特許第5798283号(P5798283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許5798283軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーター
<>
  • 特許5798283-軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーター 図000002
  • 特許5798283-軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーター 図000003
  • 特許5798283-軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーター 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798283
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20151001BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   H01L21/68 P
   C23C16/458
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2008-196676(P2008-196676)
(22)【出願日】2008年7月30日
(65)【公開番号】特開2009-33178(P2009-33178A)
(43)【公開日】2009年2月12日
【審査請求日】2011年8月1日
【審判番号】不服2013-24667(P2013-24667/J1)
【審判請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】11/830,589
(32)【優先日】2007年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103849
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 誠
(72)【発明者】
【氏名】シキング ルー
(72)【発明者】
【氏名】バラジ チャンドラセカラン
(72)【発明者】
【氏名】ポール エドワード ジー
(72)【発明者】
【氏名】ナイチン ケー. イングル
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー ルボミールスキー
(72)【発明者】
【氏名】ツェン ユアン
(72)【発明者】
【氏名】エリー ワイ. イェー
【合議体】
【審判長】 西村 泰英
【審判官】 刈間 宏信
【審判官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−22496(JP,A)
【文献】 特開平1−134945(JP,A)
【文献】 特開2008−28052(JP,A)
【文献】 特開2002−57209(JP,A)
【文献】 特開2004−72108(JP,A)
【文献】 米国特許第4183545(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャック型ヒーターであって、
基板を支持するための支持表面を有する本体と、
上記本体内に配設されたヒーターと、
上記支持表面に形成され、上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに対称に配置された複数の軸対称溝と、を備え、上記複数の軸対称溝は、
上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに配置された内側円形溝と、
上記内側円形溝の周りに同心で配置された外側円形溝と、
上記内側円形溝と上記外側円形溝とを接続する複数の半径方向溝と、を含み、
上記真空チャック型ヒーターは更に、上記本体を通して且つ上記内側円形溝内のみに形成され且つ上記複数の軸対称溝の非交差部分に配設され、動作中に上記複数の軸対称溝を真空システムに流体結合するための複数のチャッキング孔、を備え、上記複数のチャッキング孔は、上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに対称に配置されている真空チャック型ヒーター
【請求項2】
上記複数の軸対称溝は、0.4318mmから0.5842mmの間の幅を有する、請求項1に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項3】
上記複数の軸対称溝は、0.0635mmから0.0889mmの間の深さを有する、請求項1又は2に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項4】
上記支持表面は、0.8128μm以下の表面粗さを有する、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項5】
上記チャッキング孔は、0.508mmから1.524mmの間の直径を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項6】
上記チャッキング孔は、1.016mm以下の直径を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項7】
上記チャッキング孔は、上記複数の軸対称溝の何れの幅よりも小さな直径を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項8】
上記複数のチャッキング孔は、2つのチャッキング孔である、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項9】
上記複数の軸対称溝は、上記内側円形溝と上記外側円形溝とを備え、上記内側円形溝と上記外側円形溝とを結合する4本の半径方向に延長する半径方向溝を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーター
【請求項10】
処理チャンバと、
上記処理チャンバ内に配設された、請求項1からのいずれか1項に記載の真空チャック型ヒーターと、
を備える基板処理チャンバ。
【請求項11】
上記真空チャック型ヒーターは、上記本体を支持し、上記複数のチャッキング孔を上記真空システムに流体結合する複数の開口を有するシャフトを更に備える、請求項1に記載の基板処理チャンバ。
【請求項12】
上記真空システムは、上記シャフトの上記複数の開口を通って上記チャッキング孔に結合され、上記処理チャンバ内での基板の処理中に上記複数の軸対称溝内に真空圧を確立し且つ維持するための真空ポンプを備える、請求項1に記載の基板処理チャンバ。
【請求項13】
真空チャック型ヒーターを製造するための方法において、
基板支持表面を有する本体と、上記本体内に配設されたヒーターとを準備するステップと、
上記支持表面に上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに対称に配置された複数の軸対称溝を形成するステップと、を備え、上記複数の軸対称溝は、
上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに配置された内側円形溝と、
上記内側円形溝の周りに同心で配置された外側円形溝と、
上記内側円形溝と上記外側円形溝とを接続する複数の半径方向溝と、を含み、
上記方法は更に、上記内側円形溝のみに、且つ複数の軸対称溝の非交差部分内に上記本体を通して複数のチャッキング孔を形成するステップ、を備え、上記複数のチャッキング孔は、上記真空チャック型ヒーターの中心軸の周りに対称に配置されている方法。
【請求項14】
上記本体を準備するステップは、既存の溝を上記本体から除去する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的に、半導体製造に使用される真空チャックに関し、より詳細には、改善された熱プロファイルを有する真空チャック型ヒーターに関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]準常圧化学気相堆積(SACVD)処理は、減圧(又は準常圧)において実施される。減圧は、望ましくない気相反応を減ずる傾向にあり、それにより、ウエハに亘る膜均一性を改善することができる。多くの従来のSACVD処理は、膜及び/又は被覆の高い純度及び均一性、及び適合ステップカバレージを与えることができる。
【0003】
[0003]しかしながら、ある特定の適用例においては、従来のSACVD処理では、堆積膜の厚さ非均一性が望ましくない程に高くなってしまい、品質及び歩留りが減少してしまうことが観察されている。このような厚さ非均一性は、少なくともある部分において、前述した処理に伴う基板の非均一熱プロファイルによるものであると考えられる。この基板の非均一熱プロファイルは、少なくともある部分において、真空チャック型ヒーターと基板との間の非均一熱移送によるものである。
【0004】
[0004]真空チャック型ヒーターは、一般的に、ヒーターを埋め込んだ基板支持体を含み、この基板支持体には、1つ以上の溝及び真空チャッキング孔が形成されており、これら溝及び真空チャッキング孔は、ワークピースが配置されるとき、それらの溝に真空を維持することでそのワークピース(例えば、半導体ウエハ)を基板支持体上に保持するようにするためのものである。従来、真空チャック型ヒーターに形成された溝及びチャッキング孔は、強い真空チャッキングパワーを与える以外、従来の真空チャック型ヒーター上に置かれた基板に堆積される膜の品質に相当な影響を与えるものとは考えられていなかった。しかしながら、本発明者等は、それら溝及びチャッキング孔のサイズ及び位置が、その上に置かれた基板に生ずる熱プロファイルに対して、以前に認識されていたよりも大きな影響を与えることを見出したのである。更に又、本発明者等は、このような従来のヒーターから生じる熱プロファイルが、このような基板に堆積される膜の膜厚さに変化をもたらしてしまう程に非均一であることを見出したのである。ある処理においては、例えば、熱プロファイルが1度変化すると、そこに堆積される膜の厚さが約60−100オングストローム/分も変化してしまう。従って、このような従来の真空チャック型ヒーターを使用して基板上に堆積される膜の厚さプロファイルは、特に、その堆積膜の全厚さが減少するとき、このような非均一熱プロファイルのため大きく変化してしまう。
【0005】
[0005]例えば、従来においては、1つの考え方として、基板と支持体との間の強いチャッキング力を与えることにより、それらの間の熱接触を高め、それにより、基板の熱プロファイルを改善し、基板上に堆積される膜の特性を改善しようとするものがあった。従って、従来の真空チャックでは、望ましい高い真空チャッキングパワーを得るため大きなチャッキング孔(例えば、直径約3.0mm)を設けていた。しかしながら、本発明者等は、これらチャッキング孔に対応する位置において基板上に相当な「クールスポット」が発生してしまうことがあることを見出したのである。また、本発明者等は、真空溝の交差部にチャッキング孔を配設すると(従来においては、種々な溝内の真空圧をより効果的に分散することができると考えられていた)、実際には、このような「クールスポット」現象が増長させられてしまうことを見出したのである。
【0006】
[0006]従来のチャッキング孔のサイズ及び位置によって生ぜしめられる「クールスポット」に加えて、本発明者等は、更に、ある従来の溝パターンの非軸対称配列により、基板上の温度プロファイルが非軸対称とされてしまい、従って、膜厚さプロファイルが非軸対称とされてしまうことを見出したのである。
【0007】
[0007]その上、本発明者等は、更に、ヒーター毎の変化により堆積される膜の厚さに大きな影響があることを見出したのである。例えば、処理チャンバ内のヒーターを交換するとき(故障や保守等のため)、その交換したヒーターは、交換前のヒーターとは同じ厚さプロファイルを与えないことがある。更に又、このようなヒーター毎の変化は、異なる真空ヒーターチャックを各々有する複数の処理チャンバに亘って処理標準化をすることを不可能又は非常に困難なものとしてしまうことがある。
【0008】
[0008]真空チャック型ヒーターを使用する従来のあるシステムは、基板上の非均一熱プロファイルを補償するように処理チャンバ内又は真空チャック型ヒーター内のガスの流量を制御しているが、ヒーター毎に熱プロファイルが変化するのでは、そのような補償が難しくなってしまう。
【0009】
[0009]従って、当業分野においては、基板を処理するための改良された真空チャック型ヒーターが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
[0010]軸対称及び/又はより均一な熱プロファイルを有する真空チャックの実施形態が提供される。ある実施形態では、真空チャックは、基板を支持するための支持表面を有する本体と、上記支持表面に形成された複数の軸対称に配置された溝であって、上記溝のうちの少なくとも幾つかは交差しているような複数の溝と、上記本体を通して且つ上記溝内に形成され且つ上記溝の非交差部分に配設され、動作中に上記溝を真空源に流体結合するための複数のチャッキング孔と、を含む。
【0011】
[0011]ある実施形態では、基板処理チャンバは、処理チャンバと、上記処理チャンバ内に配設された真空チャックとを含み、上記真空チャックは、基板を支持するための支持表面を有する本体と、上記支持表面に形成された複数の軸対称に配置された溝であって、上記溝のうちの少なくとも幾つかは交差しているような複数の溝と、上記本体を通して且つ上記溝内に形成され且つ上記溝の非交差部分に配設され、動作中に上記溝を真空源に流体結合するための複数のチャッキング孔と、を含む。
【0012】
[0012]本発明の別の態様では、真空チャックを製造するための方法が提供される。ある実施形態では、真空チャックを製造するための方法は、基板支持表面を有する本体を準備するステップと、上記支持表面に複数の軸対称に配置された溝を形成するステップと、上記溝の非交差部分内に上記本体を通して複数のチャッキング孔を形成するステップと、を含む。
【0013】
[0013]本発明の前述したような特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述したような本発明について、幾つかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下より特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示しているのであって、従って、本発明の範囲をそれに限定しようとしているものではなく、本発明は、均等の効果を発揮しうる他の実施形態を含みうるものであることに、注意されたい。
【0014】
[0017]理解を容易とするため、図において共通な同一の要素を示すのに、可能な限り、同一の参照符号を使用している。これら図は、同一縮尺で描かれておらず、明瞭なものとするため簡単化されている。1つの実施形態の要素及び特徴は、更に繰り返し述べなくとも、他の実施形態に効果的に組み込むことができるものと考えられる。
【詳細な説明】
【0015】
[0018]本発明の実施形態は、軸対称及び/又はより均一な熱プロファイルを有する真空チャック型ヒーターを提供する。ここに使用する用語「熱プロファイル」は、真空チャック型ヒーター上に置かれ望ましい温度まで加熱される基板又はワークピースの定常状態温度を指している。ここに使用される用語「軸対称」は、真空チャック型ヒーター又はその上に置かれた基板の中心軸、例えば、半導体ウエハ又は基板の中心から垂直に延長する軸、に対して熱プロファイルが対称であることを指している。
【0016】
[0019]図1A及び図1Bは、それぞれ、本発明のある実施形態による真空チャック型ヒーター100の上面図及び切断線1B−1Bに沿って取った断面側面図を示している。この真空チャック型ヒーター100は、基板、例えば、半導体基板(これに限定されるのではないが、200mm又は300mm半導体基板の如き)を処理するのに使用するための処理チャンバ(図示していない)に配設することができる。この真空チャック型ヒーター100は、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)等の如き、基板を加熱する必要のあるような任意の処理に使用することができる。ここに説明するような真空チャック型ヒーターを使用して効果のある、適した処理チャンバとしては、例えば、PRODUCER(登録商標名)半導体処理システムにおいて使用される処理チャンバの準常圧CVD(SACVD)ラインがある。これらは、全てカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能なものである。本発明の真空チャック型ヒーターは、他の処理チャンバ及びシステムにも使用することができると考えられる。
【0017】
[0020]この真空チャック型ヒーター100は、ヒーター112(抵抗加熱素子等の如き)を配設した本体102と、この本体102を支持するためのシャフト104とを備える。本体102は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム、熱分解窒化ホウ素等の如き処理条件に耐えるに適した任意の材料で形成することができる。本体102は、その上に基板を支持するための実質的に平坦な支持表面106を有している。ある実施形態では、処理中に基板が配置されるポケット120を画成するための周辺突出部又はリップ118が設けられる。このリップ118は、処理中に基板を中心合わせし且つ望ましい位置に保持するようにする特徴部122(傾斜側壁部の如き)を有するとよい。支持表面106から基板を上昇させ、また、支持表面106上へと基板を下降させるようにするリフトピン(図示していない)に対応させて、複数のリフトピン孔124が設けられている(図1A及び図1Bにおいては、3つのリフトピン孔124が示されている)。
【0018】
[0021]ヒーター112は、一般的に、本体102に埋め込まれた1つ以上の抵抗コイル(図示していない)を備える。それらの抵抗コイルは、ヒーターゾーンを生成するように独立して制御できるものであるとよい。処理温度を監視するため、温度指示計(図示していない)が設けられるとよい。一実施例として、この温度指示計は、支持表面106での(又はその上に置かれた基板の表面での)温度に相関したデータを与えるように配置された熱電対(図示していない)であってよい。
【0019】
[0022]ある実施形態では、高周波電極116が、高周波電力をチャンバに結合すること又はチャンバから高周波電力を除去するため高周波接地路を与えること、のうちの1つ又は両方を行うため、本体102内に設けられる。
【0020】
[0023]真空チャッキングを行うため、1つ以上の溝108が支持表面106に形成され、複数のチャッキング孔110が溝108内に設けられている。それら溝108は、本体102を形成するための成形、鋳造又は燒結処理中に及び/又は本体102の支持表面106の機械加工によるが如き任意の適当な仕方において形成することができる。これらの溝108は、従来の真空ヒーターチャックに、既存の溝を除去し(その支持表面を充填し又は機械加工するようにして)、そして、ここに説明した教示に従って溝108を機械加工することにより、形成することもできる(又は真空ヒーターチャック100を改造することもできる)。
【0021】
[0024]本発明のある実施形態では、チャッキング孔110は、従来の真空ヒーターチャックに比較して、減少した直径を有しており、それにより、「クールスポット」効果を除去又は減少させるようにしている。ある実施形態では、チャッキング孔110は、約1.016mm以下の直径、又は約0.762mmから1.524mmの間の直径、又は約1.016mmの直径を有している。
【0022】
[0025]本発明のある実施形態では、チャッキング孔110は、各溝108の交差部から離れた位置に配設される(例えば、チャッキング孔110は、溝の非交差部分に配設される)。ある実施形態では、チャッキング孔110は、(必ずしも軸対称ではないが)対称的に配置される。例えば、図1A及び図1Bに示した実施形態では、溝108内の直径方向において対向した位置に設けられ且つ溝108の最も近い交差部から等距離だけ離間して、1対のチャッキング孔110が設けられている。溝内の異なる位置(但し、前述したように、溝交差部内でないこと)に他のより多い又はより少ないチャッキング孔110を設けることができると考えられる。
【0023】
[0026]本発明のある実施形態では、溝108は、真空チャック型ヒーター100の中心軸150の周りに軸対称において配置されており、それにより、軸対称熱プロファイルを生成することができ、従って、軸対称膜厚さプロファイルを生成することができる。例えば、図1A及び図1Bに示した実施形態では、内側円形溝108及び外側円形溝108が設けられ、この内側円形溝108と外側円形溝108とを接続する4つの等距離離間した半径方向溝108、108、108及び108が設けられている。同じ又は異なる数の溝を有する他の軸対称幾何学的構成を使用することもできると考えられる。
【0024】
[0027]これらの軸対称に配置された溝108により、基板と真空ヒーターチャック100の支持表面106との間のガス圧を均一分布させることができる。これにより、真空ヒーターチャック100と基板との間に均一な熱移送がなされ、その結果、基板のより均一な温度プロファイルを生ぜしめることができる。例えば、テスト結果によれば、真空ヒーターチャック100上に置かれた基板の方位温度範囲が、6℃から約3℃より低い温度まで減少され、それにより、熱プロファイル非均一性を補償するため他の手段に頼らなければならない程度を減少させることができることが示されている。
【0025】
[0028]本発明のある実施形態では、溝108の公差を厳しいものとすることにより、ヒーター毎の温度プロファイル変化を効果的に減ずることができる。例えば、ある実施形態では、溝108は、約0.4318mmから0.5842mmの間の幅を有する。ある実施形態では、溝108は、約0.0635mmから0.0889mmの間の深さを有する。その上、ある実施形態では、支持表面106は、約0.8128μmより小さな、又は約0.7112μmから0.8128μmの間の減少した表面粗さを有し、それにより、使用中の基板と支持表面106との間の表面接触を改善することができる。こうして、基板温度のヒーター毎の変化は、真空ヒーターチャック100の表面の形状状態を厳しく制御することにより制御される。
【0026】
[0029]シャフト104は、チャッキング孔110(及び、従って溝108)を真空システム(図示していない)に流体結合する複数の開口114(又はチューブ、ホース等の如き他の機構)を有する。従って、動作において、基板が真空ヒーターチャック100の支持表面106上に置かれ、チャッキング孔110を通して溝108内に真空圧を加え維持することにより、その基板はその支持表面106上に保持される。シャフト104は、更に、真空ヒーターチャック100の本体102へのファシリティー又はコネクタのルーティングを行うための中心通路126を備える。例えば、ヒーター112を動作するための電気接続を与えるための1つ以上のヒーターコネクタ128が、その通路126を通してルーティングされ、そのヒーター112に結合される。更に又、高周波電極116を高周波電力供給源又は接地接続部(図示せず)に結合するための高周波コネクタ130がその通路126を通してルーティングされる。
【0027】
[0030]図2は、本発明のある実施形態による真空チャック型ヒーターを製造するための方法200のフローチャートを示している。この方法200は、図1A及び図1Bに関して前述した真空チャック型ヒーター100について説明される。ある実施形態では、この方法200は、基板支持表面106を有する本体102を準備するステップ202で開始される。本体102は、前述したような任意の適当な材料で形成され、成形、燒結、機械加工等の如き適当な仕方で形成されてよい。
【0028】
[0031]次に、ステップ204において、支持表面106に複数の軸対称に配置された溝108が形成される。これら溝108は、本体102を形成するための製造処理中の如き任意の適当な仕方で形成されてよい。別の仕方として、溝108は、後で本体102の支持表面106へそれら溝を機械加工することにより形成されてもよい。既存の真空チャック型ヒーターの改造のような、ある実施形態では、それら溝108を形成する前に、以前からあった溝を本体102から除去する。例えば、ある実施形態では、支持表面106は、以前からあった溝を除去するため平らに機械加工される。以前からあった溝のうちのあるものは、溝108を形成するのに完全に除去されるのでなく、再調整されるようにしてもよいことが考えられる。
【0029】
[0032]次に、ステップ206において、複数のチャッキング孔110が、溝108の非交差部分内に本体を通して形成される。これらチャッキング孔110は、溝108の形成前又は後に形成することができる。更に又、真空チャック型ヒーターを改造するような実施形態では、それらチャッキング孔110は、本体102内に既に存在していてもよいし、又は後で形成されてもよい。また、真空チャック型ヒーターを改造するような実施形態においては、チャッキング孔110を形成する前に、以前からあったチャッキング孔を少なくとも部分的に充填するようにしてもよい。
【0030】
[0033]こうして、軸対称及び均一熱プロファイルの真空チャック型ヒーターの実施形態が提供される。この真空チャック型ヒーターによれば、この真空チャック型ヒーター上に置かれた基板上に形成される膜及び/又は被覆の厚さ非均一性が効果的に最少とされる。その上、ここに説明した本発明の真空チャック型ヒーターによれば、1)チャッキング孔に対応する基板上に局部コールドスポットによって生ずる膜圧さスパイクの減少、2)真空チャック型ヒーターの熱プロファイルの非対称性によって生ずる膜厚さプロファイルの非対称性の減少、及び3)ヒーター毎の熱プロファイルの変化の減少、のうちの1つ以上を効果的に達成することができる。
【0031】
[0034]本発明の実施形態について前述してきたのであるが、本発明の基本的範囲から逸脱せずに、本発明の他の更なる実施形態を考えることができるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】本発明のある実施形態による真空チャック型ヒーターの上面図を示している。
図1B図1Aの切断線1B−1Bに沿って取った真空チャック型ヒーターの断面側面図を示している。
図2】本発明のある実施形態による真空チャック型ヒーターを製造するための方法のフローチャートを示している。
【符号の説明】
【0033】
100…真空チャック型ヒーター(真空ヒーターチャック)、102…本体、104…シャフト、106…支持表面、108…溝、108…外側円形溝、108…内側円形溝、108…半径方向溝、108…半径方向溝、108…半径方向溝、108…半径方向溝、110…チャッキング孔、112…ヒーター、114…開口、116…高周波電極、118…周辺突出部(リップ)、120…ポケット、122…特徴部(傾斜側壁部)、124…リフトピン孔、126…中心通路、128…ヒーターコネクタ、130…高周波コネクタ、150…中心軸
図1A
図1B
図2