合がある。また、55質量%を下回るとインクジェット吐出に適した粘度上限40mPa・sec(20℃〜45℃)を超えてしまう。更に、(C)成分の配合量が0.97質量%を下回ると実質的な紫外線照射量で硬化物のタックが解消しない。20質量%を超えると硬化物が脆く、また、加熱時の黄変が問題となる。更にまた、(D)成分の配合量が0.03質量%を下回ると、インクジェット吐出開始時の吐出量が安定せず、ライン描画時のバルジ発生が多いなどの欠点が生じる。1質量%を超えると、インクジェットノズルを汚染して、液滴着弾精度が低下する。
【0040】
本発明の紫外線硬化樹脂組成物からなる硬化物を光学用途に用いる場合は、硬化時の寸法安定性が重要である。そのため、樹脂組成物中に大気圧下で沸点200℃以上の成分を90質量%以上含有することが好ましい。90質量%を下回ると、吐出後の蒸発により体積が安定しない。また、上述したように、硬化紫外線硬化成分を90質量%以上含有させる理由は、硬化成分が90質量%未満であると、硬化物の使用環境下での屈折率の変化等、特性が安定しない。
【0041】
このようにして得られた樹脂組成物は、インクジェット印刷法で安定吐出が可能なように、ヘッド温度20〜45℃において、粘度5〜40mP・sec、表面張力20〜32mN/m、より好ましくは20〜30mN/mとなるように調製される。このような樹脂組成物を塗工するに好適なインクジェットヘッドは、ピエゾ方式であり、XAAR製、SUPECTRA製、コニカミノルタ製、東芝テック製、リコープリンティング製などを用いることができる。静電式インクジェットヘッドも市販されているが、この場合はまた粘度許容範囲が広がる。
【0042】
インクジェットから吐出された液滴は支持基板上に、ドット状、ライン状に描画される。レンズなど光学素子として利用する場合、硬化後の表面が凸形状になるようにするのが望ましい。そのためには、上述したように、インクジェット用樹脂組成物の大気圧下で沸点200℃以上の成分を90質量%以上含有すること、また、硬化紫外線硬化成分を90質量%以上含有することが、支持基板上で凸形状を有して硬化するような好ましい結果を与える。
【0043】
また、支持基板上にライン状硬化物を形成するには、樹脂組成物と支持基板とが成す静的接触角が5°以上30°以下、好ましくは20°以下とするのが良い。これによってバルジ発生の少ない直線性良好なラインを形成でき、レンチキュラレンズ形成用として好適である。
【0044】
以上説明したように、本発明の紫外線硬化樹脂組成物は、インクジェット印刷法により塗工可能であって、紫外線硬化特性を有し、尚且つ、得られた硬化物は、透明性及び硬度に優れると共に、屈折率が1.5を超えることから、光学素子に適した材料である。そして、本発明の紫外線硬化樹脂組成物をインクジェット印刷法を用いて支持基板上に塗工し、紫外線照射によって硬化させることで、例えばレンチキュラレンズシートやマイクロレンズシートなどの光学素子を得ることができ、更には、この光学素子を用いて投射ディスプレイや立体表示ディスプレイ等を形成することができる。