(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の顕微鏡と前記第2の顕微鏡とは、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とが面方向に重なる位置にあるときに、前記第1半導体基板の面方向について、前記第1のテーブルに保持された前記第1半導体基板の中心、および前記第2のテーブルに保持された前記第2半導体基板の中心に対して、対称な位置に配される請求項1から3のいずれか一項に記載の基板位置合せ装置。
前記第1の顕微鏡による観察および前記第2の顕微鏡による観察に先立って、前記第1のテーブルに前記第1半導体基板を搬送するとともに前記第2のテーブルに前記第2半導体基板を搬送する搬送部をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の基板位置合せ装置。
前記第1のテーブルおよび前記第2のテーブルとは別個の位置において、前記第1半導体基板の外形および前記第2半導体基板の外形をそれぞれの観察時間の少なくとも一部が重なるように観察するプリアラインメント部をさらに備える請求項6に記載の基板位置合せ装置。
前記第1のテーブルおよび前記第2のテーブルとは別個の位置において、前記第1半導体基板の外形および前記第2半導体基板の外形を順次観察し、先に観察を終了した前記第1半導体基板を反転するプリアラインメント部をさらに備える請求項6に記載の基板位置合せ装置。
前記搬送部は、前記第1のテーブルに前記第1半導体基板を搬送する第1のアーム、前記第2のテーブルに前記第2半導体基板を搬送する第2のアーム、並びに、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とが重なった状態で前記1のテーブルおよび前記第2のテーブルから搬出する第3のアームを有する請求項6に記載の基板位置合せ装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、基板貼り合せ装置100の全体構造を模式的に示す平面図である。基板貼り合せ装置100は、筐体102と、常温部104と、高温部106と、基板カセット112、114、116とを備える。常温部104および高温部106は、共通の筐体102の内部に設けられる。
【0013】
基板カセット112、114、116は、筐体102の外部に、筐体102に対して脱着自在に装着される。基板カセット112、114、116は、基板貼り合せ装置100において接合される第1基板122および第2基板123を収容する。基板カセット112、114、116により、複数の第1基板122および第2基板123が一括して基板貼り合せ装置100に装填される。また、基板貼り合せ装置100において接合された第1基板122および第2基板123が一括して回収される。
【0014】
常温部104は、筐体102の内側にそれぞれ配された、プリアライナ126、ステージ装置140、基板ホルダラック128および基板取り外し部130と、一対の搬送部132、134とを備える。筐体102の内部は、基板貼り合せ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。常温部104は、大気中で第1基板122および第2基板123を搬送する。
【0015】
プリアライナ126は、高精度であるが故にステージ装置140の狭い調整範囲に第1基板122または第2基板123の位置が収まるように、個々の第1基板122または第2基板123の位置を仮合わせする。この場合に、プリアライナ126は第1基板122等の外形を観察することにより、第1基板122等の位置決めを行う。これにより、ステージ装置140が第1基板122および第2基板123の位置を確実に位置決めすることができる。
【0016】
基板ホルダラック128は、複数の上基板ホルダ124および複数の下基板ホルダ125を収容して待機させる。基板貼り合せ装置100において、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、それぞれ、第1基板122および第2基板123を静電吸着により保持する。
【0017】
ステージ装置140は、貼り合せの対象である第1基板122と第2基板123における接合すべき電極同士の位置を合わせて、重ね合わせる。ステージ装置140は、基板位置合せ装置の一例である。ステージ装置140を包囲して断熱壁145およびシャッタ146が設けられる。断熱壁145およびシャッタ146に包囲された空間は空調機等に連通して温度管理され、ステージ装置140における位置合わせ精度を維持する。
【0018】
ステージ装置140は、第1テーブル141と、第2テーブル142と、制御部148とを有する。第1テーブル141は、ステージ装置140の天板の下面に固定される。第1テーブル141の下面が真空吸着により上基板ホルダ124を保持する。
【0019】
第2テーブル142は、第1テーブル141に対向して、ステージ装置140の底板の上に、XYZ方向に移動可能に配置される。第2テーブル142は、傾斜機能を有する。第2テーブル142の上面が真空吸着により下基板ホルダ125を保持する。
【0020】
制御部148は、第2テーブル142の移動を制御する。制御部148は、第2テーブル142を移動させて、第1テーブル141に保持された第1基板122に対して、第2基板123の位置を合わせる。制御部148は、第2テーブル142を上昇させて、第1基板122と第2基板123を重ね合せることができる。その後、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた第1基板122と第2基板123は、位置止め機構により仮止めされる。上基板ホルダ124と下基板ホルダ125及びそれらに挟まれた第1基板122と第2基板123の組合せを「ホルダ対」と記載することがある。
【0021】
基板取り外し部130は、高温部106から搬出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125に挟まれて貼り合わされた第1基板122および第2基板123を取り出す。貼り合わされた第1基板122および第2基板123を「積層基板」と記載することがある。上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から取り出された積層基板は、搬送部134、132および第2テーブル142により基板カセット112、114、116のうちのひとつに戻されて収容される。積層基板を取り出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、基板ホルダラック128に戻されて待機する。基板取り外し部130は、基板ホルダラック128の上方に配される。
【0022】
なお、基板貼り合せ装置100に装填される第1基板122および第2基板123は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウェハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されたものであってよい。また、装填された第1基板122および第2基板123が、既に複数のウェハを積層して形成された積層基板である場合もある。
【0023】
一対の搬送部132、134のうち、基板カセット112、114、116に近い側に配置された搬送部132は、基板カセット112、114、116、プリアライナ126およびステージ装置140の間で第1基板122および第2基板123を搬送する。一方、基板カセット112、114、116から遠い側に配置された搬送部134は、ステージ装置140、基板ホルダラック128、基板取り外し部130およびエアロック220の間で、第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。
【0024】
搬送部134は、基板ホルダラック128に対して、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125の搬入および搬出も担う。第1テーブル141に第1基板122を保持させる場合に、搬送部134は、まず基板ホルダラック128から一枚の上基板ホルダ124を取り出して第2テーブル142に載置する。第2テーブル142は、基板カセット112、114、116に近い側に移動する。搬送部132は、プリアライナ126からプリアライメントされた第1基板122を取り出して、第2テーブル142の上の上基板ホルダ124に載置して、静電吸着させる。
【0025】
第2テーブル142は、再び基板カセット112、114、116から遠い側に移動する。搬送部134は、第2テーブル142から第1基板122を静電吸着した上基板ホルダ124を受け取り、裏返して第1テーブル141に近づける。第1テーブル141は、真空吸着によりその上基板ホルダ124を保持する。
【0026】
搬送部134は、第2テーブル142に下基板ホルダ125を載置する。搬送部132は、その上に第2基板123を載置して保持させる。これにより、第2テーブル142に保持された第2基板123における回路等が形成された面は、第1テーブル141に保持された第1基板122における回路等が形成された面に、対向するように配置される。
【0027】
高温部106は、断熱壁108、エアロック220、搬送部230、複数の加圧室240および冷却室250を有する。断熱壁108は、高温部106を包囲して、高温部106の外部への熱輻射を遮断する。これにより、高温部106の熱が常温部104に及ぼす影響を抑制する。高温部106は、その内部が一定の真空状態に維持される。これにより、高温部106に搬入された基板の汚染及び酸化を抑えることができる。
【0028】
搬送部230は、加圧室240、冷却室250とエアロック220との間で第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。
【0029】
エアロック220は、常温部104と高温部106とを連結する。エアロック220は、常温部104側と高温部106側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。
【0030】
第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から構成されるホルダ対が常温部104から高温部106に搬入される場合、まず、常温部104側のシャッタ222が開かれ、搬送部134がホルダ対をエアロック220に搬入する。次に、常温部104側のシャッタ222が閉じられ、エアロック220内部が真空に引かれる。エアロック220内部の真空度が、高温部106側の真空度になったら、高温部106側のシャッタ224が開かれる。
【0031】
続いて、搬送部230が、エアロック220からホルダ対を搬出して、加圧室240のいずれかに装入する。加圧室240は、加圧部の一例である。加圧室240は、ホルダ対を加熱および加圧して、第1基板122と第2基板123を貼り合せる。その後、搬送部230が、加圧室240からホルダ対を搬出して、冷却室250に装入して冷却する。加圧室240は、ホルダ対を加圧するだけで、第1基板122と第2基板123を貼り合せてもよい。
【0032】
高温部106から常温部104にホルダ対を搬出する場合は、常温部104から高温部106に搬入する場合の一連の動作を逆順で実行する。これらの一連の動作により、高温部106の内部雰囲気を常温部104側に漏らすことなく、ホルダ対を高温部106に搬入または搬出できる。
【0033】
基板貼り合せ装置100内の多くの領域において、上基板ホルダ124が第1基板122を保持した状態で、又は下基板ホルダ125が第2基板123を保持した状態で、搬送部134、230および第2テーブル142により搬送される。第1基板122を保持した上基板ホルダ124又は第2基板123を保持した下基板ホルダ125が搬送される場合、搬送部134、230は、真空吸着又は静電吸着により上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125を吸着して保持する。
【0034】
図2は、ステージ装置140の構造を概略的に示す。ステージ装置140は、本体310の内側に配された第1テーブル141と、第2テーブル142と、制御部148と、第1顕微鏡344と、第2顕微鏡342と、干渉計370と、第1固定鏡374と、第2固定鏡376とを備える。
【0035】
本体310は、互いに平行で水平な天板312および底板316と、天板312および底板316を結合する複数の支柱314とを備える。天板312、支柱314および底板316は、それぞれ高剛性な材料により形成され、内部機構の動作に係る反力が作用した場合も変形を生じない。なお、基板貼り合せ装置100に組み込まれた場合は、支柱314相互の間は断熱壁145により封止される。
【0036】
第1テーブル141は、天板312の下面に固定される。第1テーブル141は、真空吸着により第1基板122を下面に保持する上基板ホルダ124を吸着する。当該吸着方法は、静電吸着であってもよい。
【0037】
第2テーブル142は、第1テーブル141に対向して昇降部360に配される。昇降部360は、底板316の上に載置され、底板に対して固定されたガイドレール352に案内されつつX方向に移動するXステージ354と、Xステージ354の上でY方向に移動するYステージ356の上に載置される。よって、制御部148の制御により、第2テーブル142は、X、Y、Z方向にも移動できる。Z方向の移動距離は変位センサー372により検知できる。変位センサー372が検出したデータが制御部148にフィードバックされる。
【0038】
第2テーブル142は、真空吸着等により下基板ホルダ125を保持する。昇降部360は、制御部148からの指示に応じて、第2テーブル142をZ方向に昇降する。昇降部360の駆動形式の例として、VCM(ボイスコイルモータ)による駆動、シリンダー及びピストンによる駆動等が挙げられる。第2テーブル142は、粗動微動分離駆動機構を有してよい。第2テーブル142は、X、Y、Z軸を回転軸として回転する機能を有する。
【0039】
第1顕微鏡344は、第2テーブル142に配置され、第2テーブル142と共に第1テーブル141に対して移動できる。第1顕微鏡344は、オートフォーカスセンサーを有する。第1顕微鏡344は、第1テーブル141に保持された第1基板122の表面に設けられた指標を観察して、その位置、距離を計測する。第1顕微鏡344により計測される位置、距離のデータは、制御部148に送信される。
【0040】
第2顕微鏡342は、天板312の下面に、第1テーブル141に対して既知の間隔をおいて固定される。第2顕微鏡342は、オートフォーカスセンサーを有する。第2顕微鏡342は、第2テーブル142に保持された第2基板123の表面に設けられた指標を観察して、その位置、距離を計測する。第2顕微鏡342により計測される位置、距離のデータは、制御部148に送信される。制御部148は、受信したデータに基づいて、第2テーブル142を制御する。
【0041】
干渉計370は、それぞれ第1テーブル141及び第2テーブル142に固定された第1固定鏡374及び第2固定鏡376に光を照射して、第1固定鏡374及び第2固定鏡376から反射される光の干渉により、第1テーブル141に対する第2テーブル142の相対位置を検知できる。干渉計370は、検出したデータを制御部148にフィードバックする。
【0042】
制御部148は、第1テーブル141及び第2テーブル142における干渉計370、変位センサー372、第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342の位置を記憶しているので、干渉計370、変位センサー372、第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342により送信されるデータに基づいて、上基板ホルダ124を介して第1テーブル141に保持された第1基板122と、下基板ホルダ125を介して第2テーブル142に保持された第2基板123との相対位置を算出できる。制御部148は、算出した結果に基づいて、第2テーブル142を精密に制御して、第1基板122と第2基板123の位置合せをして、重ね合せることができる。
【0043】
図3は、第1基板122及び第2基板123に設けられる指標の位置関係を示す平面図である。
図3は、第1テーブル141における第1基板122が置かれるべき位置に第1基板122が置かれ、第2テーブル142における第2基板123が置かれるべき位置に第2基板123が置かれ、第1基板122及び第2基板123が位置合せされた場合を示す。
図3は、上に位置する第1基板122については裏面から透視して、下に位置する第2基板123については表面を観察する平面図である。
【0044】
図3における十字マークは、基板の表面に形成されるアライメント用指標を表す。白抜き指標a、b、cは、上に位置する第1基板122の表面に形成される指標を表し、黒塗り指標e、f、gは、下に位置する第2基板123の表面に形成される指標を表す。
図3に示すように、第1基板122に形成される指標と第2基板123に形成される指標は、第1基板122の表面と第2基板123の表面とが向かい合った状態で、両基板の中心Oに対して、対称な位置に配される。即ち、指標aと指標e、指標bと指標f、指標cと指標gの間は、それぞれ基板の中心Oに対して対称的な位置に配される。また、
図3に示すように、第1顕微鏡344と第2顕微鏡342は、両基板の中心Oに対して対称的な位置に、それぞれ第2テーブル142及び第1テーブル141に配される。
【0045】
図4は、第1顕微鏡344により第1基板122の表面の指標、第2顕微鏡342により第2基板123の表面の指標を観察する概念図である。制御部148は、第1基板122の複数の指標のうちのいずれか、例えば指標aが第1顕微鏡344の視野内に入るように、第2テーブル142を移動する。このとき
図3に示すように、第1基板122に形成された指標が第2基板123に形成された指標と中心Oに対して対称位置に配され、第1顕微鏡344が第2顕微鏡342と中心Oに対して対称位置に配されているので、第2基板123における複数の指標のうちの対応するもの、例えば指標eが第2顕微鏡342の視野内に入る。を観察する位置にある。これにより、第1顕微鏡344が指標aを観察するのと同時に、第2顕微鏡342が指標eを観察し、それぞれの指標a、eの位置を算出する。
【0046】
同様に、制御部148が、第1顕微鏡344が順次指標b、cを観察する位置に第2テーブル142を移動すると、第2顕微鏡342は順次指標f、gを観察できる位置にある。これにより、第1顕微鏡344が指標bを観察するのと同時に第2顕微鏡342が指標fを観察し、次に、第1顕微鏡344が指標cを観察するのと同時に第2顕微鏡342が指標gを観察する。以上により、第1基板122および第2基板123のそれぞれ対応する指標を同時に観察して、第1基板122および第2基板123の指標の位置を算出する時間を短縮することができる。
【0047】
図5は、第1基板122表面の指標a及び第2基板123表面の指標eをそれぞれ第1顕微鏡344の第1顕微鏡視野410及び第2顕微鏡342の第2顕微鏡視野420に収めるアライメント過程を概略的に示す。第1顕微鏡344が下から上向きに第1基板122を観察するので、第1顕微鏡視野410におけるX軸の方向は、第2顕微鏡視野420のX軸の方向と逆向きに示した。
【0048】
図5に示すように、制御部148が第2テーブル142を移動して、第1基板122の指標aを第1顕微鏡344の第1顕微鏡視野410の中心O
1に合わせる。この場合、理論的には、第2基板123において対応する指標eが第2顕微鏡342の第2顕微鏡視野420の中心O
2に位置する。しかし、指標a等の形成時の位置ずれおよび第1基板122の第1テーブル141への搭載時の位置ずれ等により、
図5に示すように、指標eが第2顕微鏡視野420に収まらないこともある。
【0049】
この場合に、制御部148は、第2テーブル142を移動して、第1基板122の指標aを第1顕微鏡視野410内の位置(図中の位置a1)に残しつつ、第2基板123の指標eを第2顕微鏡視野420内の位置(図中の位置e1)に収める。この場合に例えば制御部148は予め設定された移動経路をたどって第2テーブルを動かして、指標eが視野内に入るかどうかを観察する。制御部148は、第1顕微鏡視野410及び第2顕微鏡視野420から取得する画像により、指標a1と中心O
1との距離及び指標e1とO
2との距離を検出に基づいて、指標a1および指標e1の位置を算出する。よって、この場合でも、第1顕微鏡344が指標aを観察するのと同時に第2顕微鏡342が指標eを観察することができ、第1基板122と第2基板123との位置合せ時間を短縮することができる。
【0050】
さらに指標の位置ずれが大きいと、指標aと指標eを同時にそれぞれ第1顕微鏡視野410及び第2顕微鏡視野420に収めることができない場合がある。この場合には、第1顕微鏡344により指標aを観察してから、第2テーブル142を移動して第2顕微鏡342により指標eを観察し、第1基板122の次の指標bを観察してもよい。指標aを第1顕微鏡視野410に収めたとき、指標eが第2顕微鏡視野420の近傍に位置するので、指標aを観察した後指標eを観察することにより、第1顕微鏡344で第1基板122の指標a、b、cを順次観察した後に第2顕微鏡342で第2基板123の指標eを観察するより、位置合せの時間を大きく短縮することができる。
【0051】
図6は、基板の厚さの変化に合わせて顕微鏡の合焦位置を調整する実施形態を示す。この実施形態では、第2基板123が既に3枚の基板を接合した積層基板であり、積層していない基板に比して厚みが大きい。このように、積層半導体装置を製造する過程において、観察対象である基板が異なる厚さを有する場合がある。
【0052】
第1顕微鏡344および第2顕微鏡342のうち少なくとも一方の焦点位置が可変である。例えば、第2顕微鏡342の光学系が移動可能で、合焦位置が可変である。この場合に、制御部148は、第1顕微鏡344の焦点が第1基板122の指標aに合うように第2テーブル142の高さ方向の位置を制御するとともに、第2顕微鏡342の焦点を第2基板123の指標eに合わせるように第2基板123の光学系を制御する。
【0053】
図7及び
図8は、基板の厚さの変化に合わせて顕微鏡の合焦位置を調整する他の実施例を示す。この例では、同一の第2基板123において厚さの分布があり、第2テーブル142に載置された第2基板123の表面が第2顕微鏡342に対して傾斜する。
図7に示すように、制御部148が、第1顕微鏡344の焦点が指標aに合うように第2テーブル142の高さを制御したときに、第2顕微鏡342の焦点も指標eに合ったとする。この場合には
図8に示すように、第1顕微鏡344が指標cを観察するときに、第2顕微鏡342の焦点が指標gから外れる場合がある。ここで第2顕微鏡342の合焦位置が可変であるので、制御部148は第2顕微鏡342の光学系を制御して焦点を指標gに合わせる。なお、第1顕微鏡344の合焦位置が可変であってもよく、第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342双方の合焦位置が可変であってもよい。
【0054】
図9は、第1顕微鏡344と第2テーブル142の相対位置を調整する実施形態を示す。この実施形態において、第1顕微鏡344は、第2テーブル142上においてXY方向に移動できる移動ステージ上に配される。ここで、
図9に示すように、第1基板122の位置が第1テーブル141における第1基板122が置かれるべき位置からずれたとき、指標aと指標eとが同時に観察できないおそれがある。この場合に、制御部148は、指標aが第1顕微鏡344の視野に収まるように、第2テーブル142に対して第1顕微鏡344を移動する。これにより、第1顕微鏡344が指標aを観察するのと同時に第2顕微鏡342が指標eを観察することができる。なお、第1テーブル141に対する第2顕微鏡342の相対位置が可変であってもよい。
【0055】
図10は、他の実施形態である基板貼り合せ装置500を模式的に示す平面図である。基板貼り合せ装置500の説明において、基板貼り合せ装置100と異なる機能について説明し、同じ機能を有する部分についてはその説明を省略する。
【0056】
基板貼り合せ装置500のプリアライナ126は、上下に重なった2セットのプリアライメント機構を有する。この構造により、プリアライナ126は、同時に第1基板122と第2基板123のプリアライメントをすることができる。プリアライナ126は、第1基板122の外形を観察してプリアライメントをする時間と、第2基板123の外形を観察してプリアライメントをする時間との少なくとも一部が重なってプリアライメントすることができる。また、126は、第1基板122の外形および第2基板123の外形を順次、観察し、先に観察を終了した第1基板122を反転する機能を更に有しても良い。これにより、搬送部134は、反転した第1基板122をそのまま第1テーブル141に搬送して保持させることができる。
【0057】
基板貼り合せ装置500は、基板ホルダアライナ129を有する。基板ホルダアライナ129は、第1基板122及び第2基板123がそれぞれ上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125における予め定められた位置に載置できるように、上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125の位置を合わせる。基板ホルダアライナ129は、上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125の外形を観察することにより、上基板ホルダ124等の位置決めを行う。基板ホルダアライナ129は、位置合せが完成した上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125に、搬送部134が搬入した第1基板122又は第2基板123を載置させる場所でもある。基板ホルダアライナ129は2段構造を有し、第1基板122及び第2基板123が同時に上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125に載置されることができる。基板ホルダアライナ129は、更に第1基板122又は第2基板123を保持した上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125を反転する機能を有してよい。
【0058】
基板貼り合せ装置500の搬送部134は、第1搬送アーム520及び第2搬送アーム510を有する。搬送部134は、レール136に沿って移動できる。搬送部134は、第1搬送アーム520及び第2搬送アーム510により、同時に第1基板122及び第2基板123を搬送することができる。搬送部134は、第1搬送アーム520及び第2搬送アーム510により、同時に上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125を搬送することもできる。また、搬送部134と別途に更に他の搬送部が設けられ、搬送部134が上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125を搬送し、他の搬送部が第1基板122及び第2基板123を搬送してもよい。
【0059】
図11は、第1搬送アーム520及び第2搬送アーム510のほかに、第3搬送アーム530が設けられる実施形態を示す。第3搬送アーム530は、ステージ装置140により位置合せが完成され、上基板ホルダ124、下基板ホルダ125、およびこれらに挟まれた第1基板122および第2基板123、即ちホルダ対を取り出す。
図11の実施形態では、第1搬送アーム520は第1基板122を保持した上基板ホルダ124を搬入し、第2搬送アーム510は第2基板123を保持した下基板ホルダ125を搬入し、第3搬送アーム530はホルダ対を搬出する。
【0060】
図12は、基板位置合せ方法のフローチャート一例を示す。ステップS010において、第1基板122及び第2基板123をそれぞれ第1テーブル141及び第2テーブル142に設置する。例えば、搬送部134は、第1搬送アーム520及び第2搬送アーム510により、同時に1枚の第1基板122及び1枚の第2基板123をプリアライナ126に投入して、プリアライナ126は、同時に第1基板122及び第2基板123のプリアライメントをする。その間、搬送部134は、基板ホルダラック128から同時に1枚の上基板ホルダ124及び1枚の下基板ホルダ125を取り出して、基板ホルダアライナ129に搬入する。基板ホルダアライナ129は、同時に上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125を位置合せして待機させる。プリアライメントが終了すると、搬送部134は、プリアライナ126から同時に第1基板122及び第2基板123を取り出して、それぞれ基板ホルダアライナ129に待機させた上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125に載置する。上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125は、静電吸着によりそれぞれ第1基板122及び第2基板123を吸着する。基板ホルダアライナ129は、第1基板122を吸着した上基板ホルダ124を反転する。
【0061】
搬送部134は、同時に第1基板122を保持した上基板ホルダ124及び第2基板123を保持した下基板ホルダ125を基板ホルダアライナ129から取り出して、それぞれ第1テーブル141及び第2テーブル142に搬送する。第1テーブル141及び第2テーブル142は、真空吸着により、それぞれ第1基板122を保持した上基板ホルダ124及び第2基板123を保持した下基板ホルダ125を吸着して保持する。このように、第1基板122及び第2基板123のプリアライメント及び搬送を同時に行うことにより、基板位置合せの時間を短縮することができる。
【0062】
ステップS020において、第1基板122の最初の指標を第1顕微鏡344の視野に収める。例えば、
図5に示すように、制御部148が第2テーブル142を移動して、第1基板122の指標aを第1顕微鏡344の第1顕微鏡視野410の中心O
1に合わせる。
【0063】
ステップS030において、制御部148は、第2基板123の対応する最初の指標が第2顕微鏡視野420に入ったかをチェックする。例えば、
図5の下の図に示すように、指標eが第2顕微鏡視野420に収まらない場合には、ステップS040に進む。もし、指標eが第2顕微鏡視野420に収まる場合には、ステップS050に進む。
【0064】
ステップS040において、第2基板123の対応する最初の指標が第2顕微鏡視野420に入るように第2テーブル142を移動する。例えば、
図5の下の図に示すように、制御部148は、第2テーブル142を矢印方向に移動して、第2テーブル142に載置される第2基板123の指標eを第2顕微鏡視野420に収める。
【0065】
ステップS041において、第2テーブル142の移動が所定の閾値以内か否かを判断する。ここで所定の閾値の一例は、第1顕微鏡視野410の中心から周縁までの距離である。ステップS041において第2テーブル142の移動が所定の閾値以内の場合には(S051:Yes)、第1顕微鏡視野410の中に第1基板122の指標aが入ると同時に、第2顕微鏡視野420の中に第2基板123の指標eが入ったとして、ステップS050に進む。一方、ステップS041において第2テーブル142の移動が所定の閾値以内でない場合には(S051:No)、第1顕微鏡視野410の中に第1基板122の指標aが入ると同時には、第2顕微鏡視野420の中に第2基板123の指標eが入らないとして、ステップS042に進む。
【0066】
ステップS050において、制御部148は、第1顕微鏡344の合焦位置を第1基板122の指標aに合わせるべく、第2テーブル142の高さを制御する。この場合に第1顕微鏡344に設けられたオートフォーカスセンサーからのフィードバックを用いて制御部148が第2テーブル142の高さを変える。
【0067】
ステップS060において、制御部148は、第2顕微鏡342の合焦位置を第2基板123の指標eに合うように制御する。
【0068】
ステップS070において、第1顕微鏡344による指標aの観察と第2顕微鏡342による指標eの観察が同時に行う。例えば、第1テーブル141及び第2テーブル142をこの位置で停止させている間に、制御部148は第1顕微鏡視野410及び第2顕微鏡視野420のそれぞれから画像を取得する。画像取得のタイミングはずれていてもよい。これにより制御部148は、指標a及び指標eの位置を算出する。
【0069】
ステップS071において、第1基板122において観察すべき指標をすべて観察したか否かを判断する。すべて観察した場合には(S071:Yes)、ステップS090に進む。観察していない指標がある場合には(S071:No)、ステップS080に進む。
【0070】
一方、ステップS041において第2テーブル142の移動が所定の閾値以内でない場合には(S051:No)、ステップS042において第1顕微鏡344により指標aを観察する。その後、ステップS043において制御部148が第2テーブル142を移動して第2顕微鏡視野420に指標eを入れて、ステップS044において第2顕微鏡342により指標eを観察する。
【0071】
ステップS080において、第1基板122の次の指標を第1顕微鏡344の視野に収める。例えば、制御部148が第2テーブル142を移動して、
図4に示す第1基板122の指標bを第1顕微鏡344の第1顕微鏡視野410の中心O
1に合わせる。そして、ステップS030からステップ080を繰り返して、第1基板122及び第2基板123における観察すべき全ての指標を観察して、第1基板122及び第2基板123の位置を検出する。
【0072】
ステップS090において、制御部148は、第2テーブル142を制御して、検出した第1基板122及び第2基板123の位置データに基づいて、第1基板122と第2基板123の位置合せを行う。更に、制御部148は、第2テーブル142を上昇させて、第1基板122と第2基板123を重ね合わせる。その後、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた第1基板122と第2基板123は、位置止め機構により仮止めされて、ステージ装置140から搬出されて、基板の位置合せは終了する。
【0073】
上述の実施形態において、第1基板122及び第2基板123は、それぞれ上基板ホルダ124及び125により保持されて搬送され、位置合せがなされるが、第1基板122及び第2基板123は、上基板ホルダ124及び125を介さず、直接に搬送され、位置合せがなされてもよい。
【0074】
上記実施形態においては、第1基板122および第2基板123における互いに対応する指標を同時に、または、交互に観察することにより、制御部148は、第1基板122における複数の指標のうちの最初の指標から最後の指標を観察するまでの観察時間と、第2基板123における複数の指標のうちの最初の指標から最後の指標までの観察時間とが重なるようにした。しかしながら、観察時間の重ね方はこれに限られない。他の例として、第1基板122の複数の指標のうちの一部と、第2基板123における対応する指標のうちの一部とを同時にまたは交互に観察してもよい。さらに、他の例として、第1基板122の指標を所定個数観察する毎に、第2基板123の指標を所定個数観察することを繰り返してもよい。
【0075】
図13は、他の実施形態における第1基板122及び第2基板123に設けられる指標及び第1顕微鏡344と第2顕微鏡342の位置関係を示す平面図である。
図3と同様に、
図13は、第1テーブル141における第1基板122が置かれるべき位置に第1基板122が置かれ、第2テーブル142における第2基板123が置かれるべき位置に第2基板123が置かれ、第1基板122及び第2基板123が位置合せされた場合を示す。
図13は、上に位置する第1基板122については裏面から透視して、下に位置する第2基板123については表面を観察する平面図である。
【0076】
第1基板122の表面に形成される指標a、b、c、d、eは、等間隔Lで一列に配置される。第2基板123の表面に形成される指標f、g、h、i、jは、等間隔Lで一列に配置される。
【0077】
第2顕微鏡342は、天板312の下面において、中心Oを原点とするX軸上に設けられる。第2顕微鏡342は、中心Oとの間に、Lの整数倍の距離を離れて設けられる。第1顕微鏡344は、第2テーブル142において、中心Oを原点とするX軸上に設けられる。第1顕微鏡344は、中心Oとの間に、Lの整数倍の距離を離れて設けられる。第1顕微鏡344から中心Oまでの距離は、第2顕微鏡342から中心Oまでの距離と等しくなくても良い。即ち、第1顕微鏡344と第2顕微鏡342の位置が中心Oに対して対称的ではなくてもよい。
図13において、第2顕微鏡342の位置が第1顕微鏡344の対称位置からLの距離を離れている。
【0078】
図13は、第1基板122及び第2基板123が位置合せされて、第1基板122の指標a、b、c、d、eがそれぞれ第2基板123の指標j、i、h、g、fと重なった状態を示す。この場合には、たとえ第1顕微鏡344と第2顕微鏡342の位置が中心Oに対して対称的ではなくても、第1顕微鏡344及び第2顕微鏡342により、第1基板122の指標のうちの一部と、第2基板123における対応する指標のうちの一部とを同時に観察することができる。例えば、第1顕微鏡344により第1基板122の指標aを観察するときに、第2顕微鏡342は、第2基板123におけるいずれの指標をも観察することができないが、第1顕微鏡344により第1基板122の指標bを観察するときに、第2顕微鏡342は、同時に第2基板123における指標fを観察することができる。このような一部同時観察も、基板位置合せの時間を短縮することができる。
【0079】
図14は、積層半導体装置を製造する製造方法の概略を示す。
図14に示すように、積層半導体装置は、当該積層半導体装置の機能・性能設計を行うステップS110、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS120、積層半導体装置の基材である基板を製造するステップS130、マスクのパターンを用いたリソグラフィを含む基板処理ステップS140、上記の基板貼り合せ装置を用いた基板貼り合せ工程等を含むデバイス組み立てステップS150、検査ステップS160等を経て製造される。なお、デバイス組み立てステップS150は、基板貼り合せ工程に続いて、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0081】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。