(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理装置は、該処理装置に投入されている被処理体の残処理時間に係る情報と、連続して処理を継続する為に次に被処理体が必要になる時間の算出に係る情報とを通信するように構成してあり、
複数の前記処理装置と通信した前記情報に基づいて、各処理装置に投入されている被処理体の処理が終了する終了時機、及び各処理装置が次の被処理体を必要とする開始時機を算出する手段と、
算出された終了時機及び開始時機に基づいて、前記搬送装置を移動させるべき処理装置の優先順位を決定する手段と
を備える請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の生産効率化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のシステムにおいては、処理装置は、被処理体に対する処理が完了すると生産管理システムMESへ完了した旨を報告し、これを受けた生産管理システムがこの被処理体の回収及び配送を搬送制御装置に指示している。次いで処理装置が、処理済の被処理体の回収を受けると、処理装置はロードポートが空いて次に処理をするべき被処理体を受け入れることができる状態になった旨を生産管理システムMESへ報告し、これを受けた生産管理システムが該処理装置において次に処理すべき被処理体を指定して前記処理装置への配達を搬送制御装置に指示している。このように構成されたシステムにおいては、処理装置における被処理体への処理が終了してから、該被処理体が搬送装置によって回収されるまでの時間が長くかかっていた。また、次に処理すべき被処理体が処理装置に到着するのにも時間がかかっていた。このため、処理装置において次に処理すべき被処理体がなくなるなどの状況が発生し、工場における生産効率が低下するなどの恐れがあった。或いは被処理体に対する処理が終了した装置が工場の一部エリアに複数発生した場合に、それら処理装置の近傍の搬送路にて搬送装置が渋滞し搬送に時間がかかるなどの状況が発生し、工場における生産効率が低下するなどの恐れがあった。
【0008】
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、処理装置における被処理体の処理終了時間を予測して搬送装置を投機的に移動させることによって、生産効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る生産効率化装置は、被処理体を処理する複数の処理装置との間で情報を通信する第1通信手段と、前記複数の処理装置に被処理体を搬送する搬送装置を有する搬送システムとの間で、該搬送装置の制御に係る制御情報を通信する第2通信手段と、前記第1通信手段にて通信した情報に基づいて、該情報の通信先の処理装置が被処理体の搬送を要する搬送時機を予測する搬送時機予測手段と、該搬送時機予測手段が予測した搬送時機に前記情報の通信先の処理装置へ前記搬送装置が到着するように前記搬送システムへの制御情報を生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生産効率化装置は、前記制御情報は、被処理体を搭載していない搬送装置を前記情報の通信元の処理装置へ移動させる指示を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生産効率化装置は、前記制御情報は、被処理体を搭載している搬送装置を前記情報の通信元の処理装置へ移動させる指示を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生産効率化装置は、前記搬送システムは複数の搬送装置を有しており、前記制御情報は、被処理体に対する処理が所定の期間内に終了する処理装置が少ない領域に比べて、処理が前記期間内に終了する処理装置が多く存在する領域に前記搬送装置を偏在させるように前記搬送装置を移動させる指示を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る生産効率化装置は、前記生成手段は、前記処理装置で被処理体の処理が終了する前に、前記搬送装置が該処理装置に到着した場合、該搬送装置を待機させる指示、前記搬送装置を前記処理装置の周辺で巡回させる指示、又は所定箇所に前記搬送装置を移動させる指示を含む制御情報を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る生産効率化装置は、前記制御情報は、被処理体を搭載していない搬送装置と、前記処理装置で処理されるべき被処理体を搭載した搬送装置とがこの順で前記処理装置に到着するように各搬送装置を移動させる指示を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る生産効率化装置は、前記処理装置及び前記搬送装置の動作を制御する生産実行制御装置から送信された生産実行制御情報を直接的又は間接的に通信する手段を備え、前記生産実行制御装置から送信された生産実行制御情報の内容と、生成手段が生成した制御情報の内容とが矛盾しないようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る生産効率化装置は、前記搬送時機に搬送装置が前記情報の通信元の処理装置へ到着するために要する時間である移動所要時間を予測する手段を更に備え、前記制御情報は、前記搬送装置の移動を開始させる時機である移動開始時機を有し、前記移動開始時機は前記搬送時機より前記移動所要時間前の時機であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生産効率化装置は、前記搬送時機は、前記処理装置における処理が終了し、前記搬送装置による被処理体の取り出しが可能になる時機、該処理装置において処理すべき未処理の被処理体が無くなる時機、又は各時機の間の時機を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る生産効率化装置は、前記処理装置は、該処理装置に投入されている被処理体の残処理時間に係る情報と、連続して処理を継続する為に次に被処理体が必要になる時間の算出に係る情報とを通信するように構成してあり、複数の前記処理装置と通信した前記情報に基づいて、各処理装置に投入されている被処理体の処理が終了する終了時機、及び各処理装置が次の被処理体を必要とする開始時機を算出する手段と、算出された終了時機及び開始時機に基づいて、前記搬送装置を移動させるべき処理装置の優先順位を決定する手段とを備える。
【0019】
本発明に係る生産効率化装置は、前記処理装置で被処理体に対する処理に実際に要した実績時間又は処理を実際に終了した実終了時刻を通信する手段と、終了予測時機と、実績時間又は実終了時刻と、終了予測時機の予測に用いた情報とを対応付けて蓄積する手段とを備え、前記生成手段は、蓄積された情報を用いて制御情報を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る生産効率化装置は、前記第1通信手段が通信する情報は、被処理体に対する処理が特定の処理工程にあることを示す情報を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る生産効率化装置は、前記第1通信手段が通信する情報は、前記処理装置で被処理体に対する処理に要する時間又は処理が終了する予定時機を示した情報を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る生産効率化装置は、前記第1通信手段が通信する情報は、前記処理装置の自身の状態が特定の状態にあることを示す情報を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る生産効率化装置は、前記第1通信手段が通信する情報は、前記処理装置における過去の処理に要した実績時間又は処理が終了した実績時刻に係る情報を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る生産効率化装置は、前記第1通信手段は、前記処理装置で被処理体に対する処理が特定の処理工程にある場合に送信された情報を受信するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る生産効率化装置は、前記処理装置が被処理体の搬送を要する搬送時機を予測するために必要な情報を前記処理装置へ要求する手段を備え、前記第1通信手段は、前記要求に応じて前記処理装置から送信された情報を受信するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る生産効率化装置は、前記処理装置が被処理体の搬送を要する搬送時機を予測するための情報を送信する時機の設定を前記処理装置に要求する手段を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る生産効率化方法は、被処理体を処理する複数の処理装置との間で情報を通信し、前記複数の処理装置に被処理体を搬送する搬送装置を有する搬送システムとの間で、該搬送装置の制御に係る制御情報を通信し、通信した情報に基づいて、該情報の通信先の処理装置が処理を終了した被処理体の搬出を要する搬出時間又は被処理体の搬入を要する搬入時間を予測し、予測した搬出時間又は搬入時間に応じた時機に前記情報の通信先の処理装置へ前記搬送装置が到着するように前記搬送システムへの制御情報を生成することを特徴とする。
【0028】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、被処理体を処理する複数の処理装置との間で情報を通信する第1通信手段と、前記複数の処理装置に被処理体を搬送する搬送装置を有する搬送システムとの間で、該搬送装置の制御に係る制御情報を通信する第2通信手段と、前記第1通信手段にて通信した情報に基づいて、該情報の通信先の処理装置が被処理体の搬出を要する搬出時間又は搬入を要する搬入時間を予測する手段と、該手段が予測した搬出時間又は搬入時間に応じた時機に前記情報の通信先の処理装置へ前記搬送装置が到着するように前記搬送システムへの制御情報を生成する生成手段として機能させることを特徴とする。
【0029】
本願発明にあっては、処理装置から送信された情報を受信し、受信した情報を用いて該処理装置が被処理体の搬送を要する搬送時機を予測する。そして、搬送装置を前記処理装置へ移動させる制御情報を生成する。生成された制御情報は搬送システムへ送信される。搬送装置の移動は、予測された搬送時機に応じて開始する。従って、搬送装置は、被処理体の処理の終了を待たずに、被処理体の回収、次に処理されるべき被処理体の搬送等の準備的動作を開始することが可能である。
【0030】
本発明にあっては、被処理体を搭載していない搬送装置を処理装置へ移動させる。搬送装置は、該処理装置から処理済みの被処理体を回収する。
【0031】
本発明にあっては、被処理体を搭載している搬送装置を処理装置へ移動させる。つまり、該処理装置で次に処理されるべき被処理体を搭載している搬送装置を処理装置へ移動させる。処理装置は、搬送装置によって搬送された被処理体を処理する。
【0032】
本発明にあっては、所定の期間内に処理が終了する処理装置が多い領域に搬送装置が偏在する。従って、効率的に被処理体を処理装置に搬送することが可能である。
【0033】
本発明にあっては、処理装置で被処理体に対する処理が終了する前に、搬送装置が該処理装置に到着した場合、該搬送装置は待機する。また、搬送装置を処理装置の周辺で巡回させても良い。更に、搬送装置を所定箇所、例えば車庫に移動させても良い。従って、搬送装置の渋滞を回避しつつ、処理装置から処理済みの被処理体を効率的に回収し、次に必要な被処理体を処理装置へ搬送することが可能である。
【0034】
本発明にあっては、被処理体を搭載していない搬送装置を処理装置へ移動させ、該処理装置から処理済みの被処理体を回収する。そして、次に処理されるべき被処理体を搭載した搬送装置を処理装置へ移動させ、被処理体を処理装置に処理させる。
【0035】
本発明にあっては、生産実行制御装置から送信された生産実行制御情報を直接的又は間接的に受信する。生産実行制御装置は、処理装置及び搬送システムの動作を確定的に制御する装置である。一方、生産効率化装置は、被処理体の搬送及び処理を効率化すべく、搬送装置及び処理装置に対する制御内容が確定する前段階で、投機的に搬送装置の動作を制御する装置である。生産効率化装置は、自身が生成した制御情報と、生産実行制御装置から送信された生産実行制御情報とを矛盾しないように整合させる。従って、生産効率化装置が生成した制御情報によって、搬送システムが誤動作するなど動作へ支障をきたすことは無い。
【0036】
本発明にあっては、予測した搬送時機に、搬送装置が処理装置へ到着するために要する移動所要時間を予測する。そして、前記搬送時機より前記移動所要時間前の時機を移動開始時機とする。制御情報は、該移動開始時機に係る情報を有する。
【0037】
本発明にあっては、搬送時機には、前記処理装置における処理が終了し、前記搬送装置による被処理体の取り出しが可能になる時機、該処理装置において処理すべき未処理の被処理体が無くなる時機、又は各時機の間の時機を含む。
【0038】
本発明にあっては、処理装置は、該処理装置に投入されている被処理体の残処理時間に係る情報と、連続して処理を継続する為に次に被処理体が必要になる時間の算出に係る情報とを通信する。複数の前記処理装置と通信した前記情報に基づいて、各処理装置に投入されている被処理体の処理が終了する終了時間、及び各処理装置が次の被処理体を必要とする開始時間を算出し、算出された終了時間及び開始時間に基づいて、前記搬送装置を移動させるべき処理装置の優先順位を決定する。
【0039】
本発明にあっては、処理予測時間と、処理装置で被処理体に対する処理に実際に要した実績時間、又は実際に処理が終了した実終了時刻と、処理予測時間の予測に利用した情報とを対応付けて蓄積しておき、蓄積した情報を利用して搬送時機を予測する。従って、搬送時機の精度が向上する。
【0040】
本発明にあっては、処理装置は、被処理体に対する処理が特定の処理工程にあることを示す情報を送信する。生産効率化装置は、処理装置から送信された情報を受信し、該情報を用いて搬送時機を予測する。
【0041】
本発明にあっては、処理装置は、処理装置で被処理体に対する処理が終了する予定時間を示した情報を送信する。生産効率化装置は、処理装置から送信された情報を受信し、該情報を用いて搬送時機を予測する。
【0042】
本発明にあっては、処理装置が被処理体の処理以外の特定の状態にあることを示す情報を送信する。生産効率化装置は、処理装置から送信された情報を受信し、該情報を用いて搬送時機を予測する。
【0043】
本発明にあっては、処理装置は、過去の処理終了時間の実績に係る情報を送信し、生産効率化装置は該情報を用いて処理終了時間を予測する。
【0044】
本発明にあっては、処理装置は、処理装置で被処理体に対する処理が特定の処理工程に入った場合、搬送時機の予測に利用される情報を送信する。
【0045】
本発明にあっては、生産効率化装置は、搬送時機の予測に必要な情報を処理装置に要求し、処理装置は要求に応じて該情報を生産効率化装置へ送信する。
【0046】
本発明にあっては、生産効率化装置は、搬送時機の予測に必要な情報を送信する時機を処理装置に設定する。処理装置は、設定された時機に前記情報を生産効率化装置へ送信する。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、処理装置における被処理体の処理終了時間を予測して搬送装置を投機的に移動させることによって、生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態に係る生産効率化装置を有する生産処理システムの一構成例を示したブロック図である。本発明の実施の形態に係る生産処理システムは、複数の処理装置2と、複数の搬送装置32及び該搬送装置32の動作を制御する搬送制御装置31を有する搬送システム3と、処理装置2及び搬送システム3へ制御指示を与え、各装置の動作を制御する生産実行制御装置4と、前記複数の処理装置2及び搬送システム3の間で通信する生産効率化装置1とを有する。
【0050】
生産実行制御装置4は、いわゆるMESを構成しており、製造されるべき製品の種類、仕様等に応じて生産計画を作成するスケジューラモジュール、作成した生産計画に従って、被処理体が処理されるべき処理装置2を特定し、被処理体に対する処理内容及び搬送制御内容をそれぞれ処理装置2及び搬送システム3へ指示する処理を行うディスパッチャモジュール等を有するコンピュータである。以下、生産実行制御装置4から処理装置2及び搬送システム3へそれぞれ送信される、該処理装置2及び搬送システム3の動作を制御する情報を生産実行制御情報と言う。
【0051】
処理装置2は、例えば、有機ELデバイス製造用のガラス基板、半導体デバイス等製造用のシリコンウエハ等の被処理体を処理するプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置、スパッタリング装置等の基板処理装置である。また、処理装置2は、被処理体に対する処理が終了する前に、処理の終了時刻を予測するための情報を生産効率化装置1へ送信する機能を有する。なお、本実施の形態では、搬送制御に係る各種時間を、時刻を用いて処理する例を説明するが、任意の時点を基準とした時間を用いて処理するように構成しても良い。更に、処理装置2は、被処理体に対する処理が終了した旨を示す処理終了情報を生産実行制御装置4へ送信する機能を有する。
【0052】
図2は、処理装置2の一構成例を示したブロック図である。処理装置2は、例えば、マルチチャンバー式の基板処理システムである。処理装置2は、被処理体Wを収容するFOUP(FOUP:Front Open Unified Pod)を受け渡しするためにFOUPが載置される第1及び第2のロードポート21a、21b(LP:Load Port)が設けられたロードモジュール22を備える。ロードモジュール22には、ロードロックモジュール23a、23b(LLM:Load Lock Module)を介してトランスファーモジュール24(TM:Transfer Module)が接続されている。トランスファーモジュール24が有する真空ロボットは、ロードロックモジュール23a、23bを通じて搬入された被処理体Wをプロセスモジュール25a、25b、25c、25d(PM:Process Module)へ搬送する。プロセスモジュール25a、25b、25c、25dは、レシピに従って、被処理体Wに所定の処理を施す。処理された被処理体Wは、逆の経路を辿って、第1又は第2のロードポート21a,21bに載置されたFOUPに回収され、FOUP単位でロードポート21a,21bから搬出される。
【0053】
搬送装置32は、例えば、天井又は床上に設置された軌道を走行する搬送シャトル、所定のルートを走行する無人搬送車等であり、FOUPを搬送するものである。搬送装置32は搬送制御装置31から与えられた指示に従って、複数の処理装置2とFOUPを保管しているストッカとの間を移動し、FOUPに収容された被処理体を搬送する。
【0054】
搬送制御装置31は、いわゆるMCSを構成しており、生産実行制御装置4から与えられた生産実行制御情報、及び後述する生産効率化装置1から与えられた制御情報の一方或いは両方に従って、搬送装置32の動作を制御するコンピュータである。
【0055】
図3は、本実施の形態に係る生産効率化装置1の一構成例を示したブロック図である。生産効率化装置1は、処理装置2との間で情報を通信し、通信により獲得した情報に基づいて、該情報の送信元の処理装置2で被処理体に対する処理が終了する時刻(以下、処理終了時刻という)を予測する機能、処理装置2からの情報の内容や通信時機を設定し処理装置2に指示する機能、予測した処理終了時刻に応じた時機に前記情報の送信元の処理装置2へ搬送装置32が到着するように移動を開始させる指示情報を生成する機能等を有するコンピュータである。指示情報は、搬送装置32の制御に係る制御情報の一つである。
具体的には、生産効率化装置1は、該生産効率化装置1の各構成部の動作を制御する制御部11、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたコンピュータである。制御部11には、バスを介して接続されたROM、又はRAMなどの内部記憶装置13、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブや、可搬式記録メディアからのデータの読み出しが可能な装置であるCD−ROMドライブなどの外部記憶装置12、第1乃至第3通信部14,15,16、及び時計部17が接続されている。
【0056】
ROMは、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶したマスクROM、EEPROM等の不揮発性メモリである。
RAMは、制御部11の演算処理を実行する際に生ずる各種データやコンピュータの動作に必要な制御プログラムを一時記憶するDRAM、SRAM等の揮発性メモリである。
第1乃至第3通信部14,15,16は、夫々処理装置2、搬送制御装置31及び生産実行制御装置4との間で情報を送受信するためのインタフェースである。第1乃至第3通信部14,15,16による各種情報の送受信は制御部11によって制御される。
コンピュータプログラム5aは、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray Disc)等の記録媒体5或いはハードディスクドライブやソリッドステートドライブに記録されている。制御部11はこれらコンピュータプログラム5aが記録された可搬式メディアやハードディスクドライブなどから、コンピュータプログラム5aを読み出し、内部記憶装置13に記憶させる。また、言うまでもなく、光ディスク及び光ディスクドライブは、記録媒体5及び外部記憶装置12の一例であり、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等にコンピュータプログラム5aをコンピュータ読み取り可能に記録し、前記外部記憶装置12にて読み出すように構成しても良い。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係るコンピュータプログラム5aをダウンロードするようにしても良い。
【0057】
図4及び
図5は、生産効率化装置1の処理手順を示したフローチャートである。
<生産効率化基本フロー>
被処理体に対して処理を実行している処理装置2は、被処理体に対する処理が終了する時刻を予測するために必要な情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS11)。
【0058】
(情報1:特定の処理工程を通過したことを通知する情報)
図6は、処理装置2における情報送信手順の一例を示したフローチャートである。処理装置2は、被処理体に対する処理を開始する(ステップS51)。そして、処理装置2は、被処理体に対する処理が、設定された特定の処理工程にあるか否かを判定する(ステップS52)。特定の処理工程にあると判定した場合(ステップS52:YES)、処理装置2は、被処理体に対する処理が特定の処理工程にあることを示す情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS53)。該情報は、処理装置2における処理シーケンスが特定の処理ステップを通過したことを報告する情報である。ステップS53の処理を終えた場合、又は特定の処理工程にないと判定した場合(ステップS52:NO)、処理装置2は、被処理体に対する処理を終了したか否かを判定する(ステップS54)。処理を終了していないと判定した場合(ステップS54:NO)、処理装置2は処理をステップS52へ戻し、被処理体に対する処理を続行する。処理を終了したと判定した場合(ステップS54:YES)、処理装置2は、終了情報を生産実行制御装置4へ送信し(ステップS55)、処理を終える。
【0059】
例えば、設定された特定の処理工程とは、第1及び第2のロードポート21a,21bに配置されているFOUP毎に、各々のFOUPに収容されている未処理の被処理体の枚数が所定数未満になった工程として設定され、処理装置2は、ロードポート21a、21bに載置された各FOUP毎に、FOUPに収容されている未処理の被処理体が所定数未満になったタイミングで生産効率化装置1へ報告する。
また例えば、前記設定された特定の処理工程とは、処理装置2が複数の被処理体を同時に処理するバッチ式の熱処理装置である場合、実行している処理シーケンスの終了ステップの例えば3ステップ手前など所定の処理ステップとして設定された処理ステップである。
【0060】
(情報2:処理終了予定時刻)
図7は、処理装置2における情報送信手順の他の例を示したフローチャートである。処理装置2は、被処理体に対する処理を開始する(ステップS71)。そして、処理装置2は、被処理体に対する処理が特定の処理工程にあるか否かを判定する(ステップS72)。特定の処理工程にあると判定した場合(ステップS72:YES)、処理装置2は、被処理体に対する処理が終了する終了予定時刻を含む情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS73)。なお、処理終了予定時刻は一例であり、処理が終了する予定時機を示した情報に代えても良い。処理装置2から送信される終了予定時刻は、レシピの情報に基づいて所定の演算式で算出しても良いし、過去の処理終了時刻から統計的に算出しても良い。ステップS73の処理を終えた場合、又は特定の処理工程にないと判定した場合(ステップS72:NO)、処理装置2は、被処理体に対する処理を終了したか否かを判定する(ステップS74)。処理を終了していないと判定した場合(ステップS74:NO)、処理装置2は処理をステップS72へ戻し、被処理体に対する処理を続行する。処理を終了したと判定した場合(ステップS74:YES)、処理装置2は、終了情報を生産実行制御装置4へ送信し(ステップS75)、処理を終える。
生産効率化装置1は、上述の処理手順に従って処理装置2から送信された情報に基づいて、処理終了時刻を予測する。なお、処理装置2から送信された情報が示す時刻を、そのまま処理終了時刻として取り扱っても良い。
【0061】
(情報3:特定状態)
図8は、処理装置2における情報送信手順の他の例を示したフローチャートである。処理装置2は、被処理体に対する処理を開始する(ステップS91)。そして、処理装置2は、被処理体に対する処理が特定の処理工程にあるか否かを判定する(ステップS92)。特定の処理工程にあると判定した場合(ステップS92:YES)、処理装置2は、被処理体に対する処理が終了する過去の処理終了時刻の実績に係る情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS93)。該実績に係る情報は、例えば、処理装置2における過去の処理に要した実績時間又は処理が終了した実績時刻に係る情報である。ステップS93の処理を終えた場合、又は特定の処理工程にないと判定した場合(ステップS92:NO)、処理装置2は、被処理体に対する処理を終了したか否かを判定する(ステップS94)。処理を終了していないと判定した場合(ステップS94:NO)、処理装置2は処理をステップS92へ戻し、被処理体に対する処理を続行する。処理を終了したと判定した場合(ステップS94:YES)、処理装置2は、処理終了時刻を記憶し(ステップS95)、終了情報を生産実行制御装置4へ送信し(ステップS96)、処理を終える。
生産効率化装置1は、上述の処理手順に従って処理装置2から送信された情報を統計的に処理し、処理終了時刻を予測する。例えば、処理に要した時間の平均値、分散、最大値、最小値、中央値、最頻値等に基づいて、処理終了時刻を予測する。
【0062】
なお、過去の処理終了時刻の実績に係る情報は、処理装置2側で適宜加工して生産効率化装置1へ送信しても良いし、処理装置2で記録された処理終了時刻の生データを生産効率化装置1へ送信しても良い。
【0063】
(情報4:処理装置の特定状態)
図9は、処理装置2における情報送信手順の他の例を示したフローチャートである。処理装置2のプロセスモジュール25aは、メンテナンスのためのドライクリーニング処理などの被処理体を用いない処理を開始する(ステップS111)。そして、処理装置2は、処理装置2が特定の状態にあるか否かを判定する(ステップS112)。特定の状態にあると判定した場合(ステップS112:YES)、処理装置2は、自身が特定の状態にあることを示した情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS113)。ステップS113の処理を終えた場合、又は処理装置2が特定の状態に無いと判定した場合(ステップS112:NO)、処理装置2は、該処理を終了したか否かを判定する(ステップS114)。処理を終了していないと判定した場合(ステップS114:NO)、処理装置2は処理をステップS112へ戻し、該処理を続行する。処理を終了すると判定した場合(ステップS114:YES)、処理装置2は、終了情報を生産実行制御装置4へ送信し(ステップS115)、処理を終える。 生産効率化装置1は、この特定の状態にあることを示した情報を元にこの処理が終了する時刻を予測し、前記時刻にあわせて次に処理すべき被処理体を処理装置2へ向けて移動する準備を行う。この予測した処理が終了する時刻に合わせて次に処理すべき被処理体を処理装置2へ動かす指示情報を搬送制御装置31へ送信し、被処理体を処理装置2へ配達することで、処理装置2のプロセスモジュール25aにおける被処理体を用いない処理が終了してから、被処理体への処理の開始ができるようになるまでの時間を短縮することができ、プロセスモジュール25aにおける生産に寄与する度合いを高め、処理効率を高めることができる。
このため、次に処理すべき被処理体を処理装置2へ配達するのに要する時間の統計値により、被処理体を用いない処理が終了するタイミングよりも求められた統計値の時間分手前のタイミングを特定の状態として設定することがより好ましい。
【0064】
(情報取得方法1:要求)
図10は、処理装置2における情報送信手順の他の例を示したフローチャートである。生産効率化装置1の制御部11は、被処理体に対する処理の終了予測に必要な情報を要求する要求情報を処理装置2へ送信する(ステップS131)。
【0065】
処理装置2は、生産効率化装置1から送信された前記要求情報を受信する(ステップS132)。そして、処理装置2は、要求があった時の被処理体に対する処理工程、処理装置2の状態、被処理体に対する処理のレシピなど、処理の終了予測に必要な情報を生産効率化装置1へ送信し(ステップS133)、処理を終える。
【0066】
(情報取得方法2:タイミング設定及び変更)
図11は、処理装置2における処理終了予測に必要な情報の送信タイミングの設定に係るフローチャートである。生産効率化装置1の制御部11は、処理の終了予測に必要な情報を生産効率化装置1へ送信するタイミングの設定を、図示しない入力装置にて受け付ける(ステップS151)。そして、制御部11は、情報の送信タイミングの設定を要求する設定情報を処理装置2へ送信する(ステップS152)。
【0067】
処理装置2は、生産効率化装置1から送信された設定情報を受信する(ステップS153)。そして、処理装置2は、ステップS153で受信した設定情報の内容に従って、情報の送信タイミングを設定する(ステップS154)。既に送信タイミングが設定されている場合、新たな設定タイミングに変更される。以後、処理装置2は、ステップS154で設定されたタイミングで、処理終了予測に必要な情報を生産効率化装置1へ送信する。
【0068】
なお、情報の送信タイミングを手動で設定する例を説明したが、自動的に設定を変更するように構成しても良い。例えば、搬送装置32への移動指示が遅れる頻度が閾値以上である場合、情報の送信タイミングが早くなるように設定変更を行う。搬送装置32への投機的移動指示の遅れを減らすことによって、生産をより効率化することができる。投機的移動指示とは、予測した処理終了時刻に応じた時機に前記情報の送信元の処理装置2へ搬送装置32が到着するように移動を開始させる指示を言う。逆に、処理装置2から情報が送信されてから、実際に搬送装置32の移動を指示するまでの時間が所定時間以上である場合、情報の送信タイミングを遅くするように設定変更を行う。処理装置2からの情報送信タイミングを最適化することによって、搬送装置32への投機的移動指示の精度を向上させ、生産をより効率化することができる。
【0069】
図4に戻って、ステップS12以降の処理を説明する。
生産効率化装置1の制御部11は、処理装置2から送信された情報を、第1通信部14にて受信し(ステップS12)、受信した情報に基づいて、該情報の送信元の処理装置2が処理を終える処理終了時刻を予測する(ステップS13)。該処理終了時刻は、例えば、処理装置2における処理が終了し、該処理が終了した被処理体がロードポートに載置されたFOUPに回収されて、該FOUPを搬出することが可能になる予定の時刻である。
【0070】
次いで、制御部11は、予測した処理終了時刻に基づいて、該処理終了時刻に応じたタイミングで前記情報の送信元の処理装置2へ前記搬送装置32の移動を開始させる投機的指示情報を生成し(ステップS14)、生成した投機的指示情報を第2通信部15にて搬送制御装置31へ送信する(ステップS15)。投機的指示情報は、搬送装置32の制御に係る制御情報の一例である。
【0071】
なお、この際、生産効率化装置1は、搬送装置32の到達予定時機に処理装置2から回収されるべき被処理体を準備するように処理装置2に対して指示を行うための情報を該処理装置2へ送信するように構成しても良い。前記処理装置2は、生産効率化装置1から送信された前記情報を受信した場合、被処理体を搬送装置32へ引き渡すための準備処理を実行する。
【0072】
搬送装置32の移動を開始させるための投機的指示情報を送信するタイミングは、搬送装置32が処理装置2へ移動するために必要な所要時間と、処理装置2における処理が終了し、該処理が終了した被処理体を取り出すことが可能になる予定の時刻とを元に決定される。例えば、処理装置2から被処理体を取り出すことが可能になる予定の時刻に合わせて、搬送装置32が該処理装置2に到着するように搬送装置32の移動を指示するようにすると良い。なお、搬送装置32の渋滞のおそれが低い場合、処理装置2から被処理体を取り出すことが可能になる予定の時刻よりも先に搬送装置32が到着するように構成しても良い。逆に搬送装置32の渋滞が予想される場合、搬送装置の移動によって引き起こされる渋滞を回避すべく、処理装置2から被処理体を取り出すことが可能になる予定の時刻よりも遅れて搬送装置32が処理装置2に到着するように構成しても良い。その他の好適な移動指示のタイミングについては後述の変形例で説明する。
【0073】
なお、搬送装置32が処理装置2へ移動するために必要な所要時間は、搬送装置32と処理装置2との距離、搬送装置32の移動速度、搬送経路、渋滞状況、その他の状況を考慮して算出される。例えば、移動に要した時間を記録しておき、この記録された時間を元に統計的に算出しても良いし、搬送装置32の位置と搬送経路と移動速度を元に内部的にシミュレーションを行うことで算出しても良いし、複数の搬送装置32それぞれの移動予定と、その移動予定を元にした搬送経路の混雑状況とをシミュレーションすることで算出しても良い。
【0074】
更に、被処理体に対する処理が所定の期間内に終了する処理装置2が少ない領域に比べて、処理が前記期間内に終了する処理装置2が多く存在する領域に前記搬送装置32を偏在させるように搬送装置32を移動させる指示を指示情報に含めると良い。搬送装置32の意味の無い過密化及び過疎化を防止することができ、より効率的に、搬送装置32を処理装置2に移動させることが可能になる。
【0075】
搬送制御装置31は、生産効率化装置1から送信された投機的指示情報を受信する(ステップS16)。そして、搬送制御装置31は、受信した投機的指示情報に基づいて、搬送装置32の配車スケジューリング、及び搬送装置32の待機処理を実行し(ステップS17)、移動指示を空の搬送装置32へ送信する(ステップS18)。ステップS18で行う指示は、生産実行制御装置4から送信される確定的な制御指示に先だって行われる投機的な準備に係る指示である。移動指示を搬送装置32へ送信する(ステップS18)と同時に、回収指示を送信してもかまわない。
【0076】
搬送装置32は、搬送制御装置31からの移動指示を受信する(ステップS19)。そして、空の搬送装置32は、受信した指示に従って、指示された処理装置2近傍へ移動する(ステップS20)。つまり、処理装置2で処理された被処理体を回収するための搬送装置32は、生産実行制御装置4からの指示に先だって、該処理装置2へ移動している。
【0077】
また、指示された処理装置2(以下、第1の処理装置2と言う。)近傍へ被処理体搭載の搬送装置32、詳しくは該第1の処理装置2で次に処理すべき被処理体を搭載した搬送装置32を移動させる(ステップS21)。なお、前記第1の処理装置2で次に処理すべき被処理体を搭載した搬送装置32が無い場合は、前記第1の処理装置2の直前の工程の処理装置2(以下、第2の処理装置2と言う。)にて回収待ちとなっている該被処理体を取り出すために該第2の処理装置2へ、あるいは処理装置2で次に処理すべき被処理体が保管されたストッカー(図示せず)へ、空の搬送装置32を移動させ、次に処理すべき被処理体を搭載してから、該搬送装置32を指示された前記第1の処理装置2に移動させる。
【0078】
処理装置2は、被処理体に対する処理を終え(ステップS22)、処理が終了したことを示す終了情報を生産実行制御装置4へ送信する(ステップS23)。
【0079】
生産実行制御装置4は、処理装置2から終了情報を受信し(ステップS24)、確定的な搬送指示情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS25)。搬送指示情報は、生産実行制御情報の一つである。
【0080】
生産効率化装置1の制御部11は、生産実行制御装置4から送信された搬送指示情報を第3通信部16にて受信する(ステップS26)。そして、制御部11は、ステップS14で生成した投機的指示情報の内容と、ステップS26で受信した搬送指示情報の内容とを整合させ(ステップS27)、整合させた搬送指示情報を搬送制御装置31へ送信する(ステップS28)。
【0081】
以下、搬送指示情報と、投機的指示情報とを整合させる処理について説明する。まず、処理装置2、生産実行制御装置4及び搬送制御装置31で行われる既存のシーケンスを説明する。処理装置2における処理が終了し、処理装置2から搬出することができるようになった被処理体が存在すると、処理装置2は生産実行制御装置4へ処理が終了し搬出することができる旨の情報を送信する。生産実行制御装置4は、前記処理が終了し搬出することができる旨の情報を受信した場合、搬送制御装置31に対して、該被処理体を該処理装置2から回収させる指示を示した搬送指示情報を送信する。搬送制御装置31は、該搬送指示情報を受信した場合、該搬送指示情報に従って搬送装置32を該処理装置2へ移動させ、被処理体の回収を行う。
【0082】
本実施の形態に係る生産効率化装置の導入によっても、このような既存のシーケンスに対して大きな変更を不要にするために、生産効率化装置1は、処理装置2からの処理終了報告が出されるより前に、処理終了の予測時機を元に、該予測時機に処理装置2へ搬送装置32が到達するように搬送装置32を移動させ、搬送装置32が行き先の処理装置2に対応する位置へ到着したとしても、生産実行制御装置4から搬送制御装置31への被処理体の回収指示が出されるまでは、搬送装置32をその処理装置2に対応する位置に留まらせて待機させる、或いは近辺を周遊させるなどを行わせるように構成すれば良い。このように構成した場合は、搬送制御装置31は、生産実行制御装置4からの被処理体の回収指示を受信すると、その受信に対応して該搬送装置32による処理装置2からの被処理体の回収を行う。
【0083】
このように、搬送装置32への投機的な搬送を指示するための投機的指示情報と、搬送装置32への処理装置2からの被処理体の回収あるいは配達を指示するため搬送指示情報とを分けて、被処理体の移載作業の実施は生産実行制御装置4からの指示を待つように、既存の搬送実行制御装置4の制御シーケンスと整合をとらせる。
【0084】
なお、搬送指示情報と、投機的指示情報とを整合させる上述の処理は一例であり、これに限定されない。例えば、上述の例では、搬送装置32は、生産実行制御装置4からの指示を待って、被処理体の回収を行っているが、本実施の形態に係る生産効率化装置の導入により、既存のシーケンスに変更を許容して更なる生産効率向上を目指す場合には、生産実行制御装置4から搬送指示情報が送信される前であっても、処理を終了した被処理体の回収は搬送装置32および処理装置2が被処理体の回収が可能な状態になり次第実行し、次の搬送先の処理装置が生産実行制御装置から指示されていない場合は近傍のバッファーやストッカーに搬送し、保管することによって次にその装置で処理される被処理体の搬入が命令され次第対応できるようにするようにしても良いし、または次に該処理体を搬送する搬送先に係る指示を生産効率化装置1あるいは搬送制御装置31より生産実行制御装置に要求し、得られた指示に基づいて該被処理体を次の処理装置あるいはストッカーに搬送するようにして整合をとっても良い。さらには生産実行制御装置4から搬送指示情報が送信される前に、搬送装置32が処理装置2から被処理体を回収し、又は処理装置2にFOUPを載置するように構成しても良い。この場合、搬送制御装置31は、搬送装置32の処理内容を示した情報を生産実行制御装置4へ送信し、生産実行制御装置4は該情報に基づいて、以後の処理装置2及び搬送装置32に対する制御内容を補正するようにすると良い。
【0085】
搬送制御装置31は、生産効率化装置1から送信された整合済みの搬送指示情報を受信する(ステップS29)。そして、搬送制御装置31は、被処理体の回収を指示する回収指示、及び処理済みの被処理体を別の処理装置2またはストッカー(図示せず)へ搬送させる搬送指示を搬送装置32へ送信する(ステップS30)。
【0086】
空の搬送装置32は、搬送制御装置31から送信された回収指示及び搬送指示を受信し(ステップS31)、受信した回収指示に従って、指定された処理装置2へ移動し、被処理体を回収する(ステップS32)。回収した被処理体を搭載した搬送装置32は、該被処理体を該処理装置2またはストッカーに搬送する(ステップS33)。
【0087】
なお、上述の処理手順では、空の搬送装置の移動を被処理体搭載の搬送装置の移動より先に指示する例を示しているが、搬送装置32の配置状況によっては、被処理体搭載の搬送装置の移動を先に開始させ、次いで空の搬送装置の移動を指示するようにしても良い。例えば、空の搬送装置が被処理体搭載の搬送装置に比べて処理装置2近傍に位置しているような場合、被処理体搭載の搬送装置の方が移動に時間を要するため、先に被処理体搭載の搬送装置の移動を指示すると良い。
【0088】
<投機準備失敗フォロー処理>
図12は、搬送装置32への投機的指示が的中しなかった場合の処理手順を示したフローチャートである。搬送制御装置31は、搬送装置32の状態及び生産実行制御装置4から送信される生産実行制御情報を監視しており、処理装置2における被処理体の処理が終了する前に搬送装置32が到着したことを認識することができる。搬送制御装置31は、処理装置2における被処理体の処理が終了する前に搬送装置32が到着した場合、投機的移動失敗通知を生産効率化装置1へ送信する(ステップS171)。
【0089】
生産効率化装置1の制御部11は、投機的移動失敗通知を搬送制御装置31から受信した場合(ステップS172)、搬送装置32の待機若しくは巡回、又は搬送装置32を車庫へ移動させる指示情報を生成する(ステップS173)。そして、制御部11は、ステップS173で生成した指示情報を搬送制御装置31へ送信する(ステップS174)。
【0090】
搬送制御装置31は、生産効率化装置1から送信された指示情報を受信した場合(ステップS175)、処理装置2に到着した搬送装置32を待機若しくは巡回させ、又は搬送装置32を所定の車庫へ移動させる指示を搬送装置32に送信する(ステップS176)。
【0091】
搬送装置32は、搬送制御装置31の指示に従って、処理装置2周辺で待機し、周辺を巡回し、又は所定の車庫へ移動する(ステップS177)。
【0092】
本実施の形態によれば、処理装置2における被処理体の処理終了時間を予測して被処理体を投機的に搬送することによって、搬送装置32の搬送時間を短縮して被処理体に対する処理効率を向上させ、生産効率を向上させることができる。
また、現状でも処理負荷が高い生産実行制御装置4へ処理装置2の動作状況を送信し、予測処理を実行させた場合、生産実行制御装置4の処理負荷が更に増大し、搬送装置2及び処理装置2に対する制御が遅延することになり、却って生産効率が悪化するおそれがあった。しかし、本実施の形態によれば、生産効率化装置1の制御によって、搬送装置32を投機的に移動させることができるため、かかる問題を回避しつつ、生産効率を向上させることができる。
【0093】
なお、上述の実施の形態では、処理装置2における被処理体の処理が終了する時刻を予測し、搬送装置32を該処理装置2近傍へ移動させるように構成した例を説明したが、処理終了予測を行わずに搬送装置32の投機的移動を指示するように構成しても良い。
例えば、処理装置2から特定のタイミングでイベント信号が出力されるように構成し、生産効率化装置1は、処理装置2から出力されたイベント信号を受信した場合、直ちに、搬送装置32を該処理装置2へ移動させるように構成しても良い。イベント信号の内容及び出力タイミングは特に限定されるものでは無い。具体的には、イベント信号は、被処理体に対する処理が特定の工程に入った場合に出力される信号、処理装置2が特定の状態にある場合に出力される信号、処理装置2から出力された処理終了時刻情報を有する信号などである。
【0094】
また、生産効率化装置1は、処理装置2から出力されたイベント信号を受信した場合、該イベント信号を受信してから所定時間後に、搬送装置32を該処理装置2へ移動させるように構成しても良い。
【0095】
更に、本実施の形態では、生産実行制御装置4からの制御命令に先だって、投機的に搬送装置32の移動を指示するように構想してあるが、状況によっては、生産実行制御装置4からの制御命令が送信された後に、生産効率化装置1が搬送装置32の移動指示を搬送制御装置31へ送信することがあっても良い。
【0096】
処理装置2が処理の状況を生産実行制御装置4へ送信し、生産実行制御装置4に予測処理を実行させるように構成した場合は、生産実行制御装置4の処理負荷は現状でも高いところ、更に処理負荷が増大し、搬送装置32及び処理装置2に対する制御が遅延することになり、却って生産効率が悪化するおそれがある。しかし、本実施の形態によれば、搬送制御装置31と生産効率化装置1とは別に生産効率化装置1を設けることにより、生産実行装置4の処理負荷の増大を最小限に抑えることができる。
【0097】
また、本実施の形態では生産実行装置4と搬送制御装置31と生産効率化装置1とを個別に設ける例を説明したが、生産効率化装置1と搬送制御装置31の機能を1つのコンピュータに構築させてもよい。
【0098】
(変形例1:統計的処理終了予測)
図13は、変形例1における生産効率化に係る処理手順を示したフローチャートである。処理装置2及び生産効率化装置1の制御部11は、
図4のステップS11〜ステップS12と同様、情報の送受信(ステップS191,192)、処理装置2における被処理体に対する処理終了予測を行う(ステップS193)。
その後、被処理体に対する処理を終えた処理装置2は、被処理体に対する処理を実際に終えた実終了時刻を生産効率化装置1へ送信する(ステップS194)。なお、実終了時刻に代えて、被処理体に対する処理を終えるのに実際に要した実終了時間を送信し、実終了時間を用いて以下の処理を実行するように構成しても良い。
【0099】
生産効率化装置1の制御部11は、処理装置2から送信された実終了時刻を受信し(ステップS195)、終了予測時刻と、処理装置2から送信された実終了時刻と、処理終了予測に用いた情報とを対応付けて内部記憶装置13に蓄積する(ステップS196)。なお、処理終了時刻と、実終了時刻とに対応付けられる情報は、例えば処理装置2を特定するID、レシピ等を含む。このように、生産効率化装置1は、処理装置2における処理の終了予測を行う都度、終了予測時間と、実終了時刻と、終了予測に用いた情報とを対応付けて蓄積する。内部記憶装置13に蓄積された処理終了予測に係る情報は、処理終了予測に利用される。
【0100】
次いで、上述の情報が内部記憶装置13に蓄積された後、再び処理装置2から、処理終了予測に必要な情報が生産効率化装置1へ送信された場合(ステップS197)、生産効率化装置1は該情報を受信し(ステップS198)、受信した情報と、内部記憶装置13に蓄積された情報とを用いて、前記情報の送信元である処理装置2で処理が終了する時刻を予測する(ステップS199)。処理終了予測の統計計算方法は特に限定されない。例えば、内部記憶装置13が記憶する情報に基づいて、処理終了時刻の最大値、最小値、平均値、最頻値、分散などを計算して、処理終了時刻を算出する。以下、
図4のステップS14以降の処理と同様の処理が実行される。
【0101】
変形例1に係る生産効率化装置1によれば、処理終了時刻を統計的に算出するように構成してあるため、より適切なタイミングで搬送装置32の移動を投機的に指示することができ、更に生産効率を向上させることができる。
【0102】
(変形例2:同期)
図14は、変形例2に係る空の搬送装置及び被処理体搭載の搬送装置の到着タイミングを示したタイミングチャートである。
図14Aは、被処理体搭載の搬送装置の到着タイミングの確率分布、
図14Bは、空の搬送装置の到着タイミングの確率分布、
図14C及び
図14Dは、第1及び第2のロードポート21a、21bに載置された被処理体に対する処理が行われるタイミングを示している。
【0103】
変形例2に係る生産効率化装置1は、搬送装置32が処理装置2へ移動するために必要な所要時間と、該処理装置2における第1のロードポート21aに載置された被処理体に対する処理が終了し、該処理が終了した被処理体を取り出すことが可能になる予定の第1の時刻と、第2のロードポート21bに載置された被処理体に対する処理が全て終了する予定の第2の時刻とを元に、第1の時刻から第2の時刻までの間に搬送装置32が到着可能なタイミングで搬送装置32の移動を指示する。例えば、生産効率化装置1の制御部11は、空の搬送装置が処理装置2に到着する時刻の確率分布と、被処理体搭載の搬送装置が処理装置2に到着する時刻の確率分布とを算出し、各確率分布が第1の時刻と、第2の時刻との間に分布し、空の搬送装置の到着時刻に係る確率分布が、被処理体搭載の搬送装置の到着時刻に係る確率分布よりも第1の時刻寄りに分布するように、各搬送装置32の移動を指示する。より好適には、各確率分布が重複しないように、即ち各確率分布の重複部分の割合が所定値未満になるように、搬送装置32の移動を指示すると良い。なお、第1及び第2の時刻は、ロードポートの切替時刻と、処理される被処理体の枚数、レシピ等に基づいて予測することができる。
【0104】
より具体的に説明すると、
図14に示すように、第1のロードポート21aに載置された被処理体を処理している場合、処理装置2から送信された情報に基づいて、該被処理体に対する処理が終了し、該処理が終了した被処理体を取り出すことが可能になる第1の時刻を予測する。また、前記被処理体に対する処理を終了した後、第2のロードポート21bに載置された被処理体に対して処理が実行されるが、制御部11は、該被処理体に対する処理が全て終了する第2の時刻をレシピを用いて予測する。そして、制御部11は、搬送装置32が該処理装置2へ移動するために必要な所要時間を推定し、前記第1の時刻と、第2の時刻との間に空の搬送装置と、被処理体搭載の搬送装置とがこの順で到着可能なタイミングで搬送装置32の移動を指示する。
【0105】
変形例2に係る生産効率化装置1によれば、適切なタイミングで搬送装置32の移動を投機的に指示することができ、更に生産効率を向上させることができる。
【0106】
(変形例3:優先度スケジューリング)
次に本発明にかかわる変形例3を説明する。
本変形例3では、生産効率化装置1は、処理終了時刻を予測することにより、処理装置からの搬出が可能になるタイミングと、処理装置2においてこれから処理すべき被処理体が無くなってしまうタイミングを求める。
【0107】
例えば、処理装置2において、処理が終了することにより該処理装置2からの搬出が可能となった被処理体を収納したFOUPがひとつのロードポート上にある場合であっても、該処理装置2において、この搬出が可能となったFOUPとは別の未処理の被処理体を収納したFOUPが別のロードポートにあり、未処理の被処理体が残っている場合は、プロセスモジュールが被処理体への処理ができない状態に至るまでには猶予時間がある。処理装置2内にある複数の被処理体毎あるいは、被処理体を収納したFOUPの単位で処理終了時刻を予測することで、生産効率化装置1が搬送制御装置31へ送信する搬送必要時機にかかわる情報は、少なくともひとつのロードポートに載置されたFOUPに収納されていた被処理体の処理が終了し搬送装置による回収が可能になる時機を始点とし、他方のロードポートに載置されたFOUPに収納されていた被処理体への処理が終了してその後処理すべき被処理体が装置内に無くなる時機を終点とする時間幅を持った情報とする。
これにより、搬送制御装置31は、搬送必要時機の始点から終点の間に搬送装置32が処理装置2に到着するように制御すればよく、このように時間幅を有しているので搬送制御装置31において搬送の優先度を考慮し、搬送路における搬送装置32の混雑を低減させた搬送装置32の移動スケジューリングがしやすくなる。更に例えば処理装置2における被処理体への処理が終了し、処理装置2から生産実行制御装置4へ処理が終了した旨の報告がなされ、生産実行制御装置4から搬送制御装置31へ該処理装置からの被処理体の回収の指示がだされたあとであっても、前記搬送必要時機の終点までに時間的余裕があるのであれば、搬送制御装置31は複数の搬送装置の位置や移動状態を考慮し、混雑が発生しないように前記生産実行制御装置4からの回収指示に即応せずに、遅れて移動させるように構築してもよい。
このように、処理装置2において、処理が終了し搬出することが可能になった被処理体が発生しても、処理すべき未処理の被処理体が無いという状態にならなければ、プロセスモジュールは連続的に処理を続けることができるので、処理装置2の高い生産効率を維持することが可能となる。
【0108】
(変形例4:優先度スケジューリング)
図15は、変形例4における生産効率化に係る処理順を示したフローチャートである。投機的に搬送装置32を移動させた後、生産実行制御装置4から搬送指示情報が送信され(ステップS211)、該搬送指示情報を生産効率化装置1が受信した場合(ステップS212)、生産効率化装置1の制御部11は、ロードポート21a,21bの切替時刻、及び現在行っている被処理体に対する処理内容が記述されたレシピを処理装置2に要求する(ステップS213)。
【0109】
処理装置2は、生産効率化装置1からロードポート21a,21bの切替時刻及びレシピの要求を受けた場合(ステップS214)、直近のロードポート切替時刻と、現在行っている被処理体に対する処理内容を記述したレシピを生産効率化装置1へ送信する(ステップS215)。
【0110】
生産効率化装置1の制御部11は、処理装置2から送信されたロードポート切替時刻及びレシピを受信する(ステップS216)。そして、制御部11は、現在の時刻と、ロードポート切替時刻と、レシピとに基づいて、現在行われている処理が終了するまでの時間(以下、処理残時間という)を算出する(ステップS217)。そして、制御部11は、被処理体の搬送が必要な処理装置2が複数ある場合、搬送装置32を手配すべき処理装置2の優先順位を決定する(ステップS218)。優先順位は、処理残時間が短い程、高くなるように決定される。
【0111】
そして、制御部11は、優先順位に応じた回収指示及び搬送指示情報を搬送制御装置31へ送信する(ステップS219)。
【0112】
このように搬送装置32の移動をスケジューリングすることによって、場合によっては、処理装置2における処理が終了した直後に搬送装置32が到着するように搬送装置32の移動を指示するのではなく、他の処理装置2において処理すべき被処理体が無くなってしまうような事態も勘案して、被処理体の到着待ちが発生しそうな処理装置2へ搬送装置32を優先的に移動させることができる。
【0113】
変形例4に係る生産効率化装置1によれば、搬送装置32の手配が必要な処理装置2の優先順位を決定し、優先的に搬送装置32を移動させるように構成しているため、生産効率をより向上させることができる。
【0114】
(変形例5:生産実行制御装置4の接続例)
図16は、変形例5に係る生産処理システムの一構成例を示したブロック図である。上述の実施の形態では生産効率化装置1が、処理装置2、搬送制御装置31、生産実行制御装置4との間で情報の通信を行う第1乃至第3通信部14,15,16を備えている例を説明したが、生産実行制御装置4からの情報を間接的に受信するように構成しても良い。例えば、生産実行制御装置4から送信される情報を搬送制御装置31を介して受信するように構成しても良い。
【0115】
変形例5に係る生産効率化装置1によれば、生産実行制御装置4との間で情報を送受信するインタフェースが不要であり、低コストで通信システムを構築することができる。
【0116】
(変形例6:搬送システム3の通信線流用)
図17は、変形例6に係る生産処理システムの一構成例を示したブロック図である。これまでに説明した本発明における形態では、変形例6生産効率化装置1が処理装置2と通信するための専用線を有する例を説明したが、これに限るものでは無く、変形例6に係る生産効率化装置1は、搬送制御装置31と、搬送装置32との間で情報を送受信する通信線路33を流用して、処理装置2から送信される情報を受信するように構成されている。通信線路33は、例えば、搬送システム3を構成する搬送装置32の搬送路に沿って敷設されている。
また、通信線路33を経由し、搬送システム3が有する被処理基板を搬送する搬送装置32が処理装置2への被処理基板の受け渡しをするための停止点近傍に、処理装置2との通信線路を接続するアクセスポイント(局)が配置されるように構成しても良い。
【0117】
変形例6に係る生産効率化装置1によれば、処理装置2との間で情報を送受信する専用線が不要であり、低コストで通信システムを構築することができる。
【0118】
(変形例7:被処理体搭載の搬送装置移動指示処理)
図18及び
図19は、変形例7における生産効率化に係る処理順を示したフローチャートである。変形例7に係る生産効率化装置1は、生産実行制御装置4からの情報を利用して被処理体搭載の搬送装置のより的確な投機的移動指示を行うものである。
【0119】
被処理体に対して処理を実行している処理装置2は、被処理体に対する処理が終了する時刻を予測するために必要な情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS231)。
【0120】
生産効率化装置1の制御部11は、処理装置2から送信された情報を、第1通信部14にて受信し(ステップS232)、受信した情報に基づいて、該情報の送信元の処理装置2が処理を終える処理終了時刻を予測する(ステップS233)。
【0121】
次いで、制御部11は、予測した処理終了時刻に基づいて、空の搬送装置の投機的指示情報を生成し(ステップS234)、生成した空の搬送装置の投機的指示情報を第2通信部15にて搬送制御装置31へ送信する(ステップS235)。
【0122】
搬送制御装置31は、生産効率化装置1から送信された空の搬送装置の投機的指示情報を受信する(ステップS236)。そして、搬送制御装置31は、受信した投機的指示情報に基づいて、搬送装置32の引き当てと移動すなわち配車のスケジューリング、及び搬送装置32の待機を指示し(ステップS237)、空の搬送装置の移動指示を送信する(ステップS238)。
【0123】
搬送装置32は、搬送制御装置31からの指示を受信する(ステップS239)。そして、前記指示を受信した搬送装置32は、受信した指示に従って、指示された処理装置2近傍へ移動する(ステップS240)。つまり、処理装置2で処理された被処理体を回収するための搬送装置32は、生産実行制御装置4からの指示に先だって、該処理装置2へ移動している。
【0124】
次いで、制御部11は、情報の送信元の処理装置2で次に処理されるべき被処理体のロット番号等、次処理に係る情報を生産実行制御装置4へ要求する(ステップS241)。
【0125】
生産実行制御装置4は、生産効率化装置1から次処理に係る情報の要求を受けた場合(ステップS242)、次処理に係る被処理体の指定情報又は次処理に係る被処理体を特定するための情報を生産効率化装置1へ送信する(ステップS243)。
【0126】
生産効率化装置1の制御部11は、生産実行制御装置4から送信された情報を受信し(ステップS244)、該情報に基づいて被処理体搬送の投機的指示情報を生成し(ステップS245)、生成した被処理体搬送の投機的指示情報を第2通信部15にて搬送制御装置31へ送信する(ステップS246)。
【0127】
搬送制御装置31は、生産効率化装置1から送信された被処理体搬送の投機的指示情報を受信する(ステップS247)。そして、搬送制御装置31は、受信した投機的指示情報に基づいて、前記指定された被処理体を搭載中の搬送装置32を特定し配車のスケジューリング、及び該搬送装置32の待機処理を実行し(ステップS248)、移動指示を送信する(ステップS249)。ステップS248で行う指示は、後述するように、生産実行制御装置4から送信される確定的な制御指示に先だって行われる投機的な準備に係る指示である。なお、ステップS248において指定された被処理体が搬送装置32には搭載されておらず、ストッカーなどに保管されている場合などには、搬送制御装置31は前記指定された被処理体の現在の保管場所特定と該被処理体を搭載するための搬送装置32の引き当てと該被処理体の搭載と移動のスケジューリング、及び該搬送装置32の待機処理を実行することにすればよい。
【0128】
搬送装置32は、搬送制御装置31からの指示を受信する(ステップS250)。そして、搬送装置32は、受信した指示に従って、指示された処理装置2近傍へ該処理装置2の次処理に係る被処理体を搭載して移動する(ステップS251)。つまり、処理装置2で次に処理されるべき被処理体を搬送するための搬送装置32は、生産実行制御装置4からの指示に先だって、該処理装置2へ移動される。
【0129】
なお、空の搬送装置の投機的な移動指示の処理で説明した各種変形例は、被処理体を搭載している搬送装置の投機的移動指示についても適用することができる。
【0130】
変形例7に係る生産効率化装置1によれば、被処理体搭載の搬送装置の投機的移動を適確に指示することができ、生産効率を向上させることができる。
【0131】
本実施の形態では、生産実行装置4と搬送制御装置31と生産効率化装置1とを個別に設ける例を説明したが、生産効率化装置1に更に搬送制御装置31の機能を持たせてもよい。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0133】
今回開示された実施の形態は、被処理体を収容し、側面に開閉可能な蓋を有した密閉容器であるFOUPを用いて被処理体を搬送する例として説明したが、下面に蓋を有したSMIFポッドであっても適用できるし、密閉されない開放型の収容容器であるオープンカセットでも良いし、収容容器に収容する被処理体の枚数が1枚であっても良いし、被処理体を容器に入れずに被処理体そのものを移動させる形態であってもよい。